クソガキジジイと少年」
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#73 [ザゼツポンジュ]
━━朝6時15分。じーさんは早起きなのだ。
『実にいい朝だなきーさん。大雨だ。』
15歩程度しか歩かないにもかかわらず、嫌味にもすーさんはカッパを装着し、きーさん宅へ現われたのだ。一見準備のいいように見えるが雨に濡れたくないというすーさんのせいいっぱいの反抗である。

⏰:06/06/13 03:16 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#74 [ザゼツポンジュ]
『…すーさん、大雨だからと言ってやめにしようというのはワシはあまり好きではないのだよ。嫌な事があったらすぐ様諦めるようなのは好きじゃない。わかるか!!?すーさんは可愛いモロタイプの女が、たまたまおしっこを漏らしたからと言ってあきらめるのか!!?』
『…むしろ大歓迎だ。』

⏰:06/06/13 03:21 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#75 [ザゼツポンジュ]
『まぁすーさんの変な趣味はどうでもいいし朝からはキツイものがあるが、なぁ、考えてみろ。雨の方が身も隠れる。晴天の場合ワシらのシャツすら透けてしまうくらい丸見え、いや、まる見せになる可能性だってあるんだ。この雨に感謝しよう。望遠鏡を持って出掛けようじゃないか、すーさん』
すーさんは肩を落としため息をつき半分泣きかけた。

⏰:06/06/13 03:26 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#76 [ザゼツポンジュ]
雨がこの町一嫌いなのだ。理由はすーさんが若かった頃のある日ドシャブリで道すらわからなくなる始末だった。その日すーさんは大好きな鞠(まり)ちゃんと言う子に男女交際を申し込もうと、とある喫茶店で待ち合わせをしていた。
すーさんはずぶぬれになり、好きな女のために必死をこいて喫茶店へ行ったのだ。
が、鞠ちゃんはすーさんの姿にどん引きし、以来口も聞いてくれないようになったのだ。
という、理由があり雨の日がとにかく嫌いなのだ

大雨の日

⏰:06/06/13 03:33 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#77 [ザゼツポンジュ]
に、外へ出るなんて人権問題だと思っているすーさんだが、きーさんが言うのならいかしかたがない。

ジョウもトミーも眠っている。エノシタさんの登校ルートがわからない。
きーさんはエノシタさんにメールを送った。

─おっぱいよぉ(^O^)エノシタさんトミーには、それとなく昨日話してみたよ★エノシタさんの事はちゃんと女として見ているようだ。ところで今日は雨だねボクは雨に濡れるのが嫌いなんだ。学校から家が近くてラッキー!!エノシタさんちは遠いのかい!!?─

文章完成までに30分はついやした。
━送信。

⏰:06/06/13 03:42 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#78 [ザゼツポンジュ]
ピルピルピル

エノシタさんからは2分03秒で返信されてきた。

─ジョウくんおはよう
(o^o^o)あたしのおうちは、スーパーなんかいの近くだから、学校からはちょっとだけ遠いの★だからかならず濡れちゃう─

『濡れちゃう…へへへ…濡れちゃうんだってよエノシタさん。』
すーさんは、こんなささいな出来事で気分を良くする。
『馬鹿たれ!!そんなくだらん事で鼻の下をのばすんじゃないよ。まだ朝だぞ、日本は。スーパーなんかいと言うことは、#7791カフェを通る事になる。ななくいへ行こう』

⏰:06/06/13 03:51 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#79 [ザゼツポンジュ]
きーさんもかっぱを装着し、二人は外へ出た。
すーさんは一言
『付き合わんよ。小夜子とのデートには。』

