【Devils×Night】
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#170 [オッズ]
―――――――――…
私はオッズに手を引かれ、家に帰った。
やっぱり、どの道を通って帰ってきたのか思い出せない。
「それではお気を付けて」
オッズは早口でそう言うと、瞬きをしている間に消えてしまった。
キジにからかわれたのが堪えているのか、白い肌が青っぽくなっていて、調子が悪そうだった。
「……ふぅ」
家に入ろうとした時、ポストに白い紙が入っているのに気付いた。
:07/05/27 13:34
:N700i
:☆☆☆
#171 [オッズ]
紙を取り出して広げる。
『いただきます。0』
0……。
0になんて絶対ならない。
私はリリーを壊して、キジに家族を助けてもらう。
4になるんだ。
唯一気掛かりなのは、文字がとても上手くなっていたことだ。
リリーは予想以上に進化しているんじゃないか?
私は易々と殺されるのではないか?
……そんなこと考えてもしょうがない。
私は手紙を破り捨て、家に入った。
:07/05/27 13:51
:N700i
:☆☆☆
#172 [オッズ]
―――――――――…
PM.11:50
12時まで後少し。
昨日は私の隣には優太が居た。
私はボーッとそんなことを考えていた。
心臓は物凄い勢いで脈打っていたが、頭は空っぽだった。
右手には包丁を持ち、左手にはネックレスを持つ。
大丈夫……。
リリーは道具をうまく使えない。
リリーは私に触れない。
私は殺されない。
:07/05/27 13:57
:N700i
:☆☆☆
#173 [オッズ]
……あれ?
私はふと思い出した。
私と優太がリリーと戦ったとき……私、リリーに腕を叩かれなかったっけ?
叩かれた……。
なんで?!
私に触れないんだよね?
でもほんの一瞬触られただけだし。
どうなってるの?
その時、時計の針が12時をさした。
来る……。
私は自分の部屋のドアを見つめる。
:07/05/27 14:02
:N700i
:☆☆☆
#174 [オッズ]
ガッシャーン!
ひどい騒音と共に、私の背後にあった窓が割れた。
ガラスの破片が飛び散る。
私は咄嗟に振り替えった。
「リリー……」
リリーは窓からするりと私の部屋に入ってきた。
リリーの外見は更に変貌していた。
人形だった部分が減り、人間の肌の部分が大半をしめている。
リリーは人間になろうとしてるんだ……。
:07/05/27 14:10
:N700i
:☆☆☆
#175 [オッズ]
なんてグロテスクなんだろう。
『なんで私の名前……。……匂う……』
リリーはすぐにでも飛び掛かってきそうな姿勢だったが、ぴたりと動きを止めて呟いた。
匂う……?
『あの人の……匂いがする……あの人の……』
あの人ってキジのことだ。
リリーのガラスの瞳がキラリと光る。
『あんた……あの人に何をしたの?!』
「はっ?!」
:07/05/27 14:24
:N700i
:☆☆☆
#176 [オッズ]
何言っちゃってるの?
私が言葉を発する間もなく、リリーが飛び掛かってきた。
「キャッ」
私は小さな悲鳴をあげて、ネックレスを守るようにリリーから背を向けた。
右腕に痛みがはしる。
思わず握っていた包丁を手放してしまった。
再び私は手を叩かれたのだ。
キジの嘘つき!
フツウに触られちゃってるんですけと!
:07/05/27 14:29
:N700i
:☆☆☆
#177 [オッズ]
私は落としてしまった包丁を拾おうとしたが、リリーが先に拾い上げてしまった。
リリーは不器用そうに、包丁を両手で握る。
「ひゃぁ……」
恐怖で声が漏れてしまった。
『キャハハ!』
リリーが甲高い笑い声をあげる。
口が張り裂け、ボロボロと皮膚が剥がれ落ちた。
『あんたももう終わりよ』
リリーは囁くように言うと、私に襲い掛かった。
:07/05/27 14:36
:N700i
:☆☆☆
#178 [オッズ]
もうダメだ。
もう助からないよ……。
お父さん、お母さん、優太、本当にごめんね。
こんなやつに殺されるなんて悔しい。
私はネックレスだけはしっかりと握り締め、かがみこんだ。
あんな女にネックレスは渡さない。
私は包丁でズタズタにされる覚悟をした。
「ニャア!」
私の悲鳴の代わりに、猫の唸り声が部屋中に響いた。
:07/05/27 14:41
:N700i
:☆☆☆
#179 [オッズ]
私は顔をあげた。
一匹の真っ赤な猫がリリーに飛び掛かっていた。
リリーが慌てて包丁を振り回している。
「うそ……。トラ……?」
なんで……?
なんでトラがここに居るの?
