きみを送るA
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#500 []
「そりゃ〜べっぴんは忘れへんわ〜」

俺は少し照れながら頭をかいた。

「本当〜?嬉しいな〜」

「マジっス!!」

照れる俺の隣で
コウは涼しい顔をして空を見上げている。

「きれいですね」

⏰:07/06/01 03:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#501 []
「え…あたしが?あなた達友達〜?」

店員さんはコウをニコニコした表情で見ている。

「いえ、空がきれいだと言いました」

おい!!!!

固まる俺と店員さんをよそに
コウは目を細めながら空を見上げている。

⏰:07/06/01 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#502 []
「あ〜ハハハ…こいつ連れやけど、変なやつでさ〜」

苦笑いする俺。

「そっ…か〜あはは」

苦笑いする店員さん。

「……………」

清々しい表情で空を見上げ無言のコウ。

こいつはしゃあしゃあと……
フォローしなあかんの俺なんですけど!!

⏰:07/06/01 03:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#503 []
「ねぇ、名前教えてもらってもいいかな?」

「俺っスか!?」

「うん。だめ?あたしはアコっていうの」

アコ!!
かわいい名前〜。

「俺は志乃。こっちはコウやで〜!」

「志乃くんとコウくんね、わかった〜!!」

⏰:07/06/01 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#504 []
「志乃くん早く行きましょうよ。幸子さんが待ってますよ」

「あーっ!ほんまや!アコさんまたね!!」

「あっ…志乃くん…」

歩きだそうとした俺を
アコさんが呼び止めた。

「何スか?」

「顔に何かついてるよ」

⏰:07/06/01 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#505 []
アコさんはそう言うと
俺の顔にすっと手を伸ばしてきた。

ぎゃーー!!!
やばい!ハズイ!!

俺は固まってアコさんのされるがままになっていた。

「ほら、ここに…」

アコさんは
俺の目をじっと見つめた。

⏰:07/06/01 03:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#506 []
「………………」

またや……

また……

頭がぼーっとしてくる…

頭が重い……。

なんやこれは……

「とれたよっ」

アコさんの言葉で
俺はハッとした。

「あ、ありがと!ほな、またね〜!!」

「また店に来てね」

⏰:07/06/01 03:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#507 []
「おう!また枝豆買いに行くわ〜!」

俺はアコさんに手を振り、駅に向かって歩いた。

コウも振り返りアコさんに軽く会釈をして歩き出した

スタスタと足早に歩くコウの背中越しに、
《ガリッ》と爪を噛む音が聞こえたような気がした。

⏰:07/06/01 03:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#508 []
「志〜乃〜!!」

駅につくと
ちょうど幸子が改札を通るところだった。

「さっちこ〜!!」

俺は改札口に駆け寄った。

「ふふ。久しぶり」

かわいい笑顔で俺の手を握る幸子。

俺は幸せ者や〜。

⏰:07/06/02 01:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#509 []
「幸子さんこんにちは」

「あれ〜神谷くん。どうしたん?」

「ああ、実はですね…」

「今コウと住んでんねん」

「えっ…?そうなん?」

幸子は驚いたように
目を見開いた。

「うん、でも今日は…」

⏰:07/06/02 01:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#510 []
「今日は?」

なんつーか…その……

「今日僕は少し予定があるので」

コウは幸子を見て微笑んだ

「そーなんや。じゃあ志乃と二人なん?」

「お…おう!二人きりやで!!」

⏰:07/06/02 01:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#511 []
今日こそは脱童貞!!と意気込む俺と
それを感じとり顔を赤らめる幸子を
コウはニコニコしながら見ていた。

「では僕はこれで」

「神谷くんまたねっ」

「はい。志乃くん…」

コウは俺の耳元で

「2時間したら戻りますからそれまでに」

と言った。

⏰:07/06/02 01:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#512 []
「サンキューな」

俺はコウに感謝し、
幸子と二人で家に向かった

「見ない間に少しやせたんちゃう?」

幸子が俺をまじまじと見ながら言った。

「そーか?わからへん」

「絶対やせたよ。ちゃんと食べてる?」

「食べてるで」

⏰:07/06/02 01:36 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#513 []
「ほんまかな〜?」

「ほんまやって」

幸子はうーんと唸り、
閃いたような表情をした。

「あたし料理作るよ!あのスーパー寄っていい?」

幸子が指さしたのは
スーパー枝豆だった。

⏰:07/06/02 01:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#514 []
「料理とかえ〜って…」

それよりお前と甘い時間を過ごしたいんやけど

「お願い。志乃に元気になってほしいねん」

幸子は困った表情で俺にお願いをする。

かわいすぎる!!
幸子お前を俺のハート泥棒として逮捕する。

「わかった。ほな作って」

⏰:07/06/02 02:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#515 []
幸子はニッコリと笑い、
スーパーに入っていった。

「何食べたい〜?」

「幸子の得意なやつ」

「え〜何にしよっかな」

ニコニコしながら食材を見る幸子をみて、俺は自然に笑みがこぼれた。

「ねーねー」

ふいに幸子が俺を呼ぶ。

⏰:07/06/02 02:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#516 []
「どした?」

「ふふふ」

俺の問いに幸子は俯きながら笑い出し、答えない。

「なんやねんな?」

「なーんかさ〜こうして二人で買い物とか…夫婦みたいやね!」

言ったあと幸子は顔を真っ赤にして足早にカートを押し、俺から離れた。

⏰:07/06/02 02:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#517 []
「ふ……ばーか」

「何か言った〜!?」

「いや、別に」

あ〜なんちゅーかわいいやつやねん幸子って。

俺は照れる幸子をからかうように幸子にくっついて歩いた。

レジに向かうと、そこにはアコさんがいた

⏰:07/06/02 02:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#518 []
「志乃くん!さっそくきてくれたんだねっ」

「どーも〜」

俺はアコさんに軽く会釈した。

「隣の子は彼女かな?」

「そうです〜」

俺は照れながらもアコさんに幸子を紹介した。

「志乃くん彼女いたんだね〜」

⏰:07/06/02 02:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#519 []
「そりゃ、まぁ…」

「カッコイイもんね!あたしも志乃くんタイプだし」

おいおい。
何を言い出すんやこの人。しかもマイハニー幸子の前で。

「またまた〜冗談やめてくださいよ〜」

「冗談じゃないよ」

⏰:07/06/02 02:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#520 []
からかうようにしていたアコさんの顔から
一瞬笑顔が消えた。

「幸子ちゃん、油断してたら奪っちゃうからね」

冗談とも本気ともわからない口ぶりで
アコさんが幸子に言った。

幸子は困ったような表情をしている。

⏰:07/06/02 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#521 []
ちょっと…
いくらべっぴんでも
幸子を困らせるのはいただけん。

「俺の女困らせんといて」

俺はアコさんに向かい
冷たく言い放った。

「ごめ〜ん!冗談だから!怒んないでよっ。幸子ちゃんもごめんね?」

⏰:07/06/02 02:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#522 []
幸子は悲しそうな表情をしていたが、
アコさんに向かい笑顔を見せて

「志乃は誰にも渡しません。あたしの彼氏やから」

と言った。

アコさんはその言葉を聞きほんの一瞬、
幸子を物凄い目付きで睨んだ。

それはほんの一瞬すぎて
俺はその表情が見間違いだと思ってしまった。

⏰:07/06/02 02:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#523 []
「ありがとう。またきてね!」

レジが終わり、アコさんは笑顔で俺達に向かい言った。が、俺は何も答えなかった。

幸子を悲しい表情にさせた、俺はアコさんが許せなかった。

もう二度とスーパー枝豆には行かない、と俺は思った

⏰:07/06/02 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#524 []
食材を袋につめ、
俺達は家へ向かい歩いた。

「…さっきの店員さん…知り合い?」

幸子が遠慮がちな表情で俺に問いかけた。

「少し話すくらいやで」

「………………」

「ほんまやで」

⏰:07/06/02 02:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#525 []
「でも…あの人志乃のこと名前で呼んでた」

「まぁ…さっき名前聞かれたからな〜…」

「……やだ……」

「え?」

立ち止まり俺の服の裾を掴む幸子の目には
うっすらと涙がたまっていた

「えっ…どしたん?」

⏰:07/06/02 02:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#526 []
「やだよ……」

「幸子?何泣いてん?」

焦る俺。

「あの人…志乃の事…奪うとか言ってた…」

幸子の大きな目からは
涙がぽたぽたと落ちた。

「俺にはお前がおるやん」

「…でもぉ……」

泣き続ける幸子。

⏰:07/06/02 02:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#527 []
不謹慎か?

