新☆きらきら
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#637 [向日葵]
急な雨だから、ずぶ濡れなのがあたしだけじゃなく、目立たないのが救いだった。
「ドアが閉まりまぁーす。」
閉まっていくドアをただ見つめる。
すると
ガッ!
いきなり手が入り込んできて、ドアが閉まるのを止めた。
息切れしながら入ってきた相手に私は目を見開く。
結女「大牙……さん。」
:07/06/22 12:52
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#638 [向日葵]
声をかけられた大牙さんは私と同じくずぶ濡れだった。
大牙「なんだ…。またアンタか。」
プシュー
ドアが閉まり、電車が動き出した。
カバンをゴソゴソしていた大牙さんはタオルで適当に頭を拭くと、あたしの頭においてワシャワシャ拭いてくれた。
大牙「タオル持ってないのか?少しぐらい拭けよ。」
年上はズルイ。
子供扱いして優しさを心の中に置いていく。
:07/06/22 12:56
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#639 [向日葵]
その優しさの種が、どう育っていくかなんてしりもしないでしょ?
私は大牙さんに先生を重ねてそう思った。
大牙さんは未だに頭を拭いてくれてる。
その手の体温が、あたしの心をぐしゃぐしゃに掻き回してダメにしていく。
折角我慢してたのに……。
ポタッ
雨の滴じゃないものが頬を流れる。
それに気付いた大牙さんは手を止め、少しあたしの頭を上に向かした。
:07/06/22 13:00
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#640 [向日葵]
次々に流れていく涙。
泣きたくなかった。
先生を想って泣きたくなんかなかった。
だってそうでしょ?
無理なのに想い続けて何になるの?
歯を食いしばり、鳴咽が漏れない様頑張る。
でも、無理だった。
だって……あたしの頭を大牙さんの胸に押し当てたから。
暑いハズの人肌が心地よくて、涙が更に流れを増す。
大「何があったか聞かない。でも我慢はするな。」
:07/06/22 13:05
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#641 [向日葵]
何かが崩れていった。
あたしは大牙さんの脇腹のシャツをギュッと掴んで胸に顔を埋めて少しずつ悲しみにくれていった。
周りなんて気にしない。
今は大牙さんの温もりが一番欲しかった。
泣いてる間大牙さんは何も言わず、ただ抱き締めてくれた。
・・・・・・・・・・・・
:07/06/22 13:10
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#642 [向日葵]
雨の中、走りもせず2人で手を繋いで大牙さんは家まで送ってくれた。
手を繋いで、っと言うよりも引っ張ってくれたって言うのが正しいかな。
泣き止んだあたしは虚ろな目をしていた。
時々大牙さんが家の道を聞いてきて、あたしは手を出して指を指した。
何度もそのやりとりが繰り返された。
でも大牙さんは嫌な顔一つせず、あたしを連れて行ってくれた。
カチャ
結女「ただいまー…。」
:07/06/22 13:15
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#643 [向日葵]
奥から友姫姉ちゃんがやって来た。
友姫「結女っ!ちょっとやだびしょ濡れじゃない!」
結女「それより大牙さんにタオル貸してあげて。」
友姫姉ちゃんは「誰?」と呟きあたしの背後を見た。大牙さんはお姉ちゃんに一礼する。
結女「昨日痴漢からあたしを助けてくれたの。少し雨宿りしてもいいでしょ?」
友姫「え?……上がってもらって部屋に連れて行きなさい。大牙……さん?どうぞ。」
:07/06/22 13:19
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#644 [向日葵]
大牙さをはまた一礼して玄関のドアを閉める。
そして友姫姉ちゃんからタオルを貰って、あたしは自室。大牙さんはお風呂場へ向かった。
自室に入ってからフゥッと静かに息を吐く。
もうほとんど胸の痛みが消えている。
制服をハンガーにかけて着替える。
もうジャージでいっかぁ……。
コンコン
友姫「結女。大牙さん入ってもいぃ?」
結女「あ、いいよー。」
ガチャ
ドアが開いて大牙さんが入る。
珊瑚さんの服を借りたのか、大牙さんも着替えていた。
:07/06/22 13:24
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#645 [向日葵]
その姿に少しみとれる。
大牙「悪い。雨足マシになったらすぐ帰るから。」
結女「お、おかまいなく!大丈夫ですから。」
大牙さんは「そうか」と答えて窓の外を見る。
沈黙が流れていった。
結女「……。好きな人がいました…。」
私はのろのろと話始めた。なんだか大牙さんに知って欲しくて……。
結女「でもその人は結婚してしまったんです。心の中では納得していました。好きな人が幸せになるならそれでいいと。……でも。」
:07/06/22 13:29
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#646 [向日葵]
それは心の中の上辺の部分。
本当の最奥にある想いは
結女「“裏切られた”。……そう思ったんです。」
大牙さんはこちらをずっと見つめる。
不思議と心は痛まない。
まるで思い出話でもしてるような気分だ。
結女「たまたま今日その人と奥さんに会いました。そしたらまたその想いとか、色んな感情が入り混じって、気付いたら大牙さんの前で泣いちゃいました!」
少し恥ずかしくなって照れ笑いをした。
それでも大牙さんはまだあたしを見つめたままだった。
:07/06/22 13:33
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