俺とコウの物語
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#1 []
きみを送るの続編になります☆

>>2は感想版です

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⏰:07/06/27 03:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#2 []
感想くれたら嬉しいです

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2368/

⏰:07/06/27 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#3 []
 
友達っていいもんだって

お前に会うまでは

気付かなかったよ。

世界を敵にまわしても

お前がついてくれるなら

俺は何だってやってやるよ


  俺とコウの物語
 

⏰:07/06/27 03:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#4 []
 
「志乃くん」

「…ん〜……」

「志乃くん朝ですよ」

「…もうちょっと…」

「だめです起きなさい」

バチンッというでかい音と頬に感じる鈍い痛み。

「いってぇ!!!」

⏰:07/06/27 03:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#5 []
「おはようございます」

「お前なぁ!!もうちょっとマシな起こし方でけへんのか!!」

「マシです」

「どこがやねん!殴るやつがあるかぁ?」

「殴ったつもりはありません」

俺の一日は
コウの張り手から始まる。

⏰:07/06/27 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#6 []
はじめまして!
ちゃうな、久しぶり!
柏木志乃です、まいど!

俺が鑑別から出てきて
時がたち、俺達は
高校三年生になった。

ただいまコウと同居中です

「志乃くんご飯を」

コウ?
相変わらずよ。
でもさ、最近コウの奴…

⏰:07/06/27 03:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#7 []
【第1章 百合江】

「志乃くん、ご飯早く作って下さい」

「今日はコウの番やけど」

「僕でいいんですか?」

「……いや、やっぱ俺が作るわ……」

「そうですか、早くして下さいね」

以前コウに飯を作ってもらった時、納豆やらオクラやら、恐ろしくネバネバなものしか出てこなかった事を思い出した。

⏰:07/06/27 03:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#8 []
朝飯を作るために台所へ行く俺をよそに
コウは涼しい顔でたばこを吸った。

「起きぬけのたばこは最高です」

ええい!
お前も居候ならちょっとは手伝おうとせんかい!

と、まぁ毎日こんな感じで一日が始まる。

⏰:07/06/28 03:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#9 []
「おっはよ〜!」

ガラッと元気よく教室の扉を開ける俺の後ろから
コウは眠気と戦いながらついてくる。

「…はよございます…」

「志乃おはよ!神谷くんもおはよう!」

「幸子おはよ!」

三年生になり、俺は念願の幸子と同じクラスになった

⏰:07/06/28 03:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#10 []
「幸子さんおはようございます。僕への挨拶はオマケみたく聞こえましたが」

間違いなくオマケじゃ!
幸子がなぜお前メインに挨拶しなアカンのや。

「そんな事ないよ〜!」

相変わらず幸子って
か わ い い !

⏰:07/06/28 03:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#11 []
「コウくんおはよ…」

俺たちの後ろから
遠慮がちにコウに挨拶をする女の声。

「あぁ、おはようございます百合江さん」

百合江とは
三年生になりコウに告白をしてきた女。
見た目は…何も言うまい。付き合ってるわけではないと思うけど
コウもまんざらじゃない様子だ。

⏰:07/06/28 03:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#12 []
「どうしたんですか?」

コウが百合江の顔を覗き込み、ニヤリと口角を上げた

「そんなに見つめてどうかされました?」

「あ…ううん…」

「返事、ですか?僕まだ返事してませんでしたね」

コウの言葉に
百合江は顔を真っ赤にして俯いた。

⏰:07/07/02 04:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#13 []
返事とは多分告白の返事のことだろう。

「聞きたいですか?」

「聞きたい!!」

「……志乃くんには聞いてません」

コウは横目で俺を睨んだ

なぜ志乃くんがいるんですかとでも言いたそうだ。

「だいたいなぜあなたがいるんですか」

言ったー!!

⏰:07/07/02 04:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#14 []
「同じクラスやん!」

「そうですね」

コウは興味なさそうに大きくあくびをした。

こいつ…家帰ったらいじめてやる。

「百合江さん返事、しましょうか?」

「…やっ…まだいい…」

百合江はそれだけ言い、真っ赤な顔のままその場を去った。

⏰:07/07/02 04:22 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#15 []
「コウのこと好きとか物好きなやつもおるんやな」

百合江がいなくなった教室で、俺はコウの机の上に座りコウと向き合った。

「では世の中のほとんどの方が物好きですね」

教科書を机から取り出し、パラパラっと開きながらコウが言った。

⏰:07/07/02 04:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#16 []
「なんで?」

「言ったはずです。僕はモテます、と。誰かとは違って」

「誰かとはって誰?」

「……………」

コウは何も答えず教科書に目を向けたままだ。

「なぁ誰かって?」

しつこくつめ寄る俺を
コウはチラリと見、バカにした目付きでニッと笑った

「俺かい!!!」

⏰:07/07/02 04:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#17 []
「さぁ…どうでしょう」

「明らかに今俺やっていいたげな顔やったやん!だいたいなんや?世の中のほとんどが物好き!?はっ!ほんなら世の中のほとんどのやつがお前のこと好きっちゅーわけかい!そんなアホな事あるか!」

マシンガンみたいに俺はやたら長い台詞を感情込みで言ってやった。

「すみませんうるさいので黙ってて下さい」

回答になってねぇーー!!

⏰:07/07/02 04:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#18 []
「……ムカつく…」

「はい?」

「ムカつく」

「そうですか」

コウは鼻でフッと笑い
教科書をめくった。

「志乃くん席にちゃんとつきなさい」

「へいへい」

⏰:07/07/03 14:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#19 []
席につき、
俺は頬杖をつきながら教室を見渡した。

幸子がクラスの女子と楽しそうに笑っている。

かわい〜。幸子だけ輝いて見えるわ………

「…ん?」

なんだ?

俺は目を見開いた。
ある人物の動きが気になってしかたない。

⏰:07/07/03 14:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#20 []
あいつ…何しとるんや?

その人物は
なにやら願掛け人形らしきものを握りしめ
呪文みたいのを唱えている

「…こわっ!!」

そいつの目線の先は

コウだった。

そう、その人物とは百合江である。

コウが…やばい?

⏰:07/07/03 14:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#21 []
「はいはい席ついて〜」

担任が教室にきて、
まもなく1限目が始まった

授業中も俺は不審者(百合江)から目が離せなかった

チャイムがなり授業が終わると同時に
俺はコウの元に駆け寄った

「おい!コウ!」

⏰:07/07/06 09:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#22 []
コウは相変わらずのポーカーフェイスで

「なんですか」

と聞いてきた。

「百合江が…百合江がお前に呪いをかけとる!!」

「………はい?」

「へんな人形握りしめてお前に向かって呪いの呪文を唱えとんねん!」

俺の言葉にコウはちらっと百合江の方に目を向けた。

⏰:07/07/06 09:03 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#23 []
「ああ…あれは……」

コウはクスッと笑うと
再び教科書を手にとり
パラパラと開いた。

「なんやねん」

「あれは呪いではなく願掛けです。つまり僕と付き合いたい、と願掛けをしているのでしょう」

願 掛 け ?

「………キモい…」

⏰:07/07/06 09:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#24 []
「はい?何か言いましたか?」

「キモい!願掛けとかキモいわ!お前はキモいと思わへんのか?」

「……いえ別に」

コウはシャーペンをくるくる回しながら恐ろしい言葉を続けた。

「かわいらしいじゃないですか、願掛けまでしても僕の心を自分に向かせたい、と。その考えがとてもかわいらしいです」

⏰:07/07/06 09:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#25 []
か わ い い ?

今、こいつかわいいとか言ったか?

「かわいい…?願掛けで呪いをかける女がかわいいやて?」

「ですから呪いではありません」

「ほんならそのかわいい女と付き合うんか?」

「それはわかりません」

コウはまたも教科書に目を向けてしまった。

⏰:07/07/06 09:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#26 []
「でもさ〜コウくんよ〜」

教科書に目を向け、俺に話し掛けるなオーラを出しているコウにわざと声をかける。

「そろそろ付き合う、付き合わんハッキリさした方がえーんちゃうの?」

「なぜですか」

「だってほら、なんせコウくんモテますから?早めに返事しやんと他の子が告白しにくいやん?」

⏰:07/07/07 01:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#27 []
「…なるほど」

コウはたいして興味なさそうにシャーペンをくるくるまわしながら教科書と睨めっこしている。

こいつ…ムカピー!!

「おい!お前次の授業席かわれや!」

俺はコウの隣の席のひ弱そうな男に無理矢理席をかわってもらった。

⏰:07/07/07 01:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#28 []
「…志乃くん一体あなたはなにを……」

コウはため息をつき
あからさまに嫌そうな顔で俺の顔を見た。

「コウの隣にきたかってんも〜ん!」

ニヤニヤしながら言った俺にコウはまたもやでかいため息をついた。

「本当にあなたはキモいですね」

⏰:07/07/07 01:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#29 []
やかましい

「やかましい」

「まぁいいですが僕も志乃くんがそばにいてうれしいです」

いかにも感情がこもってないとわかるくらいコウは棒読みで言った。

「やかましい」

「やかましいは口癖ですか」

今気付いたけどそーみたい。

⏰:07/07/07 22:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#30 []
二限目の授業中
俺はずっとコウにちょっかいを出していた。

「なぁ…おいコウ!」

「………………」

「コウちゃ〜ん!」

「………………」

「おい!コウさんよ!」

「柏木!!うるさいぞ!ワシの授業がつまらんなら出ていけ!!」

あらら。
追い出されちゃった。

⏰:07/07/08 00:22 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#31 []
教室を追い出され、やることのない俺は
ふと目の前にある図書室に足を踏み入れた。

「は〜…ちょっと寝るかな…」

机にうっ伏せた瞬間
携帯が電子音を発した。

「うおっ!やべーやべー俺バイブにしてへんかった…ん?メールか…」

⏰:07/07/08 00:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#32 []
メールを開くと

俺はすぐさまメールを開いたことを後悔した。

【受信 コウ

【あなたって人は授業中に話し掛けるなと何度言えばわかるんですかだいたいあなたとい人は…】

ずらーっと永遠に俺への文句が書かれている。

【、】や【。】が全くない

「読みにくっ!」

⏰:07/07/08 00:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#33 []
俺はコウに

【やかましい】

とだけ返信し、
はだしのゲンを読もうと図書室内を徘徊した。

「…ん?」

ある棚に並ぶ本を見て
俺は足をとめた。

「なんじゃこりゃ」

タイトルは

【気になる相手を振り向かせる願掛け人形の作り方】

⏰:07/07/08 00:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#34 []
 
願掛け人形…

これってさっき百合江が持ってたやつとそっくり…

まさか百合江もこれ見て…いや、まさかな…。

俺は裏表紙をめくり
貸出人のカードに目を向けた。

【小笠原百合江】

「やっぱり借りとるー!」

⏰:07/07/08 00:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#35 []
怪しいタイトルの本をぱらっとめくり、
俺はあるページで手を止めた。

「…そんな……」

俺の手から
本がバサッと落ちる。

「うそやろ………」

そのページには

【相手が振り向いてくれなかった場合、この人形は相手を苦しめる事も可能です】

と書かれていた。

⏰:07/07/09 23:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#36 []
【第二章 コウを守れ!】

「コウ!コウ!!」

教室の扉を開き、俺はクラスの注目を浴びているのも気にせずでかい声でコウを呼んだ。

「コウ!!!」

「柏木!出てけ言うたはずやろ!!」

「やかましい!それどころやないねん!おいコウ!」

⏰:07/07/10 00:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#37 []
「教師に向かってやかましいとはなんじゃ!柏木!こっちに来い!」

「そんなひまないゆーてるやろ!」

「えーからこい!」

「嫌や!だいたい眩しいねん先生のハゲ頭が!」

…………やべ……
うっかり言っちゃった…

俺の一言でクラスはシンと静まりかえり、
クラス中のやつらが俺と先生の顔を生ツバを飲みながら見ている。

⏰:07/07/10 00:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#38 []
俺の額からは
冷や汗がポタッと流れるのがわかる。

「……………」

先生は俯いたまま
後頭部をピカリと光らせる以外は微動だにしない。

……こ……こえぇ…

静まりかえる教室で
真っ先に沈黙を破ったのは

「先生、少し抜けます」

コウだった。

⏰:07/07/10 00:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#39 []
「あぁ、すみません。抜ける、という単語は今禁句でしたか?」

おい!!!

もはやコウの言葉で
クラス中のやつらは顔面蒼白になった。

俺はゴクリとツバを飲みこみ、先生の出方を待つ。

「…………け……」

「すみません先生、聞こえませんでした。もう一度お願いします」

⏰:07/07/10 00:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#40 []
「二人共出ていけ!!」

顔をあげた先生の表情は
人間ではなかった。
霊を見慣れている俺ですら恐怖で奮えあがった。



「あ〜怖かった…」

教室から追い出され
俺とコウは屋上へ向かった

⏰:07/07/10 01:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#41 []
「志乃くんは本当にへたれ…もやしですね」

屋上についた途端コウはあぐらをかき、涼しい顔でポケットからたばこを取出し火をつけた

「やかましい。だいたいお前がいらん事ゆーたから先生あそこまで切れたんちゃうんけ!」

「僕は思った事を言ったまでです。それに最初にハゲと言ったのはあなたです」

⏰:07/07/10 01:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#42 []
「俺はええねん!」

「なぜですか」

「なぜでも!!」

コウはため息だか煙を吐いただけなのかわからないがフーッと息を漏らし
俺を見つめた。

「それで、一体何ですか?授業中に呼んでまで僕に言いたい事があるんでしょう?」

⏰:07/07/10 01:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#43 []
「ああ、そうそう!」

忘れてた。

「お前危ないねん!」

「…………はい?」

唐突すぎる俺の台詞に、
コウは怪訝をモロに出した顔つきで見た。

「百合江がお前を苦しめようとしとる!」

⏰:07/07/20 01:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#44 []
「……………」

「さっき俺図書室に行って見てもてん!」

「…何を」

「本を!」

「…まぁ図書室ですから本を見るでしょうね」

コウは興味ない、といったように空を見上げながら深くたばこを吸った。

「そこに…驚くなかれ…お前を苦しめる術が載っててん!!」

⏰:07/07/20 01:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#45 []
「…なんですかそれ」

「だーかーらー!百合江がさっきもってた呪いの人形が…」

「願掛け人形です」

ええい!どっちにしろ呪いに変わんねんから呪い人形でえーやん!

「それの本が図書室にあってん!!」

「知ってます」

………………はい?

⏰:07/07/20 01:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#46 []
「知ってますよ」

……………

知 っ て ま す ?

「なぜ」

「僕が教えた本ですから」

ぼ く が お し え た ほ ん で す か ら ?

「百合江さんが僕に告白した時に試しに僕が振り向くよう願掛けしてみて下さいと、僕が頼みましたので」

⏰:07/07/20 01:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#47 []
こいつは一体何を頼んでんねや!!

「お前は見たんか!?」

「何を」

「呪いの本を!」

「願掛けの本です」

ええい!

「願掛けの本見たんか!」

「…表紙だけは」

「内容は?」

「興味ありませんから」

ほんならなんで百合江に薦めてん!

⏰:07/07/20 01:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#48 []
「で、その本が何か」

「その本に、願掛けがきかんかった場合相手を苦しめることが可能て書いてあった!」

「………ほう」

またもやコウは興味なさげにゴロッと地面に寝そべった。

「お前が危ないねん!」

「そうですか」

⏰:07/07/20 02:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#49 []
「そうですかって…お前怖くないんか!?」

「怖いです」

全く怖くなさそうに
コウはたばこを地面に擦り目を閉じた。

「ですが志乃くんが助けてくれるんでしょう?」

「…誰を」

「僕を」

⏰:07/07/20 02:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#50 []
「誰が」

「あなたが」

「誰を」

「…僕を」

「誰が」

「あなたがです!志乃くんしつこいです」

逆切れ!?
てゆーかこの事態自分で引き起こしたんですよね?

⏰:07/07/21 01:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#51 []
「助けるって…どうやって?」

「知りません。ですが助けて下さい。僕怖いです」

絶対怖くないやろ!!

俺の冷たい視線をよそに
コウはわざとらしくぶるぶると震えてみせた。

「怖すぎて身体が震えます…」

わざとやろ!!

⏰:07/07/21 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#52 []
「まぁ、とりあえずその本持ってきて下さい」

「…俺が?」

「あなた以外誰が」

「おまえ」

「…僕はどこに置いてあるかわかりませんので」

お前がお勧めした本ちゃいますの?

「何してるんですか早くして下さい」

⏰:07/07/21 03:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#53 []
コウに急かされ、俺はしぶしぶ図書室へ向かった。

図書室へつくと
もう休み時間になっていたらしくちらほらと生徒が集まっていた。

えー…っと…
どこやったかな〜…。

例の本がある棚付近に近づくと、一人の女子生徒が立っていた。

⏰:07/07/21 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#54 []
「…あっ……!」

あの姿は…

「百合江…!!」

俺の言葉に、百合江は驚いたようにビクッとし
手にとっていた本を落とした。

「その本…!!」

まさしくそれは…!!

