クソガキジジイと少年」
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#1 [ザセツポンジュ]
オレ、木田トミオ14歳。
で、オレのじぃちゃん。
木田シゲル62歳。

『トミー。トミーやぁい。おーいトミー。』
朝からこんな大声を出すオレんちのじぃちゃん。

とうとうボケたんだ。
…その方がいい。このままボケて、老人ホームへ

人事移動だ。

⏰:06/06/12 01:03 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#2 [ザゼツポンジュ]
格言係からついに降格する時がきたのだ。

よし。今日はいい日だ。
『うるせー。なんだじじい。』
じじいは玄関で水槽を覗き込んでいた。

『お前じゃないんだよ。わしゃこのタートルに話し掛けてるんだ!!っつの。』

『じゃーオレの名前をこんな汚い亀に付けんじゃねぇよ!!』

チッと舌打ちをかましやがった。

⏰:06/06/12 01:08 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#3 [ザゼツポンジュ]
『お前はトミオ。こいつはトミー。お前は日本人。こいつは外国人だ。そしてお前はトミオというちょっとダサい名前に色をつけただけのニックネームだろ。だけどなこいつは…』

『うるせぇな!!なげぇよ!!わかったょ。悪かったよ!!』

⏰:06/06/12 01:11 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#4 [ザゼツポンジュ]
ウチのじぃちゃんは、もっともらしいことを一日一個は言ってくる。

人間はこうあるべきだとか、そんなことはしてはいけないんだとか。

悪いがオレはチャラチャラ生きたい。
女に囲まれ、ワーワーキャーキャー言われていたいのだ。
例え40になろうとも50になろうとも。

⏰:06/06/12 01:14 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#5 [ザゼツポンジュ]
自惚れているわけでは決してないのだが、

オレはモテている。
…そして童貞じゃない。
まさにオレは最強なのだ。
かわいい女が好きだ。
はやりものが大好きだ。
あくまでもランキングにこだわりいち早くトレンドのものを身につけて、さっそうと歩いていたいのだ。

⏰:06/06/12 01:17 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#6 [ザゼツポンジュ]
しかし、じぃちゃんの話を聞いていると、ついつい汚染されそうになる。

オレは型にはまりたくはないのだ。
時には右に曲がり、ちょっと原っぱで一休みし、苺をひとつぶ…そんなのでいいじゃないか。
一本の道をひたすらまっすぐ…なんて、そんな虫のわきそうな事は断じてしたくないのである。

⏰:06/06/12 01:20 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#7 [ザゼツポンジュ]
ひとつ言っておくがウチのじぃちゃんは、しっかりしているワケではないのだ。
変だ。変人だ。
口をすっぱくしていつも言う事がある。
『万引きはしてはいけない。とくに宇野店ではしてはいけない。
ただ、お墓のお供えものならば、盗って食べてもなんら問題はない。そんなに菓子が食いたいんならお墓にいきなさい。なぜなら、誰も食べられないからだ。ただのあまりものだありゃ。わかるか!!?宇野店のババアは人情もある。それに計算もしなくてはならないのだ。人が困る事はしてはいけないんだよ、トミオ』

⏰:06/06/12 01:25 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#8 [ザゼツポンジュ]
宇野店とは、店の番をしだして半世紀以上たつという、90歳をこえたシワクチャのおばぁちゃんがベンチに座っている小学校の裏の駄菓子屋の事だ。
じぃちゃんよりももっと年老いたばあちゃんが、駄菓子を毎日計算している。
オレ達にとっちゃ、万引きの練習場だった。
            でも、じぃちゃんがそう言うからオレは手を引いた。
それと、ウチの隣にもう一人、変なじいさんが住んでいる…

⏰:06/06/12 01:31 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#9 [ザゼツポンジュ]
『ジョウジロウ、ワシはみーちゃんが好きなんだが、みーちゃんには彼氏がいるんだ。ロックな奴らしい。要は変人だ。ワシは苦しいよ。』

ボクの名前は鈴木ジョウジロウ、14歳。
そして女好きのボクのじぃちゃんの名前は、鈴木ひとし62歳。
『じゃあじーちゃんもロックになればいいじゃない!!?』
じぃちゃんがプチ失恋をする度に、ボクはプチ慰めと称し一言で慰めた。

