俺とコウの物語
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#203 []
コウの言葉もむなしく、
麻生が出てくる気配はなかった。

「出てきません」

ムスッとした表情で、コウは俺に振り返った。

「だな」

「どうしましょうか」

どうしましょうね。

親指の爪を噛みながらしばらくしてコウが口を開いた。

「閃きました」

⏰:07/10/17 02:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#204 []
コウは先程と打って変わって、なにやら晴れやかな顔つきになった。

「…コウ?一体どんな良からぬ事閃いたんや?」

「失礼ですね。僕の閃きは良い事に決まっているでしょう」

決まってません。
嫌な予感がします。
どうか…どうか的中…

「麻生さん、僕達があなたの頼みを聞いてさしあげましょう」

…的中しませんように。

⏰:07/10/17 02:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#205 []
「麻生さん、どうでしょう?頼みを聞いて差し上げますから、出てきてくれませんか」

あーあ…
言っちゃったよこの人…
って……

ん?

今、僕 た ち って言っちゃいませんでしたか?

「俺も!?」

⏰:07/10/17 02:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#206 []
「当たり前です」

「なんでやねん!」

「あなたの恋人を助けるために僕がわざわざ協力しているんでしょう?」

そーなん?

俺とコウが言い合いをしていると、鏡から呟くような声が聞こえてきた。

「…何でも聞くの…?」

⏰:07/10/17 02:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#207 []
恐る恐る俺は鏡に目を向ける。

鏡にはまだ何も映ってはいない。

やべー…
寒気がする。

「コウ…今…」

「なにか?」

こいつ聞こえんかったんか?

「今鏡のとこから…」

「なんでも聞くの…?」

⏰:07/10/22 02:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#208 []
俺は背筋が凍りそうになった。

今度は確かに、はっきりと鏡から声が聞こえた。

「志乃くん?何か?」

「…お前聞こえんのか?」

「いえ、聞こえてます」

ほな聞くな!

「私の頼み…何でも聞くの?」

⏰:07/10/22 02:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#209 []
三番目の鏡に再び目を向けると、鏡の向こうには髪の長い女が映っていた。

「あ…麻生…」

「麻生さんこんにちは。お元気ですか」

淡々とコウは鏡の前に立ち話す。

霊なんやから元気なわけないやろ!

⏰:07/10/22 02:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#210 []
「何でも聞くのよね?」

鏡の中で麻生は長い髪を垂らしながら言った。
髪の毛で表情が見えない。

「いえ、聞けない場合もありますが」

「……………」

「まぁ言ってみて下さい」

こいつは絶対聞かない、と俺は確信した。

⏰:07/10/28 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#211 []
「…麻生さん」

コウはため息まじりに麻生の名を呼ぶと、真剣な顔つきになり麻生をじっと見据えた。

「あなたが鏡に住み着く理由を教えて頂きたい。ここで女子生徒の頼みを聞いてあなたは満足なのですか」

「……………」

「あなたに黙秘権はありませんよ」

…なぜだ!?

⏰:07/10/28 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#212 []
「僕の質問には答えなさい。答えない場合、僕を怒らせることになりかねません」

ここまで黙秘権を使っていた俺は、口を開いた。

「お前怒らせたらどーなんねん?」

「…志乃くんは少し黙ってて下さい」

「なんでやねん!」

どうやら俺には黙秘権があるらしい。

⏰:07/10/28 03:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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