俺はやきもちで泣いている幸子を見て、
おもしろくなってきた。

「…ぷっ」

思わず吹き出してしまった俺を、幸子は怪訝な表情で見上げた。

やべーやべー。

「何…笑ってるん……」

⏰:07/06/02 02:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#528 []
「笑ってへん」

「笑ってるやん!!」

「笑ってないって」

幸子は俺の胸板をぽかぽかと叩く。

かわいすぎる…。
なんでこんなかわいい生き物が生まれんねやろ。

「ごめんって。早く家行くで。幸子の料理食いたい」

⏰:07/06/02 02:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#529 []
俺の言葉に幸子はハッとして歩きだした。

「今日はスタミナ丼を作りま〜す!いっそげ〜!」

「…スタミナ丼…か」

俺はフッと笑みが漏れ、
幸子のあとをついて歩いた

これから
あんな出来事が起きるとも知らずに…。

⏰:07/06/02 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#530 []
家につき、幸子はさっそく台所にたった。

「出来たら呼ぶから志乃はテレビでも見ててな!」

「手伝うわ」

「だめ!志乃が手伝ったらマズなるやんっ」

「…ふざけろ」

「はいはい!あっち行ってて〜!」

幸子に背中を押され、俺は台所から追い出された。

⏰:07/06/03 03:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#531 []
「おもろいテレビなんてしてねーっての…」

……って、テレビ見てる場合か!
今日こそは脱童貞や!

俺は振り返り台所に立つ幸子を見つめた。

フンフンと鼻歌を歌いながら食材を切っている幸子に俺は欲情してきた。

⏰:07/06/03 03:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#532 []
「なぁ……」

俺は幸子の背後に立ち、腰に手を回す。

「志〜乃〜!今料理中やから邪魔しやんといて!」

幸子は俺からスルリと抜け、俺に背を向けた。

幸子の耳が赤い。

再度俺は幸子を抱きしめる

⏰:07/06/03 03:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#533 []
「…照れてんの?」

幸子の耳元で囁くように俺は言う。

「も〜!何言って…」

振り返り俺を見る幸子の表情が一瞬固まった。

「お前が欲しい」

「……志…乃……?」

⏰:07/06/03 03:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#534 []
幸子は俺の顔を見ながら
どんどん後退りする。

「幸子…」

「…や……だ……来ないで……」

幸子?

「…志乃…じゃない…」

幸子?

「やめ…て……」

幸子の表情は
今まで見たことがないくらい脅えていた。

⏰:07/06/03 04:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#535 []
「やめて…志乃……怖い……やだ……」

……怖い?

俺が怖い?

「ふざけんな!!!」


「きゃあ!!!」

幸子の悲鳴と共に
ガツッと鈍い音がした。

俺の右手には違和感。

…………え……?

⏰:07/06/03 04:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#536 []
ハッとした時には

遅かった。

「さち…こ……?」

俺の目には
頬を押さえながら俯き震える幸子が映った。

う…そだろ……?

俺が……

「志乃…なんで……?」

俺が幸子を殴った……

⏰:07/06/03 04:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#537 []
身体中から血の気が引くのがわかった。

俺はガクッとひざをつく。

俺は……

最愛の女を

この手で殴ってしまった。

「……幸子……」

幸子の頬に手を伸ばすと
幸子はビクッと震え、俺から離れた。

「…ごめん…幸子ごめん」

⏰:07/06/03 04:11 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#538 []
幸子は何も答えなかった。

ただただ俯いて泣きながら震えている。

どのくらい時間が立ったのだろう。

ふと、玄関が開く音がした

「ただいま戻りました」

コウの声が玄関から聞こえてきた。

⏰:07/06/03 04:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#539 []
「志乃くん?戻りましたよ。志乃くーん」

だんだんとコウの声が近付いてくる。

ガチャッとリビングのドアが開くと同時に
驚いた表情のコウが叫んだ

「どうしたんですか!?」

⏰:07/06/03 04:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#540 []
コウは俺達の元にかけより幸子と俺を交互に見た。

「何があったんです!?幸子さん大丈夫ですか!?」

コウは幸子の顔を心配そうに覗き込んだ。

「志乃くん…」

幸子の肩を優しく掴みながらコウは俺を見上げる。

「…志乃くん……何があったんですか……」

⏰:07/06/03 04:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#541 []
俺は何も答えられなかった

俺が幸子を殴ったなんて

何かの間違いや…。

でも確かに俺の右手には

人を殴ったとき特有の痺れがある。

……どうして俺が…

「話はあとから聞きます。僕は幸子さんを送りますので」

⏰:07/06/03 04:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#542 []
コウはヨロッと立ち上がる幸子の肩を抱き、リビングのドアを開けた。

俺は呆然とその場にひざをついたままだ。

リビングから出る幸子が
ゆっくりと俺に振り返った

「…あたし大丈夫やから…気にしやんでな……?」

無理矢理笑ってみせる幸子の頬は痛々しい程赤くて
俺は涙が流れた。

「…ご…めん………」

⏰:07/06/03 04:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#543 []
【第24章 侵蝕】

コウと幸子が家を出たあとも俺は動けなかった。

幸子が切った食材だけが虚しく台所に散らばっている

「やっほーー!!」

シンと静まっていたリビングに明るい声が響いた。

「志乃〜!久しぶり!さきが戻ってきましたぁ!」

⏰:07/06/03 04:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#544 []
「…さ……き……?」

そういえばいたね、そんな人(霊)も。

「どうしたの〜?暗いなぁ〜。ねっ、コウは!?」

さきは嬉しそうに俺の周りをピョンピョンと飛び回った。

……やめろ。

頭がズキズキする。

⏰:07/06/03 04:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#545 []
「志乃くーん?マジで元気ないね〜!どしたの?」

うるさい…

頼む。黙ってくれ…

「さきの元気わけてあげるよ〜!!」

頼むから出てってくれ…

「は〜い!志乃に元気を…きゃああ!!!」

⏰:07/06/03 04:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#546 []
リビングには
甲高いさきの悲鳴。

そして俺の手は

「…志……乃……」

さきの心臓へ食い込んでいた。

ニヤリと口角があがるのがわかる。

「霊なら痛みも感じないだろ?」

俺の声ではない低い声で
俺は冷たく言い放った。

⏰:07/06/03 04:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#547 []
「志乃…なん…で…?」

さきが俺の腕を掴みながら苦しそうな表情をする。

「へぇ?苦しいのか?お前ら霊は痛みも何も感じないんだろ?」

ニヤニヤと笑う俺の腕は
さきの心臓に食い込んだままだ。

何だこれは…
俺の腕には冷たいけどぬるっとした感触。

⏰:07/06/03 17:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#548 []
「志乃…やめて…」

やめたい

やめたいけど

俺の身体が勝手に…

「お前はなぜ下界にいるんだ?」

冷静な口調で俺は問う。

「なぜさ迷っている?」

不敵な笑みを

浮かべたままで

⏰:07/06/03 17:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#549 []
「あ…志乃……やめ…」

さきのか細い声は
ある人物により掻き消された。

「志乃くん!!何やってるんですか!!」

コウは俺の元へ駆け寄る。

「チッ…邪魔が入った」

俺はそれだけ呟くと
目の前が真っ暗になった

⏰:07/06/03 18:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#550 []
「志乃くん!!」

頭の奥から
コウが俺を呼ぶ声が聞こえてくる。

「志乃くんしっかり!!」

わりぃ…

身体が動かない…

「志乃くん!!」

俺は深い眠りについた。

⏰:07/06/03 18:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#551 []
 
―――――……‥‥

《誰……?》

《誰なの……?》

俺は夢を見ていた。

《やめて………》

脅える声の主は……?