⏰:06/06/12 01:46 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#10 [ザゼツポンジュ]
ボクんちにお父さんはいない。
結構ちっちゃい時どっか行って今だ帰ってきていない。
もう絶対帰ってこないのは、ボクも14歳にもなれば察しがつくのだけれど。
ばーちゃんはとっくの昔に死んだんだけど、じーちゃんの、このデレデレした態度がばあちゃんを苦しめていたのではないかと、ボクは今でも疑問に思う。
じーちゃんはこの世のメスというメスが大好きだ。
ボクはじーちゃんっこでじーちゃんは好きだ。

ただ、完全に一つ言えるのはじーちゃんのようには決してなりたくない。

⏰:06/06/12 01:51 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#11 [ザゼツポンジュ]
『まさこの散歩、今日誰が当番だ!!?』
まさことは、3年前から飼いだしたウチんちの犬。
名前はじーちゃんが決めた。もちろんじーちゃんが拾ってきた。
その当時、一目惚れした女の子の名前だ。
『ぁ、ボクだ。じーちゃんも一緒に行くか!!?』

⏰:06/06/12 01:55 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#12 [ザゼツポンジュ]
『いや、いい。ワシは童貞とは歩きたくない。悪いなジョウジロウ。いつ何時もレディーを誉め、優しくするのだよ。まさこを頼んだ。ぉぃ、一言めは今日もかわいいなと言ってから連れ出すんだ。デートだと思え。わかったな!!?よし、行け。』

確かにボクは14歳、童貞だ。
だかしかし、まさこはオスだ。

⏰:06/06/12 01:59 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#13 [ザゼツポンジュ]
ボクもお母さんもこの事実については、墓場まで持って行くつもりだ。
まさこがオスだと知れば、じーちゃんは綱をちょんぎってしまうかもしれない。
隣に住んでいる、じーちゃんの同級生のきーさんと言う人と大の仲良しだ。
ボクはきーさんの孫のトミーと同級生。昔からよく遊んでる

⏰:06/06/12 02:04 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#14 [ザゼツポンジュ]
木田シゲル、鈴木ひとし。共に62歳。
きーさんとすーさん。
同級生であり仲良しだ。
そしてうっとうしいことに家が隣である。

だがすーさん宅を2年前、新築に改装をしたため、きーさんは少しヤキモチを妬いているのだ。
そして今だちょっと根に持っていることがある。

⏰:06/06/12 02:08 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#15 [ザゼツポンジュ]
すーさんは2年前のエイプリルフール4月1日、
きーさんに、こんな話を淋しそうにしたのだ。
『ワシには金もない。そして最近風呂で数を数えるといつも4つ目でつまづいてしまう…なんとも不吉なんだ。だからこの家を壊してワシはさくらんぼホームというかわいい名前の、シワクチャばぁさんが、わんさかのたうちまわる老人ホームへと……なぁ、きーさん。またいつの日かイタズラを一緒に考えられる日が来たならば…なぁきーさん。だまっていてごめんよ…』
『すーさん…すーさん』

⏰:06/06/12 02:14 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#16 [ザゼツポンジュ]
きーさんは涙した。
エイプリルフールだという事に気付かないまま

涙した。

すーさんは姿をくらました。
そしてすぐすーさんちは取り壊されていった。
隣の家がガシャンガシャンと音がする度
きーさんは胸を痛め
涙した。
2階のきーさんの部屋で、当時12歳の孫のトミオとあとかたもなくなったすーさんの家を見ながら、きーさんは半世紀分の思い出をトミオに語った…

⏰:06/06/12 02:19 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#17 [ザゼツポンジュ]
どっちがくしゃみを早く出せるかティッシュを細く丸めて鼻をつつき、競争した話。
わざと遠くへ行き、知らない道をさまよい、カンだけを頼りに家へ帰るという無駄な冒険をしていた話。
すーさんが好きだった女達の数のほんの少しだけではあるが50人分の話。
きーさんとすーさんが二人で川原で遊んでいるところを写真で撮られ、
“ここでは遊ばない”という注意事項のモデルにされていた話

⏰:06/06/12 02:26 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#18 [ザゼツポンジュ]
そんなこんなで5時間もしゃべり続けているうちに、またもや
涙した。
『なぁジジイ。すーさん帰ってくるんだぜ。』
すーさんとの思い出話は3分の1も聞き入れてはいないが、トミーは平然として、一言、言い放った。
『どこにだ、なぜだ。』
問い掛けたその時

