俺とコウの物語
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#64 []
「せっ…先生!!その本俺に貸して下さい!!」

「え……?」

「お願いします!!一生のお願いです!!!」

俺はよほど必死な形相をしていただろう。
先生はまるで不審者を見る目付きで俺を見つめた。

「お前…この本を借りるために一生の願いを使い果たしてえーんか…それでえーんか…?」

⏰:07/08/12 03:04 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#65 []
「いいんです!お願いします!!!」

俺は目の前にあの本があるという興奮状態で土下座をする勢いだった。

「わかったわかった!ほら、貸したるからもう教室戻れ」

先生は恐る恐る本を差し出し俺達を職員室から追い出した。

⏰:07/08/12 03:07 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#66 []
「は〜よく寝ました」

職員室を出るなり
コウが大きく伸びをしながら言った。

やっぱり寝てたんかい!

「おや…?志乃くんその本……」

「先生が持っててん」

「なぜ」

「百合江から取り上げたんやってさ」

「………ほう」

⏰:07/08/12 03:08 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#67 []
俺はさっそくコウを救うべく本をパラパラ開いた。

「……………何これ」

「どうかされましたか?」

「これ………」

俺は唖然としながら
コウにあるページを指して見せた。

「あぁ、そうですよ」

⏰:07/08/12 03:10 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#68 []
しれっとしながらコウが言った。

そのページには

【この人形はあくまでも気休めなので相手に害を与える事は不可能です。前ページに゛苦しめる事も可能です゛と書かれていますが冗談です☆しかし信じるものは救われる。相手を振り向かせたいと願い、信じれば叶うかもしれませんね☆】

⏰:07/08/12 03:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#69 []
「…これは一体……」

「ですから、冗談です」

「って事は………」

「たかが人形ですし苦しめるなんて不可能だと誰でもわかる事でしょう?」

馬鹿にしたようにコウは笑いながら俺に背を向け歩き出した。

「………………」

⏰:07/08/12 03:16 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#70 []
「お前…知ってたんか…」

「はい。一度目を通しましたから」

「興味ないから読んでへんゆーてたやん!」

「それは冗談ですよ」

冗談つーかただの嘘やん!

「ほんならなんで言わんかってん!」

⏰:07/08/12 03:17 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#71 []
「志乃くんが僕のためにどれだけ必死になるか見たかったので。それにしても」

コウは俺に振り返りニヤッと笑った。

「あなたは本当に僕の事が大好きなんですね」

「………コウ……」

「なんですか?」

《バキッ!!!》

その後先生の鞄に願掛け人形がついていた事は言うまでもない。

「これ生徒の間で流行ってるみたいなんですよ」

⏰:07/08/12 03:20 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#72 []
【第三章 カイ】

「あ〜だり〜」

季節は梅雨。
こう雨ばっかじゃやる気もでないよな。

「志乃くんの生気のない顔を見てると嫌な気分になります」

「だってこうもジメジメしてると…って何やて!?」

「嫌な気分になります」

《バキッ!!》

⏰:07/08/14 14:12 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


#73 []
朝っぱらから
俺とコウが教室でギャーギャー言い合っていると
廊下で女子グループと話していた幸子が遠慮がちに近づいてきた。

「よぉ幸子!」

「ねぇ…ちょっと神谷くんに聞きたい事あるんやけど……」

「なんですか?」

幸子の顔が少し曇っているような…一体なんや?

⏰:07/08/14 14:14 📱:SH901iS 🆔:☆☆☆


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