《お願い…やめ…て…》

……このは?

⏰:07/06/03 18:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#552 []
このはが

脅えた表情でしゃがみ込んでいる。

〈このは!!〉

俺はこのはの名前を叫ぶが

声がでない。

《お願い…やめ……きゃぁああああ!!》

甲高い悲鳴と共に

このはの身体から
大量の血が噴き出した。

⏰:07/06/03 18:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#553 []
《今回はこのくらいにしてやるよ》

俺の背後から
低い声が聞こえる。

誰だ……?

俺は振り返ろうとする

が……

―――――…‥‥

「志乃くん!!」

コウの叫ぶ声で
俺は夢から覚めた。

⏰:07/06/03 18:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#554 []
「…………俺……」

頭がボーッとする。

「大丈夫ですか?」

心配そうにコウが俺の顔を覗き込み、ホッとした表情をした。

「さきさん、今は大丈夫ですよ」

コウはドアの外に呼び掛けるように言った。

⏰:07/06/04 07:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#555 []
さきがドアから遠慮がちに部屋に入ってくる。

「…さき…俺……」

そこで口が止まった。

何を言い訳するつもりや?

俺はさきにした事を
鮮明に覚えている。

「………ごめんな…」

⏰:07/06/04 07:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#556 []
「…何かに……取り憑かれたの……?」

「………え?」

なんで?

「志乃の顔…なんか違う人みたくなってた」

「……………」

取り憑かれた……?

俺が?いつ?

なぜ……?

⏰:07/06/04 07:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#557 []
「…わからへん」

「……ねぇ…嫌な予感がするの……」

さきが困った表情で
俺の顔からコウの顔へと目を向ける。

俺もコウに目を向けた。

「………………」

コウは何も答えずに
一点を見つめながら眉間にしわを寄せ
ガリガリと親指の爪を噛んだ。

⏰:07/06/04 07:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#558 []
「…幸子さんが…」

しばらくしてから
コウが変わらず一点を見つめながら口を開いた。

「幸子がどうした…?」

幸子、という名前を聞き
俺はまた幸子にした俺の行動を思い出す。

「いえ…幸子さんもやはりさきさんと同じ事を言っていました」

⏰:07/06/04 13:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#559 []
コウは俺に目を向けた。

「志乃くんが何かに憑かれているのでは、と」

何かに憑かれている…

……何に?

「僕もそう思います」

「一体…何……に…?」

コウはたばこを一本取出し天井を見上げながら
指先でくるくると回し始めた。

⏰:07/06/04 13:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#560 []
「以前、聞いた事があります。人間は誰でもどこかに悪の部分を持っている。そこに入り込み、悪を引き出す力を持つ者がいる」

「……何それ…」

「姿形は人間ですが…彼女は悪魔だと…聞いた話ではその者に憑かれるとまるで人格が変わり、やがて根っからの悪魔に変わり果てると言います」

⏰:07/06/04 13:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#561 []
「そしてその者に憑かれた方の周囲では…いくつかの悲惨な出来事が起きています。その者の仕業だと…」

「ちょっ…そいつって…」

俺は混乱していた。
が、コウの言葉を
聞き逃さなかった。
コウは確かに言った。

《彼女》だと

「ええ、アコさんです」

⏰:07/06/04 13:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#562 []
「アコ…さんが……?」

「彼女の名前はアコと呼びます。おそらく漢字は…」

コウは紙とペンを持ち、すらすらと文字を書いた。

【亜心】

「つなげると悪です」

「でも…それって何か無理矢理的な…」

「そういうものです」

⏰:07/06/04 13:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#563 []
「でも………」

「でも、だって、だけど…は、いりません。僕はアコさんだと確信しています」

「………………」

「実際アコさんに出会ってから志乃くんは変わりましたよね」

確かにそーかもしれない
スーパー枝豆に行ったあの日から、俺は変わった。

⏰:07/06/05 00:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#564 []
「じゃーアコさんに会…」

「会ってはいけません」

コウは俺をギロリと睨んだ

「志乃くんはこれから誰にも会ってはいけません」

「なんで!?」

「危険です。先程言いましたよね?以前聞いた話を…。危険なんです周りの方も、それに…」

⏰:07/06/05 00:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#565 []
コウはたばこに火をつけ
煙を吐いた。

「あなたも」

「…俺……も…?」

「ええ、聞いた話によると取り憑かれた人間は最終的に……」

コウは目線を床に落とした

「魂を持っていかれます」

⏰:07/06/05 00:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#566 []
 
魂を…持って……

「大丈夫です。今から言う事を落ち着いて聞いて下さい」

コウは俺の肩を掴み

正面から俺を見据えた。

「今のあなたは…他人と接する事により悪の心が芽生え初めている。いいですか?僕は今日から自分の家に戻ります。ですから」

⏰:07/06/05 01:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#567 []
コウは横目でさきを見た

「ああ…、念のためさきさんも僕の自宅に連れて行きます」

その言葉でさきはパッと笑顔になった。

「いいですか?必ず誰とも会っては行けません。ご家族との交流も控えて下さい」

⏰:07/06/05 01:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#568 []
家族とも……
でも…それって…

「いつまで……?」

「大丈夫です。僕個人でなんとか解決法を考えます。僕にはとめちゃんもついているので」

「…とめちゃ…ん…?」

あの役立たずの占い師か!?

俺は頭がズキンとした。

「志乃くんダメです落ち着いて下さい」

⏰:07/06/05 01:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#569 []
コウは俺の目元に手をかざした。

「落ち着いて深呼吸して下さい。目が変わり始めています」

またか…?

また俺はあの悪魔の表情を……?

俺は深く深呼吸をした。

「大丈夫ですか?」

⏰:07/06/05 01:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#570 []
俺がコクリと頷くと
コウはゆっくりと手を離した。

「まだ症状は軽いですね、いいでしょう。志乃くん必ず僕の言い付けを守ること。約束できますか?」

「……わかった」

この時
コウも俺も想像していなかった。
この判断が間違いだった事を。そして
想像よりはるかに
アコさんの力が強かった事を。

⏰:07/06/05 02:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#571 []
その日
コウは荷物を持って自宅へ帰っていった。

部屋には俺一人。

「……………はぁ…」

小さくため息をつき
俺はベッドへ倒れ込む。

まさか自分が取り憑かれるなんてな……

⏰:07/06/06 04:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#572 []
ベッドで横になると
だんだん眠気が襲ってきた

「志乃〜!!ご飯やで!」

母ちゃんの声がリビングから響いてくる。

「いらんわ〜!!」

俺が叫ぶとリビングから小さく文句を言う母ちゃんの声が聞こえてきた。

俺は静かに瞼を閉じた。

⏰:07/06/06 06:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#573 []
 
――――……‥‥

《や…めて……》



《誰…で…すか…?》

ゆうみちゃん?

《お願…きゃあああ!!》

まただ。
泣き叫ぶゆうみちゃんの身体からは
このはの時と同じ
大量の血が噴き出した。

⏰:07/06/06 07:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#574 []
 
《くっくっくっ…》

冷酷な笑い声―‥

誰だ?

《恐怖に脅えている表情…ん〜たまらないね》

楽しそうに
声の主は言った。

誰……だ…?