【気になる相手を振り向かせる願掛け人形の作り方】

⏰:07/07/21 03:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#55 []
「百合江それ…」

俺が話し終わる前に
百合江は例の本を拾い、
足早に図書室を出て行ってしまった。

また借りるん?

って…おい!!!

「百合江!!待てや!」

コウが…コウがほんまに危ないかもしれない。

⏰:07/07/21 03:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#56 []
図書室を出た百合江を必死に追い掛けたが、百合江が女子トイレに逃げ込んだため、俺はあきらめてコウの待つ屋上へと向かった。

「あなたは女性の足にも追い付けないのですか」

屋上へつくと、またも涼しい顔でたばこを吸っているコウが俺を見下したように言った。

⏰:07/07/21 03:22 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#57 []
「女子トイレに逃げられたからしゃーないやん」

「言いわけですね」

「言いわけちゃうし!」

「まぁ、それで良かったかもしれませんね。普通に追い掛けても追い付けなかったならば恥でしょう」

普通に追い掛けたら追い付けるわい!!
俺どんなけコウになめられてんの?

⏰:07/07/21 03:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#58 []
「ところで志乃くん、今日のご飯は何ですか」

「は」

「ですから今日の…」

「知らん!つーか、今そんなん重要ちゃうやろ!」

「重要です」

お前が苦しめられんよーに頑張っとる俺馬鹿みたいじゃね?

⏰:07/07/24 02:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#59 []
「お前が怖いゆーから俺必死であの本探してんのに」

「探してないでしょう」

「探してるわい!」

「今手元にないのですから探してないのと一緒です」

「…………」

「ほら、何も反論できないでしょう?」

ほんなら自分で探せや!

⏰:07/07/24 02:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#60 []
俺とコウがギャーギャー言い合いをしていると
俺達の背後に
恐ろしい影が近づいてきた

「柏木!神谷ぁ!!」

でかい声に驚き、
俺達は飛び上がった。

「せ…先生……」

そう、恐ろしい影の正体はハゲ…いや、
あの先生だった。

⏰:07/08/12 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#61 []
授業崩壊(してないよな?)及びサボりの現行犯で
俺達は署(職員室)まで連行された。

「だいたいお前らは〜…」

ぐだぐだと長い説教。

コウなんて隣で真剣な顔をしながら寝ている。
こいつの特技は目を開けたまま眠れることだ。

そんな豆知識いらねーか?

⏰:07/08/12 02:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#62 []
現にコウの鼻からいびきらしき音が一定のリズムで繰り出されている。
真面目な顔で目をキラキラさせながらいびきをかくもんやから恐ろしく不気味だ。こいつを今日から
不気味ちゃんと名付ける。

まぁコウが不気味なのは今に始まったことじゃないが。

⏰:07/08/12 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#63 []
俺がそうこう頭の中で考えを巡らせながら
ふと先生の机の上に目を向けた。

「あっ…先生その本…」

「ん?ああ、これか。小笠原が授業中にずっと読んでたからな、取り上げたわ」

まさしくそれは…

「気になる相手を振り向かせる願掛け人形の作り方。こんな馬鹿げた本よく読むわな〜」

⏰:07/08/12 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#64 []
「せっ…先生!!その本俺に貸して下さい!!」

「え……?」

「お願いします!!一生のお願いです!!!」

俺はよほど必死な形相をしていただろう。
先生はまるで不審者を見る目付きで俺を見つめた。

「お前…この本を借りるために一生の願いを使い果たしてえーんか…それでえーんか…?」

⏰:07/08/12 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#65 []
「いいんです!お願いします!!!」

俺は目の前にあの本があるという興奮状態で土下座をする勢いだった。

「わかったわかった!ほら、貸したるからもう教室戻れ」

先生は恐る恐る本を差し出し俺達を職員室から追い出した。

⏰:07/08/12 03:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#66 []
「は〜よく寝ました」

職員室を出るなり
コウが大きく伸びをしながら言った。

やっぱり寝てたんかい!

「おや…?志乃くんその本……」

「先生が持っててん」

「なぜ」

「百合江から取り上げたんやってさ」

「………ほう」

⏰:07/08/12 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#67 []
俺はさっそくコウを救うべく本をパラパラ開いた。

「……………何これ」

「どうかされましたか?」

「これ………」

俺は唖然としながら
コウにあるページを指して見せた。

「あぁ、そうですよ」

⏰:07/08/12 03:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#68 []
しれっとしながらコウが言った。

そのページには

【この人形はあくまでも気休めなので相手に害を与える事は不可能です。前ページに゛苦しめる事も可能です゛と書かれていますが冗談です☆しかし信じるものは救われる。相手を振り向かせたいと願い、信じれば叶うかもしれませんね☆】

⏰:07/08/12 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#69 []
「…これは一体……」

「ですから、冗談です」

「って事は………」

「たかが人形ですし苦しめるなんて不可能だと誰でもわかる事でしょう?」

馬鹿にしたようにコウは笑いながら俺に背を向け歩き出した。

「………………」

⏰:07/08/12 03:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#70 []
「お前…知ってたんか…」

「はい。一度目を通しましたから」

「興味ないから読んでへんゆーてたやん!」

「それは冗談ですよ」

冗談つーかただの嘘やん!

「ほんならなんで言わんかってん!」

⏰:07/08/12 03:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#71 []
「志乃くんが僕のためにどれだけ必死になるか見たかったので。それにしても」

コウは俺に振り返りニヤッと笑った。

「あなたは本当に僕の事が大好きなんですね」

「………コウ……」

「なんですか?」

《バキッ!!!》

その後先生の鞄に願掛け人形がついていた事は言うまでもない。

「これ生徒の間で流行ってるみたいなんですよ」

⏰:07/08/12 03:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#72 []
【第三章 カイ】

「あ〜だり〜」

季節は梅雨。
こう雨ばっかじゃやる気もでないよな。

「志乃くんの生気のない顔を見てると嫌な気分になります」

「だってこうもジメジメしてると…って何やて!?」

「嫌な気分になります」

《バキッ!!》

⏰:07/08/14 14:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#73 []
朝っぱらから
俺とコウが教室でギャーギャー言い合っていると
廊下で女子グループと話していた幸子が遠慮がちに近づいてきた。

「よぉ幸子!」

「ねぇ…ちょっと神谷くんに聞きたい事あるんやけど……」

「なんですか?」

幸子の顔が少し曇っているような…一体なんや?

⏰:07/08/14 14:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#74 []
「さっき麻衣と話してたんやけどな…」

麻衣…。こいつは確か二年のときにコウにラブレターを渡した女だ。
(きみを送る参照)

その麻衣が何や?

「神谷くんって彼女いるんや?」

……………は?

「えっ!?お前彼女できたん!?」

⏰:07/08/14 14:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#75 []
「…いえ、いませんけど」

「そりゃそーやろな、おらんよな、あーびっくりした!幸子冗談言うなや〜」

大袈裟に笑う俺をコウはギロッと横目で睨んできた。

「そーやんな、やっぱり彼女おらんよね…?」

やっぱりて…幸子ちゃん、きみも結構きついね。

⏰:07/08/14 14:21 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#76 []
さりげなく馬鹿にされたコウは俺と幸子にチッと舌打ちをし、

「作ろうと思えばできますが作ろうと思ってませんので」

と言った。

「はいはい。」

「志乃くんムカつきますね。で、幸子さんなぜ急にそんな事を?」

イライラを隠しきれない口調でコウが幸子に言った。

⏰:07/08/14 14:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#77 []
「う…ん。麻衣が先週の日曜日にミナミで神谷くんが女の子と腕組んで歩いてたの見たらしいから…でも人違いやね」

先週の日曜日…?

「人違いですね、僕はその日は志乃くんと一緒でしたから」

その日に限らずいつも一緒ですけどね!!

「そーやね。変な事言ってごめんね」

⏰:07/08/14 14:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#78 []
軽くコウに謝って、幸子は教室を出て女子グループのかたまりに戻って行った。

「お前にそっくりな奴でもおるんかな〜」

「…………さぁ」

「ま、世の中には三人似た奴がおるゆーけど。まさかドッペルゲンガーとか?」

「まさか」

コウは軽く鼻で笑い自分の席に戻って行った。

⏰:07/08/14 14:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#79 []
コウに似たやつか…

「う〜ん………」

う〜ん……

う〜ん…

見てみたい!!

「今日ミナミ行こうや!」

コウの元へ駆け寄り
俺は満面の笑みで言った。

「…なぜ……と聞かなくてもわかりますが…」

「そーゆー事!後でな」

ルンルンな俺に対して
コウの表情が曇っていた事に俺は気付かなかった。

⏰:07/08/15 02:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#80 []
 
「こん中からコウ似の奴見つけるなんて無理くね?」

放課後俺達はコウ似を探すべくミナミに出た。

「無理でしょうね」

人込みをキョロキョロする俺に、半ばめんどくさそうに呆れた顔でコウが言った

「でも見てみたくね?」

⏰:07/08/15 03:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#81 []
「僕に似た方を見てどうするんですか」

「見たいだけ!興味あるやろ?お前似の奴もお前に似て不気味ちゃんなんかな〜」

「…なんですか不気味ちゃんて」

「お前のあだ名!」

「…………ほぅ」

⏰:07/08/15 03:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#82 []
「おらんな〜…あっ!」

「いましたか?」

「いや…あの子かわえ〜」

「……あなたは一体何を探しに来たんですか」

「わりーわりー」

デレデレする俺を見て
コウはため息をついた。

「無駄ですよ、こう人が多くては見つけるなんて至難の技です」

⏰:07/08/15 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#83 []
帰りましょう、と言い
コウはスタスタと歩き出した。

「おい待てや…コウ!」

俺の静止も聞かずにコウは早足で歩き続ける。

「コ〜ウ!!うわっ…と…すんません!」

コウだけを視界に入れていた俺は対向してきた人に気付かずぶつかってしまった

⏰:07/08/15 03:34 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#84 []
「すんません…」

ぶつかった人に謝り
前を見ると
俺の視界からコウが消えてしまった。

あれ〜
コウどこ行ったんや?
歩くん早過ぎやねんアイツ…。

イライラしながら
俺は帰ろうと歩きだした

その時だった。

⏰:07/08/15 03:36 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#85 []
「コウ!!」

前方に消えたはずのコウがまた現れた。

「コウ!お前歩くん早過ぎやねんて…おい!」

「……………」

「おいコウ!!」

なかなか振り返らないコウの肩を掴み、俺は自分の方へ引き寄せた。

「はぁ?なんやねん」

…………………え?

⏰:07/08/15 03:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#86 []
な ん や ね ん ?

コウの口から関西弁がでてきた…?

「…コウ……?」

「お前誰やねん離せや」

…意味がわからない。

俺が肩を掴んでいるのは
紛れも無くコウそのもの。

だが、俺に肩を掴まれている男は嫌悪感をモロに顔に出し、俺を睨みつけている

「離せて。お前日本語通じへんのか」

⏰:07/08/15 03:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#87 []
離せて。お前日本語通じへんのか

離せて。お前日本語通じへんのか…

離せて。お前日本語通じへんのか………

コウの言葉が俺の能内で繰り返される。

「おい!手ぇ離せて言うてるのが聞こえへんのか!」

怒鳴るようにコウ(?)が俺の手を払いのけた。

⏰:07/08/16 01:42 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#88 []
コウ(?)は、俺を睨みながらチッと舌打ちすると、無言で歩き出してしまった。

…………?

どうなってる?
もしかして今のがコウのそっくりさんか?
いやいや、似過ぎやろ!

その場にボー然と立ち尽くす俺に

「志乃くん何してるんですか」

と、聞き慣れた低い声が聞こえた。

⏰:07/08/16 01:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#89 []
声の主を見ると
心配そうにコウが立っていた。

「何ボーっとしてるんですか」

「お前…今……」

「はい?」

目の前にいるコウは
紛れも無くいつものコウだ

「今…今見たか!?」

⏰:07/08/16 01:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#90 []
「なにをです?」

「今お前のそっくりさんおってん!!」

興奮状態の俺は
たった今の出来事を鼻息まじりに話した。

コウは俺が鼻息を荒くするたびに怪訝な表情をしたが、黙ってフムフムと相槌をうちながら聞いていた。

⏰:07/08/16 01:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#91 []
黙っておとなしく聞いていたコウだが、俺の

「コウが関西弁話してるみたいで気味悪かった」

という言葉にムッとしたのかコウは

「僕も関西弁くらい話せますで」

という、なんとも不気味な関西弁を使ってみせた。

やはりコウは不気味ちゃんだという収穫しか、この日はなく終わった。

⏰:07/08/16 02:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#92 []
 
《時間です》

《起きて下さい》

《時間です》

「…おはよ……」

「おはようございます」

翌日俺は
コウの携帯の目覚まし音のコウボイスで
いつも通りの朝を迎えた。

「今日もすがすがしい朝ですね。ラジオ体操したい気分です」

⏰:07/08/17 03:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#93 []
「……したら?」

「志乃くんも一緒にするならば」

「……嫌じゃ」

なぜ高校三年生にもなってラジオ体操なんぞしなアカンねや。
しかもむさ苦しい男二人で

「つれない人ですね、あなたは」

⏰:07/08/17 03:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#94 []
今日は日曜日。
俺は今日もコウを連れて
コウ似を捜すべくミナミに繰り出す予定だ。

「ラジオ体操よりもはよ準備して行こうや」

「…どこにですか」

「ミナミやん!昨日もゆーたやろ!?」

「なぜ……とは聞かなくてもわかりますが…」

⏰:07/08/17 03:03 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#95 []
「わかるならはよして」

「志乃くんだってまだ準備してないでしょう」

眠そうにあくびをしながらたばこに火をつけコウが言った。

「俺はえーねん!だいたいなんの誰のためにミナミ行く思ってんねん」

「誰のために?」

「俺のため。ほら、早く」

⏰:07/08/17 03:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#96 []
ブツブツと文句を言いながらもコウはたばこの火を消し着替えだした。

こいつ俺のこと大好きなんやな〜。

コウの準備も終わったところで、俺たちはミナミへと繰り出した。

「昨日はこの辺で会ったから、しばらくここで待ってみよーや」

⏰:07/08/17 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#97 []
しばらく待っていると
突然コウがジュースを飲みたいと駄々をこねだしたので、俺はしぶしぶジュースを買いに自販機まで行った

コウの好きな
おしるこの缶がなかったため、俺のこのみで
おーい、お茶を買った。

緑茶すきなのよ、俺。

⏰:07/08/17 03:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#98 []
元来た場所へ戻ると
何やらコウのそばに一人の女の子が近付くのが見えた。

逆ナンか?
なかなかかわいらしい子やん!

しばらく様子を見ようと、俺はコウのもとへ一歩近付いた。

すると………

⏰:07/08/17 03:15 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#99 []
《ばちーーん!!》

物凄いでかい音と共に
コウが張り手をくらわされている光景が目にとびこんできた。

「最っ低!!」

女の子は大きな声で一言だけコウに言い放ち、人混みに消えてしまった。

⏰:07/08/17 03:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#100 []
「おいっ…」

慌ててコウに駆け寄る。

コウはびっくりしたのか
殴られた頬を押さえ放心しているようだ。

「おい!コウ大丈夫か」

俺の声にハッとしたのか
コウは俺の手にもたれた缶を見た。

「コウ?おーい」

「…………お茶」

⏰:07/08/17 03:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#101 []
「………………」

「おーいお茶…ですか」

「……………」

「僕ジュースを買ってきてと言いましたよね?なぜ緑茶なんですか?おしるこはどうしたんです?」

おしるこってジュースやっけ?

ってか、そんなことより

「今の女の子誰なん!?」

⏰:07/08/17 03:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#102 []
「知りませんよ」

「え?」

「全く知らない人です」

「でも今お前殴られとったやん!」

「…急に殴られました」

殴られた頬を押さえ、コウは不機嫌そうに顔をしかめた。

「彼女…なかなか強烈でした。激しい方です」

⏰:07/08/21 02:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#103 []
「お前……」

「大丈夫か、とは聞かないのですか」

「は?」

「殴られて大丈夫か、と聞かないのですかあなたは」

「さっき聞いたけど」

「聞こえませんでした。聞こえない心配などしてないに等しいです」

ムスッとしながらコウは言った。

どうやらこいつは俺が心配していないことにご立腹なようだ。

⏰:07/08/21 19:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#104 []
「…大丈夫か」

「大丈夫ですけどね」

ほなゆーな。

「まぁ、僕は誰かとは違って女性のパンチは何も感じないですから」

こいつ…
まだ俺が女に殴られて鼻血をだしたこと引きずってやがる。(きみを送る参照)

「でもお前なんで殴られたんやろな?」

⏰:07/08/21 19:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#105 []
「先日志乃くんが見た、僕似の方と間違えられたんじゃないですかね」

おーい、お茶の缶をプシュッと開け、不機嫌なままコウが言った。

「あ〜…それありえる」

「…あなたのせいです」

おーい、お茶を一口飲み、コウは俺を睨んだ。

⏰:07/08/23 12:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#106 []
「なんでやねんな!」

「あなたが僕似の方を探しに行こうと言わなければこんな目にあいませんでした。」

まぁ、確かにそーやけど

「謝ってください」

「は」

「謝ってください」

⏰:07/08/23 12:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#107 []
「なんでやねん!」

「ですからあなたのせいで殴られたんです。何回言えばわかるんですか」

「はいはいすんませんでしたね」

「なんですかそれ…あなたはだいたい………」

コウはそこまで言い、
俺の背後に目線を移し口を閉じた。

⏰:07/08/30 02:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#108 []
続いて俺もコウの視線の先に目を向ける。

「あっ!」

コウのそっくりさんや!

