からっぽの心
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#395 [
みぃ
]
運賃を払い、
運転手さんにお礼を行ってバスを降りると、
雨はすっかり上がり、
水たまりだけが残っていた。
【吉野霊園】
そう記された石柱の横を通りすぎ、
桶に水を汲んで、
再び歩きだす。
:08/01/01 02:49
:SH903i
:FHVRgNWE
#396 [
みぃ
]
ここに来るのは一年ぶり。
去年の3月27日に来て、
今年で2回目になる。
頭の中の記憶を頼りに進んで行き、
目的の墓石に辿り着いた時、
墓石の前にしゃがみ込んでいる人影が目に入った。
『卒業、おめでとう。』
:08/01/01 02:53
:SH903i
:FHVRgNWE
#397 [
みぃ
]
あたしの声でその人物は振り返り、
顔を上げた。
「夢芽ちゃん。」
声の主は、
卒業式ぶりに会う大志くん。
『大志くん、早いね。
いつ来たの?』
「ん?
さっきだよ。
今来たとこ。」
:08/01/01 03:06
:SH903i
:FHVRgNWE
#398 [
みぃ
]
そう言って笑い、
また墓石と向き合う。
そう。
今日はお姉ちゃんの命日。
お姉ちゃんがいなくなって丸2年が経った。
:08/01/01 03:09
:SH903i
:FHVRgNWE
#399 [
みぃ
]
毎年、この季節は心の傷が疼く。
胸を締め付ける痛みの重さに、
まだ思い出にするには早い年月なのだということを改めて知る。
用意した献花を供え、
墓石に水をかける。
雨で濡れた墓石は色に変化がなく、
水をかけた実感がなかった。
:08/01/01 03:16
:SH903i
:FHVRgNWE
#400 [
みぃ
]
『お墓、きれいにしとあるよね。』
雑草の生い茂っている周りの墓石に比べ、
お姉ちゃんのお墓は去年もきちんと手入れしてあった。
「おばさん、よく来てんだよ、きっと。」
お姉ちゃんが死んでしばらくした後、
施設に一本の電話が入った。
お姉ちゃんの実の母親からだった。
:08/01/10 21:47
:SH903i
:g9BX27JI
#401 [
みぃ
]
お姉ちゃんは3歳の時、
うちの施設に預けられた。
うちの施設に預けられている子は、
みんな何らかの事情があって預けられているのだけど、
お姉ちゃんの場合は、
【虐待】
だった。
:08/01/10 21:55
:SH903i
:g9BX27JI
#402 [
みぃ
]
母子家庭で育ったお姉ちゃんは、
実の母親から毎日虐待を受けていた。
仕事や家事でのストレスのはけ口。
それは日に日にエスカレートしていく。
ある日、
お姉ちゃんは頭を4針縫うケガを負い、
入院した。
:08/01/10 21:59
:SH903i
:g9BX27JI
#403 [
みぃ
]
母親は初めて自分のした事の重大さを知り、
お姉ちゃんを
【ショートスティ】
ということで二週間施設に預けた。
そして、
そのまま姿を消した。
:08/01/10 22:02
:SH903i
:g9BX27JI
#404 [
みぃ
]
二週間後に迎えに来るはずの母の姿はなく、
連絡もとれなくなった。
そして、
それからうちの施設で13年間生活した。
お姉ちゃんが物心ついた頃に施設の先生に教えてもらったのは、
これだけだった。
まだ他にも理由あっただろうけど、
おそらくお姉ちゃんのことを想って言わなかったのだろう。
:08/01/10 22:07
:SH903i
:g9BX27JI
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