俺とコウの物語
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#62 []
現にコウの鼻からいびきらしき音が一定のリズムで繰り出されている。
真面目な顔で目をキラキラさせながらいびきをかくもんやから恐ろしく不気味だ。こいつを今日から
不気味ちゃんと名付ける。

まぁコウが不気味なのは今に始まったことじゃないが。

⏰:07/08/12 02:56 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#63 []
俺がそうこう頭の中で考えを巡らせながら
ふと先生の机の上に目を向けた。

「あっ…先生その本…」

「ん?ああ、これか。小笠原が授業中にずっと読んでたからな、取り上げたわ」

まさしくそれは…

「気になる相手を振り向かせる願掛け人形の作り方。こんな馬鹿げた本よく読むわな〜」

⏰:07/08/12 02:59 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#64 []
「せっ…先生!!その本俺に貸して下さい!!」

「え……?」

「お願いします!!一生のお願いです!!!」

俺はよほど必死な形相をしていただろう。
先生はまるで不審者を見る目付きで俺を見つめた。

「お前…この本を借りるために一生の願いを使い果たしてえーんか…それでえーんか…?」

⏰:07/08/12 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#65 []
「いいんです!お願いします!!!」

俺は目の前にあの本があるという興奮状態で土下座をする勢いだった。

「わかったわかった!ほら、貸したるからもう教室戻れ」

先生は恐る恐る本を差し出し俺達を職員室から追い出した。

⏰:07/08/12 03:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#66 []
「は〜よく寝ました」

職員室を出るなり
コウが大きく伸びをしながら言った。

やっぱり寝てたんかい!

「おや…?志乃くんその本……」

「先生が持っててん」

「なぜ」

「百合江から取り上げたんやってさ」

「………ほう」

⏰:07/08/12 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#67 []
俺はさっそくコウを救うべく本をパラパラ開いた。

「……………何これ」

「どうかされましたか?」

「これ………」

俺は唖然としながら
コウにあるページを指して見せた。

「あぁ、そうですよ」

⏰:07/08/12 03:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#68 []
しれっとしながらコウが言った。

そのページには

【この人形はあくまでも気休めなので相手に害を与える事は不可能です。前ページに゛苦しめる事も可能です゛と書かれていますが冗談です☆しかし信じるものは救われる。相手を振り向かせたいと願い、信じれば叶うかもしれませんね☆】

⏰:07/08/12 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#69 []
「…これは一体……」

「ですから、冗談です」

「って事は………」

「たかが人形ですし苦しめるなんて不可能だと誰でもわかる事でしょう?」

馬鹿にしたようにコウは笑いながら俺に背を向け歩き出した。

「………………」

⏰:07/08/12 03:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#70 []
「お前…知ってたんか…」

「はい。一度目を通しましたから」

「興味ないから読んでへんゆーてたやん!」

「それは冗談ですよ」

冗談つーかただの嘘やん!

「ほんならなんで言わんかってん!」

⏰:07/08/12 03:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#71 []
「志乃くんが僕のためにどれだけ必死になるか見たかったので。それにしても」

コウは俺に振り返りニヤッと笑った。

「あなたは本当に僕の事が大好きなんですね」

「………コウ……」

「なんですか?」

《バキッ!!!》

その後先生の鞄に願掛け人形がついていた事は言うまでもない。

「これ生徒の間で流行ってるみたいなんですよ」

⏰:07/08/12 03:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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