「…やはり………」

「…コウ…久しぶりやな」

コウが話し終わる前に
コウのダミー(と呼ばせてもらう)は微笑を浮かべて言った。

「何年ぶりや?」

⏰:07/08/30 02:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#109 []
「久しぶりですね、あなたも大阪にいたとは」

…?

全くわけがわからない。

コウとダミーは知り合いか?はたから見ると双子といった感じだが。

「志乃くん失礼、彼はカイ。僕の従兄弟にあたります」

「………従兄弟!?」

⏰:07/08/30 02:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#110 []
「お前従兄弟おったん!?」

「従兄弟がいない、といつ言いました?」

まるでいないと言ってない親族系は全ているみたいな言い方やな。

「カイ…あなたのせいで先程僕女性に殴られたのですが」

⏰:07/09/06 04:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#111 []
「へぇ〜だからなんや?」

「謝って下さい」

「…はぁ?」

「謝って下さい」

こいつ今さっき俺に言った台詞またゆーとる!!

「なんでお前に謝らなアカンねん!い・や・じゃ」

「…相変わらずあなたは僕をいらつかせますね」

⏰:07/09/06 04:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#112 []
「まぁな!俺様は他人をイラつかせるのがお得意なもんで!!」

コウの従兄弟、カイは腕を組み、得意げにエヘンと喉を鳴らしてみせた。

…なんだこいつ。
さすがはコウの従兄弟…
顔も似てれば性格も異常なところがそっくりだ。

⏰:07/09/07 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#113 []
「あなたは随分な特技があるみたいですね感心しました」

それ感心するよーな事ちゃうやろ!!

「しかし残念ながらこちらにいる柏木志乃という方はあなたよりもさらに上手ですよ」

コウは俺を指し、ニッコリ(ニヤリ?)と笑った。

⏰:07/09/07 02:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#114 []
「は…?上手って…」

それって…つまり…

「他人をイラつかせるのはあなたの特技でしょう?」

はーーー!?

「はぁ!?」

俺が怒りで口を開く前に
カイが俺に向かい怒った表情で近付いてきた。

⏰:07/09/07 03:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#115 []
「お前と俺と、どっちが他人を多くイラつかせるか、勝負や!」

俺を頭のてっぺんから足のつま先までなめ回すように見ながらカイが言った。

てかどーでもいいし!

「いや、下らんし遠慮しときますわ」

⏰:07/09/07 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#116 []
カイというコウにそっくりな男は、俺の言葉にいらついたように舌打ちをし、

「俺の負けや」

と言って去っていった。

どうやら俺はカイをいらつかせてしまったようだ。

「やはりあなたの勝ちですね。あなたは人をいらつかせるのだけはピカ1です」

⏰:07/09/20 02:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#117 []
「…お前が一番やと」

「はい?」

「お前が一番人をいらつかせるのがうまいと」

「はい?」

コウは俺の言葉をわざと遮る。

俺はコウこそこの世の全人類をいらつかせるのがうまいナンバーワンだと確信した。

⏰:07/09/20 02:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#118 []
「てかお前の従兄弟お前そっくりやな」

「はい…もともと僕達の母親が双子ですから」

へえ〜

「そうなん…」

「柏木くん!!!」

俺の言葉をまたもや遮ったのは

「…紀香?どしたん?」

同じクラスの紀香だった

「お願い…助けて…」

⏰:07/09/20 02:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#119 []
【第四章 女子トイレ】

「助けてって…何を?」

紀香はよほど慌てて来たのか、肩で息をしながら言った。

「柏木くんって、霊が見えるんよな!?」

「…は?」

まぁ、見えるけど…

「お願いだから、あたし達を助けて!」

あ た し… 達 ?

⏰:07/09/20 02:24 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#120 []
「霊がどうかされましたか?」

困惑する俺をよそに
コウは目を輝かせながら紀香を見つめた。

やばい。
このパターンはやばい。

俺は嫌な予感がした。

まぁ、その予感は的中するのだが。

「実はね…」

⏰:07/09/20 02:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#121 []
 
「さぁ、志乃くん行きましょう!」

「…嫌といったら?」

「それでも行きます」


紀香の話はこうだった。

⏰:07/09/20 02:32 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#122 []
 
最近学校内の女子達の間での噂話らしい。

三階にある女子トイレの第三番目の鏡の前に立ち、
「麻生さん、お願いを聞いて下さい」
と言う。

その後願い事を言うと
麻生さんという女が鏡に映り、その願いは叶えられる。

どの学校にもありそうな
七不思議の一つみたいもんだ。

⏰:07/09/20 02:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#123 []
「ただの噂話やと思ってんけどな…実際鏡に知らん女が移ってん…」

「…紀香の願いは?」

俺の問いに、紀香は下唇を噛みながら俯いた。

「言わなわからんやん」

「…美和子を…」

俺はその名前だけで
紀香達が望んだ願いがわかった。

⏰:07/09/20 02:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#124 []
美和子とは

三年になると同時に東京から転入してきた女。

俺は興味ないが
ものすごく可愛い女だ。
色白で、くるくるな栗色の髪に大きな瞳。頬と唇はきれいな桃色で…

俺は全く興味ないんだけどね?

⏰:07/09/20 02:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#125 []
「だって美和子ったら…あたしの彼氏を…」

はいはい、奪ったんでしょ。

そう、美和子はその端正な容姿ゆえ、性格がなんとも悪い!…と言いますか…
友達の彼氏も平気で奪っちゃうのよね〜。

そりゃ怨まれて当然だって。

⏰:07/09/20 02:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#126 []
 
足早に学校へと向かうコウにはぐれまいと、俺は足を急がせた。

「コウ…おいコウ!」

学校の校門が見えたあたりで、俺はコウを呼び止めた

⏰:07/09/21 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#127 []
コウは爛々と目を輝かせたまま振り返り

「なんですか」

と半ば焦り口調で言った。

こいつほんまに霊のことになりと張り切るな…

「学校行ったところでどないすんねん?」

⏰:07/09/21 03:43 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#128 []
「行ってみなければ状況がわかりません」

まぁそーかもしらんけど

「今日日曜やけど…」

俺のにごった言葉を聞き、コウは勘を働かせた。

「あぁ…今日部活の方もいますね、それで僕たちが女子排泄室に入ろうものなら僕たちは変態のレッテルを背負わされます」

…てか女子排泄室て言い方がもう変態なんですけど。

⏰:07/09/21 03:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#129 []
「せやから女子排泄室に入るんはやめるべきちゃうか?」

「何言ってるんですか、入らなければ全く無意味です。例え人がいようとも、僕は入ります」

じゃあ一人で入ってくれ。

「さぁ早く行きますよ」

⏰:07/09/21 03:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#130 []
三階の女子排泄室の前まで来て、
俺は無理だ、と思った。

扉の向こう側では女子達のキャーキャーとした笑い声が聞こえている。
少なくとも三人はいる。

「コウ…なぁもう少し後からでいいん……おい!?」

⏰:07/09/26 08:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#131 []
俺の止めるすきもないまま勢いよくコウが扉を開き、

「失礼します」

と言った。

同時に聞こえたのはキャーと言う女子達のでかい悲鳴。

「…鼓膜がやぶれます」

コウは両手で耳を押さえ、顔をしかめた。

⏰:07/09/26 08:58 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#132 []
「神谷!!ここ女子トイレやで!?変態!」

女子の一人がコウに向かい言った。

「ですから失礼しますと言ったでしょう」

いやいや、言うてもな…

「神谷くんって見掛けに寄らず変態なんだぁ〜」

ブリッとした高い声。
このくせのある声は…

⏰:07/09/26 09:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#133 []
「あなた誰でしたっけ」

キョトンと目の前のかわいらしい女を怪訝に見つめるコウ。

「え〜神谷くんひどーい」

わざとらしいブリブリ口調で言う女。

彼女こそが

「…美和子……」

⏰:07/09/27 03:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#134 []
「あ、柏木くん…」

俺に気付いた途端、美和子は顔を赤らめ照れたようにみせた。

俺は騙されない。
これこそが美和子のテクなのだ。

おおかた俺にテクを見せるのは、学年一アイドル的な俺の彼女、幸子に敵意をもってだろう。

俺は騙されんぞ。

⏰:07/09/27 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#135 []
「志乃!あんた幸子がおるってのになんやねん!痴漢が趣味なん!?」

急に声を張り上げたのは
幸子と仲の良い、香苗だった。

「ちゃうて!俺はさっき紀香から……」

「紀香?紀香がなによ?」

いけね。紀香の話はさすがに美和子の前ではタブーやんな。

⏰:07/09/27 03:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#136 []
「紀香がどーしてん?」

冷静に口を開いたのは、同じクラスの恵真だった。

恵真は俺も尊敬している、いわば神!
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。そのうえクールだが性格もかなりいいと幸子から聞いている。
完璧なやつだ。

「いや…その……」

⏰:07/09/27 03:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#137 []
苦虫を潰したような歯切れの悪い俺を見かねたのか、コウはため息をついた。

「あなた方は、最近噂になっている麻生さんの話をご存知ですか?」

コウの言葉に、香苗と恵真は表情が暗くなった。

⏰:07/09/27 03:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#138 []
「なにそれ〜?」

美和子がキョトンとした顔でコウを見る。

「…あなたは誰ですか」

「美和子だよ!一緒のクラスじゃん!!」

「そうでしたっけ」

コウは美和子に興味なさげに女子トイレ内を見回した。

⏰:07/09/29 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#139 []
「三番目の鏡…あぁ、これですね」

コウは何の躊躇もなしに女子トイレに入っていき、三番目の鏡の前に立った。

なんか嫌な予感がする

「コウちょっと待…」

「麻生さん、お願いを聞いてください」

⏰:07/09/29 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#140 []
言っちゃった…。

言っちゃったよこの人。

「麻生さんお願いを聞いてください」

「…………」

「麻生さん」

「…………」

しばらく鏡とにらめっこをしていたコウだが、何の反応もなく苛立ったように舌打ちをし、俺に振り返った。

⏰:07/09/29 03:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#141 []
「何もありません。見たところただの鏡です」

半ば残念そうな表情のコウに対し、香苗と恵真は暗い表情のままだ。

「麻生さん…って何〜?」

美和子がトロい口調で言った。

「それよりあなたが誰なんですか」

⏰:07/09/29 03:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#142 []
「だから美和子!何回言えばわかんだよ〜」

何時も同じ問い掛けをするコウに、美和子は若干いらついた口調になった。

お。本性でるか?

「何回聞いてもわかりません。あなたは一体」

「…あなたが美和子…」

コウの言葉を遮ったのは、香苗でも恵真でもない
冷たく暗い声だった。

⏰:07/09/29 03:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#143 []
声の主を見た香苗と恵真は口を開いたまま、言葉にならない声を発し、ガタガタと奮え出した。

まさか本当に…

「麻生さん…?」

声の主は
三番目の鏡の近くにいたコウのすぐ後ろで
長い黒髪のすき間から目だけを覗かせ美和子を見ていた。

⏰:07/09/29 03:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#144 []
なんだこいつは。

「…ほう。これはまた厄介な…」

振り返り後ろの女を見つめたコウがため息まじりに呟いた。

「…これ…結構やばないか…?」

今までにみたことないほどのやばい霊だ。

多分、間違いない。

俺の額から嫌な汗が流れる。

⏰:07/09/29 03:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#145 []
「美和子…あなたが…」

ボソッと呟くように
髪の長い女はゆっくりと美和子に近づいて行く。

紀香が何をお願いしたのかはわからないが、相当嫌な予感がする。

俺は足が震えて動かなかった。

⏰:07/09/30 03:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#146 []
香苗も恵真も怯えているだろう、ガタガタと震えたまま微動だにしない。

当然か。

美和子は不思議そうな顔で近づいてくる女を見ている。

どうしたらいい?

俺はどうしたら…

「待って下さい」

⏰:07/09/30 03:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#147 []
誰一人口も開かず
動けない中で唯一口を開いたのはやはり

「ちょっと待ちなさい」

コウだった。

コウの声に、髪の長い女は足を止め、ゆっくりコウに振り返る。

⏰:07/09/30 03:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#148 []
「あなたが麻生さんですか」

冷静に問う。

「…………」

女はコウを見たまま口を開かずに立ち止まっている。

「あなたが麻生さんですか」

「…………」

⏰:07/09/30 03:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#149 []
「答えなさい。あなたが麻生さんですか」

何も答えようとしない女に苛立ったのか、コウは眉間にしわを寄せた。

「僕が質問しているんです。早く答えなさい」

でたー

この世は僕中心に回ってるんですよ発言!

⏰:07/09/30 03:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#150 []
「…なんで男子がいるの」

「はい?」

「なんで男子が女子トイレにいるのよ」

女は長い髪の間から覗かせた目をコウに向けて言った。

「ここは女子トイレでしょう?」

おっしゃるとおりです。

⏰:07/09/30 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#151 []
「いたらダメな理由があるんですか」

コウは女をギロッと睨みながら、低い声で言った。

いやいや、普通はダメでしょ!

「今願い事をしたのはお前か…?」

目線をコウに向けたまま、女が言う。

「まずは僕の問いに答えなさい。あなたは麻生さんですか、と僕何度も聞いてますよね」

⏰:07/09/30 03:44 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#152 []
コウと女はお互いを見つめ合ったまましばらく動かなかった。

先に口を開いたのは

「…そうよ」

麻生さんだった。

「ほう。あなたが麻生さんですか」

棒読みに近い状態でコウが言った。

⏰:07/10/01 05:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#153 []
「僕、お願いをしたいのですが」

コウは麻生さんに近寄りながら低い声で言う。

「…聞けないわ」

麻生さんは髪の間から目線をコウに向けたまま、冷静に言った。

「なぜですか」

⏰:07/10/01 05:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#154 []
「男だからよ」

「は」

「私は女子トイレにすんでるの。だから女子の願いしか聞けない」

「…意味がわかりません」

意味わかるやろ!!
女子トイレにおるから女子の願いしか聞けんて今ゆーたやん!

⏰:07/10/01 05:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#155 []
「男子は…男子トイレの住人に願いを聞いてもらったら?」

「男子…?」

男子トイレにも麻生みたいやつがおるんか?

「男子は下品なのであまり好ましくありません」

お前(下品な)男子やろ!

⏰:07/10/01 05:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#156 []
「男子排泄室にもあなたと同類の方が?」

「………」

「答えなさい」

しつこいコウに嫌気がさしたのか麻生さんは、
とりあえずコウをチラリと見たあと鏡の前に立ち、何も言わずフッと消えてしまった。

⏰:07/10/01 05:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#157 []
「消えてしまいました」

残念そうなコウに対し、
香苗と恵真、美和子はボー然とその場に立ちつくしている。

「志乃くん、なかなか強敵ですよ彼女は」

強敵!?敵なんか!?

⏰:07/10/01 05:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#158 []
「まぁ、確かに今まで見たことないような霊やな」

俺はまだ足が奮えている。

「彼女、僕の問い掛けにはほとんど答えてくれませんでした。なかなか手強い方です」

そこかい!!
てか、それどーでもいいから。

⏰:07/10/01 06:00 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#159 []
「まぁしかし今回は…」

コウは眉間にしわをよせ、三番目の鏡を睨みつけた。

「本当に厄介です…」

コウは呟くように繰り返す。

「本当に…」

⏰:07/10/05 02:45 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#160 []
【第五章 必殺仕置人】

《いちかけ、にかけ、さんかけて…》

「………ん…?」

《仕掛けて、殺して、日が暮れて…》

「なんや!?」

「あぁ、志乃くんおはようございます。」

「…今の……」

また目覚まし音変えた…

「必殺仕事人です」

⏰:07/10/05 02:48 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#161 []
「…中村…」

「中村もんどさんです。まぁ、藤田まことさんですが、僕とても好感を持っています」

「…あ、そ」

だから何やねん

「中村さん役は、彼しか、彼以外は無理だと思ってます、僕は」

…あ、そ。

⏰:07/10/05 02:51 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#162 []
「てかさぁー!!」

いかん、いかん。
この辺で違う話題を出さねば延々と仕事人の話をされてしまう。

「…なんですか」

話を遮られたコウは不機嫌そうに俺を睨みつけた。

睨むな!!

⏰:07/10/05 02:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#163 []
「ほら、昨日の女子…」

「女子排泄室の事ですか」

「…はい、女子排泄室の。あいつ一体なんやねん」

コウは俺の問い掛けに答えず無言で窓を明け、たばこを一本取り出し火をつけた

⏰:07/10/05 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#164 []
煙をフーッとはき、
窓の外を眺めながら物思いにふける(ような表情)コウは、俺が女ならイチコロだろう、それはそれは綺麗な…

「志乃くんは朝っぱらから汚い話題を出しますね。まぁ排泄室の話題なので朝にはピッタリですけども」

…はい!?

