クソガキジジイと少年」
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#824 [ザセツポンジュ]
(エノシタさんなにしてるかな、今日。エノシタさんちサンタさん来たかな。。。なんつって。)
カランカラーン。
『ぎゃっ!うわ!!!!!!』
ケーキ屋の扉を開き、
マフラーから顔を出したジョウは
ベタにも自分のほっぺたを叩いてしまっていた。
『、、、。そんなにびっくりしないでよ。ジョウくんこんにちわ。』
かわいい手袋をした
エノシタさんが、目の前にいる。
『な、な、なななな、なにしてんの?』
『ケーキを、、、買いに来て、、、』
『そっそうだよね、ケーキ屋だもんね。バカだよねボク。頭おかしいよね。ハハ』
ジョウは並べられたケーキをガラスケース越しに覗き込んだ。
エノシタさんもすぐ隣でジョウと同じようにケーキを見ていた。
:08/06/06 19:32 :PC :GiYNkI5c
#825 [ザセツポンジュ]
(近いし!近いし、エノシタさん近いし!頭とかぶつかったらどうすんのさ!)
『あたし何にしよっかな〜。ホールで買ってもな〜。ジョウくん何買うの?』
クルっとジョウの方に顔を向けたエノシタさん。
ジョウは尋常じゃない速さで目が泳いだ。
『え?え、ボクんち今トミーのじーちゃんが来てるから、とりあえずモンブランと、、、』
『トミーのおじいちゃんが来てるの?何で?』
『いや、、、そんの〜、、、居心地がいいからだと思うよ、うん。』
ジョウはさもケーキを探すふりをしたが、
緊張と興奮から、分かっているのに
お目当てのケーキを見つけられない。
『ハッハ〜ン。エノモトさんが来てるからトミーに追い出されたのね、おじいちゃ、、、』
ジョウはビシっと顔を上げて頭をフル回転させ、
オマケにものすごい早口で店員に告げた。
『モンブランひとつと、ストロベリーなんとか。あ、それです。それでチョコレートケーキと、にいちゃん、ウチのにいちゃんは何がいいだろうか?知らない。そうですか。ボクも知らないし、この店のオススメ適当に!はい、以上で。』
:08/06/06 19:34 :PC :GiYNkI5c
#826 [ザセツポンジュ]
ごまかせたとでも思っているのだろうか。
ホっとした表情を浮かべたが
ふくれっ面で横に立っているエノシタさんを
ジョウは2度見してしまった。
(ふくれてる。エノシタさんたら。かわいいな。)
『あたしもストロベリーなんとかひとつください!』
かわいい手袋をはずして、
エノシタさんは、財布を取り出した。
『あれ、エノシタさん家族の分は?』
『ん?いいの、いいの。』
ちょっと寂しそうな顔をしたような気がした。
:08/06/06 19:34 :PC :GiYNkI5c
#827 [ザセツポンジュ]
カランカランー
少しだけ、
また寒さを増した
オレンジ色の空の下を
かたや片思い中の少年と
かたや失恋したばかりの少女は歩き出していた。
『ねぇ、ジョウくん。前にさ、協力してくれてありがとう。』
ジョウは頷いた。
『うん。。。え?なにを?』
全校集会の件は
3年生には漏れていないはず。
と、ジョウは思っているのだろうが、かつてきーさんとすーさんが勝手に実行したエノシタ改造計画をこの少年は知るよしもない。
『でも、もういいの。トミーのことはあきらめたの。』
(分かってはいたけど、やっぱり好きだったんだな。)
ジョウは心にチクっと刺さる少し苦しいこの気持ちが恋をしている証拠なんだなと改めて実感した。
:08/06/06 20:44 :W51CA :H2Pa6if.
#828 [ザセツポンジュ]
『まぁ、またいいことがあるよ、そのうち。いっぱい期待しちゃいけないけど。』
エノシタさんは首を縦に降ってニコっと笑った。
『あれ?エノシタさんちどこだっけ?』
エノシタさんは
立ち止まって
反対方向を指さした。
『え!逆じゃん!お、お…送ろうか!』
トミーだったらサっと出る一言でも、ジョウにとっては心臓破りの5文字だった。
『いいよいいよ!おじいちゃん達がケーキ待ってるでしょ?』
エノシタさんは
いつも笑顔を絶やさない女の子だ。
ジョウはエノシタさんが手に持つ、ひとつだけ買った小さいケーキの箱に目をやった。
『な、なにするの?帰ってから。』
『…え〜と、ケーキ!ケーキ食べるよ!ジョウくんと同じイチゴの!ヘヘ。』
エノシタさんはケーキの箱を高く持ち上げて見せた。
:08/06/06 20:54 :W51CA :H2Pa6if.