⏰:06/06/12 02:35 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#19 [ザゼツポンジュ]
『トミー!!あそぼー!!』

(は!!すーさんの孫だ。ジョウジロウだ。どうしたんだ、なぜだ!!……すーさんカムバックなのか!!?そうなのか!!?いやちがう…お別れを言いにきたのだ、そうだ。)
『やぁ、きーさん生きていたのかい!!?』
ジョウは曇り一つ浮かべない晴れ晴れとした表情できーさんの目の前に現われた。
『ジョウジロウちゃん…ワシは辛くてたまらんよ。』
また、そしてまたきーさんはみっともなく
涙した。

⏰:06/06/12 02:40 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#20 [ザゼツポンジュ]
『そんなにボクんちが新しくなるのが嫌なのかい??』

『はて?ジョウジロウちゃん。ワシはボケたのかもしれんな。耳かきを持ってこないか今すぐ』

トミーもジョウもニンマリ笑った。
『すーさんはエイプリルフールにウソをついたんだよハハハハハ。』

⏰:06/06/12 02:44 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#21 [ザゼツポンジュ]
きーさんはついに気付いた。流した涙が実に無駄だったということを。
『ワシは女が好きなんじゃ!!ばーさんに内緒で、かわいこちゃんと接吻してしまった日付なら忘れもしない!!だがな!!60にもなったジジイから聞いた話の日付けまで覚えてられると思うか!!エイプリルフールにウソをつく奴ぁ、本日から刑務所行きじゃ!!
お前達!!そんな事で笑っているヒマがあるんなら二つ上のねーちゃんの乳でも揉んできてみろ!!わかったか!!』

ゴツン。

きーさんのゲンコツは痛いのだ。

⏰:06/06/12 02:50 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#22 [ザゼツポンジュ]
きーさんの孫はトミー。
すーさんの孫はジョー。

きーさんは何かと格言好きだ。すーさんは何かと流されやすく、影響されやすい。60過ぎてもミーハーだ。旬な女の要チェックはかかさない。
一方孫達はこの二人のジジイに振り回される毎日を送っており、ドリルどころではない。
そして普通の14歳ではいられなくなるのだ。

⏰:06/06/12 02:55 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#23 [ザゼツポンジュ]
クソガキジジイ二人とマセ気味少年二人の。
そしていきつけのこじゃれたカフェで、物語は色を濃くする。
少年のようなじーさんと、少し大人びた中学2年生。
プラマイはゼロだ。

え?私は誰かって!!?
後で分かりますよ。

⏰:06/06/12 02:59 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#24 [ザゼツポンジュ]
ここ1年くらい前にオープンしたカフェ。
最初に見つけたのはすーさんだ。かわいい女の子を探索中、カフェの前で小黒板にメニューを書いている小さくて真っ白のかわいいかわいい女の子を見つけたのだ。
そしてすーさんはその子を見つけたその日から、きーさんを連れてこのカフェへ通うようになった。
もうすぐ一年になる。

⏰:06/06/12 03:03 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#25 [ザゼツポンジュ]
『小夜子ストロベリーをふたつ』
きーさんは、ここの小夜子ストロベリーが大好物だ。
コップいっぱいにただでさえ甘い苺を潰し砂糖をたっぷり過ぎるほど混ぜた、糖尿病なら即死亡の甘い甘いデザート。
すーさんは無理矢理この甘い小夜子ストロベリーに付き合わされている。
『甘いなぁ。ワシはこんなにも甘い恋心を抱いた事が一体何度あっただろうか…』
きーさんは毎回必ずこのセリフを吐くのだ。

⏰:06/06/12 03:08 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#26 [我輩は匿名である]
おもろい

⏰:06/06/12 03:11 📱:D702i 🆔:XtEPLd5I


#27 [ザゼツポンジュ]
基本的にはアメリカンテイストだが、ガチャガチャしているわけではなく建物は木材の優しい感じで出来ていてカントリー風だ。証明はオレンジの小さな証明がいくつもやんわりと包む。
60年代の懐かしい洋楽が流れ時間をゆっくり刻む魔法をスピーカーからふきかけている。