俺は後ろを振り返る

―――――…‥

《プルルルルッ》

⏰:07/06/06 07:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#575 []
大きな機械音で
目が覚めた。

「…ヤな夢……」

俺は額から滴る汗を拭い
携帯を開いた。

【着信 コウ

「…はい」

「…寝てました?」

多分寝起きだろう
コウがかすれた声で言った

⏰:07/06/06 07:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#576 []
「…ん…今何時?」

「6時です」

6時…ああ…
あのまま朝まで寝てもーたんか。

「朝っぱらからどないしてん?」

「このはさんが…」

コウの声が僅かに小さくなった

「このはさんが怪我を…」

⏰:07/06/06 07:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#577 []
「えっ………」

俺はこのはから
大量の血が噴き出した夢を思い出した。

「怪我って…どんな…」

「大丈夫です。出血はありましたが、命に別状はありません」

「良かった…」

「ええ、しかし…」

コウは低い声で言った。

「このはさんは何者かに腕を切り付けられました。犯人はわかっていません」

⏰:07/06/06 07:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#578 []
「……まさか……」

「はい。僕も同じ考えです。犯人はおそらく彼女でしょう」

彼女…アコさん…

「僕は後ほどスーパー枝豆へ行ってアコさんに会ってきます」

「え…危険ちゃうか?」

俺の問いに
コウはフッと笑った

「僕を誰だと?」

⏰:07/06/06 07:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#579 []
僕を誰だと…って…

「…神谷さん」

「……………」

「神谷コウくん」

「…そうですが…」

コウはハーッとため息をついた。

「普通の返ししないで下さい。返答に困ります」

⏰:07/06/07 02:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#580 []
「すまんすまん、てかお前このはに会ったん?」

「いえ。先程電話がかかったので…僕は今から病院に行こうと…その後スーパーへ向かいます」

俺も…

と言おうとしたが
コウが先に言い放った。

「志乃くんは家に。また後ほど連絡しますので」

プツッと電話は切れてしまった。

⏰:07/06/07 02:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#581 []
俺は携帯を片手に呆然としていた。

寝起きってのもある。

だけど…

「このはが怪我…」

あの夢を見た次の日だ。

俺の夢は

予知夢なのか…?

それとも……

⏰:07/06/07 02:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#582 []
【第25章 悪夢】

俺はコウに夢の話をしようかとコウの携帯番号を画面に出した。

いや…でも…

単なる夢やし…

コウならきっと

《ただの夢ですよ。気にしないほうが》

とか言いそうやな。

やめとこう。

⏰:07/06/07 02:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#583 []
携帯をベッドにコロンと投げ、俺はリビングへ向かった。

昨日から何も食ってない俺の腹はペコペコだった。

「母ちゃん飯〜」

「適当に食べやー母ちゃん仕事行くで、出掛けるなら戸締まりちゃんとしーや」

「…今日は家おるわ」

⏰:07/06/07 02:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#584 []
俺の言葉に母ちゃんは目を丸くした。が、その後まるで汚いものを見る目付きで俺を見た。

「引きこもり?嫌やわ〜息子が根暗とか…」

やかましい。
俺だって出掛けたいけど
コウに止められてんの。

「まぁ、出掛けるなら戸締まりだけはしときや」

⏰:07/06/07 02:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#585 []
「はいはい」

母ちゃんに適当に返事をし俺は冷蔵庫に向かった。

「…ろくなもんないな」

仕方なく朝っぱらから
カップラーメンをすすることにした。

「それにしてもひまや…」

⏰:07/06/07 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#586 []
ラーメンを食った後、
俺はやる事がなく
意味もなく携帯をいじっていた。

電話帳を順に見ていく。

ある名前のところで
俺は手を止めた。

幸子

…幸子……
あれから連絡してへんし
幸子からも連絡はない。

⏰:07/06/07 02:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#587 []
連絡…してみっか。

俺は幸子にメールを送った

【昨日はごめん】

それしか書けなかった。

例え取り憑かれていたとしても
俺が手を上げた事にかわりはない。
幸子にしてみたら
俺が怖くてたまらないはずだ。

⏰:07/06/07 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#588 []
《プルルルッ》

メールを送って一分もたたないうちに
幸子から返事が返ってきた

【平気やで志乃の方こそ大丈夫?】

「…幸子……」

こんな俺を
お前は嫌うどころか
心配してくれるのか?

俺はギュッと胸がしめつけられた。

⏰:07/06/07 02:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#589 []
【俺は大丈夫。ほんまにごめんな】

【大丈夫やってでもおわびに今度何か買うてな

【わかった

【約束やで指輪希望安物でいーから

「指輪…か…」

俺は幸子の優しさに笑みがこぼれた。

⏰:07/06/07 02:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#590 []
幸子とメールを続け、
穏やかな時間は過ぎていき
俺は自分が取り憑かれていることを忘れかけていた。

《プルルルッ》

昼も過ぎ、夕方にさしかかったころ、携帯が鳴った。

《着信 コウ

⏰:07/06/07 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#591 []
「おう」

「神谷です」

知ってます

「…このはは?」

「ああ、元気でしたよ。怪我も軽いので明日には退院です」

「…良かった…」

「…志乃くん今日は変わりありましたか?」

⏰:07/06/07 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#592 []
コウが心配そうに聞いてきた。

「いや、特にない」

「そうですか、それは良かったです。実は先程僕スーパーへ行ったのですが…」

「…アコさんは…?」

「…………いませんでした。というよりも…」

コウは低い声で言った

「元々あのスーパーにアコという方はいないそうです」

⏰:07/06/07 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#593 []
え……?

じゃあ……

「俺が見たのは…?」

「……………」

幽霊……なのか?
いや、違う。
だって幸子にも会ったはずやから。

「…わけわからん…」

「記憶を消したんです」

「え?」

「スーパーの方達の記憶を消したんですよ」

⏰:07/06/07 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#594 []
記憶を…?

「…まぁ、運がよければアコさんはもうこの地にいません。志乃くんも今日は変わりないと言っていましたし、あまり心配する必要はなさそうですね」

「…そうか…?でもこのはの怪我は……」

「偶然です。僕達はアコさんの仕業と決めつけていましたが単に偶然だっただけかもしれません」

⏰:07/06/07 03:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#595 []
なんだか腑に落ちないが

コウは多分俺を混乱させるまいと気を遣って言ってくれているんだろう。

俺は何も言わなかった。

「二、三日はまだ様子を見ましょう。その間、変わりなければ志乃くんは大丈夫でしょう」

⏰:07/06/07 03:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#596 []
「ほんまか!?」

「ええ…でも油断はしないで下さいね」

「わかった!」

コウが大丈夫、と言うと
なんだか大丈夫な気がしてきた。おかしなもんや。

俺は気にしないようにした。あの不吉な夢を。

だが、そんな俺を
彼女は嘲笑っていたなんて

⏰:07/06/07 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#597 []
 
――――……‥‥

あれ?ここは…

ああ、また俺は夢を?

いつの間にか寝てしまっていたのか。


遠くに人影が見える。

俺はその人影に駆け寄る

あれは……

コウ―…?