⏰:07/10/05 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#165 []
「僕は朝っぱらから排泄室の話題などしたくないのですが」

今じゃなきゃいつすんねん!!てかだいたいさ〜

「お前が厄介なやつや言うたから早めに話し合わなアカンと思って気ーきかしたんやんけ!」

「余計なお世話です」

⏰:07/10/05 03:01 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#166 []
「…………」

いつ余計なお世話しましたか。

「厄介は…まぁ厄介ですが、今はその話したくありません。新鮮な朝なので」

「…ほな何の話題」

「必殺仕事人の」

それ新鮮な朝にピッタリの話題ですかね!?

⏰:07/10/05 03:03 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#167 []
「それも似たよーなもんやん!殺しの話題やん!」

「いいえ、彼らは人の恨みつらみを晴らしているだけです、世のためです」

「新鮮ちゃうやん。斬新やん」

「…志乃くん…」

コウは俺を見ながら呆れたようにため息をついた。

また嫌な予感…。

⏰:07/10/05 03:05 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#168 []
「いいですか、彼らは世のために仕事をしているんです。それが彼らの仕事なんです。麻生という霊とは全く違います比べものになりません。むしろ比べるのは失礼です、いいですか?彼らは…」

嫌な予感が的中した。

コウは俺に注意すると見せ掛け、仕事人の話を延々と語りだした。

⏰:07/10/05 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#169 []
15分経過したが、コウのトークはノンストップだ。
むしろ話に拍車がかかり、やや興奮気味。

あげくの果てには物真似をしだしてしまった。

「お前さんの恨み、晴らしてやったぜ」

「…………」

似てない。

俺は今日耳栓を買おう、と決心した。

⏰:07/10/05 03:11 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#170 []
学校へ行く間中も
ウザがる俺を全く気にせずにコウは延々と仕事人、中村さんの話題をしていた。

「…そこで藤田まことが敵の…」

はぁ…ウザイ。

俺は耳に手をあてながら学校への道を歩く。

「…志乃ぉ……」

⏰:07/10/05 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#171 []
耳に手をあてていた俺だがこの愛しい声は聞き逃さなかった。

「幸子!おはよう」

「…おはよ……」

俺の後ろから声をかけてきた幸子は、あからさまに暗い…いや、悲しい表情だった。

「どしてん?」

⏰:07/10/05 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#172 []
「…あのね……」

幸子は口を開こうとしない。

「幸子?どしたん?」

「………」

「幸子?」

「―で、ですね、その時藤田まことが…―志乃くん!聞いてますか?」

「やかましい!」

まだ仕事人の話しとんかいなコイツは。

⏰:07/10/06 02:52 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#173 []
「おや?幸子さんいたんですか」

お前がいたんですか、じゃ。

「…神谷くん…おはよ…」

「元気ないですね、どうしました?」

「う…ん……」

幸子は俯いたまま、俺の制服の裾を掴んだ。

⏰:07/10/06 02:54 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#174 []
「どした?話聞くで、二人になるか?」

俺は幸子ももちろん心配だが、コウから離れたくて仕方なかった。

「そうしましょう、あちらで話を聞きましょうか」

お前も来るんかい!!

⏰:07/10/06 02:55 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#175 []
「…うん…じゃあ…」

幸子は俺の裾を掴んだまま俺の後についてきた。

表情が暗い。
一体どうした…?

しばらく歩き、学校の近くにある公園のベンチに腰を降ろした。

「さて、聞きましょう」

余計なコイツも一緒に。

⏰:07/10/06 02:57 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#176 []
ベンチに座り、しばらく幸子は俯いたまま何も話さなかったが、しびれを切らしたコウが煙草に火をつけると同時に重い口を開いた。

「実は昨日、電話かかってきてん…」

「誰から?」

「…わからんねやけど…内容が…」

⏰:07/10/06 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#177 []
「うん、内容が?」

「………あんたは嫌われてるって…」

「…は?」

あんたは嫌われてる?

あんたはって…幸子が?

俺の愛しいマイハニー幸子が嫌われてるやて?

そんな馬鹿な。

「…昨日何回も……」

⏰:07/10/06 03:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#178 []
何回も…?

「同じ番号から?番号でてたんやろ?」

「…非通知やってん…でも、声は同じやった…」

「その声に聞き覚えはありますか?」

煙草の煙を吐きながら、コウは眉間にしわを寄せた。

「…わからへん…」

⏰:07/10/06 03:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#179 []
「非通知で何回も…?」

俺は幸子を悲しませるのが大嫌いだ。

全く手掛かりもないが、その非通知の犯人に殺意が芽生えた。

「…くそっ……」

幸子は今にも泣きそうになっている。

「それは何時頃ですか」

冷静にコウは問う。

⏰:07/10/06 03:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#180 []
「夜の…8時頃から10分おきくらいにずっと…。途中で電源切ったから、それからはわからへんねやけど…」

10分置きにずっと…?

俺は得体の知らない非通知魔にイライラがつのった。

「…ほぅ。許せませんね。僕の幸子さんにこんな事をするなんて」

⏰:07/10/06 03:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#181 []
「…今なんて」

「僕のアイドル幸子さんにこんなひどい事をするなんて許せません」

「さっきアイドルて付けてなかったやん」

「忘れてました。志乃くん、あまり怒らないで下さいよ」

怒るわい!
あたかも幸子が自分のものみたい言い方しやがって。

⏰:07/10/06 03:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#182 []
「幸子は俺のやから」

「知ってますよ」

クスクス笑うコウの隣で、幸子は俯きながらも顔を赤らめた。

…なるほど。
コウのたくらみか。

幸子を暗い表情から少しでも救うために言ったようだ。

それでも許さないけど。

⏰:07/10/06 03:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#183 []
コウの頭を一発ぶん殴り、幸子に詳しく話を聞くことにした。

「…痛いです」

頭を押さえながらコウは俺に向かいぶつぶつと文句を言っている。

「やかましい」

コウを気にせずに幸子の話を聞く。

⏰:07/10/06 03:35 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#184 []
「急に鳴ったん。携帯が。ただ、一言だけ“あんたは嫌われてる”って…ずっとその一言だけやった。」

一言だけ…ずっと…

何か変や。

「その声もね、なんか機械音みたかった。普通の電話口の声じゃないみたいな…なんか怖かってん…」

「嫌われる心当たりも、もちろんないですよね?」

⏰:07/10/06 03:37 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#185 []
「当たり前やん!幸子が嫌われるわけないやん!」

馬鹿じゃねーのか!?

「志乃くん興奮しないで下さいよ、聞いただけですから」

聞く必要もないわ!
幸子が嫌われる理由なんてない!

「まぁ…幸子さんが嫌われる原因があるならば…嫉妬ですかね」

⏰:07/10/06 03:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#186 []
「嫉妬…?」

「はい。女の嫉妬は醜いですから。幸子さんはかわいらしいですが、女子生徒からの嫉妬もすごそうです」

「…………」

考えたこともなかった。

幸子は容姿はもちろんかわいい!性格もかなりいい!全てパーフェクト!

それゆえに嫉妬する女が嫌がらせを…?

⏰:07/10/06 03:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#187 []
「あー!あーー!!」

「…なんですか志乃くんキモチ悪いですね」

急に叫びだす俺をコウは怪訝な顔で見ていた。

俺はまたもやコウを殴ろうとしたが、コウの呟くような小さな一言で俺の思考は停止してしまった。そう、恐怖で。

「その嫉妬から女子生徒の誰かが麻生さんに頼んで幸子さんを苦しめなければいいのですが…」

⏰:07/10/06 03:50 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#188 []
「え…?麻生さん…?」

コウの小さな呟きが聞こえたのか、幸子は不思議そうな表情で言った。

「麻生さんって…誰?」

幸子は多分知らないのだろう。

「あ?何それ?」

俺もとっさにとぼけてみせる。

⏰:07/10/08 00:38 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#189 []
コウもハッとし、俺に合わせてとぼけてみせた。

「すみません昨日読んだ小説を思い出してしまい独り言を言ってしまいました」

苦しすぎ!!

こいつはもっとうまいこととぼけられんのか。

⏰:07/10/08 00:40 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#190 []
「小説…そーなんやぁ…なんの小説読んでたん?」

幸子がアホでよかった!

「タイトルは忘れました。タイトル未定です(の別の小説ですちゃっかりアピール)」

また苦しい!
コウくん苦しい!

⏰:07/10/08 02:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#191 []
「幸子さん、電話は確かに気味が悪いですがただのイタズラです、あまり気にしない方がいいと思いますよ」

煙草を地面に押しつけ、コウが言った。

「そうそう!気にすんなって!何かあったら俺が幸子を守るし!」

⏰:07/10/11 03:46 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#192 []
「…志乃…ほんまに?」

「当たり前やん!幸子を守るのが俺の役目やし!」

彼氏ならトーゼン!

俺の言葉に、幸子は嬉しそうに顔を赤らめたが、コウは
「志乃くん台詞がクサイです」
などとブツブツ言っていた。

「やかましい」

⏰:07/10/11 03:49 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#193 []
学校へ向かう幸子を見送り、俺とコウはブランコに乗りながら思考を練った。

「…で、どうする?」

「どうしましょうか」

「…幸子のイタ電は」

「腹痛にしましょう」

…腹痛?

「なにが」

「遅刻の言い訳ですよ」

幸子の事考えとったんちゃうんかい!!

⏰:07/10/12 02:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#194 []
「遅刻の言い訳なんて寝坊でいいやん!」

「寝坊は僕の人権に反します」

人権てなんやねん!!

「てか遅刻の理由なんてどーでもいいやん!これからどーすんねんて!」

「なにが」

「麻生の事やろ!」

こいつは何を考えとんじゃ

⏰:07/10/12 02:47 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#195 []
「ああ…」

コウは片足で地面を蹴るとゆっくりブランコを揺らした。

「俺の予想では…幸子の電話は麻生が絡んでると…」

「はい。それは僕も確信しています。麻生さんが絡んでる、間違いありません」

⏰:07/10/12 03:29 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#196 []
やっぱりそうか。

しかし霊相手じゃどうしていいのか…。

「コウ…どーする?」

「…そうですね…」

コウはしばらく俯き、親指をガリッと噛んだ。

「何か怨念があるのかもしれません」

「…誰が」

「麻生さんが、ですよ」

⏰:07/10/12 03:31 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#197 []
まぁ、確かに怨念があるから霊になってさ迷ってるんやろな。

「怨みを晴らしてあげましょうか」

「は」

「僕たちが晴らせぬ怨み、晴らしてさしあげましょう」

「…………」

この台詞…いかにも

「必殺仕置人です」

何それ!一体何の仕置きするの?

⏰:07/10/13 03:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#198 []
コウの謎の言葉と共に、
俺はコウに手を引かれ(?)学校へと向かった。

学校についたはいいが…

「あのさ〜」

「なんですか」

「普通にこれは変態じゃないですか?」

そう、いかにも。
俺とコウは三階の女子トイレ、もとい女子排泄室の前にいる。

本日は普通〜に学校。もちろんみんな登校している。

⏰:07/10/16 03:25 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#199 []
「変態ではなく、仕置き人と呼んでいただきたいですね」

この時代、変態としか呼ばんやろ。

「志乃くん準備はいいですか?」

「なんの」

「仕置き人のですよ」

「…無理」

「では入ります」

無理てゆーたんですけど!

⏰:07/10/16 03:27 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#200 []
「きゃぁぁああ!!」

バタンという女子トイレのドアを開けると共に、
トイレにいた女子達から
ものすごい悲鳴を上げられた。

ま、当然だけど。

「…悲鳴を上げるとは失礼ですね」

女子トイレにノックもなく男子が入る方が失礼ですけど。

⏰:07/10/16 03:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#201 []
中にいた女子は俺とコウを変質者を見るような目付きで見、悲鳴を上げながら出て行った。

「邪魔者は消えました」

そーですね。

「では」

コウは三番目の鏡の前に立つ。

「麻生さん、お願いします。出てきてください」

⏰:07/10/16 03:33 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#202 []
コウが呪文(?)を唱えるが、鏡は依然として静かなままだ。

「麻生さん、お願いしますよ」

「……………」

「…麻生さん…お願いしますと言っています」

「……………」

「僕がお願いしますと言ってるんですけど」

⏰:07/10/17 02:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#203 []
コウの言葉もむなしく、
麻生が出てくる気配はなかった。

「出てきません」

ムスッとした表情で、コウは俺に振り返った。

「だな」

「どうしましょうか」

どうしましょうね。

親指の爪を噛みながらしばらくしてコウが口を開いた。

「閃きました」

⏰:07/10/17 02:19 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#204 []
コウは先程と打って変わって、なにやら晴れやかな顔つきになった。

「…コウ?一体どんな良からぬ事閃いたんや?」

「失礼ですね。僕の閃きは良い事に決まっているでしょう」

決まってません。
嫌な予感がします。
どうか…どうか的中…

「麻生さん、僕達があなたの頼みを聞いてさしあげましょう」

…的中しませんように。

⏰:07/10/17 02:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#205 []
「麻生さん、どうでしょう?頼みを聞いて差し上げますから、出てきてくれませんか」

あーあ…
言っちゃったよこの人…
って……

ん?

今、僕 た ち って言っちゃいませんでしたか?

「俺も!?」

⏰:07/10/17 02:39 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#206 []
「当たり前です」

「なんでやねん!」

「あなたの恋人を助けるために僕がわざわざ協力しているんでしょう?」

そーなん?

俺とコウが言い合いをしていると、鏡から呟くような声が聞こえてきた。

「…何でも聞くの…?」

⏰:07/10/17 02:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#207 []
恐る恐る俺は鏡に目を向ける。

鏡にはまだ何も映ってはいない。

やべー…
寒気がする。

「コウ…今…」

「なにか?」

こいつ聞こえんかったんか?

「今鏡のとこから…」

「なんでも聞くの…?」

⏰:07/10/22 02:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#208 []
俺は背筋が凍りそうになった。

今度は確かに、はっきりと鏡から声が聞こえた。

「志乃くん?何か?」

「…お前聞こえんのか?」

「いえ、聞こえてます」

ほな聞くな!

「私の頼み…何でも聞くの?」

⏰:07/10/22 02:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#209 []
三番目の鏡に再び目を向けると、鏡の向こうには髪の長い女が映っていた。

「あ…麻生…」

「麻生さんこんにちは。お元気ですか」

淡々とコウは鏡の前に立ち話す。

霊なんやから元気なわけないやろ!

⏰:07/10/22 02:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#210 []
「何でも聞くのよね?」

鏡の中で麻生は長い髪を垂らしながら言った。
髪の毛で表情が見えない。

「いえ、聞けない場合もありますが」

「……………」

「まぁ言ってみて下さい」

こいつは絶対聞かない、と俺は確信した。

⏰:07/10/28 02:53 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#211 []
「…麻生さん」

コウはため息まじりに麻生の名を呼ぶと、真剣な顔つきになり麻生をじっと見据えた。

「あなたが鏡に住み着く理由を教えて頂きたい。ここで女子生徒の頼みを聞いてあなたは満足なのですか」

「……………」

「あなたに黙秘権はありませんよ」

…なぜだ!?

⏰:07/10/28 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#212 []
「僕の質問には答えなさい。答えない場合、僕を怒らせることになりかねません」

ここまで黙秘権を使っていた俺は、口を開いた。

「お前怒らせたらどーなんねん?」

「…志乃くんは少し黙ってて下さい」

「なんでやねん!」

どうやら俺には黙秘権があるらしい。

⏰:07/10/28 03:02 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#213 []
「麻生さん答えなさい」

「……………」

沈黙を貫き通す麻生に、コウはいらついたように親指の爪を噛んだ。

「ハッキリ言います。僕はだいたいの事は察しがついています。あなたはいじめにあっていた、だから頼みを聞くんでしょう?あなたをいじめていた方に仕返しをするために」

⏰:07/10/28 03:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#214 []
「………は?」

ちょっと待って。

意味不明なんだけど。

「どーゆー事?」

俺はコウの言葉が理解できなかったが、
麻生はコウの言葉を聞いた瞬間、ピクリと動き顔をあげた。

初めて真正面からみる麻生の顔は、右半分に火傷のような跡があった。

⏰:07/10/28 03:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#215 [でら]
あげます

⏰:07/11/23 05:32 📱:SH903i 🆔:sJdPdL/2


#216 [我輩は匿名である]
あげる

⏰:07/12/28 19:11 📱:N904i 🆔:VnTqAIis


#217 [まな]
あげッッ

⏰:08/01/05 16:22 📱:F704i 🆔:jiWzqc0k


#218 []
すすすすみません
また書き初めます…

⏰:08/01/18 23:49 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#219 []
>>214

「ああ、その火傷で僕の勘が当たったと確信しました。」

あんなけ自信満々にゆーといて勘やったんかい!

