クソガキジジイと少年」
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#814 [ザセツポンジュ]
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年月を重ね、見開いた目で
世界を飲み込む。
知識と言う種ばかりを
埋め込んだ
脳みその使い道は
いかほどなものだろうか。

都合の悪い物事は
焼却炉へと飛び込ませ
蓋を閉めたその先
灰色の煙を見送る
ハゲ散らかした頭よ。


少年の思春期爆弾を
いざ受け止めよ。

⏰:08/06/06 12:05 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#815 [ザセツポンジュ]
唇を震わせ、
体中全ての神経を
困惑させ
自分の愚かさを知るため
今宵、育毛剤と言う名のシャワーよ

奴に魔法をかけて。

目は何の為に
余計な物を見ない為に
鼻は何の為に
近道をかぎわけるために

口は何の為に
嘘をこぼし、自分を弁護する為に、、、。

戻り先はふりだし。

⏰:08/06/06 12:05 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#816 [ザセツポンジュ]
好きな子が泣いていたら。
大切な人が応援してくれていたなら。
たったひとりでも味方でいてくれたなら。

もしかして
救われただろうか。
救えたのだろうか。

向き合うことを忘れた
大きな子供達。

背中ばかりを追いかけて叫んだ
小さな子供達。

思春期爆弾が
手元に届いた時

使い道は、自分次第。
自分の為に
誰かの為に。

決められるのは
自分だけ。

⏰:08/06/06 12:06 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#817 [ザセツポンジュ(仕事中のためPC)]
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最終章 クリスマスの夜に。
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⏰:08/06/06 12:08 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#818 [ザセツポンジュ]
鈴木家の床暖房は

とても温かい。


『きーさん寒いよう。わしゃ寂しいよう。』


すーさんはきーさんにまとわりつき
寒さを忍んでいた。

『ええい!老いぼれがベタベタ触るんじゃないよ!酔っ払い!』


昼間からする事もなく
酒を飲んだくれている老人二人。
我が孫に、家から追い出されたと言う
かわいそうなこの老人
木田シゲル62歳。

⏰:08/06/06 12:45 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#819 [ザセツポンジュ]
『きーさん、ワシはな、きーさんの事が、、、、す、、、す、、、、』


ボコン!ゴツン!

お決まりのゲンコツを食らわしたが
何度殴られても、こたえないこの老人
鈴木ひとし62歳。

『その先が何語であってもそれ以上口に出すなよ!通報するぞ!』


すーさん。
娘が設計した
老人にとって心臓やぶりの
階段を、チョボチョボ上がり
ジョウの部屋を開けた。

⏰:08/06/06 12:45 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#820 [ザセツポンジュ]
ボコン!

『い、痛い!なんだよ!ノックしてよ!』

意味不明に殴られた事よりも
ノックをしなかった我が祖父に
腹を立てていた。

『今な!きーさんが来てる。』

『分かるよ。そのたんこぶ見れば。で、何?』

『トミオちゃんが女を連れ込むからと行って追い出されたそうだ。で、もっと遠くへ行って死ねばいいのに、すぐ隣のウチへ来たんじゃよ。その辺どう思うかね?ジョウジロウ。』

すーさんは、思い出したかのように
頭をさすりだした。

『ふーん。女を連れ込む時は追い出されるのか、きーさんは。』

上を向いて思い浮かぶのは
エノシタさんのことばかり。

⏰:08/06/06 12:46 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#821 [ザセツポンジュ]
『お前な、トミオちゃんは立派なのは充分承知の上で言うが、ヤラハタ決定だぞ。お前よ、そこのお前!鈴木さんちのジョウジロウちゃん!ワシは近所の人に言われるようになるんじゃ。あ〜れ〜ヤラずにハタチを迎えたお孫さんをお持ちの鈴木さ〜ん、ごきげんよいかが〜?そう言えばこないだ、、、』

『どうでもいいけど用事は何なの?』

ホロ酔い気分のジジイにかまっていられる気分じゃないのだ。

バコン!

『ただちに、去年のお年玉を崩して、クリスマスケーキを買いに行け!ついでに壁にもたれかかった娼婦に抱かれて来い!分かったな!』

『はいはい。』

ジョウは頭をさすりながら財布を持ち
ジャケットをはおり、マフラーをまいた。

タッタッタッタッタッタ、、、。

『あいつ、、、。階段をタッタタッタおりよって。年寄りの苦労も知らずに。』

⏰:08/06/06 12:46 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#822 [ザセツポンジュ]
すーさんはまた、一段一段チョボチョボと階段を
降りるのであった。


『ジョウジロウちゃん、メリークリスマス!』

きーさんは、さも我が家かのように
堂々とリビングでくつろいでいた。

『やあ!きーさん!メリークリスマス!』

挨拶を済ませたジョウはそそくさと玄関へと向かった。

『ちょちょちょ〜ちょ〜っと待て。どこに行くんじゃ?』

ジョウはスニーカーのつま先を
トントンと2回。

『スペシャルゲストのきーさんとパーティーでもしようかと思ってちょっとケーキ屋までね。』

⏰:08/06/06 19:31 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#823 [ザセツポンジュ]
『そうか。ジョウジロウちゃん、クリスマスじゃ、おこづかいをあげよう。』

