きみを送るA
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#206 []
「……………」

「志乃くん…」

「…当たり前やろ…友達やん!」

俺は顔がカァーっと赤くなった。

コウは驚いた表情で俺を見つめた。

「………………」

「…そうですね僕たち…友達…ですね…」

⏰:07/05/08 03:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#207 []
心なしか、コウも少し嬉しそうな顔をした。

「…おう、友達や」

俺はコウに向かい、照れながらもニコッと笑った。

「…初めて友達ができました」

コウもニッコリと笑い、
俺を見つめた。

「では聞いて下さい」

⏰:07/05/08 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#208 []
長いので略します。

語り手。おなじみ柏木志乃

コウが神谷家に引き取られたのはコウが5歳の時だった。
その時、神谷家には【旬】という名の5歳の子供がいた。
コウを引き取った
つまりコウの義父、尚人、義母、正子は
旬の遊び相手を探し、コウを養子にしたという。

⏰:07/05/08 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#209 []
「のちのちわかった事ですが、義父母は知的障害の弟のかわりの後継ぎを探していたみたいですけどね」

コウが養子になり、神谷家に入った時
旬はとても喜んだらしい。コウをお兄ちゃん、と呼び本当の兄のように慕って、常にコウにつきまとっていた。
コウも旬を実の弟のようにかわいがっていた。

⏰:07/05/08 03:11 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#210 []
コウの義父母も
それをにこやかに見ていた…最初の頃は。

そのうち、義父母は気付いてしまった。

コウの
ずば抜けた頭の良さに。

それはコウと旬を
幼稚園に迎えに行った時だった。

《コウくん、小学三年生の数学を簡単に解いたんですよ》

その保育士の一言だった。

⏰:07/05/08 03:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#211 []
義母は、その言葉を
義父に伝えた。
その日の夜、

《コウ、この問題を解いてみろ》

義父は小学四年生の問題集をコウに渡した。

コウは不思議に思いつつもすらすらと問題を解いてしまった。

《これは驚いた。コウは天才だ》

義父はその日から
コウの見る目を変えた。

そう、人間ではなく
人形として――

⏰:07/05/08 03:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#212 []
「その頃から、僕は義父母にとっての人形だと気付きました。だから僕は感情を表に出せなくなった…」

「なんで気付いた?」

コウはフッと笑い、
ティーシャツの上から脇腹をさすった。

「出来ない問題があれば、暴行を受けましたから。小学五年生の問題を。僕が5歳なのにですよ?おかしな話でしょう?」

⏰:07/05/08 03:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#213 []
「お前は出来ないのか、お前はなぜこんな問題も出来ないのか、と。出来ない問題があれば毎日のように暴行を受けました。僕、5歳だよ?などと口応えすると暴行は更にひどくなりました。僕が感情を抑えるのは当然でしょう」

「…ひでぇ……」

「それでも、僕は耐えなければいけなかった。僕には行く場所など他にはなかったんですから」

⏰:07/05/08 03:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#214 []
コウが毎日毎日
自分の年齢よりはるかに上の勉強をしている中、
その事件は起きた。

「僕が小学校三年生の時でした」

夏休みになり、
義父母が伊豆の別荘に行こう、と言い出した。

「…あの別荘か?」

「はい、そうです」

⏰:07/05/08 03:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#215 []
「庭にプールがあったのを、ご存知ですよね」

妖怪に会った事やし
忘れられません。

「僕と旬は二人でプールで遊んでいました」

その日は珍しく、
義父母はコウに何も言わなかったらしい。

思いっきり遊べ、としか。

⏰:07/05/08 03:33 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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