クソガキジジイと少年」
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#511 [ザセツポンジュ]
すーさんは小夜子ストロベリーを完食して
汚く甘いゲップをきーさんにお見舞いした。

「やりたくないならいいけどな。まぁきららちゃんと接触する手と言えば、空ちゃんも誘ってダブル同伴と言う手も…」

「やる!乗ったその話!やろうじゃないか!頑張ろうきーさん!」

きーさんはこの言葉を聞いてやっと小夜子を口に運ぶ事ができた。

「甘い。ワシはこんなにも甘い恋心を何度抱いた事があるのだろうか。」

きーさんとすーさんの作戦は徐々に進んで行く。

⏰:06/09/14 23:53 📱:W41S 🆔:n3DJ4syY


#512 [ザセツポンジュ]
きーさんとすーさんが作戦会議中、ジョウは教室に向かわず生徒会室に一人たたずんでいた。

(ボクは何にもできないまんまなのだろうか…いくじなしだな。)
焼却炉から戻ったジョウはクツバコに戻って3年生のクツバコ全部見回した。

こんな早い時間に学校に来るヤツなんていない。

なのに、
―榎下
―石崎
―山田

この3人のクツだけウワバキと交換されていた。


それを見たジョウは

たまらなくなり階段を登り生徒会室の扉を開けたのだった。

⏰:06/09/15 00:01 📱:W41S 🆔:UyYQsWkM


#513 [ザセツポンジュ]
そして、コの字に並べられた机のジョウがいつも座る席に静かに座って頬づえをついた。

(エノシタさんが載ったクーポンが発行されたのは2ヶ月前。いつからあんな事されていたんだろう…)


ジョウの記憶につめこまれたエノシタさんがゆっくりゆっくりかけめぐる。

⏰:06/09/15 00:06 📱:W41S 🆔:UyYQsWkM


#514 [ザセツポンジュ]
―ボクはいつもここに座っていて

エノシタさんを眺めている。

エノシタさんは、みんなに同じように話しかける。

優しいエノシタさん。
そんなエノシタさんは、トミーをよく見てる。

ボクがエノシタさんを眺めているのと、同じ感じでトミーを見ているんだきっと。

ボクには分かってしまった。

エノシタさんは、最近いきなり大変身して可愛くなった。

でも、自惚れているわけでもなく、いつもと変わらないエノシタさんだった。

そんなエノシタさんがボクは好きなんだ。

そして何にもできないボクなんだ。

こんなちっちゃいストラップですらまだポケットの中で眠ったまんま…。

ウジウジしているボクはきっと今、世界で一番いくじなしなんだ。

⏰:06/09/15 00:15 📱:W41S 🆔:UyYQsWkM


#515 [ザセツポンジュ]
ジョウは、頭を机に落として窓の外を見た。
(寒いなぁ、今日は。)
生徒会室で吐く息も白く冷たかった。

まだエノシタさんを好きになる前に、エリアカフェで見かけたエノシタさんのプリクラ―。

それは
《榎下コンビ》
と書かれていて

たいして仲良くもないのに、かわいいエノモトさんの横で、ちっちゃく申し訳なさそうにピースをしていたエノシタさん。

二人は皮肉にも
《榎下》
という読み方の違う二つの漢字に縛られる運命にあった。

⏰:06/09/15 00:21 📱:W41S 🆔:UyYQsWkM


#516 [ザセツポンジュ]
――ガラガラ

ジョウはびっくりして顔を上げた。

「…おはようジョウくん。……どうしたの?」

悲しそうな顔を無理矢理くしゃくしゃにして笑う女の子。

ジョウはベタに目をこすった。

「…おはよう。エノシタさんこそどうしたの?」

エノシタさんはいつも座る席に座った。

「…忘れものしちゃって。」

机の中をウソっぽく探すエノシタさん。

ジョウはエノシタさんに近付いた。

⏰:06/09/15 00:26 📱:W41S 🆔:UyYQsWkM


#517 [ザセツポンジュ]
そしてエノシタさんの隣に座った。



エノシタさんは手を止めた。



「あのねエノシタさんは榎下さんじゃなくてもエノシタさんなんだよ。」

「……ジョウくん。朝だからかもしれないけど全く意味が分からないわ。」

サムく寒い空気だけが二人を包んだ。

⏰:06/09/15 00:29 📱:W41S 🆔:UyYQsWkM


#518 [ザセツポンジュ]
「……エノシタさんが卒業するくらいには意味が分かるよきっと。…ハハ。」

ジョウは苦笑いを浮かべた。
そしてこう続けた。

「エノシタさんは、悲しい時は泣くの?」

「…泣かないかな。我慢しちゃうかも。」

(きーさん。きーさんが昔言っていた言葉を借りるよ。)

「…あのね、泣かないのが強いんじゃないんだよ。泣けない弱さがきっとエノシタさんの中で酒でも飲んだくれて暴れているんだ。」

⏰:06/09/15 00:38 📱:W41S 🆔:UyYQsWkM


#519 [ザセツポンジュ]
「ボクは、そんなことで泣いちゃいけないよなんて言わないよ。我慢して悲しい顔を無理矢理笑った顔に変えるくらいなら汚い顔で子供みたいに泣いてくれた方がいい。」

ジョウは、ポケットに手を突っ込んでストラップを握りしめた。

「ジョウくん優しいね。何を知ってるの?」
エノシタさんは泣かない。

「ボクさ、こないだ福岡に旅行に行ったんだけど、お土産!」

ジョウは眠っていたストラップを叩き起こした。

「わぁ!かわいい!ありがとうジョウくん」
満面の笑みでエノシタさんは笑ってくれた。

⏰:06/09/15 00:43 📱:W41S 🆔:UyYQsWkM


#520 [ザセツポンジュ]
キーンコーンカーンコーン


「ジョウジロウちゃんめ!ちゃんと来てんじゃんかよ!」

トミーは一人ジョウのクツバコに突っ込んだ。

⏰:06/09/15 00:45 📱:W41S 🆔:UyYQsWkM


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