⏰:06/06/13 03:54 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#80 [ザゼツポンジュ]
#7791カフェの朝のバイトの子で、とても可愛らしい女の子がいる。みーちゃん22歳。すーさんのここ1年の中での最強お気に入りランキング1位なのだ。
だが彼氏がいることも知っている。
『小夜子ストロベリーをふたつ。』
七夕の席へいつも通り座り、いつもと同じ決まり文句を言う。
『いや、今日はいい。みーちゃんワシには梅昆布茶を。』
みーちゃんはとても小さくまっしろで頬はほんのりピンク。いつもかわいい笑顔で、じーさん二人を迎えてくれる。

⏰:06/06/13 04:00 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#81 [ザゼツポンジュ]
『フフフ。朝ですもんね。じゃあ、小夜子ストロベリーと梅昆布茶を。了解なまこんっっ。』
きーさんの、はやってもいない流行語をみーちゃんはいつも付き合いで使ってくれている。
『すーさん、名札をよく見るんだよ。中3の子のバッチはオレンジ色だ。』
『了解なまこん

⏰:06/06/13 04:03 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#82 [ザゼツポンジュ]
中学生達が徐々に登校しはじめていた。
すーさんは窓にはりつき、くいいるように女子中学生を見ていた。
ただの変態だ。一歩間違えれば変質者として逮捕だ。もっとも今日が晴れならとっくに誰かが通報するか防犯ブザーの紐をひいているだろう。

⏰:06/06/13 04:09 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#83 [ザゼツポンジュ]
きーさんは、小夜子と対面し、一口パクっと食べた。
『甘い。ワシはこんなにも甘い恋心を一体何度抱いたことがあるのだろうか。』
『きーさん、やる気あるのかい!!?エノシタ、エノシタ…エノシタさーーん……と。ぅぉ!!!!きーさん、榎下さんを見つけたぞ。美女だ見てみろ。こんなかわいこちゃんをこらしめるこたぁできん、ワシには…すまんが今回ばかりは辞退させてもらう』

⏰:06/06/13 04:14 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#84 [ザゼツポンジュ]
すーさんは目をまんまるにし、小夜子タイムのきーさんに強く辞退を申し出たのだ。
『すーさん、その子はエノモトさんだ。』
『いや、馬鹿言え、漢字くらい読めるぞワシにだって。』
すーさんはぬるめの梅昆布茶をひとまず飲んだ。
『すーさん、音読みと訓読みがあることを知っているのかい?あまり馬鹿にはしたくないんだが…』
『おい、言ってる事がよく分からんぞ。』 
『まぁいい。もうひとりのエノシタさんが通ったら教えてくれ。』
『まだいるのか!!?双子か!!?べっぴん二人か!!?』

⏰:06/06/13 04:20 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#85 [ザゼツポンジュ]
すーさんはガラスに張りつき、きーさんはほおづえをついて、ミニ望遠鏡を持ちドシャブリの雨の中、傘をさして登校してゆく中学生の姿をカフェの中から目で追っていた。

⏰:06/06/13 04:22 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#86 [ザゼツポンジュ]
『お!!?……あ〜ぁ…』
すーさんは見つけてしまった。エノシタさんを…
きーさんは立ち上がった。
『あ〜ぁ。じゃないんだよ。今、完全にエノシタさんを見付けたんだろう。ブスだからと言って見なかったフリをするんじゃないよ。罪だぞ。』
きーさんは急いで#7791カフェのチラシを持って外へ飛び出しエノシタさんを追い掛けた。
すーさんは、肩を落とし梅昆布茶をすすった。

⏰:06/06/13 04:27 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#87 [ザゼツポンジュ]
『どーですかー。モーニングコーシーなんてどーですかー。ななくいのはおいしいっすよー。』
きーさんはエノシタさんの前に立ちはだかりチラシを差し出した。
『今から学校ですので。』『はぁーい、すんませーん』
傘から顔を出したエノシタさんを見た。きーさんはエノシタさんを見た。
メガネが少し邪魔をしていたがキレイな目をしたエノシタさんを、きーさんは、はっきりと見たのだ。

