俺とコウの物語
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#384 []
「何言ってんだお前。きもちわりぃ」
男は物凄く嫌悪感をむき出しにした表情で言った。
コウ、悪いが俺もその発言きもち悪いと思ったぜ。
「では、ギブスを外して見せなさい。あなたの腕を。木陰は日差しに遮られ、あなたの思う暗闇になる。あなたの腕をさらけ出せば、彼の元から消えるでしょう」
:08/04/22 02:20 :P904i :☆☆☆
#385 []
あいつ何言ってんだ?
とうとう頭がおかしくなったか?
彼の元…?
…あぁ…それにしてもさっきからやけに寒気がする。
足元が冷えるな…
足元…足も………
「うわぁぁぁあ!!!」
:08/04/22 02:22 :P904i :☆☆☆
#386 []
「…志乃くん…今さらやっと気がついたんですか、やはりあなたはバカですね」
コウがこちらを見ながら呆れたように言った。
「お…お前いつから俺に気付いて…ってか、この腕なんやねん!!」
俺の足には、がっしりと肘から下の腕だけがくっついていた。
:08/04/22 02:30 :P904i :☆☆☆
#387 []
「ずっと気付いてましたよ。その腕は、こちらの方の腕ですので気にしないで下さい。」
気にするっちゅーねん!
俺は足をバタバタさせたが、腕は頑固して離れない。
「正志くん。離してあげなさい。」
ため息がてらコウが男に言った。
:08/04/22 03:22 :P904i :☆☆☆
#388 []
「だから俺関係ないから。マジ意味わかんねー」
正志らしき男はフイとそっぽを向いて答えた。
「正志くん、いい加減にしないと僕、怒ることになりますよ。」
コウが親指を口元に当てた。
:08/04/22 03:23 :P904i :☆☆☆
#389 []
爪を噛むのだろう。
コウはイラついた時は爪を噛む。
コウが口を開けたその瞬間、
俺の足元から腕が消えた。
「…ふん……神谷、お前相変わらずだな。」
正志が口角を上げて言った。
:08/04/22 03:25 :P904i :☆☆☆
#390 []
「それはお互いさまですよ。」
俺の足元を確認した後、コウも口角を釣り上げた。
「わりぃな。ささやかな歓迎だ。」
正志はギブスをしていない方の腕をあげる。
「歓迎にしては度がすぎています。」
正志の腕をガシッと掴みながらコウが言った。
二人はお互いニッコリと笑い、まるで俺の存在を
忘れているかのように。
:08/04/22 03:29 :P904i :☆☆☆
#391 []
【第九章 親友】
俺は
コウは俺だけしか
友達がいないと思っていた
だから俺がいないと
俺が一緒にいてやらないとって
でも
本当は俺の方が
コウを必要としていた―
:08/04/22 03:32 :P904i :☆☆☆
#392 []
俺は、ただ二人の再会を眺めているだけだった。
コウと正志は久しぶりの再会を、とてもとても嬉しそうに笑いあっていた。
以前、コウが俺に言ったセリフ。
【僕は友達と呼べる方はいませんでしたから】
あれは
嘘だったのか―?
:08/04/22 03:35 :P904i :☆☆☆
#393 []
「…―乃くん?…志乃くん!」
コウに肩を掴まれハッとする。
「何ぼけーっとしてるんですか」
笑いながらコウが言った。
俺が見たことのないような無邪気で優しい笑みをして。
「…や、何でもない」
なぜだか俺は
すごく悲しくなった。
:08/04/22 03:37 :P904i :☆☆☆
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