クソガキジジイと少年」
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#51 [ザゼツポンジュ]
作戦会議のため、#7791カフェに行こうとしたが夕方にもなれば若者がわんさかくる。すーさんは若ければ何でもいいのだがきーさんは目の周りが真っ黒な女は嫌いだ。
すーさんは短いスカートを拝みたいのだが、きーさんはその隙間から見えるシミ付きの小便くさそうなパンツに吐き気すら覚える。

したがって、本日の作戦会議は
おでん屋『隊長』

ジジイは二人は15分散歩がてら海へ向かって歩き隊長を目指す。
『ジジイ二人がおでん屋なんて、ありきたりな展開だなすーさん』

⏰:06/06/12 06:14 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#52 [ザゼツポンジュ]
きーさんは自分が62だと言うことからできるだけ逃げたい。
『キャバクラ行く金もないしなぁ…』
すーさんはとにもかくにも、おねーちゃん、おねーちゃんで頭がもぉいっぱいいっぱいだ。
到着し、芋焼酎をひっかけながら作戦会議は始まった。

⏰:06/06/12 06:17 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#53 [ザゼツポンジュ]
『きーさん、すーさん。久しぶりだじょ。』
おでん屋隊長の店主、さとし。36歳。人妻と不倫中。ロクデナシ。顔は、ベビースターラーメンの表紙に似ている。
『さとしちゃんは、じょーじょー、口癖がうっとうしいじょ!!ワシもすーさんも帰ったらさとしちゃんの悪口で3時間は持つぜ。』
さとしは“酔うと赤ちゃん口調になる気色の悪い36歳”でこの街じゃ有名だ。そして誰も飲んでいいと言ってもないのに勝手に酒をくらいだすとんでもない奴なのだ。

⏰:06/06/12 06:22 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#54 [ザゼツポンジュ]
『なぁ、きーさん。早く説明してくれよ。ワシはどこのオナゴか気になって仕方がないよ。場合によっちゃいったん、ジョウジロウの首を絞めに帰る覚悟までできてるんだ。早く言ってくれよ。』
きーさんは芋焼酎を一口、ちくわをひとかじり、
『すーさん。さくらんぼホームへ行った方がいいんではないのかね。苦労してきた女達がいて価値があるぞ。キャバクラの女より、もっと立派だ。』

⏰:06/06/12 06:26 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#55 [ザゼツポンジュ]
すーさんは猫舌のため、冷めるまでおでんは食べられない。
『早く言えよ、ワシのこの胸の苦しみがきーさんにわからないのかい…』
『すーさん、えのしたさんは中学生だ。』
『ちゅ、中ーー学生が飲み屋で働いていいのかね、だめだきーさん。摘発しよう。今日の作戦は摘発の仕方だな。』
『…摘発なら電話一本だ、すーさん。とにかくキャバクラから離れてくれ。えのしたさんは、キャバ嬢ではない。ただの中学生の女子なんだよ。』

⏰:06/06/12 06:32 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#56 [ザゼツポンジュ]
きーさんは、これまでの事情をいちからすみまで説明した。そしてやっとすーさんから理解を得た。
糸電話の障害について、責めもしないこの二人は実にナイスガイだ。
きーさんの、勝手な推理はこうだ。
推定、中3女子えのしたさんは、ひとつ後輩のジョウジロウの二重まぶたに恋をする。だがなにをどう間違えたのか隣の家へかけてきてしまったのだ。そして、きっと告白するつもりが、きーさんの手によってハプニングが途中注入されてさまう…と、まぁこういう話だ。

⏰:06/06/12 06:41 📱:P701iD 🆔:WgVI3NcA


#57 [りな]
ぉもしろぃ
ゥチきーさん派(´`)

