クソガキジジイと少年」
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#914 [ザセツポンジュ]
笹の木を植える前に
短冊をくくりつけた。

『なんて書いたんだ?お前、髪切れよ。』

トミーはたくさん書いた
短冊を急いでくくりつけてる。

『いい美容師が見つかりますようにって書いたよ。』

『ハハ!そらそうだ。いい美容師がいないから髪切らないんだよな、シンちゃん。』

それもチクっと来たぞ、オレ。
まあオレが悪いんだけど。

⏰:08/07/07 00:19 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#915 [ザセツポンジュ]
そしてオレ達は
“七夕の席”と書かれている席に
座って、窓から
木が植えられるのを見ていた。

オレ、来て良かったって思ったんだ。
そして、小夜子ストロベリーと言う
変な名前のデザートを食べて、店を出た。

もちろん、オゴってもらったけど。
クズだよね、オレ。

『あ、先帰ってて。オレ、ちょっと行くとこあった。』

ジョウジロウとトミーを置いて
オレはある場所へ行った。

⏰:08/07/07 00:19 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#916 [ザセツポンジュ]
何を隠そう。
求人雑誌を取りに行っただけなんだけど。

『やっと働く気になったか、シンイチロっちゃん。』

こういうの、
誰にも見られたくなかったのに。
隣の家のじーさんが
立ってるんだよ。

『いや、、、うん。そう。何してんの?きーさん。』

⏰:08/07/07 00:20 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#917 [ザセツポンジュ]
『亀さんを、もらってね。名前ももう付けてやった。』

きーさんは虫カゴに小さめの亀を入れて
嬉しそうに見せてきた。

『名前なんて言うの?』

『トミー。』

にんまり笑ったきーさんと
夏の風。
夕方の匂い。
空の色。

⏰:08/07/07 00:20 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#918 [ザセツポンジュ]
あぁ、この気持ち
なんて言うんだろう。

何か起こりそうで
ワクワクするような
切なくて胸がキュンとなるような
何でも許せてしまいそうな、、、。

ごちゃ混ぜで
優しい気持ち。

何て呼ぶんだろう。

オレは、きーさんと
ゆっくり歩いて
家に帰った。
説教もされたけど。
きーさんの言い方は嫌じゃない。

⏰:08/07/07 00:20 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#919 [ザセツポンジュ]
『じゃーね、きーさん。』

『たまには出ろよ、家。』

『了解なまこん。』

きーさんはオレに背を向けて
手をふってきた。

それを確認したオレは
自分ちの玄関の扉を開けた。

ウチのじーちゃんは
犬のまさこの散歩の事で
ジョウジロウと何か
話してる。
話してると言うか
意地悪言ってるよ、また。

ふざけた老人だ。
バカだなぁ。

⏰:08/07/07 00:21 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#920 [ザセツポンジュ]
屋根裏部屋に戻ったオレ。
部屋の片付けをしようと
思った矢先、

隣の家から大きな声が聞こえてきた。

『トミー。トミーやぁい、おーい。』

きーさんは、さっきもらった亀に
声をかけてる。
トミーが怒鳴ってる。

⏰:08/07/07 00:21 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#921 [ザセツポンジュ]
ミシンの周りの糸くず、
布の切れ端、
紙くず、ゴミ。
ゴミばっかり。

何着作ったんだろう、服。
結構あるな。
何枚描いたんだろう、絵。
結構あるな。

、、、。
これ全部売ればいいじゃん!

何かしないとダメだよね、オレ。

⏰:08/07/07 00:22 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#922 [ザセツポンジュ]
でも、もっと
今までとは違う新しい
何か、、、。

何か、、、。

何か、、、。



オレの部屋まで届く声、
変な老人、
そして
そのそばにいる少年、、、。

⏰:08/07/07 00:22 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#923 [ザセツポンジュ]
-




『あ、小説書こう。』







昨日までの
自分は一体何だったのか。
だけど、無駄じゃない。
無駄じゃなかったと
思える自分になれる気がする。

希望に満ち溢れた日。
7月7日。





=完=


エンディングテーマ
怪獣のバラード

⏰:08/07/07 00:23 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


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