⏰:07/06/07 03:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#598 []
 
《コウッ…》

俺の呼び掛けは
コウには聞こえないみたいだ。

《コウ…》

俺がコウの肩を掴もうとしたとき

コウの身体から
血が噴き出した。

《…あな…た…が…》

苦しそうな表情でコウが呟く。

⏰:07/06/07 03:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#599 []
ふらりとその場に倒れるコウ。

《おい!コウ!!コウ!》

俺はコウに駆け寄った。

《クックックッ…》

まただ―‥

またあの笑い声が…

⏰:07/06/07 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#600 []
 
これは
やっぱりただの夢じゃない

このはに怪我を負わせたのは
この声の主…

誰だ…?
この声
聞き覚えがある

俺は後ろを振り返った。

《…お前…は……》

⏰:07/06/07 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#601 []
 
――――…‥

《バタンッ!!!》

勢いよく部屋のドアがあき
俺は目を覚ました。

「志乃くん!!」

ドアの前には
息切れをしたコウが立っている。

「志乃くん勝手に上がってすみません」

肩で息をしながら
コウが汗をたらしながら言った。

⏰:07/06/07 03:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#602 []
「いいけど…どうした?」

「実は昨日ゆうみさんが…」

コウの言葉を最後まで聞かなくてもわかる。

「怪我したんやろ」

俺の言葉にコウは目を見開いた。

「なぜ知ってるんです?」

⏰:07/06/07 03:33 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#603 []
「夢で見た」

「…夢を?」

「…このはが怪我する前の日も、このはの夢を見た。昨日はゆうみちゃんの夢を。だから」

「…なるほど。どのような内容の夢を?」

「このはとゆうみちゃんが叫んで、身体から血を噴き出して…俺の後から声が」

⏰:07/06/07 03:36 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#604 [あちゅ]
頑張って

⏰:07/06/07 03:36 📱:F902iS 🆔:thAL88kg


#605 []
「声、とは?」

「…犯人の…」

「ほう。それで志乃くんは犯人を見たんですか?」

「いや…」

「…なるほど。見る必要もありません犯人はやはりアコさんです」

「…それよりゆうみちゃんの怪我って…?」

⏰:07/06/07 03:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#606 []
「ああ、大丈夫です。今回は足を切られましたが…軽い怪我でした」

「…そっか」

「それで志乃くん、今日は夢を見たんですか?」

「…見た」

「次は誰が?」

コウが険しい表情をしながら俺を見つめる。

⏰:07/06/07 03:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#607 []
「実は…」

「はい」

「今日の夢で、俺は犯人の顔を見た…」

「本当ですか?誰です?一体誰が誰を?」

「……が………を……」

「すみません聞こえませんでした。もう一度お願いします」

⏰:07/06/07 03:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#608 []
コウは俺の声を聞きとろうと俺のもとへ歩み寄った

次の瞬間…

《グサッ…》

コウの腹部に
ナイフが刺さる

「……志乃…く…」

コウがふらりと倒れ込む

「俺がお前を殺すんだよ」

ニヤリと笑う俺の手には

血だらけのナイフが握られていた。

⏰:07/06/07 03:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#609 []
「…あな…た…が……」

コウは腹部を押さえながらひざをついた。

「クックックッ…」

俺の口から笑いがこぼれる

「苦しいか?」

⏰:07/06/08 01:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#610 []
「志乃…く…ん…」

コウが苦しそうな表情で俺の名前を呼ぶ。

「苦しいだろ?」

ニヤリと笑いながら
俺はコウの元へ歩み寄る

コウを見下ろしながら
俺は頭上にナイフをかかげた。

「苦しいなら、さっさと死ねよ」

⏰:07/06/08 01:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#611 []
コウに向かい
ナイフを勢いよく下ろした時だった。

「すみません…」

コウが涙を流し
弱々しく謝った。

その姿に
俺は手を止める。

「すみません…僕は…あなたを…助けられませんでした……」

⏰:07/06/08 01:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#612 []
弱々しく微笑むコウ。

「……あ………」

これは

あの日の夢だ。


俺の手からナイフが落ちる

「……俺…は………」

気付いた時には

血まみれのコウが倒れていた。

「…コ…ウ……?」

⏰:07/06/08 01:33 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#613 []
「コウ!!おい!コウ!」

コウの身体を軽くゆさぶると
コウは目を開け俺を見て微笑んだ。

「…大丈夫で…すか?」

何が…何が大丈夫ですか、だ。
大丈夫じゃないのはお前の方だろ。

「コウ…ッ……」

⏰:07/06/08 01:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#614 []
俺は携帯をとり
救急車を呼ぼうとした

「だめです…」

ダイヤルを押す俺の手を
コウは阻止した。

「なんで…っ!!」

「救急車を呼べば…あなたは捕まってしまいま…す」

⏰:07/06/08 01:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#615 []
「でも……」

「あなたが捕まれば…たくさんの方が悲しみ…ます」

「でも…!!」

話しているうちにも
コウの腹部からは
どんどん血がでている。

「僕は大丈夫ですから」

苦しそうにも微笑むコウはゆっくりと立ち上がった。

⏰:07/06/08 01:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#616 []
落ちているナイフを拾い、コウは部屋を出ていこうとドアノブに手をかけた。

「どこに行くんや!?」

「…自宅へ…。大丈夫ですから。ナイフも僕が処分します」

「だめや!!!」

俺はコウの腕を掴んだ。

「!!!!」

⏰:07/06/08 01:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#617 []
腕を掴んだ瞬間
俺の脳裏にコウの思考が流れた。

俺はコウの腕を振り払うと携帯をとり
素早く電話をかけた。

「救急車一台至急お願いします」

「志乃くん!?」

俺の行動に
コウは困惑した表情をみせた。

⏰:07/06/08 01:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#618 []
「なぜ…!?志乃くんが捕まってしまいます!」

焦ったようにコウが言う

「それでいい。俺がやった事やから。このはもゆうみちゃんも…俺が…」

俺の脳裏に流れたのは
自宅へ戻ったコウが
ナイフから俺の指紋を拭き取り自分の指紋をつけ
自殺に見せ掛けるというものだった。

⏰:07/06/08 01:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#619 []
「それに俺が普通に生活しても…周りに被害が及ぶ…だから俺は捕まった方がえーねん」

「でも志乃くんは…」

話の途中で
コウは倒れてしまった。

「コウ!!」

「……………」

「おい!!コウしっかりしろ!!コウ!!」

⏰:07/06/08 01:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#620 []
【第26章 黒幕】

コウが倒れしばらくしてから救急車が着いた。

覚えてないが
俺は救急車員の胸倉を掴み殴り掛かったらしい。

「あの時のきみは、ものすごい剣幕やったらしいよ。それほど大切な友人やったんやね」

「はい…とても」

⏰:07/06/08 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#621 []
目の前には優しそうな
中年の男性。

「じゃあなぜ、きみは神谷くんを刺したんや?」

俺は今
鑑別院の中にいる。

そう、あの事件の日
俺は捕まった。

「…今から話す事…信じてくれますか…?」

⏰:07/06/08 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#622 []
 
―――…‥‥

「コウ!!コウ!!」

救急車の中で
俺は何度も何度も
コウの名前を叫んだ。

「落ち着きなさい!すぐ病院に着きますから!」

救急隊員が俺を静止する声も俺の耳には全く入らなかった。

⏰:07/06/08 03:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#623 []
病院へ着き、
集中治療室と書かれた部屋へコウはつれて行かれた。

しばらくして
看護婦さんが俺のもとへ走ってきた。

「誰か身内の方は!?」

治療室の前のソファーには俺しかいない。
看護婦さんは焦ったように周りをキョロキョロ見渡した。

⏰:07/06/08 03:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#624 []
「身内は…おらん」

俺の言葉に
看護婦さんは
まさか、という表情をしたが、すぐさま

「輸血する血液が足りません!!彼と同じ血液の方を…」

と言った。

⏰:07/06/08 03:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#625 []
血液が…

コウは確か俺と同じ…

「俺、同じや!俺の血使ってくれ!!」

「わかりました!早くこちらへ」

俺は看護婦さんの後を追い治療室の中へ入った。

「…コウ……」

そこには
真っ青なコウがベッドに横たわっていた。

⏰:07/06/08 03:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#626 []
「彼一人か!?」

突然執刀医だろう男が
さっきの看護婦に向かい叫んだ。

「はい。身内はおられないそうなんです…」

医者が困ったように俺を見る。

「まいったな…さすがに彼だけでは…彼の方が危なくなる危険がある…」

⏰:07/06/08 03:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#627 []
「大丈夫や!!俺の血を…全部使ってもえーから!コウを助けてくれ!!」

