黒蝶・蜜乙女
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#1 [向日葵]
未熟者向日葵です
図太いながら4作目を書かせて頂きます
良ければ見てください
尚、荒らしはお引き取り願います

感想板はこちらになります

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⏰:07/07/08 01:47 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#2 [向日葵]
ひらひらと舞う蝶達の中で、一際目を低くその漆黒の羽。

闇を表すその黒こそが見目麗しく、誰もが敬意をはらいたくなってしまうものなのだ。

そんな蝶達が求めるは、どれよりも美しく咲き誇った花の蜜……。

⏰:07/07/08 01:51 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#3 [向日葵]
――――――――

小さな頃

夏だったと思われる季節に雲の巣にかかった1匹の蝶を見つけた。

お母さんに助けてと言ったが、仕方ないと言ってその場を離れてしまった。

私はどうしても離れることが出来なくて、体を傷付けないよう助けてあげた。

救われた蝶は解放された喜びに羽を大いに羽ばたかせ、青空へと旅立って行った。

その羽の色は、澄み渡る青とは似合わない、夜のような黒だった……。

⏰:07/07/08 01:55 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#4 [向日葵]
―――――――

あれから10年。

「蜜ー。」

私は本山 蜜(もとやま みつ)。高1。
平凡を愛して10数年。

容姿普通。成績普通。やる気それなりのそこら辺にいる女子高生。

蜜「何、清。」

この子は西堂 清(さいとう きよ)。私の友達。

清「先生がプリント提出しれって。」

蜜「あ、そうだった。」

⏰:07/07/08 02:01 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#5 [向日葵]
私は普通の日常を送る。

変化があることは大方避けたい。
面倒事に巻き込まれることはとりあえず御免したい。

それなのに奴は……。

清「ねぇアンタセツナ先輩と中いいよねぇ。」

蜜「馬鹿言わないで!!なんであんな……っ!」


そうセツナ…。奴こそ私から日常を奪い、非日常をプレゼントしてくれた奴だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

事を返せば2週間前。

⏰:07/07/08 02:08 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#6 [向日葵]
蜜「ったく……なんで屋上まで…。」

同じ班の人が掃除中ふざけていたせいで早朝朝掃除。しかも私は一番上である屋上を1人で掃除しなければいけなかった。

蜜「先生も先生だ。罰ならふざけてた人達だけにやらせなさいよ。」

階段を上がりながらブツクサ呟いた。

そして空気抜けの為、入っては行けない屋上の戸を開けた。

―――ここからが悪夢の始まりなのだ。

涼しい風……なぁんて思ってる間はなかった。

⏰:07/07/08 02:12 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#7 [向日葵]
だって目の前には、大きな黒い羽を広げた男の人が……。

それは綺麗な顔をしていて、羽と同じくらい黒い髪は風にふわりとなびいていた。

しかし、目が合った私は脳裏に走る予感に目を向けた。

―関わったら厄介だ―

蜜「しっつれーしましたぁー。」

戸を閉める瞬間。

ガッ!!

蜜「!!」

⏰:07/07/08 02:15 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#8 [向日葵]
「俺のこの姿を見て失礼しましたですまないんだよお嬢さん……。」

その魅惑の声が私の体を絡めとる。

蜜「な、ななななんの事でございましょうか!」

厄介事は嫌だ厄介事は嫌だ厄介事は嫌だ厄介事は嫌だ!!!!

だってあり得ない!!
夢?!そんなファンタジーな事あっていいの?!だって羽だよ羽!!!!

ガチャン!

ついに男の人は戸を完全に開けて此方に来た。
羽はもうない。
よく見ればうちな制服を来ている。

⏰:07/07/08 02:19 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#9 [向日葵]
バタ……ン

戸が音を立てて閉まった。

まるでそれは、私の行く道を阻むかの様に……。






チャプター1:黒羽の君

⏰:07/07/08 02:47 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#10 [向日葵]
整った顔をしているその男の人はにじりにじり私に寄ってきて私を観察するかの様にジロジロ見た。

蜜「あ……んのぉ……。」

「へぇ……。」

男の人は顎に手を当てて面白そうに笑うと私の手を掴んだ。

蜜「な、何何何っ!!」

暴力反対!!私は平和を愛します!!

しかし予想とは違って、男の人は私の手首からまるで私の香りを吸い込む様に息を吸った。

⏰:07/07/08 02:51 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#11 [向日葵]
蜜「え?!何?!え?!」

色々頭がパニックだ。

羽が生えた男の人見つけるわ
なんか知らないけど追い詰められるわ

しばらく息を吸い込んだ男の人は私をまたジッと見つめた。

『まぁなんとも整った顔でありますこと……。』

睫毛は長いし、髪はサラサラだし、鼻筋は通ってるし……。
しかもボタンが開いてるから首筋と鎖骨がチラリ。

はっは〜ん。なるほど。
色気作戦でさっきのこと忘れさせ様って?

⏰:07/07/08 02:56 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#12 [向日葵]
そんなの羽が生えてたなんて言っても誰も信じないし、言わないから私を平凡人生の道へ戻してくださぁぁぁぁい!!!!

しかし願い叶わず、男の人が発したのはまた訳が分からない言葉だった。

「アンタ……“蜜乙女”か……。」

はい?

蜜「確かに私の名は蜜ですけど……。」

「プッ!“蜜乙女”で蜜のは皮肉なもんだなぁっ!!」

なんか笑い出したよオイ。

⏰:07/07/08 03:00 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#13 [向日葵]
蜜「アハハハ。帰ってもいいですか。」

「自己紹介がなくて失礼。俺はセツナだ。」

古めかしいお辞儀をするとまた私に迫ってきた。

蜜「だ、だからなんなんですかぁっ!!」

トン

ついに背後は壁。

綺麗な人に変人多しと言うが……。
この人は変だ!!!!

セツナ「“蜜乙女”。いや蜜。」

蜜「ひゃっ、ひゃい。」

⏰:07/07/08 03:09 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#14 [向日葵]
すると、セツナとか言う人は右手を壁に、左手を私の短い髪に触れ一束持つと、自分の口へと運んだ。

セツナ「よろしく。





花嫁殿。」

・・・・間・・・

蜜「……えーと、頭大丈夫ですか?」

セツナはフッと笑って私の手を取った。

セツナ「どうやら俺の“蜜乙女”は頭が弱いらしいなぁ。」

⏰:07/07/08 03:14 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#15 [向日葵]
アハハハハ。
喧嘩売ってんのかこの野郎☆

それ以前にさっきから“蜜乙女”って言うけどなんなのよ……。

掴まれた手をいきなり引っ張られた。

セツナ「おいで。話してあげるよ。」

蜜「いいです!掃除中です!離してください!」

頼むからそんな意味の分かんないことに巻き込まないでぇぇ!!

セツナ「ハァ…頭が弱い上に強情ときたか。仕方ない。失礼。」

と言ってくれたからやっと解放してくれるんだと思ったら

ガバァ!!

世界がひっくり返った。

⏰:07/07/08 03:18 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#16 [向日葵]
まるで荷物の様に私は担がれていた。

そしてまた戸を開け屋上へと行く。

蜜「ぶわっ!!はな、離して下さい!!」

するとストンと地上へ降ろしてくれた。
とりあえず一息。

スーッ ハーッ

深呼吸して考えることはただ1つ。

逃げるべし。

セツナ「逃げようったってそうはいかないぞ。」

セツナは私の頭に手をかざすと何かを落とす様に指を擦らせた。

⏰:07/07/08 03:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#17 [向日葵]
すると……

ビリビリ

蜜「きっ…!な、……こ……。」

まるで全身に電気が流れているみたい。
痺れて体が動かない。

セツナ「鱗粉(りんぶん)だ。どうも話を聞く態度では無いみたいなんでなぁ……。手荒な真似はしたくなかったが……。さて。話を聞いて頂けるかな?“蜜乙女”よ。」

もうどうでもいい。
明日の朝になったら全て忘れてやる。

今はとりあえずこの痺を解いて欲しい。

⏰:07/07/08 03:27 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#18 [向日葵]
蜜「聞き……す……。」

セツナ「ん?何て?」

人差し指で私の顎をクイッと上へ向かす。

蜜「聞き…ま……す。」

セツナ「いい子だね。」

パチンと指を鳴らすと一気に痺が解けて私は床にガクッと崩れた。

蜜「なんて事……っ。」

セツナ「自業自得だろ?」

ムカムカして話を早くする様に促した。
そして話された内容は正に漫画みたいなあり得ない話。

⏰:07/07/08 03:31 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#19 [向日葵]
セツナは黒蝶族と言う貴族の頂点の者。
今は人間世界で研修中。

彼等が求めるは自分に見合った“蜜乙女”を探すこと。

さてここで“蜜乙女”とはなんだけど……言わばさっきセツナが言った通り花嫁と言うことであって……

だからって

蜜「私にどうしろと……。」

セツナ「子孫繁栄に決まってんだろ。」

蜜「は?!それだけ?!」

わたしゃ子造り道具?!ばっかじゃないの?!?!

⏰:07/07/08 03:36 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#20 [向日葵]
蜜「そんな事言われてはいそうですかって言うこと聞くとでもっ」

セツナ「蜜乙女と俺達は必ず惹かれ合う運命にある。俺達も同じさ……。お前のその香りが……。」

と言いながら私の首筋に指先をスッと滑らす。

セツナ「そそられる。」

クスッと妖しげな笑みを浮かべてセツナは言った。

なんだか私は恥ずかしくなって顔を赤くした。

蜜「私は惹かれない!!そんな義務みたいな感情なんて嫌い!!!!」

⏰:07/07/08 03:40 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#21 [向日葵]
セツナ「じゃあ義務的じゃなくしてやるよ。」

蜜「はぁ?!」

腕を引っ張られ、もう1つの手は腰に巻き付け私を引き寄せた。

蜜「な…!―――!!!!」

次の瞬間。私はキスをしていた。

初めてなのにこんな意味分かんない人と……っ!

蜜「嫌っ!!」

ドンッ!!

突き飛ばしたけど、セツナは2歩くらいしか下がらなかった。

そしておかしそうにクククッと笑う。

⏰:07/07/08 03:44 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#22 [向日葵]
セツナ「流石俺の蜜乙女。味は極上だなぁ…。」

下唇をペロッと舐める。

私は更に恥ずかしくなる。

蜜「頭……おかし…っ。絶対貴方なんて忘れてやる!!」

セツナ「好きなだけ忘れる努力をしたらいいさ。でも俺は何度もお前の前に現れる。分かるか?お前の香りが俺を呼んでるんだ。」

あったまに来た。

蜜「大っっっ嫌い!!!!」

バタン!!

背後でセツナは高らかに笑っている。

⏰:07/07/08 03:49 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#23 [向日葵]
帰ってきて……

私の日常……っ帰ってきてぇぇぇぇぇ!!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・

と言うわけで現在に至る。
ってかセツナって18だって!!2個も年上!!どおりで老けてると……

「オイ。」

その声にゆーっくり後ろを振り向く。

あ゛―――やっぱり……。

蜜「セツナさん……。」

セツナ「呼び捨てで構わんと言ってるだろ。」

⏰:07/07/08 03:53 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#24 [向日葵]
セツナは学校でも有名な美男子で、振り返らない人はいない。
そんな人が私と話してて大丈夫だろうか(私が)

蜜「ここに来たってことは……」

あの時間だ……。

セツナ「屋上行くぞ。」

すでに嬉しくもない日課が続いている。
それもまるで変態の様な……。

時間とは……食事タイムだ……。

バタン

屋上の戸が閉まる。

⏰:07/07/08 03:59 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#25 [向日葵]
早く済ませて帰りたいのにセツナは中々事を始めようとはしない。
転がって青空を見上げて日向ぼっこをしている。

私はうんざりする。
こんな事なんで……。

と、急に腕を引っ張られて私も転ぶハメになる。

あぁ食べる気になったんだ。

それでもこんな事慣れない。無意味に心臓が跳ねる。

こんな事=キスして私から蜜を吸いとること。

セツナの頭が私の上に被さる。

⏰:07/07/08 04:04 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#26 [向日葵]
セツナ「クスクス。いつも不機嫌そうだな。」

蜜「誰もこんなの喜び…んむっ……。」

急に食べられた。

私は只の餌。
なのに……頭がくらくらする。

唇を離されて私は目を開けた。
まだ近くにセツナが綺麗な顔でそこにいる。

セツナ「今日も美味いな。」

蜜「あー…それはどうも……。」

するとまたセツナが近づいてきて私を挟むようにして包んだ。

⏰:07/07/08 04:08 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#27 [向日葵]
蜜「な、どいて下さいよ!」

セツナ「なぁ蜜よ。本気でお前は自分が食事と子孫繁栄の為だけだと思っているのか?」

はぁ?当たり前じゃない。
こんな毎日毎日望んでもないのにキスされて、恋人だと思ってるって言う方が頭どうかしてるよ!

……ちょっと待て私。
私……恋人だと思って欲しいの?

…………んなわけないないないない!!!!

セツナ「オイ。」

蜜「ぅあいっ!!もちろんっ!!」

⏰:07/07/08 04:13 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#28 [向日葵]
するとセツナは私の瞼に唇を触れた。

蜜「っ!」

セツナ「つくづくお前は馬鹿だ。そんな訳ないだろう。」

そして今度は抱き締められた。

蜜「ありますよ!実際貴方は私が蜜乙女だからこんな事してるだけであって私はどうでもいいんじゃないですか!!」

セツナは何も言わず力をギュッっいれる。
魅惑的な匂いが私の鼻を通る。

平凡を拐って今度は私の思考まで拐ってしまう気?

⏰:07/07/08 04:18 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#29 [向日葵]
私はそこまで馬鹿じゃないんだから!

蜜「いい加減退いて下さい。帰りますから。」

セツナ「好きだ。」

私は固まってしまった。

好き?冗談じゃない。

どうせ私をいい気分にさせて蜜を根こそぎ取りたいだけでしょ?

さぞかし蜂蜜が沢山になるんでしょうね。

蜜「退いて。」

セツナ「好きだ。」

蜜「離して……。」

セツナ「好きなんだ。」

⏰:07/07/08 04:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#30 [向日葵]


今日はここまでにします

⏰:07/07/08 04:23 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#31 [向日葵]
意味が分からない
意味が分からない

蜜「なんのつもりですか?愛の告白?それとも“蜜乙女”の“蜜”への感想?」

セツナ「お前は……覚えていないのか?」

蜜「はい?」

セツナ「幼い頃、蝶を助けはしなかったか。」

♪蝶々〜蝶々〜
って歌ってる場合じゃなかった。

ってかこんな格好でここまで冷静な自分がある意味凄い。
普通なら「きゃっ☆」みたいな反応しなきゃいけないんだろうな。

⏰:07/07/08 10:17 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#32 [向日葵]
それは私がこの人が自分を“蜜乙女”としか見てないからだと思う。

おっとっと。昔に記憶をたぐらせなきゃ。

蜜「えー…、あー…。……あぁ。そーいえば。確か。」

セツナ「何故助けた?」

何故。……何故って。
知らないけどなんか

蜜「ほっとけなくて。」

するとセツナは美しい顔を歪ませて笑った。
あー眩しい眩しい。

セツナ「あれは俺だ。」

⏰:07/07/08 10:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#33 [向日葵]
おーっとお約束的意外な展かーい☆

蜜「その節はどうも。」

いやそりゃ逆か。

セツナ「初めてお前にあった時から俺は知っていたんだ。『こいつは俺の蜜乙女だ』って。」

なんかその単語聞き飽きた。

セツナ「それと同時に胸に衝撃が走った。」

セツナは真剣な顔をした。
あ、どうしよう。声が出ない。体が動かない。
まるでその目のせいで金縛りにあってるみたい。

⏰:07/07/08 10:26 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#34 [向日葵]
セツナ「それから俺はお前を探して探して探しまくった。蜜乙女だからじゃない。“お前”だからだ。」

うわ……これはもしかして……。

セツナ「ここで会った時驚いた。幼かったお前がすぐそこにいた。姿を見られたことなんて対した問題じゃなかった。ただ……お前を捕まえておきたかった。」

もしかしてもしかしてしまう……?

セツナ「蜜乙女なんて、どうだっていい。それよりもただ“お前”が好きなんだ。」

愛の告白だ。

⏰:07/07/08 10:33 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#35 [向日葵]
蜜「……。」

私はただ唖然としていた。

そんな熱烈な告白受けた事もなければした事もない。てっきり乙女の妄想上のものだと思っていたし……。

でも顔が熱を帯びる事に自覚はあった。

セツナ「お前何か示せよ。」

蜜「いや、だって、そんな事言われたの初めてだし…。」

するとセツナは不思議そうに眉を寄せた。

セツナ「初めて?そんな訳ないだろう。こんなに可愛いのに。」

蜜「はぁっ?!視力大丈夫ですか?!」

⏰:07/07/08 10:53 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#36 [向日葵]
そんな事言われたのも初めてだ。
おかしい。ダメだ。確実にワンダーランドに片足浸からせてる。

セツナ「ところで……お前返事は?」

蜜「はい。」

セツナ「いやその返事じゃなくて。」

私の返事?
んーと

蜜「普通。」

セツナ「は?」

蜜「嫌いではないけど好きでもありません。第一好きな人すら出来た事ありませんからそれがどんな感情か知ったことすらあるません。」

⏰:07/07/08 10:57 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#37 [向日葵]
セツナは「フーン」と呟いてそこでやっと起き上がった。

そして手を差し出すと私を起こしてくれた。
その時初めて知った。
セツナのあまりの手のなむらかさに。

『この人一体どこまで綺麗なつもり?』

考え事しているセツナを上から下までジロジロ観察した。

すると不意にセツナがこちらを見たもんだからドキッとしてしまった。

セツナ「なら確かめてみるか。」

蜜「は?」

⏰:07/07/08 11:02 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#38 [向日葵]
無造作にセツナは立ち上がると急に背中の辺りがパアァァァと輝きだした。

蜜「え!え!」

そしてやがて現れたのは、セツナをすっぽり隠してしまいそうな漆黒の羽。
それはよく見ると蝶の羽だ。

それを見た瞬間、現実から目を背けたくなった。

つい2週間前までは普通の生活を送っていたのに今目の前にある光景はなんだ……。

遠い目をしてるとセツナの両手が私の脇をはさんで無理矢理立たせた。

⏰:07/07/08 11:07 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#39 [向日葵]
そして筋肉がある腕を私の腰に巻き付けると衝撃発言。

セツナ「これから空中散歩といかないか。花嫁殿。」

蜜「もしかしなくても空飛びますよね。」

大分こっちの世界に免疫がついてきたみたいだ……。

蜜「お断りします。学校だってあるし。」

セツナ「そんなの対した問題じゃないさ。」

すると足から床がなくなった。
「あれ?」と思いバタつかせてみるがやっぱりない。

⏰:07/07/08 11:10 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#40 [向日葵]
蜜「ちょ、お断りするって言ったじゃないですかぁ!!」

セツナ「まぁそんな堅いこと言わず。」

すると学校が10mほど下になった。

蜜「いやぁぁぁぁぁ!!!!」

私はセツナにひしっと抱きついた。

セツナ「そうそう。しっかり捕まっててくれよ蜜。」

あ、名前久々に呼ばれた。

そしてフワフワ私は学校を離れていく。
信じられない。ホントに飛んでる……。

⏰:07/07/08 11:14 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#41 [向日葵]
セツナ「気分はどう?」

蜜「驚き。」

セツナ「もっとスピード出せるんだぜ!」

蜜「今のままで結構です!!」

でもすごい……人が、車があんなに小さい。
飛行機とかに乗って見るビジョンとはまた違う。

蜜「すごいなぁ……。」

感動して顔をほころばせると、セツナの私を掴んでない方の手が私の顔に触れて上を向かせた。

セツナ「やっと笑ったな。」

その顔に深くにもドキッとしてしまった。
そんな温かな目見せた事ないんだもん。

⏰:07/07/08 11:20 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#42 [向日葵]
蜜「に、人間ですもの。そりゃ笑いますよ。」

セツナ「俺といる時は不機嫌な顔しかしてないから。」

蜜「それは貴方の食事のせいです!!初めてだったのに……。」

セツナが微かに震えてる。それを上目使いでキッと睨む。

蜜「笑い事じゃないんですけど……。」

するとセツナは頭をくしゃくしゃと撫でてきた。
まだ笑っている。

セツナ「クク…いや、非常に可愛らしいと思ってな……ククク…。」

⏰:07/07/08 11:25 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#43 [向日葵]
「なら」とセツナは続けて私の顎をクイッとさせた。

セツナ「愛のくちづけなら満足して頂けたか?」

蜜「顔面パンチいってもいいですか?」

セツナ「してみればいい。そんなのはよける。」

セツナは私に顔を近付ける。「愛のくちづけ」を実践するつもりだ。

蜜「そんなのいーですから空中散歩しますよ!!」

私はセツナの顔をぐいーっと引き離した。
セツナはまだ笑っている。

⏰:07/07/08 11:28 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#44 [向日葵]
*************

ちょっと休憩させてください(◎・ω・◎)

⏰:07/07/08 11:29 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#45 [ちあき]
あげ(^ω^)

⏰:07/07/08 17:35 📱:P902iS 🆔:arn3olvg


#46 [向日葵]
ちあきさん
ありがとうございます

⏰:07/07/08 18:52 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#47 [向日葵]
少しですが更新しますね(◎・ω・◎)

――――――

セツナは徐々に地上に降りて行った。

蜜「どうしたんですか?」

トスッ

そこは公園。
昼間なので人はいない。

蜜「ここ……。」

セツナ「思い出した?」

ここは、小さい頃来た。
そして、セツナを助けたところ……。

⏰:07/07/08 19:03 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#48 [向日葵]
セツナ「あの時、お前が助けてくれなければ……。」

セツナは自分が捕まっていた木の枝の一角を見つめた。

セツナ「俺はここにいなかったし。蜜にも会えなかった。」

そして私に向き直り、深く礼をした。

セツナ「ありがとう。」

私は目を見張った。
この人は、ちゃんと「ありがとう」が言える人なんだ。ただの俺様じゃない……。

蜜「いいえ。どういたしまして……。」

⏰:07/07/08 19:12 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#49 [向日葵]
なんだかこの人が段々分かってきた気が……するようなしないような……。

まぁ、いっか。

するとセツナがまた私の腰に手を回してきた。

セツナ「お前に教えたい場所がある。」

蜜「教えたい…場所?」

セツナ「とても綺麗なんだ。」

また足元がフワッと浮く。
さっきよりも高く上昇した。でま不思議と不安はもうなかった。

私はジッと私を運んでくれる。
この人が……私の運命の相手……。

⏰:07/07/08 19:37 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#50 [向日葵]
実感がわかん。

フワフワとセツナは山に入って行く。

蜜「山?」

セツナ「あぁ。俺が一番落ち着く場所。」

器用に木を分けて飛んでいく。
そして着いた。

セツナ「ここだ。」

セツナは太い枝に私を降ろしてくれた。

蜜「お、折れない?」

セツナ「心配なら俺にくっついてるといい。」

⏰:07/07/08 19:49 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#51 [向日葵]
くっつくのはなんだかなぁと思ったんで服の裾を掴んでおく。

セツナ「蜜。見てみろ。」
と言われて目を上げてみると……。

蜜「う…わぁ……。」

半分が山の緑。半分が海の青。空の水色。そして太陽のせいでキラキラ輝いてるのがわかる。

蜜「長い間ここら辺に住んでるけど、こんなの初めてだぁ……。」

セツナ「気に入ったか?」
蜜「うん……。」

⏰:07/07/08 20:01 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#52 [向日葵]
するとセツナは嬉しそうに笑った。

セツナ「それは良かった。」

――トクン

『あ、あれ……?』

なんだこれ。

セツナ「少しでも株上げになったか?」

蜜「株上げって……。」

セツナ「やっぱり好きな奴には好きになって欲しいからな。」

なんかそんなに“好き”を連呼されると反応に困る。

セツナ「まぁ、この美貌の俺を好きにならない訳がないけどね。」

自我自賛ですか……。

⏰:07/07/08 20:27 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#53 [向日葵]
セツナ「でも、それもお前が認めてくれないと只のいらない物だ。」

蜜「私はどーゆー立場でいたらいいんでいいんですか?」

私達は見つめ合う。
一陣の風がふわりと私達を包む。

セツナ「蜜乙女なんて肝心な問題じゃない。蜜にはただ側にいて欲しい。それじゃいけないか?」

黒蝶族で貴族だかなんだか知らないけどそれはとても人間らしい言葉で……。

蜜「ふーん。わかりました。」

⏰:07/07/08 20:45 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#54 [向日葵]
セツナ「ふーん…って、何だ。」

蜜「じゃあそのつもりでいます。」

段々太陽が夕陽に変わってきた。
私達の顔がオレンジに変わる。

セツナ「それは…俺が好きって事か?」

蜜「さぁ……。はっきり分かりませんが、惹かれ始めてるかも、やも、……って感じなので。」

セツナの顔が、スッと引き締まる。
私はただ見つめる。

セツナ「名前を呼んではくれないか。」

⏰:07/07/08 21:46 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#55 [向日葵]
蜜「はい?何故……。」

セツナ「認められたと思いたいからだ。」

まぁ望むならば……。

蜜「セツ……ナ?」

2つの黒い影は徐々に近づく。セツナは何か躊躇うようにも見えた。

そして影が重なる。

キスをされた。

“食事の時間”ではなく、それは“愛のくちづけ”であった……。

私の運命の相手。
黒羽の君。セツナ……。

私に日常を奪った人。
これから愛を教えてくれる人……。

⏰:07/07/08 21:50 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#56 [向日葵]
チャプター2:美貌の歪み



生まれてきて16年間。
私はこのまま特別なことなんてなく平和に過ごしていくものだと思っていた。

セツナが来るまでは……。

「この式に3を代入して……。」

こんにちわ。
私は本山蜜。そこらにいる平凡な女子高生。

なんか先日急激に大人の階段を駆け上った気がします。

⏰:07/07/08 21:55 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#57 [向日葵]
私がまさか恋愛をするとは……。

いや正式にはしていないか。セツナに関してはまだ感情がどの部分にあるか分からない訳だし。

でも……この前の食事じゃないくちづけには全然抵抗をしなかった。

多分あの瞳に誘惑されてしまっていたんだ……って事にしておこう。

チラリと時計を見る。
12時30分。あと10分もすれば“食事の時間”だ…。
それを黙ってされるがままになっている私はやっぱり変態なのだろうか……。

⏰:07/07/08 22:00 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#58 [向日葵]
ならば今日は教室から出ない様にしてみるってどうだろう。

蜜乙女に飢えてカラッカラになったセツナを思い浮かべると笑わずにはいられなかった。

あのプライドが高そうなのが……カラカラって……。
うつむいて口を必死に力いれてニヤけるのを堪える。

「じゃあ早いけど今日はここまでにするか!終わりー。」

え?マジで?

清「あれー?蜜。珍しいね教室にいるなんて。」

⏰:07/07/08 22:10 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#59 [向日葵]
蜜「ちょっと実験をしてみようかなぁって」

清「実験?」

私は「ウン」と頷いた。
しかしすぐに決着はついてしまった。

セツナ「オイ蜜!」

頬杖ついていた手から私の顔がゴトンと落ちて机に直撃。

教室にズカズカと入ってきた。この見目麗しい人こそがセツナだ。

セツナ「この俺が教室前で待ってたっていうのに授業が終わったのなら何故出て来ない!!」

蜜「あぁいたんですか……。私今からお昼なんでお弁当食べさせてください。」

セツナ「俺も食事時だ。行くぞ。」

⏰:07/07/08 22:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#60 [向日葵]
あーハイハイ……。

清「いつの間にそんな仲に……っ!!」

蜜「強制的にみたいな……。」

セツナ「何を言ってる。コイツは俺のだ。」

「「イヤァァァァァァ!!!!」」

教室から、廊下から女子の皆さんの悲鳴喝采。
スイマセンもうホント……。私が“蜜乙女”のせいですね……。

セツナ「もういいだろ。早くお前を食べたい。」

オーイ!!勘違いされる言い方やめぃっ!!!!

⏰:07/07/08 22:30 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#61 [向日葵]
セツナはそんなのおかまいなく私をズルズル引きずって屋上へ。

・・・・・・・・・・・

蜜「セツナ!あんな言い方したら勘違いするじゃないですか!!」

セツナ「実際問題そうなんだからいいじゃないか。それより早くこっちへ来い。」

蜜「なんか今日ばかりは嫌です。ってか私は私のご飯を食べます。」

すると音もなくセツナは隣に来て、私の視線をお弁当から自分へ向けた。

セツナ「わからないのか?食事なんて二の次だ。俺は“愛のくちづけ”ついでに食事をしたいだけだ。」

⏰:07/07/08 22:36 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#62 [向日葵]
私はため息をついて再びお弁当の蓋を開けて食べようとした。

セツナ「無視するとはいい度胸だな。」

蜜「私だってお腹減ってるんです。」

セツナ「ハァ…。何度言えば分かる。食事は二の次だと言うのに。まだ完全に心は俺のものじゃないのか……。」

だから惹かれ始めてるかもっつっただけで誰も好きなんて言ってないじゃない。
私はご飯を一口パクッと食べた。
それを見て諦めたのかセツナは両手を頭の後ろで組んで転がった。

⏰:07/07/08 22:41 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#63 [みか]
面白いですx

頑張ってください(、∀`)

⏰:07/07/08 22:45 📱:W44T 🆔:tSlp1gVY


#64 [向日葵]
そのお陰で私はのんびりと食事した。
「早くしろ」オーラがひしひしとセツナから伝わってきたがオール無視した。

空を見上げると今日は曇りだった。

蜜「今日は雨が降るかなぁ……。傘持ってないのに。」

セツナ「こーゆー天気が一番嫌いだ。羽が湿ける。」

蜜「あぁ。飛べなくなるんですか。」

セツナ「あぁ。不便だ。非常に。……ところで、食べ終ったか?」

⏰:07/07/08 22:48 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#65 [向日葵]
蜜「そんなすぐに終わる訳ないでしょう。」

セツナは軽く舌打ちした。

『ガラ悪い……。』

セツナは再び目を閉じた。
まつ毛なっがいなぁー……。
ほうれん草をモシャモシャ噛みながらセツナの顔を観察していた。

なんでこんな人の運命の相手が自分だろ。

カポッ

お弁当の蓋を閉めた。

蜜「ごちそうさ…ま――――っ?!?!」

⏰:07/07/08 22:54 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#66 [向日葵]
セツナがいきなり押し倒してきた。

そのせいでお弁当箱がコロコロと転がっていってしまった。

蜜「セツナ何するんですかぁっ!頭打ったぁー…いたたたた……。」

セツナ「焦らすお前が悪い。」

蜜「焦らしてなんか…っむぅっ!」

セツナが私の口を塞ぐ。
まるで蜜を吸う蝶のように……。

やがて離れた。

セツナ「やはりお前は極上だな。」

蜜「次こんな事したら貴方を完璧に嫌いますからね!」

⏰:07/07/08 23:00 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#67 [向日葵]
スイマセンみかさん
応援レスに気付きませんでした
ありがとうございます

――――――――

セツナ「それは困るな。せっかく好きになりかけてもらってるのに。」

蜜「じゃあもっと慎んでくださいね。」

セツナ「仰せのままに。花嫁殿。」

そういうとセツナは私の手の甲にキスした。

ハァ……私は一体どうしたら……。

⏰:07/07/08 23:06 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#68 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・

清「それって……ノロケ?」

蜜「違う。」

とりあえず(セツナの本性以外は)清に話しておくことにした。

清「って言うかね、惹かれ始めちゃったら一気に転がって好きになっちゃうんだよ?蜜はそれもう好きの域だよ。」

そんなもんかねぇ……。

「本山。」

声をかけられたので私は振り向いた。

⏰:07/07/08 23:14 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#69 [向日葵]
蜜「あぁ。小川君。」

小川君は同じ委員会でとても優しい良い青年だ。

小川「3年生にアンケート取りに行かなきゃいけないの今日に決まったらしいんだけど、放課後大丈夫?」

放課後…。まぁアンケート取るってわかるならセツナも教室前には待っていないだろう。

蜜「オッケーっす!頑張りましょう!」

小川「良かった。じゃあまた後で。……なぁ1ついい?」

蜜「?うん。」

⏰:07/07/08 23:21 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#70 [向日葵]
小川君の顔が若干赤くなる。

小川「昼間の…人は、彼氏?」

昼間……。セツナの事?