「…その火傷は…?」

「…………。」

俺の質問に麻生は何も答えずに、ただただコウを見つめている。

「…そんなに擬視されると照れます。」

⏰:08/01/18 23:55 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#220 [ako]
書くんですかぁ

うれしいです
頑張ってくださいね

⏰:08/01/19 01:30 📱:SH903i 🆔:62nLejLE


#221 []
ありがとうございます
読んでくださってたみなさんほんまにごめんなさい

⏰:08/01/19 04:03 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#222 []
全く照れた様子もなく
コウが淡々と話す。

「……………。」

「…なんですか。僕は志乃くんに見つめられて喜ぶ趣味はありませんから。」

俺もじゃ!!

「なんやねん、さっきの話。続きは?」

コウから麻生へ目を移すと麻生はコウから目線を反らし、俺と目が合った。

⏰:08/01/19 04:33 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#223 []
怖いんですけど。

冷や汗が垂れる。

「………………」

誰も言葉を発しない。
が…やはり先に口を開いたのは

「いいでしょう。見つめ合う最中すみませんが、僕があなたの代わりに述べましょうか?あくまでも僕の予想ですが。よろしいですよね?麻生さん。」

冷めた目のコウだった。

⏰:08/01/19 04:36 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#224 []
 

「いいですか?」

コウは麻生を見据えながら強い口調で言った。
いや、強い口調だが、半ば呆れたようにも聞こえる。

こいつは多分あきれているのだろう。

「麻生さんは…」

ゆっくりと

コウが話し出す。

⏰:08/01/19 04:47 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#225 []
【第六章 未解決事件】

「麻生さんは、いじめにあっていた。それも自殺するほどまでに辛いいじめです。あなたはいじめを苦に自殺した。それは間違っていませんよね?」

コウは麻生をチラリと見た。が、麻生は俯き何も答えなかった。

「…いじめの原因って?」

俺の言葉にコウは眉間にしわを寄せた。

⏰:08/01/19 04:50 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#226 []
「容姿…」

「え?」

聞き返す俺に、コウは曇った表情をしながら続けた。

「容姿です。わかりませんか?麻生さんは容姿についていじめられていたんですよ。」

親指を口元に当てながらコウはギロリと麻生を睨む。

⏰:08/01/19 04:55 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#227 []
「ひでぇな…。」

容姿なんて…
誰だって好きこのんでそんな容姿になったわけじゃないのに…

「志乃くん、違いますよ」

「はい?」

「あなた今、麻生さんの容姿が悪いからいじめられていた、そう捉えたでしょう?」

⏰:08/01/19 04:57 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#228 []
そりゃもちろんそうだろ。

「違います。逆なんですよ。」

「…は?逆?」

逆って?つまり

「あなたは生前とても美しかった。その美しい容姿ゆえ女子生徒からの嫉妬がひどく、いじめという形になった。違いますか?」

⏰:08/01/19 04:59 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#229 []
コウの言葉に
麻生はやはり何も答えなかった。

「…嫉妬でいじめ…?」

女の嫉妬はそれほどまでに醜いのか?

「…醜いです…」

コウはガリッと音がするほど親指の爪を噛んだ。

「女性の嫉妬はとても醜いものです。」

⏰:08/01/20 04:25 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#230 []
ガリガリと爪を噛みながらコウは麻生を見つめる。

「あなたはいじめを苦に自殺し、自分をいじめていた方を恨んでいる…と思います。が、今あなたは、あなたをいじめていた方と同類ですよ。例え…」

コウが小さな声で続ける言葉を
俺は聞き逃せなかった。

「例えあなたが…幸子さんを守ろうとしても。」

⏰:08/01/20 04:30 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#231 []
「…は?…幸…子?」

なんだ?
今コウのやつ、麻生が幸子を守るとか言ってなかったか?

「…コウ?どういう…」

「そのままの意味ですよ。幸子さんを守ろうとも、あなたがしている事は無意味なことです。」

俺の言葉をイラついたような口調でコウは遮った。

⏰:08/01/22 04:28 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#232 []
「ちょ…待て、待って。意味がわからんねやけど」

コウの言葉も
麻生の表情の理由も全くわからない、1人場違いな俺はコウに詰め寄った。

コウはただただ麻生を睨み付け、しばらく口を閉ざした。

⏰:08/01/23 03:55 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#233 []
「…お前は…」

沈黙を破ったのは
麻生だった。

「お前は一体何者だ」

コウをじっと見据えながら麻生が言った。

「僕ですか?」

コウはイラついた口調のまま、口角だけをフッと吊り上げ言った。

「ただの一般人ですよ。」

⏰:08/01/23 03:57 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#234 []
「麻生さん、僕はただの一般人。想像だけでは語れません。僕の話しは単なる予想ですからね。予想であなたの生前を語られるのは嫌でしょう?」

コウの半ば自信満々な表情に、麻生は目線を下げた。

「ならばあなたの口から、あなたの生前を話してください。」

コウの口調が強くなる。

「あなたがなぜ、ここに留まっているのか、その理由を述べなさい。」

⏰:08/01/23 04:01 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#235 []
ギロリと鋭い目付きで麻生を睨むコウ。

俺が麻生なら
もうコウには逆らえないだろう。

麻生も俺と同じなのか
ゆっくりと口を開いた。

「わたしは…」

⏰:08/01/23 04:03 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#236 []
長いので前回同様略します。語り手は毎度お馴染み柏木志乃。

麻生の話はこうだった。

高校一年の春。

何もかもが初々しい時期。これからはじまる楽しいはずの高校生活、麻生はいじめにあった。

⏰:08/01/24 05:17 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#237 []
きっかけはごく普通。
いわゆる嫉妬。

入学して麻生が初めて仲良くなった女。
彼女は千春という。

千春には中学から付き合っている一真という彼氏がいたらしい。

一真と千春はお互い一緒の高校に行こうね、ずっと一緒にいようね、と約束をしていた。

⏰:08/01/25 04:22 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#238 []
その一真に千春が高校で初めて仲良くなった麻生を紹介した。

それがいじめの原因になった。

麻生は当時、ものすごい美人だったらしい。
本人いわく幸子以上だという。

俺はそれは麻生の初めての嘘だと確信し、反論したがコウが黙って聞きなさいと叱咤したので俺はしぶしぶ口を閉じた。

納得いかないが。

⏰:08/01/25 04:25 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#239 []
男なら誰でも美人を前にするとココロオドル。

エンジョイ!音楽は鳴り続ける!

と歌いだしたい気分だろうが、皆さんここは黙って聞いていただきたい。

一真も麻生を最初は美人な子だな、としか見なかった。そう、最初は誰でもそうだ。最初はな。

⏰:08/01/25 04:28 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#240 []
麻生、千春、一真。
三人共同じ高校であれば、当然顔を合わせるもの。

麻生も仲良くなった千春の彼氏という事で、一真と顔を合わせるたびに軽く挨拶をしていた。

日に日に会話が増え、
麻生の優しさに一真は徐々に彼女に惹かれていった。

⏰:08/01/25 04:31 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#241 []
女は意外とするどい。

一真の気持ちの変化を、千春は見逃さなかった。

麻生と一真が初めて顔を合わせてから1ヶ月がたった頃、引き金を引く一真の言葉が鳴った。

《麻生さんのこと、好きになってしまった。》

⏰:08/01/25 04:34 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#242 []
女というのは
ねたみ、ひがみ、恨み、嫉み、全てが女に向かうもので。

当然千春は麻生を憎んだ。

麻生自身は無論、一真に気なんてなかった。

だけど女は哀しいもので…

⏰:08/01/26 04:49 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#243 []
千春には同じ高校の不良生徒と仲が良かった。

一真に振られた千春は、腹いせに不良男子生徒に麻生を襲え、と命じた。

が、麻生は容姿だけじゃなく性格も良かったため男子生徒は断った。

なんでも学園の花のような存在だったらしい。

今現在の姿を見て、そうは思えないが。
おっと、口が滑った。

⏰:08/01/26 04:52 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#244 []
そのことで麻生への嫉妬心がさらにつもった千春は、以前から麻生の人気に嫉妬していた女子生徒に事を話した。

途端に女子逹は口を揃えて言った。

《痛い目に合わせてやろう。》

⏰:08/01/26 04:57 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#245 []
そこから麻生へのいじめが始まった。
最初は本当に小さないじめ。

靴がなくなるとか、
女子逹からのシカトなど。

あとは…なんだ?

ここまで身動きせずに黙って話を聞いていたコウが、フッと意地悪く笑みをもらした。

⏰:08/01/26 05:00 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#246 []
「コウ…?どうかしたんか?」

話を続けていた麻生も、
コウの表情の変化に気付き口を止めた。

「…コウ?何笑ってん?」

不思議な表情の俺と麻生をよそにコウはいつもの自信たっぷりな表情で口の端をつりあげた。

「いえ、僕のことは気にせず続けて下さい。」

⏰:08/01/26 05:03 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#247 []
コウを気にしつつも、
ゆっくりと麻生は続きを話し出した。

小さないじめから
徐々にエスカレートしていった。

まるでドラマの内容だ。

制服が切り刻まれていたり

一番応えたのは
登校した時、複数のハムスターの死骸が机の中に入っていたという。

「…ひでぇ…。」

⏰:08/01/26 05:13 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#248 []
さすがに我慢できなかった麻生は、ある日千春逹がたまっている屋上へと向かった。

千春逹の姿を発見した麻生はゆっくり近づいていく。

声をかけようとしたその時、千春の一言で麻生は立ち止まった。

⏰:08/01/26 05:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#249 []
《マジむかつく。あいつの自慢の顔に傷でもつけなきゃおさまらない。もう考えはあるんだ。》

麻生は千春逹に気付かれないよう隠れ、じっと話を聞いた。

《これ!科学室から盗んだの。これを麻生の顔に少しぶっかけんだよ!もうチョーシのれねー顔になるっしょ!》

千春の手には

硫酸と書かれたビンが握られていた。

⏰:08/01/26 05:19 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#250 []
「…まさか…それでその火傷…」

俺は女の嫉妬がこれほどまでに醜いものなのか、と驚きを隠せなかった。

麻生は火傷を隠すように右頬を手で覆いながら頷いた。

「それで硫酸を…でも事前にわかってたなら防げたんちゃうんか?」

⏰:08/01/26 05:21 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#251 []
俺の問いに麻生は首を振った。

「いつ実行されるかなんてわからないもの。やられるって気付いた時にはもう…遅かった…」

麻生は顔を覆い俯いた。

「質問なのですが。」

黙っていたコウが口を開く。

⏰:08/01/26 05:23 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#252 []
「硫酸をかけられ火傷し、あなたは自殺をしたんですか?」

コウの問いに麻生は俯いたまま頷く。

「それでその千春さんはどうなったのですか?」

「…わからない。」

「と、言いますと?」

⏰:08/01/26 05:25 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#253 []
「千春がどうなったのかなんて知らない!」

コウの口の端が
またつりあがる。

「なぜわからないのですか?あなたは千春さんを一番に恨んでいるはずでしょう?」

「…恨んでるけど…」

⏰:08/01/26 05:27 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#254 []
「けど、なんですか?」

「…あたしが死んでから気付いた時にはもうここにいたんだよ!だから千春がどうなったのかなんて知らねーよ!」

ヒステリック気味に麻生がコウに怒鳴りつけた。

「おや?話し方が千春さんに戻ってますよ?」

⏰:08/01/26 05:35 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#255 []
 
…………え?

「今、なんて?」

「話し方が戻ってますよ。千春さん。」

…千春?

戻ってる?

「どーゆー意味…?」

話が全く理解できていない俺をコウはチラッと見、またもや意地悪く笑った。

「彼女は麻生さんではなく、千春さんです。」

⏰:08/01/26 05:38 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#256 [(゚゚)]
このハナシめっちゃ好きデスいつも笑っちゃいます主サンふぁーいと

⏰:08/01/27 23:48 📱:N903i 🆔:FiHyNABk


#257 []
>>256さん

ありがとうございます

⏰:08/01/28 03:43 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#258 []
>>255

「何言ってるの?あたしは麻生よ。」

「そうやで…だって女子トイレの噂の名前も麻生やん。火傷の跡もあるし…コウ、お前何ゆーてんねん。」

「ですから、彼女は千春さんです。千春さんが麻生さんの名を勝手に名乗っているだけですよ。」

⏰:08/01/28 03:46 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#259 []
「意味が…」

「わからないんでしょう?あなたはいつも一人、意味をわかってませんからね」

こいつ…。

「先ほどからの千春さんの話を聞いて志乃くん、あなたは何も疑問に思わなかったのですか?」

疑問…?

「いや、特には。」

⏰:08/01/28 03:49 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#260 []
脳内クエスチョンだらけの俺を、コウはニヤニヤしながら見る。

このコウの顔つきは、
自分の考えに自信があるときの表情だ。

「なぜ、千春さんしか知り得なかったことを、麻生さんが知っているのか疑問には思わなかったのですか?」

⏰:08/01/28 03:52 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#261 []
「…え?」

そういえば…

「最初に男子学生に頼んだ話は実行されなかった。当然その内容は麻生さんは知る術はない。知っているのは頼まれた男子学生と頼んだ人物。千春さん、あなたしかいないんですよ。」

自信たっぷりのコウは
千春に意地悪く笑いながら近寄る。

⏰:08/01/28 03:54 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#262 []
「…それは…あたしもたまたま聞いてたのよ。千春が男子に話すところを…」

麻生?千春?
どっちかわからないが麻生千春(わからんから勝手に呼ぶ)はしどろもどろに言った。

「ではなぜ、千春さんが一真さんに言われた別れの台詞もあなたが知っているんですか?それも聞いていた、と?」

コウが麻生千春を壁に追いやり、麻生千春の顔の横に手をついた。

「言い逃れられるなら、どうぞ言い訳をしてみて下さい。」

⏰:08/01/29 00:45 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#263 [蓮]
このぉ話
ホント-に
大好きです
主サン頑張ってくださぃ

⏰:08/01/29 01:08 📱:P904i 🆔:5mTxlVNg


#264 []
蓮さん
ありがとうございます
コメントが励みになります頑張ろうと思うのもコメントくれる皆のおかげですもう少し後から更新します

⏰:08/01/29 01:47 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#265 []
>>262

さすがに、麻生千春ももうだめなのか。
俯きながら気まずそうにしている。

「さぁ、僕を納得させる言い訳があるならば、言ってみてください」

気まずそうな麻生千春と俺をよそに、ただ一人、コウだけが満悦の笑みを浮かべている。

⏰:08/01/29 04:36 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#266 []
「…ハッ……」

俯き口を閉ざしていた麻生千春が、ふい声をあげた。

ゆっくりと自分を抑制しているコウに目を向ける。

「あんたの言う通り。あたしは千春。麻生に殺された千春よ。」

殺…された?

