クソガキジジイと少年」
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#792 [ザセツポンジュ]
ジョウは
ただただ
小夜子ストロベリーが
来るのを待っていた。
『でさ、ジョウジロウちゃんはエノシタさんが好きだもんね。』
『うん、うん。…うん。』
トミーは
ジョウに顔を近づけてまで
わざとらしく驚いていた。
『えぇえ!!!お前、お前“うん”て3回言うほどエノシタさんが好きなの?』
『お待たせしま…』
『え!え!ちーちゃん!ちーちゃん!うちの隣のジョウジロウちゃんがさ!恋をしちゃったんだって!』
『はい、梅昆布茶。トミーも毎日ジョウくんといるんだから、分かっていたんでしょ。からかうのはやめてよね。』
ちーちゃんは
そんじょそこらの
田舎女子中学生とは
違うのだ。
:08/06/03 18:35 :W51CA :zIUGw8LY
#793 [ザセツポンジュ]
『はぁい。もうしませーん。ちーちゃん怒らないで。で、でさ!そんな恋をしちゃった鈴木くんさ!今回の集会、親達も来る参観日だしさ、絶対的にミスは許されないわけよ。』
トミーは熱そうに
梅昆布茶に口をつけた。
『そうだよね。石崎さんのお母さんも山田さんのお母さんもいるだろうしさ。』
ジョウは小夜子ストロベリーをパクっと食べた。
『なぁ…。そうだよなぁ。どんな感じの親なんだろう。あちち…。嫌な感じな親なのかな。』
『う〜ん。嫌な感じなのかなぁ。』
『ツンケンしててさ、ウチの子に限ってそんなことはしてません的な感じだったらコテンパンにやってやろうぜ。例えばサイコクラッシャーとかでな。』
:08/06/03 18:45 :W51CA :zIUGw8LY
#794 [ザセツポンジュ]
『トミー、最近ストファイネタにもっぱらハマってるね。やりたくなるね。』
『おい、お前。早く食え。ほうばれ。今からウチでストリートファイターごっこだ!』
トミーは猫舌にも
関わらず
無理して急いで飲んだ。
『ごっこ?ごっこなの?せめてスーファミにしてよ。』
ジョウもつられて
パクパクと口に入れた。
せっかく甘いのに
もったいないな。と
思ってはいるのだが。
『ごちそうさま!ばいばいちーちゃん!お釣りはちーちゃんにあげる!』
『フグっ。ファイファイヒーヒャン…』
『2人で500円です。トミー、お釣りありがとう。フフ。』
ちーちゃんはトミーが置いたピッタリ500円玉をレジの中にしまった。
こうして2人は木田家へと急いだのだった。
:08/06/03 18:57 :W51CA :zIUGw8LY
#795 [ザセツポンジュ]
『腹立つなぁ、きーさん。ズルいぞそんなちまちましやがって。』
こちらは木田家。
きーさんの部屋で
老人2人は
将棋のコマで
“コマ崩し大会”を
開催していた。
『すーさん。ほれ、早く。コマをうそつき空ちゃんだと思って。』
『ウヒャヒャ。空ちゃんは可愛い子よの〜。デヘヘ、むぅ…どこにするかのう。う〜ん……ん?』
ガシャグシャ。
すーさんは突然
コマの山をぐしゃぐしゃに崩した。
『おい!お前今うそつき空ちゃんと言ったな!言った!絶対に言ったんじゃ!ワシは昨日確実に耳クソを取った!だから聞こえたことは間違いじゃない!クゥオンノ〜!!!』
すーさんは地道に
ひとつずつコマを
投げて
きーさんに当てつけた。
:08/06/03 19:08 :W51CA :zIUGw8LY
#796 [ザセツポンジュ]
『…飛車…ん?…歩兵…歩兵…これはと…歩兵…角行…桂馬…すーさん、すーさん。こんなんじゃ効かんぞ。もっと強い奴を投げつけて来い。』
すーさんは憎しみを込めて
最後にひとコマ投げつけた。
パシン!