果たして彼氏であるねか無いのかびっみょうじゃあのぅ…。

と言うわけで

蜜「分かんないっす。」

小川君はプハッと笑った。

小川「アハハ。自分の事なのに分かんないんだ!!」

蜜「ウン。」

⏰:07/07/08 23:25 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#71 [向日葵]
小川「分かった。ありがとう!」

おー爽やか爽やか。

清「ほーぅ。」

なんか清がにんまり笑う。

蜜「何。気持ち悪い。」

清「まぁその内分かるって♪」

すると5時間目を告げるチャイムが鳴り響いた。

――――――――

あっと言う間に放課後。
あー3年って事はセツナいるんだよねー。
なんか嫌だなぁ……。

⏰:07/07/08 23:33 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#72 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/08 23:34 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#73 [向日葵]
明日の夕方に更新しますね

⏰:07/07/09 00:44 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#74 [向日葵]
小川「どうしたの?仏頂面して。」

蜜「ちょっと会いたくない人が…。まぁあんまり突っ込まないで。」

小川「ハハハ!わかったよ。」

3-1。
くそぅ。クラス聞いておけば良かった……。
そしたら小川君には悪いけど逃げれたのに。

ガラガラガラ

蜜・小川「失礼します。」

その後、2、3、4、5と行ったけど、セツナはクラスにいなかった。
ウチの学校は全部で8クラス。

⏰:07/07/09 16:30 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#75 [向日葵]
『あと3クラスの内のどこかに……。』

そして6組のドアを開ける。

蜜・小川「失礼します。」

出来るだけバレないように目をキョロキョロさせる。……うん。いないみた…。

射る様な視線。
しまった……。いた。
ここはさっさと済まして帰ろう。

蜜「小川君。どこからだっけ……。」

小川「え?ここからでしょ?」

蜜「だってこれって却下になったから読まなくていいって…。」

⏰:07/07/09 16:34 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#76 [向日葵]
小川「うわ!マジ?!俺全部読んじゃったかも!」

3年生の人がそこで一斉に笑った。

「男の子かわいー!」

「2人付き合ってるんじゃないのー?!」

小川「ち、違います!!えっと……アンケートを取りたいんですけど!」

結局小川君が全て事を進めていった。
私はその間にもセツナの射る様な眼光を受けていた。
しかも何か怒ってる……。

『何で?!私何かしたっ?!』

⏰:07/07/09 16:44 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#77 [向日葵]
そそくさと6組を去って、後のクラスを回り、私達は帰ることにした。

小川「俺、先生に渡してくるから本山先に帰ってていいよ。」

蜜「わかった。ありがとう。」

ガラガラガラ

『カバン…カバンっと……。』

ガラガラガラ

蜜「?小川君早かったね。」

セツナ「誰が“小川君”だ。」

びっくりしてバッと振り向くとそこにいたのはセツナだった。

⏰:07/07/09 16:49 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#78 [向日葵]
蜜「セツナ!驚かせないでください!」

セツナは後ろ手に戸を閉めると早歩きで私に近づき、2mくらい先で止まった。

蜜「な、何なんですか……。」

セツナ「アイツ何だよ。」

蜜「アイツ?」

セツナ「教室に一緒に来た奴だよ。」

蜜「は?小川君?何って、クラスメートですよ。」

セツナは腹立たし気にため息をついた。

⏰:07/07/09 16:53 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#79 [向日葵]
セツナ「気にくわん。」

蜜「え?小川君いい人ですよ?」

セツナ「お前は相変わらずの馬鹿だな。」

ムカ。
人の事馬鹿馬鹿言って…。

蜜「そりゃ貴方よりは頭悪いかもしれませんが意味もなく馬鹿馬鹿言わないで下さい。」

セツナ「馬鹿だから馬鹿って言って何が悪い。」

セツナは謝る気をこれっぽっちも見せないで、むしろふんぞり反っている。

⏰:07/07/09 16:57 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#80 [向日葵]
もー頭にきた。

蜜「何で怒ってるか知りませんが、何も用が無いなら私は帰らせて頂きます!」

セツナの隣を通り過ぎようとした。その時だった。

ガンッ!!!

目の前でセツナの手が壁に手を付いて私を通せんぼした。
いや手を付いたんじゃない。これは(平手で)殴ったと言ってもいいかもしれない。

壁紙がポロポロと崩れて床に落ちる。
流石にこれにはビビった。

⏰:07/07/09 17:05 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#81 [向日葵]
セツナを見上げたら見たことのない冷たい目で私を見下ろしていた。

蜜「一体…何なんですか……っ!」

セツナ「もうアイツには近付くな。」

蜜「何言ってんですか?!第一どうして貴方にそこまで……。」

セツナ「お前は俺のだろ。当たり前じゃないのか?」

ホントこの人何言ってんだ……?

その時、セツナだけが背後に気配を感じたらしい。

戸が開くと同時に

グイッ!

⏰:07/07/09 17:09 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#82 [向日葵]
小川「本山?まだいる……。!!」

小川君が驚くのも無理は無い。
何故なら小川君が見た光景は私とセツナのキスシーンだったのだから。

セツナを離そうと胸を押してみるけどビクともしない。セツナは私の後頭部に手を回して離れないようにする。

するとセツナは小川君をチラッと見て私から口を離すと怪しげに笑んだ。

セツナ「ジロジロ見てるなよ。」

小川「―――っ!!」

⏰:07/07/09 17:14 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#83 [向日葵]
小川君は顔を赤くして教室を出て行った。

それをセツナが見ている内に私は右手を振り上げた。

パシッ!

蜜「なんで……こんな……。」

セツナ「アイツに見せ付ける為に決まって」

蜜「大嫌いです!!」

怒りで息が上がる。
叩いた右手を握り締めながら私は続けた。

蜜「自分の感情ばっかり押し付けて、他の人の気持ちなんか分からない貴方なんて大っ嫌い!!!!」

⏰:07/07/09 17:18 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#84 [向日葵]
そこでセツナの顔を見た。

私は胸がズキンと痛んだ。

セツナがすごく悲しい顔をして私を見つめていたからだ。

セツナ「……すまない。」

蜜「あ、謝ったって……許しませんから!!」

私はセツナの横を通り過ぎて走って家に帰って行った。
部屋に入って枕を抱き締めて、必死にあの顔を掻き消そうとした。

ギュッと目を瞑っていると、いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。

⏰:07/07/09 17:22 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#85 [向日葵]
――――――
―――――――――

…………

「…様。……つ様。」

誰?

目をうっすら開けると、そこに金髪の綺麗な男性がいた。

蜜「えっ?!」

「シーッ。怪しい者ではありません。」

いや充分怪しいって。

蜜「誰……ですか?」

「これに見覚えはありませんか?」

と言って見せてくれたのが漆黒の羽。

⏰:07/07/09 17:26 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#86 [向日葵]
蜜「黒蝶族の……方。」

「ご名答でございます。私はセツナ様にお仕えしている“シオイ”です。初めまして。セツナ様の蜜乙女、蜜様。」

蜜「は、はぁ……。」

どうでもいいけどこれから先、黒蝶族の人達に会う度にその苺の名称みたいな肩書きが一々着いてくるのかなぁ……。

蜜「ところで、何故私の家に……。」

シオイ「場所はセツナ様からお聞きしていました。」

あの野郎……。いつの間に。

⏰:07/07/09 17:33 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#87 [向日葵]
シオイ「お伺いしたのは他でもありません。主のセツナ様をご存知ありませんか?」

蜜「い、いえ。……。あの、実は帰り際ケンカを少々……。」

するとシオイさんはクスクス笑った。
そしてまた表情を引き締める。

シオイ「今、雨が降っているんです。私達にとって雨は天敵。何かあったのではと思いまして……。」

蜜「……っ!」

そういうば……

セツナ[羽が湿けるんだ。]

⏰:07/07/09 17:38 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#88 [向日葵]
蜜「もしかしたらまだ学校かもしれません!」

時計を見ると夜の12時。こんな時間に家を出たらおばあちゃんが驚いてしまう。

こんな時にどうでもいいけど私の両親は海外赴任で、今は祖父母と一緒に住んでいるのだ。

蜜「シオイさんはどうやってここに来たんですか?」

シオイ「出来るだけ木陰を通って超スピードで来ました。」

蜜「私を学校まで運んで頂けますか!」

⏰:07/07/09 17:42 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#89 [向日葵]
シオイさんはにっこり笑って私を抱き上げた。
そして窓から飛び立って行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・

昇降口の屋根で降ろされた私は足がフラフラしていた。

初めてセツナに空中散歩を誘われた時スピードを出してもらわなくて良かった……。
何あの速さ……。

とにかく。

蜜「シオイさんはここにいて下さいね!もしかしたらココに来るかもしれませんから!!」

⏰:07/07/09 17:45 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#90 [向日葵]
そう言って私は学校の闇へと消えていった。

もしも屋上なんかにいたら……。
全く!!どーしてこう世話が焼けるのよあの人はぁ!!

蜜[大っ嫌い!!]

唐突に私の言葉が頭に響く。

言い過ぎた……かな。

ガラガラガラ

蜜「ハァ……ハァ……。」

最後に別れた私の教室に来てみたけどここにはいない。

⏰:07/07/09 17:50 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#91 [向日葵]
蜜「屋上……!」

私は階段を駆け上がる。

どうしてこんなに必死になってるの?
わからない。
ただセツナに……あんな顔、させる気はなかった。

ガチャ!

屋上の戸を開けて屋上へ出てみる。

蜜「セツナー!!」

叫んでも雨音で掻き消されてしまう。
私の体も濡れて体温を取って行く。

蜜「いない……じゃあどこに……。」

⏰:07/07/09 17:53 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#92 [向日葵]
ハッ!

私は階段を特急で降りて行った。

シオイ「どうしたんですか?!」

昇降口にいたシオイさんが私に呼び掛けた。

蜜「他に思い当たるとこが分かったんです!!」

雨足が強くなる空の下を私はバシャバシャ足を鳴らしながら走って行った。

冷たい空気が器官に入って喉がキンキンする。

着いた所、それはあの山。
夜の山は真っ暗で怖い。
熊が出るかもしれない。痴漢だって、死体を埋めに来た殺人犯だっているかもしれない。

でも私の頭の中はセツナで一杯だった。

⏰:07/07/09 18:50 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#93 [向日葵]
ガサガサ木を避けながら突き進んで行く。

前のあの場所はどこら辺にあたるんだろう。

蜜「ハァ……セツナァァァ!!!!ハァハァ……。」

数歩進んではセツナを呼んだ。
でも返事は無い。

ズルッ

蜜「わ!…っ!!―――ったぁ……。」

木の幹で足をぶつけた。
多分明日には青痣がでかでかと出来ているだろう。

蜜「…もー!馬鹿はどっちよ!!」

大嫌いだって言っただけで逃亡だなんて……っ!!

⏰:07/07/09 18:55 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#94 [向日葵]
いいかげんに……

蜜「姿見せなさいよセツナァァァ!!!!」

叫びが山中にこだまする。

蜜「ハァハァ……。セツナ……。」

そしてまた進もうとした。
「なんだよ……。」

頭上から声がした。

私は弾かれる様に上を見上げた。
数m上の枝に、セツナが座っている。

私はホッとした。

⏰:07/07/09 18:58 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#95 [向日葵]
蜜「ハァ…何してるんですか!!…ハァ…シオイさん心配してるんですよ!!」

セツナ「俺が大嫌いで心配してないお前は何してるんだよ。」

私は口を閉じた。
木から落ちてくる滴が視界を防ぐ。

蜜「雨は体によくないんでしょ?!なら、早く帰りましょう!」

セツナ「帰ればいいじゃないか。お前はやっぱり馬鹿だな。」

―――プチン

蜜「馬鹿は貴方ですっ!!」

⏰:07/07/09 19:02 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#96 [向日葵]
私の怒りの声がエコーする。

蜜「どれだけ探したと思ってるんですか!どれだけ心配したと思ってるんですか!」

どれだけ……

蜜「大嫌いと言った事を後悔したと思ってるんですか!!」

そこで初めてセツナがこちらを見た。ような気がした。

蜜「―――っつ!」

いきなりさっきぶつけた足が痛んできて、私はその場にしゃかんで足を押さえた。

⏰:07/07/09 19:06 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#97 [向日葵]
気付けば足に複数切傷がある。きっと木の葉で切ったんだ。

馬鹿らしい。
そこまで探し回ったのに本人に帰る気が無いなら、私は何しに来たんだ。

膝を押さえていると近くに気配を感じた。

視線をずらすと、セツナの足が見えた。

私は何も考えず、セツナに抱きついた。

セツナ「――!」

蜜「帰りましょう…?私は貴方が心配で迎えに来ました。……だから……帰りましょう?」

⏰:07/07/09 19:09 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#98 [ちぃ]
失礼します
>>70-100

⏰:07/07/09 19:18 📱:SH903i 🆔:pX7UHxFg


#99 [向日葵]
ちぃさん

安価ありがとうございます

――――――――

セツナ「……なんで…。お前は俺の心を強い力でねじ曲げれるんだ……っ!」

するとセツナはギュッと力一杯抱き締めてきた。

セツナ「お前が大嫌いと告げてから、もう会わないと思ってたのに……っ。大嫌いならなんで心配なんかするんだ……!頼むから……もう苦しめないでくれ……っ!!」

蜜「セツナ……。」

見えないけど、その美貌は前みたいに歪んでしまっているのだろう。

⏰:07/07/09 19:37 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#100 [向日葵]
蜜「大嫌いなんて……もう言いません。思いません。私は……貴方が好きです。」

セツナの息を飲む音耳元で聞こえた。

セツナ「恐かったんだ…。もし蜜が離れるかと思うと……。恐かったんだ……。」

うん。セツナはそれだけ私を想ってくれてるんですね。

セツナ「蜜……。離れないで…。」

蜜「離れませんよ。…だって。」

私は運命の相手なのでしょう?

⏰:07/07/09 19:42 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#101 [向日葵]
―――――……

蜜「っっくしゅん!!」

その後、ずぶ濡れになった私は派手に風邪をひいた。

セツナ「これだから人間って言うのは体が弱いんだよ。」

蜜「なんで貴方はそんなに平気なんですか……っ。」

只今内緒でセツナが私の部屋にいる。
おばあちゃんとおじいちゃんは仲良く買い物に出かけてしまった。

セツナ「体なんてすぐ乾かせばいいだけだ。じゃなきゃ風呂に入れんだろう。困るのは羽が濡れて飛べなくなる心配だけだ。」

⏰:07/07/09 19:47 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#102 [向日葵]
『シ・オ・イさんめ〜……!あんなこと言っておいて結局被害者は私だけ?!』

セツナ「さてと……。と言う訳で。晴れて俺達は夫婦となった訳だ。」

鼻をかむのを辞めて私は「え?!」と叫んだ。

蜜「いつそんな事になったんですか!」

セツナ「俺はお前が好き。お前も俺が好き。ならそうなるだろう。」

それは意味を履き違えているような気がするんだが……。

セツナ「これでお前を独り占めしても怒られないって訳だ。」

⏰:07/07/09 19:54 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#103 [向日葵]
蜜「場所を選んでくれるなら我慢してあげますけど。」

セツナ「馬鹿言うな。そんなの俺の勝手だろう。」

イライライライラ……

蜜「貴方と言う人はホンット変わりませんねぇっ!」

セツナ「嫌ならお前が変われ。亭主関白という奴だ。」

イライライライライライライライラ……

蜜「だから貴方って大……っ!」

ベッドに倒れたと思ったら私の口をセツナの口で塞がれた。

⏰:07/07/09 20:11 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#104 [向日葵]
セツナ「それは言わないんだろ?」

セツナはニヤッと笑う。
私は熱が更に上がる。

するとおでこにセツナの唇が触れて来た。

セツナ「ホラ。早く休め。側にいてやるから。ってか熱の時は“蜜”の匂いがすごい……。」

蜜「お願いですから寝ている時に変な事しないでくださいね。」

セツナはクスクス笑う。

セツナ「そんなの俺の勝手だ。」

⏰:07/07/09 20:18 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#105 [向日葵]
チャプター:3 必要?




2月はまだ寒い。
なので風邪の治りが非常に悪かった。

ピピッ ピピッ

電子音が聞こえた。
私はそれを見る。

蜜「37度……8。」

先日の風邪を長引かせて早2日。
私結構免疫力なかったんだ。

蜜「えくちゅっ!!」

くしゃみが止まない……。

⏰:07/07/09 20:23 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#106 [向日葵]
セツナ「今日も来てないと思ったらやっぱり休んでいたか。」

蜜「セツナ!」

窓からセツナ登場。

蜜「靴!セツナ靴!!」

セツナ「いいじゃないか。面倒臭い。」

蜜「部屋が汚れちゃうじゃないですか!!」

渋々セツナは窓のヘリに座って靴を脱いだ。脱いだ靴は窓のすぐ下にある屋根に置いておく。

蜜「ってか授業出なくていいんですか?」

セツナ「そんなこと心配するようなもんじゃない。」

⏰:07/07/09 20:32 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#107 [向日葵]
セツナは私が寝ているベッドに腰かける。

セツナ「体調はどうなんだ?」

蜜「ダルイ。」

セツナはククッと笑う。
笑い事じゃない。ダルイはダルイ。
ってかこれは……

蜜「セツナのせいじゃないですか…。」

セツナは更に笑う。
するとどこからともなく金色の玉を出した。

セツナ「梅の花の蜜を固めたものだ。俺達の世界じゃこれが薬なんだ。」

⏰:07/07/09 20:47 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#108 [向日葵]
へえー……。
それはまた凄い。

セツナ「口開けろ。」

私は素直に口を開ける。
……が。

パクッ

…………はい?

それはセツナが食べてしまった。

蜜「く、くれるんじゃないんですか?!」

セツナ「ん?欲しい?」

……。

蜜「やっぱいいです。」

⏰:07/07/09 20:50 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#109 [向日葵]
予想は当たる。

絶対に口移しする気だ。

変態!この人はSで変態!!

セツナ「遠慮するなよ。」

セツナは片手で私の顔を掴む。

蜜「してませんし!」

そんな言葉を無視してセツナの顔はどんどん近づいてくる。

待って!!ここ数日本気でキスする回数が多い!!控えなきゃ読者の皆さんがワンパターンって飽きちゃうって!!(余計なお世話です。)

⏰:07/07/09 20:54 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#110 [向日葵]
セツナの唇が優しく触れる。そしてやがて激しさを増していく。

頭の芯がくらくらする。
無理矢理口を開かれて、甘い固まりが口に落ちる。

セツナ「これで大丈夫だな。」

蜜「ふ、普通に…食べさせてくれたらいいじゃないですか……。」

セツナはおかしそうに笑いながら私の横に一緒になって寝た。

おばあちゃんが私の安静を願って部屋に来ないからいいものの……。
今来てしまったらひっくり返っちゃうかもしれない。

⏰:07/07/09 20:59 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#111 [向日葵]
口の中で雨が溶ける度、なんだか体が元気になってきた気がする。

セツナ「なぁ蜜。一つ尋ねていいか?」

蜜「はいどうぞ?」

セツナは天井に向いていた体を私の方へ向けた。

セツナ「最近女達が「甘い物が好きか」と聞かれるんだが……。何故だ。」

私は目をパチクリさせた。

蜜「長い間人間界にいるのにバレンタインデーも知らないんですか?」

そう世はあと3日ほどでバレンタインデーなのだ。

⏰:07/07/09 21:06 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#112 [向日葵]
今年も全く関係無い行事かと思ったけど、ここ数週間のせいでそうもいかなくなった。

しかも相手人間じゃないし。
おーなんか最近それに慣れちゃってるよー!

セツナ「人間界の記念日など興味ない。」

記念日ではないんだけどねぇ……。

蜜「バレンタインデーと言うのは、女の子が好きな人にチョコレートを渡して想いを伝える勇気がいる日なのです。」

セツナ「ほー。物で釣って気持ちを買う日なのか。」

⏰:07/07/09 21:12 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#113 [向日葵]
コラー!
そんな事絶対言っちゃ駄目ー!!

セツナ「なら俺達には関係ない事だな。」

蜜「そーでもないですよ。恋人同士でも好きって気持ちを再確認する日ですから。」

セツナ「そんなもの確認してどうする。」

ダメだ。
この人Sで変態だけどロマンがない……。

私はこっそりため息を吐いた。
するとセツナは私に身を寄せてキュッと抱き締めた。

⏰:07/07/09 21:18 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#114 [向日葵]
セツナにとってはこれで充分かもしれない。

でも女の子って言うのは、渡すか渡さないかやっぱり迷うものなのだ。

さて……どうしたものか。

――――
――――――

清「そりゃ渡しなさいよ!」

私復活。
昨日の蜜玉が効いたらしい。

蜜「だって相手いらなさそうだから機嫌そこねたらややこしいんだって…。」

⏰:07/07/09 21:23 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#115 [向日葵]
――――――――

今日はここで終ります

⏰:07/07/09 21:27 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#116 [向日葵]
清には前の捜索事件を話していない。
風邪はただ単にひいたものだと言っている。

だから前みたいなご機嫌斜めになると頗るよろしくない。

清「贈り物をして機嫌をそこねるなんて。変わった人ねセツナ先輩。」

だって人間じゃないもん。バレンタインデーをことごとく馬鹿にしてたし……。

清「まぁ、あと2日あるんだし。じっくり考えてみたら?」

蜜「そーするよ。」

⏰:07/07/10 09:49 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#117 [向日葵]
こんな事を毎年この時期になると考えなきゃいけないなんて……恋する女の子達は大変だったのね。

小川「本山……。」

蜜「はい?」

小川「ちょっといい?」

手招きされたので私は戸付近まで歩いて行った。

小川「今日また放課後アンケート結果まとめなきゃいけないんだけど平気?」

蜜「大丈夫だよ。」

なんか小川君ぎこちないなぁ……。
…………あぁ。原因は私か…。

⏰:07/07/10 09:55 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#118 [向日葵]
蜜「……色々と気になさるな若者よ。」

そこで小川君はやっと緊張が溶けたのか笑った。

小川「ハハハ!何それ!じゃあよろしくね。」

蜜「はいはい。」

小川君はホントにいい青年だな。仕事熱心だし……。どっかの邪悪な誰かとは大違いだわ。

……その誰かさんを好きになったのは私だけどね…。
しかも人外。

――――――……

セツナ「またアイツと一緒に残るのか。」

⏰:07/07/10 10:00 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#119 [向日葵]
あぁ…。もはやご機嫌斜め。

只今お食事中……の前に事を説明。

蜜「仕方ないでしょう。私も委員会の1人なんですから。」

セツナ「……。お前は気づいてないのか?」

蜜「はい?何をです?」

するとセツナは満足そうに笑って手を伸ばすと私を抱き寄せた。

セツナ「ならいい。」

『珍しい…。“食べる”前に甘えてきた。』

⏰:07/07/10 10:04 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#120 [向日葵]
セツナ「じゃあ沢山“蜜”をくれたら許す!」

結局それですか。

蜜「素朴な質問なんですが、私が現れる前は食事どうしてたんですか?」

近づいてきた顔を一旦止めてから聞いてみた。

セツナ「春夏秋は花の蜜。冬は蜂蜜を食べてた。」

蜜「どこぞのキャラクターですか貴方は。」

黄色い熊を思い浮かべた。セツナはそれを知らないので顔をしかめてから目を真剣にする。

セツナ「もういいか?」

蜜「駄目と言ってもどうせ「俺の勝手」とか言って無理矢理食べるんでしょう?」

⏰:07/07/10 10:09 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#121 [向日葵]
セツナはクスクス笑って顔を近付けてきた。

やっぱりいくら食事とは言え、この瞬間には慣れない。端正な顔が間近にあると思うと胸の高鳴りは抑えられないし、第一どのタイミングで目を瞑ればいいかも分からない。

私はもうすぐ唇が触れるくらいの時に目を瞑る。
その間は逃れられないセツナの瞳をジッと見つめる。
セツナ「何を考えてるんだ?」

甘く低い声が脳に響き渡る。吐息が顔にかかる。

蜜「乙女の事情をあれこれと……。」

⏰:07/07/10 10:14 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#122 [向日葵]
セツナはフッと笑うと顔を少し傾けて唇を押し付けてくる。

その時点で私はくらくらしてしまう。

最近思う。
“愛のくちづけ”を口実に“食事”してたと前は思ってたけど、この頃はそれが逆なのではないかと。

セツナ……それは只の欲求不満だよ!!

そんな事を思いながらなんとなくまだ唇を塞がれたまま目を開けてみた。

蜜「――!ちょっと!!なんで目を開けてるんですか!!」

セツナを引き剥がして顔が赤くなるのを自覚しながら怒る。

⏰:07/07/10 10:20 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#123 [向日葵]
セツナは口許を隠してクククク笑っている。

セツナ「いや、お前のカワイイ姿を見ておこうと思ってな。」

蜜「――っ!!いい加減にして下さい!!もぅ…教室に戻ります!」

立ち上がろうとしたら腕を引かれた。

セツナ「誰が帰っていいと言った?まだ充分な“蜜”はもらってないぞ。」

蜜「私のかっわいー顔が見れたから充分じゃないんですか?!」

皮肉たっぷりに言ってもセツナには聞かない。
するとセツナはゆっくり瞼を閉じた。

⏰:07/07/11 16:49 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#124 [向日葵]
セツナ「今度は瞑るから。」

……。
え?!つまり私からしろって言うんですか貴方!!

蜜「もーいいじゃないですか!!」

セツナ「蜜。」

はっきり名前を呼ばれて身震いした。
逃げたくても私の考えていることを分かってるように腕を力強く掴んでいる。

蜜「セツナ…っっ!」

セツナ「早くしないと昼休み終るよ?」

蜜「……っ!!」

⏰:07/07/11 16:58 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#125 [向日葵]
何回か深呼吸した後に、唇をキュッと結ぶ。
身をゆっくり乗り出してセツナの顔へ近づく。

『どうしてこんな恥ずかしいことこの人はやって退けるんだろう…。』

そして、唇が触れたと思った瞬間直ぐに離れた。

暑い!!顔が暑い!!!!

セツナは目を開けると嬉しそうに目を細めて笑った。

蜜「も、帰って…いいですか?」

セツナ「あぁ。いいぞ。」

――――!!今分かった…。この人、私からキスして欲しかっただけだ!!

⏰:07/07/11 17:04 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#126 [向日葵]
蜜「セツナのバァァァッカァ!!!!」

走って階段を駆け降りていく。後ろで初めて会った時みたいにセツナが笑ってた気がする。

もぉやだ!!
あんな変態!!

でも知ってる。心の中では徐々にセツナにハマっていってる自分がいる事を。

そんな事を考える自分が更に恥ずかしくなった。

『ひぃぃぃっ!耳が暑いぃっ!!』

教室に着いて机にうつ伏せでいると清が心配してくれたけど、赤い顔をしてる自分を見られたくなくて「大丈夫」とだけ返事をした。

⏰:07/07/11 17:10 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#127 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・

放課後。
小川君と私は教室にいた。

『セツナ帰ったよね…。前みたいな事してくれなきゃいいけど……。』

ってか2月は普通自由登校なのになんでこの学校はみんないるんだろ……。謎……。


小川「俺達の学校は3月からが自由登校らしいよ。」

蜜「……。もしかして、私口に出してた?」

小川「ウン。しかも俺達の学校だけ。大学合格しても勉強しろみたいなんがあるんだって。流石にテストはないらしいけど。」

何そのとって付けた様なめちゃくちゃな規則……。

⏰:07/07/11 17:17 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#128 [向日葵]
ってかセツナはもうすぐ卒業じゃない。
大学とか行くのかな…。

蜜「なんか不敏だなうちの学校……。」

小川「まぁその分自由な面多いけどね!」

あーそうだなぁ。
休み時間お菓子とか食べてても怒られないし。

小川「あ。本山。ここ違う。これはこうしなきゃ。」

蜜「あ、ごめん。ありがとう。」

そういえばバレンタインって友チョコが有りだよね。

⏰:07/07/11 17:22 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#129 [向日葵]
蜜「小川君は甘い物大丈夫ですか?」

小川「ん?大丈夫だけど?」

蜜「なら、バレンタインデーにチョコあげるね!」

ボキッ!!

小川君のシャーペンの芯が勢いよく折れた。
小川君は顔を何故か赤くしている。

小川「な!なんで!!」

蜜「なんで……って……。お友達だから。友チョコってやつですよ!」

小川君は一気に拍子抜けした顔をして「あ、そうだよね。」と顔を更に赤くした。

⏰:07/07/11 17:26 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#130 [向日葵]
小川「か、勘違い…、した。」

蜜「は、はぁ……。」

そしてそれからはカリカリ真面目にアンケート結果を紙にまとめていった。

蜜「ふぅー!終わったぁ!!」

小川「送るよ。」

私の頭にフッとセツナがよぎる。

『帰ってるとは思うけど……。』

蜜「ううん。いいよ。寄るトコあるし。お疲れ様!バイバイ!」

小川「あ、あぁ。バイバイ……。」

⏰:07/07/11 17:33 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#131 [向日葵]
夕闇が迫る校内をカツカツ音を立てながら進む。

馬鹿みたい。
セツナに会えるかもって思っただけで気持ちがはやってしまう。
ワクワクしてしまう。

いつも通り、屋上まで足を運ぶ。
戸の前で一旦立ち止まる。

いる訳……ないって……。
それでもいいかと思い、恐る恐る戸の開く。

カチャ キィィィィ

油切れの戸が、音を立てて開く。

⏰:07/07/11 17:41 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#132 [向日葵]
寒い風が、隙間からサァと流れてくる。

蜜「さ、むー……い。」

そこには、夕暮れで妖しくも綺麗に照らされているセツナがいた。

柵にもたれて寝ている。
寒くないのかな……。

ゆっくりと近づく。

蜜「セツナ。起きて下さい…。」

セツナの体を揺さぶるけどセツナは起きない。

凍死したかしら……。

蜜「セツナ。セツナったら。」

⏰:07/07/11 17:52 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#133 [向日葵]
――――――――

一旦キリます

⏰:07/07/11 17:53 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#134 [向日葵]
なんとなく顔を包みこんでみると

蜜「冷たっ。」

どれくらい此処にいたんだろう。
するとセツナの手が、顔を包んでいる私の手にゆっくり伸びてきた。

セツナ「……ん…。蜜……?」

蜜「蜜じゃありませんよ。こんな寒いところで何してるんですかっ。」

セツナ「お前の手……温かい。」

蜜「当たり前です。こんなトコにいたんですから。」

⏰:07/07/11 18:48 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#135 [向日葵]
なんだか寝ぼけているみたい……。
目半開きだし…。

蜜「帰りますよ。しゃんとして下さい!」

セツナ「んー……。」

そう言うと私に手を回してきて抱き寄せた。

蜜「ちょ、セツナ!」

セツナ「寒いからちょっと温めさせてくれ…。」

蜜「だから先に帰ったら良かったんですよ…。」

まったく。なんでよりによってこんなトコで寝てられるのか…。

⏰:07/07/11 18:51 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#136 [向日葵]
セツナは力を少し入れた。

セツナ「お前は俺の気持ちが分からんか。だから馬鹿なんだ。」

プチッ
もうすでに「馬鹿」が口癖になってしまってる。
あんまり嬉しくないな。

蜜「馬鹿だから分かりませんよっ。」

セツナ「お前と少しでも一緒にいたいからに決まってるだろう。」

そこで私は反論出来なくなった。

さらりとそんなクサイことよく言えるよ。

⏰:07/07/11 18:55 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#137 [向日葵]
蜜「それなら…っもう少しマシなトコにいて下さいよ。」

セツナ「一目散にここに来た癖に。」

耳元でククッとセツナが笑う。それがなんだか心地いい。
あーハイハイ。私が負けで結構です。
……だから

蜜「こんな寒いトコ、早く去りましょう。私も寒くなります!」

セツナ「ならあっためてやるよ。」

蜜「え……?」

セツナは私の耳元に唇を近付けた。

⏰:07/07/11 18:59 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#138 [向日葵]
セツナ「好きだ。」

吐息と魅惑の声が私の耳を突き抜ける。
一気に体温上昇。熱をぶり返しそう。

セツナは体を離してその効果を見てみる。
見なくても分かるだろうに……。
私の体を支える力が一気に無くなった。

蜜「み、耳…っ、耳元で……囁かないで下さいよっ……!!」

セツナ「クククク…。でも体は温まっただろ?ならいいだろ。」

「それに」とセツナは続けた。

セツナ「お前はからかうと可愛いからな。」

⏰:07/07/11 19:14 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#139 [向日葵]
―――!!!

頼むからもう止めて……。

蜜「体……温まったんですから帰りますよ……っ!」

セツナ「クスクス。ハイハイ。じゃあ、空中散歩は如何かな?花嫁殿。」

蜜「寒いのに余計寒くしてどうするんですかっ。」

セツナの背中辺りが微かに光を放つ。

セツナ「心配ない。また、温めればいいだけの話だ。」

そしてその魔法にまんまとかかるのがこの私。
……なんか不公平な気がする。

⏰:07/07/11 19:29 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#140 [向日葵]
セツナに抱きかかえられ、私は宙へと舞っていく。

あ。

蜜「セツナ降ろして!靴履き替えてない!!」

セツナ「気にするな。俺が明日向かえに来てやる。」

えー。

すっかり夜になった街並みは、光が点々としていた。

蜜「綺麗……。」

セツナ「嬉しいか。」

蜜「すごく。」

⏰:07/07/11 19:34 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#141 [向日葵]
セツナ「ならこれは俺からのバレンタインデーだ。」

蜜「はい?!バレンタインデーは普通女の子からであって」

セツナ「男から送っちゃ駄目だなんて決まりはないだろ?」

う……。それを言われると苦しい。

蜜「セツナは……。何かいりますか?」

とりあえず聞いてみる。
……セツナの答えなんか目に見えてたけど。

セツナ「お前がいるならそれでいい。」

⏰:07/07/11 19:38 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#142 [向日葵]
ホンットこの人は……甘いセリフをここ数日で16年分聞いた気分だ。

蜜「せめて何か送らせてください。私には飛んでこんな景色見せてあげれること出来ないんですから。どうぞなんでも。」

“なんでも”と言ったのを後で後悔してしまった。
セツナはニヤッと笑った。

セツナ「なんでも?」

蜜「はぁ、まぁ、出来る限りで……。」

セツナ「少し時間あるか?」

蜜「ありますけど?」

⏰:07/07/11 19:43 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#143 [向日葵]
セツナはしっかりと私を抱きかかえて山へ入って行くと、あの教えてくれた場所に来た。

太めの枝に座ると、セツナが抱き上げて私を自分の方に向かせた。

セツナ「なんでも……だな?」

蜜「はぁ。」

セツナ「出来る限り。」

蜜「何ですか。」

まるで嘘偽りがないか確認している様に私が言った言葉を繰り返す。

セツナ「では蜜から……“愛のくちづけ”をしろ。」

⏰:07/07/11 19:48 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#144 [向日葵]
……。

私、そろそろ耳掃除しなきゃいけないかしら。今なんて?

私から?“愛のくちづけ”?あんな恥ずかしいことをまたしろと……?

