俺とコウの物語
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#201 []
中にいた女子は俺とコウを変質者を見るような目付きで見、悲鳴を上げながら出て行った。
「邪魔者は消えました」
そーですね。
「では」
コウは三番目の鏡の前に立つ。
「麻生さん、お願いします。出てきてください」
:07/10/16 03:33 :SH901iS :☆☆☆
#202 []
コウが呪文(?)を唱えるが、鏡は依然として静かなままだ。
「麻生さん、お願いしますよ」
「……………」
「…麻生さん…お願いしますと言っています」
「……………」
「僕がお願いしますと言ってるんですけど」
:07/10/17 02:16 :SH901iS :☆☆☆
#203 []
コウの言葉もむなしく、
麻生が出てくる気配はなかった。
「出てきません」
ムスッとした表情で、コウは俺に振り返った。
「だな」
「どうしましょうか」
どうしましょうね。
親指の爪を噛みながらしばらくしてコウが口を開いた。
「閃きました」
:07/10/17 02:19 :SH901iS :☆☆☆
#204 []
コウは先程と打って変わって、なにやら晴れやかな顔つきになった。
「…コウ?一体どんな良からぬ事閃いたんや?」
「失礼ですね。僕の閃きは良い事に決まっているでしょう」
決まってません。
嫌な予感がします。
どうか…どうか的中…
「麻生さん、僕達があなたの頼みを聞いてさしあげましょう」
…的中しませんように。
:07/10/17 02:23 :SH901iS :☆☆☆
#205 []
「麻生さん、どうでしょう?頼みを聞いて差し上げますから、出てきてくれませんか」
あーあ…
言っちゃったよこの人…
って……
ん?
今、僕 た ち って言っちゃいませんでしたか?
「俺も!?」
:07/10/17 02:39 :SH901iS :☆☆☆
#206 []
「当たり前です」
「なんでやねん!」
「あなたの恋人を助けるために僕がわざわざ協力しているんでしょう?」
そーなん?
俺とコウが言い合いをしていると、鏡から呟くような声が聞こえてきた。
「…何でも聞くの…?」
:07/10/17 02:41 :SH901iS :☆☆☆
#207 []
恐る恐る俺は鏡に目を向ける。
鏡にはまだ何も映ってはいない。
やべー…
寒気がする。
「コウ…今…」
「なにか?」
こいつ聞こえんかったんか?
「今鏡のとこから…」
「なんでも聞くの…?」
:07/10/22 02:07 :SH901iS :☆☆☆
#208 []
俺は背筋が凍りそうになった。
今度は確かに、はっきりと鏡から声が聞こえた。
「志乃くん?何か?」
「…お前聞こえんのか?」
「いえ、聞こえてます」
ほな聞くな!
「私の頼み…何でも聞くの?」
:07/10/22 02:10 :SH901iS :☆☆☆
#209 []
三番目の鏡に再び目を向けると、鏡の向こうには髪の長い女が映っていた。
「あ…麻生…」
「麻生さんこんにちは。お元気ですか」
淡々とコウは鏡の前に立ち話す。
霊なんやから元気なわけないやろ!
:07/10/22 02:13 :SH901iS :☆☆☆
#210 []
「何でも聞くのよね?」
鏡の中で麻生は長い髪を垂らしながら言った。
髪の毛で表情が見えない。
「いえ、聞けない場合もありますが」
「……………」
「まぁ言ってみて下さい」
こいつは絶対聞かない、と俺は確信した。
:07/10/28 02:53 :SH901iS :☆☆☆
#211 []
「…麻生さん」
コウはため息まじりに麻生の名を呼ぶと、真剣な顔つきになり麻生をじっと見据えた。
「あなたが鏡に住み着く理由を教えて頂きたい。ここで女子生徒の頼みを聞いてあなたは満足なのですか」
「……………」
「あなたに黙秘権はありませんよ」
…なぜだ!?