きーさんはポケットから出したお札を
ジョウに渡した。

『えええええ!1万円も!ウチのじーちゃんとは大違い!ありがとうきーさん!ケーキ何がいい?』

『モンブランとカルピスな。』

『りょ、了解なまこん!』


冷たい風が吹き、マフラーに顔をうずめた少年。
行って帰る頃には夕日も沈み出すだろう。
肌を刺す寒さもよそに、
うっすらと浮かんだケーキ屋さん。
道は定かではないが
エノシタさんの顔が思い浮かぶ。

ジョウはケーキ屋まで
小走りで向かった。

⏰:08/06/06 19:31 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#824 [ザセツポンジュ]
(エノシタさんなにしてるかな、今日。エノシタさんちサンタさん来たかな。。。なんつって。)



カランカラーン。


『ぎゃっ!うわ!!!!!!』

ケーキ屋の扉を開き、
マフラーから顔を出したジョウは
ベタにも自分のほっぺたを叩いてしまっていた。

『、、、。そんなにびっくりしないでよ。ジョウくんこんにちわ。』

かわいい手袋をした
エノシタさんが、目の前にいる。

『な、な、なななな、なにしてんの?』

『ケーキを、、、買いに来て、、、』

『そっそうだよね、ケーキ屋だもんね。バカだよねボク。頭おかしいよね。ハハ』

ジョウは並べられたケーキをガラスケース越しに覗き込んだ。
エノシタさんもすぐ隣でジョウと同じようにケーキを見ていた。

⏰:08/06/06 19:32 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#825 [ザセツポンジュ]
(近いし!近いし、エノシタさん近いし!頭とかぶつかったらどうすんのさ!)

『あたし何にしよっかな〜。ホールで買ってもな〜。ジョウくん何買うの?』

クルっとジョウの方に顔を向けたエノシタさん。
ジョウは尋常じゃない速さで目が泳いだ。

『え?え、ボクんち今トミーのじーちゃんが来てるから、とりあえずモンブランと、、、』

『トミーのおじいちゃんが来てるの?何で?』

『いや、、、そんの〜、、、居心地がいいからだと思うよ、うん。』

ジョウはさもケーキを探すふりをしたが、
緊張と興奮から、分かっているのに
お目当てのケーキを見つけられない。

『ハッハ〜ン。エノモトさんが来てるからトミーに追い出されたのね、おじいちゃ、、、』

ジョウはビシっと顔を上げて頭をフル回転させ、
オマケにものすごい早口で店員に告げた。

『モンブランひとつと、ストロベリーなんとか。あ、それです。それでチョコレートケーキと、にいちゃん、ウチのにいちゃんは何がいいだろうか?知らない。そうですか。ボクも知らないし、この店のオススメ適当に!はい、以上で。』

⏰:08/06/06 19:34 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#826 [ザセツポンジュ]
ごまかせたとでも思っているのだろうか。
ホっとした表情を浮かべたが
ふくれっ面で横に立っているエノシタさんを
ジョウは2度見してしまった。

(ふくれてる。エノシタさんたら。かわいいな。)

『あたしもストロベリーなんとかひとつください!』

かわいい手袋をはずして、
エノシタさんは、財布を取り出した。

『あれ、エノシタさん家族の分は?』

『ん?いいの、いいの。』

ちょっと寂しそうな顔をしたような気がした。

⏰:08/06/06 19:34 📱:PC 🆔:GiYNkI5c


#827 [ザセツポンジュ]
カランカランー

少しだけ、
また寒さを増した
オレンジ色の空の下を
かたや片思い中の少年と
かたや失恋したばかりの少女は歩き出していた。

『ねぇ、ジョウくん。前にさ、協力してくれてありがとう。』


ジョウは頷いた。


『うん。。。え?なにを?』

全校集会の件は
3年生には漏れていないはず。

と、ジョウは思っているのだろうが、かつてきーさんとすーさんが勝手に実行したエノシタ改造計画をこの少年は知るよしもない。


『でも、もういいの。トミーのことはあきらめたの。』

(分かってはいたけど、やっぱり好きだったんだな。)

ジョウは心にチクっと刺さる少し苦しいこの気持ちが恋をしている証拠なんだなと改めて実感した。

⏰:08/06/06 20:44 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#828 [ザセツポンジュ]
『まぁ、またいいことがあるよ、そのうち。いっぱい期待しちゃいけないけど。』

エノシタさんは首を縦に降ってニコっと笑った。
『あれ?エノシタさんちどこだっけ?』

エノシタさんは
立ち止まって
反対方向を指さした。


『え!逆じゃん!お、お…送ろうか!』

トミーだったらサっと出る一言でも、ジョウにとっては心臓破りの5文字だった。

『いいよいいよ!おじいちゃん達がケーキ待ってるでしょ?』

エノシタさんは
いつも笑顔を絶やさない女の子だ。

ジョウはエノシタさんが手に持つ、ひとつだけ買った小さいケーキの箱に目をやった。


『な、なにするの?帰ってから。』

『…え〜と、ケーキ!ケーキ食べるよ!ジョウくんと同じイチゴの!ヘヘ。』

エノシタさんはケーキの箱を高く持ち上げて見せた。

⏰:08/06/06 20:54 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#829 [ザセツポンジュ]
『ひとりで?』