⏰:06/06/12 22:24 📱:P901i 🆔:97ucB5bw


#58 [Й]
コレ面白すぎだよ(ノ;)ノ
更新_ガンバってネ

⏰:06/06/12 23:26 📱:SH900i 🆔:.NJ.O/Vg


#59 [ザゼツポンジュ]
ぁ、ありがとぉござぃます、あせった!!すぃません…


きーさんは、えのしたさんのメルアドまでゲットしている。

20分もかけて、だ。

とりあえずメールをしれーっと送ることにした。
さとしちゃんの手を少しばかり借りてメールの送信に辿り着いた。


えのしたさん。ジョウです★電話くれたみたいなんだけどぉ、まさこの散歩させられててー。超ダルカタヨ。えのしたさん何してんの!!?メールちょうだいね☆彡

⏰:06/06/13 01:11 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#60 [ザゼツポンジュ]
誰の携帯からかって!!?
他でもない、木田家の悪党が最近購入した老人用の携帯電話だ。

ピルピルピル
えのしたさんからの返信はほんの数分でやってきた。

あの、いきなりなんだけど、ジョウくんてトミーと仲いいんだよね!!?


きーさんとすーさんは顔を見合わせた。
『よい、きーさん。えのしたさんはお宅のトミオちゃんが好きなんじゃないのかね!!?』
『……あぁ。ジョウジロウに仲を取り持ってもらおうって言うコンタンなのか!!?この女とんでもない性悪だな。ロクデナシだ。こらしめてやらないかん。』
『そーだな、させこださせこ。よーしよし。』
そして二人の老人は、熱く燃え上がりいたずらを考えに考えぬいた。

⏰:06/06/13 01:22 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#61 [ザゼツポンジュ]
メールのやりとりはこうだ。
きーさん(ジョウ)
『仲良いよー。どうしたの!!?』

えのした
『トミーって彼女いるのかな!!?』

きーさん(ジョウ)
『いやぁわかんないな、今は。でもだいたいいつもいるけど。』                   えのした
『そうだよね…わかったありがとう☆彡』

きーさん(ジョウ)
『ちょっと待ってよ、トミーが好きなら協力するよ!!えのしたさん頑張ろおよ!!大丈夫だよ!!』

えのした
『えっっ(*_*)じゃあ…お願いしようかな…』

きーさん(ジョウ)
『うん、うん、うんその方がいいよ。あとはまかせてね。おやすみ。またメールするよ』

⏰:06/06/13 01:34 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#62 [ザゼツポンジュ]
さとしはすでによっぱらっていた。
『ボク、いい気分でちゅーフフフ。やーん。』
もう夜の九時半をまわっていた。
『きーさん、さとしちゃんがこんなうちに家へ帰ろう。最悪ツケになるが今日は食い逃げだ。』
そっからの行動は速い。
小便に行きたかったきーさんも、我慢し、店の外へ出て、男の特権立ちションを暗やみの中でかますのだ。

⏰:06/06/13 01:42 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#63 [ザゼツポンジュ]
『すーさん、明日えのしたさんが、どんないでたちなのか、ちょいと朝偵察に行こう。』
ホロ酔いのジジイ二人はいい気分でヨタヨタ歩き帰っていた。
『おぉ、いーねぇ。女子中学生をたくさん見れるのか』
『しかし、なんたることだ、えのしため。すーさん、ジョウジロウにはくれぐれも、しーだぞ。』
『ぅぁーん、わかってるわかってる。きーさん風呂は入ってから寝ろよ。明日若い女のところへ行くんだ。わかったな。』
『了解なまこん』

⏰:06/06/13 01:51 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#64 [ザゼツポンジュ]
了解なまこんとは、きーさんが14歳の時に思いついたセリフだが、半世紀たった今でもはやる気配がまるでない。だがきーさんは流行語を生み出したんだと今だに思い、今だに言い続けているのだ。
『すーさん、この稲を刈った後のたんぼの匂いというのは実にいいな。秋がやってきたのだよ。』
九月も中旬に入り、きーさん達が暮らす田舎町は稲刈りシーズンだった。
きーさんは季節を肌で感じ楽しむなかなか古風な人なのである。
すーさんは、女さえいれば春だろうが夏だろうが氷河期に入ろうがどーだっていい。

