俺とコウの物語
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#246 []
「コウ…?どうかしたんか?」

話を続けていた麻生も、
コウの表情の変化に気付き口を止めた。

「…コウ?何笑ってん?」

不思議な表情の俺と麻生をよそにコウはいつもの自信たっぷりな表情で口の端をつりあげた。

「いえ、僕のことは気にせず続けて下さい。」

⏰:08/01/26 05:03 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#247 []
コウを気にしつつも、
ゆっくりと麻生は続きを話し出した。

小さないじめから
徐々にエスカレートしていった。

まるでドラマの内容だ。

制服が切り刻まれていたり

一番応えたのは
登校した時、複数のハムスターの死骸が机の中に入っていたという。

「…ひでぇ…。」

⏰:08/01/26 05:13 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#248 []
さすがに我慢できなかった麻生は、ある日千春逹がたまっている屋上へと向かった。

千春逹の姿を発見した麻生はゆっくり近づいていく。

声をかけようとしたその時、千春の一言で麻生は立ち止まった。

⏰:08/01/26 05:15 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#249 []
《マジむかつく。あいつの自慢の顔に傷でもつけなきゃおさまらない。もう考えはあるんだ。》

麻生は千春逹に気付かれないよう隠れ、じっと話を聞いた。

《これ!科学室から盗んだの。これを麻生の顔に少しぶっかけんだよ!もうチョーシのれねー顔になるっしょ!》

千春の手には

硫酸と書かれたビンが握られていた。

⏰:08/01/26 05:19 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#250 []
「…まさか…それでその火傷…」

俺は女の嫉妬がこれほどまでに醜いものなのか、と驚きを隠せなかった。

麻生は火傷を隠すように右頬を手で覆いながら頷いた。

「それで硫酸を…でも事前にわかってたなら防げたんちゃうんか?」

⏰:08/01/26 05:21 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#251 []
俺の問いに麻生は首を振った。

「いつ実行されるかなんてわからないもの。やられるって気付いた時にはもう…遅かった…」

麻生は顔を覆い俯いた。

「質問なのですが。」

黙っていたコウが口を開く。

⏰:08/01/26 05:23 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#252 []
「硫酸をかけられ火傷し、あなたは自殺をしたんですか?」

コウの問いに麻生は俯いたまま頷く。

「それでその千春さんはどうなったのですか?」

「…わからない。」

「と、言いますと?」

⏰:08/01/26 05:25 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#253 []
「千春がどうなったのかなんて知らない!」

コウの口の端が
またつりあがる。

「なぜわからないのですか?あなたは千春さんを一番に恨んでいるはずでしょう?」

「…恨んでるけど…」

⏰:08/01/26 05:27 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#254 []
「けど、なんですか?」

「…あたしが死んでから気付いた時にはもうここにいたんだよ!だから千春がどうなったのかなんて知らねーよ!」

ヒステリック気味に麻生がコウに怒鳴りつけた。

「おや?話し方が千春さんに戻ってますよ?」

⏰:08/01/26 05:35 📱:P904i 🆔:☆☆☆


#255 []
 
…………え?

「今、なんて?」

「話し方が戻ってますよ。千春さん。」

…千春?

戻ってる?

「どーゆー意味…?」

話が全く理解できていない俺をコウはチラッと見、またもや意地悪く笑った。

「彼女は麻生さんではなく、千春さんです。」

⏰:08/01/26 05:38 📱:P904i 🆔:☆☆☆


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