クソガキジジイと少年」
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#731 [ザセツポンジュ]
『皆様今日はお集まり頂き有難うございます。今年も、例年通りの議題で行うように校長から言われました。が、しかし、そんなのなんにもおもしろくないので校長の命令は完全無視する。』


小さな話し声が広がりざわつきはじめた。
校長はキョロキョロしてなにやら教頭に耳打ちした。

『議題を発表します。』

トミーは裏方の前生徒会長、トキムネ氏に指示を出した。

『そこのファイルにある1枚目をスクリーンに映し出せ。』

トミーの鋭い目に圧倒され、言われるがままに従った。


何も聞かされることのなかった旧生徒会役員。
トミー率いる新生徒会役員との確執は深かった。

⏰:08/05/19 01:45 📱:W51CA 🆔:UWzOEldU


#732 [ザセツポンジュ(仕事中のためPC)]
《い  じ  め》

スクリーンいっぱいに
映し出された、たった3文字の言葉。

みんなが議題を飲み込んだのを
確認したトミーは、進行をジョウと交代した。

『はい。ここに出ている文字を見てハッとした人もいると思いますが、この学校にいじめは存在しました。今日来ているお父さんお母さんは、ショックかもしれませんが、娘さん、息子さんが誰かをいじめているかもしれません。』

⏰:08/05/19 16:55 📱:PC 🆔:inGAe7KI


#733 [ザセツポンジュ]
ザワつきのボリュームは
次第にあがって行き、
校長は教頭をステージの上に送り出した。
教頭は校長に言われた通りの
マニュアル的台本を、ジョウの耳元で告げた。

普段は物静かなジョウジロウちゃんも
好きな子を守る
盛大なパーティーの最中、
忠告を聞き入れるわけにはいかない。

ジョウは、教頭の背中を押し
ステージの真ん中へ立たせた。

『今ボクに言った内容を、目の前にいるみんなにも発表してください。』

⏰:08/05/19 17:01 📱:PC 🆔:inGAe7KI


#734 [ザセツポンジュ]
教頭に、マイクを渡した。

『、、、いや、、、あの。』

マイクを持って
突っ立ったまんまの教頭に
生徒からヤジが飛ぶ。

『何言ったんだよ!言えよ!』
『なにやってんだよ、お前コケシか!』

混乱する体育館内と
それ以上に困り果てた、教頭、校長、、、。

教頭はマイクをジョウに渡し、肩に手を置いた。

『やりたいようにやれ。知らないぞ。』

そう言い残し、あまりの恥ずかしさからか
ステージの裏に逃げてしまった。

⏰:08/05/19 17:06 📱:PC 🆔:inGAe7KI


#735 [ザセツポンジュ]
校長がギラリと睨んだ先、
教頭は見えないステージの裏側で
今までにない屈辱を味わい
身震いせざるを得なくなってしまった。

裏方にかまえていた
旧生徒会役員も
この時ばかりは、かける言葉すら無かった。

『教頭が逃げたところで本題に入ります。スクリーンに映し出す資料をみんなで見て行きましょう。あとでみんなにも意見を発表してもらいます。』

⏰:08/05/19 17:16 📱:PC 🆔:inGAe7KI


#736 [ザセツポンジュ]
ジョウはエノシタさんに
資料を渡し、順番に映しすようにお願いした。

エノシタさんは、普段は見せないような
不安な顔でジョウを見つめていた。

何を話せるわけでもなく
ジョウはステージに戻った。

⏰:08/05/23 12:13 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#737 [ザセツポンジュ]
年間、少年少女の自殺が
600件にも達していること、
それを大人達は隠してしまっていること。

いじめをすることによって、
優越感を得る同年代の子達の心理

ネットでの書き込み、中傷が
増え続けている事。

黙って見ている人の立場。


ジョウが説明していくたびに
忠実に資料を映し出して行ったエノシタさん。

ステージの裏でのエノシタさんの様子が
気になって仕方のなかったジョウ、、、。

『暇なんですけど〜。』

ステージで説明するジョウを押しのけ
暇を持て余していた、生徒会長木田トミオが現れた。

トミーの再びの登場に
いちいちザワつく田舎女子。
ジョウはトミーと進行を交代した。

『鈴木くんの資料を見て、だいたい分かったと思いますが、ここで突撃インタビューを開始します。何か意見のある人は手を挙げましょう、、、。もちろん挙がりませんね。では、適当に出席番号を言うので各学年、呼ばれた出席番号の人は立ちましょう。』

新生徒会役員、トミーとジョウをステージに置き
残りの4人がマイクを持ち、体育館に散らばった。

⏰:08/05/23 12:29 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#738 [ザセツポンジュ]
『それでは、出席番号を発表します。男子5番、20番。女子2番18番。今呼ばれた出席番号の人、さっさと起立。』

トミーは、立たされた顔ぶれを眺めた。

そして、質問を開始した。

『1年生、1組の男子5番の子。名前をどうぞ。』


いたって健康そうで、1年生ならではの
ズボンの丈が少し短い男の子だった。

『片岡洋平です。』

名前もいたって当たりさわりなく普通だ。

⏰:08/05/23 14:33 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#739 [ザセツポンジュ]
『片岡君、さっきの資料で、年間600件の自殺が報告されていると言うことだったけども、600件全部がいじめが理由なワケではないと思う。でも死ぬほど嫌になるくらいのことを、片岡君は経験したことがありますか?』

トミーの唐突な質問に
いたって健康そうな片岡君は戸惑っていた。

『、、、ありません。』

『では、塾でもなんでもいい。しんどいな、苦しいなと思ったことはありますか?』

『、、、それは、あります。』

『そこで、そのしんどさをどうまぎらわす事ができましたか?』

『、、、。』

ズボンの丈が少し短い片岡君は
緊張のせいもあり、ガチガチで上のほうを見て考えた。

『僕は、、、。数学が苦手で、よく怒られていて、、、。それが嫌だったけど、友達に打ち明けたら、数学教えてくれるようになって、、、。まだ苦手だけどちょっとは楽になりました。』

⏰:08/05/23 14:59 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


#740 [ザセツポンジュ]
『ありがとうございます。座ってください。』

片岡くんはズボンの丈を気にする事もなく
ホっとした表情で着席した。

『同じく1年1組の男子20番。名前から。』

『福井祐樹です。』

ドラえもんで言うスネオポジションとおぼしき
男の子。

『いじめと言うのは、どこからがいじめと呼ぶのかは難しいかもしれませんが、誰かがいじめをしているのを見た事がありますか?』

『まだありません。』

『では、仲の良い友達に、簡単に言うといじめを誘われたらどうしますか?』

『、、、断ると思います。』

『断ると、思います?』

『、、、断ります。』

『今みんなの前で言ったその言葉を忘れないでください。座ってください。』

⏰:08/05/23 15:13 📱:PC 🆔:2EGMUVP.


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