⏰:06/06/13 04:33 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#88 [ザゼツポンジュ]
『みーちゃん。みーちゃんはどうしてそんなにかわいいんだい!!?』
みーちゃんは困ったようにフフフと笑った。
そこがまたすーさんを刺激させてしまっているのだ。
『すーさん。口説いている場合か。エノシタさんを見たか!!?』
デレデレした表情を一変させ、男鈴木ヒトシは巣に戻った。
『ブスだ。』
そう言って梅昆布茶を口にふくんだ。
『トミオも同じことを言っていた。だがな、ワシはかわいいと思うんだがな。』すーさんは口にふくんだ梅昆布茶をそのまま垂れ流した。

⏰:06/06/13 04:38 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#89 [ザゼツポンジュ]
『おい!!大丈夫か!!?すーさんいきなりどうしたんだ?メンテナンス中か?しっかりしてくれ。』
みーちゃんはあわてておしぼりを持って来た。 
『ありがとう、みーちゃん。みーちゃんは優しい子だねぇ…きーさん!!!!老眼にもほどがあるぞ!!よく見えすぎだ!!』
すーさんは素早く口元をちょちょいとふいた。

⏰:06/06/13 04:42 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#90 [ザゼツポンジュ]
『すーさん、落ち着いてくれ。ワシが悪かったよ。あの子は元がいいと言いたいだけだ。メガネと髪型が邪魔をしているもったいない。』
サービスでみーちゃんが新しい梅昆布茶を持ってきてくれた。
『みーちゃん。みーちゃんありがとねー。きーさん。お前は好きだなぁそういうのが。どれだけべっぴんになるか好きなだけいじればいい。』
『それだよすーさん。』
すーさんはため息をついて入れたての梅昆布茶に口をつけた。
『ぅあっちちち。』
すーさんは猫舌なのだ。

⏰:06/06/13 04:47 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#91 [ザゼツポンジュ]
━エノシタさん改造計画 

その日の夕方、きーさんは家の電話から、トミーの携帯に電話をかけた。
トゥールルル、トゥールルル…
『なんだよ。』
『トミオ、部屋入ってもいいか!!?』        『いちいちわざわざドアの前で、かけてくんなよ!!』ガチャ。
『トミオ、コードレスとは便利だなぁ。』
糸でんわよりはもっぱら便利である。
『いいからもう切ろよ。なんだよ。』
トミーはベッドに寝そべって週刊誌を読んでいた。芸能情報もかかさずチェックだ。

⏰:06/06/13 04:54 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#92 [ザゼツポンジュ]
『お前かわいい女が好きなんだよな?具体的にどんなのが好きなんだ?』
『目がクリクリで髪の毛サラサラでいい匂いのするちょっとエッチで細い子。』きーさんは机の上に置いてある数学の問題集を手に取った。
『トミオ、センスないな、だめだ。』
きーさんはこんなにもおもしろくないパラパラ漫画を今だかつて見たことがない。

⏰:06/06/13 05:00 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#93 [ザゼツポンジュ]
初スキャンダルを起こした有名女優の記事を読みながらトミーはきーさんに問い掛けた。
『なんでだよ、じーちゃんはどんなのが好きなんだよ!!?』
『ワシはもっとユーモアのあるのが好きだ!!軟式テニスをしていると見せ掛けてズームアップしてみると目玉おやじをボールがわりにして遊んでいたというオチがあるやつとかな!!』
きーさんは、問題集を元の場所に置き、そそくさと階段を降りつっかけをはいた。
『どんな女だよ、気色わりぃよ。』

⏰:06/06/13 05:04 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#94 [ザゼツポンジュ]
━こちらは鈴木家。
『じーちゃん、そろそろまさこの散歩行ってきなよ。』
今日は、すーさんの当番だが雨なので外へは出たくない。
『ジョウジロウ。じーちゃん今日はお前に話がある。』
ジョウは分かっている。この話が長いということを。
『……うん。いや、じーちゃんまさこがね。』
さっきからずーっと吠えているのだ。
『ぅぁーーーわーわーわー。ちょっと今はじーちゃんの話を聞いてくれよぉ、頼むよぉー。』
すーさんは62歳になってもまだ聞き分けのないクソガキなのだ。
『わかった。わかったよ。』