蜜「ぅえぇぇぇぇぇっっ?!?!」

叫びがこだまする。
風で木樹が揺らめいた。

蜜「貴方あのこっ恥ずかしい事をもう一度しろとおっしゃいますかぁぁぁぁ!!!!」

セツナ「なんでもと言ったのはお前だろ。」

⏰:07/07/11 20:19 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#145 [向日葵]
セツナは腕を組んで私を睨む。その目はどこか得意そうだ。

蜜「言った……て……言いましたけど…っ!!!!貴方どんだけキスがお好きなんですかぁぁっ!」

セツナ「馬鹿か。蜜との距離がなくなるから好きなだけだ。」

蜜「だ、ど、う……っ!」

もう言葉が出てこない。
仕方ない。約束は約束。

蜜「じゃあこれだけは守って下さい!目・を・絶・対粒って下さいね!!」

セツナ「それごとき守ってやるさ。ホラ。」

⏰:07/07/11 20:29 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#146 [向日葵]
そう言ってセツナは目を瞑り私を待った。

その目の前で私はしどろもどろしていた。
どうすればセツナが満足してくれるだろう……。

昼間みたいなのでいいか。

結論付けて私は身を乗り出し、ぎこちなく唇を当てた。

そして離れる。

するとセツナが口を開いた。

セツナ「それで、俺が満足するとでも?」

蜜「努力を認めて下さいよ……。」

セツナ「やり直し。ハイ。」

⏰:07/07/11 20:38 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#147 [向日葵]
蜜「セーツーナー……。勘弁して下さいよー…。」

するとセツナは目を閉じて口パクで「嫌だ。」と答えた。

セツナ「しなきゃ帰らん。」

それは困る。なんせ地上から何10mのこの位置から降りれる訳がない。

仕方ない。やるしかない。

鼓動がうるさい。
何故か小刻みに震えている手で整ったセツナの顔を包む。

そして唇に触れる。
と、その時。

蜜「!ちょ、セ……ッ!!」

⏰:07/07/11 20:45 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#148 [向日葵]
セツナの左手が腰に、右手が頭を掴んで、簡単に離れない様にがっちり捕まった。

体が言う事を聞かない。
何も考えられなくなって自分の手がどこにあるのかもわからなくなってきた。


蜜「セツ……ッナ……。」

角度を返る少しの間に名前を呼んでみるも止めようとしないセツナ。

『ちょっと…っっ!!ホント待ってー!!!!』

そう思った瞬間、やっと解放された。

⏰:07/07/11 20:51 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#149 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/11 20:55 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#150 [まな]
ぁげ向日葵サンがんばれ

⏰:07/07/11 22:31 📱:D902iS 🆔:qdvZRzOU


#151 [向日葵]
まなさん

ありがとうございます

⏰:07/07/11 22:52 📱:SO903i 🆔:cziG/xIA


#152 [向日葵]
蜜「い、息…出来な……っ。」

セツナ「当たり前だろ。そーゆーもんなんだから。」

若干半泣きになってしまう。まだ近くにあるセツナの顔から距離を置こうと思っても腰にある手が離してくれない。

蜜「ちょっとは距離を下さいよー…っ!」

セツナ「お前は少し慣れる必要があるだろ。じゃなきゃいつまで経っても俺は我慢しなきゃならん。」

いや我慢してないじゃん。

⏰:07/07/12 09:55 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#153 [向日葵]
仕方ないのでせめてセツナから顔を背ける。
左に視線をやると灯台がチカチカしていた。

蜜「あ!今何時だ!」

制服のポケットから携帯を探す。
しかしセツナがその手を止める。

セツナ「もう帰るとか言わないよな?」

蜜「言いますよ。何言ってんですか。」

セツナ「もう少しいいだろ。」

と言って私を抱き寄せる。

⏰:07/07/12 10:00 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#154 [向日葵]
なんなのこの人は……。

自分勝手だと思ったら甘えてきたり、かと思えば襲ってきたり。

私はそんなに順応性ないんだから!!もうちょっと考えてよ!!

……わかりましたよ。私が引けばいいんでしょ?

蜜「もう少し一緒にいたいならば連絡ぐらいさせて下さい。じゃないとおばあちゃんが心配しちゃいますから。」

セツナが素直に離してくれたおかげで私は携帯を取り出しておばあちゃんに連絡することが出来た。

⏰:07/07/12 10:08 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#155 [向日葵]
おばあちゃんには委員会の仕事で遅くなると言った。「それなら気を付けてね」とあまり追及されなかったからホッとした。

ピッ

蜜「これでいいですけど?」

セツナ「あぁ。なら、おいで蜜。」

セツナが手をひろげる。

イヤ逆でしょう。貴方がもう少しと言ったから私は連絡したのに“おいで”とな!

蜜「私が希望した訳じゃありませんけど?」

セツナ「おいおい蜜。お前いい加減気付かないか?」

⏰:07/07/12 10:13 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#156 [向日葵]
蜜「気づく?」

セツナはニヤリと笑うと私の手を取って手の甲に唇を押し付けた。

セツナ「お前はもう俺を求めてるんだよ。」

カアァァァァァ!

赤くなりすぎて逆に冷や汗をかいてしまう。

蜜「なんっ、な、何を!」
キスされた方の手を引っ張ってセツナの顔がまた近くに来る。

セツナ「なんだ。屋上まで息を切らして来たんだろ?」

⏰:07/07/12 10:16 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#157 [向日葵]
……。

!! ま、まさか……。

蜜「タヌキ寝入りしてたんですねっ!!」

セツナが声をあげて笑う。
恥ずかしい!ワクワクしながらセツナを探してた自分を今でも思い出せる。

セツナ「で、違うのか……?」

蜜「―――っ。ち…。違いません……。」

セツナの目が、意地悪な雰囲気から優しい雰囲気に変わる。
いつもこんな目をしてたら私だってもっと素直なのに……。

⏰:07/07/12 10:20 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#158 [向日葵]
セツナ「なら…。」

セツナがオデコに唇を触れる。

セツナ「いいだろ?おいで。」

私は少しまだ抵抗したかったけど、その温かさかに冷たくなった体を埋めたくて、セツナの胸に飛び込んだ。

予想よりは冷たかったけど、2人で温め合えばさほど問題なんかなかった。

こうして私の初めてのバレンタインデーは、当日前に終ったのだった。

⏰:07/07/12 10:24 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#159 [向日葵]
チャプター3:矢先




蜜「服…。何着て行こう。」

こんばんわ。
私は本山蜜。極々普通の女子高生ですが…私の恋人は、誰にも言えない秘密があります。

ガチャ

セツナ「オイ蜜。まだか。」

蜜「セツナ、シーッ!」

窓から登場したのが言ってた恋人、セツナです。

⏰:07/07/12 10:28 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#160 [向日葵]
――――――――

キリますね

⏰:07/07/12 10:28 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#161 [向日葵]
今は夜中の2時。
明日は土曜日。
今から何しに行くって?

実は!今日3時に獅子座流星群が見れちゃうんです!!それを今日のお昼セツナに行ってみたら

セツナ[見に行くか?]

マジッスか!

……っと言う訳です。

今日は丘の方に行くとか言ってる。
しかし……何を着て行こう。とりあえずあったかい格好をして行こう。

ジーパンに長袖Tシャツを着てその上に上着を羽尾ってマフラーを巻き、毛糸の帽子を被った。

⏰:07/07/12 17:13 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#162 [向日葵]
セツナ「ホラ、掴まれ。」

私はセツナに抱きついた。外はキンとした寒さだ。

ハァと息を吐けば白くなる。ってか……。

蜜「セツナ。それだけで寒くないんですか?」

セツナはジーパンに黒いタートルネック……のみ。

セツナ「あんまり。」

さすが人外。

綺麗な人はびっくりするぐらい黒が似合うから困る。
制服じゃないその姿はカッコ良さが増す。

⏰:07/07/12 17:19 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#163 [向日葵]
セツナ「蜜?」

何も話さない私に異変を感じたのかセツナが私の名前を呼んできた。

蜜「なんです…?」

セツナ「珍しく大人しいな。」

蜜「失礼ですね。私は何時だって大人しいですよ。」

セツナは「それはすまなかった。」と言いながら笑う。

格好がどうであれ口の悪さは変わらないらしい。

・・・・・・・・・・・・・・・

夜明け前の街はシンとしている。灯りは街灯のみ。
それもなんだかいい感じだ。

⏰:07/07/12 17:24 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#164 [向日葵]
蜜「こんな時間に起きて眠くならないんですかセツナ。」

セツナ「俺達の睡眠は短時間でいいんだよ。人間みたいにグースカ寝てられるか。」

ヒラヒラするセツナの漆黒の羽から風が来て思わず震えた。

セツナ「寒いのか?」

蜜「大丈夫ですよ。」

セツナは腰に回していた片方の手を肩に回して抱きしめる様にしてくれた。

『あったかい…。』

それだけでまだ起ききってない脳には充分で、私は睡魔に襲われた。

⏰:07/07/12 17:34 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#165 [向日葵]
目をトロンとさせたのを発見したセツナはニヤッと笑った。

セツナ「寝たら襲うぞ。」

その瞬間目をパチッと開かせた。

セツナ「いいんだぞ?寝てても。」

蜜「いえバッチシ覚めましたんで。」

セツナ「ククッ。それは残念だ。」

まったく……。

セツナ「嘘だ。襲わないから寝てていいぞ。」

と言って頭を撫でてくれた。

⏰:07/07/12 17:44 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#166 [向日葵]
――――――――

更新は明日の夕方します

⏰:07/07/12 22:40 📱:SO903i 🆔:nxiPv1n6


#167 [ちあき]
あげ

⏰:07/07/13 08:18 📱:P902iS 🆔:6jxmiI6k


#168 [向日葵]
ちあきさん
あげありがとうございます

――――――――

蜜「ホントに…何もしませんか?」

セツナ「期待してるんだったら期待に沿うけど?」

私は首をブンブン振る。
朝から心臓に悪い事は出来るならば止めて欲しい。

「じゃあ」とセツナがオデコにに頬をくっける。

セツナ「寝ていいから。」

今日は私が朝早くだから弱っているせいか、いつになく優しい。
その優しさが嬉しくて、微笑みながら私は目を閉じた。

⏰:07/07/13 16:47 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#169 [向日葵]
空を飛んでるって言うのにあり得ない安心感が私を包んで私は眠りに落ちた。


――――――……

セツナ「……つ。蜜。」

蜜「ん……。んー…セツナ……?」

セツナ「着いたぞ。起きろ。」

顔にかかった髪を優しく払いながらセツナが微笑む。眠たい目を擦りながら回りを見渡すと、山中にぽっかり穴が空いた様な草原にいた。
数千個の星が、まだ明けきらない空に瞬いている。

⏰:07/07/13 16:53 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#170 [向日葵]
携帯のサブディスプレイを光らせて時計を見ると、2時45分。

あれから結構飛んでいたんだ。

蜜「セツナ。疲れていませんか?」

セツナ「平気だ。その気になれば特急で日本一周は夢じゃない。」

そりゃまぁ凄いことで。

草原に腰を降ろして夜空を見上げていると、隣に座ったセツナが聞いてきた。

セツナ「そーいえば…。お前なんで敬語なんだ?」

別に深く考えた事はなかった。私は目をパチクリさせた。

⏰:07/07/13 16:58 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#171 [向日葵]
蜜「それはぁー…。多分セツナが年上だから癖づいちゃったんだと思います。」

セツナ「ふーん。そんなのいらないのに。今から普通に話せよ。」

蜜「そんな急に出来ませんよ。“親しき仲にも礼儀有り”ですよ。」

「ほぉん」と言ってセツナは夜空を見上げる。
私もそれに習う。

セツナ「これ見終った後にこのまま出かけないか?」

蜜「あー…。せっかくですけど駄目なんです。おばあちゃん達がくじ引きで旅行券が当たって今日からいな……。」

⏰:07/07/13 17:03 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#172 [向日葵]
ハッ!!!!

しまった……。
コレを言ってはいけなかった!

だってこんなことを言ったらセツナは……。

チラリとセツナを見ると暗がりでも分かるセツナの意地悪そうなあなニヤッとした顔が見えた。

セツナ「へぇー…。じゃあお前今日からしばらく家1人なんだ?」

蜜「いや、でも、親戚が心配して来、た、り……。」

⏰:07/07/13 17:07 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#173 [向日葵]
セツナ「決めた。これが済んだらお前ん家に行く。」

ホラ―――――!!!!
やっぱりこうなった!
だから困るんだよ!!

しばらくの間セツナと2人っきりで過ごすなんて自殺行為なんだよ!(心臓動きすぎで)

蜜「私1人なんて慣れてますからいいです!お気になさらず!」

セツナ「なら2人になれてもらおう。」

セツナの顔が20センチくらい先に近づいてきた。

近付かないで…っ!意識が遠のいくから!!

⏰:07/07/13 17:11 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#174 [向日葵]
蜜「そ、ん、……な……。」

言葉を発している内にもセツナはどんどん近づいてくる。
静かな山の中で鼓動が響いてしまいそうだ。

蜜「セツナは帰って大丈夫ですから!」

セツナ「もう黙れ。」

そう言って更に言おうとした私の口を塞ぐ。
冷えてるのかセツナの唇が冷たい。

セツナの唇の温度を感じてる自分が恥ずかしくなった。

優しいキスが終ると、視界の隅に何かが走った。

⏰:07/07/13 17:15 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#175 [向日葵]
蜜「……?何…っあぁ!!」

上を見上げると星がいくつも空を流れていた。
流星群だ。

蜜「うわぁー!!きっれー!!」

セツナ「ほー。中々だな。」

蜜「中々なんてものじゃありませんよ!」

複数の流星は後から後から止むことなく流れていく。
私はそれを見つめ続けた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

やがて流星群は去ってしまい、空も少し明るくなっていた。

蜜「あー。終わっちゃいましたねー。セツナ。帰りましょう?……。セツナ?」

⏰:07/07/13 17:21 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#176 [向日葵]
セツナは私をジッと観察していた。

蜜「セツナ。流星群見てました?」

セツナ「いいや。あまり。」

蜜「ど、どうしてですか?!次いつ見れるか分からないんですよ!」

セツナ「いつ見れるか分からない物を必死に見てる可愛らしいお前もいつ見れるか分からんだろう。」

しれっと言ってのけるセツナに私は顔がぽかんとなってしまった。

信じられない…。あんな綺麗な物より私の顔を見る方が楽しいと貴方は言うか……。

⏰:07/07/13 17:25 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#177 [向日葵]
蜜「やっぱり貴方は変わってますね…。」

セツナ「お褒め頂き光栄です花嫁殿。」

いや褒めてないし。

蜜「とりあえず帰りましょう。セツナお願いします。」

セツナ「了解。」

セツナはまた私が寒くない様に抱き締めてふわっと浮いた。

浮かんでからここ一体がほとんど山であることがわかった。

ってかここどこ……。

⏰:07/07/13 17:29 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#178 [向日葵]
セツナ「蜜。少し飛ばしてもいいか?住んでる街より少し離れてるんでな。」

あぁ、そうでしょうともそうでしょうとも。
だっと知らないもんこんな場所。

だけど私はシオイさんに運ばれた時の事を思い出して「う゛っ」と唸った。

セツナ「どうした?」

蜜「ほんの少しにして下さいね。私は貴方と違ってかよわーい人間なんですから。」

セツナは声をあげて笑うと安心させる様に背中をポンポンと叩いた。
大丈夫と言ってるらしい。

⏰:07/07/13 17:33 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#179 [向日葵]
セツナにしっかりしがみつく。それを認めたセツナはフワッと更に浮くと空を駆けていった。

・・・・・・・・・・・・・・・・

蜜「あ、家。」

家に着く頃には空が赤くなり始めていた。

窓を開けるとセツナは部屋に私を降ろしてくれた。

蜜「じゃあ、今日はありがとう…っんぶ!」

セツナがいきなり鼻を摘んだ。

蜜「らんらんえふはぁー!(何なんですかぁー!)」

セツナ「お前忘れた訳じゃないよな?」

ぎくっ

⏰:07/07/13 17:38 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#180 [向日葵]
ちっ…。忘れたと思ったのに……。

鼻を摘んでいるセツナの手を外して私はシラを切った。

蜜「何がです?早く帰らないと新聞配達の方に見つかりますよ?」

セツナ「ほーぉ。俺に嘘をつくとは…。いい度胸だな?蜜…。」

あ、ヤバイ……。これはヤバイ。なんかされる。

しかし助かった。
自分の部屋に近づく足音を私は聞いたからだ。

蜜「だ、誰か来ましたから、とりあえず部屋を出て、くださいっ!」

⏰:07/07/13 17:43 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#181 [向日葵]
無理矢理セツナを外に押し出して素早くだけど静かに窓を閉め、カーテンを閉め、ベッドに潜りこんだ。

10秒後。

コンコン。 カチャ。

祖母「みっちゃん。」

蜜「ん……。あ、おばあちゃん。」

さも寝ていた様に振る舞いながら起きる。

祖母「じゃあ行って来るけど…くれぐれも気を付けてね。」

蜜「ウン。大丈夫。楽しんで来てね!」

おばあちゃんはにっこり笑うと「じゃあね」と言って戸を閉めた。

⏰:07/07/13 17:47 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#182 [向日葵]
しばらくすると玄関の戸が閉まる音がした。

それに耳をすませながら、ベッドでしばらくじっとしておく。

『セツナ…帰ったかな。』

カーテンをシャッと開けても何時もの街並みが広がっているだけ。

ホッとして窓を開けた。
その瞬間気付いたら天井だった。
そして目の前には

蜜「セ、セツナ!びびびびっくりするじゃないですか!!」

セツナ「お前……よくもこの俺を邪魔扱いしたな……。」

⏰:07/07/13 17:51 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#183 [向日葵]
蜜「仕方ないでしょ!おばあちゃんが来るって言うのにフワフワ浮いてる貴方がいたら、おばあちゃん今頃病院ですよ!」

セツナ「邪魔扱い+シラを通そうとした罰を与えなければなぁ……?」

ば、罰……っ?!

セツナの目がキラリと光った。

セツナ「老人がいないのは如何程だ。」

老人って……間違ってはいないけど。

蜜「4日くらい、ですけど……。」

⏰:07/07/13 18:09 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#184 [向日葵]
――――――――

ちょっとストップしますね

⏰:07/07/13 18:10 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#185 [向日葵]
セツナ「ならその4日間、俺はここに住む。」

蜜「はいぃぃ?!貴方何を口走ってるんですか!」

セツナ「罰だと言っただろう。」

いや罰は罰でもタチが悪いって。

セツナ「お前に拒否権はない。当然だよな?」

横暴――――!!!!!
Sエロ蝶々――――!!!

なぁんて……口が避けても言えないけどね。

蜜「わっかりました!ご勝手に!とりあえず退いて下さい。」

セツナ「蜜。今何時か知ってるか?」

⏰:07/07/13 19:00 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#186 [向日葵]
押し倒されたまま部屋の時計を見る。

5時過ぎくらいだ。

蜜「……それが…、何か?」

セツナ「俺達の朝って言うの早くてなぁ。」

ようするに何が言いたいんだろうか……。

セツナは上唇をペロッと一舐めした。
その行動で分かった。

セツナ「朝飯の時間だ。」

近づいてくり顔をガードして私は言った。

蜜「私がいない時みたいに花か蜂蜜を食べてくださいよ!蜂蜜なら家にありますし!!」

⏰:07/07/13 19:06 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#187 [向日葵]
セツナはガードしてる私の手を掴んでじんわり力を入れていくと私の顔の隣へどかした。

もう抵抗できない。そう悟った。

セツナ「極上の蜜乙女が目の前にいるのにあんなチンケな物食せるか。」

そう言うと唇を押し付ける。これも罰だと私はその時思った。

蜜「……っ。…っ!!」

私はびっくりして身を硬くした。
何かが……口の中で……動いてる……っ!

それは紛れもなく、セツナの舌だ。

⏰:07/07/13 19:13 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#188 [向日葵]
口内を容赦なく荒らす。

蜜「ぅぅ……っ!ハァ!」

やっと唇を離した。
息苦しくて涙目になる。

蜜「な、……んて…こと……!」

セツナ「朝は血糖値を上げなきゃいけないんだぞ?なら沢山蜜を貰う他ないだろう。」

なんでこの人息上がらないんだ…っ!
ってかディープ初めてだったのに!!

なんだか知らないけど涙がボロボロ出てきた。

セツナ「み、蜜っ?!」

セツナは私の泣き顔に虚を突かれた。

⏰:07/07/13 19:24 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#189 [向日葵]
ショックだったのかもしれない。
初めてのキスもディープも、全て食事の為に済まされたから。

蜜「こーゆーのは嫌いなんだって言ったじゃないですかっ……。」

荒く声を出すものの、しゃがれた声になってしまう。

セツナ「す……すまん。」

ゴシゴシ涙を拭いて勢いよく立つ。

蜜「着替えます。部屋から退場して下さい!」

この時ばかりはセツナは戸を開けて出て行った。

⏰:07/07/13 19:30 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#190 [向日葵]
パタンと戸を閉めてから私はクローゼットをあさった。

ダメだ。
セツナが来てからというもの、セツナに翻弄されっぱなしだ!

こんなの私じゃない!!
こんなラブラブ甘々ムードおかしい!!
もっとしゃんとしなきゃ!

そう思いながら外に着た服よりもっとラフな格好になった。

バタン!

ドアを開けるとすぐそこにセツナがいた。

セツナ「蜜。」

苦渋に満ちた端正な顔と魅惑の声に、さっきの決意がグラッて揺れる。

⏰:07/07/13 20:01 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#191 [向日葵]
私は背筋を伸ばしてセツナを見る。

蜜「今からわ・た・しの朝食を作るので、退いてください。」

セツナは道を開けると階段を降りる私の後を付いてくる。

嫌味も込めてホットケーキを焼いてやる事にした。
蜂蜜をこれでもかってくらい大きな音を立てて置く。

セツナ「蜜。悪かったって。」

私の機嫌が直らなくて少々困っているらしい。
でも困ればいい。私はいつもセツナに困らされてばっかりなのだから。

⏰:07/07/13 20:14 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#192 [向日葵]
蜜「調理中です。話かけないで下さい。」

そう言うとセツナは逆ギレかの様に眉をぎゅっと寄せて椅子に足を組んで座り、勝手にテレビをつけた。

今の時間はあまりいい番組はやってないって。

そう思いながらジューと焼けていくホットケーキを待つ。

……。

さて完成。
蜂蜜を取ってホットケーキにまんべんなくかける。

そして食べる。そんな姿をセツナはテーブル越しに頬杖を付いて見つめる。

⏰:07/07/13 20:21 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#193 [向日葵]
私はため息をつくとセツナを見た。
まだ何か気に入らない様な顔つきだ。

イラッ

怒りたいのはこっちだってば!

蜜「何なんです?」

セツナ「お前が何も分かってないからイライラしてるんだ。」

蜜「じゃあどーぞお帰りくださいよ。大体、何も分かってないのはどっちですか。」

セツナ「蜜。」

あの魅惑の声が真剣味を帯びる。

⏰:07/07/13 20:42 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#194 [向日葵]
口に運ぶ為にフォークに突き刺したホットケーキがポトッとお皿に落ちる。

蜜「ハァ……。なんですか?」

ナイフとフォークを置いてセツナを見つめる。

セツナ「突然あんなことをしたのは謝る。……だがな。お前は勘違いしている。」

私は顔をしかめた。
勘違い?

蜜「何をです?」

セツナはテーブルの向こうから手を伸ばし、私の顔に触れる。

セツナ「お前は、さっきのキスがホントに食事の為のものと思ってるのか?」

⏰:07/07/13 20:49 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#195 [向日葵]
貴方がそう言ったんでしょうよ。

蜜「そうですけど?」

セツナ「それが勘違いなんだ。俺は……お前をもっと側に寄せたいんだ。なのに……お前は俺とのキスを極端に嫌がってる。」

いや喜んでやってたら私まで変態になっちゃうじゃないですか。

内心突っ込みを入れながらセツナの話を黙って聞く。

セツナ「だから知らしてやりたかったんだ。俺がどれだけお前を……求めているか。」

⏰:07/07/13 20:55 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#196 [向日葵]
セツナの熱い視線が私を突き刺す。

蜜「私は……っ。こんな自分が嫌なんです。……セツナのキス一つで馬鹿みたいに悩む自分が……。」

まるで私じゃないみたいで。

セツナが私の隣へやって来て立ったまま私の頭を抱き締めた。

セツナ「それが普通だと思う。俺だって蜜が現れるまで他人を求めることなんてなかった。」

セツナの方が人間の心理を分かっている様で何か悔しかった。

⏰:07/07/13 21:00 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#197 [向日葵]
セツナはしゃがんで私を見つめる。

私の好きな、あの優しい目。

セツナ「蜜。お前は俺が好きか?」

改めて聞かれると恥ずかしいし言いづらい……。
私は小さく頷いた。

するとセツナは満面の笑みを浮かべる。

セツナ「だからもう少し俺に近づいてはくれないだろうか。」

私は一瞬どうしたらいいか迷って、おずおずと手を伸ばしてセツナの首に巻き付けた。

⏰:07/07/13 21:10 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#198 [向日葵]
まるで迷子の子供みたいにぎこちなく、それでもギュッと力強く。

セツナもゆっくりと背中に手を伸ばしてきて抱き締める。

決心するのを誤ったかもしれない。
全く意味が無くなった。
恋人同士になったからにはこーゆー雰囲気がつきものなのかも。

ってか朝っぱらから私達は何をしてんだ何を!!
普通こーゆーのが高ぶるのは夜であって!
嫌夜も困るけど!!

とか思いながらも心地よいセツナの腕からは逃れられないのだった。

⏰:07/07/13 21:27 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#199 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

次は明日の朝にします

⏰:07/07/13 21:28 📱:SO903i 🆔:ceGDlScE


#200 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・

ブイーン

時間も経ち、完璧な朝になったトコで私は家事を始める。

普段おばあちゃんが掃除してくれてる分、必死になるほど掃除機をあちらこちらにかける必要はなかった。

セツナ「みーつー。そんな事してないで出かけないかー?」

蜜「あのねぇ…。おばあちゃんがいない間は私が家を守らなきゃいけないんですよ?おばあちゃんが帰ってきてゴミだらけ埃だらけだったらいけないでしょう……。」

⏰:07/07/14 09:34 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#201 [向日葵]
セツナ「俺は暇を持て余してるんだけどなぁ…?」

ハァ…。

カチ。 シュゥゥゥン。

掃除機のスイッチを切った。
ソファにダラァッと座ってるセツナの前に立って私はあることを言った。

蜜「ならば…。セツナも家事を手伝ってくれたらどうです?」

セツナ「は?」

蜜「2人でやれば2倍速で終りますから。」

なんてね。
王様暮らしをしているセツナに人間界の大変さを知らせてあげようではないか!!

⏰:07/07/14 09:42 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#202 [向日葵]
セツナ「まぁいいだろう。」

ハハハ!(罠に)かかったぁ!!

蜜「では、私は洗濯機回してきますから、庭の手入れをしていただけますか?」

セツナ「あぁ。いいとも。」

ウキウキウォッチングの時間はまだですよー。

洗濯機に服を掘り込んで洗剤を入れる。
スイッチオン♪

ゴゥン ゴゥン

セツナ[俺はお前を求めている。]

セツナの言葉を急に思い出してヘナへナとその場に崩れ落ちた。

⏰:07/07/14 09:48 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#203 [向日葵]
4日間と正直に言うべきではなかった。

朝から晩まで寝ても覚めても甘い言葉と愛のくちづこ(+食事)が続くと思うと体がもたない。

また早朝みたいなキスをされたら?
頭の理性が一気に飛ぶくらいセツナに夢中になりそうで怖くなる。

ピー

いつの間にか洗濯が全て終わってしまったらしい。
籠に入れて庭へ行こうとリビングを通る……と。

セツナがさっきと変わらずソファに座っていた。

⏰:07/07/14 10:00 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#204 [向日葵]
蜜「セツナ?庭掃除は?」
セツナはソファの背もたれに首をもたげて逆さに私を見る。

セツナ「終ったが?」

嘘だ……。
ウチの庭って結構広くて、終るには2時間はいる。

籠を床に置いて庭への窓をガラガラと開ける。

蜜「えぇー?!」

芝生は一寸の狂いもなくピシッと揃ってるわ植木は綺麗に切り揃えてるわ……。
蜜「なんで……。」

庭を見つめたままアホッぽい声で私は呟いた。

⏰:07/07/14 10:07 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#205 [向日葵]
セツナ「風に頼んだんだ。アイツらは従順な俺達の僕だからな。」

しまったぁ…。この人には魔法みたいなそんな力があることを忘れていた。

蜜「今度から庭掃除する時はセツナがいりますね…。」

セツナ「俺は芝刈り機扱いか。」

リビングに戻って籠を持ち、庭へ出る。

セツナ「干すのを手伝ってやろうか?」

今度は何をするんだろ……。好奇心を掻き立てられた。

⏰:07/07/14 10:14 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#206 [向日葵]
蜜「お願い出来ますか?」

頼むとセツナはニヤッと笑って指をパチンと鳴らした。

フワァー……

柔らかい風邪が吹いてきて籠の中の洗濯物を宙に舞わせると、ハンガーに通したり洗濯バサミに挟んだりした。

蜜「あ!」

よく見ると小さな妖精みたいなのが何人(匹?)かいた。

全てが干し終えた。

蜜「あ…あの、ありがとう!」

⏰:07/07/14 10:18 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#207 [向日葵]
すると妖精達が私の方を向いてニコッと笑うと風が頬を撫でた。

妖精達が私の頬にキスして帰っていったらしい。

蜜「……ミ、ミラクルファンタジー…。」

まさか妖精を見れるとは…私まだネバーランドに行けるのかもしれない。

セツナ「よし。これで出かける事が出来るな!」

蜜「えー…。また着替えるのー…。」

面倒くさい…。
大体セツナの隣に立つにはそれ相応な格好をしなきゃいけない……気がする。

⏰:07/07/14 10:23 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#208 [向日葵]
蜜「もー今日は家にいましょうよ…。明日ありますし。」

あ、自分で明日とか言っちゃった。

セツナはそれに気づいてニコォッと笑った。

セツナ「それもそうだな。今日は家にいる。」

と言うとソファに寝そべって目を閉じた。

蜜「?眠たいんですか?」

セツナ「蜜の家の音を聞きたいだけだ。」

なんじゃそりゃ。

⏰:07/07/14 10:29 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#209 [向日葵]
黄昏たいのかな。

蜜「じゃあ私は洗い物してきます…ねぇっ?!」

腕を引っ張られた。
危うくソファ前のテーブルに頭を打つトコだった。

蜜「あ、あぶ!あぶっ!セツナ!危ない」

セツナ「スー…。スー…。」

ね、寝てる…。
瞬間的に……。さっき寝ないって言ったくせに!!

寝ても尚、掴んだ手は離れない。

『側に……いて欲しいのかな……。』

⏰:07/07/14 10:33 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#210 [向日葵]
もうっ!調子狂うなぁ!!

でも胸がキュウッと痛い……。

大きな手……。骨張ってる。
綺麗な黒髪……。やっぱり誰かに手入れされてるのかな。

隈無く私は寝てるセツナを観察した。
確かにこれだけ全て完璧なら人外なのも納得出来る。

そして私はある一点に目が行った。
見るんじゃなかった……。

それはセツナの唇。

⏰:07/07/14 10:39 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#211 [向日葵]
顔赤くなるな赤くなるな!!と念じても無駄な抵抗。
一気に赤味が差していく。

綺麗に形どられた唇を私は見つめる。
この唇にいつも……。

カアァァァァ!

私は頭をブンブン振った。振りすぎてくらくらするくらい。

そしてやっぱり目は唇に。

蜜「タヌキ寝入りしてませんよねぇ……?」

セツナ「スー……。スー……。」

⏰:07/07/14 10:44 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#212 [向日葵]
寝ていると信じて空いてる手をあげると、指先で唇をスッとなぞる。

―――ドクン…。

セツナ[お前は俺を求めてるんだよ。]

―――ドクン…。

バレンタインデーの時のセツナの言葉が頭をよぎる。
―――ドクン…。

私は引き付けられる様にセツナに近付いた。
一瞬、寝てるセツナを見つめてから自分の唇をそっと付けた。

―――ドクン…。

⏰:07/07/14 10:51 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#213 [向日葵]
そして離れる。

セツナは未だ寝息を立てている。

蜜「――――っ!!!」

私――っ。何した今……。
自分から……進んで……。―――そんな!!まさか!!
あれほど変態にはなりたくなかったのに!

腕はまだ掴まれている。
私は自分でも気付かないくらい引き返せないトコまで来てる。

まだお泊まり始めて数時間。その矢先に私はセツナに対しての自分を再確認してしまった。

もう、抑えるなんて事…私には無理なんだ…。

⏰:07/07/14 10:58 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#214 [向日葵]
――――――――

一旦キリまぁす

⏰:07/07/14 10:59 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#215 [向日葵]
チャプター3:様子



俺はセツナ。

話してなかったけど黒蝶族の長息子。自然界で結構上の地位にいる存在だ。

そんな俺は蜜と言う運命の相手、“蜜乙女”の恋人である。

今回俺が主人公になった訳はその蜜の様子が昼寝から覚めた時からおかしい。

無意味に顔が赤いし、なんだかギクシャクしている。……まぁ可愛らしくて非常に結構なんだかなんだか気にくわない。

セツナ「おい蜜。」

蜜「は、はい!」

⏰:07/07/14 13:08 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#216 [向日葵]
何故ビクッとする……。

セツナ「さっきからなんだその態度は。」

蜜「別に…?何でも……。」

そそくさと台所に行くと冷蔵庫を開け閉めしながら具材を取り出す。
どうやら昼食を作るらしい。

蜜は俺と目が合うとまた顔を赤らめてプイッと顔を背ける。

ほほう?

俺は蜜に近付いた。
その気配を感じとった蜜は固まってそろそろとこちらを向く。

⏰:07/07/14 13:13 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#217 [向日葵]
蜜の顎をクイッと上に向かせて俺は蜜を見つめた。

セツナ「お前にそんな態度を取られる意味が分からんのだが?」

蜜は目をあちこちにやって考える。
どうやら焦ってるらしい。

―――――

一方こちら元の主人公蜜。
何故様子がおかしいって?そりゃさっきあんな事して自分の気持ち再確認してなんだか恥ずかしいからに決まってるじゃない!

セツナはそんな事これっぽっちも知らないから段々イライラしてるのが分かる。

⏰:07/07/14 13:18 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#218 [向日葵]
蜜「な、なんでもありませんからっ!気にしないで下さい!」

―――――――――

蜜「な、なんでもありませんからっ!気にしないで下さい!」

気にするなだと?