「殺された…?麻生に?」

やはり現状を理解できない俺は、ただただ呆然としている。

「よく言えました。」

満足気なコウがニッコリ笑いながら言った。

⏰:08/01/29 04:41 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#267 []
「では千春さん、あなたの口から説明していただきましょうか。」

コウの言葉に、千春は怪しく笑いながらも話し出した。

屋上で硫酸の計画をしているのを麻生に聞かれていたのは本当だったみたいだ。

⏰:08/01/29 04:43 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#268 []
「あたしは麻生があの計画を盗み聞きしてたなんて知らなかった。だから計画通り実行したのよ!それで…」

千春は顔を歪ませた。

「あいつ…とっさにあたしに向かってビンを投げ返したの。そのときに負ったのよ、この火傷。」

千春は髪をかきあげ、俺たちに火傷を見せつけた。

⏰:08/01/29 04:46 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#269 []
コウは千春の顔を見つめながら微動だにしない。

いや、コウの表情はさっきとうってかわって何やら苛ついているように眉間にしわができている。

「あの女…わざとやったのよ。あたしに仕返しするために。硫酸のビンを、わざとあたしに投げ返したのよ。」

⏰:08/01/29 04:49 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#270 []
「それで…お前は火傷を苦に自殺を…?」

女は醜い。

俺はこの後の話で、女がいかに恐ろしい生き物か思い知った。

「あたしは…硫酸をかけられて気付いたの。あたしが麻生にした事がどれだけ最低な事だったのかを…だけど…」

⏰:08/01/29 04:54 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#271 []
「だけど?」

コウの眉間に更にしわが寄る。

「硫酸で火傷をしたあたしに、麻生は言った。…あんたは中身だけじゃなく、外見も醜い。あんたは生きてる意味がない…って。」

千春の瞳から

涙が流れた。

⏰:08/01/29 04:57 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#272 []
「ひでえ…。」

ひでえよ…なんだよ、その話。

千春が泣き止むまで、
俺は千春にかける言葉がなくただ黙っていた。

《ギィ…》

しばらくの沈黙を破り、
誰かが女子トイレを開ける音がした。

ドアに目を向ける。

「あれ?柏木くんとぉ…神谷くん?何してんの?」

目線の先にいたのは

⏰:08/01/29 05:00 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#273 []
「…美和子…」

キョトンとした表情の美和子だった。

「ここ女子トイレだよぉ?何してんのぉ?」

不思議そうに俺たちに近寄る美和子。

「お前…お前だけは…」

美和子を見た瞬間、千春の表情が変わった。

⏰:08/01/29 05:03 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#274 []
「千春…?どしたん?」

俺の声もむなしく、千春はまるで美和子しか見えていないかのように美和子に向かって進んでいく。

コウは

親指の爪を噛みながら黙って千春の様子を見ているだけだった。

⏰:08/01/29 05:05 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#275 []
「やだぁ…何この人ぉ」

美和子は近づいてくる千春を、まるで汚らわしいといった目で見る。

「あんただけは…」

千春には、もう美和子しか見えていないみたいだ。

血走った目で美和子を見ている。

⏰:08/01/30 03:45 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#276 []
「コウ…これヤバイんちゃうか?コウ…?」

どうしたらいいのかわからない俺は助けを求めるようにコウを見た。

コウは苛ついたように親指の爪をガリガリ噛みながら二人の様子をじっと伺っている。

「コウ…、なぁ…」

「志乃くん少し、黙って見ていましょう。」

⏰:08/01/30 03:48 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#277 []
コウの言葉の通り、
俺はハラハラしながら二人の様子を伺った。

千春が近付くたびに美和子は一歩ずつ後退りしていく。

ドアまでたどり着いた時、美和子が呆れたように鼻で笑った。

⏰:08/01/30 03:50 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#278 []
「あんた、何でも願いを叶えるんじゃないの?あたしの願いはいつ叶えんのよ?つーか近寄るなっての!マジでその顔キモいんだけど?」

バカにしたように美和子は笑いながら言った。

本性がでた。

なかなかえぐいな。

「黙ってないで何とか言ったら?近寄んなって!気味悪い。」

⏰:08/01/30 03:53 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#279 []
チラリとコウを見ると、
コウは満足そうに腕を組みながら口角を上げた。

「…美和子…」

俺は遠慮がちに美和子に声をかける。

どうしても気になったからだ。

「お前、何をお願いしたんや?」

⏰:08/01/30 03:56 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#280 []
俺の質問に、美和子は一瞬困った表情をした。が、
俺の前でもうブリッコする必要もなくなったのか笑顔で言った。

そう、笑顔で

「柏木くん。あんたの彼女の幸子の顔を、見れないくらいにぐちゃぐちゃにしてって頼んだのよ。」

楽しそうに言った。

⏰:08/01/30 03:59 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#281 [蓮]
更新されてる
今,小説の中で
この話が1番
好きなんで
いつも楽しみにしてます
これからも応援してるんで
主サンのペースで
頑張って下さぃ(・3-*)
</Font>

⏰:08/01/30 10:57 📱:P904i 🆔:WVABJsRM


#282 []
蓮ちゃん

マジっすか
めちゃめちゃ嬉しい
ありがとう
こんなにたくさん小説あるのにあたしの小説が一番なんて!!感動したのでちょっと更新します

⏰:08/01/31 05:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#283 []
>>280

「…なん…や…て?」

俺の拳に力が入るのがわかる。

俺のこめかみに
青筋が入るのがわかる。

「今…何つった…?」

俺の身体全身が怒りで震えるのがわかる。

⏰:08/01/31 05:17 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#284 []
幸子を…?

幸子を見れないくらいにぐちゃぐちゃにしてって
頼んだ…だと?

俺の瞳孔が開いていくのがわかる。

俺の腕が

美和子に向かって振り下ろされるのがわかる。

「待ちなさい。」

⏰:08/01/31 05:19 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#285 []
怒りで震える俺の腕を掴んだのは
冷静な口調のコウだった。

「怒るのはわかります。が、少し待ちなさい。」

コウの口元がキュッとしまる。

俺は冷静にはいられなかった。

⏰:08/01/31 05:21 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#286 []
「こいつが今ゆーた事聞いたか!?幸子に害を与えようとしてんのはこいつやで!?幸子を苦しめる原因はこいつやってんで!!」

俺が怒りでいっぱいの中、美和子は俺を見ながら余裕の表情で笑った。

「だってむかつくもん。美和子より人気者だなんて。美和子の方が可愛いのに」

⏰:08/01/31 05:24 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#287 []
「ふざけんな!お前なめてんか!?幸子がお前に何かしたんか!?」

「別に…?ただ、美和子より人気者なのが気に入らないのよ。だから嫌いなの」

笑いながら言う美和子を

コウは俺の腕を掴みながらただ無言で見つめていた。

⏰:08/01/31 05:26 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#288 [蓮]
コメント頂けるなんて
すっごく嬉しぃです
いつも夜中の更新で
お体大丈夫ですか
無理せず頑張って下さぃね

⏰:08/01/31 21:39 📱:P904i 🆔:fNZ4ko66


#289 [なあ]
きみを送るから
全部見させてもらいました
漫画にしてほしいです〜(⊃3`)
ほんとおもしろすぎです!!
更新待ってます

⏰:08/01/31 23:47 📱:821P 🆔:JmWPMB8A


#290 []
蓮ちゃん
返事は絶対するよ!
コメントくれたらマジ嬉しいからね良かったらこれから感想板にコメントくださいませ

なあちゃん
あたしも小説より漫画派やで小説は難しい!漫画も絵とか書けんけど笑
コメントありがとう

⏰:08/02/01 03:51 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#291 []
>>287

「コウ、離せや!」

捕まれた腕を振り払おうと俺は力をいれるが、コウは冷静なくせに力が強く振り払えなかった。

「何黙って見てんの?気持ち悪いから。さっさと願い叶えろよ。あんたの役目でしょ?」

美和子が笑いながら言う。

⏰:08/02/01 03:54 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#292 []
「…せ………のよ…」

ずっと黙っていた千春が口を開いた。

「はあ?」

美和子は、まだ笑いながら見下すように千春を見ている。

俺は美和子に対する怒りが治まらずに拳に力が入ったままだ。

⏰:08/02/01 03:57 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#293 []
「許せないのよ」

千春が美和子をまっすぐ見て強い口調で言った。

「何がだよ?…きやぁ!」

千春が美和子の腕をガシッと掴む。

「何すんだよ!きたねぇんだよ!離せ!!」

ジタバタと美和子が暴れるが、千春は腕を離そうとしなかった。

⏰:08/02/01 04:00 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#294 []
「あんたみたいな女…許せないのよ」

千春は美和子をギロリと睨むと、三番目の鏡の前へと足を運んだ。

「おい!離せよ!!」

美和子の腕はまだ

捕まれたままだ。

「離せって!やめろ!やめ………きゃぁああ!!」

⏰:08/02/01 04:02 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#295 []
「うっ……!」

美和子の叫び声と共に、三番目の鏡から眩しいほどの光が放たれた。

「な…何が起きたん?」

女子トイレには、
もう美和子の姿も、千春の姿もなかった。

コウは俺の腕から手を離し、満足感と罪悪感が混ざった表情で呟いた。

「連れて行ったんですよ」

⏰:08/02/01 04:06 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#296 []
「は?」

「千春さんが、美和子さんをあちらへ、連れて行かれたんですよ」

コウは三番目の鏡を指差した。

俺は鏡に目を向けた。

が、俺のマヌケな顔以外、何も映ってはいなかった。

⏰:08/02/01 04:08 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#297 []
「じゃあ…美和子は…」

コウはしかめた顔をしながら鏡を睨めつけ、

「あちらで楽しくしているでしょうね。」

と言った。

連れていかれた…

霊に連れていかれた…?

⏰:08/02/01 23:47 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#298 []
俺は恐怖より何より、
不思議だった。

チラリとコウを見る。

このコウが、
いくら性格が歪んでいる美和子とはいえ生身の人間を霊に連れていかれるのを黙って見ていた…?

「コウ?お前なんで…」

⏰:08/02/01 23:50 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#299 []
「なぜ、黙って見ていたのか疑問なんでしょう」

横目で俺を見ながら、コウはガリッと爪を噛む。

「これは、二者択一です。美和子さんを助ければ、幸子さんの身が危ない…僕が考えての独断でこちらを選択しました。こうするより他、思い付きませんでした。」

⏰:08/02/01 23:53 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#300 []
幸子のためか…。

「しかし、他人を犠牲にするのは少々心が痛みます…この霊の件は恐らく解決しないでしょうね。」

意味深な言葉を呟き、コウは女子トイレを後にした。

⏰:08/02/01 23:57 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#301 []
その後美和子は行方不明ということになっていて、
もちろん発見はされていない。

噂では女子トイレに
麻生(千春)の姿は映らなくなったが、たびたび鏡の中から、女性の

「助けて…」

という声が聞こえてくるそうだ。

未解決なまま、女子トイレの件は終わった。

⏰:08/02/02 00:00 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#302 []
【第七章 右目】

「あちぃ〜…」

うだるような暑さ。
季節は夏。

コウとの悪夢の伊豆旅行から早一年がたとうとしている。

「暑い暑い何度も言わないで下さい。暑いのはわかってます。暑い暑いとそう暑いと何度も言われると余計暑くなります。」

暑い暑いて、こいつも何回ゆーねん!

⏰:08/02/02 04:06 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#303 []
「ときに神谷くん。」

教科書に目を向けるコウを俺は机にへばりついたまま呼んだ。

「なんでしょうか柏木くん。」

横目で嫌そうな顔をしながらコウが答える。

「今年はあの別荘、いかへんのか?」

⏰:08/02/02 04:10 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#304 []
俺の言葉にコウは驚いたように目を真ん丸にし、教科書を閉じた。

「…ほう。」

俺をまじまじと見、ニヤリと意地悪く笑う。

「伊豆に行きたい、と?」

⏰:08/02/02 04:13 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#305 []
「いや、お前とやなくて…」

俺の返答にコウはまたも教科書を開きムスッとした。

「では誰と?」

「さ…」

「幸子さんとですか?」

「当たりっ!頼む!あの別荘貸してくれへん!?俺どーしても…」

「却下します。」

⏰:08/02/02 04:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#306 []
「なんでやねん!!」

「あなたの童貞を捨てるためだけのために、あの貴重な別荘は貸せません。それに、昨年のような被害に合ったらどうするんですか」

「昨年の被害て?」

「忘れたとは言わせませんよ?あなたの髪の毛の事です。」

…忘れさせて。

⏰:08/02/02 04:22 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#307 []
「まぁ…条件をのむならば貸して差し上げないこともありません。」

「条件て…?」

嫌な予感がする。
多分的中するだろう。が、俺はどんな条件でも聞かなければ…。

俺の顔を見て、コウがにっこりと悪魔の微笑みをした。

やはり嫌な予感が的中。

⏰:08/02/02 04:25 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#308 []
 
「お〜!幸子!こっちこっち!」

夏休みに入り、伊豆への旅行の日がやってきた。

「ごめん、待った?」

幸子は真っ白なワンピースに、赤い花がついた麦わら帽子を押さえながら俺たちの元へ走ってきた。

か わ い い !

「いや、余裕!荷物持ったるわ!」

⏰:08/02/02 04:40 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#309 []
幸子の手荷物を持ち、俺は改札口へ向かった。

見ぬふりをしよう。
気付かないふりをしよう。さりげなく、さりげなく…

「志乃くん待ちなさい。まだ揃ってませんよ。」

改札口へ向かう俺の腕を掴み、コウがにっこり微笑んだ。

気付かれたか…。

⏰:08/02/02 04:44 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#310 []
「ねぇ、ほんまにあたし大丈夫?初対面やし仲良くなれるんかなぁ…」

小さな声で幸子が言った。

「まぁ、別に無理して仲良くする必要もないで。」

てか、できれば仲良くしないでくれ。

「あ、到着されたようですね。姫菜さん、こちらです。」

…来ちゃったか…。

そう、覚えている方はいるだろうか?
コウの条件とは旅行に姫菜を誘う事、だった。

⏰:08/02/02 04:48 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#311 []
「姫菜さん、今日もお美しいですね」

………………

「姫菜さん、おしるこ飲みます?」

…………………

「姫菜さん、暑くないですか?」

…………………

「姫菜さん、」

「姫菜さん、」

「姫菜さん、」

ええい!!!

⏰:08/02/03 01:17 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#312 []
「やかましいわ!!」

姫菜をうちわで仰いでいたコウが、驚いた表情で俺を見る。

なんでうちわ持ってんねんこいつは。

「なんですか志乃くん大きな声出さないで下さい」

「ベタベタすんなや!暑苦しい!!」

⏰:08/02/03 01:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#313 []
俺とコウが火花を散らしていると、困ったような表情の幸子が、

「電車、きたんちゃう?」

と指差した。

「あ、来ましたね。乗りましょう。志乃くん早く席取ってください」

「俺が!?」

「あなた以外誰が?」

お前じゃ!!

⏰:08/02/03 01:23 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#314 []
やはりいつものようにコウに使われやすい俺は、真っ先に四人用の席を取った。

「志乃くんもやればできるじゃないですか」

棒読みでコウが言い、席に座る。

礼くらい言わんかい!

⏰:08/02/04 03:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#315 []
伊豆までの電車内は
それはそれは地獄だった。コウの姫菜へのサービスはエンドレスで、見ている幸子はずっと苦笑い。
俺?俺はもちろんコウにやかましいオーラを出しまくった。まぁ完璧無視を決め込まれたけど。

ようやく地獄から伊豆へ到着した。

「やっと地獄から脱出!」

⏰:08/02/04 03:24 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#316 []
電車から降りるなり、でかい声で叫んだ俺を、コウは怪訝な顔つきで見る。

「地獄とは?」

「あ〜別に気にすんな」

イヤミったらしく言うてやった。

「そうですか」

気にせえや!!

⏰:08/02/04 03:26 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#317 []
イライラしながら別荘までの道のりを歩いていると、前方から幼い少女が歩いてきた。

「おや、あの子は…」

コウが少女を見ながら呟いた。

「知り合いか?」

「いえ、彼女、幼いながらお美しいです」

お前はロリコンか!

⏰:08/02/04 03:30 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#318 []
コウを不審者に思いながらも、俺も少女が気になった。

見る感じ小学5〜6年といったところか。

サラサラの長い髪に白い肌。伏せている目は、長いまつげにおおわれている。

美少女、といったところか。

でも俺はその美少女にそぐわない、あるものが気になっていた。

そう、彼女の右目には

眼帯がつけられていた。

⏰:08/02/04 03:35 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#319 []
「眼帯…」

「怪我でもされているのでしょうか」

綺麗な瞳がもったいない、とコウは言いながらも気にする様子もなく少女とすれ違った。

すれ違いざま、チラリと少女を見ると、彼女は眼帯をしていない左目で俺達を見、足早に歩いていった。

⏰:08/02/06 04:13 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#320 []
 
「やっと着いた〜」

長い道のりの果てにようやく別荘にたどり着いた。

「久しぶりですね」

久々に来た別荘相手に(?)コウは懐かしむように話しかけた。

不気味すぎる。

「コウ、懐かしむとこ悪いが、部屋割りはどーすんねん?」

⏰:08/02/06 04:17 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#321 []
もちろん俺と幸子が一部屋。コウと姫菜が一緒だろうが別々だろうがどーでもいい。幸子と一緒の部屋にしてくれ。

「そうですね…志乃くんの考え通りにしましょう」

よし!コウ!お前の株が上がっ…

「僕と志乃くん、幸子さんと姫菜さんでいいでしょうか?」

「はあ!?」

⏰:08/02/06 04:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#322 []
「…なんですか志乃くん。文句でも?」

いやいや、文句あるに決まってるやろ。

「またお前と同じ部屋とか嫌や。」

「なぜ」

「毎日毎日一緒やねんで!毎日一緒の部屋におるんやで!?たまには別々の部屋でもえーんちゃうか!?」

⏰:08/02/06 04:23 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#323 []
「無理ですね」

即答!?

「なんで」

「あなたは幸子さんと同じ部屋になりたいだけでしょう?仮にあなたと幸子さんを同室にしたら姫菜さんはどうなるんですか?」

⏰:08/02/06 04:24 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#324 []
「1人でえーやろ?」

「だめです。女性1人、個室に泊まらせるのは危険です。姫菜さんも怖がります。」

怖がるか?
むしろそっちのがいいと思いますが…

「志乃くんの言いたいことはわかります。それならば僕と姫菜さんが同室になればいい、と思っているんでしょう?」

別に思ってねー!

⏰:08/02/06 04:27 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#325 []
「いや…」

「僕も姫菜さんと同室がいいです。が、僕は男です。姫菜さんと密室で二人きりとなると僕は理性を保てるか自信ありません」

…あ、そ。

「ですから僕は渋々あなたと同室にするんです。わかりましたか?」

「……………」

「わかればいいんです」

なんもゆーてないやん!

⏰:08/02/06 04:30 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#326 [ミミ]
更新されてる
アゲ

⏰:08/02/06 10:26 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#327 []
ミミちゃん
ありがとう

⏰:08/02/08 03:43 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#328 []
>>325

まずい。
このままでは毎回同じパターンで
俺は泣く泣くコウと同じ部屋になってしまう。

いかんいかん。
なんとかしなければ。

俺の脳内で思考を練っているうちにコウはさっさと俺の荷物を運んでいる。

「コウ!ちょ…待てよ」

俺がキムタクに勝った瞬間だった。

⏰:08/02/08 03:46 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#329 []
「なんですか」

ため息まじりにコウが振り返る。

「やっぱりお前、姫菜と同じ部屋になれ。姫菜もそれがいいってよ」

コウにしか聞こえないように耳打ちした。

「…本当ですか?」

うそです。

「マジで」

⏰:08/02/08 03:48 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#330 []
「そうですか…女性の頼みには僕も首を縦にふるしかないですね。いいでしょう、姫菜さんと僕が同室、ということで。」

不適な笑みをちらつかせながらコウが言った。

姫菜には悪い気もするが、勘弁してくれ。

これで俺はようやく幸子と…………ん?