俺は狂ったように
医者につめよった。

「…いいのか?」

「構わんから!早く!」

医者は困惑気味だったが
俺の必死な表情を見て
わかった、と言った。

⏰:07/06/08 03:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#628 []
コウの隣にベッドが用意され、俺はそこに横になる

「楽にして下さいね」

看護婦さんが
優しい口調で言った。

俺はコウの手を握り
目を閉じた。

あの悪夢の結末が

まさかこんな形になるなんて――‥‥‥

⏰:07/06/09 23:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#629 []
 
――――‥‥‥

気付くと俺は
真っ暗闇の中に立っていた

「ここは…?」

辺りをキョロキョロ見渡すが、闇が続くだけで何も見えない。

「…志乃さん」

背後から急に名前を呼ばれ俺はギヨッとした。

気配のない背後にいる声の主を振り返るとそこには

⏰:07/06/10 01:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#630 []
「…旬…?」

目を細めながら
立っている…いや、
浮かんでいるといったほうが正しいだろう。
コウの弟、旬がボウッと光っていた。

明らかにムスッとした表情をしている。

「あなたは一体何をしてるの?」

⏰:07/06/10 01:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#631 []
「え…何って…」

「僕との約束、全然守ってないでしょ?あげくには悪魔なんかに取り憑かれちゃったりしてさ〜」

「……………」

うう…、耳が痛い…

「本当に志乃さんは頼りにならないなぁ!兄の事刺しちゃうし…」

⏰:07/06/10 01:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#632 []
「コウは!?大丈夫なんか!?」

俺は旬につめよったが
旬は素早く俺から離れた

「知らないよ」

「なんで!!お前も役に立たん奴やなぁ〜!」

「志乃さんに言われたくないよ」

⏰:07/06/10 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#633 []
「だいたい、志乃さんが兄を刺すのが悪いんでしょ」

唇を尖らせながら
旬は何かをくるくる回しながら言った。

「何それ」

「え?…あっ……別になんでもないよ」

俺の視線に気付き、旬は慌てて【それ】をポケットに隠した。

⏰:07/06/10 02:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#634 []
「志乃さん」

旬が俺に近付き、
俺の顔を覗き込む。

「なに」

「なんで冷静なの?」

「なにが」

「志乃さんの事だからパニックになると思ってた。急にこっち側にきちゃったんだから」

⏰:07/06/10 02:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#635 []
「こっち側って?」

「知らないで来たの?」

旬は信じられない、という目で俺を見た。

「だから何が」

「……知らないから冷静なんだ…そっか…」

「だから何がやねん」

「ここは悪魔の住む場所だよ。志乃さんに憑いた悪魔もいるはずだよ」

⏰:07/06/10 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#636 []
悪魔の住み処!?

「え……っ…」

「おっと。今更パニックにならないでね面倒だから」

こいつ…

「それと、こっち側に来たのは多分悪魔が志乃さんを呼び寄せたのもあるけど、志乃さんの身体が危険ってのもあるから気をつけてね」

⏰:07/06/10 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#637 []
「どーゆー意味?」

てか悪魔って…
アコさんやよな…
アコさんが
俺を呼び寄せたのか?

「志乃さんの身体は今血液低下で危険な状態なんだよ。だからあなたの身体、僕と同じように透けてるでしょ?」

⏰:07/06/10 02:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#638 []
俺は自分の手を眺めた。

…透けてる……

俺が両手を眺めながら黙っていると
旬が横目で一瞬俺を見た

「…ねぇ、この場所にきちゃったからには悪魔を倒さないと元には戻れないんだよ」

つまり…それって……

「相手に倒されたら、あなたは死んでしまう」

⏰:07/06/11 02:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#639 []
「…死…ぬ…?」

俺が…

死 ぬ だ と ?

「そんな…助かる方法ないんか!?」

「僕の話聞いてた?相手を倒せばあなたは元に戻る。でも反対に倒されたら死ぬって事!だから倒せばいいだけの話。わかった?」

倒せばいいだけって…

⏰:07/06/11 02:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#640 []
「そんな…ゲームちゃうんやから…」

倒すとか倒されるとか…

「ゲームみたいもんだよ」

「え?」

「人生なんてゲームみたいものだよ。ただ、違うのはゲームみたいにリセットできない事だね」

⏰:07/06/11 02:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#641 []
つまり

「死んだらクリアできへんゲーム?」

「そう。だから僕達がゲームをクリアするんだ。ラスボスを倒して」

ラスボスて…

「ラスボスは誰?」

「………まずはアコさんを倒さなきゃ」

⏰:07/06/11 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#642 []
「アコさんはどこに?」

「…………」

旬は目を閉じ、
しばらくしてから指をさした

「あっちだ」

俺は旬の後を追いかけた。

しばらくすると暗闇にポツンと赤い光が見えた。

「覚悟はいい?」

⏰:07/06/11 02:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#643 []
覚悟…

ってか…

「ちょっと待って!」

「…なに」

「倒すってどうやって倒すん!?」

俺の発言に旬は目をパチクリさせた。

「ああ…忘れてた。志乃さんは丸腰だったね」

丸腰て

「これを」

旬は俺に小さな赤いボールを手渡した。

⏰:07/06/11 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#644 []
「なにこれ」

俺は赤いボールをまじまじと見つめる。

まさかこの小さいボールをアコさんにぶつけて倒すって意味か?
そんなくだらん倒し方か?

「それ、何に見える?」

⏰:07/06/11 03:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#645 []
「何って…赤いボール…」

俺の答えを聞き
旬は満足そうにニヤリと笑った。

「うん、じゃあ行くよ」

「えっ…このボールどうすんねん…」

俺を無視し、旬は赤い光の中へ消えて行った。

「…旬!!」

慌てて俺も中へ入る。

⏰:07/06/11 03:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#646 []
赤い赤い煙の中を抜けると

そこにはアコさんが高そうなソファーの上に
足を組みながら座っていた

「やっぱり来たんだ…」

ニヤニヤ笑いながら
アコさんは足を揺らす。

「…アコさん…ほんまにあなたが俺に取り憑いて…」

⏰:07/06/11 03:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#647 []
「手に何を持っている!」

俺が話終わる前に
アコさんがすごい形相で叫んだ。

「え?」

「お前…手に何を持っているんだ!それをどこで…」

手に…?

俺の手には赤い小さなボール。

これがどうかしたのか?

⏰:07/06/11 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#648 []
「お前…それをどこで…」

アコさんは怯えるような目で赤いボールを見ている

「これは………」

俺は旬に目を向ける。

旬は腕を組みながらニヤニヤとしながらアコさんに近づいた。

「僕があげたの。あなたには、あれが何に見える?」

⏰:07/06/11 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#649 []
「……………」

アコさんは何も答えない。
ボールから目を離さずガタガタと震えている。

「くっくっ…」

突然旬が笑いだし、
俺はなぜか怖くなった。

「あはははははは!!」

大声で狂ったように笑う旬は不気味という表現以外に当て嵌まるものがなかった

⏰:07/06/11 03:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#650 []
「旬…?どした…?」

恐る恐る旬に近寄り肩を掴むと
旬はくるりと振り返った

「さ〜問題です。僕は誰でしょう」

「………は?」

意味がわからない。

「どういう意……」

「僕は一体誰でしょう」

⏰:07/06/11 03:22 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#651 []
「誰って…?え?」

戸惑う俺を見ながら
旬はニヤニヤしている。

「旬?どーしたん?」

「旬?あはは〜残念!外れだよ志乃さん」

「……え?」

「僕は幻影の方さ。つまり神谷が…兄が作り出したほうのね。」

…意味がわからない。

⏰:07/06/11 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#652 []
「意味わかんないでしょ、馬鹿だから」

「……………」

さっきまでの旬と
全然違う。
どーいう意味だ?
さっきまでのは演技なのか?