:07/10/28 02:59 :SH901iS :☆☆☆
#212 []
「僕の質問には答えなさい。答えない場合、僕を怒らせることになりかねません」
ここまで黙秘権を使っていた俺は、口を開いた。
「お前怒らせたらどーなんねん?」
「…志乃くんは少し黙ってて下さい」
「なんでやねん!」
どうやら俺には黙秘権があるらしい。
:07/10/28 03:02 :SH901iS :☆☆☆
#213 []
「麻生さん答えなさい」
「……………」
沈黙を貫き通す麻生に、コウはいらついたように親指の爪を噛んだ。
「ハッキリ言います。僕はだいたいの事は察しがついています。あなたはいじめにあっていた、だから頼みを聞くんでしょう?あなたをいじめていた方に仕返しをするために」
:07/10/28 03:07 :SH901iS :☆☆☆
#214 []
「………は?」
ちょっと待って。
意味不明なんだけど。
「どーゆー事?」
俺はコウの言葉が理解できなかったが、
麻生はコウの言葉を聞いた瞬間、ピクリと動き顔をあげた。
初めて真正面からみる麻生の顔は、右半分に火傷のような跡があった。
:07/10/28 03:09 :SH901iS :☆☆☆
#215 [でら]
あげます
:07/11/23 05:32 :SH903i :sJdPdL/2
#216 [我輩は匿名である]
あげる
:07/12/28 19:11 :N904i :VnTqAIis
#217 [まな]
:08/01/05 16:22 :F704i :jiWzqc0k
#218 []
すすすすみません
また書き初めます…
:08/01/18 23:49 :P904i :☆☆☆
#219 []
>>214「ああ、その火傷で僕の勘が当たったと確信しました。」
あんなけ自信満々にゆーといて勘やったんかい!
「…その火傷は…?」
「…………。」
俺の質問に麻生は何も答えずに、ただただコウを見つめている。
「…そんなに擬視されると照れます。」
:08/01/18 23:55 :P904i :☆☆☆
#220 [ako]
:08/01/19 01:30 :SH903i :62nLejLE
#221 []
ありがとうございます
読んでくださってたみなさんほんまにごめんなさい
:08/01/19 04:03 :P904i :☆☆☆
#222 []
全く照れた様子もなく
コウが淡々と話す。
「……………。」
「…なんですか。僕は志乃くんに見つめられて喜ぶ趣味はありませんから。」
俺もじゃ!!
「なんやねん、さっきの話。続きは?」
コウから麻生へ目を移すと麻生はコウから目線を反らし、俺と目が合った。
:08/01/19 04:33 :P904i :☆☆☆
#223 []
怖いんですけど。
冷や汗が垂れる。
「………………」
誰も言葉を発しない。
が…やはり先に口を開いたのは
「いいでしょう。見つめ合う最中すみませんが、僕があなたの代わりに述べましょうか?あくまでも僕の予想ですが。よろしいですよね?麻生さん。」
冷めた目のコウだった。
:08/01/19 04:36 :P904i :☆☆☆
#224 []
「いいですか?」
コウは麻生を見据えながら強い口調で言った。
いや、強い口調だが、半ば呆れたようにも聞こえる。
こいつは多分あきれているのだろう。
「麻生さんは…」
ゆっくりと
コウが話し出す。
:08/01/19 04:47 :P904i :☆☆☆
#225 []
【第六章 未解決事件】
「麻生さんは、いじめにあっていた。それも自殺するほどまでに辛いいじめです。あなたはいじめを苦に自殺した。それは間違っていませんよね?」
コウは麻生をチラリと見た。が、麻生は俯き何も答えなかった。
「…いじめの原因って?」
俺の言葉にコウは眉間にしわを寄せた。
:08/01/19 04:50 :P904i :☆☆☆
#226 []
「容姿…」
「え?」
聞き返す俺に、コウは曇った表情をしながら続けた。
「容姿です。わかりませんか?麻生さんは容姿についていじめられていたんですよ。」
親指を口元に当てながらコウはギロリと麻生を睨む。
:08/01/19 04:55 :P904i :☆☆☆
#227 []
「ひでぇな…。」
容姿なんて…
誰だって好きこのんでそんな容姿になったわけじゃないのに…
「志乃くん、違いますよ」
「はい?」
「あなた今、麻生さんの容姿が悪いからいじめられていた、そう捉えたでしょう?」
:08/01/19 04:57 :P904i :☆☆☆
#228 []
そりゃもちろんそうだろ。
「違います。逆なんですよ。」
「…は?逆?」
逆って?つまり
「あなたは生前とても美しかった。その美しい容姿ゆえ女子生徒からの嫉妬がひどく、いじめという形になった。違いますか?」
:08/01/19 04:59 :P904i :☆☆☆
#229 []
コウの言葉に
麻生はやはり何も答えなかった。
「…嫉妬でいじめ…?」
女の嫉妬はそれほどまでに醜いのか?
