黒蝶・蜜乙女
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#590 [向日葵]
ターヤ「これだけの毒牙を食らえば、いくら黒蝶族の長の息子と言えど何も助けが無い今、悶え死ぬだけなんだよ……。」
蜜「っっ?!」
セツナ「お前……こんなことをしてどうする……。」
先生は実に愉快そうに声を上げて笑った。
ターヤ「僕達にとって君達の存在は邪魔すぎる。明日、夕刻に僕達が結婚すれば君達に大きな屈辱を味あわせる事になると思ってね?」
セツナ「そんなの簡単に……」
ターヤ「出来ると思うかいセツナ。君達黒蝶族は僕達から目を離しすぎた。」
:07/07/28 22:44 :SO903i :EACVsMYQ
#591 [向日葵]
先生が私をより抱き寄せるからセツナは歯を食いしばって先生を睨みつける。
そんなのも先生は涼しい顔で受け流す。
ターヤ「君達が思ってる以上に僕達は力を付けたんだよ。」
途端に細く白い何かが何重にも私と先生の周りを包む。
それが少しして蜘蛛の糸だと分かった。
ターヤ「助けに来るといいよ。まぁ……来れたらの話だけどね……。」
セツナは必死に外套軍団を振りほどいて私に手を伸ばす。
:07/07/28 22:54 :SO903i :EACVsMYQ
#592 [向日葵]
セツナ「蜜!!」
蜜「セツナァ!!」
私も手を伸ばしたけど、白い空間に閉じ込められてしまった……。
―――――――……
セツナは蜜がいなくなった後を唖然として見つめていたが、沸々と怒りが込み上げて来て、玄関の壁を殴りつける。
ガァンッ!!
壁紙がバラバラと床に落ち、壁は拳型にへこんだ。
『俺のせいだ…っ!油断していた……。既に仕掛けをしていたとは……っ!!』
:07/07/28 22:58 :SO903i :EACVsMYQ
#593 [向日葵]
セツナ「ルキ。近くにいるんだろ……。」
落ち着きをはらった声は少し震えていた。
部屋の陰からルキが姿を現す。
セツナ「お前の知恵か。」
ルキ「知りませんわ。何を勘違いなさって?」
セツナの目が鋭くなり、手が伸びたかと思えばルキの首を絞めていた。
ルキ「うっ……。セ、ツナ……。」
セツナ「お前……いい加減にしろよ…。遂にこの俺の逆鱗に触れてくれたな……。」
:07/07/28 23:04 :SO903i :EACVsMYQ
#594 [向日葵]
ルキは苦しそうにセツナの手を握る。
セツナは首を絞めながらルキを持ち上げると、ルキを床に叩きつけた。
ルキ「きゃぁあっ!!」
セツナはルキを冷たく見下ろす。
セツナ「蜜を助けに行く。弁解のチャンスをやろう。もちろんお前も手伝うなぁ?」
黒蝶族の中でもルキはそれなりの力があると共に、蜘蛛族はルキには手だし出来ない為有利だとセツナは考えた。
ルキ「何故……私があんな娘を……」
ゴスッ!!
:07/07/28 23:09 :SO903i :EACVsMYQ
#595 [向日葵]
ルキの顔のすぐ横にセツナは拳を振り下ろした。
またしてもそこにはへこみが生じる。
セツナ「ここで殺されたいか…。それとも愛しい俺の役に立つか…。どうする……。」
どうすると聞いているが明らかに言外で後者を選べと言っている。
ルキは有無を言えずセツナに従うしかなかった。
ルキ「役に……立ちます……。」
セツナ「裏切ったら次は無いと思え…。いいな。」
ルキの目からは涙が落ちる。それに目もくれず、セツナは言葉を発する。
:07/07/28 23:13 :SO903i :EACVsMYQ
#596 [向日葵]
セツナ「早急に帰り、作戦を企てるぞ。」
―――――
――――――……
着けば目の前には赤い絨毯が引かれた正にお城の中にいた。
ターヤ先生は乱暴にどこかの部屋へ連れて行く。
連れて行かれた先に何人ものメイド姿の人達がいた。
ターヤ「隅々まで綺麗にしてやってくれ。」
メイド「かしこまりました。」
蜜「え……。何……っ。」
ターヤ「只の湯殿だよ。心配しなくていい。」
:07/07/28 23:18 :SO903i :EACVsMYQ
#597 [向日葵]
そう言って先生は部屋を出て行った。
メイド「ささ。お着物を脱いで下さいませ。」
蜜「え?!ちょ、ちょっといやぁぁぁ!!」
・・・・・・・・・・・・
コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。
ターヤ「蜜乙女よ。入るよ。」
カチャ
私はお風呂が終ると真っ黒なドレスに身を包まれた。
ターヤ「ほぉ…。黒髪に黒いドレス。中々だよ。」
そう言いながら私の腕を引っ張る。
:07/07/28 23:24 :SO903i :EACVsMYQ
#598 [向日葵]
蜜「や、やだ!もう何なんですかぁっ!!どうして……!」
先生は足を止め、私に向き直った。
口許は薄く笑みを浮かべている。
ターヤ「君を気に入ったからだよ。稀なる蜜乙女。」
……違う。
それは……。
蜜「……それは、蜜乙女としてじゃないですか。」
頭にセツナの姿がよぎる。
蜜「セツナは違う!セツナは私を一人の人間として好きになって、大切にしてくれてました!」
:07/07/28 23:29 :SO903i :EACVsMYQ
#599 [向日葵]
そこで初めて先生の表情が消えた。
蜜「先生とは違う…。例え先生が私を好きになっても私は……キャアッ!!」
先生が私を肩に担いだ。
私は必死にもがく。
蜜「何をするんですか!!離して下さい!!」
ターヤ「お喋りな女の子は嫌いだよ。少し黙ったら?」
私はその時感じた。
笑みがあるその声の中に、冷たい感情が入ってる事を……。
先生は悠々と広い階段を上って行く。私の視界は赤いフカフカな絨毯のみだ。
:07/07/28 23:33 :SO903i :EACVsMYQ
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