俺とコウの物語
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#267 []
「では千春さん、あなたの口から説明していただきましょうか。」
コウの言葉に、千春は怪しく笑いながらも話し出した。
屋上で硫酸の計画をしているのを麻生に聞かれていたのは本当だったみたいだ。
:08/01/29 04:43 :P904i :☆☆☆
#268 []
「あたしは麻生があの計画を盗み聞きしてたなんて知らなかった。だから計画通り実行したのよ!それで…」
千春は顔を歪ませた。
「あいつ…とっさにあたしに向かってビンを投げ返したの。そのときに負ったのよ、この火傷。」
千春は髪をかきあげ、俺たちに火傷を見せつけた。
:08/01/29 04:46 :P904i :☆☆☆
#269 []
コウは千春の顔を見つめながら微動だにしない。
いや、コウの表情はさっきとうってかわって何やら苛ついているように眉間にしわができている。
「あの女…わざとやったのよ。あたしに仕返しするために。硫酸のビンを、わざとあたしに投げ返したのよ。」
:08/01/29 04:49 :P904i :☆☆☆
#270 []
「それで…お前は火傷を苦に自殺を…?」
女は醜い。
俺はこの後の話で、女がいかに恐ろしい生き物か思い知った。
「あたしは…硫酸をかけられて気付いたの。あたしが麻生にした事がどれだけ最低な事だったのかを…だけど…」
:08/01/29 04:54 :P904i :☆☆☆
#271 []
「だけど?」
コウの眉間に更にしわが寄る。
「硫酸で火傷をしたあたしに、麻生は言った。…あんたは中身だけじゃなく、外見も醜い。あんたは生きてる意味がない…って。」
千春の瞳から
涙が流れた。
:08/01/29 04:57 :P904i :☆☆☆
#272 []
「ひでえ…。」
ひでえよ…なんだよ、その話。
千春が泣き止むまで、
俺は千春にかける言葉がなくただ黙っていた。
《ギィ…》
しばらくの沈黙を破り、
誰かが女子トイレを開ける音がした。
ドアに目を向ける。
「あれ?柏木くんとぉ…神谷くん?何してんの?」
目線の先にいたのは
:08/01/29 05:00 :P904i :☆☆☆
#273 []
「…美和子…」
キョトンとした表情の美和子だった。
「ここ女子トイレだよぉ?何してんのぉ?」
不思議そうに俺たちに近寄る美和子。
「お前…お前だけは…」
美和子を見た瞬間、千春の表情が変わった。
:08/01/29 05:03 :P904i :☆☆☆
#274 []
「千春…?どしたん?」
俺の声もむなしく、千春はまるで美和子しか見えていないかのように美和子に向かって進んでいく。
コウは
親指の爪を噛みながら黙って千春の様子を見ているだけだった。
:08/01/29 05:05 :P904i :☆☆☆
#275 []
「やだぁ…何この人ぉ」
美和子は近づいてくる千春を、まるで汚らわしいといった目で見る。
「あんただけは…」
千春には、もう美和子しか見えていないみたいだ。
血走った目で美和子を見ている。
:08/01/30 03:45 :P904i :☆☆☆
#276 []
「コウ…これヤバイんちゃうか?コウ…?」
どうしたらいいのかわからない俺は助けを求めるようにコウを見た。
コウは苛ついたように親指の爪をガリガリ噛みながら二人の様子をじっと伺っている。
「コウ…、なぁ…」
「志乃くん少し、黙って見ていましょう。」
:08/01/30 03:48 :P904i :☆☆☆
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