「…醜いです…」
コウはガリッと音がするほど親指の爪を噛んだ。
「女性の嫉妬はとても醜いものです。」
:08/01/20 04:25 :P904i :☆☆☆
#230 []
ガリガリと爪を噛みながらコウは麻生を見つめる。
「あなたはいじめを苦に自殺し、自分をいじめていた方を恨んでいる…と思います。が、今あなたは、あなたをいじめていた方と同類ですよ。例え…」
コウが小さな声で続ける言葉を
俺は聞き逃せなかった。
「例えあなたが…幸子さんを守ろうとしても。」
:08/01/20 04:30 :P904i :☆☆☆
#231 []
「…は?…幸…子?」
なんだ?
今コウのやつ、麻生が幸子を守るとか言ってなかったか?
「…コウ?どういう…」
「そのままの意味ですよ。幸子さんを守ろうとも、あなたがしている事は無意味なことです。」
俺の言葉をイラついたような口調でコウは遮った。
:08/01/22 04:28 :P904i :☆☆☆
#232 []
「ちょ…待て、待って。意味がわからんねやけど」
コウの言葉も
麻生の表情の理由も全くわからない、1人場違いな俺はコウに詰め寄った。
コウはただただ麻生を睨み付け、しばらく口を閉ざした。
:08/01/23 03:55 :P904i :☆☆☆
#233 []
「…お前は…」
沈黙を破ったのは
麻生だった。
「お前は一体何者だ」
コウをじっと見据えながら麻生が言った。
「僕ですか?」
コウはイラついた口調のまま、口角だけをフッと吊り上げ言った。
「ただの一般人ですよ。」
:08/01/23 03:57 :P904i :☆☆☆
#234 []
「麻生さん、僕はただの一般人。想像だけでは語れません。僕の話しは単なる予想ですからね。予想であなたの生前を語られるのは嫌でしょう?」
コウの半ば自信満々な表情に、麻生は目線を下げた。
「ならばあなたの口から、あなたの生前を話してください。」
コウの口調が強くなる。
「あなたがなぜ、ここに留まっているのか、その理由を述べなさい。」
:08/01/23 04:01 :P904i :☆☆☆
#235 []
ギロリと鋭い目付きで麻生を睨むコウ。
俺が麻生なら
もうコウには逆らえないだろう。
麻生も俺と同じなのか
ゆっくりと口を開いた。
「わたしは…」
:08/01/23 04:03 :P904i :☆☆☆
#236 []
長いので前回同様略します。語り手は毎度お馴染み柏木志乃。
麻生の話はこうだった。
高校一年の春。
何もかもが初々しい時期。これからはじまる楽しいはずの高校生活、麻生はいじめにあった。
:08/01/24 05:17 :P904i :☆☆☆
#237 []
きっかけはごく普通。
いわゆる嫉妬。
入学して麻生が初めて仲良くなった女。
彼女は千春という。
千春には中学から付き合っている一真という彼氏がいたらしい。
一真と千春はお互い一緒の高校に行こうね、ずっと一緒にいようね、と約束をしていた。
:08/01/25 04:22 :P904i :☆☆☆
#238 []
その一真に千春が高校で初めて仲良くなった麻生を紹介した。
それがいじめの原因になった。
麻生は当時、ものすごい美人だったらしい。
本人いわく幸子以上だという。
俺はそれは麻生の初めての嘘だと確信し、反論したがコウが黙って聞きなさいと叱咤したので俺はしぶしぶ口を閉じた。
納得いかないが。
:08/01/25 04:25 :P904i :☆☆☆
#239 []
男なら誰でも美人を前にするとココロオドル。
エンジョイ!音楽は鳴り続ける!
