クソガキジジイと少年」
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#907 [ザセツポンジュ]
すごい汗かいてて
日付を見たら
7月7日だったんだ。
そりゃ暑いはずだよ。夏だもの。
で、そんな七夕にさ。
トミーが遊びに来て
『カフェに行くからお前も来い、オゴってやるから。っていうか髪伸びすぎだぞ、ロン毛。いつのキムラだよ。』
って。
オレは中学生にオゴってもらうのは
さすがに情けないと思ったよ。
『ボクも出すから行こうよ、にーちゃん。』
トミーの後ろにいた
弟のジョウジロウまで
オレに同情してる。
:08/07/07 00:16 :PC :WBqr7ZlI
#908 [ザセツポンジュ]
ホントに恥ずかしくなったよ。
『行かない。』
当然だけど、こう答えたんだ。
そしたらさ二人して言うんだよ。
『今日は短冊にお願い事を書く日だからカフェに行くんだよ。』
“お願い事”って聞いた時に
同時に“希望”って言う
言葉が頭に浮かんだんだ。
だからカフェに行った。
初めて行ったんだ、そのカフェ。
出来たのは知ってたけど
行く機会がなかった。
:08/07/07 00:17 :PC :WBqr7ZlI
#909 [ザセツポンジュ]
“ERIA CAFE”って看板が出てる。
(エリアカフェ?)
まさか綴り間違えてんのかなと
思ったけど、あえてスルーした。
『いらっしゃいませ。』
中に入った時
鳥肌が立った。
かかる音楽も
テーブルもソファも
チェアーもライトも
全て
きどってないのに
存在感があって、
媚びてなくて
生かされてて、、、。
:08/07/07 00:17 :PC :WBqr7ZlI
#910 [ザセツポンジュ]
素敵だと感じた。
心からそう感じたんだ。
くだらないことで悩んでいる自分が
求めていることは
こういう事なんじゃないかと
熱くなった。
よくは分からないけど
そう思った。
:08/07/07 00:18 :PC :WBqr7ZlI
#911 [ザセツポンジュ]
『今日はね、笹の木が届くんだって。』
ジョウジロウがオレの袖をつかんで
ひっぱる。
『え?木が?』
『そうだよ。その木に短冊をくくりつけて、植えるんだよ。』
『そう言うイベントなの?』
『うん。にーちゃんも書きなよ。』
オレはジョウジロウからペンをもらった。
(何書こう。。。って、オレ、、、もう19なんだけど。)
:08/07/07 00:18 :PC :WBqr7ZlI
#912 [ザセツポンジュ]
ちょっと子供じみてて恥ずかしかったんだけど
横を見るとトミーがなんか楽しそうに
何枚も何枚も短冊書いてんの。
『お前、欲張りすぎじゃないのか、これ。』
『うるせーよ、ひきこもり。』
うぅ。
オレ、すごく傷ついたぞ。
自分が悪いんだけどさ。
:08/07/07 00:18 :PC :WBqr7ZlI
#913 [ザセツポンジュ]
“希望”
書くことに困ったから
カフェに行く前に
ふと頭に浮かんだ言葉を書いた。
そして誰にも見られないように
隠して持った。
よく晴れてて
セミがホンットうるさい。
大きなトラックが
こっちに向かって来る。
笹の木を乗せて。
小さい子供、小学生、
お母さん。
親子がちらほらいて出迎えてる。
:08/07/07 00:19 :PC :WBqr7ZlI
#914 [ザセツポンジュ]
笹の木を植える前に
短冊をくくりつけた。
『なんて書いたんだ?お前、髪切れよ。』
トミーはたくさん書いた
短冊を急いでくくりつけてる。
『いい美容師が見つかりますようにって書いたよ。』
『ハハ!そらそうだ。いい美容師がいないから髪切らないんだよな、シンちゃん。』
それもチクっと来たぞ、オレ。
まあオレが悪いんだけど。
:08/07/07 00:19 :PC :WBqr7ZlI
#915 [ザセツポンジュ]
そしてオレ達は
“七夕の席”と書かれている席に
座って、窓から
木が植えられるのを見ていた。
オレ、来て良かったって思ったんだ。
そして、小夜子ストロベリーと言う
変な名前のデザートを食べて、店を出た。
もちろん、オゴってもらったけど。
クズだよね、オレ。
『あ、先帰ってて。オレ、ちょっと行くとこあった。』
ジョウジロウとトミーを置いて
オレはある場所へ行った。
:08/07/07 00:19 :PC :WBqr7ZlI
#916 [ザセツポンジュ]
何を隠そう。
求人雑誌を取りに行っただけなんだけど。
『やっと働く気になったか、シンイチロっちゃん。』
こういうの、
誰にも見られたくなかったのに。
隣の家のじーさんが
立ってるんだよ。
『いや、、、うん。そう。何してんの?きーさん。』
:08/07/07 00:20 :PC :WBqr7ZlI
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