オープン朝の7時ピッタリにつけば、きーさんとすーさんは貸し切り状態で小一時間ゆっくりすることができた。

⏰:06/06/12 03:32 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#28 [ザゼツポンジュ]
席は10席弱で、カウンターもあり、広いわけではないが決してこじんまりとしているわけでもない、ちょうどいい広さで、このカフェには道路に面した窓際の席一つだけになぜか“七夕”と刻まれいた。
きーさんとすーさんはこの七夕の席に必ず座った。
すーさんは行き交う女子中学生を犯罪者並みにジロジロ観察し、きーさんはゆっくり甘い小夜子を口に運び、時折雑談を楽しむという老人らしくない朝を共にしていた。

⏰:06/06/12 03:40 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#29 [ザゼツポンジュ]
そしてこの席には、黄色いノートが置かれてある。
夕方には密集する若いギャル達がこのノートにプリクラを貼りまくっていた。
きーさん達はこのノートを開いた事はない。
かたや窓の外に夢中になり、かたや甘い苺に身を委ね、ノートの存在なんぞ気にも止めていなかったのだ。

⏰:06/06/12 03:45 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#30 [ザゼツポンジュ]
このカフェの名前は
AREA CAFE
#7791
(エリアカフェ ナンバーナナナナキュウイチ)きーさん達は
『略して、ななくいー』
別に対した略にもなってはいないが数字しか読めないためか、こう呼んだ。

この7791カフェは必ず朝は変なジジイ二人で貸し切りになる。

⏰:06/06/12 03:53 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#31 [ザゼツポンジュ]
『トミオ。お前はどんな女がいいんだ。』
きーさんはすーさんとの作戦会議に使う糸電話を制作していた。
『オレー?やっぱ見た目のいい奴がいいよな。オレクラスになるとな。』
トミーは宿題の数学の問題集を解いていた。
『トミオは、下の下クラスに降格した。たった今。』トミーはシャープペンシルを置いた。そしてハサミに持ちかえコップとコップの間にピンと張ったタコ糸をチョキンと切った。
『なぜだ。なぜそんなに下のクラスなんだ。』
ゴツン。
きーさんのゲンコツは痛い。

⏰:06/06/12 04:02 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#32 [ザゼツポンジュ]
『まず、お前は今、一所懸命数学と戦っている。そこがダメだ。パラパラ漫画で数学ができないことを挽回する度胸がないということだ。あらーん、やだーん。トミオくんのパラパラ漫画何ておもしろいんでしょー。先生好きよーこうゆーのー。合格くらい言わせてみろ。あの女はすーさんいわく年下好きだ。すーさんが言うんだから間違いはないぞ。』        きーさんは、また糸電話を作り直す準備に取り掛かった。

⏰:06/06/12 04:07 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#33 [ザゼツポンジュ]
『ジジイ。質問と答えと全然関係ねぇじゃんかよ。』とりあえずトミーはシャーペンを置いた。
『おぉ。間違えた。種目を間違えたようなもんだ。とみお、よく聞け。女は顔ではない。セックスも大切だが気が合うかどうかだ。ぺっぴんの上にはべっぴんがいる。お前は嫌でも街を歩く。そうすればまし今可愛い彼女を連れていたとしてもだ。そいつよりもかわいい人をお前は見てしまうだろう。』

⏰:06/06/12 04:14 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#34 [ザゼツポンジュ]
きーさんはメジャーを使い隣のすーさんの部屋まで何センチか計っている。そしてきーさんは再び女に対しての持論を話しだした
『見かけを求めるなんざ、くだらないことだ。かわいい女とセックスをした。そして性病になった。そんなオチだ。ちょっとした女がかわいいかわいいとちやほやされてみろ。ただのサセ子。もしくは自分を鏡で見て酔い痴れるだけのクズに過ぎない。』

⏰:06/06/12 04:21 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#35 [ザゼツポンジュ]
『努力をして何かを掴み取ろうとしている女を見極めろ。そこいらの女とは違うぞ。そんな女がいいぞ。でないとお前すーさんみたいなロクでもないジジイになるぞ。それでもいいのか!!?え!!?』
トミーは指先でシャーペンを回し珍しくきーさんの話を聞いていた。
『でもオレすーさんの観察力見習いたいよ。』
『頼むがワシより先に死んでくれ。トミオちゃんはカスだ。いいかお前考え直せ。よく聞けよ。』

