きみを送るA
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#561 []
「そしてその者に憑かれた方の周囲では…いくつかの悲惨な出来事が起きています。その者の仕業だと…」

「ちょっ…そいつって…」

俺は混乱していた。
が、コウの言葉を
聞き逃さなかった。
コウは確かに言った。

《彼女》だと

「ええ、アコさんです」

⏰:07/06/04 13:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#562 []
「アコ…さんが……?」

「彼女の名前はアコと呼びます。おそらく漢字は…」

コウは紙とペンを持ち、すらすらと文字を書いた。

【亜心】

「つなげると悪です」

「でも…それって何か無理矢理的な…」

「そういうものです」

⏰:07/06/04 13:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#563 []
「でも………」

「でも、だって、だけど…は、いりません。僕はアコさんだと確信しています」

「………………」

「実際アコさんに出会ってから志乃くんは変わりましたよね」

確かにそーかもしれない
スーパー枝豆に行ったあの日から、俺は変わった。

⏰:07/06/05 00:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#564 []
「じゃーアコさんに会…」

「会ってはいけません」

コウは俺をギロリと睨んだ

「志乃くんはこれから誰にも会ってはいけません」

「なんで!?」

「危険です。先程言いましたよね?以前聞いた話を…。危険なんです周りの方も、それに…」

⏰:07/06/05 00:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#565 []
コウはたばこに火をつけ
煙を吐いた。

「あなたも」

「…俺……も…?」

「ええ、聞いた話によると取り憑かれた人間は最終的に……」

コウは目線を床に落とした

「魂を持っていかれます」

⏰:07/06/05 00:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#566 []
 
魂を…持って……

「大丈夫です。今から言う事を落ち着いて聞いて下さい」

コウは俺の肩を掴み

正面から俺を見据えた。

「今のあなたは…他人と接する事により悪の心が芽生え初めている。いいですか?僕は今日から自分の家に戻ります。ですから」

⏰:07/06/05 01:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#567 []
コウは横目でさきを見た

「ああ…、念のためさきさんも僕の自宅に連れて行きます」

その言葉でさきはパッと笑顔になった。

「いいですか?必ず誰とも会っては行けません。ご家族との交流も控えて下さい」

⏰:07/06/05 01:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#568 []
家族とも……
でも…それって…

「いつまで……?」

「大丈夫です。僕個人でなんとか解決法を考えます。僕にはとめちゃんもついているので」

「…とめちゃ…ん…?」

あの役立たずの占い師か!?

俺は頭がズキンとした。

「志乃くんダメです落ち着いて下さい」

⏰:07/06/05 01:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#569 []
コウは俺の目元に手をかざした。

「落ち着いて深呼吸して下さい。目が変わり始めています」

またか…?

また俺はあの悪魔の表情を……?

俺は深く深呼吸をした。

「大丈夫ですか?」

⏰:07/06/05 01:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#570 []
俺がコクリと頷くと
コウはゆっくりと手を離した。

「まだ症状は軽いですね、いいでしょう。志乃くん必ず僕の言い付けを守ること。約束できますか?」

「……わかった」

この時
コウも俺も想像していなかった。
この判断が間違いだった事を。そして
想像よりはるかに
アコさんの力が強かった事を。

⏰:07/06/05 02:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#571 []
その日
コウは荷物を持って自宅へ帰っていった。

部屋には俺一人。

「……………はぁ…」

小さくため息をつき
俺はベッドへ倒れ込む。

まさか自分が取り憑かれるなんてな……

⏰:07/06/06 04:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#572 []
ベッドで横になると
だんだん眠気が襲ってきた

「志乃〜!!ご飯やで!」

母ちゃんの声がリビングから響いてくる。

「いらんわ〜!!」

俺が叫ぶとリビングから小さく文句を言う母ちゃんの声が聞こえてきた。

俺は静かに瞼を閉じた。

⏰:07/06/06 06:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#573 []
 
――――……‥‥

《や…めて……》



《誰…で…すか…?》

ゆうみちゃん?

