からっぽの心
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#368 [みぃ]

予想以上の大きな声が、
日の暮れた住宅街に響いた。

大原は少しびっくりした顔をしたけど、
強張っていた表情は緩んだ。


『だからさ・・・。
 ありがとう』

「・・・え?」


ずっと伝えたかった言葉。

⏰:07/12/10 10:37 📱:SH903i 🆔:fAon9AqU


#369 [みぃ]

『お姉ちゃんを好きになってくれて・・・
 愛してくれて・・・
 ありがとう。

 大志くんがお姉ちゃんの彼氏でよかった。』




同情でも
いたわりでもなくて

偽りのない


真実(ほんとう)の気持ち。

⏰:07/12/16 00:45 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#370 [みぃ]


きっと ずっと伝えたかった。


お姉ちゃんから大志くんを紹介してもらった時に、
言おうと決めていた言葉。


遺影の中で屈託なく笑うお姉ちゃんは
大志くんに会わなければ

いないから。

⏰:07/12/16 00:49 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#371 [みぃ]

大志くんの瞳からは、
止まる気配のない大粒の涙が溢れている。


一粒
一粒

意味を持って。


何も言わないかわりに
大志くんの気持ちが重力に逆らうことなく

こぼれていく。

⏰:07/12/16 00:51 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#372 [みぃ]


あたしは少し乱れた呼吸を整えながら、
その様子をボーっと見ていた。


『ありがとう・・・。
 ・・・夢芽ちゃん。』


大志くんの言葉があたしのからっぽだった心に突き刺さる。


胸のつっかえがスーッと音を立てて消えていくのが聞こえた気がした。

⏰:07/12/16 00:55 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#373 [みぃ]

あたしの体中の悪いものが一瞬にして浄化したような開放感。

至福に包まれているようなフワフワした感覚。


本当は ずっと

こんな風に


人と向き合いたかったの。


【アタシ】
を認めて欲しかったの。

⏰:07/12/16 00:59 📱:SH903i 🆔:c6k9jGDY


#374 [みぃ]



――――――――――――



「おかえり。」


大志くんと別れて施設の門をくぐろうとしたあたしの足は、
その声で動くことを止めた。

⏰:07/12/21 19:36 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#375 [みぃ]

破れたポスターの貼りつけてある電柱の影から現れた姿に、
目を疑った。


『豊・・・?』


思わず声に出して確かめてしまった。


「はッ!
 なんで疑問形?」


人を小バカにした様に笑う豊の顔は、
どこか懐かしく思えて涙が溢れた。

⏰:07/12/21 19:42 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#376 [みぃ]

「――は?!
 なに泣いてんだよ!?」


慌ててあたしの元にかけ寄ろうとした豊を、
涙を拭っていない方の手で制する。


『―――わかんないからっ・・・。』

「・・・なにが?!」


踏み出した足を半歩戻して豊は尋ねる。

⏰:07/12/21 19:49 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


#377 [みぃ]


「ばーか!!」


その場に似つかわしくない豊の間の抜けた声に耳を疑った。


『・・・・・・は?』


頭の中はぐちゃぐちゃだったけれど、
ぐちゃぐちゃなりに様々なパターンを想定していた。

けれど、豊の言葉はどのパターンにも当て嵌まってはいなかった。

⏰:07/12/21 19:54 📱:SH903i 🆔:4ZPSdW3c


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