元に戻り俺。
ほっとけと言うのかお前は。

セツナ「何なんだ。俺を焦らして楽しいのか?」

蜜「違いますっ。自分で解決したいだけであって…。時間が……欲しいのです。」

⏰:07/07/14 13:23 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#219 [向日葵]
ほー。これまた可愛い顔をしてくれる。

セツナ「フッ。仕方ない。じゃあ時間をやろう。」

すると蜜はホッとしたのか微かに微笑む。
その顔にまた俺はそそられる。

セツナ「蜜。」

名を呼ぶと蜜は目をこちらに向ける。

俺は蜜に唇を重ねた。
少し蜜が震える。

キスをすると俺の口内は蜜の“蜜”が甘く広がる。
いや、“食事”の事なんてどうでもいい。

⏰:07/07/14 13:47 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#220 [向日葵]
すいません訂正です

>>215
黒蝶族の長息子になってますが
長の息子です

――――――――

蜜との距離を縮める為に俺は蜜に唇を重ねる。
俺が蜜をどれだけ想ってるか知らせながら……。

唇を離すときっと蜜はいつもみたいに怒った様な恥ずかしがった表情をするだろう。
それがまたいい。

しかし今回は違った。
目を見開いて赤い顔が更に赤くなっていく。

⏰:07/07/14 14:50 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#221 [向日葵]
セツナ「蜜……?」

すると蜜はハッとして顎にある俺の手をやんわりと外した。

蜜「火…使ってるんで、あっちで大人しくしててください…。」

蜜は背中を向けるが、耳まで真っ赤になっている。
ますます虐めたくなるが、蜜の不興を買うのはご免だから俺は素直にソファに座った。

・・・・・・・・・・・・・・・

コトッ

テーブルに出来た料理を置く音がした。

⏰:07/07/14 14:58 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#222 [向日葵]
セツナ「出来たのか。」

蜜「え?あ、ハイ。」

蜜はせわしなく米を口に運ぶ。
心ここにあらずなのかポロポロ溢す。

セツナ「蜜。ちゃんと食べろ。」

蜜「え?ぅおう!!」

落ちた米粒を拾うもまた異世界に飛び立つ蜜を俺はただ観察していた。

カシャン

蜜「ごちそー様…でした。」

蜜はこちらをチラリと見る。

⏰:07/07/14 16:16 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#223 [向日葵]
セツナ「何だ?」

蜜「いえ……。別に。」

俺は立って蜜に近づく。
蜜はあたふたと逃げ場所を探すがその前に俺が追いついた。

セツナ「お前が時間をくれと言うから俺は待っているのにそう熱い視線を送られると聞かれたくなくても聞くぞ。」

蜜「熱い視線なんて送ってないです!」

セツナ「じゃあ何なんだ?」

蜜は「うっ」と唸った。

蜜「いつも…昼食が終ると“食事”の時間だから、また襲ってくるのかなぁー…って……。」

⏰:07/07/14 16:25 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#224 [向日葵]
上目使いで赤い顔をして聞いてくるから、俺はやっぱり虐めたくなった。

セツナ「フーン…。蜜、そんなに早朝の“愛のくちづけ”が良かったのか?」

蜜は一歩下がって首を振る。

蜜「ち、違っ!違う!!」

ハァ…。そんな顔をするなよなぁ…。止めて欲しいならそんなに俺の心をくすぐらないでくれ。

セツナ「心配頂きありがとう蜜乙女。なら……。」

俺は蜜の腰に手を回して蜜を捕まえる。

セツナ「遠慮なく。」

⏰:07/07/14 16:35 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#225 [向日葵]
唇を奪うと蜜は大人しくなる。怖がる様にセーターの胸元を掴む。

そんな蜜がまた愛しくて、つい加減が出来なくなる。

だからまたやってしまった。舌を徐々に蜜へ入れていくと蜜の体がビクッとした。

蜜「ハァッ……。」

蜜が苦しそうにしている。
いや、むしろもっと苦しくなれ。

唇の激しさを増すと、蜜が急にカクンと体を沈めた。

⏰:07/07/14 16:43 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#226 [向日葵]
セツナ「蜜。大丈夫か?」

蜜「―――っ!」

蜜は顔全体を真っ赤にさせて俺を見つめる。
そして顔をうつ向いた。

ヤバイ…。その顔はヤバイ……。
すると蜜が胸に頭をもたげてきた。

セツナ「蜜?」

蜜「もうやめて……。」

……。

俺もここまでか。

蜜はあまり気持ちを言葉にしない。
だから実のトコ俺は気が気でなかった。

⏰:07/07/14 16:49 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#227 [向日葵]
俺達は……実は運命じゃなかったのか?
でも俺は、お前以外考えられない。

蜜が息を深く吸って吐く。

いよいよ出ていけと言われるのか?

蜜「これ以上、心臓を壊さないで……。」

……え?

セツナ「蜜?」

顔を上げた蜜はまだほんのり顔が赤かった。

蜜「それでなくてもセツナがこの家に4日間いると思ったらドキドキするのに……。」

⏰:07/07/14 16:53 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#228 [向日葵]
え?
別れの言葉じゃないのか?
蜜は口をもごもごと動かしながら聞けるか聞けないかくらいの音量で喋る。

蜜「私が…悩んでいたのは……。」

それからなんとも言えない蜜の話を聞いて、とりあえじ俺はホッとした。

セツナ「そんなものは自然だと言っただろう。」

蜜「だ、から。私は慣れないんですってば!それに…あんなこと…。」

セツナ「あんなこと?」

蜜は今度は顔が青くなった。両手で口を塞ぐ。

⏰:07/07/14 16:59 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#229 [向日葵]
蜜「なんでも!なんでもありません!!」

セツナ「なら暴いてやろうか?」

とくちづけする気もないのに顔を近付ける。
蜜は観念したらしく俺の体を引き離した。

蜜「キ、キス……しました……。」

俺はキョトンとしてしまった。

セツナ「いつ?」

蜜「セツナが……寝てる……間。」

耐えきれなくなったのか蜜は顔を両手で隠した。
手の隙間からなんとか声を出す。

⏰:07/07/14 17:05 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#230 [向日葵]
蜜「無性にセツナを恋しく思ったら体が勝手に動いたんです!ごめんなさい!!」

さらに俺は呆気にとられた。そして胸の内側から温かい何かが広がっていくのを感じた。
すると笑いが込み上げてきて手で口許を隠しながら声が出来るだけ漏れないように爆笑した。

ダメだ。俺は蜜を手放すなんて絶対出来ない。
こんな可愛いらしい生物が人間界にいるなんて!

セツナ「クク……クッ…、クククク……。」

蜜「ちょっとセツナ!なんで笑ってるんですか!!人が真剣に謝ってるのに!!」

⏰:07/07/14 17:14 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#231 [向日葵]
――――――――

休憩します(´・ω・`)

⏰:07/07/14 17:16 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#232 [みか]
頑張ってください!
セツナが
とても可愛いですイぷ

⏰:07/07/14 17:34 📱:W44T 🆔:9N3VqplQ


#233 [ゆき]
ごめんなさい
>>100-150
>>151-200

⏰:07/07/14 18:31 📱:N902i 🆔:☆☆☆


#234 [向日葵]
みかさん

ありがとうございます

ゆきさん

安価ありがとうございました

⏰:07/07/14 20:58 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#235 [向日葵]
セツナ「いや?別に。だから言っただろ?お前は俺を求めていると。」

蜜「あーそーですね…。」

俺はまだ笑いが収まらない。まったく俺をどこまで夢中にしたら気が済むんだコイツは。

あまりに俺が笑うものだから蜜が俺の脇腹を軽く叩いてきた。

蜜は「もう!」と唸る。

深呼吸してなんとか笑いを抑える。

セツナ「そんなに恋しいなら好きなだけ触ればいいじゃないか。」

⏰:07/07/14 21:15 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#236 [向日葵]
蜜「結構です!ってか、お風呂場を掃除してきます!」

俺は片手をヒラヒラとして蜜を見送った。

そしてソファに深く座りながら昔に思いをはせた。

――――――――

丁度10歳を迎えた頃、蝶々の姿をした俺は人間界をフラフラと飛び、遊びまわっていた。

『人間界とはなんてつまらん。大体、父上が言ってた蜜乙女なんて出会えるハズがない。』

⏰:07/07/14 21:23 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#237 [向日葵]
当の父上は蜜乙女には出会えなかったものの、近い存在な母上に出会い結婚した。
母上も元は人間で、今は立派な黒蝶族だ。

黒蝶族になる為の方法はまた今度お話しよう。

とりあえず、幼少の俺は暇を持て余していた。

……と。

ビィィィィン!

羽が何かに引っかかった。

「おやおや。黒蝶族の息子さんじゃないかい。」

セツナ「お前は…蜘蛛族のターヤ!」

⏰:07/07/14 21:28 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#238 [向日葵]
蜘蛛族は自然界では裏切りの存在。
貪欲で意地汚い。
コイツは俺より2、3個上で人間界に根を張っている。

ターヤ「バカだなセツナ。まんまと俺の餌食になるとは。」

セツナ「俺を食したらどうなるか分かってるんだろうな!」

ターヤは何も気にせず網上をじわじわ歩いてくる。

『くそっ……!』

「お母さん。蝶々さんが蜘蛛に食べられちゃうよ?」
下から声がする。
視線を下に向けると、麦藁帽子を被った小娘が見上げていた。

⏰:07/07/14 21:33 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#239 [向日葵]
「ほっときなさい。行くわよ。」

だから人間界は嫌いだ。

自然の法則とか無駄な定義を立てて俺達みたいな極々小さい生き物なんか助けようともしない。

俺もここまでか……。

っと思った瞬間、俺の体を何かがすっぽりと包んだ。

「怖かったよね。次は気を付けなきゃいけないよ。」

小娘が俺を助けてくれた。俺は空高く飛び上がる。

「蜜!行くよ!」

蜜「はぁーい!」

⏰:07/07/14 21:37 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#240 [向日葵]
そう。
それが蜜だった。

『蜜……。』

名前だけ覚えて、俺はそれから8年間なんなく過ごしてきた。

―――そしてあの日だ。

屋上でひとっ飛びを終え、羽をしまう瞬間。俺は蜜に出会った。

最初はわからなかった。顔はおぼろ気にしか覚えていなかったし、何より1番最初は“蜜乙女”の匂いが強かった。

名前を聞いてから、蜜があの小娘だと何故か確信した。

⏰:07/07/14 21:43 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#241 [向日葵]
蜜「確かに私の名前は蜜ですけど……。」

離したくなかった。
蜜が俺を助けてくれた相手が蜜なら尚更。
やがてそれは真実になり、気持ちはより一層強まった。

俺はこの8年間、たしかになんなく過ごしたが、街中ですれ違う度に蜜を探していた。
だけど、本能で違うと判断して今まで出会えなかった。

学校で会った時は、まさしく運命だった。

⏰:07/07/14 21:57 📱:SO903i 🆔:sQA2iImQ


#242 [向日葵]
―――――――

バタバタバタ
トントントントント……
蜜な足音で昔から意識を切り離す。

蜜が2階から降りて来て姿を見せた。

セツナ「…どうしたんだ。」

蜜は何故か着替えていて、頭も濡れていた。

蜜「シャワーを持っている手が狂いまして……。びしょ濡れ……。」

そう言いながら蜜は庭へ直行する。

セツナ「馬鹿。そんなんで外へ出るな!」

⏰:07/07/15 00:19 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#243 [向日葵]
蜜「体温めるだけですよ。大丈夫。」

言うことを聞かないので、腕を掴んで引き寄せるとどこかの姫の様に抱き上げた。

蜜「わ!セツナ!なんですか!!」

セツナ「それでなくてもこの前熱出した癖に馬鹿な真似はするな。」

俺はまた蜜を2階に上げた。

蜜「分かりましたから降ろして下さーい!!」

セツナ「答えはノーだ。」
片手で蜜を抱え直すと部屋のドアを開けてベッドに蜜を放り投げてやった。

⏰:07/07/15 00:27 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#244 [向日葵]
ボフッと音を立て沈む蜜を布団でくるんでまた抱き上げる。

蜜「ブハッ!セツナやりすぎです!!」

セツナ「また口移しで飴を食べさせて欲しいか?」

それを言うと蜜は黙った。下に降りてソファーに座らす。

セツナ「しっかりと温まるまでそのままでいろ。」

蜜「ハイハイ……。」

蜜はすっかり元の様子に戻ったみたいだ。
それはそれで何だかつまらん。

⏰:07/07/15 00:34 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#245 [向日葵]
ニヤッと笑って勢いよく蜜な隣に座る。
それにびっくりして蜜がこちらを見つめる。

蜜「もう少しソロッと座ってくれません?」

セツナ「あ。悪い。……ところで、あったかくなったか?」

蜜「まだ体の芯は寒い感じがします。」

俺はゆっくりと蜜に近づいてソファーの背もたれに手を付いて蜜を囲った。

蜜「なん……ですか?」

セツナ「温めてやろうか?」

蜜は困った顔をしながら顔を赤らめる。

⏰:07/07/15 00:42 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#246 [向日葵]
蜜「いいです……。」

そうそう。蜜はやはりこうでなくてはなぁ?

俺は唇を耳元にあてる。

セツナ「ホントに?」

蜜「―――!!いいですぅっ!!」

セツナ「クスクス。分かったよ。」

蜜を抱き上げて膝に乗せる。そして頭を胸にもたげさせた。

蜜「服濡れますよ?」

セツナ「どーでもいい。」
それを聞くと遠慮せずに蜜はくっついてきた。
蜜……これからもお前のそんな姿が俺を離さないんだろうな。

⏰:07/07/15 00:48 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#247 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにしときます(´・ω・`)

⏰:07/07/15 00:52 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#248 [向日葵]
すいません

チャプター数にミスがありました

前とその前、何故か2つとも3になってますが、正しくは4、5です

ちなみに次は6です

⏰:07/07/15 17:06 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#249 [向日葵]
チャプター6:探検





蜜「ん…。……んー。」

朝日が顔に当たって目が覚める。

あぁ…。やっぱり夢か。
当たり前だ。だってセツナがウチにいる訳ない。

今日は日曜。
おばあちゃん達はいないから、掃除洗濯して買い物に行かなきゃ。

晩御飯は何にしようかなぁ……。
とりあえず着替えよう。

⏰:07/07/15 17:12 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#250 [向日葵]
上の服を脱いだ瞬間、戸が開いた。

……え?何で?

セツナ「やっと起きたか蜜。」

蜜「……。セツナ…。」

……。!!!!
ちょっと待て!!
今の格好は下は着てるものの、上は脱いでブラ1枚。
慌てて脱いだ服で隠す。

セツナ「蜜……。お前…。ぺったんこじゃなかったん」

蜜「出ていけぇぇぇぇっ!!!!」

⏰:07/07/15 17:19 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#251 [向日葵]
セツナが最後まで言い終わらない内にセツナごと戸を閉めてやった。
ゴンッとか鈍い音が鳴ったけどそんなの後だ。

『み、見られた……っ!』

もしまた開けられたらと思い急いで着替える。

『あんのーっ変態蝶々ぉぉぉぉ!!!!』

・・・・・・・・・・・・・・・

セツナ「まったく。俺の美貌に傷が付いたらどうしてくれる。」

夢じゃなかった……。
昨日セツナは罰としておばあちゃん達がいない間の4日間、ここにいるっつったんだっけか……!

⏰:07/07/15 17:26 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#252 [向日葵]
蜜「ノックぐらいして下さいよ!!」

セツナ「夫婦(めおと)なのにノックする必要がドコにある。」

蜜「プライバシーっちゅうもんを考えて下さいっ!!」

朝から俺様節に付き合うのは疲れてしまう。
大体まだ夫婦でも何でもないっちゅーのに。

セツナ「安心しろ。例えお前が素っ裸でいても了承を得ずに襲いはせん。」

してるじゃん!いつも了承無しに襲いまくってるじゃん!!

⏰:07/07/15 17:31 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#253 [向日葵]
蜜「とにかく今後は気を付けて下さい!花嫁が言ってるんですから言うこと聞いてくれても良いですよね?!」

セツナ「あぁもちろん。それがお前の望みなら聞くさ蜜。」

とセツナは頬に唇を触れた。

ったく聞いてんだか聞いて無いんだか……。

セツナ「で?今日は出かけてくれるんだろうな?」

蜜「もちろん。晩御飯のおかずもいりますし。」

ってか……。

⏰:07/07/15 17:36 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#254 [向日葵]
蜜「貴方いつ着替えたんですか?」

セツナ「お前が寝てる間風達に頼んだ。」

Vネックの紺色のニットから白いシャツの襟を出してボタンを2、3個外している。ジーパンは昨日のより少し黒い感じがする。

『どこぞのファッションリーダーだこの人。』

蜜「相変わらず薄着ですね。」

セツナ「心配するな。ちゃんと人間の様に上着を着る。」

ソファーには帽子にファーが付いた黒い上着が引っ掛けてあった。

⏰:07/07/15 17:43 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#255 [向日葵]
黒蝶だからやっぱり黒系が好きなのかしら……。

セツナ「さぁ。行こうか。」

蜜「じゃあカバン持って来ますよ。」

と言う訳で今日はお出かけです。

・・・・・・・・・・・・・・

鍵を閉めていざ行きましょう。

セツナ「どこに行くんだ?」

蜜「近場のスーパーですよ。人参とひき肉安いんでカレーにでもしようかと。」

⏰:07/07/15 17:49 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#256 [向日葵]
セツナ「そーいえば…。」

と襟の高い上着のファスナーを締めながらセツナが呟く。

蜜「なんです?」

私は家の門を閉める最中だった。のでセツナには背中を向けている。

すると両脇から手が出てきて門に手をつく。
私は手に閉じ込められた。

ヤバイ……この体勢は……。

セツナ「朝のくちづけが済んでいなかったよ蜜。」

キタ―――――!!!!

⏰:07/07/15 17:53 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#257 [向日葵]
フフフ
でもこのまま背を向けていれば出来ない!

蜜「私は朝御飯じゃないです。」

セツナ「わかってるさ。でも何か食さなければ俺は干からびてしまうんでな。朝御飯じゃなく蜜をいただく。」

蜜「いくらなんでも外は嫌です。ホラ行きますよ。」

セツナ「“外は”……嫌なんだな?」

セツナが何か意味有り気にニヤリと笑う。

蜜「そうですけど……?」

セツナ「分かった。行こうか。」

⏰:07/07/15 17:58 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#258 [向日葵]
手を急に握られて心臓が跳ねた。

蜜「ハイ。」

スーパーまでは歩いて10分ほど。
今日はまだ暖かい方だ。

近所の人は私の隣の美青年にびっくりして挨拶がぎこちなかった。
されに釣られて私もぎこちなくなる。

今頃だけどセツナは身長が高い。
私は155センチ。センチは185より少し大きいくらい。

周りから見れば兄弟の様だ。しかしご心配は無用。第一似てないっつーの。

⏰:07/07/15 18:05 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#259 [向日葵]
セツナ「買い物の後、あの山に行かないか?朝には行ったことないだろう。」

蜜「いいですけど一度家に帰らせて下さいね。荷物置かなきゃならないですから。」

セツナ「そんなもの風達に頼め。」

この人はもー…王様生活が抜けないんだから。

蜜「私といる時くらい風さん達を使うのを控えて下さい!風さん達が可哀想です。」

これにはセツナは顔をしかめた。どうやら頗るそれが嫌らしい。

⏰:07/07/15 18:24 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#260 [向日葵]
それほど風さん達をこき使ってるんだ。

蜜「セツナだって大変なことは嫌でしょ?風さん達もそれは同じです。」

セツナは嫌そうに息を吐く。

セツナ「分かった。」

蜜「ありがとうございます。」

私は微笑んだ。
ちゃんと聞いてくれて良かった。

セツナも私を見ると切目の長い綺麗な目を細めて微笑んだ。

セツナ「まぁ。お楽しみはある訳だし、我慢しようじゃないか。」

⏰:07/07/15 18:35 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#261 [向日葵]
――――――――

キリますね

⏰:07/07/15 18:37 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#262 [まるエ]
なんですかこの小説わあ
すっごく面白いです(●>艸<●)イ
蜜ちゃん可愛い
セツナさん格好いい
身長差カップルとか羨ましいです
主さんこれからもがんばってくださいエテ~

⏰:07/07/15 18:48 📱:W43T 🆔:MK/FhzZ2


#263 [向日葵]
まるさん

初めまして
面白いだなんてめちゃ嬉しいです
セツナは190にしよっかなてか思ってました(コブクロか)(笑)

良ければこれからもこんな小説で良ければ見てくださいね

⏰:07/07/15 18:52 📱:SO903i 🆔:G9Wraf5Y


#264 [向日葵]
蜜「?何かありましたっけ。」

セツナは私に顔を近付けて人差し指を口許につけると

セツナ「秘密。」

と言ってウィンクした。

わぁー少女漫画みたーい……。

そうこうしてる間にスーパー到着。カートと籠を持っていざ店内へ。

グルーと回ってるとホットケーキミックス等があるコーナーに。

蜜「蜂蜜でも買っときますか?」

⏰:07/07/16 01:42 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#265 [向日葵]
セツナ「蜜。今は外か?」

蜜「は?いや、店内だから中では?」

セツナ「フーン。蜜。……覚悟はいいな?」

するとセツナは私の顎を持って唇を重ねてきた。

蜜「ふぇっ?!」


幸い朝だから人が少ないものの人の目があるところで“食べられる”なんて……!

あらがいたくてもセツナの唇のせいで逆に力が抜けていく。

唇を開かれて深くなっていく。息が続かない。

⏰:07/07/16 01:47 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#266 [向日葵]
蜜「ん……っ。ハァッ!!」

やっと唇が解放された。

蜜「何…し、てくれ、るんで……すか。」

息を整えながらセツナに猛抗議。
セツナに反省の色は無い。

セツナ「外ではいけないと言ったのは蜜だろ。俺はそれに従っただけだ。」

+αを今度から付け足さなきゃいけない。

セツナ「舌入れるのを我慢しただけでも感謝して欲しいものだ。」

⏰:07/07/16 01:52 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#267 [向日葵]
蜜「公衆の面前でそーゆー単語単語を出すの止めて下さい!!!!」

最近のセツナはSさは増すわエロさは増すわ……。大体舌を入れるとか言うなぁぁぁ!!

密かな周りからの視線に堪えきれなくなってさっさとレジを済ましてスーパーを後にした。

蜜「私に恥ずかしい思いをさせた罰としてセツナが荷物持ってください!!」

セツナ「なんで俺がっ。おわずけ食らわしたのは蜜だろ。」

蜜「貴方は頼みますから人間のマナーをもっと身に付けて下さいっっ!」

⏰:07/07/16 01:58 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#268 [向日葵]
セツナは何か不満そうな顔をしながら腕組みをした。

セツナ「好きな奴を好きな様に接して何が悪いのかさっぱり分からん。」

まぁそりゃ分からんでもないけど……。

世の中にはそーゆーのを羨んで飛び蹴りかましたいなぁとか思う人が沢山いる訳で……。

蜜「拗ねないで下さい。全部持てとは言いません。だから半分は持って下さい。」

渋々、しかも重い方を持ってくれたセツナは当然の様に私と手を繋いだ。

⏰:07/07/16 02:05 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#269 [向日葵]
それが嬉しくてこっそり笑った。

・・・・・・・・・・・・

蜜「よし!冷蔵庫に全て入れ終わりました!」

セツナ「じゃあ蜜。ちょっと失礼。」

セツナは私の頭の上で指を擦ると私の体が段々空けていった。

蜜「のわぁ!セツナ?!」

セツナ「俺の鱗片だ。少し姿消してもらう。飛んでるトコ発見されたら困るんでな。」

この人達の鱗片は何でも出来るんだなぁ……。痺れたり隠したり。

⏰:07/07/16 02:13 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#270 [向日葵]
まるで某魔法学校の青年のマント……。

蜜「セツナは大丈夫なんですか?」

セツナ「俺が飛んでても誰も気にしないが蜜が飛んでたら近所が騒ぐだろ。」

あ……ちゃんと配慮してくれてるんだ。

セツナ「じゃあ行くぞ。」

セツナの背中らへんに光の粒が集まり、漆黒の羽が出現する。

これを見る度にセツナが人間じゃないって言うのを改めて実感する。

⏰:07/07/16 02:18 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#271 [向日葵]
セツナ「……困った。」

蜜「どうしたんです?」

セツナ「蜜がどこにいるか分からん。」

…………。

蜜「意外にセツナって抜けてますね。」

セツナ「黙れ。仕方ない。蜜、抱きつけ。」

セツナは少し身を屈めて私が抱きつける様にする。
私はセツナの胸らへんに抱きついた。

セツナ「よし。じゃあ行くぞ。」

ムニュ

⏰:07/07/16 02:23 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#272 [向日葵]
蜜「……どこを……触ってんですか……。」

セツナ「は?知るか。何だこの柔らかいもの。」

そーれーはぁぁぁ……

蜜「胸……なんですけど……。」

セツナ「はぁっ?!それはすまないな。……。でも蜜。お前意外にある」

蜜「さっさと飛べぇぇぇぇっ!!!!」

またもや言い終わらない内に叫ぶ。

家を出て即座に遥か上空へ。

⏰:07/07/16 02:26 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#273 [向日葵]
するていきなり私の姿が露になった。

蜜「あれ?れ?れ?何で?」

セツナ「風で鱗片が飛んだんだ。まぁここまでくれば誰の目にも止まらないさ。」

誰かが双眼鏡で空を覗いてない事を祈ろう。

ってか胸触られたー…。
いやもう鷲掴み?!しかも結構あるって何それ!!
私ひょっとしなくても無さそうに見えるってかぁ?!

セツナ「ク……ククク。」

蜜「なぁに笑ってるんですか?」

⏰:07/07/16 02:33 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#274 [向日葵]
セツナ「見事な百面相だな。花嫁殿よ。」

セツナは私のおでこをツンと小突く。

何?!何今の!!
バカップル特有の「コ〜イツゥ〜☆」みたいな!!
さぶいっ!!

セツナは更に笑う。
今の思った事が顔に出てるらしい。

セツナ「どうやら蜜は嘘がつけないタイプらしいな。」

蜜「人間正直が1番なんでね。」

刺々しく言ってもセツナは笑うだけ。

⏰:07/07/16 02:38 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#275 [向日葵]
セツナが青くなったり赤くなったりする言葉ってないのかしら……。

あぁ。青くなるのなら封印してる「大嫌い」がある。あれを言ってまた逃亡されては困るから私は言わないでいる。

その代わりに馬鹿を連発してるけど、言う回数はセツナの方が遥かに多い。

……そんなに馬鹿じゃないもん。

セツナ「何を考えてるんだ?さっきからだんまりだけど。」

蜜「誰かさんが可愛く見える方法。」

⏰:07/07/16 02:42 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#276 [なつ]
>>230-300

⏰:07/07/16 02:47 📱:D902iS 🆔:nhBRyTM.


#277 [向日葵]
セツナはアハハハと華麗に笑った。

セツナ「可愛く見えても仕方ないだろ。いつだって女の方が可愛らしくなくてはなぁ。」

蜜「好きな人の可愛らしいトコを見たいのは当然だと思うんですがねぇ。」

セツナは笑いながらクシャクシャ頭を撫で回す。

セツナ「ホラ着いたぞ。」
山のふもとに着地。
前来た時は暗かったから分からなかったけど意外に山の中は明るいみたい。

蜜「何をするんです?」

セツナ「山を探索するんだ。いいだろ?」

⏰:07/07/16 02:49 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#278 [向日葵]
なつさん
安価ありがとうございます

――――――――

まぁ別に悪くないけど……。

セツナ「仲間がいるんだ。紹介する。」

セツナは私の手を引いて山中へ連れて行った。

蜜「仲間って?」

セツナ「風達みたいなものだ。なんせ山は自然物が集まる場所だからなぁ。」

風達ってことは……妖精さん達再び?!
私も平凡ライフから切り離れたもんだなぁ……。

⏰:07/07/16 02:54 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#279 [向日葵]
「あら?セツナ様?」

頭上から鈴の音の様な綺麗な声が。

見上げると長い髪が規則正しくウェーブして淡い緑色をして、格好は女神様の様な美人がいた。

セツナ「緑か。」

蜜「緑?」

セツナ「緑の精だ。」

セツナが説明すると、美人さんがゆーっくり降りてきて音も無く着地する。

よく見れば足首に輪っかを2、3個付けている。

緑「こちらは……風達が噂していた…。」

⏰:07/07/16 03:00 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#280 [向日葵]
セツナ「あぁ。蜜乙女だ。」

ムッ。なんで蜜として紹介してくれないかな。

緑(の妖精)さんはフンワリ笑うと服の裾を指先で持ってまるでお姫様みたいにお辞儀をした。

緑「初めまして。お目にかかれて光栄です。」

蜜「いいいえ!こちらこそっ!!」

慌ててお辞儀仕返す。
すると緑さんは深刻そうな顔をした。

緑「セツナ様。先に、あの方達が見えてます。お気を付けなさって下さいまし。」

⏰:07/07/16 03:05 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#281 [向日葵]
セツナの顔が嫌悪で一杯になる。

セツナ「チッ。お前達も余り姿を見せるな。今日は俺が来たからアイツらも下手な真似は出来ない。」

さっきからなんの話してんだろう。
全く蚊帳の外だ。

セツナに「何?」と目で訴えてみると

セツナ「説明するのには、お前にはまだ早い。だから気にするな。」

ちょっと携帯会社のCMじゃないんだから教えてくれてもいいじゃないかぁっ!!

セツナ「じゃあな緑。」

緑「お気を付けて…。」

⏰:07/07/16 03:11 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#282 [向日葵]
セツナに手を引かれながら私は緑さんを振り返った。

蜜「ま、また会いましょうねー!」

緑さんはキョトンとしていたけど、やがて満面の笑みを溢すと静かに消えていった。

さっきの事が頭から離れない。「アイツ」って何?

セツナをチラリと見るけど山の中をずんずん歩いていく。

『今はこれっぽっちも教える気は無いみたい……。まぁ……秘密の1つや2つはあるでしょうけどね……。』

⏰:07/07/16 03:16 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#283 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/16 03:18 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#284 [Ayumi]

とてもおもしろいです
更新頑張って下さい(`ノノ

⏰:07/07/16 04:33 📱:P902iS 🆔:4TZq624Q


#285 [向日葵]
Ayumiさん

ありがとうございます
頑張りますね

⏰:07/07/16 09:54 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#286 [RUI]
アンカーないのでさせて
頂きまぁ-す

ひーちゃん、最高ぉ
更新頑張って

>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500

⏰:07/07/16 15:28 📱:SH902iS 🆔:X.6.rmyI


#287 [向日葵]
RUIちゃん
ありがとう頑張るよぉ

⏰:07/07/16 15:49 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#288 [向日葵]
なんだか……壁があるみたい……。

セツナ「……つ。蜜。」

蜜「え。あ、ハイ。」

立ち止まる。
なんだかセツナが心配そうに私を見ていた。

セツナ「どうした?」

蜜「何もありません……けど?」

セツナはふぅんと言うと繋いでない方の手を顔の前まで出してきた。

蜜「うわ!」

手の上には真っ赤な大輪の花があった。

⏰:07/07/16 17:41 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#289 [向日葵]
蜜「何ですかその花!」

セツナ「生えてた。」

せめて咲いてたって言おうよ……。

セツナはその花を私の耳の上辺りに刺して髪飾りの様にした。

セツナ「蜜は髪の毛が黒いから赤が映えるな。」

蜜「それはどうも……。」

もしかして、元気付けてくれてるのかな……。
もしセツナを花で飾るなら……薔薇?

わーベタ……。

⏰:07/07/16 17:45 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#290 [向日葵]
セツナ「蜜、口開けろ。」

素直に口をあけてみた。

コロン

蜜「すっぱ!……ん?甘い。何ですかコレ。」

セツナ「なんかの実。」

アバウトすぎるって……。

セツナ「小さい頃好んでよく食べていた。癖になるだろ。」

蜜「んー。まぁ……。」

正体が分かれば素直にそう言えるのだけど……。

⏰:07/07/16 17:56 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#291 [向日葵]
セツナは食べては入れ食べては入れを繰り返してくる。

と、何個目かの時に

蜜「パクッ。……。……っ!すっぱ!!すっぱいすっぱいぃ!!」

セツナ「あー。まだ熟してなかったか。大丈夫か?」

蜜「うー…。」

すっぱくて少し涙が出てきた。

蜜「もっと確かめて口に入れて下さいよ!!ふいー……。」

セツナ「悪かったって。水でも飲みに行くか?」

⏰:07/07/16 18:06 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#292 [向日葵]
蜜「もーいいです。さっさといつもの場所行きましょう。」

行こうとする私の腕をセツナが止めた。

セツナ「今はあまり軽率に動くな。」

蜜「それってさっきの“アイツ”と関係あるんですか?」

セツナはこくっと頷く。
そしてその“アイツ”は教えてもらえないまま……か。

蜜「大丈夫じゃないんですか?私なんて只の人間ですし。」

そこでセツナの目が怒りに変わった。

⏰:07/07/16 18:17 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#293 [向日葵]
セツナ「お前緑の話を聞いてなかったのか?」

責める様に言ってくるので私はたじたじだった。
ダメな事を言ったらしい。

蜜「……聞いてましたよ。それが何か?」

セツナ「風達が噂してるって事はアイツらの耳にも届いていると言う事だ。忘れるな蜜。お前は人間であって蜜乙女なんだ。」

ムカ。
さっきから私を蜜乙女蜜乙女って……。
私が蜜乙女でしか価値が無いみたいに。

蜜「私は“アイツら”がどんなのか知りませんから。どれだけ危険かも分かりませんっ。」

⏰:07/07/16 18:27 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#294 [向日葵]
セツナは更に目に怒りを宿す。

セツナ「お前分かってるのか!蜜乙女って言うだけで危ないって言ってるんだ!!」

カッチーン……。
なんですって……。

蜜「好きで蜜乙女になんかなってませんよ!!すいませんね!蜜乙女が側にいるせいでセツナは危険にさらされるんですから!!」

ここまで来てなんで口喧嘩をしなきゃなんないんだ。だけどムカつく。
蜜乙女をこれだけ連呼されるとはっ。

蜜「なんなら私だけで山を探索しましょうかぁ?」

⏰:07/07/16 18:32 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#295 [向日葵]
と、いきなり背中に激痛。

蜜「いったー……。」

セツナは私の両肩を掴んで大木に押し付けた。

セツナ「お前は何も分かってない。俺の身なんてどうでもいいんだ!」

セツナがここまで取り乱すなんて……。
呆然とセツナを見つめた。

セツナ「蜜に何かあったら怖いだけだ……。」

セツナの頭が私の肩に乗る。
あぁなんだ……そーゆー意味か……。
蜜乙女で噂が広がってるから私の身が危険って言いたい訳ね。

⏰:07/07/16 18:40 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#296 [向日葵]
蜜「貴方の言い方は時々分かりにくいです……。」

ため息混じりに言うとセツナはクククと笑った。
機嫌が直ったらしい。

セツナ「蜜は馬鹿だからな。」

ハイカッチーン…。
人が喧嘩売った事を謝ろうと思ったのに。

蜜「謝る気が失せました…。」

セツナ「謝る?……。まぁ謝らなくていいさ。かわりに、蜜で償ってもらう。」

なんか何処かでこれを予感していた。

⏰:07/07/16 18:45 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#297 [向日葵]
蜜「ハァァ……。」

なんか呆れる。

蜜「どうぞご勝手に……。」

セツナ「ほぅ。なら蜜。お前からやってもらおう。」

え。

セツナ「むろん、誠心誠意を込めて……舌付きでな。」

え。

セツナは大木に手を付く。

蜜「すいません。やっぱり取り消してもいいでしょうか。」

セツナ「謝るのがお前なら言った事に二言はないよな?」

⏰:07/07/16 18:50 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#298 [向日葵]
いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!