と歌いだしたい気分だろうが、皆さんここは黙って聞いていただきたい。
一真も麻生を最初は美人な子だな、としか見なかった。そう、最初は誰でもそうだ。最初はな。
:08/01/25 04:28 :P904i :☆☆☆
#240 []
麻生、千春、一真。
三人共同じ高校であれば、当然顔を合わせるもの。
麻生も仲良くなった千春の彼氏という事で、一真と顔を合わせるたびに軽く挨拶をしていた。
日に日に会話が増え、
麻生の優しさに一真は徐々に彼女に惹かれていった。
:08/01/25 04:31 :P904i :☆☆☆
#241 []
女は意外とするどい。
一真の気持ちの変化を、千春は見逃さなかった。
麻生と一真が初めて顔を合わせてから1ヶ月がたった頃、引き金を引く一真の言葉が鳴った。
《麻生さんのこと、好きになってしまった。》
:08/01/25 04:34 :P904i :☆☆☆
#242 []
女というのは
ねたみ、ひがみ、恨み、嫉み、全てが女に向かうもので。
当然千春は麻生を憎んだ。
麻生自身は無論、一真に気なんてなかった。
だけど女は哀しいもので…
:08/01/26 04:49 :P904i :☆☆☆
#243 []
千春には同じ高校の不良生徒と仲が良かった。
一真に振られた千春は、腹いせに不良男子生徒に麻生を襲え、と命じた。
が、麻生は容姿だけじゃなく性格も良かったため男子生徒は断った。
なんでも学園の花のような存在だったらしい。
今現在の姿を見て、そうは思えないが。
おっと、口が滑った。
:08/01/26 04:52 :P904i :☆☆☆
#244 []
そのことで麻生への嫉妬心がさらにつもった千春は、以前から麻生の人気に嫉妬していた女子生徒に事を話した。
途端に女子逹は口を揃えて言った。
《痛い目に合わせてやろう。》
:08/01/26 04:57 :P904i :☆☆☆
#245 []
そこから麻生へのいじめが始まった。
最初は本当に小さないじめ。
靴がなくなるとか、
女子逹からのシカトなど。
あとは…なんだ?
ここまで身動きせずに黙って話を聞いていたコウが、フッと意地悪く笑みをもらした。
:08/01/26 05:00 :P904i :☆☆☆
#246 []
「コウ…?どうかしたんか?」
話を続けていた麻生も、
コウの表情の変化に気付き口を止めた。
「…コウ?何笑ってん?」
不思議な表情の俺と麻生をよそにコウはいつもの自信たっぷりな表情で口の端をつりあげた。
「いえ、僕のことは気にせず続けて下さい。」
:08/01/26 05:03 :P904i :☆☆☆
#247 []
コウを気にしつつも、
ゆっくりと麻生は続きを話し出した。
小さないじめから
徐々にエスカレートしていった。
まるでドラマの内容だ。
制服が切り刻まれていたり
一番応えたのは
登校した時、複数のハムスターの死骸が机の中に入っていたという。
「…ひでぇ…。」
:08/01/26 05:13 :P904i :☆☆☆
#248 []
さすがに我慢できなかった麻生は、ある日千春逹がたまっている屋上へと向かった。
千春逹の姿を発見した麻生はゆっくり近づいていく。
声をかけようとしたその時、千春の一言で麻生は立ち止まった。
:08/01/26 05:15 :P904i :☆☆☆
#249 []
《マジむかつく。あいつの自慢の顔に傷でもつけなきゃおさまらない。もう考えはあるんだ。》
麻生は千春逹に気付かれないよう隠れ、じっと話を聞いた。
《これ!科学室から盗んだの。これを麻生の顔に少しぶっかけんだよ!もうチョーシのれねー顔になるっしょ!》
千春の手には
硫酸と書かれたビンが握られていた。
:08/01/26 05:19 :P904i :☆☆☆
