俺とコウの物語
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#291 []
>>287「コウ、離せや!」
捕まれた腕を振り払おうと俺は力をいれるが、コウは冷静なくせに力が強く振り払えなかった。
「何黙って見てんの?気持ち悪いから。さっさと願い叶えろよ。あんたの役目でしょ?」
美和子が笑いながら言う。
:08/02/01 03:54 :P904i :☆☆☆
#292 []
「…せ………のよ…」
ずっと黙っていた千春が口を開いた。
「はあ?」
美和子は、まだ笑いながら見下すように千春を見ている。
俺は美和子に対する怒りが治まらずに拳に力が入ったままだ。
:08/02/01 03:57 :P904i :☆☆☆
#293 []
「許せないのよ」
千春が美和子をまっすぐ見て強い口調で言った。
「何がだよ?…きやぁ!」
千春が美和子の腕をガシッと掴む。
「何すんだよ!きたねぇんだよ!離せ!!」
ジタバタと美和子が暴れるが、千春は腕を離そうとしなかった。
:08/02/01 04:00 :P904i :☆☆☆
#294 []
「あんたみたいな女…許せないのよ」
千春は美和子をギロリと睨むと、三番目の鏡の前へと足を運んだ。
「おい!離せよ!!」
美和子の腕はまだ
捕まれたままだ。
「離せって!やめろ!やめ………きゃぁああ!!」
:08/02/01 04:02 :P904i :☆☆☆
#295 []
「うっ……!」
美和子の叫び声と共に、三番目の鏡から眩しいほどの光が放たれた。
「な…何が起きたん?」
女子トイレには、
もう美和子の姿も、千春の姿もなかった。
コウは俺の腕から手を離し、満足感と罪悪感が混ざった表情で呟いた。
「連れて行ったんですよ」
:08/02/01 04:06 :P904i :☆☆☆
#296 []
「は?」
「千春さんが、美和子さんをあちらへ、連れて行かれたんですよ」
コウは三番目の鏡を指差した。
俺は鏡に目を向けた。
が、俺のマヌケな顔以外、何も映ってはいなかった。
:08/02/01 04:08 :P904i :☆☆☆
#297 []
「じゃあ…美和子は…」
コウはしかめた顔をしながら鏡を睨めつけ、
「あちらで楽しくしているでしょうね。」
と言った。
連れていかれた…
霊に連れていかれた…?
:08/02/01 23:47 :P904i :☆☆☆
#298 []
俺は恐怖より何より、
不思議だった。
チラリとコウを見る。
このコウが、
いくら性格が歪んでいる美和子とはいえ生身の人間を霊に連れていかれるのを黙って見ていた…?
「コウ?お前なんで…」
:08/02/01 23:50 :P904i :☆☆☆
#299 []
「なぜ、黙って見ていたのか疑問なんでしょう」
横目で俺を見ながら、コウはガリッと爪を噛む。
「これは、二者択一です。美和子さんを助ければ、幸子さんの身が危ない…僕が考えての独断でこちらを選択しました。こうするより他、思い付きませんでした。」
:08/02/01 23:53 :P904i :☆☆☆
#300 []
幸子のためか…。
「しかし、他人を犠牲にするのは少々心が痛みます…この霊の件は恐らく解決しないでしょうね。」
意味深な言葉を呟き、コウは女子トイレを後にした。
:08/02/01 23:57 :P904i :☆☆☆
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