クソガキジジイと少年」
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#912 [ザセツポンジュ]
ちょっと子供じみてて恥ずかしかったんだけど
横を見るとトミーがなんか楽しそうに
何枚も何枚も短冊書いてんの。
『お前、欲張りすぎじゃないのか、これ。』
『うるせーよ、ひきこもり。』
うぅ。
オレ、すごく傷ついたぞ。
自分が悪いんだけどさ。
:08/07/07 00:18 :PC :WBqr7ZlI
#913 [ザセツポンジュ]
“希望”
書くことに困ったから
カフェに行く前に
ふと頭に浮かんだ言葉を書いた。
そして誰にも見られないように
隠して持った。
よく晴れてて
セミがホンットうるさい。
大きなトラックが
こっちに向かって来る。
笹の木を乗せて。
小さい子供、小学生、
お母さん。
親子がちらほらいて出迎えてる。
:08/07/07 00:19 :PC :WBqr7ZlI
#914 [ザセツポンジュ]
笹の木を植える前に
短冊をくくりつけた。
『なんて書いたんだ?お前、髪切れよ。』
トミーはたくさん書いた
短冊を急いでくくりつけてる。
『いい美容師が見つかりますようにって書いたよ。』
『ハハ!そらそうだ。いい美容師がいないから髪切らないんだよな、シンちゃん。』
それもチクっと来たぞ、オレ。
まあオレが悪いんだけど。
:08/07/07 00:19 :PC :WBqr7ZlI
#915 [ザセツポンジュ]
そしてオレ達は
“七夕の席”と書かれている席に
座って、窓から
木が植えられるのを見ていた。
オレ、来て良かったって思ったんだ。
そして、小夜子ストロベリーと言う
変な名前のデザートを食べて、店を出た。
もちろん、オゴってもらったけど。
クズだよね、オレ。
『あ、先帰ってて。オレ、ちょっと行くとこあった。』
ジョウジロウとトミーを置いて
オレはある場所へ行った。
:08/07/07 00:19 :PC :WBqr7ZlI
#916 [ザセツポンジュ]
何を隠そう。
求人雑誌を取りに行っただけなんだけど。
『やっと働く気になったか、シンイチロっちゃん。』
こういうの、
誰にも見られたくなかったのに。
隣の家のじーさんが
立ってるんだよ。
『いや、、、うん。そう。何してんの?きーさん。』
:08/07/07 00:20 :PC :WBqr7ZlI
#917 [ザセツポンジュ]
『亀さんを、もらってね。名前ももう付けてやった。』
きーさんは虫カゴに小さめの亀を入れて
嬉しそうに見せてきた。
『名前なんて言うの?』
『トミー。』
にんまり笑ったきーさんと
夏の風。
夕方の匂い。
空の色。
:08/07/07 00:20 :PC :WBqr7ZlI
#918 [ザセツポンジュ]
あぁ、この気持ち
なんて言うんだろう。
何か起こりそうで
ワクワクするような
切なくて胸がキュンとなるような
何でも許せてしまいそうな、、、。
ごちゃ混ぜで
優しい気持ち。
何て呼ぶんだろう。
オレは、きーさんと
ゆっくり歩いて
家に帰った。
説教もされたけど。
きーさんの言い方は嫌じゃない。
:08/07/07 00:20 :PC :WBqr7ZlI
#919 [ザセツポンジュ]
『じゃーね、きーさん。』
『たまには出ろよ、家。』
『了解なまこん。』
きーさんはオレに背を向けて
手をふってきた。
それを確認したオレは
自分ちの玄関の扉を開けた。
ウチのじーちゃんは
犬のまさこの散歩の事で
ジョウジロウと何か
話してる。
話してると言うか
意地悪言ってるよ、また。
ふざけた老人だ。
バカだなぁ。
:08/07/07 00:21 :PC :WBqr7ZlI
#920 [ザセツポンジュ]
屋根裏部屋に戻ったオレ。
部屋の片付けをしようと
思った矢先、
隣の家から大きな声が聞こえてきた。
『トミー。トミーやぁい、おーい。』
きーさんは、さっきもらった亀に
声をかけてる。
トミーが怒鳴ってる。
:08/07/07 00:21 :PC :WBqr7ZlI
#921 [ザセツポンジュ]
ミシンの周りの糸くず、
布の切れ端、
紙くず、ゴミ。
ゴミばっかり。
何着作ったんだろう、服。
結構あるな。
何枚描いたんだろう、絵。
結構あるな。
、、、。
これ全部売ればいいじゃん!
何かしないとダメだよね、オレ。
:08/07/07 00:22 :PC :WBqr7ZlI
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