蜜「無理です!普通にするならまだしも!し、し、……っ!!」

舌とかっっ!!

セツナは明らかに面白がっている。

セツナ「目は瞑ってやるさ。」

んな問題かこの野郎。

セツナ「ホラ。」

セツナは目を瞑ってキスを促す。

私はセツナの顔をやんわり包む。
もう知らない。舌ありなんて出来るか!普通で済ます!!

⏰:07/07/16 18:56 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#299 [向日葵]
唇に長めに触れる。
そして離れようと数ミリ離したとこでセツナが目を開けたからそこで止まってしまった。

セツナにこんな間近で見られたら固まるしかないだろう。

セツナ「蜜……。」

まるで「分かってるよな?」と言う様に私の名を呼ぶ。喋ったら時折唇が触れた。

セツナは再び目を瞑る。

ダメだ…逃げれないんだ……。

蜜「く…口を……開けて…くだっ……さい。」

⏰:07/07/16 19:01 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#300 [向日葵]
セツナが口を少し開ける。その時微かな吐息が口の中に入ってクラクラする。

『し、……舌…。……舌…。』

私は戸惑いながらなんとかセツナの口内へ入れる。
するとセツナの舌が私を絡めとる。

思わず目を見開いてまたギュッと瞑った。

背中がゾクゾクしてどうにかなりそうだった。頭がおかしくなりそう。

するとセツナが口を離した。

セツナ「まぁ物足りんが今日は合格だな。流石俺の花嫁殿。」

⏰:07/07/16 19:11 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#301 [向日葵]
も、物足りないですって?!

セツナ「次はもっと舌を出してもらわなきゃいけないな。」

蜜「つ、次…で、す…ってぇ……ハァ……。」

今は足に力が入らなくてセツナの腕に支えてもらっている。

漫画でよく目が渦巻きみたいになるのがあるけど、私は正に今その状態。

なんで私がこんな官能的な事をしなきゃいけないんだ。

セツナ「ククク……。少し激しすぎたかな?」

蜜「ハァ…大分……です、よ……。」

⏰:07/07/16 19:20 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#302 [向日葵]
――――――――

キリますね(´・ω・`)

⏰:07/07/16 19:21 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#303 [向日葵]
こんなつもり私の人生設計図にはなかったハズ……。
厄介事は一切嫌いだったのにむしろ深みにハマっていってる。

セツナ「体調は如何かな?」

蜜「さいてー…。」

低く言うとセツナは笑う。どんだけ余裕なんだくそーっ!!

セツナ「いつもの場所までひとっ飛びしても平気か?」

蜜「いいですけどゆっくり頼みますよ……。」

セツナはクスッと笑うとおでこにキスした。

セツナ「了解賜った。」

⏰:07/07/16 21:04 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#304 [向日葵]
私を抱きかかえたセツナは木のてっぺん近くまで飛んで行った。
いつもみたいに木の枝に降ろしてくれるのかと思いきや、今日は抱いたまま枝に座る。

蜜「…。何故降ろしてくれないんですか?」

セツナ「護衛に決まってるだろ。」

護衛って……。また大袈裟な。とか言ったらまた怒られるんだろうな……。

どこか過保護なんだよねセツナって。

セツナ「アイツらって言うのは……。」

いきなりセツナが話出した。どうやら“アイツら”について聞かせてくれるらしい。

⏰:07/07/16 21:28 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#305 [向日葵]
セツナ「昔俺を殺そうとした奴らなんだ。そいつらは、地位は一番低いくせにずる賢くて、意地汚い。おまけに貪欲。」

セツナは海を見ながら今にも吐きそうなくらい気分悪そうな顔をした。

セツナ「自分達の利益の為ならなんでもするような最低最悪な奴らで、自然界でもほぼ追放の身にある。…………なのに、この辺をのさばっている。だから、緑や風達は脅えている。」

蜜「セツナは怖くないんですか?」

セツナは鼻をフンと鳴らした。

セツナ「黒蝶族がアイツら如きに脅えるか。」

⏰:07/07/16 21:34 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#306 [向日葵]
「でも」とセツナは続ける。

セツナ「お前は別だ。俺はいつだってお前が消えるのが怖い。」

―――ドキッ……

不意打ち……。卑怯だ…。

蜜「よっぽどセツナに酷いことされない限り、私は出来るだけ側にいますよ。」

セツナ「……ずっとではないのか。」

―――ドキッ……

蜜「ず、ずっと……いますよ。」

⏰:07/07/16 21:45 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#307 [向日葵]
セツナは安心した様に笑うと胸元に顔を横にして置いてきて私を抱き締めた。

わかった。
この人が可愛く見える瞬間は、こんな風に甘えてくれる時なんだ。

そしてそれを可愛く見える度、私はセツナにどんどんのめり込んでいって、愛しさが増して、どうしようもなくなってしまうんだ。

⏰:07/07/16 21:52 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#308 [向日葵]
チャプター7:訪問者





蜜「教科書良し。お弁当よし。あとー……戸締まりも良しっとー。」

同棲もどきを初めて3日目。今日は学校の日。

蜜「セツナー。風さん達は来ましたか?」

庭で腕組みしながら天を仰いでいるセツナに呼びかける。

セツナ「ったく何してるんだ。」

イライラしてるセツナの隣まで来て、私も同じ様に天を仰ぐ。

⏰:07/07/16 22:06 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#309 [向日葵]
するとそよ風と共に風さん達が来た。

セツナ「遅いっ!いつまで待たす気だ!!」

風さん達はびくびくして必死にお辞儀する。

蜜「セツナ!怒らないであげて下さいよ!」

私はポケットから袋を一つ開けてしていたリボンをといた。
中には小さめのクッキーをいくつか入れていた。

蜜「風さん達、食べれますか?」

次の瞬間クッキーはなくなってカワイイ笑い声と共に「ありがとう」と聞こえた。

⏰:07/07/16 22:13 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#310 [向日葵]
セツナ「蜜よ。俺にはそれはないのか。」

蜜「貴方食べないじゃないですか。」

セツナ「蜜がくれるならなんでも食べるさ。」

蜜「残りが少しあるからなんなら食べます?」

リビングに帰ると後ろから腕を掴まれてくるりと回って目の前にはセツナがいた。

蜜「ダンスはをするとは言ってないんですけど…。」

顎に手をやって顔をクイッと上げられた。

⏰:07/07/16 22:19 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#311 [向日葵]
セツナ「やはりこちらの方が嬉しいんだが……駄目か?」

蜜「イエスノーで聞かれるならばノーですけど。」

セツナ「そうかそれは残念だ。だが……俺の答えは分かっているな?」

そう言うと顔を傾けて唇を優しく押し付けた。
そして離す。

蜜「……。」

私は目をパチクリさせていた。
珍しい…。今日は軽いや。
その視線に気付いたセツナはニヤリと笑う。

⏰:07/07/16 22:29 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#312 [向日葵]
セツナ「足りなかった?」

蜜「さっさと学校行きましょう。」

セツナから離れてカバンを持ち、玄関へ向かう。

今日もいつもと同じ1日が始まる。

……そう思ってた。


・・・・・・・・・・・・・・

清「あ!蜜!!おっはよー!」

靴箱で清がいた。

蜜「おはよう。」

⏰:07/07/16 22:38 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#313 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/16 22:39 📱:SO903i 🆔:9Zw9K4o2


#314 [向日葵]
清「今日の英語のリ……」

清が言葉を失ったのは訳がある。私が目の前から忽然と消えてしまったからだ。
一方その私が何処へ行ったかと言うと、セツナに引きずられていたのだった。

蜜「ちょ、セツナ!いきなりなんですか!!」

セツナ「会いたくないやつがいる。」

……。なんかげんなりしてる。一体何が……?

と思っていると後ろから声が。

「セ―――ツ―――ナァァァァァァ!!」

⏰:07/07/17 16:25 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#315 [向日葵]
クリクリした髪の毛が目についた。淡いピンク色でとても良い香り。

セツナ「ルキ!お前何故ここにいる!」

『ルキ?』

その少女は私より少し背が高くて可愛いと綺麗を両方持ってる子だった。

ルキ「研修ですわ♪それならばセツナ様のお近くがいいと思ったんですの!」

ルキがセツナに抱きついた時、はたと私と目が合う。
ルキ「あら?貴方は?」

蜜「へ?あ、あの蜜です。本山蜜。」

⏰:07/07/17 16:31 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#316 [向日葵]
ルキは上から下まで私をジロジロと観察する。

ルキ「貴方セツナのなんなんです?」

蜜「え、……。えーっと。」

セツナ「恋人だ。」

セツナがうっとおしそうにルキの腕を自分の首からはずしながら言った。

ルキ「こっ、こんな冴えない人がこい、こここ恋人ですって―――っ?!」

ごもっとも……。

セツナがルキの腕を掴んで睨む。

⏰:07/07/17 16:35 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#317 [向日葵]
セツナ「オイ。口を慎め。いつお前に俺を侮辱する権限を与えた。」

蜜「いやあのセツナ。貴方は何も言われてませんよ……?」

セツナが横目で私を見る。

セツナ「俺が言われたも同然だ。」

そしてまたルキに目を移す。

セツナ「次は無いと思え。」

そしてルキの腕を離すと私の肩を抱いて教室まで行った。

⏰:07/07/17 16:39 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#318 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・

蜜「セツナ。いくらなんでも女の子に暴力はいけませんよ!」

現在教室前。
教室まで送ってくれたセツナに私は告げた。

セツナ「ハァ…。今日はお前の説教ばかりだな。」

蜜「優しくするのを私だけじゃなく他の人にもして下さいと言ってるんです!」

まぁ優しいかどうかは分からないけど……。なんてったってS……。

セツナ「蜜が言うなら仕方ない。…努力する。」

⏰:07/07/17 16:44 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#319 [向日葵]
私は微笑む。

蜜「お願いしますね。ではまたお昼に。」

と言って教室に入ろうとしたら

セツナ「蜜。忘れ物だぞ。」

忘れ物?なんか忘れたっけ。筆箱?教科書?

蜜「何ですか?」

腕を引かれたと同時に、セツナの唇が軽く唇に触れる。

蜜「――――っ!!!!」

セツナ「じゃあな。」

⏰:07/07/17 16:53 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#320 [向日葵]
私は暫く口を押さえたままその場に立ち尽くした。

『だから!人間のマナーを学んでてあれだけ言って』

小川「おはよう!」

蜜「うわー!っとおはようございます!!」

いきなり声をかけられて思わず両手を万歳してしまった。

小川「ゴメン!そんなに驚くとは……。」

蜜「いやいや。こちが悪いだけで。」

会話しながら教室に入ると、先に着いていた清が話かけてきた。

⏰:07/07/17 16:58 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#321 [向日葵]
清「みーつ!朝からお熱いねー♪いってきますのキ・ス☆」

私は速攻で清の口を塞ぎに行った。

蜜「き〜よ〜…。教室のど真ん中でなぁにを口走ってるかぁ〜…。」

清「そりゃああれだけ素敵な人だったら何されてもいいわよね。」

蜜「黙れぇぇぇぇっ!!!!」

「え?本山さんってやっぱり?!」

「どっちから告ったの?!」

突然クラスの女子からの質問責め。
私は一気に囲まれた。

⏰:07/07/17 17:02 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#322 [向日葵]
そんな中、ドア付近に立ち尽くしたままの小川はショックを受けていた。

蜜[微妙。]

確かに本山は前、そう答えた……。なのに…。

――――――……

ズバンッ!!
1時間目の休み時間。大きな音を立てて入ってきたのはセツナだった。

蜜「…セツナ?!どうしたんです?」

セツナ「蜜。帰るぞ。」

蜜「はい?!何言って!」

手を引っ張られてドア付近まで連れて行かれると

⏰:07/07/17 17:16 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#323 [向日葵]
ルキ「セッツナ――――!!!!」

前からルキが飛んできてセツナに飛び付く。
セツナは均衡を崩して倒れ、私は反動で飛ばされた。

セツナ「ルキ!いい加減追いかけてくるのを止めないか!!」

セツナが身を起こしながらルキに叱咤する。

蜜「あいっ…たたた……。」

小川「大丈夫?」

ふっ飛ばされた私に、小川君が優しく手を差しのべてくれた。

⏰:07/07/17 17:21 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#324 [向日葵]
小川「足すりむいてるけど…平気?」

見ればほんのちょっとだけ傷になっていた。

蜜「大丈夫!ありがとう!」

なんだかのほほんとした空気が流れた。
それが気にいらなかったのか、セツナが後ろから私を抱き締める。

セツナ「俺のに気安く触るな。蜜、帰るぞ。」

蜜「い、嫌ですってば!!私は授業を受けます!」

ルキ「セツナ!私とお話をしましょう♪」

⏰:07/07/17 17:26 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#325 [向日葵]
もー!皆ゴチャゴチャ自分の事ばっかりぃ!!
いい加減にしてよぉっ!!!!

その時、私とセツナを繋ぐ手がやんわりと離された。
そしてわたしの目の前に小川君が立つ。

小川「嫌がってるじゃないですか。止めてあげてください。」

蜜「小川君……。」

セツナは不機嫌丸出しになって小川君を睨みつける。

セツナ「関係ないだろ。邪魔するな。」

蜜「小川君、私ならいいから……。」

⏰:07/07/17 17:29 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#326 [向日葵]
それでも2人は睨み合ったまま。一歩も動こうとはしない。

するとセツナの目が私を捕えた。

セツナ「蜜。俺は帰る。帰ったら覚悟しとけ。」

そう言うとバシン!!と音を立てて出て行ってしまった。

蜜「あ……。」

小川「ゴメン。俺…余計な事……。」

蜜「ううん。そんな事ない!ありがとう。」

小川君は弱々しく微笑むと自分の席へ戻って行った。

⏰:07/07/17 17:33 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#327 [向日葵]
その場に立ち尽くしてドアを見つめる。

『まったく…自分勝手なんだから……。』

ルキ「貴方……ホントにセツナ様の恋人ですの?」

蜜「はい……まぁ。」

ルキ「はいまぁですって……?そんなどうでもいいみたいな言い方なさるなんて……。どうかしてるわ!」

ルキが私に詰め寄る。美人の怒った顔は迫力があるから困る。
私はたじたじになった。

ルキ「あの方が恋人ですのよ!それを“はいまぁ”で済ますなんて、好きではないんですよ!!」

⏰:07/07/17 17:38 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#328 [向日葵]
ルキは教室を出てどこかへ走って行った。

とんでもない人がやって来たものだ……。

―――――……

お昼は1人だった。だってセツナは帰ってしまったんだもの。
いつも隣にいるハズの影が今日は無くて少し切なかった。

ルキ[好きじゃないんですよ!]

『そんな事ないのになぁ……。』

そうだったらこんなにドキドキもしないし、寂しくご飯を食べてる訳もない。

⏰:07/07/17 17:43 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#329 [向日葵]
どうも私はそーゆー感情を表に出すのが苦手だ。
言われ慣れてる訳でもないし、言い慣れてもない。

胸を張って恋人だと言える訳もない。
だって私はルキが言った通り冴えていない。平凡な人生を暮らしていたし、別に容姿のことだって気にはならない。

ここに来て、これだけ気にするとは……。

蜜「可愛かったり…綺麗だったら、胸張って…セツナの恋人って言えるかなぁ……。」

それでもセツナは、こんな私を可愛いと言ってくれた。
誰が何と言おうと、セツナが可愛いと思ってくれるなら……別にいいのかもしれない。

⏰:07/07/17 17:49 📱:SO903i 🆔:/DfXwmKc


#330 [向日葵]
蜜「お弁当…美味しくないよ…。セツナ……。」

まだ冷たい風が私の体を触れて行った。

――――
――――――……。

教室を出るとルキがでんっ!!といた。

蜜「な、なんでございましょうか……。」

ルキ「貴方のお家まで案内してもらおうと思いまして。」

蜜「……は?」

ルキ「貴方に私の気持ちが分かりますの?」

そこからルキは自分の世界へ入って行った。

⏰:07/07/18 00:35 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#331 [向日葵]
セツナをお慕いして幾年……。

あの方の全てを知りつくして来た私こそがセツナにふさわしいと思っていました……。

――――なのに……

ルキ「最近口を開けば「蜜がどうした」「蜜があーした」蜜蜜蜜蜜蜜ばっかり!!!!なんで貴方なんかにぃっ……っていないじゃありませんかぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

私はルキが世界に入り込んでいる時に猛ダッシュでその場を去った。

蜜「ゼー……。ゼー……。ったく、何だっての……。」

⏰:07/07/18 00:42 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#332 [向日葵]
靴箱に手をついて呼吸を整える。

小川「本山?」

蜜「あぁ小川君。」

小川「どうかした?」

蜜「ちょ、…ちょっとね……。あ、あの、今日はホントにありがとう。」

小川君はにっこり笑っていやいやと言った。

小川「なんか本山困ってたみたいだし。」

蜜「小川君…。やっぱり小川君はいい人ね!じゃあまた明日!!」

そして私は急いで帰宅した。

⏰:07/07/18 00:46 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#333 [向日葵]
残された小川は蜜の走っていく姿をジッと見つめていた。

蜜[小川君はいい人ね!!]

満面の笑みで言われた……。その笑顔が、頭から離れない…。

清「恋だねぇ。」

後ろから清が小川に話かけた。

小川「うわっ!な、何!!」

清「ま、若者よ。頑張りなさい。」

小川「お、おう…。」

―――――――……。

カチャカチャ ガチャン

蜜「ただいまー…。」

⏰:07/07/18 00:51 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#334 [向日葵]
セツナの姿がない。
リビングかな……。

リビングに行ってもやっぱりいない。すると少しだけ風を感じた。視線を庭側へ向けると

蜜「あ、風さん。」

1匹だけ風の妖精さんが私の顔近くにいた。
どうやらセツナの場所を教えてくれてるらしい。

手招きされるがままついて行く。

庭を出ると、セツナがいた。家を背もたれにして私が見えない位置で芝生の上に座っていた。

蜜「……た、ただ…いま…。」

⏰:07/07/18 00:57 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#335 [向日葵]
セツナは目だけを動かして私を見ると、また目線を戻した。

あちゃー…。
一緒に帰らなかったのと、小川君が助けに入った事が気にいらないんだ。
バッチリご機嫌ななめ……。

蜜「セツナ。」

セツナは返事をしない。
私は深呼吸した。

蜜「もう…1人で先に帰らないで下さいね……。」

セツナ「何故?」

やっとここで反応した。
心の中でホッとしながら私は続ける。

⏰:07/07/18 01:03 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#336 [向日葵]
蜜「セ…、セツナがいなかったら、お昼寂しいんですから…。」

セツナがこちらを向く。
まだ機嫌は完全には直ってないけど私の言葉に少し直ったらしい。

仕方ない……。極めつけは恥ずかしいけど言うしかない……。

言う前から顔が赤くなるのが分かる。
セツナのセーターをキュッと掴んで私はうつ向いた。

蜜「私がす、すすす好きな、のは……セツ…ナなんですから……。あまり小川君の事で、拗ねないで下さいね……。」

⏰:07/07/18 01:08 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#337 [向日葵]
どわぁぁぁ!!言ってしまったぁぁあ!!

……。……。……?

セツナの反応が無い。
ソローッと顔を上げて見ると、セツナは目線をずらして口元を少し隠し、耳を軽く赤くして照れていた。

わ…わぁ―――っ!!!セツナが照れてる!!

セツナ「まったく…やっぱりお前には敵わん。」

セツナは私と視線を合わせると、まだ紅潮している私の頬に指先を触れた。

セツナ「可愛いのでは、お前の右に出る奴はいないな…。」

⏰:07/07/18 01:14 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#338 [向日葵]
蜜「それは…買い被りすぎですけど……。」

時間が止まった様な気がした。いつもとは、なんだか違う雰囲気。

もっと甘くて、このままでいいやと思う様な……。

セツナの顔がゆっくり近づく。
私もそれに合わせてゆっくり目を閉じていった。
驚くほど優しく唇が触れる。

それが段々と激しさを増していく。

『なんか、変だ……。』

いつもなら息苦しくて恥ずかしくてすぐ離れたくなるのに……。

⏰:07/07/18 01:19 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#339 [向日葵]
セツナの照れた顔を見たせいかな……。

セツナの手が後頭部と背中辺りに来て、私を優しく芝生の上に寝かせた。
一旦顔を離して見つめ合う。

セツナ「蜜……。」

名前を呼びながら、セツナは私の頬を指先でなぞる。そしてまた顔が近付いた。今度は最初から激しくて、セツナの舌が、口内を荒らした。

答えてみるものの、完璧に近いセツナのくちづけは次第に意識を奪ってしまいそうになり、ちゃんとは出来なかった。

⏰:07/07/18 01:24 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#340 [向日葵]
長いキスを、どのくらいしてたんだろう……。

やっと唇が離れた時には全速力で走った後みたいになっていた。

蜜「ハァッ…ハァッ……ハァ…」

セツナ「蜜。大丈夫か?」

セツナが心配そう見つめながら私の顔を包む。

私の好きな…優しい目……。

蜜「だい……じょ、ぶ……ですよ……。」

と言って笑う。
セツナも温かく微笑んで私の瞼にキスした後、起こしてくれた。

⏰:07/07/18 01:31 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#341 [向日葵]
セツナ「困ったもんだ。危うく理性を失うとこだったぞ。」

蜜「それは……困りますね。」

あんなトコで……襲われると流石に……。
いやそんな問題じゃないよ!!

私さっきおかしかったよ確実に!!完全にセツナに身を任してたし!
あのまま流れでそーゆー事になっても抵抗しなかったかもしれない!!

『ひぃぃっ!!恋愛って怖い!!』

セツナ「今日の蜜は一段と可愛かったな。必死にキスについてこようとするトコとか。」

⏰:07/07/18 01:36 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#342 [向日葵]
セツナがニヤリと笑う。
いつものセツナに戻ったらしい。

セツナ「しかも」

顎をクイッとあげられる。

セツナ「あの蜜から“好き”と言う単語が出てくるとは…。」

言うなぁぁぁ!!もう言うなぁぁぁ!!

蜜「じ、じ、事実です…もん。」

セツナ「お前は誘ってるのか?」

私は頭をブンブン振った。

蜜「んな訳ありません!!」

⏰:07/07/18 01:40 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#343 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/18 01:40 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#344 [RUI]
ひーちゃん頑張って

>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:07/07/18 13:58 📱:SH902iS 🆔:MJ9N9lZo


#345 [向日葵]
RUIちゃん
応援&安価ありがとう

――――――――

セツナはクスクス笑うと立って、手を差しのべる。

セツナ「早く中に入るぞ。風邪をひかれたら困るからな。」

その手をとって、私も立ち上がる。

蜜「そういうば……覚悟って何なんですか?」

セツナは少し考えてからニヤリと笑う。

セツナ「俺を怒らせた罪としてお前の可愛い姿を堪能しようと思ったんだ。」

⏰:07/07/18 19:04 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#346 [向日葵]
「しかし」とセツナは続ける。

セツナ「想像してた姿よりいいのが見れたんでな。満足だ。」

ニカと笑って白い歯を覘かせた。

危ない……。とっておきをしておかなければ今頃私は偉い事になってた……。

蜜「大体私の気持ちを知ってるくせに嫉妬なんかしなくていいじゃないですか。」

セツナ「分かってないな蜜。だからこそだろ。」

私はさっぱり分からなくて首を傾げた。

⏰:07/07/18 19:08 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#347 [向日葵]
セツナ「好きと分かっているからこそ好きでもない奴に守られるのが嫌なんじゃないか。」

小川君の事を言ってるのがひしひしと感じられる。

蜜「なら、もう少し私の意見を尊重して下さいませんか?自分勝手にギャーギャー言われるの嫌いなんです。」

それに……。

蜜「ルキにだって逃げずに堂々としとけばいいじゃないですか。」

大体あの人は何でも分かったみたいにセツナの事をベラベラベラベラ……。

どうせ貴方よりはセツナとの日は浅いですよ!

⏰:07/07/18 19:12 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#348 [向日葵]
それでもちゃんと確かめ合う物はあるし……。

予想外に顔が拗ねるみたいに口を尖らせて眉を寄せてしまう。
そんな私にセツナが不思議そうな顔をした。

セツナ「なぜ表情を曇らせるんだ?」

蜜「えぇっ?」

思わずイラつく気持ちが出てしまって荒々しく言葉が出る。

蜜「いえ…。ちょっと……。」

⏰:07/07/18 19:23 📱:SO903i 🆔:.1ksn8JQ


#349 [み]
あげッ肉フ

⏰:07/07/18 23:07 📱:W44T 🆔:HoT.uiRY


#350 [ス梢ス]
ぁげッッ~

⏰:07/07/19 15:45 📱:W51SH 🆔:fWlszHkU


#351 [向日葵]
みさん
梢さん
あげありがとうございます

――――――――

まぁ何はともあれ……ルキには気をつけよう。

――――――……
次の日

小川「本山。」

蜜「小川君。」

小川君は私の傍まで来ると困った様に頭をカリカリかいた。

小川「前のアンケート結果の報告書、いくつか間違いがあったから書き直しだって。」

⏰:07/07/19 17:27 📱:SO903i 🆔:Pq5ip2MU


#352 [向日葵]
蜜「え――っ?!マジですか…。」

小川「あ、でも本山は先に帰りなよ…?」

私は首を傾げた。

蜜「なんで?」

小川君はまた頭をカリカリかいた。

小川「彼氏…セツナ先輩…だっけ?また怒っちゃうでしょ。」

あぁ……。
でも昨日で大分機嫌は良くなったし、ちょっとやそっとではナナメになることは無いだろう。

蜜「そんなの気にしないで。あの人――……ちょっと我儘だし。」

⏰:07/07/19 17:30 📱:SO903i 🆔:Pq5ip2MU


#353 [向日葵]
「ちょっとは我慢を覚えさせないと」と付け足すと、小川君はホッとした様に笑った。

小川「良かった…いや、あの良くない……いや、あの何でも。」

蜜「はい?」

小川「と、とにかく!また放課後頑張ろうね。」

蜜「そうだね。頑張ろう!」

小川「じゃあ。」

ニコニコ笑いながら小川君はどこかへ行ってしまった。

あの爽やかさをセツナに半分分けて欲しいね!
……まぁ、昨日は珍しいもの見れたし…、いいや。

⏰:07/07/19 17:35 📱:SO903i 🆔:Pq5ip2MU


#354 [向日葵]
清「蜜!ダーリンよ!」

思わずずっこけそうになった。
ダーリンだぁ?!
私にそんな名称が似合うとでも?!

ドアの方を見るとセツナが立っていた。

急いでセツナの元まで行く。

蜜「どうしました?」

セツナ「すまんが今日は昼休み一緒にいれないんだ。だから1人で食べてくれ。」

蜜「あ、はい。わかりました。」

⏰:07/07/19 17:46 📱:SO903i 🆔:Pq5ip2MU


#355 [向日葵]
セツナ「だから……。」

ブワッ!!

蜜「ひぃやぁ!!!!」

世界が逆転する。
セツナの肩に私は担がれてしまった。
周りの視線が痛いほど刺さる。

蜜「ちょ、セ、セ、セツナ!何するんですか!!」

セツナ「用があるから人間マナーに乗っ取って場所を変えようと思ってなぁ。」

そ、それってつまり……“愛のくちづけ”の時間…?!

⏰:07/07/20 01:04 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#356 [向日葵]
ガラガラ

どうやらここは空き教室。
セツナは私を机の上に乗せてその両端に手を付く。

セツナ「その顔は…分かってるみたいだな。」

ニヤッと笑いながら上目使いで聞いてくる。

蜜「そろそろパターンが読めてきたんです。ってか…、忘れてましたけどセツナがウチにいるのは昨日で最後でしたね……。」

セツナ「寂しい?」

優しい目つきで聞いてくる。

⏰:07/07/20 01:09 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#357 [向日葵]
う……それは無しだ…。

言葉が勝手に出てきてしまう。

蜜「……はい…。」

セツナは目を細めて穏やかに笑うと、私の髪を優しくかき上げ撫でる。

セツナ「学年が違うのが惜しいな。俺もお前と離れるのは1秒たりとも後免だ。」

蜜「我慢と忍耐はたまには大切ですけどね。」

セツナはクスクス笑う。

セツナ「だから充電するんだ。」

⏰:07/07/20 01:13 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#358 [向日葵]
そう言うと、私の唇にそっと触れた。

目を閉じて、考えるのは胸に広がる温かな気持ちのこと。
これがもしかしたら“恋”で“幸せ”なのかな。

でも同時に不安な気持ちが混ざる。

セツナはホントに自分を“蜜乙女”としてじゃなく好きなんだろうか……。

そんな不安を飛ばす様にセツナの唇が強く押し付けられていく。

セツナ「余計なこと考えてただろ。口がおろそかになってたぞ。」

⏰:07/07/20 01:18 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#359 [向日葵]
蜜「……。すいません……。」

セツナ「俺といる時は俺の事だけ考えろ。」

蜜「……。」

強い目…。射ぬかれそう。でもその奥には穏やかで、優しい部分が見え隠れしている。

蜜「……はい…。」

セツナの目が閉じたと思うと、また唇が触れる。

分かってる。ううん違う。無理なんだ。

こうしてるのに、セツナ以外を考えれるハズ……ないんだ……。

⏰:07/07/20 01:23 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#360 [向日葵]
―――――――……

キーンコーンカーンコーン……

蜜「清。お弁当一緒してもいい?」

清「あら珍しい。でもいいよ♪久々だね!」

机を引っ付けて向かい合わせで座る。
カバンからお弁当を取って机に置いた。

清「…あっれー?っかしーなぁ……。」

蜜「?どうしたの?」

清「お箸、忘れちゃったみたいなのぉー…。」

⏰:07/07/20 01:28 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#361 [向日葵]
蜜「じゃあ食堂で割り箸取りにいこっか。」

清「ウン。ありがとう!」

と言う訳でいざ食堂へ。

食堂は別館にあっていささか遠い。

着くと生徒でごった返していた。

清「うっはは〜…。いつもすごいよね。」

蜜「私、邪魔だからあっちにいるよ。」

指差したのは食堂から離れた階段近く。

清「おっけーおっけーぃ!じゃあ出来るだけすぐ行くから。」

⏰:07/07/20 01:33 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#362 [向日葵]
階段は食堂と違って静かだった。
少し生徒の声が聞こえるだけで人通りはなかった。

『…。そういえば……。』
セツナどうしたんだろう…。何か用事でもあったのかな。
ってかセツナは卒業したらどうするんだろ。
何かを偽って黒蝶族の所へ帰るのかもしれない…。

そしたら……私達は、どうなるんだろう……。

「――・・―・・・。」

蜜「?」

階上から話声が聞こえる。一回清の方を見て、まだ来ないのを確認しながら私はそろりと話声のする方へ近付いた。

⏰:07/07/20 01:40 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#363 [向日葵]
その声が確実となった。

ルキ「よくお考えくださいなセツナ。」

ルキだ!!

気づいて身を潜める。そして話相手はセツナと言うこと。手摺越しから姿を確認する。
確かに2人共いる。

セツナ「何を考えろと言うんだ?」

ルキ「わかりません?貴方のあの蜜乙女に対する気持ちは只単の“蜜乙女”としての感情しかありませんのよ。」

――っな!!なんてこと!!

ルキ「所詮人間と比べれば私達は動物本能が働きますもの。大好物を前にして目がクラんでいるだけですわ。」

⏰:07/07/20 01:45 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#364 [向日葵]
そんな事ない!!

セツナはちゃんと私を好きでいてくれてる。“蜜乙女”じゃなくて私“自身”を!!

セツナ「あぁ…。そうだな……。」











――――――え……。

今……なんて……。

セツナ[あぁ……。そうだな……。]

⏰:07/07/20 01:47 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#365 [向日葵]
ズルッ! ビタン!!

あまりの事に滑って手をついてしまった。
分かってる。2人が気付いた事くらい。

ルキ「まぁ!盗み聞きしてたんですの?!なんてはしたない!!」

最後を聞き終えるかいないかで私はその場から逃げた。

ルキ「お話すら最後までキャッ……!!」

セツナはルキを押し退けて蜜を追う。

セツナ「蜜!待てっ!!」


―――――そうだったんだ…。なぁんだ。そっかぁ。

⏰:07/07/20 01:52 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#366 [向日葵]
セツナ「蜜!」

追いついたセツナは私を引き止める。

蜜「……。何か?」

自分でも分かる。酷く冷たく無関心な目でセツナを見てる。

セツナ「さっきのは違う!まだ続きが」

パシッ

私はセツナの手を払い退けた。

あー…。笑える。

蜜「フ…フフフフ。私の“蜜”は最高だって?もう病み付きで私からは離れることすら出来ないって?」

⏰:07/07/20 01:56 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#367 [向日葵]
なんで信じてたんだろ。
好きって言われ慣れてないから有頂天になってたのかな?