包丁が猫の体を掠める。
トラの体から血が流れた。
「トラッ!!」
トラは私の呼び声に答えるかのように、叫び声をあげるとリリーを押し倒した。
:07/05/27 14:49
:N700i
:☆☆☆
#180 [オッズ]
トラは『今だ』というように私の顔を見る。
私はリリーに向かって走りだした。
ガラスの破片が、グサグサと足の裏に突き刺さっていくが、気にしてなんかいられない。
『やめてぇー!!』
耳を塞ぎたくなるほどの絶叫。
リリーの目からは真っ赤な涙が流れている。
そして、
私はリリーの首にネックレスをかけた―――…。
:07/05/27 14:55
:N700i
:☆☆☆
#181 [オッズ]
―――――――――…
気が付くと、私はトラを抱き締め、殺風景な部屋に座り込んでいた。
ここはキジの屋敷……。
私の頭は混乱していた。
どうしてまたここにいるのかもわからない。
「千鶴……よくやった」
いつのまにか、私の目の前にキジがいた。
切なそうな笑みを浮かべ、私の手からトラを受け取ると抱き上げる。
「まったく。君もむちゃなことをやるねぇ、ハインリッヒ?」
:07/05/27 15:22
:N700i
:☆☆☆
#182 [オッズ]
キジの声音はとても優しく、心地よかった。
―――思い出した。
ネックレスをかけられたリリーは、崩れた。
皮膚が爛れ、乾燥しポロポロと床に零れる。
この世のものとは思えない悲鳴をあげていた。
それに、キジの名前を呼び続けてたんだ。
とても恐ろしい光景。
それから私は、怪我をしたトラを抱いて彷徨った。
私、帰ってこれたんだ……。
:07/05/27 15:28
:N700i
:☆☆☆
#183 [オッズ]
安心感と疲労感が一気に込み上げてきて、
私は気を失ってしまった。
―――――――――…
次の日、私は清々しい朝を迎えた。
ガラスが刺さった足の裏が痛かったが、それが逆に誇らしく感じた。
「ねぇ、キジ!」
私は上機嫌でキジに話し掛けた。
「なあに?」
キジは欠伸をして、なかなか真面目に話を聞こうとしない。
:07/05/27 15:34
:N700i
:☆☆☆
#184 [オッズ]
「もう!
約束はどうしたの?」
「約束ぅ?」
キジはけだるげに私を見つめた。
まさか本当に忘れてないわよね?
「キジ様、千鶴様のご家族を生き返らせてあげられるのでは?」
トラがゆったりとした足取りで部屋に入ってきた。
猫の姿ではなく人間の姿で。
「トラ!昨日はありがとう!怪我は?大丈夫?」
トラは微笑んだ。
「当然のことです。
怪我はご心配なく」
:07/05/27 15:43
:N700i
:☆☆☆
#185 [オッズ]
爽やかなトラの笑顔に、私は思わず見とれてしまう。
「痛っ!」
キジが私の肩を思いっきりつかんだ。
「思い出した。
望みどおり、お前の家族を蘇らせてやる」
「本当に?」
キジが不満げな様子なので、私はめちゃくちゃ不安になってきた。
「あぁ、もちろん。
千鶴、ポケットの中を見てみろ」
ポケット?
私はごそごそとスカートのポケットの中を探った。
:07/05/27 15:47
:N700i
:☆☆☆
#186 [オッズ]
「あ……」
ポケットの中から、お父さんの耳たぶとお母さんの薬指が出てきた。
「それから、これは君の弟だ」
キジは優太の小さな両手を持っている。
「なんであんたが持ってるの?!」
てゆーか、なんで私も耳たぶと指を持ってるの?
ポケットに入れた覚えはないのに……。
「細かいことは気にするな。さぁ、それを床に置くんだ」
:07/05/27 15:53
:N700i
:☆☆☆
#187 [オッズ]
私は反論したい気持ちを押さえ、キジに従った。
キジも弟の両手を床に置く。
「トラ」
キジがトラを呼ぶと、トラは可愛らしいダックスフントを抱えてあらわれた。
「犬……?」
なんで犬なんて連れてくるの?
何に使うの?
「千鶴、黙っていろ」
キジが厳しい口調で言った。
一心に床を見つめ、集中しきっている。
:07/05/27 16:02
:N700i
:☆☆☆
#188 [オッズ]
キジが静かに呪文のようなものを唱えだした。
今まで聞いたことないような言葉……。
しばらく唱え続けると、耳たぶたちに変化が訪れた。
だらしなく床に置かれていた耳たぶは、元気よく飛び跳ねだす。
指も起き上がり、くるくると回転しだした。
そして弟の両手は……なんと、ダックスフントの前脚があった場所にいた。
:07/05/27 16:08
:N700i
:☆☆☆
#189 [オッズ]
つまり、ダックスフントの前足は、優太の両手になってしまったのだ。
顔も体も後ろ足も列記としたダックスフントなのに、前足だけは人間の子供の手。
なんとも不気味だ。
「ちょ……何?コレ」
「何って、お前の家族だろう?」
キジは悪戯な笑顔で、不気味な犬たちを眺めた。
マジ……?
その時、優太の前足を持った犬が吠えた。
:07/05/27 16:16
:N700i
:☆☆☆
#190 [オッズ]
『ワン』と吠えたのではない。
いや、性格に言えば吠えたのではなく、喋ったのだ。
「お姉ちゃん!」
犬は私のまわりを走りながら、『お姉ちゃん』と言い続ける。
すごく走りずらそうだ。
犬に続いて、指と耳たぶも『千鶴』と言いだした。
キジが鼻で笑った。
「ほら、千鶴の望みどおり蘇らせてやったぞ。
外見は少しばかり変わったが、中身は以前と同じだ。
ちゃんと話もできる」
:07/05/27 16:21
:N700i
:☆☆☆
#191 [オッズ]
信じらんないっ!
「キージー!ちゃんともとに戻してよ!」
私はキジを勢い良く殴ろうとしたが、簡単に避けられてしまった。
キジの笑い声が屋敷中に響き渡った。
―――――――――…
END
―――――――――…
:07/05/27 16:26
:N700i
:☆☆☆
#192 [オッズ]
>>170-192
【Devils×Night】わ
これで終わりです(・ω・)
今まで読んでくださった方、
ありがとおございました
:07/05/27 16:29
:N700i
:☆☆☆
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