⏰:06/06/13 01:55 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#65 [ザゼツポンジュ]
きーさんは家へ帰るなり、トミーの部屋へと向かった。
トミーの部屋のドアノブをクルっとまわし顔半分だけお邪魔した。
『トミオ入っていいか…』トミーはパラパラ漫画をつくっていた。
『入る前に聞け、なんだクソジジイ』
きーさんは座りとりあえずたばこに火をつけた。
『灰皿を出さないか!!ゲストがこうして来ているんだぞ』
『何様なんだよ!!用事を言え!!』
町内会でもらったきーさん用の灰皿をしぶしぶ出してあげたトミー。

⏰:06/06/13 02:02 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#66 [ザゼツポンジュ]
『えのしたって女知ってるか?』
トミーはそくざにこう答えた。
『ブスだ。』
『ほぅ。3文字で片付けたな。えのしたさんは処女か!!?』
『処女じゃないとしたら近親相姦としか考えられない。』 
『お前は物凄いことを口にする14歳だな。ところでそのえのしたさんがなんっっでもするから付き合ってくれと言われたら、トミオよどうする。』
『オレに触らず金だけくれるっつーんなら考えてやってもいいぜ。つーかお前なんであんなブス知ってんだよ』

⏰:06/06/13 02:08 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#67 [ザゼツポンジュ]
『お!!?……最近なスーパーで、うっかり小銭をばらまいてしまった時拾ってくれたんだよ。名札にえのしたと書いていた。』
きーさんは平気でウソをつく大物ゲストだ。
『は!!?じーちゃんはそんな事であのブスを気に入ったのか!!?』
きーさんは蚊取線香の匂いが大好きだ。夏も終わりそうだが夏の名残を惜しむようにそっと火を付けた。
『トミオ、えのしたさんは中3か!!?』
『ああ。』
きーさんは心の中でッッッシャ!!と叫んだ自分の推理が当たったのだ。

⏰:06/06/13 02:14 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#68 [ザゼツポンジュ]
『ワシは、えのしたさんを知らなかった。はたまたえのしたさんもワシの事は知らない。トミオの事は知っている。だがワシは名札なんぞつけてはいないのだ。ワシがトミオのじーちゃんである事は、えのしたさんは知らないワケだ。それでも親切に小銭を拾ってくれたのだ。いい子ではないか。』
『…まぁな。』
……架空の話だがな。
『で、トミオはえのしたさんと話した事があるのか!!?』
シャーペンを回しながらトミーは考えた。

⏰:06/06/13 02:22 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#69 [ザゼツポンジュ]
『……新学期早々の話なんだけど、理科の教室で、あのブスがノート置き忘れてたんだよ。たまたまオレ、えのしたさんと同じ席だったんだ。で、届けに行ったんだよ3年のクラスまで。オレさぁ、そこでミスを犯したんだ。3年に榎下(エノモト)さんてゆうかわいい子がいるんだけど、ブスな榎下(エノシタ)さんと、かわいい榎下(エノモト)さん漢字が一緒だから、オレえのもとさんの方だと思ったんだよ。』

⏰:06/06/13 02:28 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#70 [ザゼツポンジュ]
『それで、気分ウキウキでノート渡しに行ったらさ、かわいいえのもとさんに、ぁ、これ、えのしたさんのよ。あたしが渡しとくねぇなんて言われちゃてさ、発展なしだよ。親切したのに損したよ。しかもオレそのノートの最後のページに相合傘書いてオレ、オマエなんて書いちゃっててさぁ。』
きーさんは孫を二度見した。
『…お前気持ち悪がられているんじゃないのか…そんなこそくな手が現代的にはマルなのか!!?』
『まぁとりあえず、相合傘書いたくらいで話したことは一度もないよ。』