#250 []
「…まさか…それでその火傷…」
俺は女の嫉妬がこれほどまでに醜いものなのか、と驚きを隠せなかった。
麻生は火傷を隠すように右頬を手で覆いながら頷いた。
「それで硫酸を…でも事前にわかってたなら防げたんちゃうんか?」
:08/01/26 05:21 :P904i :☆☆☆
#251 []
俺の問いに麻生は首を振った。
「いつ実行されるかなんてわからないもの。やられるって気付いた時にはもう…遅かった…」
麻生は顔を覆い俯いた。
「質問なのですが。」
黙っていたコウが口を開く。
:08/01/26 05:23 :P904i :☆☆☆
#252 []
「硫酸をかけられ火傷し、あなたは自殺をしたんですか?」
コウの問いに麻生は俯いたまま頷く。
「それでその千春さんはどうなったのですか?」
「…わからない。」
「と、言いますと?」
:08/01/26 05:25 :P904i :☆☆☆
#253 []
「千春がどうなったのかなんて知らない!」
コウの口の端が
またつりあがる。
「なぜわからないのですか?あなたは千春さんを一番に恨んでいるはずでしょう?」
「…恨んでるけど…」
:08/01/26 05:27 :P904i :☆☆☆
#254 []
「けど、なんですか?」
「…あたしが死んでから気付いた時にはもうここにいたんだよ!だから千春がどうなったのかなんて知らねーよ!」
ヒステリック気味に麻生がコウに怒鳴りつけた。
「おや?話し方が千春さんに戻ってますよ?」
:08/01/26 05:35 :P904i :☆☆☆
#255 []
…………え?
「今、なんて?」
「話し方が戻ってますよ。千春さん。」
…千春?
戻ってる?
「どーゆー意味…?」
話が全く理解できていない俺をコウはチラッと見、またもや意地悪く笑った。
「彼女は麻生さんではなく、千春さんです。」
:08/01/26 05:38 :P904i :☆☆☆
#256 [(゚゚)]
:08/01/27 23:48 :N903i :FiHyNABk
#257 []
:08/01/28 03:43 :P904i :☆☆☆
#258 []
>>255「何言ってるの?あたしは麻生よ。」
「そうやで…だって女子トイレの噂の名前も麻生やん。火傷の跡もあるし…コウ、お前何ゆーてんねん。」
「ですから、彼女は千春さんです。千春さんが麻生さんの名を勝手に名乗っているだけですよ。」
:08/01/28 03:46 :P904i :☆☆☆
#259 []
「意味が…」
「わからないんでしょう?あなたはいつも一人、意味をわかってませんからね」
こいつ…。
「先ほどからの千春さんの話を聞いて志乃くん、あなたは何も疑問に思わなかったのですか?」
疑問…?
「いや、特には。」
:08/01/28 03:49 :P904i :☆☆☆
#260 []
脳内クエスチョンだらけの俺を、コウはニヤニヤしながら見る。
このコウの顔つきは、
自分の考えに自信があるときの表情だ。
「なぜ、千春さんしか知り得なかったことを、麻生さんが知っているのか疑問には思わなかったのですか?」
:08/01/28 03:52 :P904i :☆☆☆
#261 []
「…え?」
そういえば…
「最初に男子学生に頼んだ話は実行されなかった。当然その内容は麻生さんは知る術はない。知っているのは頼まれた男子学生と頼んだ人物。千春さん、あなたしかいないんですよ。」
自信たっぷりのコウは
千春に意地悪く笑いながら近寄る。
:08/01/28 03:54 :P904i :☆☆☆
#262 []
「…それは…あたしもたまたま聞いてたのよ。千春が男子に話すところを…」
麻生?千春?