#829 [ザセツポンジュ]
『ひとりで?』
『うん。ウチね、パパはパイロットでママはキャビンアテンダントなの。遅い夜には帰って来ると思うんだけどさ。』
“心配しないで”と笑うエノシタさんをほってはいられないジョウジロウちゃん。
(サンタさん…ボクに勇気をくださいぃ…)
ジョウは目をつむって
バクバク鳴る心臓を
確認した。
『あ!あのさ!ウチのじーちゃんもトミーのじーちゃんも変だけどおもしろい人でさ!1人でケーキ食べるんだったら、よかったらウチでみんなで食べようよ!』
恥ずかしさを隠すため、マフラーに顔をうずめた。
『ホ、ホント!!いいの??』
『い、いいよ!みんな大歓迎だよ!』
エノシタさんは
また笑った。
嬉しそうに嬉しそうに笑っていた。
:08/06/06 21:03 :W51CA :H2Pa6if.
#830 [ザセツポンジュ]
『あ!きーさんにカルピス頼まれてたんだった!エノシタさん何飲む?』
夕日が暮れる前に
早くおうちへ帰ろう。
楽しい時間はすぐ過ぎてしまう。
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パパン!パパパパン!パン!
『ハッピバ〜スデイ俺のかわいい彼女のエノモトさ〜んハッピバースデイトゥ〜ユ〜!フ〜〜〜!』
トミーはたった今
このバースデイソングで
無理やり彼女にした
エノモトさんと
クラッカーの音と共に
パーティーを開催していた。
今日はエノモトさんの誕生日でもあるのだ。
『ありがとうトミー!キャ〜かわいい!嬉しい!』
トミーはジョウの兄に作らせた世界でひとつのネックレスを
エノモトさんの首にかけてあげた。
:08/06/06 21:11 :W51CA :H2Pa6if.
#831 [ザセツポンジュ]
『ねぇ、ねぇなんでケーキはいらないの?エノモトさんデブじゃないのに。』
ケーキを買いに行くつもりがかたくなに拒否されてしまった木田トミオ14歳。
『ケーキは一緒に食べたい人がいるの。』
エノモトさんはトミーからもらったネックレスを嬉しそうに手に取って見ていた。
『は!早くも浮気!?だ、誰!!!』
『おねーちゃん。』
トミーはネックレスをずっと眺めているエノモトさんをずっと見ていた。
『かわい〜。かわい〜ね。へへ〜。ってかお前ねぇちゃんいたの?』
彼女になって2分もすればお前呼ばわりする態度のデカさだが、悪い気はしないエノモトさん。
:08/06/06 21:17 :W51CA :H2Pa6if.
#832 [ザセツポンジュ]
『そう、7つ上におねぇちゃんがいるの。めったに帰って来ないけど。』
エノモトさんは
遠い目をした。
『めったに帰って来ないけど、俺にチュウして。』
トミーはエノモトさんのとてつもなく近い距離まで移動した。
チュ。
『うわ!めったに帰って来ないけど、お前!軽々しくチュウとかすんなよ!ヤリマンか!』
そう怒鳴って
トミーはエノモトさんに甘えて抱きついた。
エノモトさんは
照れてそのまま顔を赤らめていた。
:08/06/06 21:57 :W51CA :H2Pa6if.
#833 [ザセツポンジュ]
『めったに帰って来ないけど今日おねーちゃん帰ってくるよきっと。ねー。めったに帰って来ないけどあとでエッチしようねー。』
『やだ。』
『そうだよ!そう!一回は断って欲しいもん俺!』
なにがしたくてなにを理想としているのかは分からない少年だが、15歳になったエノモトさんは自分が思ったよりも速いスピードでトミーに惹かれて行くのであった。
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こないだ
携帯に非通知で
着信があったんだ。
でもどうしようもないから
画面を見つめていたら
また非通知で電話が
鳴り出した。
『はい。』
『…シンイチロウ。元気か?』
『あぁ。なんだ。なんで非通知なの?』
『それが使い方がよく分からなくって。』
:08/06/06 22:05 :W51CA :H2Pa6if.
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