⏰:06/06/13 05:12 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#95 [我輩は匿名である]
『よし、いい子だ。ちょっと待ってろ。』
すーさんは梅昆布茶と甘いカルピスを作りに下のリビングへと降りて行った。
すーさんちは新築だ。
階段なんて75度くらいの急な階段で、手すりはない。62歳にとっちゃ心臓やぶりの坂でしかない。
しかもコンクリートで固い。
完全に老人向きの家ではなく、近代的な、そしてデザイナーズ的なオシャレホームで暮らしているのだが、すーさんは肩身の狭い思いをしているのだ。

⏰:06/06/13 05:42 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#96 [ザゼツポンジュ]
この家の設計図を手がけたのは、建築士であるすーさんの娘。すなわちジョウの母親である。
62歳の同居人がいる事は、全面的に無視している。
殺意まで感じられるこの家は、きーさんさんの涙に飾られ2年前にそびえたったのだ。
命に支障のないように、なるべく階段を一段一段降りリビングに辿り着いた。カルピスの原液と梅昆布茶の粉を取り、ゆーっくり、ゆーっくりと時間をかけるすーさん。
まさこへの気遣いも忘れてはいない。

⏰:06/06/13 05:48 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#97 [ザゼツポンジュ]
『まさこよぉ。ごめんよぉ。ワシはなぁ、小さいときにバナナの皮で漫画のようにツルンとすべってなぁ、鎖骨を骨折したんじゃよ。それ以来雨の日はひびいてだめなんだよ。ごめんよぉ。雨に濡れて、まさこよ、実にセクシーだ』
……オスだがな。

⏰:06/06/13 05:52 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#98 [ザゼツポンジュ]
『じーちゃん、いつまで待たすんだよ。どうせコップふたつ持っては階段上がれないでしょう?』
キッと睨むすーさん。
『こんっのクソガキめが!!こんな階段目をつむってでも駈けのぼれるわ!!童貞め!!』
ハァっとため息をついて呆れるジョウ。

⏰:06/06/13 05:59 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#99 [ザゼツポンジュ]
『ピーンポーン。いやぁ、ずぶぬれだよ。ジョウジロウ、タオルをくれないか。』
10歩先に生息しているきーさんがすーさんちに遊びにきた。
『きーさん。口で効果音出さずにちゃんとインターホン押してくれない!!?』
ジョウは、そんなにぬれてもいないきーさんにタオルを渡した。
『おぉ!!?口がたつようになってきたな。関心、関心。お!!?ワシのカルピスか!!?勘がいいじゃないか、すーさん賢いぞ。』
きーさんはカルピスを一口ゴクリ。

⏰:06/06/13 11:21 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#100 [ザゼツポンジュ]
『甘い。まるで恋心のようだ。ジョウジロウ、これを一口飲んでみろ。ワシが口を付けたのはココだ。ココ以外で飲んでくれ。』
ジョウもわざわざ62歳の隣のじーさんと、間接キスをするなんざまっぴらごめんだろう。
『う甘い。濃いよ。』
すーさんはソファで横になら死んだフリをしている。まさこの散歩に行きたくないのだ。

⏰:06/06/13 11:27 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#101 [ザゼツポンジュ]
『甘いだろう。ジョウジロウちゃんが恋をした時、きっとこんな気持ちになるそ。最初はな。こんなにも甘い恋をお前はもうすぐ味わうのだ。わかるか!!?いいか!!?このカルピスの味を忘れるなよ。気持ちはこんなにも甘く、その結果、出てきてしまうのも、カルピスだ!!』