そうだよね。この人達の「好き」の前に括弧付けで“蜜”が。が着くんだね。

蜜「そんな感想は一族に帰ってからしなさいよ!!セツナなんか大っ嫌い!!」

封印の言葉を解き放つ。
もう知らない。お別れだ。
私はセツナの顔を見ずにそこから離れる。

・・・・・・・・・・・・

清「蜜!お待たせぇっ!!」
蜜「ううん。大丈夫。早く戻ろう!!」

⏰:07/07/20 02:01 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#368 [向日葵]
平凡が……戻ってきた。

待ち望んだ愛しい日々。
やっぱり私はこうでなきゃ。

だから言ったでしょ?面倒に巻き込まれるのは嫌だって。……だって…

清「――そしたらぁ!その猫が蛇に…っ。……蜜?!」

気付かない内に、いくつもの水雫が私の頬を滑り落ちていた。

……だって、平凡から一旦抜けてしまったら前まで当たり前にあった特別が無くて寂しくなってしまう。

ねぇセツナ…。どうして私は“蜜乙女”として、貴方に出会ってしまったんでしょうね……。

⏰:07/07/20 02:05 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#369 [向日葵]
――――――――

今日はこれで終ります

⏰:07/07/20 02:06 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#370 [向日葵]
チャプター8:誤りと解する





カチャ…… パタン……。

蜜「ただーいまー…。」

1人言。家にはまだおばあちゃん達は帰って来てないみたい。

『目、痛い……。』

清が心配するから涙を拭いても拭いても後から出てきて厄介だった。

フワー……ン

蜜「……。あ、風さん。」

⏰:07/07/20 16:59 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#371 [向日葵]
風さんはニコニコ笑って私の周りをフワフワ飛ぶ。

蜜「風さん…。セツナの元に帰った方がいいですよ。」

風さんは小さな目をクリクリさせて私を見る。

蜜「もう……ここにはこないから……。」

ホントにあの言葉が違うなら、今頃撤回しに来るハズなのに……。それすら来ないなんて……。

私はフローリングに座りこんだ。

日が暮れていく。
あの山で見た夕日は綺麗だったのに…今じゃこんなに寂しいものになってしまった……。

⏰:07/07/20 17:09 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#372 [向日葵]
慣れなきゃ。ううん忘れなきゃ。

私は平凡平和な女子高生。彼氏なんか1度も出来た事は無い。

セツナなんて人だって知らない。一切、知らない……。

ポタタタタ

フローリングに小さな水溜まりが出来る。

蜜「せっかく抑えたのに……。」

涙が収まることなく次々と流れていく。

[馬鹿。]

どこかで忘れたい声が気がした……。

⏰:07/07/20 17:13 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#373 [向日葵]
―――――……

おばあちゃん達は無事に帰って来た。
お土産を一杯買って来てくれてとても嬉しかった。
疲れたのか今日はもう寝ると言って8時に床についてしまった。

私はその後夕飯の片づけとか、お風呂入ったりとか何気なく過ごしていた。

蜜「そろそろ私も寝よう……。」

明日って体育あったよね。用意して…宿題……あ、プリント。

時計を見るといつの間にかあれから2時間半が過ぎていた。

⏰:07/07/20 17:17 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#374 [向日葵]
もう…、明日しよう。
早く起きて、学校へ行こう。今日はくたびれた。

よろよろとベッドに歩いていく。
今日は満天の星が綺麗だ。

電気を消して、ベッドに入り、星を見ながら寝る事にしよう。

蜜「今は…カシオペアが見えるのかなぁ…。あ、カーテン半分だけ閉めておこう。」

その時だった。

ザァッ!

目の前を、黒い大きな影が横切った。

⏰:07/07/20 17:23 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#375 [向日葵]
思わずシャッてカーテンを両方閉めて、背中を向ける。

嫌だ……。
なんで?

ドン…ドンドン……。

セツナ「蜜。そこにいるんだろ。開けろ。」

私は答えなかった。
素早くベッドに行って布団を頭まで被った。

セツナ「オイ蜜!話を聞けよ!」

もういいから。消えて。私の前から姿を消して……。
セツナ「蜜!!」

魅惑の声に怒りが帯びる。でも私は答えない。

⏰:07/07/20 17:26 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#376 [向日葵]
むしろ両耳を塞ぐ。

傷つきたくないの。
もう沢山なの。

私に、構わないで……っ!

ドンッ!!

窓が割れそうなくらいセツナが叩く。

セツナ「そうしているといい。だがな蜜。お前を説得するまで俺は何度でも来てやるからな!」

その言葉を最後にセツナからの呼びかけは終わった。
どうやら帰ったらしい。

知らない。知らない!
来たって無駄だよ!!

……その窓を開ける日は、二度と来ない。

⏰:07/07/20 17:31 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#377 [向日葵]
そうこうしてると、私は眠りに落ちていた。

―――――……

ピピピピ ピピピピ

あ、アラーム…。朝だ……。

……いっけない!!今日早く行くんだった!!

超特急で支度して猛ダッシュで家を出た。

バタン!!

蜜「いってきます!……っ。」

言葉を失った。
いないハズの姿がそこにはあったからだ。

⏰:07/07/20 17:34 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#378 [向日葵]
そこにはセツナが塀にもたれていた。

名前を呼んではいけない。傷が開く…。

私は誰もいない様に振る舞い、セツナを無視した。

セツナ「蜜。」

足が止まりそうになるのを必死で動かしてセツナを更に無視した。

無駄だったけど、私は駆け足で学校まで行くことにした。セツナは空を飛べる。なんなく私に着いてくるだろう。

セツナ「蜜!返事くらいしろ!」

⏰:07/07/20 17:38 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#379 [向日葵]
振り返らなかったけど分かる。セツナは空を飛ばずに私と同じ様に走っている。

セツナ「オイ蜜!」

いくら呼ばれても決して返事をしない。

貴方なんて知らない。
私は平凡な女子高生。

そう言い聞かした。

やっとの事で学校に着く。下駄箱から教室に行こうとするとすぐそこにセツナがいた。

セツナ「いい加減にしないか。」

グッ!

⏰:07/07/20 17:41 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#380 [向日葵]
蜜「いたっ……!」

セツナの指が、私の手首に食い込む。
本気で怒ったらしい。

セツナ「話を最後まで聞かないか!1人で勝手に完結しやがって!!」

私は何も言わずに必死にセツナの手から逃れようとした。
しかしそれどころか指には更なる力が加えられていく。

セツナ「話を聞くまでは絶対に離さないぞ。」

それでも私は振りほどこうとした。

セツナ「どうやら聞く気は無いらしいな。」

⏰:07/07/20 17:46 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#381 [向日葵]
ガンッ!

蜜「痛いっ……。」

勢いよく下駄箱に私を押さえ付ける。

セツナ「いいな。手加減なんてしない。話を聞かないお前が悪いんだからな。」

そう言うとセツナは唇を強く押し付けてきた。

いきなりだったので息の準備が出来ていなかった。
苦しい……っ。

蜜「ぃや……っ!――ん…っ!!」

セツナの舌が私の舌を絡めとる。

⏰:07/07/20 17:50 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#382 [向日葵]
胸元をぐっと押しても、セツナはそれどころか下駄箱を利用して奥へと侵入してくる。

『頭が……くらくらして……。』

足がカクンとなっても腰に腕を回してキスを止めようとはしない。

セツナ「―――っ!」

セツナは私から離れた。
それは私が唇を噛んだからだ。

蜜「ハッ……やめ…てくだ……さ……ハッ…。」

カバンを抱き締めながら息を整える努力をする。

⏰:07/07/20 17:58 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#383 [向日葵]
蜜「今の……っ私は、こーゆー行動が…っ何より嫌ですっ!!」

足に意識させながらセツナの横を走りさる。

どうせっ朝ごはんなんでしょう?!
極上だもんね?!

ううん違う!!あれは知らない人!つまりこれはセクハラ!!
許せない……っ!!

そんな事を思いながら、心臓のドクドク言う音を聞いていた……。

違う!これは息があがってたから……っ!

違う!違う!何もかも違う!!

⏰:07/07/20 18:03 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#384 [向日葵]
――――――――

一旦キリます

⏰:07/07/20 18:03 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#385 [向日葵]
教室について自分の席についてから顔を伏せた。

平凡平凡平凡平凡!!!!

必死に呪文の様に唱える。
これ以上、私の気持ちを掻き乱すのはやめてよっ!!

―――――……

先生「本山ー。珍しいなぁ。お前が宿題忘れだなんて。もうすぐ学期末なんだから気引き締めていけよ。」

蜜「はぁい……すいません。」

職員室を出て、トボトボ廊下を歩く。

⏰:07/07/20 19:03 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#386 [向日葵]
なんてこと……宿題を忘れるなんて。
せっかく走ったのに…。

清「あ、いたいた!蜜ー!」

蜜「清。」

清「セツナ先輩が蜜を呼んでくれってさっきから教室にいるの。」

―――ドクン…。

蜜「嫌だ…。私、っ保健室行ってくる!」

清「ちょ、蜜ーっ!」

ガラガラ

保健医「おー。本山じゃないかぁ。どした?」

⏰:07/07/20 19:07 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#387 [向日葵]
この人は保健医のさっちゃん。

メガネ美人で栗色の長い髪の毛を1つに結んでる。
私はさっちゃんと仲良しなのだ。

蜜「さっちゃぁ〜ん…。ちょっとベッド貸してー…。」

さっちゃん「おーそうしな。どうやら気分が悪いらしいね。顔色悪いよ〜ん?」

私は保健室利用カードに記入してベッドへ向かった。
ボフッ!

さっちゃん「朝ごはん食ったのー?」

⏰:07/07/20 19:11 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#388 [み]
あげますx+゜
頑張ってください
x∀')゙+.

⏰:07/07/21 18:40 📱:W44T 🆔:dyQW96gw


#389 [瑞希]
失礼します

>>230-300
>>301-350
>>351-400

⏰:07/07/22 00:38 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#390 [向日葵]
みさん
ありがとうございます
――――――――

蜜「それどころじゃなかった……。」

さっちゃん「だぁめよ〜?女の子なんだからぁ。体調管理はしっかりしないとー。」

「じゃね。」と言った後、さっちゃんは仕切りのカーテンを閉めてくれた。

私は靴を脱いでからベッドに潜りこんだ。
学校のベッドはシーツがパリッとしていて好きだけど落ち着かない。

『逃げても…無駄なんだろうけど……。』

⏰:07/07/22 01:22 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#391 [向日葵]
でも今はとにかく放っておいてほしい。

私は、セツナにとってどんな存在か今麻痺をしていてわからなくなってしまった……。

ルキ[動物本能。]

ルキが言った通り、セツナはそれ目的で私に近付いたのかもしれない。
実際よくキスはしてきたし。
自分の生い立ちの事とかだって私を信じこませる為の嘘偽りかもしれない。

あの優しい目だって……
魅惑の言葉だって……

微笑みだって……。

⏰:07/07/22 01:26 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#392 [向日葵]
瑞希さん

ありがとうございます

――――――――

それが全部騙す為だったなら、セツナがいつも口にしていた通り、私は馬鹿だ。

枕シーツに顔を埋める。
どうしようもなくて叫びたい気分。
胸のもやもやが外れない。足が、手が、イライラして気持ち悪い。
ジタバタしたくなる。

『いい!今日は後の授業全部休んでやる!』

シャッ!

さっちゃん「なぁんだい?寝るんじゃないのか?」

⏰:07/07/22 01:31 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#393 [向日葵]
蜜「今日は早退します!!」

さっちゃん「ったく。サボりか?」

蜜「そんな感じです。」

さっちゃん「後で後悔しても知らんぞ〜。ま、好きにしな。」

私は一礼をしてから保健室を出た。

それからさっちゃんの言葉を反芻(はんすう)していた。

さっちゃん[後悔しても…。]

『後悔なんかしない。』

⏰:07/07/22 01:36 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#394 [向日葵]
これでいい……。

――――――

カチャン

家に着いた私は部屋へ直行した。
服を着替えてベッドに座ってからぼーっとする。

毎朝……ここにいたのになぁ……。

いつの間に手放せないくらい好きになっちゃったんだろう。

ジッと軽く開いた力ない掌を見つめる。

あの触れたくて触れた朝の日。やっと自覚出来たのに……。

⏰:07/07/22 12:57 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#395 [向日葵]
セツナ[そうだな……。]

あんな事……言われちゃったら、私の気持ちどうなるのよ。

フワー……

そよ風がするんで顔をあげると、あの風さんがそこにはいた。
私の指を掴むと何処かへ連れて行こうとする。

蜜「ん?なぁに?」

階段を降りて連れていかれたのは庭だった。

風さんが指差した方には

蜜「あ……。」

セツナと同じ様な漆黒の羽をした蝶が、芝生の上に横たわっていた。

⏰:07/07/22 13:05 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#396 [向日葵]
風さんはどうにかしてと泣きそうな顔で訴えかけてくる。

蜜「どうにか…って……。」

生きてるのそれ以前に。

両手で包む様に掬うと微かにプルッと震えた。

蜜「生きてますよ。寒いから弱ってるのかもですね。」

風さんに話かけると風さんは満足した様に飛び回る。
蝶々を温めるようにスカートの上に乗せて上から掌を被せる。

蜜「助けても…出会わなければ良かったかなぁ……。」

⏰:07/07/22 13:19 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#397 [向日葵]
ホントはあの言葉を、真実を聞きたい。
自分が誤解してるのかもって……。信じたい。

でも続きが肯定であれば?

蜜「私は……セツナの中の私は存在意義が蜜乙女でしかないのかな……。」

するとフワッと蝶が宙に舞った。元気になったらしい。

少しそれを見てからまた視線を落とした。

蜜「そんなの……運命じゃないよね……?」

一陣の風が吹き抜ける。

⏰:07/07/22 13:30 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#398 [向日葵]
「そんな訳ないだろ。」

後ろから声がした。驚いて後ろを向くとそこにいたのは、家の壁に寄りかかったセツナがいた。

蜜「いつ、の間に……。」

セツナ「お前の掌にいたけど?」

蜜「え?!」

さっきのあれがこれ?!

セツナ「風達に無理矢理に連れて来たんだ。ったく…こっちはやることあるって言うのに……。」

私はどうしようかと思った。今セツナと話したら…また泣いてしまいそう……。

⏰:07/07/22 13:37 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#399 [向日葵]
1歩1歩、セツナから離れていく。
それに気付いたセツナはツカツカ距離を縮めた。

セツナ「頼むから、俺の話を聞いてくれないか。」

蜜「やだ…。」

セツナ「お前が思ってる様な内容じゃないと思うが?」

違う?……それは本当?

……でも聞かなければ、セツナはいつまでも私を追いかけてくる。

蜜「分かり……ました。聞きます……。」

セツナは私の手を優しく握った。

セツナ「おいで…。」

⏰:07/07/22 13:43 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#400 [向日葵]
久しぶりの優しい甘い声。
いや、昨日ぶりだけど、長い事聞いてなかった気がする。

分かってる。私はもうセツナ依存症になってる。
あらがう事なんて一切出来ない。

黙ってセツナについて行き、庭へ出る窓のへりに座る。

セツナ「何が知りたい?」

蜜「とりあえず…私はやっぱり蜜乙女でしかないんですか?」

そこでセツナはフーッと息を吐いた。

⏰:07/07/22 13:46 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#401 [向日葵]
セツナ「ルキの話をどこから聞いていたか知らないが、全くの誤解だ。あれは……ルキを遠ざける為に言っただけだ。」

蜜「遠ざける……為?」

私が眉を寄せるとセツナは苦笑した。

セツナ「続きがある。「そうだな…。最初はそうだったかもしれない。が、今は違う。次こんな事言ったら……女のお前であろうと覚悟しておけ。」……とな。」

私は眉を一旦戻してまた寄せる。

蜜「そんなのして……本当に遠ざかるんですか?」

⏰:07/07/22 13:53 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#402 [向日葵]
セツナ「見れば分かるだろ。アイツは俺を好いてる。ならば嫌われることはしない。それぐらい分かってる。」

あー…久々俺様口調。
どうしたらそこまで自信満々に言えるんだ。

セツナは私の目をジッと見つめた。心臓が跳ねる……。

セツナ「運命じゃない訳ないだろ。言ったハズだ。お前は俺を求めるし、俺はお前を求める。決して蜜乙女だからじゃない。……ったく。何回説明すれば分かってくれるんだ。お前が可愛いといつも言ってるだろ。」

⏰:07/07/22 13:58 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#403 [向日葵]
蜜「ハァ……。分かってますよ。……でも不安がよぎらないのは嘘じゃありません。」

セツナは私を見つめると身を乗り出して軽く唇に触れた。

セツナ「……信じろよ。」

セツナが囁く。甘く甘く私の頭を犯す。

セツナ「お前にまた大っ嫌いと言われた時は死にそうだったぞ。」

その時を思い出してるのか美しい顔が歪む。

蜜「……。それくらいショックだったんです。分かってるんでしょ?どれくらい……貴方を好いてるか…。」

⏰:07/07/22 14:02 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#404 [向日葵]
私は溜め息をついた。
そしてセツナの骨ばった手を見つめて、左手の人差し指を掴んだ。

蜜「話を聞かなくてごめんなさい……。でも、ホントに蜜乙女でしか価値がないって言われたらと思うと……。」

握られていない方の手で、セツナはゆっくりと私を抱き寄せた。

セツナ「心配しなくても、蜜と言う1人の人間が好きだ。それをちゃんと分かっておけ。」

セツナの体温が心地いい……。指を掴む手を離して、キュッと抱きついた。

⏰:07/07/22 21:43 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#405 [☆チーター☆]
きゃあイイイ
更新されてるぅぅ~~
貴重なスペース使ってごめんなさいソソ

⏰:07/07/22 21:54 📱:auSA3A 🆔:feuVnaEw


#406 [向日葵]
セツナ「ったく。お前の頑固ぶりは疲れたぞ。一晩いるのは寒いし。」

蜜「……なんで…、すぐに撤回しに来てくれなかったんですか?」

セツナはその大きな両手で私の顔を包んでグイッと上を向かした。

セツナ「言葉に乗りきるのに頑張ってたんだ。また言われたらもう無理だと思った。」

なるほど……。
段々真相が見えて…きた?

蜜「……今度こそ…、もう言いません、から…。」

⏰:07/07/22 22:05 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#407 [向日葵]
セツナ「誓うか?」

蜜「誓う?」

セツナは人差し指を私ね唇に軽く押し付けた。

セツナ「わかるか?」

蜜「わかりますがわかりません。」

そこで私はいつもの自分を出せた。

蜜「知ってますよね?私がそれ系苦手って…。」

セツナ「だからだろ。…誓えるのか?……誓えないのか…?」

出た出たー…。
Let's俺様。断れないの知ってて言うんだから……。
でも……。

蜜「他がいいです……。」

セツナ「なら俺から誓おう。」

セツナは抱き締めてた手を私の腰辺りまで下ろして私とセツナの間に距離を作った。

⏰:07/07/22 22:33 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#408 [向日葵]
セツナ「絶対……お前を傷付けない。その口から、大嫌いなんて言葉を出させない。約束する……誓う。」

まっ……ぶしー……。
セツナが眩しい……。
それは反則だ。私は光を放つ術なんか持ってないのに。

セツナの胸元のセーターを引っ張って私の方へ引き寄せる。
そして、唇を押し付けた……。

蜜「……。誓いましたよ。いいですか?」

呆気にとられてたセツナは歯を見せて笑った。

⏰:07/07/22 22:45 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#409 [向日葵]
チーターさん

すいません気付きませんでした(゚□゚;)
ありがとうございます
――――――――

セツナ「やっぱりお前は俺の花嫁にふさわしい!手放すことなど不可能らしい……。」

蜜「じゃあ……手放さないで下さい……。」

セツナは何故かクククと笑って顎をクイッと上へ向かせた。

セツナ「お前は無意識の内に俺を誘ってると気づいてるのか?」

さ……!誘ってるってっ―――― !!!!

⏰:07/07/22 22:52 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#410 [向日葵]
蜜「苦手な奴が誘うわけないでしょぉっ!!!!」

セツナ「ハハハハ!蜜はやはり赤面しなきゃ始まらんなぁ!!」

ブスッとソッポを向くと、直ぐに片方の頬を包まれてセツナの方に向けられた。

セツナ「好きだ……。」

甘い言葉が私の脳へ、心臓へ……溶けていく。

蜜「はい……。」

セツナ「好きだ……。」

もう一度囁くと、唇を優しく押し付けてきた。

⏰:07/07/22 22:56 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#411 [向日葵]
――――――――

ちょっと休憩しますね

⏰:07/07/22 22:57 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


#412 [向日葵]
蜜「んぅっ!…ちょ、ちょーっと待って下さい!」

私はセツナの胸を押し返してセツナと距離を置いた。
セツナは不満そうに眉を寄せる。

セツナ「何だ。気持ち高ぶらせておいてストップかけるのか?」

蜜「だって!おばあちゃん達がもうすぐ帰ってくるんです!セツナがいたら…っんっ!」

喋っている私を無視してセツナはまた唇を重ねる。

セツナ「じゃあ……お前の部屋ならいいのか?」

⏰:07/07/23 01:08 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#413 [向日葵]
蜜「部屋っ?!へへへ部屋?!」

笑ってる訳じゃない。

セツナ「部屋なら問題ないだろ。さぁ行くぞ。」

ブワッ!

蜜「んのわぁぁぁ!」

荷物が如く肩に担がれて私は自室に運ばれて行く。

ちょっと待って!!部屋ってつまり…………。
えぇぇぇぇぇっっ!!!!!
無理無理無理無理!!!!

蜜「セツナ!降ろし」

ガチャ

遅かった……。

⏰:07/07/23 01:13 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#414 [向日葵]
バフッ!

蜜「わぶっ!!」

ベッドに放り投げられた。そのまま私はベッドに仰向けになってしまった。

直ぐ様起き上がろうとしたら、セツナが覆い被さってきた。

蜜「セツナッ!タンマタンマ!!」

セツナ「待ったなし。」

……ギシッ

セツナが迫ってくる。

こーゆーのは心の準備ってものがあって!
こんな「いざっ!!」みたいなのわぁぁ…っ!

⏰:07/07/23 01:17 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#415 [向日葵]
セツナ「蜜……。」

虚ろな目で私の名を呼びながら、セツナが迫ってくる。

蜜「ち、…っちょっと待ってセツナァァァ!!」

ポスッ

蜜「???…セツ……ナ?」

私を避けて顔の横に沈んでしまったセツナの顔に呼びかける。

セツナ「……スー…。スー…。」

もしかしなくても…………寝た?

⏰:07/07/23 01:20 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#416 [向日葵]
も、も、……
もぉぉぉ!!!なんなのよぉっ!!焦ったぁぁ(泣)びっくりしたぁぁ!

セツナ[一晩……]

あ……。
そっか……。夕べ、寝てないんだ……。

例え短時間と言えど睡眠は大切だ。

セツナ「スー……。スー……。」

蜜「ハァー…。まったく…。」

あ。ってか私…。この状況どうしたらいい?
抜けれるかなぁ……。

⏰:07/07/23 01:24 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#417 [向日葵]
ゴソゴソ

蜜「ぃよ……い……せの…こ、ら…せ……っとぉ!!」

なんとか抜けれて、今は膝枕の状態。

セツナの黒髪が、私の制服のスカートに綺麗に広がっている。

その髪の毛を指の間に通して手櫛の様に滑らせた。

サラサラだ……。うらやましい……。

髪の毛1本ですらこんなにも愛しい…。胸が……おかしなくらいキュウッと締まる。

⏰:07/07/23 01:30 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#418 [向日葵]
――――――――

今日はこの辺で終わります

⏰:07/07/23 01:31 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#419 [みい]
>>350-500

⏰:07/07/23 01:40 📱:P904i 🆔:LKBJh7AM


#420 [みい]
>>300-350

⏰:07/07/23 01:42 📱:P904i 🆔:LKBJh7AM


#421 [ゆーな]
頑張ってください☆

⏰:07/07/23 08:34 📱:W51S 🆔:e87NK1OM


#422 [向日葵]
パソコンですが正真正銘主です!!

みいさん☆
安価ありがとうございました(@’∀’@)

ゆーなさん☆
ありがとうございます♪
頑張ります!!

⏰:07/07/23 08:59 📱:PC 🆔:Fy6eODeM


#423 [向日葵]
蜜「セツナ…。」

セツナ「スー……。」

寝息の音がまた心地よくて、なんだか穏やかな気持ちになれた。

セツナのサラサラの髪の毛を何度も撫でる。
撫でる度に、胸がキュウキュウ鳴る。

ところで…………しばらくこのまま……?


――――――……

ザァ――――……

山で、不吉な風が吹き荒れる……。

⏰:07/07/23 16:41 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#424 [向日葵]
緑「風達よ……。早く家へお帰りなさいっ……!」

じゃなければ……
あの人が……やってくる……。

緑「セツナ様……。大変です……。」

もうすぐ、貴方の元に……あの人が……。

⏰:07/07/23 16:44 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#425 [向日葵]
チャプター9:例のアイツ




蜜「え……今なんて……。」

セツナと無事仲直りして早4日。
只今昼休み中。

セツナ「だから、俺はお前と同じ、来年2年になるんだ。喜べ。」

蜜「とうとう頭おかしくなりましたか……?」

セツナはもうすぐ卒業を向かえる。その事について話している所なのだ。

⏰:07/07/23 16:47 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#426 [向日葵]
蜜「貴方が3年生だと言うことくらい先生方やファンの皆さん、私だって知ってるんですよ?!」

するとセツナはニヤッと笑った。

セツナ「心配しなくても、この俺がそんな事を考えてないとでも思ったか?」

蜜「あー…。微妙に思いました……。」

セツナはクククと笑う。

セツナ「正直で何よりだ。」

キーンコーンカーンコーン……

蜜「あ、予鈴。帰りましょうか。」

⏰:07/07/23 16:54 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#427 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・

いつものことながら、セツナは教室まで送ってくれた。

蜜「では、また帰りに。」

と振り向くと、セツナは私の頬を指先で触れる。
スッと撫でられると思わず体がピクッとしてしまった。
そんな私をセツナは見逃さず、フッと穏やかな目をして笑った。

そしておでこに唇を当てる。

セツナ「…後でな……。」

そう言ってセツナは自分の教室まで歩いて行った。

⏰:07/07/23 16:58 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#428 [向日葵]
なんだか……仲直りしてから、私達の空気が少し変わった気がする。

もっとこう……ピンクのオーラが濃くなったんだけど淡いピンク…みたいな。
……よくわからん。(オイ)

その時だった。

――ギン!

――――ゾクゾク!!

蜜「な…何?」

誰かに、睨まれた?
ううん。違う。あの悪寒はまるで…………


獲物を狙う気配……。

⏰:07/07/23 17:02 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#429 [向日葵]
清「蜜?いつまでつっ立ってるの?授業始まるよ。」

清に呼ばれて私は我に帰った。

蜜「え?…あ、うん……。」

教室に入る時、また後ろを見て“何か”を確かめてから席へ着いた。

ガラガラガラ

先生「ハイ、Goodevening.Everyone.」

クラス「Goodevening.Teacher.」

挨拶がすんで着席する。

先生「えー。今日は、新しい先生がやって来ました。」

教室が一気にざわつく。
それもそうだ。

『この時期に新しい先生……?』

しかしざわつく中、先生が紹介した新任の先生が入ってくると、ざわめきが悲鳴に変わった。

⏰:07/07/23 17:10 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#430 [向日葵]
いや、悲鳴じゃなく歓喜の叫び?

クラス(女子)「キャァァァァァァァァァ!!!!!!!!」

入って来た先生はセツナに負けないくらい端正な顔つきだった。

少し長めのストレートな髪は栗色。目は驚く事に緑だ。

先生「新任の、ターヤ・メイラ先生だ。」

ターヤ「ターヤです。どうぞよろしく。」

儚げな、それでいて綺麗な声は一発でクラス(私と清以外の女子)を虜にした。

⏰:07/07/23 17:14 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#431 [向日葵]
『おぉう!!イリュージョン!』

女子全員の目にハートが埋め込まれた。

すると

―――――ゾクゾク!

『……っ。この…感じ……。』

ふと視線に気付いた私は、その元を辿った。
行き着いた先は……

『え…………っっ。』

無機質な目をしながら、微笑んで、ターヤ先生が私を見ていた。

私が見ているのに気付くと、にっこり笑って視線をクラスへと戻した。

⏰:07/07/23 17:25 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#432 [向日葵]
『え…え…。まさか……ねぇ…。あんなの、偶然…。だよね?』

その後もなんなく授業はやられていった。
先生は二度と私に視線を向けなかった。

やっぱり、気のせいだよね!

・・・・・・・・・・・・・

今日も1日が終了。やっと帰れるー。

「本山さん。」

……この声は…。

振り向けば…やっぱり……。

蜜「何ですか…?ターヤ先生。」

⏰:07/07/23 17:31 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#433 [向日葵]
ターヤ先生はにこにこしながら私に近寄って来る。

ターヤ「頭に何か着いてるよ。取ってあげる。」

……はい?

先生はスッと頭に手をやると私からゴミを取った。

ターヤ「はい。もういいよ。じゃあ気を付けて帰りなさい。」

蜜「は、はぁ……。」

警戒していた自分が馬鹿みたい……。なんだか相手はホヤホヤした空気を漂わせて帰って行った。

セツナ「蜜。」

蜜「あ、セツナ。」

⏰:07/07/23 17:35 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#434 [向日葵]
セツナは私の元に来てからもう小さくなったターヤ先生の後ろ姿を見た。

セツナ「……アイツは?」

蜜「新しい英語の先生です。確か、タ……タ……タイヤだっけ。」

さっきまで出てきた名前をど忘れしてしまった。

セツナ「……。そうか。蜜。さっさと帰るぞ。」

蜜「え?ハイ……。」

いつも飛んで帰る為、私達は屋上へ向かった。

フワッ

セツナ「ん?蜜、何か着いてるぞ。」

蜜「え?また?」

⏰:07/07/23 17:41 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#435 [向日葵]
セツナが取ってくれたのは

セツナ「……クモの糸…?」

不審気に顔を歪めるセツナ。

蜜「私ゴミに好かれてますねぇ。」

セツナ「蜜。もう一度教師の名前を思い出せ。確実にだ。」

セツナの真剣な声に、私は英語の時間まで記憶を巻き戻していた。

タ……タ……タ……

[ターヤです。]

⏰:07/07/23 17:45 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#436 [向日葵]
頭に電球が浮かぶ。

蜜「ターヤ先生です!ターヤ・メイラ先生!」

その名前を聞いた途端、セツナの顔が怒りを帯びる。

セツナ「やっぱりか……。嫌な予感がした訳だ。」

蜜「ちょっとちょっとちょっと!」

ザタッチの真似じゃないけどさ。

蜜「一体なんなんですか?私に分かる様に説明して下さいよ!」

セツナ「あぁいいぞ。」

カチャ キィ……。

⏰:07/07/23 17:51 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#437 [向日葵]
屋上への戸を開けると肌を刺す様な冷たい風が流れてきた。

セツナ「簡潔に説明すれば俺が殺そうとした張本人だ。」

息をするのを忘れそうになった。
あの人が……セツナの……。

じゃあ、私のあの悪寒は……気のせいじゃない……?
急に身震いした。

セツナ「俺が気付かなかったら後をつけられてたな……。」

セツナの黒い髪の毛が風で遊んでいる。
垣間見る表情は険しさを増していた。

⏰:07/07/23 18:06 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#438 [向日葵]
蜜「ご、ごめんなさい……。私、知らなくて……。」

セツナ「そんなの当たり前だろ?お前は人間だ。」

セツナが私に歩み寄る。
さっきの言葉でもまだ怒ってる感じがした。

怒られる……っ!

でも私の予想は外れた。

セツナは両手で私の顔を包んだ。

セツナ「大丈夫か?何もされなかったか?」

その目は心配そうに私を覗き込んで、優しささえ見えた。

⏰:07/07/23 18:10 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#439 [向日葵]
蜜「……。」

セツナ「…?蜜?」

蜜「怒って……ないんですか?」

セツナ「何故だ。」

セツナは全く分からないといった表情をしている。
どうやら怒ってるのは私に対してじゃないらしい。

蜜「不注意にもほどがある馬鹿!……っとか言われるかと…。」

セツナ「お前は初めて会う奴が分かる能力でも持っているのか?」

蜜「残念なことにこれっぽっちも。」

セツナ「なら怒るのは筋違いだろ。」

⏰:07/07/23 18:16 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#440 [向日葵]
そこでようやくホッとして顔から緊張が抜けた。

それを見てセツナも微笑む。

セツナ「さて……、夕暮れ時の街を空中散歩するか。花嫁殿よ。」

蜜「お供いたしますよ。」

セツナは私の腰に手を回して空へ浮かび上がる。

ブワァァァ……

セツナ「物は相談だ蜜。」

蜜「はい何ですか?」

セツナ「お前の護衛をしたい。これから安心出来るまで部屋に通ってもいいか?」

⏰:07/07/23 18:22 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#441 [向日葵]
目をパチクリさせる。

蜜「そこまで警戒しなくても…。クモの糸は取れたのでしょ?」

セツナ「不注意にもほどがある馬鹿と怒られたいのか?」

セツナはニヤリと笑う。
でも目は真剣で、本気で私の身が危険だと知らせている。

セツナ「それにお前の家はなんだか落ち着くんでなぁ。」

と付け足した。
これもホントっぽい。

⏰:07/07/23 18:28 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#442 [向日葵]
蜜「なら……くれっぐれも!おばあちゃん達に見つからない様にしてくださいね!」

セツナ「了解した。」

と言ってセツナはおでこに唇を触れた。
ダメだ…。体温が上がっていく……。

ファサ…ファサ……

セツナの羽ばたき音がなんだか好きだ。

セツナ「ちょっとスピード上げるぞ。目でも瞑っておけ。」

蜜「はぁい……。」

気分悪くならないといいけど……。

⏰:07/07/23 18:54 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#443 [向日葵]
・・・・・・・・・・・

家へ到着。

蜜「じゃあ、上に上がって窓開けますから、タイミング見計らって飛んでください。」

セツナ「あぁ。」

パタン。

ドアを閉めて、いつも通りにしなければ。

蜜「ただいまー。」

おばあちゃん「お帰りなさい。ご飯出来るから着替えてらっしゃい。」

蜜「はぁーい…。」

⏰:07/07/23 18:57 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#444 [向日葵]
返事をしてからバレない様に急いで階段を駆け上がって自室へ。

カチャン……

窓へ近づく。そして鍵を開けた。

ガラガラガラ

蜜「……?あれ?セツナ…っドアアアアアア!!」

いきなりセツナが室内へ入ってきた。

セツナ「お前の近所は人通りが少なくて!」

蜜「セェ〜ツゥ〜ナァ〜。」

おばあちゃん「みっちゃぁーん?!」

階下からおばあちゃんが私の叫び声に心配した。
思わずドアを塞いだ。

蜜「な、何――?」

⏰:07/07/23 19:04 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#445 [向日葵]
おばあちゃん「どうかしたのー?」

蜜「ち、ちょっとドでかい蛾が――!!」

セツナ「失敬な。この見目麗しい蝶々にあんな禍々しいものと一緒にするな。」

蜜「黙って!!!!」

小声で抗議するセツナを叱る。

蜜「もう!バレない様に!!って言ったでしょう?!」

セツナ「バレない為には急いで入るのがいいだろ。」

間違ってないけど間違ってるよそれ……。

蜜「セツナ、ちょっとあっち向いててくれません?」
私は窓の方向を差した。セツナも私の指の先を見て、私にまた視線を戻した。

⏰:07/07/23 19:10 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#446 [向日葵]
――――――――

一旦キリますね

⏰:07/07/23 19:10 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#447 [向日葵]
すいません訂正です

>>437のセツナの言葉

俺が殺そうとした×

俺を殺そうとした○

です

⏰:07/07/23 19:48 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#448 [ゆら]
更新楽しみにしてます頑張ってください

⏰:07/07/23 21:54 📱:D903i 🆔:xy2.WdMI


#449 [向日葵]
ゆらさん

ありがとうございます更新頑張りますね

⏰:07/07/23 21:57 📱:SO903i 🆔:olJX1AdA


#450 [りん]
>>300->>400

⏰:07/07/23 22:23 📱:SH902i 🆔:☆☆☆


#451 [りん]
あらっ
>>300-400

⏰:07/07/23 22:24 📱:SH902i 🆔:☆☆☆


#452 [りん]
>>400-500

⏰:07/07/23 22:25 📱:SH902i 🆔:☆☆☆


#453 [向日葵]
りんさん

安価ありがとうございます

――――――――

セツナ「何故。」

蜜「着替えるんです。」

セツナ「見ててもいいじゃないか。一回見たし。」

馬――――鹿―――――!!!そんな問題じゃないんだよ!

