【CARTAIN CALL】美しい村の醜い男
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#6 [オッズ]
女はそう歌った。

女が歌い終わると、客席から拍手喝采が起こった。

僕しかいなかったはずの客席には、いつのまにか人々で溢れかえっていた。

僕はどうしていいかわからず、茫然と椅子に座り続ける。

女の人は、再び動かなくなり、ステージの幕がゆっくり下りていった。

拍手はしばらくの間やむことはなかった。

⏰:07/06/08 22:28 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#7 [オッズ]
―――――――――…

僕は物凄い衝撃を受けた。

慌てて目を開け、ようやくどのような状況にいたのか理解できた。

ベッドから落ちたのだ。

「……いてて」

僕はのんびりと立ち上がる。

ってことは、さっきの首吊り女は夢だったのか。

なんとなく納得がいかない。

⏰:07/06/09 06:30 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#8 [オッズ]
今まで、こんなはっきりと夢を覚えていたことはなかった。

歌の内容だって、すべて覚えているっていうのに。

「ハンス!ハンス、起きているの?」

母さんが叫んでいるのが聞こえた。

「……起きてるよ!」

僕はそう叫ぶと、居間に向かった。

……やっぱり納得いかないよ。

⏰:07/06/09 06:35 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#9 [オッズ]
僕は夢について考えながらも、朝食を食べ、学校へ行く準備をした。

「いってきまーす」

呟くようにそう言うと、学校への道を歩きだした。

路地裏のような狭いところを歩いているときだった。

「ジェラルド……」

僕は思わず声に出して彼の名を呼んでしまった。

最悪だ。

⏰:07/06/09 06:59 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#10 [オッズ]
ジェラルドは一瞬こちらを見たが、すぐにそっぽを向いてしまった。

彼は僕と同い年の14歳で、同じ学校に通っている。

しかし、こんなに早い時間に彼を見たのは初めてだ。

たいていはお昼を過ぎてから姿をあらわすのに。

ジェラルドは天使のような少年だ。

落ち着いた感じの金色の髪に、深い青の瞳。
非常に整った顔をしていて、気品が漂っている。

⏰:07/06/09 20:31 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#11 [オッズ]
ただ、ジェラルドには一つ問題がある。

大きな問題だ。

彼はひどい乱暴者なのだ。

僕はジェラルドと面識はなかったが、彼の噂はなんどとなく聞いた。

その中にいい噂は一つもなかった。

誰を病院送りにしたとか、二度と人に見せられない顔にされた子がいるとか、万引きをしたとか……。

噂のほとんどは真実だ。

⏰:07/06/09 20:37 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#12 [オッズ]
そんなやつが目の前にいる。

しかもジェラルドは、狭い路地に座り込んでいるため、道の半分が塞がれてしまっている。

僕はその横を通り抜けなければならない。

困った……。

もしジェラルドに絡まれたら?
うっかり転んでしまって、彼を踏ん付けてしまったら?

僕は悩みながらもジェラルドに近づいていった。

⏰:07/06/09 20:41 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#13 [オッズ]
相変わらず、ジェラルドはボーッとしているようで、僕になんの反応もしめさない。

これなら大丈夫かも。

足音をたてずに、慎重にジェラルドの横を進もうとした。

しかし、こんなに注意していたにもかかわらず、僕の努力は水の泡となった。

空想に耽っている様子だったジェラルドが、いきなり足を引っ掛けてきたのだ。

「うわっ!」

僕は倒れこみ、地面に顎を打ち付けた。

⏰:07/06/09 20:48 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#14 [オッズ]
ジェラルドが倒れた僕の背中を思いっきり踏んだ。

思わずむせてしまう。

横目でジェラルドを見た。

彼は意地悪くほくそ笑んでいる。
天使なんてとんでもない。
あの笑顔は悪魔にしか見えない。

「よぉ、うすのろま」

「ぼ、僕はハンスだ……」

僕はうめきながらそう言った。

⏰:07/06/09 20:51 📱:N700i 🆔:☆☆☆


#15 [オッズ]
ジェラルドはおもしろくなさそうに、フンと鼻をならした。

僕はすかさず立ち上がる。

ジェラルドは僕と背丈はあまりかわらない。

なのに、力の差は歴然だ。

「俺は機嫌が悪い……」

ジェラルドが続きを言う前に、僕は全速力で走り出した。

逃げなきゃ……。

⏰:07/06/09 20:55 📱:N700i 🆔:☆☆☆


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