どっちかわからないが麻生千春(わからんから勝手に呼ぶ)はしどろもどろに言った。
「ではなぜ、千春さんが一真さんに言われた別れの台詞もあなたが知っているんですか?それも聞いていた、と?」
コウが麻生千春を壁に追いやり、麻生千春の顔の横に手をついた。
「言い逃れられるなら、どうぞ言い訳をしてみて下さい。」
:08/01/29 00:45 :P904i :☆☆☆
#263 [蓮]
このぉ話
ホント-に
大好きです
主サン頑張ってくださぃ
:08/01/29 01:08 :P904i :5mTxlVNg
#264 []
蓮さん
ありがとうございます
コメントが励みになります
頑張ろうと思うのもコメントくれる皆のおかげです
もう少し後から更新します
:08/01/29 01:47 :P904i :☆☆☆
#265 []
>>262さすがに、麻生千春ももうだめなのか。
俯きながら気まずそうにしている。
「さぁ、僕を納得させる言い訳があるならば、言ってみてください」
気まずそうな麻生千春と俺をよそに、ただ一人、コウだけが満悦の笑みを浮かべている。
:08/01/29 04:36 :P904i :☆☆☆
#266 []
「…ハッ……」
俯き口を閉ざしていた麻生千春が、ふい声をあげた。
ゆっくりと自分を抑制しているコウに目を向ける。
「あんたの言う通り。あたしは千春。麻生に殺された千春よ。」
殺…された?
「殺された…?麻生に?」
やはり現状を理解できない俺は、ただただ呆然としている。
「よく言えました。」
満足気なコウがニッコリ笑いながら言った。
:08/01/29 04:41 :P904i :☆☆☆
#267 []
「では千春さん、あなたの口から説明していただきましょうか。」
コウの言葉に、千春は怪しく笑いながらも話し出した。
屋上で硫酸の計画をしているのを麻生に聞かれていたのは本当だったみたいだ。
:08/01/29 04:43 :P904i :☆☆☆
#268 []
「あたしは麻生があの計画を盗み聞きしてたなんて知らなかった。だから計画通り実行したのよ!それで…」
千春は顔を歪ませた。
「あいつ…とっさにあたしに向かってビンを投げ返したの。そのときに負ったのよ、この火傷。」
千春は髪をかきあげ、俺たちに火傷を見せつけた。
:08/01/29 04:46 :P904i :☆☆☆
#269 []
コウは千春の顔を見つめながら微動だにしない。
いや、コウの表情はさっきとうってかわって何やら苛ついているように眉間にしわができている。
「あの女…わざとやったのよ。あたしに仕返しするために。硫酸のビンを、わざとあたしに投げ返したのよ。」
:08/01/29 04:49 :P904i :☆☆☆
#270 []
「それで…お前は火傷を苦に自殺を…?」
女は醜い。
俺はこの後の話で、女がいかに恐ろしい生き物か思い知った。
「あたしは…硫酸をかけられて気付いたの。あたしが麻生にした事がどれだけ最低な事だったのかを…だけど…」
:08/01/29 04:54 :P904i :☆☆☆
#271 []
「だけど?」
コウの眉間に更にしわが寄る。
「硫酸で火傷をしたあたしに、麻生は言った。…あんたは中身だけじゃなく、外見も醜い。あんたは生きてる意味がない…って。」
千春の瞳から
涙が流れた。
:08/01/29 04:57 :P904i :☆☆☆
#272 []
「ひでえ…。」
ひでえよ…なんだよ、その話。
千春が泣き止むまで、
俺は千春にかける言葉がなくただ黙っていた。
《ギィ…》
しばらくの沈黙を破り、
誰かが女子トイレを開ける音がした。
ドアに目を向ける。
「あれ?柏木くんとぉ…神谷くん?何してんの?」
目線の先にいたのは
:08/01/29 05:00 :P904i :☆☆☆
#273 []
「…美和子…」
キョトンとした表情の美和子だった。
「ここ女子トイレだよぉ?何してんのぉ?」
不思議そうに俺たちに近寄る美和子。
「お前…お前だけは…」
美和子を見た瞬間、千春の表情が変わった。
:08/01/29 05:03 :P904i :☆☆☆
#274 []
「千春…?どしたん?」
俺の声もむなしく、千春はまるで美和子しか見えていないかのように美和子に向かって進んでいく。
コウは
親指の爪を噛みながら黙って千春の様子を見ているだけだった。
