俺とコウの物語

>>325

まずい。
このままでは毎回同じパターンで
俺は泣く泣くコウと同じ部屋になってしまう。

いかんいかん。
なんとかしなければ。

俺の脳内で思考を練っているうちにコウはさっさと俺の荷物を運んでいる。

「コウ！ちょ…待てよ」

俺がキムタクに勝った瞬間だった。

「なんですか」

ため息まじりにコウが振り返る。

「やっぱりお前、姫菜と同じ部屋になれ。姫菜もそれがいいってよ」

コウにしか聞こえないように耳打ちした。

「…本当ですか？」

うそです。

「マジで」

「そうですか…女性の頼みには僕も首を縦にふるしかないですね。いいでしょう、姫菜さんと僕が同室、ということで。」

不適な笑みをちらつかせながらコウが言った。

姫菜には悪い気もするが、勘弁してくれ。

これで俺はようやく幸子と…………ん？

俺の荷物と幸子の荷物が、コウの手により別々の部屋に移動されている。

「コウ？気のせいか俺の荷物と幸子の荷物が別の部屋に移動されてんねやけど」

「気のせいではありませんよ。別々の部屋です」

はい？

「僕と姫菜さんが同室になるからといって、あなた方を同室にするとは一言も言ってませんよ」

なんやとー！？

まぁ、夜中幸子の部屋に行けば問題ないか。

「おう、じゃあ俺と幸子は１人ずつってことで」

俺の言葉にコウは疑わしげな目で俺を見たが、気付かないふりをして俺は部屋に入った。

しばらく部屋に１人で寝転がっていると、コウがご飯できましたよ、とドア越しに言った。

リビングへ行くと
それはそれは豪勢な

「…ピザ？」

ピザが数枚届いていた。

「今日はピザで我慢して下さい。まぁ、せっかくですので飲みましょう」

こいつはほんまに酒大好きやな…。

コウの一言で、意外とお酒大好きな幸子がノリノリに乾杯をした。

かーわーいーいー！

コウと幸子に促され、俺は飲んで飲んで

飲みすぎた。

　
「きゃああああ！！」

時刻は夜中２時。

幸子の悲鳴で俺は目が覚めた。

「幸子！？」

起き抜けでこれほど身体が反応したことはない。

俺は幸子の部屋のドアを勢いよく開けた。

「幸子！！どしたん！？」