俺とコウの物語
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#305 []
「いや、お前とやなくて…」

俺の返答にコウはまたも教科書を開きムスッとした。

「では誰と?」

「さ…」

「幸子さんとですか?」

「当たりっ!頼む!あの別荘貸してくれへん!?俺どーしても…」

「却下します。」

⏰:08/02/02 04:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#306 []
「なんでやねん!!」

「あなたの童貞を捨てるためだけのために、あの貴重な別荘は貸せません。それに、昨年のような被害に合ったらどうするんですか」

「昨年の被害て?」

「忘れたとは言わせませんよ?あなたの髪の毛の事です。」

…忘れさせて。

⏰:08/02/02 04:22 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#307 []
「まぁ…条件をのむならば貸して差し上げないこともありません。」

「条件て…?」

嫌な予感がする。
多分的中するだろう。が、俺はどんな条件でも聞かなければ…。

俺の顔を見て、コウがにっこりと悪魔の微笑みをした。

やはり嫌な予感が的中。

⏰:08/02/02 04:25 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#308 []
 
「お〜!幸子!こっちこっち!」

夏休みに入り、伊豆への旅行の日がやってきた。

「ごめん、待った?」

幸子は真っ白なワンピースに、赤い花がついた麦わら帽子を押さえながら俺たちの元へ走ってきた。

か わ い い !

「いや、余裕!荷物持ったるわ!」

⏰:08/02/02 04:40 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#309 []
幸子の手荷物を持ち、俺は改札口へ向かった。

見ぬふりをしよう。
気付かないふりをしよう。さりげなく、さりげなく…

「志乃くん待ちなさい。まだ揃ってませんよ。」

改札口へ向かう俺の腕を掴み、コウがにっこり微笑んだ。

気付かれたか…。

⏰:08/02/02 04:44 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#310 []
「ねぇ、ほんまにあたし大丈夫?初対面やし仲良くなれるんかなぁ…」

小さな声で幸子が言った。

「まぁ、別に無理して仲良くする必要もないで。」

てか、できれば仲良くしないでくれ。

「あ、到着されたようですね。姫菜さん、こちらです。」

…来ちゃったか…。

そう、覚えている方はいるだろうか?
コウの条件とは旅行に姫菜を誘う事、だった。

⏰:08/02/02 04:48 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#311 []
「姫菜さん、今日もお美しいですね」

………………

「姫菜さん、おしるこ飲みます?」

…………………

「姫菜さん、暑くないですか?」

…………………

「姫菜さん、」

「姫菜さん、」

「姫菜さん、」

ええい!!!

⏰:08/02/03 01:17 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#312 []
「やかましいわ!!」

姫菜をうちわで仰いでいたコウが、驚いた表情で俺を見る。

なんでうちわ持ってんねんこいつは。

「なんですか志乃くん大きな声出さないで下さい」

「ベタベタすんなや!暑苦しい!!」

⏰:08/02/03 01:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#313 []
俺とコウが火花を散らしていると、困ったような表情の幸子が、

「電車、きたんちゃう?」

と指差した。

「あ、来ましたね。乗りましょう。志乃くん早く席取ってください」

「俺が!?」

「あなた以外誰が?」

お前じゃ!!

⏰:08/02/03 01:23 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#314 []
やはりいつものようにコウに使われやすい俺は、真っ先に四人用の席を取った。

「志乃くんもやればできるじゃないですか」

棒読みでコウが言い、席に座る。

礼くらい言わんかい!

⏰:08/02/04 03:20 📱:P904i 🆔:☆☆☆


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