『ん?…金…。フハハ。“金”?金たま鈴木。』
すーさんは怒り狂ってきーさんを殴ったが、年のせいか
なぜ、一体なぜ怒り狂っているのかは忘れてしまっていた。
バタバタバタバタ
ガチャ。
『じーちゃんただいま!』
『きーさん、おじゃまします!』
:08/06/03 19:30 :W51CA :zIUGw8LY
#797 [ザセツポンジュ]
少年達2人のご帰宅だ。
『おや!ジョウジロウちゃん!よく来たねぇいらっしゃい。』
バタン。
2人はストリートファイターのために
挨拶もそこそこ
トミーの部屋へと急いだ。
そこですーさんの怒りは
さらにヒートアップした。
『おい、見たか!きーさん!ワシに挨拶もナシじゃ!ジョウジロウのやつめ!ワシにおじゃましますくらい言え!』
『すーさん、ここはワシの家だ。それにジョウジロウちゃんはあんたの孫だよ。』
『いや!もうそんなこたぁどうでもいい!トミオちゃんですらワシに声もかけん!いかん!いかんです!』
『町内みなすーさんと話せば性病になると思っとるんじゃよ。』
きーさんは
将棋のコマを一個一個拾った。
:08/06/03 19:35 :W51CA :zIUGw8LY
#798 [ザセツポンジュ]
『はぁ!!!?なんたる不謹慎!きーさん!トミオちゃんの部屋へ突入じゃ!』
バタン。
すーさんは足の裏に
将棋のコマを
2つ3つ踏んづけたまま
トミーの部屋へ移動した。
きーさんは
片付けもそこそこに
好き勝手やられちゃ
困ると、あとを追いかけた。
:08/06/03 19:39 :W51CA :zIUGw8LY
#799 [ザセツポンジュ]
『ヤァ!ヤァヤァヤァヤァヤァ!ヤヤヤヤヤ!』
『もうトミーったら、チュンリー使ったらひゃくれつキックしかやらないんだもんな!うぅ…』
『ヤヤヤヤヤ!ヤァヤァ』
『いちいち声に出さなくてもいいよ、トミー』
『ヤァヤァヤァヤァヤァ!』
ガチャ!
『ヤァ……ヤァヤァヤァヤァヤァ!!』
トミーは
部屋に入って来たすーさんを2度見して、プレイを続けた。
ジョウは見向きもしなかった。
『ヤァ!じゃないわ、クソガキどもめ!』
すーさんは足の裏に
貼りついた将棋のコマを
2人に思いくそ投げつけてテレビを消した。
『いて!』
『いてて!じーちゃん何してんの?付けてよテレビ!』
:08/06/03 19:46 :W51CA :zIUGw8LY
#800 [ザセツポンジュ]
すーさんは少年達から
コントローラーを取り上げた。
『まずは、ジョウジロウ。きさま、ワシに挨拶もなしにインベーダーゲームか!』
ジョウジロウの胸ぐらをつかみ鼻息を荒くさせた老人。
『違うよ、ストリートファイターだよ。ボクはエドモンド本田。トミーはチュンリー…』
『パキスタン塩田でもトミーフェブラリーでもどっちゃでもいいわい!』
ゴツン。
『うぅ…。やりやがったな木田シゲル…』
理不尽なすーさんは
きーさんからゲンコツをくらった。
きーさんのゲンコツは
痛いのだ。
:08/06/03 20:33 :W51CA :zIUGw8LY
#801 [ザセツポンジュ]
『そんなことより、トミオもジョウジロウちゃんも最近帰りが遅いじゃないか。部活か?』
きーさんの問いかけに
2人とも首を横に振った。
『女か?』
再び首を横に振った。
ゲンコツのダメージから、なんとか起き上がったすーさんは
きーさんにもたれかかった。
『ジョウジロウが女なワケないじゃろ。どうせ古本屋でエロ本の立ち読みでもしとるんじゃよ?このいかれぽんち!変態!』
弱ったすーさんを
平気な顔で再びどつき
きーさんは2人の顔を見た。
『おや?隠しごとかい?』
少年2人は顔を見合わせて笑って首を横に振った。
:08/06/03 20:39 :W51CA :zIUGw8LY
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