蜜「駄目です!早く!!」

セツナ「意味が分からん。別にいいだろ。いつかそーゆーのを体験」

蜜「だぁぁぁぁ!!禁止ぃぃっ!!!!これは普通の恋愛小説――――!!」

⏰:07/07/24 00:44 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#454 [向日葵]
とりあえずセツナを無理矢理窓の方へ向かした。

セツナ「蜜。窓でお前が見えるんだが……。」

蜜「カーテンを閉めて下さいカーテンをぉっ。」

それでなくても一緒の部屋で着替えるなんて恥ずかしいことしなきゃいけないんだから……。

蜜「……。ターヤ先生は、一体何者なんですか?」

ジャージを履きながら聞いてみた。

セツナ「頭にクモの糸が乗ってあったろ。つまり蜘蛛族さ。」

⏰:07/07/24 00:48 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#455 [向日葵]
蜘蛛族……。
だから、裏切り者扱い。

昔、テレビで聞いた事がある。
元々昆虫だった蜘蛛は、昆虫世界を裏切り、今の様な異形の形をとったと。

ホントにそんなのあるんだ……。

セツナ「あんなのでも仲間は仲間だ。下手に攻撃もしたくない。向こうだって不利なことはしないハズだ。」

蜜「自然界も色々アグレッシブなんですね。さて…と。もういいですよ。」

そういうとセツナは振り返った。そして私をジロジロ見る。

⏰:07/07/24 00:57 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#456 [向日葵]
蜜「?何か変ですか?」

セツナ「大変可愛らしいが……トレーナーだと体のラインがわかりにくく」

蜜「ご飯食べるんでここで大人しくしてて下さいね。」

バタン

ったくエロ蝶々…。

タンタンタン……。

おばあちゃん「あ、来たわね。ささ、食べましょう。」

おじいちゃん「おー…。今日はハンバーグかい…。」

蜜「いっただっきまーす!」

⏰:07/07/24 01:02 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#457 [向日葵]
おじいちゃん「蜜。食べる前にいいかな?」

ハンバーグを口に運ぼうとした手を止めて、おじいちゃん達に向き直る。

蜜「な、何?」

ハッ!!ままままさか……。セツナとの事バレたとかっ?!

おじいちゃん「私達の事なんだが……。」

あ、なぁんだ……。

おばあちゃん「しばらく…外国へ行こうかと思うの……。」

蜜「……え?」

⏰:07/07/24 01:06 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#458 [向日葵]
おばあちゃん「私達、もう人生短いでしょ?一度、外国行ってみたくって…。少し堪能してこようかと思ってるの……。」

蜜「だ、大丈夫なの?」

おばあちゃん「私達は何も心配はないわ。ただ貴方よ。この家に一人…。」

まぁ別に……一人じゃないけど。
こっそり天井を見上げる。

蜜「私なら大丈夫よ。だってもうすぐ17歳!家事だってちゃんと出来る!だから楽しんできて全然いいよ!!」

おじいちゃん「それを聞いて安心したよ。ありがとう……蜜。」

⏰:07/07/24 01:10 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#459 [向日葵]
もう細くなってしまったおじいちゃんの手が私の頭を撫でた。

それからはほのぼのと晩御飯を済ませ、自室にまた戻ることにした。

カチャン

セツナ「お前また一人らしいな。」

ベッドに寝転んで足を組ながらセツナが言った。

蜜「ぬ……盗み聞き?!」

セツナ「暇だったんでな。結構スリルあったぞ。見付かるか見付からんかの狭間で。」

私は溜め息をついた。
聞かれたのなら仕方ない。また同棲(?)の始まりだ。

⏰:07/07/24 01:15 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#460 [向日葵]
セツナが上体を起こして私の手を引く。

セツナ「また二人で生活出来るぞ。」

嬉しそうに笑うセツナにやられた。
そりゃ嬉しくなくはないけど……。

蜜「そうですね……。ところでー…。この手なんです?」

セツナの手が腰辺りにある。
セツナがニヤッと笑った。

セツナ「まぁ嫌がるかもしれんが…俺も一応動物なんでなぁ……。食事の時間だ。」

⏰:07/07/24 01:19 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#461 [向日葵]
グルッ バフッ!!

世界が一転したかと思うと既にベッドの上。
私は横たわり、セツナは覆い被さっている。

蜜「別にこんな格好しなくても……っ!」

セツナ「そーゆー慌てる可愛い蜜を見る為だ。」

―――ドキン…

ホントズルイ……。

蜜「ん……。」

セツナの唇が私の唇を支配し始めた。
こうなったらもう無理だ。

⏰:07/07/24 01:23 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#462 [向日葵]
セツナ「蜜…少し口開けろ……。」

蜜「……っ!」

普段そんなの言わないくせに……っ!

私はそっと口を開く、と同時にセツナの舌が侵入してきた。

私の体、神経、臓器。全てが支配され始める。

蜜「……セッ…ツ……。」

言葉を出そうとすれば塞がれる。“黙って支配されてろ”とでも言うように。

やがてセツナが離れたと思ってホッとしていると、今日はそれで終りではなかった。

⏰:07/07/24 01:29 📱:SO903i 🆔:cPiJXw2A


#463 [☆チーター☆]
あげますト
待ってますイイ

⏰:07/07/24 14:49 📱:auSA3A 🆔:JuO1OoU.


#464 [なな]
本当に!
向日葵さンの小説

大好きデス

これからも
応援してる冫で

がムばッて下さLl-

⏰:07/07/25 00:03 📱:SH903i 🆔:9HlWsAhI


#465 [向日葵]
チーターさん
ななさん

ホントにありがとうございます


――――――――

意識がフワフワするのを確認しながら、セツナの顔が私の首近くに来ているのには気が付かなかった。

チゥゥ

蜜「ひっ!ちょ、セツナ!!何を……っ!」

セツナが首筋に吸い付いた。
セツナは顔をあげると意地悪そうな顔で笑った。

⏰:07/07/25 00:17 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#466 [向日葵]
セツナ「証付けただけ。」

蜜「あかあか証?!」

セツナを押し退けて鏡を見た。
すると……

蜜「んぎょあぁ!!」

変な声が出た。

蜜「なんちゅうもんを付けてくれたんですか!!」

首にはくっきりと赤い跡。つまりキスマークが……。

セツナ「誰にも手が出せない様にだ。上出来だろ。」
と笑いながら自慢する。

⏰:07/07/25 00:22 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#467 [向日葵]
蜜「こんなもの……風呂に入って消してやるー!!」

と言って勢いたよく階段を降り、風呂に入って力の限りゴシゴシ擦ったが、自分の肌を痛めるだけに終わってしまった。

洗面所の鏡を見ながらどうしたものかと考える。

『バンソーコーしかないかぁ…。ベッタだなぁぁ……。』

水分を充分に取った後、バンソーコーをペタリ。

『清にバレないといいんだけど……。』

ガチャ

入るなりセツナに笑われた。

⏰:07/07/25 00:29 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#468 [向日葵]
セツナ「どうやら無理で終わったらしいな。」

首元を差しながら言う。

蜜「こんなわっかりやすいトコにつけないで下さいよ!!」

その時、セツナの目がキラリと光った。

一歩一歩歩み寄られて、私はお姫様抱っこをされた。

蜜「どわ!な、なん何ですかっ!!」

セツナはお姫様抱っこをしたままベッドに座る。
そして鼻先が触れるか触れないかのトコまで顔を近付けた。

⏰:07/07/25 00:34 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#469 [向日葵]
セツナ「じゃあ、どこがいい?」

その囁きは極上。甘すぎるくらい。
目は熱く、私を見つめる。
私は息をするので精一杯だった。

蜜「どこ……って……。」

セツナの人差し指が、私の胸元辺りにくる。

蜜「ちょ…っ!」

セツナ「こことか?」

蜜「やだ…っっ!!セツナ!やめて!!」

今のセツナだったらそんなことやって退けそうで恐い……。

⏰:07/07/25 00:39 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#470 [向日葵]
するとセツナはおもむろに息を吐いて手を胸元から外すと、長袖Tシャツの襟元まで移動させた。

セツナ「仕方ない……。ここで我慢する。」

すると襟を下へグイッ!と引っ張って、鎖骨に唇を当てた。

蜜「やっ…!セツナ!!やだぁっ!!」

セツナの吐息が、唇の温度、感触が、ダイレクトに体に伝わる。

セツナ「ここなら見えないだろ。」

舌をペロッと出してまた笑う。

⏰:07/07/25 00:44 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#471 [向日葵]
私は体温計がぶっ壊れそうなくらい体温が上昇していた。

蜜「こんな……こと……。」

セツナ「別に嫌ではないだろう?」

確かに……。
ハッ!!違う!!そうじゃなくて!!

蜜「襲わないって言ったじゃないですか!!」

セツナ「可愛いすぎるお前が悪い。悔しかったらブスになれ。」

んな無茶な。
いや可愛いくもないけど……。

⏰:07/07/25 00:47 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#472 [向日葵]
白旗を上げて降参すると、ゆっくりベッドに横たわせてくれた。
ご丁寧に布団まで掛けてくれる。

セツナ「明日も早い。もう寝ろ。」

セツナは寝ている私の近くに座った。

蜜「セツナは家に帰らなくていいんですか?」

セツナ「お前が眠ったら風呂に入って服を着替えにくらいは戻る。」

あ……行っちゃうんだ…。

私の顔にそう書いてあったかは定かじゃないけど、セツナはニヤッと笑った。

セツナ「離れて欲しくないのか?」

⏰:07/07/25 00:53 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#473 [向日葵]
蜜「…別に。」

セツナは可笑しそうにそっぽを向いて肩を震わすとまた私に視線を向けた。
今度は意地悪そうな顔じゃなく、私が好きなあの優しい顔だった。

セツナ「俺が一秒たりともお前から離れたくないのと一緒だ。」

そう言うと、私の頬に唇を当てた。
そして手を大きな手で包まれた。

蜜「おやすみ…なさい。」

好きな人…。私は改めて実感してしまった。

⏰:07/07/25 01:01 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#474 [向日葵]
――――――――……

次の日

清「蜜ー。アンタ今日日直でしょう?英語のノート集めて持って行けだってー。」

蜜「えー…。面倒くさいなぁ……。」

しかも英語って……。
あのターヤ先生。

まぁ密室にならない限り何もされないと思うけど……。

小川「大変そうだな…。手伝おうか?」

心配そうに小川君が声をかけてくれた。

⏰:07/07/25 01:05 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#475 [向日葵]
それがまた嬉しい。

蜜「だぁいじょーぶ!ありがとう。」

と言って私は英語教材室へ行った。

・・・・・・・・・・・・・

コンコン

ターヤ「はい。どうぞ。」

警戒しながらドアを開ける。

蜜「失礼しまー…す。」
先生は机に向かって何かをカリカリ書いていた。
そして椅子を回してこちらを向く。

⏰:07/07/25 01:10 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#476 [向日葵]
にっこりと笑う顔が胡散臭く見えるのは正体が分かってるからだろうか……。

ターヤ「ありがとう。ここに置いてもらえるかな?」

躊躇った。もし何かされたら……。

ターヤ「…どうかした?」

そこでセツナの言葉を思い出した。

セツナ[不利な事はしないだろ。]

そうだよね。だってこの学校にはセツナがいる。
私に何かあったならば、この人は即刻罰を受けざるを得ない。

⏰:07/07/25 01:14 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#477 [向日葵]
蜜「失礼します。」

私は部屋に踏み入れた。

その時。

ガラガラガラ!

すごい勢いで戸が閉まった。
一瞬わからなかった。何故触れても無いのに戸が閉まるか。

しかし……見てしまった……。

蜜「ルキ……!!」

ターヤ「セツナの蜜乙女と聞いたからどんな者かと思えば……チョロイ。」

さっきまでの丁寧な喋り方が無くなった。

⏰:07/07/25 01:19 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#478 [向日葵]
ゆっくり振り向けば、数m先には思い通りに事が運び満足だと言わんばかりの笑みをターヤ先生は浮かべていた。

ターヤ「僕のこと、もう知ってるみたいだね。」

蜜 「ある…程度は……。」

ターヤ先生は机に寄りかかり腕を組んだ。

何も……して来ない?
私は逃げようと足を浮かした。……つもりだった。

蜜「!!な、んで……っ?!」

ターヤ「見えないのか?足に付いてるものが……。」

⏰:07/07/25 01:24 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#479 [向日葵]
恐る恐る足元を見た。
一見何も無いかに見える。けど。

蜜「……あっ。」

光の反射角度を変えれば分かる。キラリと何重にも巻き付いている細い糸。
それはターヤ先生の手に繋がってる。

ターヤ「だから馬鹿なんだよ。」

逃げるのは諦めるしかないらしい……。
でも

蜜「私は馬鹿ですが、馬鹿呼ばわりをしていいのはセツナだけです!!」

ターヤ先生は一瞬キョトンとしてから大声で笑った。

⏰:07/07/25 01:30 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#480 [向日葵]
ターヤ「ハッハッハッハッハ!!人間と黒蝶族の恋物語か!!そいつぁ可笑しい!!」
しばらくターヤ先生は笑っていた。
その笑い声が頭に響きながら、もしかすれば何かされてしまうと言う恐怖が私を襲う。

でもそれを悟られてはいけない。
私は出来るだけ強気で毅然とするよう努力した。

蜜「何故…私を狙うんですか……。」

ターヤ先生から笑いが収まる。だが口元はまだ笑みが溢れている。

不気味な笑い方…。見ていて吐き気がする。

⏰:07/07/25 01:35 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#481 [向日葵]
ターヤ「一つはアイツらが気に入らない。だから何かデカイ事をと思ってね。もう一つは……」

そこでターヤ先生の目が妖しく光った。

ターヤ「君に最高の食事を盗られたからさ。……ねぇ、本山蜜……?」

それは遠い昔。
セツナを助けた時だ。

ターヤ「せっかくあの天狗野郎を始末出来ると思ったのに……。つまらん。」

ターヤ先生が私に一歩ずつゆっくりと近づいてくる。

蜜「だからって何で……っ!」

ターヤ「僕達は余興を邪魔されるのが非常に嫌いでね。」

⏰:07/07/25 01:40 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#482 [向日葵]
蜜「私に何かするならば、セツナが黙ってはいませんよ。」

ターヤ「それが怖くて余興を楽しめはしない。ま、確かに厄介だがな……。要は……バレなければいいんだ。」

蜜「私を……どうする気……?」

ターヤ先生は、もうすぐそこ……。
ターヤ先生はニヤニヤ笑いながら私の首元に顔を近付ける。

ターヤ「なんだ……。バンソーコーなんか付けてるからてっきり手をつけたのかと思ったら……。」

ターヤ先生は“証”の上に貼ったバンソーコーを乱暴に剥がした。
そのせいで少し痛かった。

⏰:07/07/25 01:46 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#483 [☆チーター☆]
頑張って下さいト~~

⏰:07/07/25 01:49 📱:auSA3A 🆔:pIFQSZDc


#484 [向日葵]
蜜「……った…!」

ターヤ「君が……僕の初めての相手になれば……アイツどんなに怒るかなぁ……。」

耳元で囁かれて、セツナとはまた違う戦慄が背中を這上がる。

蜜「…っ!!やだ……。誰か……っぅむ!!」

叫ぼうとしたら、唇が重なった。

蜜「――――っ!!」

ガリッ!!

容赦なく、唇を噛んでやる。

⏰:07/07/25 01:49 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#485 [向日葵]
先生の口から血が流れた。

ターヤ「ククク。やっぱりそうでなくちゃな。だが……。」

髪の毛を掴まれて首筋が露になった。

蜜「いっ……!!」

首筋に微かな痛みが走る。……そして。

蜜「か……らだ……。」

動かない。
まるでセツナの痺れる鱗片みたいだ。

ターヤ「クククク……。さぁて……。始めようか?」

⏰:07/07/25 01:54 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#486 [向日葵]
チャプター10:油断







動かない私の体を、先生はいとも簡単に持ち上げ、机に横たわらせた。

蜜「やめ……て……。」

痺れて上手く声が出ない。
泣きそう…。でも泣いてやるもんか。

ターヤ「余興を邪魔したら……どうなるかわかってるよね?」

ニヤリと笑ってターヤ先生は近づいてきた。

ターヤ「次噛んだら……わかるよね?」

⏰:07/07/25 01:57 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#487 [向日葵]
チーターさんありがとうございます

――――――――

そして先生の唇が重なった。
気持ち悪い……。いますぐに噛んでやりたい……。でも、恐怖で出来ずにいる。ついには舌まで入り、口内を荒らされる。

蜜「……っ。――!」

気付けば先生が制服に手をかけていた。

このままだと……っホントに……っ!

セツナァッッ!!

・・・・・・・・・・・・・

清「あ、セツナ先輩。」

⏰:07/07/25 02:01 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#488 [向日葵]
清が教室前で待つセツナを発見した。

セツナ「あぁ。蜜を知らないか。」

清「あー、蜜なら日直の仕事で英語教材室に行ってます。」

セツナはそれを聞いて驚きを隠せなかった。

セツナ「なんだってっ?!」

その時だった。

――セツナァッッ!!――

!!

セツナ「蜜!!」

⏰:07/07/25 02:06 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#489 [向日葵]
セツナはある方向へと視線を向ける。

清「どうしました?」

セツナ「蜜が、危険な状況に侵されてる匂いがする……っ!」

さっきの蜜の声でその匂いが分かった。

ダッ!!

清「セツナ先輩?!」

セツナは急いで蜜の元へと向かう。

セツナ『蜜っ!!』

―――――……

制服のボタンを少し胸が見えるくらいまで開けられた。

⏰:07/07/25 02:10 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#490 [向日葵]
ターヤ「ふぅん。ガキと思ったのに体は綺麗だね。」

谷間近くから首を舐め上げられた。

蜜「……っひぃ!」

舌の感触が気持ち悪い。
触らないで。辞めて……。

だけどそんな言葉は通用しなかった。

ターヤ「そろそろ快楽へ導いてあげようか?」

聞いてるくせにこっちの意見なんか聞く気すらない。
またゆっくりとボタンが開けられる。

⏰:07/07/25 02:15 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#491 [向日葵]
蜜「や……め……。」


声にすらならなくなってきた。
痺はマシになるどころかどんどん強くなる。

ターヤ「いずれやめろなんて言えなくなるよ。苦しそうな声だって瑞ぎに変わるさ。」

心の中で首をブンブン振る。そんな訳ない。絶対にない。
私に触れていいのは……


セツナだけなんだから……っ!!

ダァァァン!!!!

ドアが壊され、床に大きな音を立てて倒れる。

⏰:07/07/25 02:20 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#492 [向日葵]
セツナ「ターヤ……。」

『セツナ……っ!』

ターヤ「ったく……ゲームオーバーか。」

セツナ「軽口たたくんじゃねぇよ!!」

ドゴォッッ!!

ガタガガターン!!

セツナは先生を顔が変形するくらい力一杯殴り、先生は本棚に当たった。

ターヤ「クッ、ククククク……。仕方ないなぁ…。君が来たなら、退くしか出来ないようだ。」

笑いながら、ターヤ先生は教室から出て行った。

⏰:07/07/25 02:24 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#493 [向日葵]
私は横たわったまま、動けない。

セツナ「蜜、動けないのか……?」

私は口パクで「ハイ」と答える。
セツナは首筋の噛まれた跡に唇を押し付けた。

最初何をしてるか分からなかったけど、毒素を抜いてくれてるのが分かったのは数秒して体が動いた時だった……。

セツナ「蜜……。」

セツナが抱き寄せようとするのを私は止めた。

蜜「ダメ……っ。先生が…いっぱい触った……っ。」

⏰:07/07/25 02:28 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#494 [向日葵]
そこで初めて涙がボロボロ出てきた。

蜜「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ!!!!……っ私は……馬鹿ですっっ。ゴメンナサイ!!」

服が乱れたままなんて気にしないまま私は顔を覆って泣き崩れた。

そんな私にセツナは着ていたブレザーをかけて持ち上げた。

蜜「や!セツナ…っ。触っちゃダメ」

セツナ「黙ってろ。」

セツナの口調が厳しかった。……やっぱり怒ってる。

⏰:07/07/25 02:32 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#495 [向日葵]
私は顔をまた覆って泣いた。

なんて私は甘かったんだろう。
セツナがあれだけ注意してくれたのに……っ。

風が吹いたので屋上に着いた事が分かった。
そしてその風が強さを増したので空中に舞っているのも分かった。

私達はなにも喋らなかった。

・・・・・・・・・・・・・・

家に着く。
おばあちゃん達は外国への用意の為いないのは朝から知っている。

⏰:07/07/25 02:36 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#496 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/25 02:36 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#497 [向日葵]
セツナはどこへ行くのかと思ったら、向かった先はお風呂場だった。

シャー……

シャワーを湯船にある程度溜めると、制服のまま私を湯船に入れた。

蜜「え……。」

そしてセツナも一緒に入ってくる。

するとセツナは、私を抱き寄せて背中を擦ってくれる。

蜜「駄目…セツナ。先生が……。」

セツナ「だから洗ってやってるんだろ。」

⏰:07/07/25 10:53 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#498 [向日葵]
抑揚のない口調。
まだ怒ってると私は感じとった。

蜜「ゴメンナサイ……。」

私は堪えきれなくなって謝った。
するとセツナは手を止めて私の肩をガシッと掴んで見つめた。

セツナ「なんでお前が謝るんだ!悪いのはアイツと…………守れなかった俺だろ…。」

私はまた泣き出してしまった。

蜜「だって、私が浅はかだったか、ら……。」

セツナ「そんな事ない…。素直なトコがお前のいい所だろ……。」

⏰:07/07/25 10:57 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#499 [向日葵]
セツナは私の顔を両手で包んだ。
今から何をするかは予測がつく。

蜜「駄目…先生が……。」

セツナ「まだ感触が残ってるか?」

私は静かに頷く。
もう服がびしょびしょになってしまった。

セツナ「なら、俺の事だけ考えていろ…。」

そう言うと、優しく唇を重ねた。

最初は拒絶した。
嫌だ、先生とした後セツナとしたくはないって。

⏰:07/07/25 11:04 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#500 [向日葵]
でもセツナは決して止めようとはしなかった。
それどころか更に深くなっていく。

蜜「セツ……っ」

口を開けばその上から唇が重なる。
まるで「セツナのくちづけ」を覚えさせるかの様に……。

……ようやく唇が離れた。

蜜「……ハァッ…。」

セツナ「他は?どこ触られた?」

私は喋らず指で噛まれた場所、服の至る所、そして……谷間近くから首筋を差した……。

⏰:07/07/25 11:09 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#501 [向日葵]
セツナは噛まれた場所に唇を当てながら服の至る所を擦って洗い流してくれた。

そして残るは……。

セツナ「大丈夫か……?」

気遣わし気に私の肩に手を置く。

大丈夫。だってセツナだもの……。

静かに頷くと、セツナは顔を徐々に近付けて露出されたままだった私の胸元に唇を触れた。

昨日とは違う感覚。
そこが浄化される様に心地いい。

⏰:07/07/25 11:14 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#502 [向日葵]
ビクッ!

思わず体を震わせてしまった。
肌にセツナの舌の温度を感じたからだ。

でも気持ち悪くはない。

セツナはゆっくりと首筋まで舌を這わせる。

蜜「……っ。」

背中に感じた事がない感覚が駆け上がる。

セツナ「これで終りか……?」

私はまた静かに頷いた。

蜜「ありがとう…ございます……。」

⏰:07/07/25 11:24 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#503 [向日葵]
そこでようやく薄く微笑む事が出来た。

セツナも微笑んだけど、まだ顔は堅かった。
セツナは私の乱れて濡れてしまった服を直してくれた。

セツナ「無事で……良かった……。」

セツナは片方の頬に手を添えた。
この大きな手が私は好き……。私は目を閉じて実感していた。

するとセツナの唇が優しく触れてきた。

予想外だったのでピクッと震えてしまった。
それに気付いたセツナは慌てて唇を離す。

⏰:07/07/25 11:31 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#504 [向日葵]
セツナは悲しそうな顔で私の顔を覗き込む。

セツナ「まだ……怖い……?」

蜜「違うんです……。いきなりだったから……。」

そう言うとセツナの顔がホッとしたのが見てとれた。でも再びはしてくれない。

私はセツナのセーターを掴んでぎこちなく唇を重ねた。

蜜「大丈夫です……だから…もっと触れて下さい。」

セツナはびっくりしていた。私だって自然と出てきた自分の言葉に驚いた。

⏰:07/07/25 11:36 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#505 [向日葵]
――――――――

キリます

⏰:07/07/25 11:36 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#506 [我輩は匿名である]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500

⏰:07/07/25 11:46 📱:D902iS 🆔:iCOTgwXQ


#507 [我輩は匿名である]
>>1-30
>>31-60
>>61-90
>>91-120
>>121-150
>>151-180
>>181-210
>>211-240
>>241-270
>>271-300
>>301-330
>>331-360
>>361-390
>>391-420
>>420-450
>>451-480
>>481-510

⏰:07/07/25 16:27 📱:W43CA 🆔:MyaKRIKM


#508 [ゆら]
更新されてるッ
次の更新も
楽しみに待ってます(∀)

⏰:07/07/25 20:15 📱:D903i 🆔:cYpLn/HI


#509 [向日葵]
我輩さん
ゆらさん

ありがとうございました

――――――――

セツナ「馬鹿言うな…。これでも理性で抑えてるんだ。」

湯船から出てセツナはシャワーを止めた。
そのセツナのセーターを掴んで引き留める。

蜜「先生の感触を完璧に取って欲しいんです!」

大・胆・発・言……してしまった。


蜜「や、あの……そーゆー意味ではなくって、あの……っ!」

⏰:07/07/25 23:19 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#510 [向日葵]
ジャバー! ピチャピチャ

セツナはずぶ濡れの私を抱え上げ、湯船の淵に座らせた。

セツナ「言い訳無用。止まらなくなっても知らないからな。」

蜜「え……っ!ん……。」

セツナの深いくちづけが始まった。
くらくらして倒れそうな私の体をしっかり支える。

唇は首筋へ。
私は目を瞑って、また這上がるあの感覚に堪えていた。

⏰:07/07/25 23:23 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#511 [向日葵]
セツナの手が直したばかりの制服にきた……。

蜜「…っ!!セツナ…っ!待って…」

セツナ「分かってるっつーの。」

セツナは私の鼻をブニッとつねる。
私は何がなんだかさっぱりになってた。

セツナ「ったく。お前が待ったかけなければ最後までいってたぞ。」

蜜「……え。でも、…どうして……。」

セツナ「最後までして欲しいか。」

⏰:07/07/25 23:30 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#512 [向日葵]
顔を赤くしながら首を横にゆっくり振った。
そんな私にセツナは「だろ」と言う。

セツナ「まだキスだけで精一杯の奴が生意気言うな。第一犯されそうになった直後に襲うほど俺は落ちぶれては無いぞ。」

少し怒った顔でセツナは私を見つめる。

自分から言ったくせに、セツナに嫌な思いをさせてしまった。

蜜「スイマ……セン。」

セツナ「まったくだ。」

そう言うとセツナはバスタオルを持ってきて私の体を包む。

⏰:07/07/25 23:34 📱:SO903i 🆔:0Mc92U2I


#513 [☆チーター☆]
上げ
今日も頑張って下さいトI

⏰:07/07/26 00:44 📱:auSA3A 🆔:meJCZDCA


#514 [向日葵]
チーターさん

ありがとうございます

――――――――

私は申し訳なくなってうつ向いた。
髪の毛から水滴がポタポタ落ちる。

セツナ「何しょげてる?」

蜜「怖かったけど……嫌ではありませんでしたからね?」

上目使いで言うと、セツナがニカァッと笑って頭をガシガシ拭いてきた。

蜜「わ、わ、わっ!」

セツナ「ホンットお前は可愛くて困る!!」

⏰:07/07/26 01:09 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#515 [向日葵]
そんな笑顔のセツナを前にして心底ホッとした。

セツナはお姫様抱っこで抱き上げて、部屋まで運んでくれた。

セツナ「風邪引くといけない。早く着替えろ。」

蜜「セツナは……?」

セツナ「すまないが、一旦戻る。」


セツナは頭を撫でながら言った。

蜜「はい…。気を付けて……。」

自然と笑う事が出来るのはセツナがすぐに帰ってきてくれると分かっているからだ。

⏰:07/07/26 01:14 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#516 [向日葵]
そんな私を見てセツナはギュッと抱き締めた。

蜜「?……どうしました?」

セツナ「そんな顔されたら帰りたくなくなる。」

蜜「すぐ戻るなら問題ないですよ。さ、早く行って。セツナも風邪ひいちゃいますから。」

無理矢理セツナを離して窓を開けた。

セツナ「……じゃあな。」

と言いながらセツナはおでこに唇を当てた。

そして大きな羽で飛び立った。

良かった。もう大丈夫。
もう二度と不用意に先生の近くには行かない……。

⏰:07/07/26 01:19 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#517 [向日葵]
ふと胸元に手を当てた。

……あの時、先生の舌が肌を辿った時はあんなに気持ち悪かったのに…
セツナが触れたら、なんだかキスしてる時みたいに何も考えられなくなってた……。

蜜[もっと触れて下さい……。]

ボホァ!!
顔から湯気噴射。

私っ……どうしちゃったんだろあの時……っっ!!
なんだか……セツナの手で、指で、唇で……。体の隅々を触れて欲しくなったんだ……。

『私も変態の仲間入り……?』

⏰:07/07/26 01:23 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#518 [向日葵]
「随分といい格好ですわね。」

いきなり声がしたから私は窓の方を見た。

蜜「ルキ。……さん。」

窓枠に美脚を組んでルキが座っていた。

ルキ「まったく残念ですわ。貴方の純潔が奪われればセツナは私の元へ帰ってくると思っていたのに。」

蜜「……。やっぱりセツナを盗られた腹いせに……?」

ルキは窓枠から降りて私の元へ歩いてくる。

黒く短いワンピースと網タイツが美脚をさらに際立たせる。

⏰:07/07/26 01:29 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#519 [向日葵]
ルキ「これで勝ったおつもりかしら?」

蜜「こーゆーのって勝敗で決めるんですか…?」

ルキ「知りませんの?恋は戦争並に激しい者ですのよ?潰れるか…………潰されるか。」

そんな……。
間違ってる。この気持ちを、そんなゲームみたいにしてはいけない……!

蜜「私は超が付くほど恋愛初心者ですけど……ルキさんは間違ってますよ。」

ルキは顔を赤くして綺麗な顔を歪めた。

ルキ「黙れっ!たかが人間の小娘の分際でっ!!」

⏰:07/07/26 01:35 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#520 [向日葵]
びっくりした。
いきなり小娘発言。
人(人か?)は怒ると口調が変わる。

……なんで私こんなに冷静なんだろう。

ルキ「貴方に……私の何かを分かってたまるもんですか!!私は……ずっと…。」

蜜「ルキ…さん……。」

ギンとルキが睨んできた。

ルキ「お前ごときが…私の名を呼ばないで。」

よっぽど嫌われている。
それもそのハズ。見るからにルキは、セツナが……。

⏰:07/07/26 01:40 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#521 [向日葵]
ルキ「これで終わったなんて思わないで。次は……もっと酷い事を」

蜜「待って。」

おかしい…。
この人は黒蝶族のハズ。
ならば何故、蜘蛛族なんかに……。

蜜「貴方は……誰?」

ルキは冷たい目で私を見ると、フッと笑った。

ルキ「黒蝶族よ。何?蜘蛛族と手を組んでおかしいとでも思ってるの?」

私は肯定を無言で返した。それもルキは分かったらしい。

⏰:07/07/26 01:45 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#522 [向日葵]
ルキ「私は許されるの。だって、ターヤは正真正銘、兄なんだもの。」

――――っ!!

蜜「え……。」

ルキ「ではごきげんよう……。」

バサァ……。

ルキは私に衝撃だけを置いて帰ってしまった。

兄?そんな事あり得るの?!だって自然界の法則では絶対あり得ないじゃない…っ!

よく考えれば似てなくもない……。じゃあホントに……?

