俺とコウの物語
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#141 []
「何もありません。見たところただの鏡です」

半ば残念そうな表情のコウに対し、香苗と恵真は暗い表情のままだ。

「麻生さん…って何〜?」

美和子がトロい口調で言った。

「それよりあなたが誰なんですか」

⏰:07/09/29 03:06 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#142 []
「だから美和子!何回言えばわかんだよ〜」

何時も同じ問い掛けをするコウに、美和子は若干いらついた口調になった。

お。本性でるか?

「何回聞いてもわかりません。あなたは一体」

「…あなたが美和子…」

コウの言葉を遮ったのは、香苗でも恵真でもない
冷たく暗い声だった。

⏰:07/09/29 03:09 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#143 []
声の主を見た香苗と恵真は口を開いたまま、言葉にならない声を発し、ガタガタと奮え出した。

まさか本当に…

「麻生さん…?」

声の主は
三番目の鏡の近くにいたコウのすぐ後ろで
長い黒髪のすき間から目だけを覗かせ美和子を見ていた。

⏰:07/09/29 03:13 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#144 []
なんだこいつは。

「…ほう。これはまた厄介な…」

振り返り後ろの女を見つめたコウがため息まじりに呟いた。

「…これ…結構やばないか…?」

今までにみたことないほどのやばい霊だ。

多分、間違いない。

俺の額から嫌な汗が流れる。

⏰:07/09/29 03:18 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#145 []
「美和子…あなたが…」

ボソッと呟くように
髪の長い女はゆっくりと美和子に近づいて行く。

紀香が何をお願いしたのかはわからないが、相当嫌な予感がする。

俺は足が震えて動かなかった。

⏰:07/09/30 03:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#146 []
香苗も恵真も怯えているだろう、ガタガタと震えたまま微動だにしない。

当然か。

美和子は不思議そうな顔で近づいてくる女を見ている。

どうしたらいい?

俺はどうしたら…

「待って下さい」

⏰:07/09/30 03:23 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#147 []
誰一人口も開かず
動けない中で唯一口を開いたのはやはり

「ちょっと待ちなさい」

コウだった。

コウの声に、髪の長い女は足を止め、ゆっくりコウに振り返る。

⏰:07/09/30 03:26 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#148 []
「あなたが麻生さんですか」

冷静に問う。

「…………」

女はコウを見たまま口を開かずに立ち止まっている。

「あなたが麻生さんですか」

「…………」

⏰:07/09/30 03:28 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#149 []
「答えなさい。あなたが麻生さんですか」

何も答えようとしない女に苛立ったのか、コウは眉間にしわを寄せた。

「僕が質問しているんです。早く答えなさい」

でたー

この世は僕中心に回ってるんですよ発言!

⏰:07/09/30 03:30 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#150 []
「…なんで男子がいるの」

「はい?」

「なんで男子が女子トイレにいるのよ」

女は長い髪の間から覗かせた目をコウに向けて言った。

「ここは女子トイレでしょう?」

おっしゃるとおりです。

⏰:07/09/30 03:41 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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