《お願…きゃあああ!!》

まただ。
泣き叫ぶゆうみちゃんの身体からは
このはの時と同じ
大量の血が噴き出した。

⏰:07/06/06 07:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#574 []
 
《くっくっくっ…》

冷酷な笑い声―‥

誰だ?

《恐怖に脅えている表情…ん〜たまらないね》

楽しそうに
声の主は言った。

誰……だ…?

俺は後ろを振り返る

―――――…‥

《プルルルルッ》

⏰:07/06/06 07:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#575 []
大きな機械音で
目が覚めた。

「…ヤな夢……」

俺は額から滴る汗を拭い
携帯を開いた。

【着信 コウ

「…はい」

「…寝てました?」

多分寝起きだろう
コウがかすれた声で言った

⏰:07/06/06 07:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#576 []
「…ん…今何時?」

「6時です」

6時…ああ…
あのまま朝まで寝てもーたんか。

「朝っぱらからどないしてん?」

「このはさんが…」

コウの声が僅かに小さくなった

「このはさんが怪我を…」

⏰:07/06/06 07:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#577 []
「えっ………」

俺はこのはから
大量の血が噴き出した夢を思い出した。

「怪我って…どんな…」

「大丈夫です。出血はありましたが、命に別状はありません」

「良かった…」

「ええ、しかし…」

コウは低い声で言った。

「このはさんは何者かに腕を切り付けられました。犯人はわかっていません」

⏰:07/06/06 07:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#578 []
「……まさか……」

「はい。僕も同じ考えです。犯人はおそらく彼女でしょう」

彼女…アコさん…

「僕は後ほどスーパー枝豆へ行ってアコさんに会ってきます」

「え…危険ちゃうか?」

俺の問いに
コウはフッと笑った

「僕を誰だと?」

⏰:07/06/06 07:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#579 []
僕を誰だと…って…

「…神谷さん」

「……………」

「神谷コウくん」

「…そうですが…」

コウはハーッとため息をついた。

「普通の返ししないで下さい。返答に困ります」

⏰:07/06/07 02:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#580 []
「すまんすまん、てかお前このはに会ったん?」

「いえ。先程電話がかかったので…僕は今から病院に行こうと…その後スーパーへ向かいます」

俺も…

と言おうとしたが
コウが先に言い放った。

「志乃くんは家に。また後ほど連絡しますので」

プツッと電話は切れてしまった。

⏰:07/06/07 02:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#581 []
俺は携帯を片手に呆然としていた。

寝起きってのもある。

だけど…

「このはが怪我…」

あの夢を見た次の日だ。

俺の夢は

予知夢なのか…?

それとも……

⏰:07/06/07 02:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#582 []
【第25章 悪夢】

俺はコウに夢の話をしようかとコウの携帯番号を画面に出した。

いや…でも…

単なる夢やし…

コウならきっと

《ただの夢ですよ。気にしないほうが》

とか言いそうやな。

やめとこう。

⏰:07/06/07 02:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#583 []
携帯をベッドにコロンと投げ、俺はリビングへ向かった。

昨日から何も食ってない俺の腹はペコペコだった。

「母ちゃん飯〜」

「適当に食べやー母ちゃん仕事行くで、出掛けるなら戸締まりちゃんとしーや」

「…今日は家おるわ」

⏰:07/06/07 02:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#584 []
俺の言葉に母ちゃんは目を丸くした。が、その後まるで汚いものを見る目付きで俺を見た。

「引きこもり?嫌やわ〜息子が根暗とか…」

やかましい。
俺だって出掛けたいけど
コウに止められてんの。

「まぁ、出掛けるなら戸締まりだけはしときや」

⏰:07/06/07 02:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#585 []
「はいはい」

母ちゃんに適当に返事をし俺は冷蔵庫に向かった。

「…ろくなもんないな」

仕方なく朝っぱらから
カップラーメンをすすることにした。

「それにしてもひまや…」

⏰:07/06/07 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#586 []
ラーメンを食った後、
俺はやる事がなく
意味もなく携帯をいじっていた。

電話帳を順に見ていく。

ある名前のところで
俺は手を止めた。

幸子

…幸子……
あれから連絡してへんし
幸子からも連絡はない。

⏰:07/06/07 02:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#587 []
連絡…してみっか。

俺は幸子にメールを送った

【昨日はごめん】

それしか書けなかった。

例え取り憑かれていたとしても
俺が手を上げた事にかわりはない。
幸子にしてみたら
俺が怖くてたまらないはずだ。

⏰:07/06/07 02:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#588 []
《プルルルッ》

メールを送って一分もたたないうちに
幸子から返事が返ってきた

【平気やで志乃の方こそ大丈夫?】

「…幸子……」

こんな俺を
お前は嫌うどころか
心配してくれるのか?

