クソガキジジイと少年」
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#87 [ザゼツポンジュ]
『どーですかー。モーニングコーシーなんてどーですかー。ななくいのはおいしいっすよー。』
きーさんはエノシタさんの前に立ちはだかりチラシを差し出した。
『今から学校ですので。』『はぁーい、すんませーん』
傘から顔を出したエノシタさんを見た。きーさんはエノシタさんを見た。
メガネが少し邪魔をしていたがキレイな目をしたエノシタさんを、きーさんは、はっきりと見たのだ。
:06/06/13 04:33 :P701iD :5A22jEVw
#88 [ザゼツポンジュ]
『みーちゃん。みーちゃんはどうしてそんなにかわいいんだい!!?』
みーちゃんは困ったようにフフフと笑った。
そこがまたすーさんを刺激させてしまっているのだ。
『すーさん。口説いている場合か。エノシタさんを見たか!!?』
デレデレした表情を一変させ、男鈴木ヒトシは巣に戻った。
『ブスだ。』
そう言って梅昆布茶を口にふくんだ。
『トミオも同じことを言っていた。だがな、ワシはかわいいと思うんだがな。』すーさんは口にふくんだ梅昆布茶をそのまま垂れ流した。
:06/06/13 04:38 :P701iD :5A22jEVw
#89 [ザゼツポンジュ]
『おい!!大丈夫か!!?すーさんいきなりどうしたんだ?メンテナンス中か?しっかりしてくれ。』
みーちゃんはあわてておしぼりを持って来た。
『ありがとう、みーちゃん。みーちゃんは優しい子だねぇ…きーさん!!!!老眼にもほどがあるぞ!!よく見えすぎだ!!』
すーさんは素早く口元をちょちょいとふいた。
:06/06/13 04:42 :P701iD :5A22jEVw
#90 [ザゼツポンジュ]
『すーさん、落ち着いてくれ。ワシが悪かったよ。あの子は元がいいと言いたいだけだ。メガネと髪型が邪魔をしているもったいない。』
サービスでみーちゃんが新しい梅昆布茶を持ってきてくれた。
『みーちゃん。みーちゃんありがとねー。きーさん。お前は好きだなぁそういうのが。どれだけべっぴんになるか好きなだけいじればいい。』
『それだよすーさん。』
すーさんはため息をついて入れたての梅昆布茶に口をつけた。
『ぅあっちちち。』
すーさんは猫舌なのだ。
:06/06/13 04:47 :P701iD :5A22jEVw
#91 [ザゼツポンジュ]
━エノシタさん改造計画
その日の夕方、きーさんは家の電話から、トミーの携帯に電話をかけた。
トゥールルル、トゥールルル…
『なんだよ。』
『トミオ、部屋入ってもいいか!!?』 『いちいちわざわざドアの前で、かけてくんなよ!!』ガチャ。
『トミオ、コードレスとは便利だなぁ。』
糸でんわよりはもっぱら便利である。
『いいからもう切ろよ。なんだよ。』
トミーはベッドに寝そべって週刊誌を読んでいた。芸能情報もかかさずチェックだ。
:06/06/13 04:54 :P701iD :5A22jEVw
#92 [ザゼツポンジュ]
『お前かわいい女が好きなんだよな?具体的にどんなのが好きなんだ?』
『目がクリクリで髪の毛サラサラでいい匂いのするちょっとエッチで細い子。』きーさんは机の上に置いてある数学の問題集を手に取った。
『トミオ、センスないな、だめだ。』
きーさんはこんなにもおもしろくないパラパラ漫画を今だかつて見たことがない。
:06/06/13 05:00 :P701iD :5A22jEVw
#93 [ザゼツポンジュ]
初スキャンダルを起こした有名女優の記事を読みながらトミーはきーさんに問い掛けた。
『なんでだよ、じーちゃんはどんなのが好きなんだよ!!?』
『ワシはもっとユーモアのあるのが好きだ!!軟式テニスをしていると見せ掛けてズームアップしてみると目玉おやじをボールがわりにして遊んでいたというオチがあるやつとかな!!』
きーさんは、問題集を元の場所に置き、そそくさと階段を降りつっかけをはいた。
『どんな女だよ、気色わりぃよ。』
:06/06/13 05:04 :P701iD :5A22jEVw
#94 [ザゼツポンジュ]
━こちらは鈴木家。
『じーちゃん、そろそろまさこの散歩行ってきなよ。』
今日は、すーさんの当番だが雨なので外へは出たくない。
『ジョウジロウ。じーちゃん今日はお前に話がある。』
ジョウは分かっている。この話が長いということを。
『……うん。いや、じーちゃんまさこがね。』
さっきからずーっと吠えているのだ。
『ぅぁーーーわーわーわー。ちょっと今はじーちゃんの話を聞いてくれよぉ、頼むよぉー。』
すーさんは62歳になってもまだ聞き分けのないクソガキなのだ。
『わかった。わかったよ。』
:06/06/13 05:12 :P701iD :5A22jEVw
#95 [我輩は匿名である]
『よし、いい子だ。ちょっと待ってろ。』
すーさんは梅昆布茶と甘いカルピスを作りに下のリビングへと降りて行った。
すーさんちは新築だ。
階段なんて75度くらいの急な階段で、手すりはない。62歳にとっちゃ心臓やぶりの坂でしかない。
しかもコンクリートで固い。
完全に老人向きの家ではなく、近代的な、そしてデザイナーズ的なオシャレホームで暮らしているのだが、すーさんは肩身の狭い思いをしているのだ。
:06/06/13 05:42 :P701iD :5A22jEVw
#96 [ザゼツポンジュ]
この家の設計図を手がけたのは、建築士であるすーさんの娘。すなわちジョウの母親である。
62歳の同居人がいる事は、全面的に無視している。
殺意まで感じられるこの家は、きーさんさんの涙に飾られ2年前にそびえたったのだ。
命に支障のないように、なるべく階段を一段一段降りリビングに辿り着いた。カルピスの原液と梅昆布茶の粉を取り、ゆーっくり、ゆーっくりと時間をかけるすーさん。
まさこへの気遣いも忘れてはいない。
:06/06/13 05:48 :P701iD :5A22jEVw
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