⏰:06/06/13 02:35 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#71 [ザゼツポンジュ]
トミオの話を聞き納得した。
(エノモトさんという奴はトミオがノートの忘れものを渡しに来てくれたとエノシタさんに伝えた。そうしてエノシタさんはだいぶたってノートを使い終わろうとした時、最後のページにトミオからの勘違いメッセージに気付いて恋をしてしまった…馬鹿な女だ。)

⏰:06/06/13 02:44 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#72 [ザゼツポンジュ]
きーさんはすーさんと糸電話をしようと思ったのだが、やめた。すーさんが伊勢崎ブルースを歌う声が聞こえて来る。長風呂中だろう。
『♪テレッテ、テレレレッテレンッッ、あっは〜ん…テレッテ、テレレレッテレン!!うふーん…あなたしぃってるぅ…てれって…』

やっっかましい!!

⏰:06/06/13 02:45 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#73 [ザゼツポンジュ]
━━朝6時15分。じーさんは早起きなのだ。
『実にいい朝だなきーさん。大雨だ。』
15歩程度しか歩かないにもかかわらず、嫌味にもすーさんはカッパを装着し、きーさん宅へ現われたのだ。一見準備のいいように見えるが雨に濡れたくないというすーさんのせいいっぱいの反抗である。

⏰:06/06/13 03:16 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#74 [ザゼツポンジュ]
『…すーさん、大雨だからと言ってやめにしようというのはワシはあまり好きではないのだよ。嫌な事があったらすぐ様諦めるようなのは好きじゃない。わかるか!!?すーさんは可愛いモロタイプの女が、たまたまおしっこを漏らしたからと言ってあきらめるのか!!?』
『…むしろ大歓迎だ。』

⏰:06/06/13 03:21 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#75 [ザゼツポンジュ]
『まぁすーさんの変な趣味はどうでもいいし朝からはキツイものがあるが、なぁ、考えてみろ。雨の方が身も隠れる。晴天の場合ワシらのシャツすら透けてしまうくらい丸見え、いや、まる見せになる可能性だってあるんだ。この雨に感謝しよう。望遠鏡を持って出掛けようじゃないか、すーさん』
すーさんは肩を落としため息をつき半分泣きかけた。

⏰:06/06/13 03:26 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#76 [ザゼツポンジュ]
雨がこの町一嫌いなのだ。理由はすーさんが若かった頃のある日ドシャブリで道すらわからなくなる始末だった。その日すーさんは大好きな鞠(まり)ちゃんと言う子に男女交際を申し込もうと、とある喫茶店で待ち合わせをしていた。
すーさんはずぶぬれになり、好きな女のために必死をこいて喫茶店へ行ったのだ。
が、鞠ちゃんはすーさんの姿にどん引きし、以来口も聞いてくれないようになったのだ。
という、理由があり雨の日がとにかく嫌いなのだ

大雨の日

⏰:06/06/13 03:33 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#77 [ザゼツポンジュ]
に、外へ出るなんて人権問題だと思っているすーさんだが、きーさんが言うのならいかしかたがない。

ジョウもトミーも眠っている。エノシタさんの登校ルートがわからない。
きーさんはエノシタさんにメールを送った。

─おっぱいよぉ(^O^)エノシタさんトミーには、それとなく昨日話してみたよ★エノシタさんの事はちゃんと女として見ているようだ。ところで今日は雨だねボクは雨に濡れるのが嫌いなんだ。学校から家が近くてラッキー!!エノシタさんちは遠いのかい!!?─

文章完成までに30分はついやした。
━送信。

⏰:06/06/13 03:42 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#78 [ザゼツポンジュ]
ピルピルピル

エノシタさんからは2分03秒で返信されてきた。

─ジョウくんおはよう
(o^o^o)あたしのおうちは、スーパーなんかいの近くだから、学校からはちょっとだけ遠いの★だからかならず濡れちゃう─

『濡れちゃう…へへへ…濡れちゃうんだってよエノシタさん。』
すーさんは、こんなささいな出来事で気分を良くする。
『馬鹿たれ!!そんなくだらん事で鼻の下をのばすんじゃないよ。まだ朝だぞ、日本は。スーパーなんかいと言うことは、#7791カフェを通る事になる。ななくいへ行こう』

