俺とコウの物語
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#299 []
「なぜ、黙って見ていたのか疑問なんでしょう」

横目で俺を見ながら、コウはガリッと爪を噛む。

「これは、二者択一です。美和子さんを助ければ、幸子さんの身が危ない…僕が考えての独断でこちらを選択しました。こうするより他、思い付きませんでした。」

⏰:08/02/01 23:53 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#300 []
幸子のためか…。

「しかし、他人を犠牲にするのは少々心が痛みます…この霊の件は恐らく解決しないでしょうね。」

意味深な言葉を呟き、コウは女子トイレを後にした。

⏰:08/02/01 23:57 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#301 []
その後美和子は行方不明ということになっていて、
もちろん発見はされていない。

噂では女子トイレに
麻生(千春)の姿は映らなくなったが、たびたび鏡の中から、女性の

「助けて…」

という声が聞こえてくるそうだ。

未解決なまま、女子トイレの件は終わった。

⏰:08/02/02 00:00 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#302 []
【第七章 右目】

「あちぃ〜…」

うだるような暑さ。
季節は夏。

コウとの悪夢の伊豆旅行から早一年がたとうとしている。

「暑い暑い何度も言わないで下さい。暑いのはわかってます。暑い暑いとそう暑いと何度も言われると余計暑くなります。」

暑い暑いて、こいつも何回ゆーねん!

⏰:08/02/02 04:06 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#303 []
「ときに神谷くん。」

教科書に目を向けるコウを俺は机にへばりついたまま呼んだ。

「なんでしょうか柏木くん。」

横目で嫌そうな顔をしながらコウが答える。

「今年はあの別荘、いかへんのか?」

⏰:08/02/02 04:10 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#304 []
俺の言葉にコウは驚いたように目を真ん丸にし、教科書を閉じた。

「…ほう。」

俺をまじまじと見、ニヤリと意地悪く笑う。

「伊豆に行きたい、と?」

⏰:08/02/02 04:13 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#305 []
「いや、お前とやなくて…」

俺の返答にコウはまたも教科書を開きムスッとした。

「では誰と?」

「さ…」

「幸子さんとですか?」

「当たりっ!頼む!あの別荘貸してくれへん!?俺どーしても…」

「却下します。」

⏰:08/02/02 04:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#306 []
「なんでやねん!!」

「あなたの童貞を捨てるためだけのために、あの貴重な別荘は貸せません。それに、昨年のような被害に合ったらどうするんですか」

「昨年の被害て?」

「忘れたとは言わせませんよ?あなたの髪の毛の事です。」

…忘れさせて。

⏰:08/02/02 04:22 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#307 []
「まぁ…条件をのむならば貸して差し上げないこともありません。」

「条件て…?」

嫌な予感がする。
多分的中するだろう。が、俺はどんな条件でも聞かなければ…。

俺の顔を見て、コウがにっこりと悪魔の微笑みをした。

やはり嫌な予感が的中。

⏰:08/02/02 04:25 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#308 []
 
「お〜!幸子!こっちこっち!」

夏休みに入り、伊豆への旅行の日がやってきた。

「ごめん、待った?」

幸子は真っ白なワンピースに、赤い花がついた麦わら帽子を押さえながら俺たちの元へ走ってきた。

か わ い い !

「いや、余裕!荷物持ったるわ!」

⏰:08/02/02 04:40 📱:P904i 🆔:☆☆☆


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