⏰:06/06/12 04:26 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#36 [ザゼツポンジュ]
『顔だけちょっといい奴なんていっくらでもいるんだ。だがホントに自分を理解してくれて、お前もそれと同じくらい相手を理解しようとし、どっちかがかたよっていてもダメでっていうな、そんな貴重な恋愛をしてほしいんだよ。すーさんみたいにデレデレキャバクラに金を落としているようじゃいかんぞ。』

⏰:06/06/12 04:30 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#37 [ザゼツポンジュ]
『ワシだってそりゃあピチピチのおねぇちゃんは好きだ。だがしかし現実62にもなったジジイに本気になるか!!?ただの軽いひとときの遊びと割り切っている。すーさんみたいにワシは馬鹿ではないのだ。勉強ばかりができる子がいいのではないぞ。奴らは人間を数字で見ているからな。敵だ。かといって鏡ばかりを見ているような女もダメだ。』

⏰:06/06/12 04:34 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#38 [ザゼツポンジュ]
『そんな女は気持ちが悪い。ワシはどうも苦手だ。勉強はガツガツできなくていい。最低限できればいい。優しい気持ちをいつも持ち、悔しさでも努力に変えるしまえるチカラがある、そんな子がワシはタイプです。……ワシの好き嫌いはどうでもいいが、トミオちゃん、どーだ。』
トミーは問題集に向かっていた。
『とりあえず話がなっげーんだよ。』
『お、パラパラ漫画を書く気になったのか!!』
『今女の話してたんじゃねーのかよ、ぼけ!!』

⏰:06/06/12 04:41 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#39 [ザゼツポンジュ]
糸電話とは、二つの紙コップの間に糸をピンと張ればいいだけの事である。
『よーし、すーさんとのトランシーバー完成。おーい、すーさん生きてるかー。』
窓から顔を出しきーさんは隣のすーさんを呼んだ。
が、すでにすーさんは、つったっていたのだ。
『ロクデナシのモテない死にかけジジイで何が悪い、きーさん。』
別にそこまでは言ってないが心のなかで思っているのは確かだろう。
『ふぉっふぉっふぉっ。プライバシーのかけらもないのうこの街は。』

⏰:06/06/12 04:46 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#40 [ザゼツポンジュ]
━━━夕方電話が鳴った。
電話をとったのは木田家の悪党、シゲル62歳。
通称きーさん。
『はーい、もしもし。』
『あ、あの。』
若い女だった。
(こないだすーさんと行ったキャバクラのねーちゃんか!!?)
『あ、もしかしてキララちゃーん?』
ちょっと体をくねらしたきーさん。この間チラシの裏に書いた、家の電話番号をキャバ嬢に渡した。
『…いえ、ちがいます。』テンションは急降下。不機嫌は絶好調。勝手にキャバクラの女だと思った自分が恥ずかしくてたまらない。そんな木田シゲル62歳。

⏰:06/06/12 04:57 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#41 [ザゼツポンジュ]
『誰だ!!こんな時間に!!名を名乗らんか!!』
夕方の6時半です
『すいません、えのしたと申しますが、ジョウジロウくんいらっしゃいますでしょうか!!?』
『はぁ!!?ウチは木……』 
はっっ!!!!ピンっっ!!
きーさんのテンションは急上昇。頭の回転のレベルは上がった。

⏰:06/06/12 05:01 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#42 [ザゼツポンジュ]
『木ー…のうからジョウジロウは行方不明でしてね。』
『…あの、今日学校で見ましたが。』
『ちょっとしたジョークです。お嬢さん、ウチのジョウジロウに何かご用でも!!?今はちょっと犬の散歩へ行っているのだけれどもね、ちなみに犬の名前はまさこと行って、すーさん……すーさ…数三年前くらいに好きだった女の名前でさて』

⏰:06/06/12 05:11 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#43 [ザゼツポンジュ]
『???ぃや、いないならいいんです』
『よくないわ!!!!えのしたさんジョウジロウに用事ならメルアドを教えなさい。メールするように伝えておくから。』
『は、はい。じゃあ言います。ディー、イー…』
『やや!!?イージー!!?』
『ディー、イー…』
『ジー、ジー!!?誰がシジイじゃ
『…デー』
『でー?あ、デーね、デー…っと。で!!?』
メルアドを聞き出すのに20分もついやした。マセていても62である。