「ふふ。違うよ」

「!!?」

「さっきは本物。あの光の中で入れ代わったのさ」

⏰:07/06/11 09:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#653 []
こいつ…
俺の心が読めるのか?
てゆーか
入れ代わった…?

「本物…は…?」

俺はよほど怯えた表情なのだろう。旬の幻影は俺を見ながらクスクス笑っている

「いるよ」

幻影は赤いボールを指す

「その中にね」

⏰:07/06/11 09:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#654 []
俺は赤いボールを見つめる

この中に…
旬が……?

戸惑う俺を見ながら
旬の幻影はフッと鼻で笑った。

「旬と一緒にラスボスを倒すんだろ?」

「……………」

幻影はニヤニヤしながら俺に近寄り、赤いボールを奪った。

「ラスボスはこの俺だ」

⏰:07/06/12 00:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#655 []
【第27章 旬】

「え………?」

意味がわからない

ラスボス……?
幻影がラスボス…?

「志乃くんは〜俺が神谷が勝手に作り出した幻影だと思ってるんでしょ〜う?」

馬鹿にしたような話し方で赤いボールを指でくるくる回しながら幻影が言った

「旬は死んだあと、この俺と約束をしたんだよ」

⏰:07/06/12 00:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#656 []
「約束…?」

「そう。旬ほどの霊力を持つ人間は死んだら魂は残らない。だが旬は兄貴が心配だからって霊として残りたいって言ったんだ。だから契約したのさ、この俺とね」

「…お前は一体……」

「俺か?俺は悪魔さ」

そう言って幻影は
赤いボールを投げつけた。

⏰:07/06/12 02:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#657 []
コロコロと赤いボールは転がりアコさんの足元へ落ちた。

「ひっ…!!」

アコさんは小さな悲鳴をあげ、ソファーから立ち上がった。

それを見て幻影の旬はクックッと不気味に笑う。

「アコは怖がりだな〜」

⏰:07/06/12 02:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#658 []
「ちょ…待てや」

「何〜?」

「その玉ん中に旬が入ってんねやろ」

「そうだよ〜」

「じゃあなんでアコさんがそれを怖がるん」

俺の問いもすぐさま幻影の笑い声に掻き消される。

「俺が悪魔なら、旬は神だ」

…………

………………は?

⏰:07/06/12 02:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#659 []
「なぜ、旬と俺が同じ姿なのか、お前はわからないのか?」

…わからん

わかりたくもない

きょーみない

「興味持て」

「……………」

「まぁいい。教えてやるよ。元々俺達は一つだった」

⏰:07/06/12 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#660 []
「一つって…?」

「俺と旬は一卵性双生児だった」

え…………?

そんな話聞いた事…

「ないはずだ。俺は産まれてきていないんだからね」

「……………」

「俺は生を持たずに消えた。神は残酷だ。なぁ人間は母胎にいる時から意思を持ってる事を知ってるか?」

⏰:07/06/12 02:36 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#661 []
「俺は自分が母胎の中で死ぬ時、意思があった。神はわかっていたんだよ。俺が悪魔だって事をね」

…そんな馬鹿な…

神とか悪魔とか
非現実的だ。

理解できない。
したくもない。

「理解できなくてもこれが現実なんだよ。ねぇ?志乃さん?」

⏰:07/06/12 02:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#662 []
「俺は神を怨んだ。怨んだが、俺のその怨みは見事に届いた。俺は悪魔として魂だけは残ったんだ。普通は胎児は魂は残らない。だが俺だけが残った。俺は感謝したよ」

幻影はニヤリと笑った。

「感謝したよ、神様にね」

⏰:07/06/12 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#663 []
幻影はアコさんの足元に転がる赤いボールを踏み付けるとニヤリ笑いを止め、眉間にしわを寄せた。

「このボールは、魂を封じこめるボールだ。俺は長い間こいつに……旬に封じ込められていた」

「え!?でもお前ずっとコウのそばに……」

「それは抜け殻さ。魂じゃない。だから神谷に手出しはできなかったんだ」

⏰:07/06/12 02:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#664 []
「…じゃあ…今…は…」

旬の幻影はニヤリと笑う

「今なら殺せる。長年待っていた神谷を…今なら簡単にな」

そんな……
コウを殺すなんて

「やめてくれ…」

「安心しな。神谷は…」

幻影は口角をあげる。

「お前を殺した後からだ」

⏰:07/06/12 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#665 []
「し…旬……は?」

「さぁね。俺だって片割れを消すのは心が痛むよ」

言葉とは裏腹に
幻影は赤いボールを踏み付けている。

「…お前の名前は…?」

「さあ?母は決めてたみたいだけどね。翔って」

⏰:07/06/12 03:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#666 []
「…翔……俺を…殺すのか…?」

「悪いけど殺すよ。邪魔だからね」

邪魔って…

「俺はずっとこの日を待っていた。旬がこの場にきて俺を解き放つ日を…。あの日からずっと……」

翔は過去を思い出しているのだろう、悔しそうな表情で唇を噛み締めた。

⏰:07/06/12 03:22 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#667 []
「どうして…」

「あんたにはわかんないだろーね。平凡な家庭に産まれて平凡に育って…わからないよ一生………まぁその一生も今終わるけどね」

「……………」

「あんたに怨みはないが、あんたの能力は俺からしたら邪魔だ。悪いが殺させてもらうよ」

⏰:07/06/12 04:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#668 []
翔はそう言うとニヤリと不気味な笑みを浮かべ
俺のもとへ近づいてきた

足が動かない…

足が……

「!?」

俺は自分の足元を見てゾッとした。

俺の足がきえかけている

「あぁ今頃現実のあんたは死にかけているだろうね」

俺の足元を見ながら
翔が笑いながら言った。

⏰:07/06/14 01:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#669 []
翔が近づくたびに
俺の足は徐々に消えていく

…あぁ…
翔が俺にたどり着く時
俺は死ぬんだ。

不思議と怖いという感情はなかった。

死ぬってこんな気分なのか?

穏やかなような…
悲しいような…

……………?

…悲しい………?

⏰:07/06/14 01:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#670 []
 
《志乃くん》

《志乃〜》

《志乃さん》

俺の頭の中に

コウの声や
幸子…旬……
関わった全ての人間の声が響いてきた。

《志乃くんがいなくなればみんなが悲しみます》

……コウ………

《志乃くんは僕の親友です》

⏰:07/06/14 01:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#671 []
…コウ………

《志乃くんは僕が守ってみせます》

…コウ…

《僕は…あなたを…助けられませんでした…》

コウ!!

ああ……俺は……

俺が死ぬという事は

コウが死ぬという事だ。

俺はまだ…

「俺はまだ死ねへん!」

⏰:07/06/14 01:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#672 []
俺は翔をキッと睨んだ。

翔は足を止め
まんまるな目で俺を見た

「…ふっ……」

再び翔の口元に笑みが浮かぶ。

「睨むだけじゃ俺は倒せないよ」

クックッと笑いながら
翔は足を動かした。
その時

「やめなよ!!」

⏰:07/06/14 01:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#673 []
叫び声に翔は足を止め振り返る。

その先には

「アコ…どうした?」

「もうやめな!もう無理だよ…翔……」

「なにがだ」

「…見て……?」

アコさんは震えながら
赤いボールに視線を落とした。

「…………?」

⏰:07/06/14 01:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#674 []
視線の先のボールに
俺も目をむける。

「楽しそうですね」

「コウ!?」

「こんな場所があるとは」

赤いボールから煙が出て

その影には

コウの姿があった。

「神谷…なんで…っ」

翔がビックリした表情でコウを見ている。

「なぜお前がこの場に…」

⏰:07/06/14 02:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#675 []
コウは驚く俺達をよそに
しれっとした表情で翔の顔を覗き込んだ。