⏰:06/06/13 03:51 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#79 [ザゼツポンジュ]
きーさんもかっぱを装着し、二人は外へ出た。
すーさんは一言
『付き合わんよ。小夜子とのデートには。』

⏰:06/06/13 03:54 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#80 [ザゼツポンジュ]
#7791カフェの朝のバイトの子で、とても可愛らしい女の子がいる。みーちゃん22歳。すーさんのここ1年の中での最強お気に入りランキング1位なのだ。
だが彼氏がいることも知っている。
『小夜子ストロベリーをふたつ。』
七夕の席へいつも通り座り、いつもと同じ決まり文句を言う。
『いや、今日はいい。みーちゃんワシには梅昆布茶を。』
みーちゃんはとても小さくまっしろで頬はほんのりピンク。いつもかわいい笑顔で、じーさん二人を迎えてくれる。

⏰:06/06/13 04:00 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#81 [ザゼツポンジュ]
『フフフ。朝ですもんね。じゃあ、小夜子ストロベリーと梅昆布茶を。了解なまこんっっ。』
きーさんの、はやってもいない流行語をみーちゃんはいつも付き合いで使ってくれている。
『すーさん、名札をよく見るんだよ。中3の子のバッチはオレンジ色だ。』
『了解なまこん

⏰:06/06/13 04:03 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#82 [ザゼツポンジュ]
中学生達が徐々に登校しはじめていた。
すーさんは窓にはりつき、くいいるように女子中学生を見ていた。
ただの変態だ。一歩間違えれば変質者として逮捕だ。もっとも今日が晴れならとっくに誰かが通報するか防犯ブザーの紐をひいているだろう。

⏰:06/06/13 04:09 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#83 [ザゼツポンジュ]
きーさんは、小夜子と対面し、一口パクっと食べた。
『甘い。ワシはこんなにも甘い恋心を一体何度抱いたことがあるのだろうか。』
『きーさん、やる気あるのかい!!?エノシタ、エノシタ…エノシタさーーん……と。ぅぉ!!!!きーさん、榎下さんを見つけたぞ。美女だ見てみろ。こんなかわいこちゃんをこらしめるこたぁできん、ワシには…すまんが今回ばかりは辞退させてもらう』

⏰:06/06/13 04:14 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#84 [ザゼツポンジュ]
すーさんは目をまんまるにし、小夜子タイムのきーさんに強く辞退を申し出たのだ。
『すーさん、その子はエノモトさんだ。』
『いや、馬鹿言え、漢字くらい読めるぞワシにだって。』
すーさんはぬるめの梅昆布茶をひとまず飲んだ。
『すーさん、音読みと訓読みがあることを知っているのかい?あまり馬鹿にはしたくないんだが…』
『おい、言ってる事がよく分からんぞ。』 
『まぁいい。もうひとりのエノシタさんが通ったら教えてくれ。』
『まだいるのか!!?双子か!!?べっぴん二人か!!?』

⏰:06/06/13 04:20 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#85 [ザゼツポンジュ]
すーさんはガラスに張りつき、きーさんはほおづえをついて、ミニ望遠鏡を持ちドシャブリの雨の中、傘をさして登校してゆく中学生の姿をカフェの中から目で追っていた。

⏰:06/06/13 04:22 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#86 [ザゼツポンジュ]
『お!!?……あ〜ぁ…』
すーさんは見つけてしまった。エノシタさんを…
きーさんは立ち上がった。
『あ〜ぁ。じゃないんだよ。今、完全にエノシタさんを見付けたんだろう。ブスだからと言って見なかったフリをするんじゃないよ。罪だぞ。』
きーさんは急いで#7791カフェのチラシを持って外へ飛び出しエノシタさんを追い掛けた。
すーさんは、肩を落とし梅昆布茶をすすった。