:08/01/29 05:05 :P904i :☆☆☆
#275 []
「やだぁ…何この人ぉ」
美和子は近づいてくる千春を、まるで汚らわしいといった目で見る。
「あんただけは…」
千春には、もう美和子しか見えていないみたいだ。
血走った目で美和子を見ている。
:08/01/30 03:45 :P904i :☆☆☆
#276 []
「コウ…これヤバイんちゃうか?コウ…?」
どうしたらいいのかわからない俺は助けを求めるようにコウを見た。
コウは苛ついたように親指の爪をガリガリ噛みながら二人の様子をじっと伺っている。
「コウ…、なぁ…」
「志乃くん少し、黙って見ていましょう。」
:08/01/30 03:48 :P904i :☆☆☆
#277 []
コウの言葉の通り、
俺はハラハラしながら二人の様子を伺った。
千春が近付くたびに美和子は一歩ずつ後退りしていく。
ドアまでたどり着いた時、美和子が呆れたように鼻で笑った。
:08/01/30 03:50 :P904i :☆☆☆
#278 []
「あんた、何でも願いを叶えるんじゃないの?あたしの願いはいつ叶えんのよ?つーか近寄るなっての!マジでその顔キモいんだけど?」
バカにしたように美和子は笑いながら言った。
本性がでた。
なかなかえぐいな。
「黙ってないで何とか言ったら?近寄んなって!気味悪い。」
:08/01/30 03:53 :P904i :☆☆☆
#279 []
チラリとコウを見ると、
コウは満足そうに腕を組みながら口角を上げた。
「…美和子…」
俺は遠慮がちに美和子に声をかける。
どうしても気になったからだ。
「お前、何をお願いしたんや?」
:08/01/30 03:56 :P904i :☆☆☆
#280 []
俺の質問に、美和子は一瞬困った表情をした。が、
俺の前でもうブリッコする必要もなくなったのか笑顔で言った。
そう、笑顔で
「柏木くん。あんたの彼女の幸子の顔を、見れないくらいにぐちゃぐちゃにしてって頼んだのよ。」
楽しそうに言った。
:08/01/30 03:59 :P904i :☆☆☆
#281 [蓮]
:08/01/30 10:57 :P904i :WVABJsRM
#282 []
蓮ちゃん
マジっすか
めちゃめちゃ嬉しい
ありがとう
こんなにたくさん小説あるのにあたしの小説が一番なんて!!感動したのでちょっと更新します
:08/01/31 05:15 :P904i :☆☆☆
#283 []
>>280「…なん…や…て?」
俺の拳に力が入るのがわかる。
俺のこめかみに
青筋が入るのがわかる。
「今…何つった…?」
俺の身体全身が怒りで震えるのがわかる。
:08/01/31 05:17 :P904i :☆☆☆
#284 []
幸子を…?
幸子を見れないくらいにぐちゃぐちゃにしてって
頼んだ…だと?
俺の瞳孔が開いていくのがわかる。
俺の腕が
美和子に向かって振り下ろされるのがわかる。
「待ちなさい。」
:08/01/31 05:19 :P904i :☆☆☆
#285 []
怒りで震える俺の腕を掴んだのは
冷静な口調のコウだった。
「怒るのはわかります。が、少し待ちなさい。」
コウの口元がキュッとしまる。
俺は冷静にはいられなかった。
:08/01/31 05:21 :P904i :☆☆☆
#286 []
「こいつが今ゆーた事聞いたか!?幸子に害を与えようとしてんのはこいつやで!?幸子を苦しめる原因はこいつやってんで!!」
俺が怒りでいっぱいの中、美和子は俺を見ながら余裕の表情で笑った。
「だってむかつくもん。美和子より人気者だなんて。美和子の方が可愛いのに」
:08/01/31 05:24 :P904i :☆☆☆
#287 []
「ふざけんな!お前なめてんか!?幸子がお前に何かしたんか!?」
「別に…?ただ、美和子より人気者なのが気に入らないのよ。だから嫌いなの」
笑いながら言う美和子を
コウは俺の腕を掴みながらただ無言で見つめていた。
:08/01/31 05:26 :P904i :☆☆☆
#288 [蓮]
コメント頂けるなんて
すっごく嬉しぃです
いつも夜中の更新で
お体大丈夫ですか
無理せず頑張って下さぃね
:08/01/31 21:39 :P904i :fNZ4ko66
#289 [なあ]
きみを送るから
全部見させてもらいました
漫画にしてほしいです〜(⊃3`)
ほんとおもしろすぎです!!