⏰:08/02/08 03:51 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#331 []
俺の荷物と幸子の荷物が、コウの手により別々の部屋に移動されている。

「コウ?気のせいか俺の荷物と幸子の荷物が別の部屋に移動されてんねやけど」

「気のせいではありませんよ。別々の部屋です」

はい?

「僕と姫菜さんが同室になるからといって、あなた方を同室にするとは一言も言ってませんよ」

⏰:08/02/08 03:54 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#332 []
なんやとー!?

まぁ、夜中幸子の部屋に行けば問題ないか。

「おう、じゃあ俺と幸子は1人ずつってことで」

俺の言葉にコウは疑わしげな目で俺を見たが、気付かないふりをして俺は部屋に入った。

⏰:08/02/08 04:17 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#333 []
しばらく部屋に1人で寝転がっていると、コウがご飯できましたよ、とドア越しに言った。

リビングへ行くと
それはそれは豪勢な

「…ピザ?」

ピザが数枚届いていた。

「今日はピザで我慢して下さい。まぁ、せっかくですので飲みましょう」

⏰:08/02/08 04:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#334 []
こいつはほんまに酒大好きやな…。

コウの一言で、意外とお酒大好きな幸子がノリノリに乾杯をした。

かーわーいーいー!

コウと幸子に促され、俺は飲んで飲んで


飲みすぎた。

⏰:08/02/09 03:04 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#335 []
 
「きゃああああ!!」

時刻は夜中2時。

幸子の悲鳴で俺は目が覚めた。

「幸子!?」

起き抜けでこれほど身体が反応したことはない。

俺は幸子の部屋のドアを勢いよく開けた。

「幸子!!どしたん!?」

⏰:08/02/09 03:07 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#336 []
ドアを勢いよく開けた途端、目に入ったのはベッドの横でうずくまり両手で目をふさいでいる幸子だった。

「幸子!?どないしたん!?」

幸子の元に駆け寄り、
俺は幸子の肩を掴んだ。

⏰:08/02/09 03:08 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#337 []
「目…目が…」

肩を掴んだとき

幸子が震えているのがわかった。

両手で目をふさぎながら
幸子は肩を震わせている。

「目?目がどしたん!?」

⏰:08/02/09 04:37 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#338 []
幸子は何も言わずガタガタと震えているだけだった。

「騒がしいですね」

部屋のドアが開くと同時に上半身裸になったコウが部屋に入ってきた。

「お前…まさか…」

上半身裸でだるそうに頭をかきながらあくびをするコウを見て、俺は呆然とした。

⏰:08/02/09 04:41 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#339 []
「姫菜とヤッたんか…?」

俺の問いにコウは何も答えずに幸子に声をかけた。

「幸子さん、どうされました?」

幸子は変わらず両手で目をふさいでいる。

「幸子?何があってん?」

コウの事も気になるが
やはり今は幸子だ。

⏰:08/02/09 04:44 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#340 []
「どしたん?俺おるから大丈夫やで?」

両手を優しく掴み、幸子の顔を覗きこんだ。

幸子はゆっくりと目を開き俺の顔を見た瞬間、勢いよく抱きついた。

「志乃…志乃ぉ…」

俺の背中に回された手に力が入る。

一体何があったんだ?

⏰:08/02/09 04:48 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#341 []
しばらく幸子は泣き止まず俺に抱きついていた。

10分ほどたった頃か、
コウがホットミルクを持って部屋に戻ってきた。

「幸子さんどうぞ。ホットミルクは安眠効果がありますので」

幸子にコップを渡し、コウはベッドに腰かけた。

⏰:08/02/09 04:51 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#342 []
幸子はホットミルクを一口飲み、俺に片手を差し出した。

俺が幸子の手を握ると安心したのか幸子はゆっくりと話し出した。

「…急にカタカタって音がしたん…あたし目が覚めて…気付いて目を開けたら…窓の外に…」

「窓の外に?」

「…眼球だけが…浮かんでたの……あたしを…見てた」

⏰:08/02/09 04:56 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#343 []
「眼球だけが…?」

コウは窓を開け、辺りを見渡した。

「何もありません、夢でも見たのでは?」

ガタガタ震える幸子の肩をなだめるようにポンポンと叩きながらコウが言った。

「夢……」

幸子はチラリと俺を見る。

⏰:08/02/11 03:21 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#344 []
「夢…かぁ…。そうかもしれない!夢見たんかも。騒いでしまってごめんね!」

眉を垂らし、ふにゃっと幸子は笑った。

この表情は心配をかけたくない幸子のくせだ。

「いいですよ、夢は誰でも見ますから」

コウはにっこり笑い部屋から出ていった。

⏰:08/02/11 03:24 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#345 []
「幸子、大丈夫か?」

コウが部屋のドアを閉めたのを確認し、俺は言った。

「うん、大丈夫!夢見ただけやから…」

「嘘つくな。俺にはちゃんと言うて。何があってん?」

俺の言葉を聞き、また幸子は泣き出してしまった。

⏰:08/02/11 03:26 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#346 [匿名]
物凄い読みたいですでも主サンペースで頑張って下さい!!

⏰:08/02/16 19:30 📱:SH902i 🆔:Ex3tyTpk


#347 [我輩は匿名である]




ぁげちャいます



⏰:08/02/20 16:41 📱:N703iD 🆔:mmzC529g


#348 [菜美]
あーげ

⏰:08/02/21 00:46 📱:N903i 🆔:1MMMYVfw


#349 [我輩は匿名である]


主サン
頑張れ(ω)⌒

待ッてます
本気でこの話スキ

ッレにもこれだけゎ
ォススメしました


⏰:08/02/21 05:24 📱:N703iD 🆔:ILhXQuyQ


#350 [我輩は匿名である]
ファィト

⏰:08/02/22 04:25 📱:N703iD 🆔:kWtvvmYQ


#351 []
すみません!かきます

⏰:08/03/20 04:38 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#352 []
>>345

「今話したこと…夢なんかじゃない…。ほんまに眼球だけ浮かんでてん…なぁ…志乃は信じてくれる?」

泣きながら幸子は言った。

もちろん。

きみが丸見えな嘘をつこうとも、きみの口からほんまやねん信じてと言われれば、俺は信じますよ。

⏰:08/03/20 04:42 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#353 []
とりあえず夜中なので
俺は幸子が眠るまでずっと手を握っていた。

20分くらいたった頃、幸子は安心したように眠りについた。

俺はホッとし、リビングへ向かった。

⏰:08/03/20 04:44 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#354 []
今夜は幸子に付き添わなな…コーヒーで眠気を覚ますしかな…

「ぎゃあ!!」

リビングへたどり着きコーヒーを入れようとコンロの側まで近寄った時、俺はびっくりして腰を抜かした。

そう。みなさんお気づきだろう。
コンロの側ではろうそくを片手にしゃがみ込む不気味なコウの姿があった。

⏰:08/03/20 04:46 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#355 []
「間違いなく眼帯ですね」

不気味な風貌のコウが驚く俺に放った最初の言葉だった。

「は?」

「幸子さんの見た眼球とは、昼間見た眼帯の少女の目です。間違いありません。」

「え?お前夢やって…」

「夢だと言わなければ怖がらせるだけでしょう?僕は女性を怖がらせたくありません。」

⏰:08/03/20 04:49 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#356 []
不気味だが、コウは眉間にしわを寄せ親指を噛んだ。
イラついているコウのくせだ。

「幸子さんが見たのは恐らく右目。昼間の少女が隠している右目です。そして少女もまた、僕達を見ています。」

「…見て…?」

見て…い ま す ?

「はい。気付きませんか?ほら、そのテーブルの下から。見られていますよ、僕たち。」

⏰:08/03/20 04:55 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#357 []
コウの言葉を聞き、テーブルの下に目を向ける。

「…な…なんやねんアレ」

「眼球です」

「見たらわかるわ!なんで眼球が浮いてんねん!」

「僕にわかるわけないでしょう?」

以前おまえ何でもわかる言ってたんちゃうんかい。

⏰:08/03/20 10:42 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#358 []
俺は眼球から目が離せない。眼球はただただじっとこちらを見ている。

俺…眼球と見つめあっとる…?

「大丈夫ですよ、ただ見ているだけ…危害は加えないでしょう」

コウはろうそくの火をフッと消し、リビングの電気をつけた。

その瞬間、眼球はパッと消えてしまった。

⏰:08/03/20 10:48 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#359 []
「…気味が悪いな」

眼球がウロウロしてるなんて気持ち悪すぎる。

「ええ…」

コウは眉間にしわを寄せながら腕を組んだ。

「伊豆にいる間、毎晩覗かれているのでは姫菜さんに手が出せません。」

お前は一体何の心配をしとるんじゃ!

⏰:08/03/24 03:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#360 []
「まぁ、僕の方は見られていても平気ですし、むしろ燃えますが。姫菜さんは嫌がるでしょうね」

こいつさっきイラついとったんはこーゆー事考えとったからか。

「どーでもいい。俺、幸子んとこ戻るわ。」

リビングを出る俺に、コウは背後から小さな声で言った。

「部屋を暗くすると現れますよ。」

⏰:08/03/24 03:19 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#361 []
【第八章 ギブス】

その日、俺は眠れなかった。コウの言う通り部屋の明かりを消さなかった。

「志乃…?」

幸子が目を覚ます。

付き合ってから初めて見る寝起きのマイハニー。

か わ い い 。

この一言に尽きる。

⏰:08/03/25 05:58 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#362 []
幸子は目をぎゅっと瞑りながら、「ん〜」と大きく伸びをした。

はっ!いかんいかん。
俺の息子さんが反応しちまう!

「志乃ぎゅーして?」

寝起きは甘えたさんなのか?寝ぼけたようなかわいらしい顔で幸子が言った。

限界。

俺は幸子を抱きしめた。

⏰:08/03/25 10:45 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#363 []
俺の息子が元気になったところで部屋のドアが開いた。

「…すみませんタイミング悪く…ご飯ですよ」

…ノックしろ。

「神谷くん、おはよ」

にっこりした幸子が言う。

「幸子さんおはようございます。志乃くんもおはようございます。志乃くんの息子さんもおはようございます。」

こいつ…!いらん事まで!

⏰:08/03/25 11:04 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#364 []
「息子…?」

きょとんとしながら幸子が俺の顔をのぞいた。

「いや、なんでもないなんでもない。飯食い行こ」

俺は前かがみになりながらドアのそばに行き、コウをぺちんと叩いた。

「いらん事言うなアホ」

「勃起しながら出来ず終いな方にアホとは言われたくありません。」

コウはわざと幸子に聞こえるようにでかい声で言った。

こいつマジしばくしばくしばく!!!

⏰:08/03/25 11:08 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#365 []
イライラしながらリビングへたどり着くと、
姫菜がキッチンのところにしゃがみ込んでいた。

「おい、どーした…」

「姫菜さん!どうされましたか!?」

俺の言葉を遮ってコウが姫菜に駆け寄った。

⏰:08/03/25 23:31 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#366 []
「姫菜さん!?」

姫菜は震えているみたいだった。

まるで昨日の幸子のように手で顔を覆いながら。

「…まさか眼球が…」

コウのそばに寄り、俺は小さく言った。

「いえ…まさかこれは…」

⏰:08/03/26 04:40 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#367 [主です]
震える姫菜の肩を抱きながらコウは親指の爪を噛む。

「…コウ?」

俺と幸子は全く状況が出来ず、ただ二人を見ていた。

しばらくの沈黙の中、
コウが立ち上がり口を開いた。

「ご飯にしましょう」

⏰:08/03/28 04:42 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#368 []
しまった!名前ミスった笑

⏰:08/03/28 04:43 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#369 []
何事もなかったかのようにパンやスクランブルエッグ、サラダなどをテーブルに運ぶ。

「コウ?なぁ状況…」

「何もありません。姫菜さんはお腹が痛いだけです。さぁ、食べましょう」

一式テーブルに運び終わったコウは椅子に座り俺たちにも座るよう促した。

⏰:08/03/28 04:46 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#370 [我輩は匿名である]
書かないの
待ってるから書いて下さい

⏰:08/04/09 22:02 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#371 []
匿名さん

書きます!
ありがとう

⏰:08/04/11 04:39 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#372 []
>>369

朝食の間、誰も口を開かなかった。

コウを見ても、もくもくと飯を食い、俺のスクランブルエッグにまで手を出しただけだった。

「すみませんが、僕少し用事を思い出したのでしばらく外に出ます。」

朝食を食べ終えた後、コウが言った。

⏰:08/04/11 04:42 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#373 []
絶対何かあるな。

俺はコウにばれないようコウの後をつけることにした。

「幸子、ごめんやけど姫菜についててくれるか?」

姫菜は朝食の間も顔色が悪く、とても大丈夫には見えなかった。

幸子は少し困った表情をしながらも、わかったと笑顔で言った。

「なんかあったら電話して。すぐ戻るから」

幸子に手をふり、俺はコウの後を追った。

⏰:08/04/11 04:45 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#374 [我輩は匿名である]
続き読みたい

⏰:08/04/12 13:23 📱:F704i 🆔:8kLwIDhk


#375 [我輩は匿名である]
がんばって!

⏰:08/04/12 21:38 📱:PC 🆔:☆☆☆


#376 []
ありがとうございます!
書きます

⏰:08/04/21 03:36 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#377 []
>>373

30分ほど歩き回ったころ、ようやくコウが立ち止まった。

コウの前にはキレイな一軒家。

玄関先に立ち、コウはふぅっとため息をついた。

横顔しか見えないその表情は、心理は読み取れないが困惑に似た表情だった。

⏰:08/04/21 03:48 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#378 []
コウの指先がインターホンに近づいてゆく。

俺は木陰から息を飲みながら眺めていた。

なぜだ?
冷や汗が流れる。

【ピンポーン】


インターホンが鳴る。

⏰:08/04/21 03:50 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#379 []
一分たっても家の主はでてこない。

2、3度インターホンを鳴らす。

ようやく、玄関の扉が開いた。

コウの知り合い…?

一体どんな奴だ?

ゆっくりと主の顔が現れた。

⏰:08/04/21 03:52 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#380 []
「久しぶりですね」

玄関から顔を出した相手に作り笑いをしながらコウが言った。

いや、作り笑いというよりもバカにしたような、
見下しているように見えるが。

「…何の用?」

相手はボソッと答えた。

⏰:08/04/21 04:29 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#381 []
相手は同じ年くらいの男。身長はコウと同じくらい、あるいはコウより少し高めの今風のチャラっとした外見だ。

こんな奴がコウの知り合い?

俺は謎につつまれた。

「…何の用だよ?あ?用もねーのにくんなよ」

黙っているコウにしびれを切らしたのか、男はイライラした口調で言った。

⏰:08/04/21 04:32 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#382 []
「イライラしないで下さいよ。僕の方があなたよりイライラしてるんですから」

口角を釣り上げ、コウが言った。

「はぁ?久しぶりに来て、何なんだよお前は?」

相手も負けじと言い放つ。

コウはさらに口角を上げた。

「あなたの仕業だと、もうわかっていますよ」

男の右腕には

真っ白なギブスがついていた。

⏰:08/04/21 04:36 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#383 []
「はぁ?俺の仕業?何の話だよ?」

男はバカにしたように笑いながら言った。

「見えない腕は暗闇で活動する。見えないゆえ、それがあたかもあるように思える。目に見えるものだけが全てではない。」

棒読みでコウが言った。

表情はわからない。

⏰:08/04/22 02:16 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#384 []
「何言ってんだお前。きもちわりぃ」

男は物凄く嫌悪感をむき出しにした表情で言った。

コウ、悪いが俺もその発言きもち悪いと思ったぜ。

「では、ギブスを外して見せなさい。あなたの腕を。木陰は日差しに遮られ、あなたの思う暗闇になる。あなたの腕をさらけ出せば、彼の元から消えるでしょう」

⏰:08/04/22 02:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#385 []
あいつ何言ってんだ?

とうとう頭がおかしくなったか?

彼の元…?

…あぁ…それにしてもさっきからやけに寒気がする。

足元が冷えるな…

足元…足も………


「うわぁぁぁあ!!!」

⏰:08/04/22 02:22 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#386 []
「…志乃くん…今さらやっと気がついたんですか、やはりあなたはバカですね」

コウがこちらを見ながら呆れたように言った。

「お…お前いつから俺に気付いて…ってか、この腕なんやねん!!」

俺の足には、がっしりと肘から下の腕だけがくっついていた。

⏰:08/04/22 02:30 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#387 []
「ずっと気付いてましたよ。その腕は、こちらの方の腕ですので気にしないで下さい。」

気にするっちゅーねん!