⏰:06/06/13 04:27 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#87 [ザゼツポンジュ]
『どーですかー。モーニングコーシーなんてどーですかー。ななくいのはおいしいっすよー。』
きーさんはエノシタさんの前に立ちはだかりチラシを差し出した。
『今から学校ですので。』『はぁーい、すんませーん』
傘から顔を出したエノシタさんを見た。きーさんはエノシタさんを見た。
メガネが少し邪魔をしていたがキレイな目をしたエノシタさんを、きーさんは、はっきりと見たのだ。

⏰:06/06/13 04:33 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#88 [ザゼツポンジュ]
『みーちゃん。みーちゃんはどうしてそんなにかわいいんだい!!?』
みーちゃんは困ったようにフフフと笑った。
そこがまたすーさんを刺激させてしまっているのだ。
『すーさん。口説いている場合か。エノシタさんを見たか!!?』
デレデレした表情を一変させ、男鈴木ヒトシは巣に戻った。
『ブスだ。』
そう言って梅昆布茶を口にふくんだ。
『トミオも同じことを言っていた。だがな、ワシはかわいいと思うんだがな。』すーさんは口にふくんだ梅昆布茶をそのまま垂れ流した。

⏰:06/06/13 04:38 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#89 [ザゼツポンジュ]
『おい!!大丈夫か!!?すーさんいきなりどうしたんだ?メンテナンス中か?しっかりしてくれ。』
みーちゃんはあわてておしぼりを持って来た。 
『ありがとう、みーちゃん。みーちゃんは優しい子だねぇ…きーさん!!!!老眼にもほどがあるぞ!!よく見えすぎだ!!』
すーさんは素早く口元をちょちょいとふいた。

⏰:06/06/13 04:42 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#90 [ザゼツポンジュ]
『すーさん、落ち着いてくれ。ワシが悪かったよ。あの子は元がいいと言いたいだけだ。メガネと髪型が邪魔をしているもったいない。』
サービスでみーちゃんが新しい梅昆布茶を持ってきてくれた。
『みーちゃん。みーちゃんありがとねー。きーさん。お前は好きだなぁそういうのが。どれだけべっぴんになるか好きなだけいじればいい。』
『それだよすーさん。』
すーさんはため息をついて入れたての梅昆布茶に口をつけた。
『ぅあっちちち。』
すーさんは猫舌なのだ。

⏰:06/06/13 04:47 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#91 [ザゼツポンジュ]
━エノシタさん改造計画 

その日の夕方、きーさんは家の電話から、トミーの携帯に電話をかけた。
トゥールルル、トゥールルル…
『なんだよ。』
『トミオ、部屋入ってもいいか!!?』        『いちいちわざわざドアの前で、かけてくんなよ!!』ガチャ。
『トミオ、コードレスとは便利だなぁ。』
糸でんわよりはもっぱら便利である。
『いいからもう切ろよ。なんだよ。』
トミーはベッドに寝そべって週刊誌を読んでいた。芸能情報もかかさずチェックだ。

⏰:06/06/13 04:54 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#92 [ザゼツポンジュ]
『お前かわいい女が好きなんだよな?具体的にどんなのが好きなんだ?』
『目がクリクリで髪の毛サラサラでいい匂いのするちょっとエッチで細い子。』きーさんは机の上に置いてある数学の問題集を手に取った。
『トミオ、センスないな、だめだ。』
きーさんはこんなにもおもしろくないパラパラ漫画を今だかつて見たことがない。

⏰:06/06/13 05:00 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#93 [ザゼツポンジュ]
初スキャンダルを起こした有名女優の記事を読みながらトミーはきーさんに問い掛けた。
『なんでだよ、じーちゃんはどんなのが好きなんだよ!!?』
『ワシはもっとユーモアのあるのが好きだ!!軟式テニスをしていると見せ掛けてズームアップしてみると目玉おやじをボールがわりにして遊んでいたというオチがあるやつとかな!!』
きーさんは、問題集を元の場所に置き、そそくさと階段を降りつっかけをはいた。
『どんな女だよ、気色わりぃよ。』