きーさんの言葉がなぜか、ジョウの心に響いた。
『…まだよくわかんないや。でも、きーさん、今の言葉覚えておくよ。じーちゃん。もういいよ…ボクがまさこを散歩へ連れていくよ。それと…もうちょっと薄くつくってよ、カルピス』

⏰:06/06/13 11:33 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#102 [ザゼツポンジュ]
ジョウは外へ飛び出した。甘い甘いカルピスがのどにからむ。
ジョウの頭の中はきーさんの言葉がぐるぐるまわり、変な気分だった。
雨のせいだろうか。
甘い粘着がしばらく離れなかった。

⏰:06/06/13 11:37 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#103 [ザゼツポンジュ]
『すーさん。ワシは葬儀屋に電話した方がいいのか?そろそろ息をしてくれないか?』
むくっと起き上がった。すーさんはニッコリ笑った。外へ出なくてすんだのだ。
『やぁやぁ。どうしたんだ。きーさん相談でも!!?』
きーさん甘すぎるカルピスを平気でごくりと飲んだ。
『あのなすーさん。トミオは目がくりくりで髪の毛がサラサラでさせ子がタイプらしいんだが、今旬なかわいい女はどんな具合だ!!?』
すーさんは女の話になると生き生きする。

⏰:06/06/13 11:43 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#104 [ザゼツポンジュ]
『お宅のトミオちゃんの意見は、まさに模範解答だ。大正解だ。そんな女が常に旬でいてほしい。』
『じゃあ、コンタクトにさせた方がいいんだな。』
すーさんはぬるい梅昆布茶に口をつける。
『なあんだでは、ダメだ。すーさん、エノシタさんをお前好みの女に仕上げようじゃないか。お前好みという事は、トミオ好みという事になる。エノシタさんは好きな男のために変わっていくんだ。』
少しずつではあるがやる気になってきたすーさん。
62歳、老人。

⏰:06/06/13 11:49 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#105 [ザゼツポンジュ]
『しかしワシの孫のはずなんだが、女好きはすーさんに似ている…おかしな話だ。』
『……高い高いしすぎて入れ替わったんじゃないのか!!?』
『馬鹿たれ早く考えろ』

⏰:06/06/13 11:51 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#106 [ザゼツポンジュ]
『なぁんだエノシタさんの話か。…ぁ、間違った』
すーさんさんは心の叫びが口からもらしてしまった。
『すーさん、言いたい事は溜めずに出しておいた方がいい。ただな、梅昆布茶をすすったあたりからすーさんの心の声は十分伝わっていたよ。』

⏰:06/06/13 11:56 📱:P701iD 🆔:5A22jEVw


#107 [我輩は匿名である]
書かないの待ってるよ

⏰:06/06/15 01:49 📱:D702i 🆔:c2Fb1lvg


#108 [ザゼツポンジュ]
すーさんは、ひとたび没頭すると、まなざしは真剣になり瞳はキラキラと輝く。
まばたきもしなくなり、呼吸の数も少なくなる。
一般人から見ると、この光景は実に気持ちが悪い。
剥製のようだ。
だがきーさんは、このすーさんが好きだ。
弱点は、その3までしか出てこないことであるが、きーさんは決して文句を言うことはなかった。

その1、メガネをとり、コンタクトをはめさせる。
その2、髪の毛をサラサラにさせる。題してキューティクルビューティー大作戦。
その3、自信をつけさせる

⏰:06/06/15 11:36 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#109 [ザゼツポンジュ]
さっそくきーさんはエノシタさんにメールを送った。

エノシタさん、アドバイスがあります!!トミーは、目がクリクリして髪の毛がサラサラの女の子が好きみたいなんだよ。エノシタさんがコンタクトにしたらかわいいと思う★どうだい!!?やってみないか!!?

