俺とコウの物語
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#134 []
「あ、柏木くん…」
俺に気付いた途端、美和子は顔を赤らめ照れたようにみせた。
俺は騙されない。
これこそが美和子のテクなのだ。
おおかた俺にテクを見せるのは、学年一アイドル的な俺の彼女、幸子に敵意をもってだろう。
俺は騙されんぞ。
:07/09/27 03:41 :SH901iS :☆☆☆
#135 []
「志乃!あんた幸子がおるってのになんやねん!痴漢が趣味なん!?」
急に声を張り上げたのは
幸子と仲の良い、香苗だった。
「ちゃうて!俺はさっき紀香から……」
「紀香?紀香がなによ?」
いけね。紀香の話はさすがに美和子の前ではタブーやんな。
:07/09/27 03:46 :SH901iS :☆☆☆
#136 []
「紀香がどーしてん?」
冷静に口を開いたのは、同じクラスの恵真だった。
恵真は俺も尊敬している、いわば神!
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。そのうえクールだが性格もかなりいいと幸子から聞いている。
完璧なやつだ。
「いや…その……」
:07/09/27 03:50 :SH901iS :☆☆☆
#137 []
苦虫を潰したような歯切れの悪い俺を見かねたのか、コウはため息をついた。
「あなた方は、最近噂になっている麻生さんの話をご存知ですか?」
コウの言葉に、香苗と恵真は表情が暗くなった。
:07/09/27 03:53 :SH901iS :☆☆☆
#138 []
「なにそれ〜?」
美和子がキョトンとした顔でコウを見る。
「…あなたは誰ですか」
「美和子だよ!一緒のクラスじゃん!!」
「そうでしたっけ」
コウは美和子に興味なさげに女子トイレ内を見回した。
:07/09/29 02:55 :SH901iS :☆☆☆
#139 []
「三番目の鏡…あぁ、これですね」
コウは何の躊躇もなしに女子トイレに入っていき、三番目の鏡の前に立った。
なんか嫌な予感がする
「コウちょっと待…」
「麻生さん、お願いを聞いてください」
:07/09/29 02:59 :SH901iS :☆☆☆
#140 []
言っちゃった…。
言っちゃったよこの人。
「麻生さんお願いを聞いてください」
「…………」
「麻生さん」
「…………」
しばらく鏡とにらめっこをしていたコウだが、何の反応もなく苛立ったように舌打ちをし、俺に振り返った。
:07/09/29 03:01 :SH901iS :☆☆☆
#141 []
「何もありません。見たところただの鏡です」
半ば残念そうな表情のコウに対し、香苗と恵真は暗い表情のままだ。
「麻生さん…って何〜?」
美和子がトロい口調で言った。
「それよりあなたが誰なんですか」
:07/09/29 03:06 :SH901iS :☆☆☆
#142 []
「だから美和子!何回言えばわかんだよ〜」
何時も同じ問い掛けをするコウに、美和子は若干いらついた口調になった。
お。本性でるか?
「何回聞いてもわかりません。あなたは一体」
「…あなたが美和子…」
コウの言葉を遮ったのは、香苗でも恵真でもない
冷たく暗い声だった。
:07/09/29 03:09 :SH901iS :☆☆☆
#143 []
声の主を見た香苗と恵真は口を開いたまま、言葉にならない声を発し、ガタガタと奮え出した。
まさか本当に…
「麻生さん…?」
声の主は
三番目の鏡の近くにいたコウのすぐ後ろで
長い黒髪のすき間から目だけを覗かせ美和子を見ていた。
:07/09/29 03:13 :SH901iS :☆☆☆
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