俺はギュッと胸がしめつけられた。

⏰:07/06/07 02:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#589 []
【俺は大丈夫。ほんまにごめんな】

【大丈夫やってでもおわびに今度何か買うてな

【わかった

【約束やで指輪希望安物でいーから

「指輪…か…」

俺は幸子の優しさに笑みがこぼれた。

⏰:07/06/07 02:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#590 []
幸子とメールを続け、
穏やかな時間は過ぎていき
俺は自分が取り憑かれていることを忘れかけていた。

《プルルルッ》

昼も過ぎ、夕方にさしかかったころ、携帯が鳴った。

《着信 コウ

⏰:07/06/07 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#591 []
「おう」

「神谷です」

知ってます

「…このはは?」

「ああ、元気でしたよ。怪我も軽いので明日には退院です」

「…良かった…」

「…志乃くん今日は変わりありましたか?」

⏰:07/06/07 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#592 []
コウが心配そうに聞いてきた。

「いや、特にない」

「そうですか、それは良かったです。実は先程僕スーパーへ行ったのですが…」

「…アコさんは…?」

「…………いませんでした。というよりも…」

コウは低い声で言った

「元々あのスーパーにアコという方はいないそうです」

⏰:07/06/07 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#593 []
え……?

じゃあ……

「俺が見たのは…?」

「……………」

幽霊……なのか?
いや、違う。
だって幸子にも会ったはずやから。

「…わけわからん…」

「記憶を消したんです」

「え?」

「スーパーの方達の記憶を消したんですよ」

⏰:07/06/07 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#594 []
記憶を…?

「…まぁ、運がよければアコさんはもうこの地にいません。志乃くんも今日は変わりないと言っていましたし、あまり心配する必要はなさそうですね」

「…そうか…?でもこのはの怪我は……」

「偶然です。僕達はアコさんの仕業と決めつけていましたが単に偶然だっただけかもしれません」

⏰:07/06/07 03:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#595 []
なんだか腑に落ちないが

コウは多分俺を混乱させるまいと気を遣って言ってくれているんだろう。

俺は何も言わなかった。

「二、三日はまだ様子を見ましょう。その間、変わりなければ志乃くんは大丈夫でしょう」

⏰:07/06/07 03:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#596 []
「ほんまか!?」

「ええ…でも油断はしないで下さいね」

「わかった!」

コウが大丈夫、と言うと
なんだか大丈夫な気がしてきた。おかしなもんや。

俺は気にしないようにした。あの不吉な夢を。

だが、そんな俺を
彼女は嘲笑っていたなんて

⏰:07/06/07 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#597 []
 
――――……‥‥

あれ?ここは…

ああ、また俺は夢を?

いつの間にか寝てしまっていたのか。


遠くに人影が見える。

俺はその人影に駆け寄る

あれは……

コウ―…?

⏰:07/06/07 03:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#598 []
 
《コウッ…》

俺の呼び掛けは
コウには聞こえないみたいだ。

《コウ…》

俺がコウの肩を掴もうとしたとき

コウの身体から
血が噴き出した。

《…あな…た…が…》

苦しそうな表情でコウが呟く。

⏰:07/06/07 03:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#599 []
ふらりとその場に倒れるコウ。

《おい!コウ!!コウ!》

俺はコウに駆け寄った。

《クックックッ…》

まただ―‥

またあの笑い声が…

⏰:07/06/07 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#600 []
 
これは
やっぱりただの夢じゃない

このはに怪我を負わせたのは
この声の主…

誰だ…?
この声
聞き覚えがある

俺は後ろを振り返った。

《…お前…は……》

⏰:07/06/07 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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