送信

⏰:06/06/15 11:40 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#110 [ザゼツポンジュ]
エノシタさんからはいつも素早く返信される。

─そうかな!!?今更メガネ外すなんて恥ずかしいよ…

『この女はホントにいくじなしだな、けしからん』
と、きーさん。

─トミーは、段々変わっていくエノシタさんを見たいんだよ!!頑張れエノシタさん!!今からママンに相談だ。

⏰:06/06/15 11:46 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#111 [ザゼツポンジュ]
きーさんは徐々にメールの達人になっていく。
日本中の老人の中でこんなにも飲み込みが早く若々しいジジイは自分しかいないと思っている、木田シゲル。
メールのセリフを考えているすーさんは、こんなに言葉巧みに日本語を使いこなせるのは自分しかいないと思っている。
運がよければ脚本家と言う道でも開けたのではないかと自惚れる、鈴木ひとし。
共に62歳、老人

⏰:06/06/15 11:52 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#112 [ザゼツポンジュ]
一方、隣の木田家では14歳の少年二人が恋について語りあっていた。
『なぁトミー、人を好きになるとはどんな気持ちなんだい!!?』 
まさこの散歩を終えたジョウはまた自販機で購入したカルピスを飲んでいた。
『どうしたんだ、恋でもしたのか!!?おめでとう、ついに君も童貞卒業と言う事になるな。』
『…展開はやいよ。ボクはトミーに質問しているんだよ。』
今度は国語の教科書にパラパラまんがを制作していた。なんだかんだこの男、きーさんに影響されているのである。

⏰:06/06/15 12:06 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#113 [ザゼツポンジュ]
『うーん…今狙っているのはエノモトさんだな』
『トミー…ボクは、何を狙っているかは今聞いてなかったんだが。』
トミーは、自分が童貞を卒業したことに優越感を抱いている。
そして、隣に住んでいるこの同級生よりも、素晴らしい人材だと自分で思っている、木田トミオ。
しかしジョウはその部分に対しては、とても消極的であり、とくに羨ましいと感じてはいない。
今日というこの日、隣に住むじぃさんの訪問のせいで、まだ抱いたこともない恋心について少し気になっただけの、鈴木ジョウジロウ。   共に14歳・

⏰:06/06/15 12:07 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#114 [ザゼツポンジュ]
『好きじゃなきゃ、触れないよ。かわいくなきゃ目が向かないよ。だからオレは見た目のいいものが欲しいんだ』
『…トミー。それは人を好きと言えるものなのかい!!?フラれたことはあるの!!?』
『あるさ!!そんな女は、っっどーでもいい。一応ショックは受けるが、寝て覚めればもう次の女の事でいっぱいおっぱいだ。』

⏰:06/06/15 12:11 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#115 [ザゼツポンジュ]
ジョウは隣の住人であり同級生に少し呆れた。
『いい性格をしているね。』
『ジョウも、顔は以外にも男前だぞ!!?がんがんいけよ。ただ韓国ドラマのような純愛なんてチャンチャラおかしい。あんなのに憧れるのだけはやめておけよ。バカバカしい。』
パラパラまんがを一生懸命制作しているように見えるトミーだが、少し悲しそうな背中をしていた。

⏰:06/06/15 12:18 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


#116 [ザゼツポンジュ]
シャーペンを起き、こんな雨の日に何を思い立ったのか。トミーはお気に入りの古着をチョイスし、ランキング1位の香水をふりまき、出掛ける準備をする。
『ちーちゃんに会いたいな。ギャルも見たいしな。うん、ジョウジロウちゃん。何がしたいかわかるか!!?』
『エリアカフェに行きたいんだろ!!?お前、正気か?雨だぞ。しかも今エノモトさんがいいって言ったじゃねぇかよ。』
『ジョウジロウちゃん!!オレは男だぞ!!雨だろうと雷だろうと女がいればそれでいいのだ!!』
トミーの後ろを必然的についていかなければならないのであった。

⏰:06/06/15 12:28 📱:P701iD 🆔:R3UK8pLI


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