『うん。ウチね、パパはパイロットでママはキャビンアテンダントなの。遅い夜には帰って来ると思うんだけどさ。』

“心配しないで”と笑うエノシタさんをほってはいられないジョウジロウちゃん。

(サンタさん…ボクに勇気をくださいぃ…)


ジョウは目をつむって
バクバク鳴る心臓を
確認した。

『あ!あのさ!ウチのじーちゃんもトミーのじーちゃんも変だけどおもしろい人でさ!1人でケーキ食べるんだったら、よかったらウチでみんなで食べようよ!』

恥ずかしさを隠すため、マフラーに顔をうずめた。


『ホ、ホント!!いいの??』

『い、いいよ!みんな大歓迎だよ!』

エノシタさんは
また笑った。
嬉しそうに嬉しそうに笑っていた。

⏰:08/06/06 21:03 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#830 [ザセツポンジュ]
『あ!きーさんにカルピス頼まれてたんだった!エノシタさん何飲む?』

夕日が暮れる前に
早くおうちへ帰ろう。
楽しい時間はすぐ過ぎてしまう。


--------------


パパン!パパパパン!パン!

『ハッピバ〜スデイ俺のかわいい彼女のエノモトさ〜んハッピバースデイトゥ〜ユ〜!フ〜〜〜!』
トミーはたった今
このバースデイソングで
無理やり彼女にした
エノモトさんと
クラッカーの音と共に
パーティーを開催していた。

今日はエノモトさんの誕生日でもあるのだ。

『ありがとうトミー!キャ〜かわいい!嬉しい!』
トミーはジョウの兄に作らせた世界でひとつのネックレスを
エノモトさんの首にかけてあげた。

⏰:08/06/06 21:11 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#831 [ザセツポンジュ]
『ねぇ、ねぇなんでケーキはいらないの?エノモトさんデブじゃないのに。』

ケーキを買いに行くつもりがかたくなに拒否されてしまった木田トミオ14歳。


『ケーキは一緒に食べたい人がいるの。』

エノモトさんはトミーからもらったネックレスを嬉しそうに手に取って見ていた。

『は!早くも浮気!?だ、誰!!!』


『おねーちゃん。』


トミーはネックレスをずっと眺めているエノモトさんをずっと見ていた。

『かわい〜。かわい〜ね。へへ〜。ってかお前ねぇちゃんいたの?』

彼女になって2分もすればお前呼ばわりする態度のデカさだが、悪い気はしないエノモトさん。

⏰:08/06/06 21:17 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#832 [ザセツポンジュ]
『そう、7つ上におねぇちゃんがいるの。めったに帰って来ないけど。』
エノモトさんは
遠い目をした。

『めったに帰って来ないけど、俺にチュウして。』

トミーはエノモトさんのとてつもなく近い距離まで移動した。

チュ。

『うわ!めったに帰って来ないけど、お前!軽々しくチュウとかすんなよ!ヤリマンか!』

そう怒鳴って
トミーはエノモトさんに甘えて抱きついた。

エノモトさんは
照れてそのまま顔を赤らめていた。

⏰:08/06/06 21:57 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#833 [ザセツポンジュ]
『めったに帰って来ないけど今日おねーちゃん帰ってくるよきっと。ねー。めったに帰って来ないけどあとでエッチしようねー。』

『やだ。』

『そうだよ!そう!一回は断って欲しいもん俺!』


なにがしたくてなにを理想としているのかは分からない少年だが、15歳になったエノモトさんは自分が思ったよりも速いスピードでトミーに惹かれて行くのであった。



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こないだ
携帯に非通知で
着信があったんだ。

でもどうしようもないから
画面を見つめていたら
また非通知で電話が
鳴り出した。

『はい。』

『…シンイチロウ。元気か?』

『あぁ。なんだ。なんで非通知なの?』

『それが使い方がよく分からなくって。』

⏰:08/06/06 22:05 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


#834 [ザセツポンジュ]
こういうところ、ジョウジロウとそっくりだなと思った。

『どうしたの?』

『お前さ…クリスマスは何かするのか?』

『特になにもないけど…』

『飯でも食いに行こう。オゴってやるから。』

オレはクリスマスに
会う約束をした。

夕方頃、待ち合わせの
予定。

何を話すのが
いちばんいいだろうか。
あれも言ってやりたい。
これも言ってやりたいけど…

オレ、何かを
作るのは好きだけど

生身の人間と
直接言いたいことを
言い合うのは苦手だな。
だけど今日は
クリスマスだから
今まで言いたかったこと全部、言ってみようか。

もう時間が迫ってる。

⏰:08/06/06 22:16 📱:W51CA 🆔:H2Pa6if.


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