⏰:06/06/12 05:25 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#44 [ザゼツポンジュ]
『そいで、えのしたさん、ジョウジロウが好きなのかい!!?』
『い、いや、あの、いえ、や、ち』
『ぅぁーー、いーんだよ、みなまで言うんでない。検討を祈っているよ。アディオス!!!!』
ガチャン。

さも自分が14、5の少年かのように急いで二階へ駆け上がった木田シゲル62歳。

⏰:06/06/12 05:30 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#45 [ザゼツポンジュ]
『すーーさん!!すーさん。いいネタだーーーっと。おーっといけない。』
シー。何のために、糸電話を作ったんだきーさん。
ひょっこり顔をだしたすーさんに、口パクで糸電話使用を要求。
ウインクのできないすーさんは両目をつぶり、OKサイン

⏰:06/06/12 05:33 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#46 [ザゼツポンジュ]
窓をある程度閉め、ピンと糸を張り、きーさんは紙コップを口にあてる。すーさんは耳にあてる。
『今さっき、えのしたと言う女から電話がかかってきた。』
『どこの店の女だ!!?』
すーさんは、耳にあてたまましゃべっている。
『そしておたくのジョウジロウへの用事だが、間違えてウチへかけてきた。』
『なにを!!?中にの分際でキャバクラデビューとは、なんったる事だウチの孫は!!!!』
まだ耳にあてっぱなしだ。
このじいさんら二人は糸電話のしくみを把握できてはいない。
『ジョウジロウが童貞を捨てるチャンスだがそうさせられん。もっとこの状況をハプニングと化してサプライズにするんだすーさん。』

⏰:06/06/12 05:41 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#47 [ザゼツポンジュ]
『絶っっっ対だめだ!!あのジョウジロウがなぜ、おねーちゃんからアプローチを受けるんだ!!二重だからか!!は!!もしや、ジョウジロウの奴、営業されかけているんでは…いかんいかん。中2で借金は背負わせられん、ダメだダメだ。ぃゃ…キャバクラのねーちゃんとは言えど、ひとりの女だ。若い男が好きな女もいるだろう。ジョウジロウの奴め…いつの間に酒なんぞくらうようになったんだ。』
混乱しまくるすーさんを誰も止められない。

⏰:06/06/12 05:47 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#48 [ザゼツポンジュ]
『じーちゃんどうしたの?』
ジョウが犬の散歩から帰ってくるやいなや、わけのわからぬ独り言をしゃべっている祖父が心配になる。
『わ、わっっ!!ジョウジロウ!!どこまでできそけないなんだ!!この童貞野郎!!じーちゃんを脅かして何が楽しいんじゃ。下に迎えが来るところだったぞ、そこそこいい車で死神が、馬鹿たれ!!脅かすんじゃない!!』すーさんは糸電話どころではなくなり驚きついでに階段を降り、隣の木田家へと10歩ほど歩いた。

⏰:06/06/12 05:53 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#49 [ザゼツポンジュ]
『おじゃまします。』
小さく挨拶をし、きーさんさんの部屋、2階へと上がる。
『それでワシの考えた作戦はな、すーさんよ…』
『きーさん!!』
『ぎゃっっ!!』
きーさんは窓の向こうにすーさんの姿があると思い、紙コップからボイスを送っていたのである。
『すす、すーさん!!そのときすーさんは!!!!デ、デ、デデデ、デデデデン!!霊体離脱してウチを尋ねてきたーー!!』
きーさんはあわてふためく。なんと言っても62だ。反応もにぶくなれば理解するのにも時間がかかる。

⏰:06/06/12 06:01 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#50 [ザゼツポンジュ]
『きーさん、きーさん。おじゃましますはちゃんと言ったよ。小さい声で言ってしまったのはワシが悪かった。で、どこの店の女なんだ。ジョウジロウにホの字女は。』
『……まぁ一服しようじゃないか友よ。すーさん。あんた人話をまるで聞いてないようだがワシの方に原因があるかもわからない。耳かきを持ってこないか、ココへ。』
これでも、糸でんわをしたがるジジイ二人である。

⏰:06/06/12 06:08 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


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