更新待ってます
:08/01/31 23:47 :821P :JmWPMB8A
#290 []
蓮ちゃん
返事は絶対するよ!
コメントくれたらマジ嬉しいからね
良かったらこれから感想板にコメントくださいませ
なあちゃん
あたしも小説より漫画派やで
小説は難しい!漫画も絵とか書けんけど笑
コメントありがとう
:08/02/01 03:51 :P904i :☆☆☆
#291 []
>>287「コウ、離せや!」
捕まれた腕を振り払おうと俺は力をいれるが、コウは冷静なくせに力が強く振り払えなかった。
「何黙って見てんの?気持ち悪いから。さっさと願い叶えろよ。あんたの役目でしょ?」
美和子が笑いながら言う。
:08/02/01 03:54 :P904i :☆☆☆
#292 []
「…せ………のよ…」
ずっと黙っていた千春が口を開いた。
「はあ?」
美和子は、まだ笑いながら見下すように千春を見ている。
俺は美和子に対する怒りが治まらずに拳に力が入ったままだ。
:08/02/01 03:57 :P904i :☆☆☆
#293 []
「許せないのよ」
千春が美和子をまっすぐ見て強い口調で言った。
「何がだよ?…きやぁ!」
千春が美和子の腕をガシッと掴む。
「何すんだよ!きたねぇんだよ!離せ!!」
ジタバタと美和子が暴れるが、千春は腕を離そうとしなかった。
:08/02/01 04:00 :P904i :☆☆☆
#294 []
「あんたみたいな女…許せないのよ」
千春は美和子をギロリと睨むと、三番目の鏡の前へと足を運んだ。
「おい!離せよ!!」
美和子の腕はまだ
捕まれたままだ。
「離せって!やめろ!やめ………きゃぁああ!!」
:08/02/01 04:02 :P904i :☆☆☆
#295 []
「うっ……!」
美和子の叫び声と共に、三番目の鏡から眩しいほどの光が放たれた。
「な…何が起きたん?」
女子トイレには、
もう美和子の姿も、千春の姿もなかった。
コウは俺の腕から手を離し、満足感と罪悪感が混ざった表情で呟いた。
「連れて行ったんですよ」
:08/02/01 04:06 :P904i :☆☆☆
#296 []
「は?」
「千春さんが、美和子さんをあちらへ、連れて行かれたんですよ」
コウは三番目の鏡を指差した。
俺は鏡に目を向けた。
が、俺のマヌケな顔以外、何も映ってはいなかった。
:08/02/01 04:08 :P904i :☆☆☆
#297 []
「じゃあ…美和子は…」
コウはしかめた顔をしながら鏡を睨めつけ、
「あちらで楽しくしているでしょうね。」
と言った。
連れていかれた…
霊に連れていかれた…?
:08/02/01 23:47 :P904i :☆☆☆
#298 []
俺は恐怖より何より、
不思議だった。
チラリとコウを見る。
このコウが、
いくら性格が歪んでいる美和子とはいえ生身の人間を霊に連れていかれるのを黙って見ていた…?
「コウ?お前なんで…」
:08/02/01 23:50 :P904i :☆☆☆
#299 []
「なぜ、黙って見ていたのか疑問なんでしょう」
横目で俺を見ながら、コウはガリッと爪を噛む。
「これは、二者択一です。美和子さんを助ければ、幸子さんの身が危ない…僕が考えての独断でこちらを選択しました。こうするより他、思い付きませんでした。」
:08/02/01 23:53 :P904i :☆☆☆
#300 []
幸子のためか…。
「しかし、他人を犠牲にするのは少々心が痛みます…この霊の件は恐らく解決しないでしょうね。」
意味深な言葉を呟き、コウは女子トイレを後にした。
:08/02/01 23:57 :P904i :☆☆☆
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