クソガキジジイと少年」
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#836 [ザセツポンジュ]
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バイトへ向かう前に
少し早く家を出て
雑貨屋巡りをする女の子。
(なにがいいのかなぁ…もう中学生だもんなぁ)
リンゴ、イチゴ、バナナの小物…
人にプレゼントすることが苦手な人種。
自分が中学生の頃、何を欲しがっていたのかも、思い出せなかった。
(…これにしよう。)
『プレゼント用にしてください。』
可愛らしい写真入れを選んで、リボンのついた小袋を手に持ち、バイト先へ向かった。
懐石料理“廣六”
:08/06/17 22:19 :W51CA :Rv5ry/LU
#837 [ザセツポンジュ]
『悪いねぇ、きららちゃん。クリスマスなのに。昨日から珍しく予約が入って忙しくってな。夕方にはあがっていいからね。』
『いえいえ。かまいませんよ。』
『おや?彼氏と約束があるのかい?』
六さんは、きららちゃんが手に持った小さな紙袋に目をやって微笑んだ。
『違いますよ。今日、妹が誕生日なんです。』
『そうか!きららちゃん妹がいたんだったな!じゃあ今日きららちゃんが帰るまでに、用意しておくから、帰ったらワシの料理をみんなで食べなさい!ね!』
そう言って六さんは嬉しそうに笑った。
(みんなで…食べる…か。)
きららちゃんは
六さんの嬉しそうな笑顔を踏みにじることはできないだろう。
:08/06/17 22:25 :W51CA :Rv5ry/LU
#838 [ザセツポンジュ]
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『ただいまぁ』
『おじゃましまぁす』
きーさんとすーさんは
リビングに入って来た
少年少女を二度見した後
顔を合わせ、目をかっぴらいたまんま
慌てふためいた。
『ど、ど、ど、どどど、どうもどうも!エノ…エノキ…エノキダケ!エノキダケ、ドコモダケ買って来たか!』
すーさんの目は
今だかつてない速さで
泳いでいた。
『え?エノキ岳?』
好きな子を勇気を出して家に呼んだのにも関わらず、オープニングから様子のおかしい老人2人。
鈴木ジョウジロウ14歳、クリスマスの落胆。
:08/06/18 00:01 :W51CA :vSgbzwek
#839 [ザセツポンジュ]
『はじめまして、エノシタと言います。』
エノシタさんがおじぎをしたのも束の間、
きーさんは、ジョウもまだ握った事のないエノシタさんの手を握り
コタツへ案内した。
『はじめまして、エノシタさん。ワシの名前はシゲルです。62歳です。どうぞ、この辺に座って。』
すーさんは慌てて
エノシタさんのために
梅昆布茶を入れてあげようと、不思議な歩き方で台所へ移動。
おもむろに手に取るグラス。
『ちょ、ちょっと!きーさん!目が怖いよ!手も震えてるし!わっ!じーちゃん!じーちゃん、何やってんの!それ洗剤!食器洗うものでしょ!飲めないし!なんで挙動不審なんだよ!なんなの!!?2人してさ!』
:08/06/18 00:13 :W51CA :vSgbzwek
#840 [ザセツポンジュ]
ジョウは粉を入れて
ポットの湯を入れれば
すぐさま完成する梅昆布茶を、少し水でぬるめて
すーさんに飲ませた。
『ジョウジロウちゃん、いや、落ち着け。まぁ、そうアセるな。サンタさんが来なかったからって非行に走るなよ!エ!エ…エノシタさん!ケーキ食べようね〜、ね〜エノシタさん、ね〜。』
理不尽な理屈を並べているのはシゲル。木田シゲル62歳。
孫から注がれた
梅昆布茶と言う活動源で、少しだけ落ち着きを取り戻した、鈴木ヒトシ62歳。
この2人の老人、
『なに?殺人でも犯したの?ついに。』
と、少年に侮辱されてもなんらおかしくない行動をとっている。
:08/06/18 00:22 :W51CA :vSgbzwek
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