クソガキジジイと少年」
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#911 [ザセツポンジュ]
『今日はね、笹の木が届くんだって。』

ジョウジロウがオレの袖をつかんで
ひっぱる。

『え?木が?』

『そうだよ。その木に短冊をくくりつけて、植えるんだよ。』

『そう言うイベントなの?』

『うん。にーちゃんも書きなよ。』

オレはジョウジロウからペンをもらった。

(何書こう。。。って、オレ、、、もう19なんだけど。)

⏰:08/07/07 00:18 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#912 [ザセツポンジュ]
ちょっと子供じみてて恥ずかしかったんだけど
横を見るとトミーがなんか楽しそうに
何枚も何枚も短冊書いてんの。

『お前、欲張りすぎじゃないのか、これ。』

『うるせーよ、ひきこもり。』

うぅ。
オレ、すごく傷ついたぞ。
自分が悪いんだけどさ。

⏰:08/07/07 00:18 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#913 [ザセツポンジュ]
“希望”

書くことに困ったから
カフェに行く前に
ふと頭に浮かんだ言葉を書いた。
そして誰にも見られないように
隠して持った。

よく晴れてて
セミがホンットうるさい。


大きなトラックが
こっちに向かって来る。

笹の木を乗せて。

小さい子供、小学生、
お母さん。

親子がちらほらいて出迎えてる。

⏰:08/07/07 00:19 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#914 [ザセツポンジュ]
笹の木を植える前に
短冊をくくりつけた。

『なんて書いたんだ?お前、髪切れよ。』

トミーはたくさん書いた
短冊を急いでくくりつけてる。

『いい美容師が見つかりますようにって書いたよ。』

『ハハ!そらそうだ。いい美容師がいないから髪切らないんだよな、シンちゃん。』

それもチクっと来たぞ、オレ。
まあオレが悪いんだけど。

⏰:08/07/07 00:19 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#915 [ザセツポンジュ]
そしてオレ達は
“七夕の席”と書かれている席に
座って、窓から
木が植えられるのを見ていた。

オレ、来て良かったって思ったんだ。
そして、小夜子ストロベリーと言う
変な名前のデザートを食べて、店を出た。

もちろん、オゴってもらったけど。
クズだよね、オレ。

『あ、先帰ってて。オレ、ちょっと行くとこあった。』

ジョウジロウとトミーを置いて
オレはある場所へ行った。

⏰:08/07/07 00:19 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#916 [ザセツポンジュ]
何を隠そう。
求人雑誌を取りに行っただけなんだけど。

『やっと働く気になったか、シンイチロっちゃん。』

こういうの、
誰にも見られたくなかったのに。
隣の家のじーさんが
立ってるんだよ。

『いや、、、うん。そう。何してんの?きーさん。』

⏰:08/07/07 00:20 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#917 [ザセツポンジュ]
『亀さんを、もらってね。名前ももう付けてやった。』

きーさんは虫カゴに小さめの亀を入れて
嬉しそうに見せてきた。

『名前なんて言うの?』

『トミー。』

にんまり笑ったきーさんと
夏の風。
夕方の匂い。
空の色。

⏰:08/07/07 00:20 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#918 [ザセツポンジュ]
あぁ、この気持ち
なんて言うんだろう。

何か起こりそうで
ワクワクするような
切なくて胸がキュンとなるような
何でも許せてしまいそうな、、、。

ごちゃ混ぜで
優しい気持ち。

何て呼ぶんだろう。

オレは、きーさんと
ゆっくり歩いて
家に帰った。
説教もされたけど。
きーさんの言い方は嫌じゃない。

⏰:08/07/07 00:20 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#919 [ザセツポンジュ]
『じゃーね、きーさん。』

『たまには出ろよ、家。』

『了解なまこん。』

きーさんはオレに背を向けて
手をふってきた。

それを確認したオレは
自分ちの玄関の扉を開けた。

ウチのじーちゃんは
犬のまさこの散歩の事で
ジョウジロウと何か
話してる。
話してると言うか
意地悪言ってるよ、また。

ふざけた老人だ。
バカだなぁ。

⏰:08/07/07 00:21 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


#920 [ザセツポンジュ]
屋根裏部屋に戻ったオレ。
部屋の片付けをしようと
思った矢先、

隣の家から大きな声が聞こえてきた。

『トミー。トミーやぁい、おーい。』

きーさんは、さっきもらった亀に
声をかけてる。
トミーが怒鳴ってる。

⏰:08/07/07 00:21 📱:PC 🆔:WBqr7ZlI


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