俺とコウの物語

「へぇ～だからなんや？」

「謝って下さい」

「…はぁ？」

「謝って下さい」

こいつ今さっき俺に言った台詞またゆーとる！！

「なんでお前に謝らなアカンねん！い・や・じゃ」

「…相変わらずあなたは僕をいらつかせますね」

「まぁな！俺様は他人をイラつかせるのがお得意なもんで！！」

コウの従兄弟、カイは腕を組み、得意げにエヘンと喉を鳴らしてみせた。

…なんだこいつ。
さすがはコウの従兄弟…
顔も似てれば性格も異常なところがそっくりだ。

「あなたは随分な特技があるみたいですね感心しました」

それ感心するよーな事ちゃうやろ！！

「しかし残念ながらこちらにいる柏木志乃という方はあなたよりもさらに上手ですよ」

コウは俺を指し、ニッコリ(ニヤリ？)と笑った。

「は…？上手って…」

それって…つまり…

「他人をイラつかせるのはあなたの特技でしょう？」

はーーー！？

「はぁ！？」

俺が怒りで口を開く前に
カイが俺に向かい怒った表情で近付いてきた。

「お前と俺と、どっちが他人を多くイラつかせるか、勝負や！」

俺を頭のてっぺんから足のつま先までなめ回すように見ながらカイが言った。

てかどーでもいいし！

「いや、下らんし遠慮しときますわ」

カイというコウにそっくりな男は、俺の言葉にいらついたように舌打ちをし、

「俺の負けや」

と言って去っていった。

どうやら俺はカイをいらつかせてしまったようだ。

「やはりあなたの勝ちですね。あなたは人をいらつかせるのだけはピカ１です」

「…お前が一番やと」

「はい？」

「お前が一番人をいらつかせるのがうまいと」

「はい？」

コウは俺の言葉をわざと遮る。

俺はコウこそこの世の全人類をいらつかせるのがうまいナンバーワンだと確信した。

「てかお前の従兄弟お前そっくりやな」

「はい…もともと僕達の母親が双子ですから」

へえ～

「そうなん…」

「柏木くん！！！」

俺の言葉をまたもや遮ったのは

「…紀香？どしたん？」

同じクラスの紀香だった

「お願い…助けて…」

【第四章　女子トイレ】

「助けてって…何を？」

紀香はよほど慌てて来たのか、肩で息をしながら言った。

「柏木くんって、霊が見えるんよな！？」

「…は？」

まぁ、見えるけど…

「お願いだから、あたし達を助けて！」

あ　た　し…　達　？

「霊がどうかされましたか？」

困惑する俺をよそに
コウは目を輝かせながら紀香を見つめた。

やばい。
このパターンはやばい。

俺は嫌な予感がした。

まぁ、その予感は的中するのだが。

「実はね…」