俺は足をバタバタさせたが、腕は頑固して離れない。

「正志くん。離してあげなさい。」

ため息がてらコウが男に言った。

⏰:08/04/22 03:22 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#388 []
「だから俺関係ないから。マジ意味わかんねー」

正志らしき男はフイとそっぽを向いて答えた。

「正志くん、いい加減にしないと僕、怒ることになりますよ。」

コウが親指を口元に当てた。

⏰:08/04/22 03:23 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#389 []
爪を噛むのだろう。
コウはイラついた時は爪を噛む。

コウが口を開けたその瞬間、

俺の足元から腕が消えた。

「…ふん……神谷、お前相変わらずだな。」

正志が口角を上げて言った。

⏰:08/04/22 03:25 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#390 []
「それはお互いさまですよ。」

俺の足元を確認した後、コウも口角を釣り上げた。

「わりぃな。ささやかな歓迎だ。」

正志はギブスをしていない方の腕をあげる。

「歓迎にしては度がすぎています。」

正志の腕をガシッと掴みながらコウが言った。

二人はお互いニッコリと笑い、まるで俺の存在を
忘れているかのように。

⏰:08/04/22 03:29 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#391 []
【第九章 親友】

俺は

コウは俺だけしか

友達がいないと思っていた

だから俺がいないと
俺が一緒にいてやらないとって

でも

本当は俺の方が

コウを必要としていた―

⏰:08/04/22 03:32 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#392 []
俺は、ただ二人の再会を眺めているだけだった。

コウと正志は久しぶりの再会を、とてもとても嬉しそうに笑いあっていた。

以前、コウが俺に言ったセリフ。

【僕は友達と呼べる方はいませんでしたから】

あれは

嘘だったのか―?

⏰:08/04/22 03:35 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#393 []
「…―乃くん?…志乃くん!」

コウに肩を掴まれハッとする。

「何ぼけーっとしてるんですか」

笑いながらコウが言った。

俺が見たことのないような無邪気で優しい笑みをして。

「…や、何でもない」

なぜだか俺は

すごく悲しくなった。

⏰:08/04/22 03:37 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#394 []
寝ます。
今まで放置気味でごめんなさい見てくれてる方いますか?よかったらコメント下さい

⏰:08/04/22 03:38 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#395 [我輩は匿名である]
>>394
コメ求めるなら『感想板に』とか書けよ

ただでさえ『あげ』とか有りすぎて読みにくいのに

自分勝手な主だな

⏰:08/04/22 06:33 📱:SH905i 🆔:☆☆☆


#396 []
ぎゃあ!
すみません
感想版ひっぱってきたのでこちらにお願いします
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2368/

自分勝手とか言わないで

⏰:08/04/22 07:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#397 []
>>393

こんなにも感情を表したコウを、俺は今まで見たことがあっただろうか。

コウは俺の目の前でニッコリと笑っているが

俺はなぜだかコウが

すごく遠い存在に思えた。

⏰:08/04/23 02:27 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#398 []
「志乃くん、顔色悪いですが大丈夫ですか?」

コウが俺を覗きこむ。

「大丈夫やって!俺、別荘戻るわ!」

コウに作り笑いをし、その場から離れようとした。

が、

⏰:08/04/23 03:14 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#399 []
「説明、聞かないんですか?」

俺の腕を掴み、コウが言った。

⏰:08/04/23 03:16 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#400 []
説明?

なんの説明だよ。

お前とコイツの関係を説明すんのか?

「…彼は…」

「説明とかいらん」

コウの言葉を冷たく遮って、俺はその場を離れた。

イライラする。

「…あいつ誰やねん…」

⏰:08/04/24 03:39 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#401 []
足早に別荘へ戻る道を歩いた。

「………!?」

俺…何してるん!?

コウと仲良い男を見て、勝手に怒って…あげくにコウの話も聞かずに一人で切れて…なんか俺…

なんか俺コウの彼女みたいやん!!!!

「ぎゃー!!キモいキモいキモい!俺キモい!!」

⏰:08/04/24 03:43 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#402 []
「…一人で何悶えているんですか。」

俺が頭を抑えながら悶えていると、背後から愛しい声が聞こえた。

「…コウ…」

コウは俺の顔を見て、怪訝そうに眉間にしわを寄せた。

「気持ち悪い顔で見ないでください」

⏰:08/04/25 03:53 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#403 []
嫌悪感をむきだしながら俺を見るコウだが

俺のあとを追ってきた

あの男よりも俺を選んでくれたコウが

俺はすごく嬉しかった。

「志乃くん、泣きそうな顔してますが大丈夫ですか?」

俺はコウに抱きついた。

⏰:08/04/25 03:55 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#404 []
「…ちょっ…何ですか。僕、男性に抱きつかれる趣味はありませんが。」

コウは俺から離れようとしたが、

俺はなぜだろう。
涙が出ていた。

それに気付いたのかコウは俺の肩をポンポンと叩き、しばらくの間何も言わなかった。

⏰:08/04/25 04:10 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#405 []
何分ほどたったのだろう。

ようやく泣き止んだ俺はコウから離れ、遠慮がちにコウを見上げた。

まるで彼氏と彼女みたいな雰囲気だ。

きもっっっ。

「落ち着きましたか?」

見上げたコウは、心配そうな表情で俺を見ていた。

⏰:08/04/25 04:12 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#406 []
「…悪い………。」

コウから離れ、近くにあったベンチに腰をおろした。

コウも黙ってベンチに座り、たばこに火をつけた。

「…僕は……」

俺の言わんことを悟ったかのようにコウが言った。

「心配しなくとも僕の親友は志乃くんだけですよ。」

⏰:08/04/25 04:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#407 []
「…なっ…なんやねんな急に!」

焦る俺を横目に
コウはたばこを吸い言った

「いえ、志乃くんが正志くんにやきもちをやいているように見えたので」

ばれとる!!!

「そんなわけないやん!」

⏰:08/04/26 03:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#408 []
「そうですか、それならいいですけど」

意地悪気に笑いながらコウが続ける。

「で、志乃くん説明いりますか?」

「…はい」

「おや?先程はいらないと言っていたんじゃないですか?」

「説明しろ!」

コウはクスクスと笑い、

「いいでしょう」

と続けた。

⏰:08/04/26 03:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#409 []
「正志くんと僕は幼なじみです。と言っても、僕たちは小学生までの付き合いでしたが。僕と正志くんは、いわば今の僕と志乃くんのような関係でした。親友でした。」

「……親友…」

はっきりと言われると
やっぱりいい気がしない。

俺は心が狭いのか?

⏰:08/04/26 03:22 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#410 []
「正志くんは僕らと同様、異体質の持ち主です」

「異体質って?」

そもそも異体質なんて単語あるのか?

「僕たちは霊が見えるという異体質の持ち主。ですが…彼は少し違います」

「…違うって?」

「彼は…」

コウは眉間にしわを寄せた。

「彼は生きている人間を操れます」

⏰:08/04/26 03:26 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#411 []
生きている人間を操れる?

どういう意味だ?

「…彼は生きている人間の…いえ、生きているけれど機能していない人間の部分に入りこむことができる。昨夜、志乃くんも見たでしょう?眼球が動いていたのを」

眼球…

「あ、あぁ…あれが…」

「ええ、あれが正志くんの分野です」

⏰:08/04/26 03:30 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#412 []
正志の分野…

「彼は、そういった行為が好みな方ですから」

コウは微笑みながら言った。

優しい、

優しい表情で。

⏰:08/05/08 04:34 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#413 [なぁ]
激しくあげ

⏰:08/08/08 02:22 📱:N906imyu 🆔:v/YqL18U


#414 []
なぁちゃん
たまたま違う小説を昨日から復活させてて、今あげ発見してめっちゃ嬉しかった内容少し浮かんだからまたあとで更新します。
どっちの小説もかなり時間あいてすみません

⏰:08/08/08 02:34 📱:P904i 🆔:P1FMs5VE


#415 []
>>412

コウの微笑みは、優しく、だけどどこか悲しげで…

この表情の意味を

俺は間違ってとらえてしまった。

それは俺とコウとの関係を

崩してしまうほどに

 

⏰:08/08/08 03:03 📱:P904i 🆔:P1FMs5VE


#416 []
「志乃くん、彼は」

「いや、やっぱいいわ。俺なんか身体だるいわ…」

コウの言葉を遮り、
俺はコウを避けるように別荘へと進んだ。

あんな表情で他の友達の事を話すコウは見たくない。

⏰:08/08/08 03:13 📱:P904i 🆔:P1FMs5VE


#417 []
コウがこの時
悲しい表情をした事に

俺は気がつかなかった。



「志乃!大丈夫!?」

別荘へ戻ると心配そうな表情の幸子がかけよってきた。

「ん、ヘーキ」

⏰:08/08/08 03:15 📱:P904i 🆔:P1FMs5VE


#418 []
「神谷くんは?一緒じゃないん?」

「………いや、はぐれたから」

俺の心理を読みとったのか、幸子は
「そっか」
と言い、それ以上何も聞かなかった。

「あれから何か起こったか?」

俺の問いに、幸子はにっこり微笑み首を横に振った。

⏰:08/08/08 03:17 📱:P904i 🆔:P1FMs5VE


#419 []
姫菜の部屋を覗きに行くとすっかり落ち着いたのかスヤスヤと眠っていた。

俺は静かにドアを閉め、コウと同室の部屋へ戻った。

1人シンと静まりかえる部屋をぐるっと見渡し、なんだか寂しくなってきた。

俺は荷物をバッグにつめた。

⏰:08/08/08 03:27 📱:P904i 🆔:P1FMs5VE


#420 []
ある程度荷物が片付いた時、ふいに部屋のドアが開く音がし、俺はドアに振り返った。

「…志乃くん、何してるんですか?」

視線の先には怪訝な顔つきのコウが立っていた。

⏰:08/08/08 03:28 📱:P904i 🆔:P1FMs5VE


#421 []
「あ〜…さっき電話あって急に家帰らなあかんなってんやん」

コウから視線を反らし、荷物をつめたバッグを見つめながら言った。

長い沈黙が続く。

背後のコウの表情はわからない。
しばらくしてから小さく

「…そうですか……」

コウが言った。

⏰:08/08/08 03:30 📱:P904i 🆔:P1FMs5VE


#422 [なぁ]
更新されてたぁ
サンペースでガンバです

⏰:08/08/09 22:49 📱:N906imyu 🆔:R3uIWm7s


#423 []
なぁちゃん
ありがとう

⏰:08/08/13 03:36 📱:P904i 🆔:C/xWiwEo


#424 []
>>421

無言なまま時間だけが過ぎていく。

コウの動く気配はない。

俺は黙々と荷物をつめた。


きまずい雰囲気が流れる。

⏰:08/08/13 03:37 📱:P904i 🆔:C/xWiwEo


#425 []
耐えきれずに荷物を詰め終え、立ち上がろうとした時、コウが口を開いた。

「誤解しないでほしいんです。」

コウの切なそうな声が静まる部屋に響く。

「……なにが?」

俺は冷静に問いかける。

「正志くんのことを。」

切ない声のまま

コウが言った。

⏰:08/08/13 03:40 📱:P904i 🆔:C/xWiwEo


#426 [たこぱ◆2Fq//LNdt.]
書かないの?

⏰:08/09/06 05:14 📱:N906i 🆔:☆☆☆


#427 [我輩は匿名である]
上げます

⏰:08/10/08 06:45 📱:N906imyu 🆔:cDCjQqig


#428 [我輩は匿名である]
あげますッエ

⏰:08/10/09 01:21 📱:W56T 🆔:sJFAdhE2


#429 [エ]
あげっN

⏰:08/10/09 19:44 📱:W56T 🆔:sJFAdhE2


#430 [エ]
あげます}

⏰:08/10/10 09:50 📱:W56T 🆔:bvOfJcrk


#431 [我輩は匿名である]
おもろい

⏰:08/10/10 14:52 📱:F703i 🆔:5b4gti3k


#432 [えり]
続きが気になります

主さん書いてくれるの願ってます

⏰:08/10/11 04:30 📱:D905i 🆔:☆☆☆


#433 [我輩は匿名である]
早く続きを書けや?

⏰:08/10/28 11:26 📱:PC 🆔:☆☆☆


#434 []
すみません。
久々に書こうかな
でも毎日や頻繁には更新できません、すみません。

⏰:08/10/30 03:32 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#435 []
>>425

誤解…?

コウ、お前とお前の親友であろう正志に

俺が誤解する何があるんだよ。

「誤解なんかしてない。どいてや、帰るから」

胸がズキズキと痛む。

⏰:08/10/30 03:34 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#436 []
コウの横を通りすぎる時、ちらりとコウの横顔が見えた。

俺はさらに胸がいたくなった。

切なく
悲しい

コウの瞳から、
一筋の涙が光った。

俺はそれを見ていないふりをしてドアを開けた。

⏰:08/10/30 03:37 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#437 []
「志乃?え?帰るん?」

ドアを開けたところで幸子が入れたてのコーヒーを2つ持って立っていた。

「んー、ああ。ちょっと急用できてん」

「志乃が帰るならあたしも帰るよ!ちょっと待ってて?荷物準備するから」

「…わりぃな」

幸子はいつもの様ににっこり微笑み、部屋へと向かった。

⏰:08/10/30 03:40 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#438 []
10分ほどたったころ、幸子が荷物を持って戻ってきた。

「神谷く〜ん!先帰るけど、ありがとね!」

玄関先に出て、幸子がコウに言った。

コウはいつも通りのポーカーフェイスで

「いえ、また学校で。」

と言い、手をふった。

⏰:08/10/30 03:47 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#439 []
コウはちらりと俺を見ると

何かを言いたげに口を開いた。

「……志…」

「ほな、また学校でな!」

コウの言葉を遮って俺は玄関を出た。

「……学校…?」

玄関を出たところで、
幸子がキョトンとしながら呟いた。

⏰:08/10/30 03:51 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#440 []
「志乃、神谷くんと一緒に住んでるんちゃうん?学校で…って?」

「……………」

今コウと一緒に生活するなんて気まずくて無理だ。

「…何かあった?」

心配そうに幸子が言った。

⏰:08/10/30 03:53 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#441 []
俺は今までのことを
包み隠さずに幸子に話した。

幸子は黙って

うん、うん、

と、相槌をうちながら聞いていた。

⏰:08/10/31 03:57 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#442 []
「でも、志乃ずるいわ」

黙って聞いていた幸子が
急に口を開いた。

俺の目をじっと見つめながら言った。

「神谷くんの話、そらして聞かんかったんやろ?それは志乃の逃げやで?」

真剣な眼差しで幸子が言った。

⏰:08/10/31 04:00 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#443 []
前回の小説の前半が荒らしに消されて、いつ消えるかわからないし主自身も腹がたつのでこの話はもう書きません。読んでくださったみなさまありがとうございました。もしかしたらきみを送る前半からすべて書き移しわかりやすくして違うところに続きも加えてのせるかもしれませんでも荒らしがいるのがわかったのでもうここでは書きません

⏰:08/11/14 05:13 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#444 [○ァンパン○]
そうですか
この作品は大変面白いので、残念です(つд`)

でも、主さんがもしまた最初から書き移す気になったら、その時は陰ながら応援しています

お仕事などで更新大変なのに、《きみを送る》を最後まで書いて下さって、面白い作品をどうもありがとうございましたヾ(^▽^)ノ

とりあえず、お疲れ様です(・∀・∩)

⏰:08/11/14 08:14 📱:F904i 🆔:kfc9OmYc


#445 [我輩は匿名である]
書き手なら荒らされても嫌な思いしても小説始めた以上、責任もって完結させなよ 生活板とかにいる暇あんだからさー
読み手の気持ちも考えなよただの自己中じゃん

⏰:08/11/14 18:09 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#446 [たこぱ◆2Fq//LNdt.]
この小説好きだったのに…

⏰:08/11/20 23:32 📱:N906i 🆔:rEyNctWk


#447 []
魔法のアイランドで新しく書き直すつもりです。
叱咤してくれた方に何言われてももう書けません。
前作が消えてしまえばあたしも内容がわからなくなるので続きが書けないんです。意味わかりますか?登場人物などのキャラクターの思考、形容がわからなくなるため書けなくなるんです。すみませんが続き読みたい方がいたら魔法のアイランドで検索してみてください。

⏰:08/11/21 05:26 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#448 []
あとここで更新してもまた荒らしによって消える可能性もあるので小説だけを更新できるサイトに移動しました。

⏰:08/11/21 05:28 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#449 [なぁ]
誰かアイランドで主サンの小説見つかった人、タイトルは何で検索すれば見つかるか教えてください

⏰:09/07/24 14:18 📱:N906imyu 🆔:omj1Orcc


#450 [みぃ]
↑同感☆あげ

⏰:09/10/13 06:57 📱:SH703i 🆔:v9Uzq3XY


#451 [&◆MuOdxZk7Y6]
かけるかな?

⏰:20/08/24 00:34 📱:Android 🆔:P2noGUhs


#452 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/18 20:10 📱:Android 🆔:h3l12Mig


#453 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/19 20:33 📱:Android 🆔:A4ZzuHng


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