恋愛喫茶店
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#485 [向日葵]
差し延べられた手を半ば呆然として握る。
そして教室を出て行く時にマスターが一言。
マスター「名前。健輔なんて嘘ですよ。」
ピシャン
…………
「「エェェェェェ!!!!」」
中に入る女子は大騒ぎ。
一方の私もびっくり。
世津「え?マスター…?」
マスター「……どこか、空いてる教室はありませんか?」
そう言ったマスターはいつもの優しいマスターに戻っていた。
:07/05/07 00:53
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#486 [向日葵]
――――……
階の一番端にある空き教室に私達は入った。
女子軍団が乗り込んできてはダメなので、一応鍵を閉める。
ガチャン
『…ちょっと待って……。』
男女が密室に2人…。それってかなりヤバくない?!
マスター「世津さん」
世津「はいぃぃぃぃっ!!」
意識しすぎて突然のマスターの呼びかけに飛び上がる私。
マスター「どうぞこちらへ。制服をキレイにします。」
:07/05/07 00:58
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#487 [向日葵]
マスターはズボンのポケットからハンカチを取り出し、パッパッと足跡を払ってくれた。
少し汚れているけれど、大分マシになった。
そしてグシャグシャになった髪の毛をほどく。
世津「あ、マスターいいです!そのままで!!」
マスター「じゃあ。手櫛で失礼します。」
マスターの細くて長い指が私の髪の間を通る。
なんだかドキドキして、ゾクッとした。
マスター「キレイな髪をなさってますね……。」
:07/05/07 01:03
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#488 [向日葵]
世津「や、あの…っ」
マスター「私の母もそうでした。」
『えっ……』
髪の毛をキレイにし終ったマスターは私の後ろに立ったまま話始めた。
マスター「私は、両親に捨てられたんです。9つの時に……」
世津「……っ!」
マスターはそれから弧児院で育てられ、喫茶店の元マスターに育てられたんだと言う。元マスターは2年前に亡くなり、今はマスターが継いでいる。
:07/05/07 01:10
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#489 [向日葵]
マスター「私を育ててくれた父は、それは優しく、愛情を持って接してくれました。……でも名前で呼ばれることはありませんでした。」
世津「どー…して?」
私は振り向いた。
するとマスターは穏やかな、だけど寂しそうな顔をしていた。
マスター「私が、名前を教えなかったんです。いえ知っていたでしょう。でも私は自分の名前が嫌いで偽りの名前を言いました。それが……健輔なんです。」
世津「口からでまかせじゃなかったんですね……。」
私はクスッと笑った。
マスターも少し笑顔になった。
:07/05/07 01:16
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#490 [向日葵]
マスター「世津さん。私の名前を呼んでくれませんか?」
世津「え……?」
マスター「貴方に呼ばれたら好きになれそうなんです。」
私は少し考えた。
それはマスターが私に心を預けてる様な気がした。
ならば私もマスターに心を渡そう。
世津「マスター。私は貴方が好きです。お名前を聞いてもいいですか…?」
マスターは少し目を見開いて、直ぐに暖かい笑みを溢した。
:07/05/07 01:20
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#491 [向日葵]
マスター「な…つきです。五十嵐 那月。」
世津「いが…らし……那月……。」
私は知らず知らずにマスターの頬に手を添えた。
世津「那月さん…那月さん……」
マスターは目を閉じて私の手に手を添える。
世津「那月…。」
マスターは少し目を開けて幸せそうに笑う。
マスター「世津さん。唇切れてますよ。大丈夫ですか?」
世津「あぁ。多分さっきの……」
:07/05/07 01:27
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#492 [向日葵]
「さっきの時ついた傷です。」そう言う前にマスターの唇が私の唇に重なった。
外では、みんながその一瞬を楽しむように騒いでいる……。
―――……
マスター「これが最後のお話です。如何でしたか?」
世津「ちょっと那月さん!ミルクティー注文出てますよー!」
マスター「ハイ。只今。」
:07/05/07 01:33
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#493 [向日葵]
ここは恋愛喫茶店。
様々な恋愛話を、ここのマスターと……奥さんが話してくれる不思議な喫茶店。
次また貴方が必要な時に、扉が開くでしょう。
では
またのご来店を心よりお待ちしています……。
カラン…カラン……
:07/05/07 01:35
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#494 [向日葵]
:07/05/07 01:37
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