⏰:06/06/13 05:04 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#94 [ザゼツポンジュ]
━こちらは鈴木家。
『じーちゃん、そろそろまさこの散歩行ってきなよ。』
今日は、すーさんの当番だが雨なので外へは出たくない。
『ジョウジロウ。じーちゃん今日はお前に話がある。』
ジョウは分かっている。この話が長いということを。
『……うん。いや、じーちゃんまさこがね。』
さっきからずーっと吠えているのだ。
『ぅぁーーーわーわーわー。ちょっと今はじーちゃんの話を聞いてくれよぉ、頼むよぉー。』
すーさんは62歳になってもまだ聞き分けのないクソガキなのだ。
『わかった。わかったよ。』

⏰:06/06/13 05:12 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#95 [我輩は匿名である]
『よし、いい子だ。ちょっと待ってろ。』
すーさんは梅昆布茶と甘いカルピスを作りに下のリビングへと降りて行った。
すーさんちは新築だ。
階段なんて75度くらいの急な階段で、手すりはない。62歳にとっちゃ心臓やぶりの坂でしかない。
しかもコンクリートで固い。
完全に老人向きの家ではなく、近代的な、そしてデザイナーズ的なオシャレホームで暮らしているのだが、すーさんは肩身の狭い思いをしているのだ。

⏰:06/06/13 05:42 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#96 [ザゼツポンジュ]
この家の設計図を手がけたのは、建築士であるすーさんの娘。すなわちジョウの母親である。
62歳の同居人がいる事は、全面的に無視している。
殺意まで感じられるこの家は、きーさんさんの涙に飾られ2年前にそびえたったのだ。
命に支障のないように、なるべく階段を一段一段降りリビングに辿り着いた。カルピスの原液と梅昆布茶の粉を取り、ゆーっくり、ゆーっくりと時間をかけるすーさん。
まさこへの気遣いも忘れてはいない。

⏰:06/06/13 05:48 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#97 [ザゼツポンジュ]
『まさこよぉ。ごめんよぉ。ワシはなぁ、小さいときにバナナの皮で漫画のようにツルンとすべってなぁ、鎖骨を骨折したんじゃよ。それ以来雨の日はひびいてだめなんだよ。ごめんよぉ。雨に濡れて、まさこよ、実にセクシーだ』
……オスだがな。

⏰:06/06/13 05:52 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#98 [ザゼツポンジュ]
『じーちゃん、いつまで待たすんだよ。どうせコップふたつ持っては階段上がれないでしょう?』
キッと睨むすーさん。
『こんっのクソガキめが!!こんな階段目をつむってでも駈けのぼれるわ!!童貞め!!』
ハァっとため息をついて呆れるジョウ。

⏰:06/06/13 05:59 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#99 [ザゼツポンジュ]
『ピーンポーン。いやぁ、ずぶぬれだよ。ジョウジロウ、タオルをくれないか。』
10歩先に生息しているきーさんがすーさんちに遊びにきた。
『きーさん。口で効果音出さずにちゃんとインターホン押してくれない!!?』
ジョウは、そんなにぬれてもいないきーさんにタオルを渡した。
『おぉ!!?口がたつようになってきたな。関心、関心。お!!?ワシのカルピスか!!?勘がいいじゃないか、すーさん賢いぞ。』
きーさんはカルピスを一口ゴクリ。

⏰:06/06/13 11:21 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#100 [ザゼツポンジュ]
『甘い。まるで恋心のようだ。ジョウジロウ、これを一口飲んでみろ。ワシが口を付けたのはココだ。ココ以外で飲んでくれ。』
ジョウもわざわざ62歳の隣のじーさんと、間接キスをするなんざまっぴらごめんだろう。
『う甘い。濃いよ。』
すーさんはソファで横になら死んだフリをしている。まさこの散歩に行きたくないのだ。

⏰:06/06/13 11:27 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


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