「あなたは誰ですか」

「…なっ……!?」

「旬…あなたにそっくりですね」

「僕の弟だよ」

コウの後ろからは
旬がひょこっと顔を出した

「!!??」

⏰:07/06/14 02:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#676 []
「ほう…なるほど」

「……………」

「志乃くんどうも」

全く状況が理解できない俺に、コウはニッコリと笑いかけた。

「コウ…なんで……」

「志乃くんに刺されて僕もどうやら危険な状態みたいです。気付くとこちらに来ていました」

⏰:07/06/14 02:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#677 []
「コウ…すまん…」

「気にしないで下さい」

気にしないでと言われても………

「志乃くんに殺されるなら僕は本望ですよ」

ニッコリ笑い
コウは言った。

「……………」

「おや?キモい、とは言わないんですか?」

⏰:07/06/14 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#678 []
キモいけど…

「言えへん…」

「なぜですか。あなたは取り憑かれていただけですよ。志乃くんが悪いわけではありません」

「そうそう!悪いのはこいつ!!」

コウの後ろからぴょんと飛び出し、旬は翔を指さした

⏰:07/06/14 03:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#679 []
翔には先程までの余裕の笑みがなくなり
目を見開いたまま固まっているみたいだ。

「旬…お前なんで…」

俺は旬が普通に話しているのが理解出来ずにいた。

「お前あの赤い玉ん中に入ってたんちゃん…?」

⏰:07/06/14 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#680 []
「入ってたよ」

「なんで…え…意味わからん……お前翔と契約…悪魔と……」

「志乃さんちょっと落ち着いたら?」

「志乃くん落ち着きなさい。あなたはこんな場所に来てまでパニックですか」

こんな場所だからこそパニックなんですけど。

⏰:07/06/14 03:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#681 []
「しかたないよ。志乃さんは僕達と違って馬鹿なんだから」

「旬、馬鹿とは失礼ですよ。頭が悪いと言いなさい」

おい。

「あ〜そっか。じゃぁ簡単に説明しとくよ」

旬は面倒くさそうに頭をポリポリと掻いた。

⏰:07/06/14 03:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#682 []
「確かに僕は翔と契約したよ。でもそれは翔が悪魔だって知らなかったから。契約した後で知って、僕は後悔した。でも契約したからって僕自身の能力が衰えるってのはなかったんだ」

旬は固まる翔をチラッと見て、唇の端をつりあげた

「だから翔を閉じ込めておいたんだ。このボールに」

⏰:07/06/14 03:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#683 [我輩は匿名である]
はよかけ

⏰:07/06/15 00:26 📱:D901i 🆔:☆☆☆


#684 []
うおっすんません
今仕事終わったのでもう少ししたら書きますね

⏰:07/06/15 00:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#685 []
ボールに

閉じ込めた……?

「でもお前…」

俺の言わんとしている事を旬は悟ったように先に口を開いた。

「さっきは悪かったよ…僕が閉じ込められてたって思ったでしょ?」

「うん」

「翔に閉じ込められる程僕は馬鹿じゃないよ。兄を迎えにいくのに時間がかかっちゃったんだ」

⏰:07/06/15 02:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#686 []
「迎えって?」

「いわばここは生と死の間。志乃さんみたいに能力がある人はここに来るんだよ。そして翔と戦う事になる」

………なんだそれ漫画みてぇ。

「漫画みたいって思ってるでしょ」

……………

「で、なんで時間かかったん?」

⏰:07/06/15 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#687 []
「それがさ〜…」

「精神と時の部屋に迷い込んでいました」

「……………」

「あちらの一分はこちらでは確か…」

「もう!ただ迷子になってただけでしょ!」

「……そうともいいます」

そうとしか言わんやろ!

⏰:07/06/15 03:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#688 []
「てゆーか…さ……」

「なんですか?」

いや…なんですかって…

「俺ら…翔と戦わなあかんねやろ?」

俺の言葉にコウと旬は揃って翔に目を向ける。

「ああ…忘れてました」


俺の足元は

消えかけているままだ。

⏰:07/06/15 03:03 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#689 []
【最終章 きみを送る】

「志乃くんあなた足が…」

コウが気付き
目をまんまるにして俺の足元を見た。

「さっきから消えかけてんねやけど」

「…マズイね…」

旬が俺を見ながら眉間にしわを寄せ親指を噛んだ。

やっぱコウに似てるな…
って…

マズイって何が?

⏰:07/06/15 03:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#690 []
「マズイって…?」

旬は困ったようにチラッとコウを見た。

「どうかしましたか」

コウはこの機会に、といわんばかりに自分の身体をふわふわと浮かべ遊んでいる

ガキか。

「志乃さんが消えかけているのは翔のせいじゃない…」

⏰:07/06/15 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#691 []
「え?」

旬は目線を下に落とし
心なしかその目にはうっすら涙がたまっている。

「…現実の志乃さんの身体がもう…もたないかもしれない…」

……………え?

「どういう事ですか?」

ふわふわ浮くのをやめ
コウは旬につめよった。

⏰:07/06/15 03:11 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#692 []
「翔のせいで死ぬならば…身体が消えるなんて事にはならないはずなんだ。身体が消えかけているのは…現実の志乃さんの体力が…」

……そんな………

俺………死ぬのか…?

「あなたって人は…っ」

放心状態の俺の肩を
コウがガシッと掴んだ。

⏰:07/06/15 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#693 []
「…本当に弱い人です…本当に……」

やかましい

「いえ…そんな事を言いたいんじゃありません…」

言ったやん!!

あれ?

「…コウ……?」

コウは

泣いていた。

「僕なんかを…あなたは…僕なんかを助けるために……あなたって人は……なんて馬鹿なんですか」

⏰:07/06/15 03:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#694 []
「コウ……」

俺に抱き着き、静かに涙を流すコウを
俺はそっと抱き寄せた。

「お前のためにしねるなら本望や」

「…何言ってるんですか…キモいです……」

「キモいゆーな」

でもほんまに
そう思ってる。

俺はコウのためならしねる

⏰:07/06/15 03:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#695 []
「助けてやろーか…」

背後でボソッと声が聞こえ俺たちは顔をあげた。

声の主は
今まで固まっていたと思っていた翔だった。

「助けてやろーか?」

ニヤリと笑いながら
翔は俺たちに近づいてくる

⏰:07/06/15 03:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#696 []
「…助けて下さい…」

助けを望んだのは
俺ではなく

「志乃くんを助けて下さい。お願いします」

コウだった。

「コウ…何ゆーてんねん」

「お願いします…変わりに僕を……」

⏰:07/06/15 03:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#697 []
翔はコウを見ながら
困ったように唇を尖らせた

「なぜだ?」

「なぜとは…?」

「なぜ自分よりもそいつを助けたいんだ?」

翔は全く理解出来ない、といった表情でコウを見ている。
コウはふっと微笑んだ。

「親友だからです」

⏰:07/06/15 03:33 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#698 []
「親友…?」

「ええ、僕達は親友です」

「お前、怨んでないのか?お前はこいつに刺されて死にそうなんだぞ?」

「別に怨んでません」

「なぜだ」

「ですから…親友だからです。何度も言わせないで下さい」

⏰:07/06/15 03:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#699 []
「…そうか……」

翔はコウの言葉を聞き、
俯きながらフッと力なく笑った。

「俺は…生を持つ前に死んだんだ」

「はい」

「だから親友とかわからない」

「そうですか。では生まれ変わったら是非味わってみて下さい」

⏰:07/06/15 03:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#700 []
「なに……?」

コウの言葉に
翔は驚いた表情でコウを見上げる。

「生まれ変わったらいいじゃないですか」

「…………はっ…」

翔は呆れたように笑った

「俺は生まれ変われねーよ!生まれ持っての悪魔だからな!」

⏰:07/06/15 03:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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