⏰:07/07/26 01:49 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#523 [向日葵]
――――――――

今日はここまでです

⏰:07/07/26 01:50 📱:SO903i 🆔:Khd7S3Xo


#524 [☆チーター☆]
あげます

⏰:07/07/26 13:28 📱:auSA3A 🆔:meJCZDCA


#525 [向日葵]
チーターさん
ありがとうございました

――――――――

・・・・・・・・・・・

セツナ「ルキとターヤ?」

私はクッションを抱いてベッドに座り、つい先程帰ってきたセツナにさっきの事を聞いた。

蜜「兄弟って…ホントですか?」

セツナ「あぁ…。らしいな。」

セツナは言葉を濁した。
何か触れてはいけない様な……。

⏰:07/07/27 01:18 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#526 [向日葵]
蜜「聞いては……いけませんか?」

一応了承を得ることにした。
セツナは机に軽く腰かけて足と腕を組むと短く息を吐いた。

セツナ「確かにアイツらは兄弟だ。しかしこれはあまり触れないことになっている。何故だか分かるか?」

分かるハズもない私は首を横に振った。
セツナの目が険を帯びる。

セツナ「あっては駄目なんだ…。黒蝶族と蜘蛛族が恋に落ちるなんて。禁じられている。なのに2人は子供を生んだ。それがルキとターヤだ。」

⏰:07/07/27 01:25 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#527 [向日葵]
蜜「禁忌を…犯してしまったんですね……。」

セツナは無言で頷く。

セツナ「だからルキは蜘蛛族と何かあっても咎められないし、ターヤを咎めるのも難しいんだ。」

蜜「だから私を……。」

セツナ「何だって?」

蜜「私を閉じ込めたのはルキなんでー…すーって……言いませんでした、っけ?」

見る見る内にセツナの顔が険しくなった。

セツナ「お前…何故それを早く言わなかった。」

⏰:07/07/27 01:30 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#528 [向日葵]
私はあらぬ方へ視線を泳がせた。

蜜「主犯であるターヤ先生の事で頭が一杯、でし、た…。」

声が最後になるにつれ小さく、そして私自身も小さくなるのが分かる。

セツナ「こ…んの……大馬鹿者ぉっ!!たわけっ!!ド阿呆っ!!」

蜜「セツナ!シーッ!シーッ!」

もうおばあちゃん達が帰って来てるからセツナがいることがバレたら厄介だ。

セツナは机から降りるとツカツカやって来て私の肩を掴む。

⏰:07/07/27 01:35 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#529 [向日葵]
セツナ「それならそうと早く言え!そうなれば共犯の罪で二人とも咎められやすくなるのに!」

ガクガク揺らされるがまま私は心の中で何度も謝った。
ってかターヤ先生で目一杯だっつったじゃん!!

セツナ「チッ。今から帰って裁判会議にかけてやる。」

蜜「え……。セツナ!」

窓へ向かうセツナの腕を掴んだ。

蜜「そんなのまた今度でいいですよ!」

セツナ「そんなのだと?!お前がそんな目にあって黙ってろと言うのか!!」

⏰:07/07/27 01:41 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#530 [向日葵]
私はセツナの腕をギュッと抱き締める。

蜜「こんな目にあったから、今はいつもよりも側にいて欲しいんです……。」

セツナが軽く息を飲んだ。それが聞こえたから顔を上げる。

蜜「また襲われても、セツナは助けに来てくれるんですよね?なら、せめて今だけは一緒にいて下さい……。」

セツナは私の掴んでる手をゆっくりほどくと、私を抱き寄せた。

セツナ「そうだな…。今はそれが先決だな。」

⏰:07/07/27 01:45 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#531 [向日葵]
良かった……。
ホントに今はこれ以上ないほどくっついてたい。
広いセツナの胸に顔を埋めながらそう思った。

セツナ「じゃあ、どれくらい側に寄ったらいいのかな?蜜よ。」

蜜「どれくらい……って……。どれくらい?」

セツナ「こちらが聞いてるんだが?……例えば。」

と言ってセツナはおでこに唇を当てた。
そしてニヤリと笑う。

セツナ「これくらいとか。」

蜜「あー…えー…おー…。」

⏰:07/07/27 01:49 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#532 [向日葵]
って発生練習か。

蜜「も、ちょっとだけ…。近くがいいです。」

セツナは満足そうに笑うと瞼、頬に唇を触れていった。

さて、ここで少し意地悪を仕掛ける。

蜜「それくらいでいいです。」

と言うとセツナの満足そうな笑みは消え、不満そうに眉を寄せる。

セツナ「ホントに?」

蜜「ホントに。」

するとセツナは唇を指先でなぞった。思わず反応してしまう。

⏰:07/07/27 01:53 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#533 [向日葵]
セツナ「こんな時……なんだぞ?」

セツナの顔が色っぽく変化する。
声もいつもの倍、魅惑的になる。
つまりこれは私を誘いだそうとしてるのだ。

思わず意地悪を撤回したくなった……。けど負けない!

蜜「今日はいっぱいしました。っと言うよりいつもいっぱいしすぎなんです。今日はこれくらいで充分ですよ。」

セツナは降参しない私に最終手段を使ってきた。

唇を耳元に当てる。

⏰:07/07/27 01:57 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#534 [向日葵]
吐息が耳の中へ入っていく。
身震いしてしまう。

セツナ「…蜜…。」

ビクンッ!!

そんな魅惑の声をそこで出されては!!
しかも……耳を甘噛みされた。

セツナ「いいのか…?近くに寄らなくて。」

笑みを含む声は魅力を増すばかり。
私は逆らうなんて事が無理だった。

蜜「寄って…下さい…。」

耳元でセツナがクスッと笑って唇を離した。

⏰:07/07/27 02:02 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#535 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/27 02:02 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#536 [あいこ]
>>252-300

⏰:07/07/27 02:21 📱:W51S 🆔:sMbp9.CY


#537 [めぃ]
この小説の
虜になりました!!!!
面白スギですっ♪

がんばってください

⏰:07/07/27 02:26 📱:PC 🆔:IhugH03w


#538 [向日葵]
あいこさん
安価ありがとうございました

めぃさん
虜になって頂いてとってもうれしいです

⏰:07/07/27 10:37 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#539 [☆チーター☆]
あげます~~
書いて下さいト

⏰:07/07/27 12:57 📱:auSA3A 🆔:7ao3XxNI


#540 [向日葵]
チーターさん

ありがとうございます
今から書かせて頂きますね亀でスイマセン

⏰:07/07/27 13:04 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#541 [向日葵]
セツナ「ククク。どうやら作戦は駄目だったらしいな。お前が俺に勝てるとでも思ったのか?」

蜜「希望は持ってましたよ。悪かったですね。」

セツナはまだおかしそうに笑ってる。
何が可笑しいんだか……。
一頻り笑った所で口に笑みを浮かべたまま、私の顎をクイッと上に上げた。

そしてとろけてしまう様なくちづけをする。

触れた所から私の体が溶けるんではないかとちょっと心配になる。

体が砕けない様に必死にセツナの服を掴む。

⏰:07/07/27 13:10 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#542 [向日葵]
すると唇が少し動くのが分かった。
どうやら私の様子にまた笑いが込み上げてきたらしい。

意識をはっきり持って無理矢理セツナを離した。

蜜「笑うならもうしなくていいです…。」

セツナ「お前俺が笑ってる訳分かってないだろ。理由はお前が可愛いすぎるからだ。」

聞いてないし……。
ってか可愛いって言い過ぎだし……。

蜜「セツナは少々贔屓(ひいき)目が強いみたいですね。」

⏰:07/07/27 13:13 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#543 [向日葵]
セツナは呆れて窓によりかかる。

セツナ「気に入ってる奴を贔屓して何が悪い。」

蜜「世間ではそれをよく思わないんですよ。だからルキが怒るんですよ。」

セツナ「知るか。贔屓して欲しいんなら気に入られる努力をするんだな。」

……。
この人の俺様節には無理があるのにどうして勝てないんだろうか……。

どっちか言えば私が正論のハズなんだけどなぁ……。

おばあちゃん「ただいまー。みっちゃぁーん。」

⏰:07/07/27 13:19 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#544 [向日葵]
おばあちゃんとおじいちゃん帰宅。
私は部屋を出ようとドアへ近づく。

蜜「お帰りなさ…キャッ!!」

ボフッ!

視界が何故か天井。

おばあちゃん「みっちゃん?」

おばあちゃんが階段を上がって私の元へやって来る。起き上がらなきゃ。あとセツナをどこかに……

パチン。

蜜「へ?」

部屋が真っ暗…。

⏰:07/07/27 13:22 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#545 [向日葵]
トタトタ

おばあちゃんの足音が段々近づく。

バサァッ!

蜜「え?!セツナ?!」

あくまでこれは小声。

いきなり布団の中に私とセツナがいた。
そう。ベッドに引っ張ったのはセツナ本人だ。

セツナ「シッ。バレたらヤバイんだろ?」

セツナは長い人差し指を口元に当てる。

そうじゃなくて!今この状態がヤバイんだって!!

⏰:07/07/27 13:26 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#546 [向日葵]
トタトタ

私はなんとかしようとジタバタした。
しかし……

蜜「んっ……。」

セツナの唇が重なる。
それで私の体は力が抜けてしまった。

カチャ

『来た―――!』

おばあちゃん「みっちゃん?あれ、寝てるのかしらね。」

布団の中では荒い息が交差してるって言うのにおばあちゃんは全く気づくことなく部屋を後にした。

……パタン。

⏰:07/07/27 13:29 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#547 [向日葵]
蜜「ん……んん……っ。プハァッ!!セ、セツナァァー!!」

あくまで小声。

セツナ「お前がじっとしてないから悪いんだろ。」

蜜「布団捲られてたら一発ですよ!!」

セツナ「その時は姿を消せるだろ。鱗片で。」

あー負けた……。
ハイハイそうですね。貴方にそーゆー手があったのをコロッと忘れてましたよ。

蜜「いくらなんでも今日はくちづけしすぎです!!」
セツナ「何回かはお前の為だろ。」

⏰:07/07/27 13:34 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#548 [向日葵]
まったく……。油断したらこうなんだから……。

でも……少しの間は気を張らなきゃいけない。
また今日みたいなことがあっては絶対いけない。

セツナをまた悲しませたりしたくない。

考え事をしている私をどうしたのかとセツナが不安そうな顔で見つめてる。

その顔がなんだか愛しくて、セツナに身を寄せた。

それにセツナも微笑み、ギュッと抱き締めてくれる。

そしてその日、私達はいつも以上に唇を重ねた……。

⏰:07/07/27 13:40 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#549 [向日葵]
チャプター11:仕掛け





時は飛んでセツナとの同棲(?)生活が始まった。

ここ数日、何かあったのかと聞かれても特に何も無かった。

もちろんターヤ先生やルキが私を見る目は変わらなかった。

って言うか……、今日は……。

蜜「セツナ!いい加減起きて用意して下さいよ!」

セツナ「やだね。」

⏰:07/07/27 13:44 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#550 [向日葵]
セツナはベッドの上で寝転がり、頭の後ろで手を組んで、足も組み、組んだ足をプラプラさしてる。

子供かコラァァ!!!

蜜「もう!今日は卒業式でしょ?!貴方(一応)卒業するんですよ?!」

セツナ「昨日の予行とやらも我慢したんだぞ。もういい。」

蜜「馬鹿ですか?!今日が本番なんですよ?!」

セツナはいきなり起き上がると私を壁に押し付けて片腕を壁に付いた。

セツナ「言っておくぞ。俺はお前と離れて前みたいになれのはゴメンなんだ。」

⏰:07/07/27 13:49 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#551 [向日葵]
同棲云々の訳の一つは前の事件により護衛をしているのだ。

いやだからって……さ……。

蜜「昨日の予行でも何もされなかったんです。なら平気ですよ。」

実は昨日もこんな風に渋っていた。
私が行かなきゃいけないのはクラス委員だからだ。

昨日やっと説得して行かした頃には遅刻とチェックされた。

セツナ「お前も休めばいいだろ。」

蜜「小川君いるのに駄目ですよ。」

あ――……しまった……この名前を出すんじゃなかった……。

⏰:07/07/27 13:54 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#552 [向日葵]
予想通りセツナの機嫌が悪くなった。
セツナはスッと目を細めて私を見下ろす。

セツナ「お前は俺に嫉妬で狂って欲しいのか。」

あぁもう私の馬鹿ぁぁ!!

セツナの顔に指先を触れて、機嫌を伺う。

蜜「心配しなくてもクラス委員として迷惑をかけたくないだけです。」

そこでセツナの顔が少し和らぐ。
でも完璧ではない。
原因は小川君の名前が出た事にあるっぽい。

嫉妬もここまで来ると束縛だ。
……まぁ、嫌じゃないって言うのはホントだけど。

⏰:07/07/27 13:59 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#553 [向日葵]
蜜「ハァ……。じゃあどうしたら機嫌直してくれます?」

セツナの眉がまた寄る。

セツナ「俺は拗ねたガキ扱いか。」

ガキじゃん!!どう見たってガキじゃん!!

と反論出来ないのは分かりきってること。

蜜「なら言い直します。セツナはどうしたいんですか?」

セツナ「1日中家にいる。」

蜜「名案ではありませんね。今日は一つのケジメをつける日なのに……。」

⏰:07/07/27 14:02 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#554 [向日葵]
――――――――

キリます

⏰:07/07/27 14:03 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#555 [ゆら]
あげます
頑張ってください

⏰:07/07/27 14:48 📱:D903i 🆔:oyeHZ1zw


#556 [みぃ]
まぢ文章能力ありすぎ
作品全部だ-い好き
これからもがんばってくださ

⏰:07/07/27 16:36 📱:SH903i 🆔:r84BE6Vw


#557 [MILK]
一気読みしちゃいましたぁ(♥b'v`)
本当に、面白いですヾ(*'▽'*)ノ
これからも、頑張って下さいvv

本当に楽しみにしてますvv

⏰:07/07/27 17:16 📱:PC 🆔:XlLSOm0E


#558 [はな]
感想がいっぱいで読みにくいです。感想板もあるからそっちに書いてほしいです。一読者の意見ですが…

⏰:07/07/27 17:42 📱:P901i 🆔:☆☆☆


#559 [向日葵]
読んで頂いてる皆様へ

読んで頂いてホントにありがとうございます
感想なども頂いて感謝なのですが、読みにくいとのお声があったので次からは感想板までお越し願います

はなさん

意見ありがとうございました

⏰:07/07/27 18:26 📱:SO903i 🆔:JoVeGh86


#560 [我輩は匿名である]
失礼します

>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:07/07/27 19:22 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#561 [我輩は匿名である]
>>230-500
>>501-771

⏰:07/07/27 19:22 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#562 [向日葵]
セツナは面倒くさそうな顔をしてため息を吐いた。

セツナ「人間界の行事なんざ興味皆無だ。」

どうやらテコでも家から出たくないらしい。
私があんな目に合わなかったらもっと素直に行ってくれたのに……。

私の顔が微かに曇ったのを感じ、セツナは少し心配そうに私を見つめた。

セツナ「どうした…?」

セツナの右手が頬に触れる。

蜜「いえ。……じゃあどうしたら行ってくれますか?」

⏰:07/07/28 00:58 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#563 [向日葵]
我輩さん
安価ありがとうございます

――――――――

セツナ「何をしようと行かん。」

頑固ぉぉ……。
もう……この手は使いたくなかったけど…仕方ない。

蜜「わ、私からのキスをしても駄目ですかっ?!」

シーン……
オイコラァァ!!!なんか反応しろぉぉ!!

セツナは思いがけない私の言葉にただただキョトンとしていた。

⏰:07/07/28 01:02 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#564 [向日葵]
しかしやがてあのいっじわるそうな顔で口の端を上げた。

セツナ「ふぅー…ん。蜜からの……なぁ。考えてやらんこともないが?」

あぁー!もう!!言うんじゃなかった!!やっぱりこんなの恥ずかしいよー!!

セツナは私の手を取って自分の顔に触れさした。

セツナ「で?するの?しないの?」

しないと言えばそれまで。いやしかし……するとしても……。
恥ずかしいんだってばぁぁ……(泣)

⏰:07/07/28 01:07 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#565 [向日葵]
蜜「仕方を教えてくれません?」

じゃないとぎこちなくなってセツナを満足させるキスが出来るか不安だ。
……いや、不安ってアンタ
自分の考えに裏手ツッコミをいれながらセツナをジトーッと見る。

セツナ「ほう。俺の教えはちと厳しいが、覚悟は出来てるかな?花嫁殿よ。」

厳しい……。
どうせ恥ずかし――い私が出来なさそうな事言っていやらし――いキスをさせるに違いない。
この頃やたら舌が入ってくるし……。

⏰:07/07/28 01:12 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#566 [向日葵]
蜜「独学が少々ですが……。それでもありですか?」

セツナ「俺が学校へ行こうと決心出来る様なキスであればな。」

どんなのだよそれ。

とりあえず……やるしかない事は確かだ。いや、他に方法あったかも……。
だけど浮かんだのがこれしか無かったんだよぉぉっ!

これもセツナに感化されてる?

私が黙っているのでセツナは私に目線を合わせた。

セツナ「最初はどうすればいいんだ?」

⏰:07/07/28 01:16 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#567 [向日葵]
ベッドに座って……セツナがヒートアップしたら押し倒される可能性大。

よって危険。

立ったまま……これまた激しさを増せば壁を利用してセツナの舌が口内の奥まで侵す。

よってこれも危険。

蜜「……キスは…ほっぺじゃいけません?」

セツナ「満足すると思うか?」

ごもっとも……。

セツナは両手を壁に付いた。

⏰:07/07/28 01:24 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#568 [向日葵]
――――――――

すいません……眠さ限界なんで今日はここまでにさせてください

おやすみなさい

⏰:07/07/28 01:25 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#569 [☆チーター☆]
頑張って下さいトソソ

⏰:07/07/28 11:18 📱:auSA3A 🆔:POuyhL7M


#570 [ゆら]
あげます

⏰:07/07/28 13:17 📱:D903i 🆔:4lLNDt56


#571 [向日葵]
セツナ「さぁ。どうする?」

セツナはニヤニヤ笑いながら完璧な顔を近付ける。
唇が触れるまであと2cm……。
喋れば吐息が顔にかかる。

私は腹をくくってセツナの襟元を掴んで唇を当てた。

蜜「……っ。ハイ!!」

セツナは私の懸命な姿を見て可笑しくなったのか吹き出して笑った。

蜜「んな!何で笑うんですか!!」

人が真っ剣に頑張ったって言うのに失礼な!

⏰:07/07/28 15:41 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#572 [向日葵]
チーターさん
ゆらさん
あげありがとうございました

――――――――

セツナ「分かってないな蜜。どうやら手本を見せなきゃいけないらしい。」

蜜「――!!いい!!いいです!!」

セツナの口元辺りを両手でガードして手本をするのを遮る。

セツナは壁に付いていた片手で私の手首を片方掴んだ。
そして掌に唇を押しつける。

⏰:07/07/28 15:46 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#573 [向日葵]
蜜「ちょ、セツナ……っ!」

セツナは私の言葉を無視して唇にキスする様に掌にキスする。

その姿がまた官能的で、目を離したいのに離せない。
『なんで朝からこんなことしてるんだ私……っ。』

するとセツナが目を開けて私と目を合わせた。
合わせた瞬間セツナがクスッと笑う。

―――ドキン…

胸が高鳴るとガードしていた手を思わず下ろしてしまった。
それを見計らってセツナは手から唇を離して顔を近付けてきた。

⏰:07/07/28 15:59 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#574 [ちゃむ]
>>470->>600

⏰:07/07/28 16:03 📱:SH902i 🆔:/3bSYpXc


#575 [向日葵]
蜜「駄目セツナ……!」

また手を上げて遮ろうとしたけど掴まれて壁にゆっくりと押し付けられた。

セツナ「そんな顔されて…、辞めれると思ってるのか?」

鏡を下さい!そしたら“そんな顔”を止めますから!!

セツナ「お前は俺を誘うのが上手いな。」

知らない!私誘ってない!そんな色気持ってない!!

セツナの唇が優しく押し付けられる……。

反則だ…。そんな優しくするだなんて……。

⏰:07/07/28 16:11 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#576 [向日葵]
ちゃむさん
安価どもです
――――――――

思わず唇をこわばらせてしまう。
それに気付いたセツナは唇を何度も重ねて私の唇をほぐす。

もう胸が張り裂けそうなくらい苦しい……。

蜜「セツ……。あいたー!!」

ガチッて音と共に2人して口を抑える。

セツナ「お前なぁ〜……。」

漫画のお約束みたいに歯が当たって口が切れてしまった。

⏰:07/07/28 16:16 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#577 [向日葵]
セツナ「キスしながら喋るなよ!見てみろ!俺の完璧な体の一部が傷ついたじゃないか!!」

蜜「ごめんなさぁぁ〜い!!」

ってか私もケガしたのにその心配は無しですか!!

セツナ「ったく。蜜。決めたぞ。学校には行かない。」

あぁぁぁ……せっかくの作戦すら失敗に終わってしまった……。

私だけ行くのも許されず、人生初のサボりになってしまった……。

⏰:07/07/28 16:19 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#578 [向日葵]
――――――――

キリます

⏰:07/07/28 16:20 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#579 [冬歌]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600
>>601-650
>>651-700

⏰:07/07/28 20:23 📱:W43H 🆔:1uiX0qj.


#580 [向日葵]
冬歌さん
安価ありがとうございます

――――――――

・・・・・・・・・・・・・

ピピピピピピ

私は学校に休みの電話をする為に受話器を片手に私はリビングを行ったり来たりしていた。
そんな私にソファーに寝転んだセツナは話かける。

セツナ「蜜。何してんだ?」

蜜「シーッ。少し黙ってて下さい。」

私は一回咳払いをした。
すると受話器の向こうから声が聞こえる。

⏰:07/07/28 21:43 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#581 [向日葵]
ガチャ

{はい。}

―――ドクン

この声は……

{クスクス。君、蜜乙女だね。}

蜜「ターヤ先生……。」

その名前を呟いた瞬間、天井を仰いでいたセツナがこちらを素早く見た。

ターヤ{どうかしたの?君が休みだなんて。しかも卒業式に。}

優しい声だけど、私には恐ろしさだけしか感じられなかった。

⏰:07/07/28 21:46 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#582 [向日葵]
セツナはソファーから降りて私から受話器を奪おうとするけど、私はそれをなだめた。
今セツナが出てしまったら話がこじれてしまう。

ターヤ{何で来ないのかな?}

蜜「風邪をひきました…。卒業式に菌をばらまくのはいけないと思いまして……。」

あくまで冷静に。
ホントは吐き気がするほど怖い……。

ターヤ{ふぅん。風邪ねえ。……わかりました。}

それでわかってくれれば良かった。
続きを聞いた私は受話器を落としそうになった。

⏰:07/07/28 21:57 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#583 [向日葵]
ターヤ{じゃあお見舞いに行ってあげるよ。}

蜜「え……?」

ターヤ{クスクス。そうだなぁ…。いきなり行っても失礼だから……15分あげる。}

蜜「来なくて…結構です。」

ターヤ{セツナいるんでしょ?}

―――ドクン…

蜜「ど…して……。」

ターヤ{どうしてだろうね…。クスクス。なぁんてね。かまかけに決まってるでしょ。}

⏰:07/07/28 22:01 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#584 [向日葵]
―――――!!!!

しまった……。

ターヤ{じゃあ15分後にね。その間にドレスアップでもしてるといいよ。}

ガチャ
プー プー プー プー


一方的に切られた受話器を持ったまま、しばらく立ち尽くした。

セツナ「蜜?!」

セツナが肩を揺らす。
そこで私は半泣きになった。
セツナがいるなら大丈夫。でももしセツナに何かあったら……っ。

蜜「セツナ……っ!ターヤ、先生、ここに来るって……!!」

⏰:07/07/28 22:05 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#585 [向日葵]
セツナの顔に険が帯びる。

セツナ「落ち着け。俺がいる。ターヤは何もしてこない。」

なら何故あの時セツナがいる事を確認したんだろう……。
ただのからかい?
ううん。そんな事ない。絶対に何か企んでる。

蜜「セツナに何かあったら私……っ。」

ギュッ。

セツナは私を抱き寄せた。

セツナ「蜜。大丈夫…。大丈夫だから……。」

⏰:07/07/28 22:11 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#586 [向日葵]
私を落ち着かせる様に穏やかな声でそう告げる。

セツナ「俺が守るから。……な?」

私はセツナの背中に手を回してギュッと手に力を入れる。

大丈夫。私はそう思いたかった。
でも……胸騒ぎがして……。

―――――……

ピンポーン

あれから約15分後……。遂にターヤ先生が来た。

ターヤ「風邪の割にえらく元気そうだね。」

⏰:07/07/28 22:17 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#587 [向日葵]
身震いがしてならない。

私の後ろに音もなくセツナが姿を現す。

ターヤ「これはセツナ。いたのかい?」

セツナ「知ってて来たのだろ。用件を言ってさっさと帰れ。」

先生は動じる事なく笑う。

ターヤ「そうだね。その方がいいだろう。じゃあ用件を言おう。」

ターヤ先生の視線が私に向けられた。
その瞬間、ビクッとしてしまった。

⏰:07/07/28 22:26 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#588 [向日葵]
ターヤ先生は私に笑顔を見せたまま手を掲げ、パチンと指を鳴らした。

そして次の瞬間

ザザザザザ!!

何人もの黒い外套を被った人がどこからともなくやって来て、セツナを拘束した。

セツナ「!!お前らっ!!何をしてる!!」

蜜「いや!止めて下さい!!」

ターヤ「蜜乙女よ。」

先生が私を引き寄せて顎をクイッと上を向かせる。

⏰:07/07/28 22:32 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#589 [向日葵]
セツナと同じくらい綺麗な顔が、間近にある。

蜜「な……にを……。」

ターヤ「用件はこうだよ。君を花嫁に迎える。」

!!

セツナ「ふざけるなっ!そんな事して許されるとでも思ってるのか!!」

先生はセツナを無視して私だけに話す。

ターヤ「もしノーと言えば分かるね?」

外套を被った人達が口を開けた。
そな中には鋭くとがった牙があった。

⏰:07/07/28 22:37 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#590 [向日葵]
ターヤ「これだけの毒牙を食らえば、いくら黒蝶族の長の息子と言えど何も助けが無い今、悶え死ぬだけなんだよ……。」

蜜「っっ?!」

セツナ「お前……こんなことをしてどうする……。」

先生は実に愉快そうに声を上げて笑った。

ターヤ「僕達にとって君達の存在は邪魔すぎる。明日、夕刻に僕達が結婚すれば君達に大きな屈辱を味あわせる事になると思ってね?」

セツナ「そんなの簡単に……」

ターヤ「出来ると思うかいセツナ。君達黒蝶族は僕達から目を離しすぎた。」

⏰:07/07/28 22:44 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#591 [向日葵]
先生が私をより抱き寄せるからセツナは歯を食いしばって先生を睨みつける。
そんなのも先生は涼しい顔で受け流す。

ターヤ「君達が思ってる以上に僕達は力を付けたんだよ。」

途端に細く白い何かが何重にも私と先生の周りを包む。
それが少しして蜘蛛の糸だと分かった。

ターヤ「助けに来るといいよ。まぁ……来れたらの話だけどね……。」

セツナは必死に外套軍団を振りほどいて私に手を伸ばす。

⏰:07/07/28 22:54 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#592 [向日葵]
セツナ「蜜!!」

蜜「セツナァ!!」

私も手を伸ばしたけど、白い空間に閉じ込められてしまった……。

―――――――……

セツナは蜜がいなくなった後を唖然として見つめていたが、沸々と怒りが込み上げて来て、玄関の壁を殴りつける。

ガァンッ!!

壁紙がバラバラと床に落ち、壁は拳型にへこんだ。

『俺のせいだ…っ!油断していた……。既に仕掛けをしていたとは……っ!!』

⏰:07/07/28 22:58 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#593 [向日葵]
セツナ「ルキ。近くにいるんだろ……。」

落ち着きをはらった声は少し震えていた。
部屋の陰からルキが姿を現す。

セツナ「お前の知恵か。」

ルキ「知りませんわ。何を勘違いなさって?」

セツナの目が鋭くなり、手が伸びたかと思えばルキの首を絞めていた。

ルキ「うっ……。セ、ツナ……。」

セツナ「お前……いい加減にしろよ…。遂にこの俺の逆鱗に触れてくれたな……。」

⏰:07/07/28 23:04 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#594 [向日葵]
ルキは苦しそうにセツナの手を握る。
セツナは首を絞めながらルキを持ち上げると、ルキを床に叩きつけた。

ルキ「きゃぁあっ!!」

セツナはルキを冷たく見下ろす。

セツナ「蜜を助けに行く。弁解のチャンスをやろう。もちろんお前も手伝うなぁ?」

黒蝶族の中でもルキはそれなりの力があると共に、蜘蛛族はルキには手だし出来ない為有利だとセツナは考えた。

ルキ「何故……私があんな娘を……」

ゴスッ!!

⏰:07/07/28 23:09 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#595 [向日葵]
ルキの顔のすぐ横にセツナは拳を振り下ろした。
またしてもそこにはへこみが生じる。

セツナ「ここで殺されたいか…。それとも愛しい俺の役に立つか…。どうする……。」

どうすると聞いているが明らかに言外で後者を選べと言っている。
ルキは有無を言えずセツナに従うしかなかった。

ルキ「役に……立ちます……。」

セツナ「裏切ったら次は無いと思え…。いいな。」

ルキの目からは涙が落ちる。それに目もくれず、セツナは言葉を発する。

⏰:07/07/28 23:13 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#596 [向日葵]
セツナ「早急に帰り、作戦を企てるぞ。」

―――――
――――――……

着けば目の前には赤い絨毯が引かれた正にお城の中にいた。

ターヤ先生は乱暴にどこかの部屋へ連れて行く。

連れて行かれた先に何人ものメイド姿の人達がいた。

ターヤ「隅々まで綺麗にしてやってくれ。」

メイド「かしこまりました。」

蜜「え……。何……っ。」

ターヤ「只の湯殿だよ。心配しなくていい。」

⏰:07/07/28 23:18 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#597 [向日葵]
そう言って先生は部屋を出て行った。

メイド「ささ。お着物を脱いで下さいませ。」

蜜「え?!ちょ、ちょっといやぁぁぁ!!」

・・・・・・・・・・・・

コンコン

ドアをノックする音が聞こえた。

ターヤ「蜜乙女よ。入るよ。」

カチャ

私はお風呂が終ると真っ黒なドレスに身を包まれた。

ターヤ「ほぉ…。黒髪に黒いドレス。中々だよ。」

そう言いながら私の腕を引っ張る。

⏰:07/07/28 23:24 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#598 [向日葵]
蜜「や、やだ!もう何なんですかぁっ!!どうして……!」

先生は足を止め、私に向き直った。
口許は薄く笑みを浮かべている。

ターヤ「君を気に入ったからだよ。稀なる蜜乙女。」

……違う。
それは……。

蜜「……それは、蜜乙女としてじゃないですか。」

頭にセツナの姿がよぎる。

蜜「セツナは違う!セツナは私を一人の人間として好きになって、大切にしてくれてました!」

⏰:07/07/28 23:29 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#599 [向日葵]
そこで初めて先生の表情が消えた。

蜜「先生とは違う…。例え先生が私を好きになっても私は……キャアッ!!」

先生が私を肩に担いだ。
私は必死にもがく。

蜜「何をするんですか!!離して下さい!!」

ターヤ「お喋りな女の子は嫌いだよ。少し黙ったら?」

私はその時感じた。
笑みがあるその声の中に、冷たい感情が入ってる事を……。

先生は悠々と広い階段を上って行く。私の視界は赤いフカフカな絨毯のみだ。

⏰:07/07/28 23:33 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#600 [向日葵]
ガチャっと聞こえたと思うと視界にオフホワイトの大きなドアと、赤い絨毯に変わって灰色の絨毯になった。
どこかの部屋に入ったらしい。

ボフッ!

蜜「んむっ!!」

降ろされた先はドアと同じオフハワイトの柔らかく大きなベッド。
ベッドの周りにはワインレッドの天蓋が。

そんな事より早く起きなければ……っ!
……と思って横を向いて起き上がる体勢になったが遅かった。

⏰:07/07/28 23:41 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#601 [向日葵]
ギシッ

先生は私にもう被さっていた。

ターヤ「味わう程度なら手を出しても構わないかなぁ……。お楽しみはまだまだあるわけだし。」

そう言って先生は締めてた群青色のネクタイを少し緩めた。

蜜「嫌!!やだっ!!」

必死に逃げようと足をバタつかせると黒いミュールがあちこちに飛んで行った。
先生は片手で私の両手を掴む。

ターヤ「君にくちづけした時は失神しそうになったよ。あまりの強く甘い蜜の味に……。」

⏰:07/07/28 23:49 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#602 [向日葵]
そう言って私の口内を急に荒らしてきた。

私はショックで目を見開く。

顔を背けてキスから逃げた。そして先生から負けない様に強く睨む。

先生は楽しんでいるのかニヤニヤ笑う。

ターヤ「存分に抵抗していいんだよ?その方が燃えるしね?」

そう言って首筋に舌を這わせた。
またあの気持ち悪い感覚が私を襲う。

嫌だ…嫌だ……!!
セツナ!!!!

⏰:07/07/28 23:54 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#603 [向日葵]
すると

ビュオォォォ!!!!

急に強風が吹き荒れた。

突然の事に先生は私から離れた。
何が怒ったか分からない私はとりあえず起き上がる。
すると頭や腕に、そよ風が当たった。

蜜「風……さん達…。」

小さな姿がいくつか私の周りにあった。
怯えていながら私を必死に守ってくれている。

ターヤ「……黒蝶族のちっぽけな下僕が……。うっとおしい!!」

蜜「止めてっ!!」

⏰:07/07/28 23:59 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#604 [向日葵]
攻撃を仕掛けようとする先生に、私は風さん達をかばうように両手を広げた。

蜜「私はいいけど……風さん達を傷つけるのはよして下さい……。」

先生はスッと目を細めると、ドアへ向かい、部屋を出ていく。

ターヤ「ここは君の部屋だ。自由に使うといい。」

バタン……。

しばらく私はドアを見つめていた。
けど先生は戻ってこないと判断し、私は力を一気に抜いた。

そんな私を心配して風さん達が寄ってくる。

⏰:07/07/29 00:04 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#605 [向日葵]
蜜「大丈夫ですよー…。ありがとう。助けに来てくれて。」

風さん達は私を気遣い、顔の周りをグルグル回る。
そして私の顔によって小さな手で顔を撫でてくれた。

柔らかい、優しい手……。

ポタタタ…。

ドレスに染みが広がる。
気が抜けて、涙が今になって出てきた。

蜜「やだ……。泣きたくなんか…ないの…っに……!!」

怖い……。怖いよ…。
でもセツナが助けにきて、もしもがある方がもっと怖い。

⏰:07/07/29 00:08 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#606 [向日葵]
涙をグイッと拭う。

そして部屋全体を見回す。とりあえず、窓がある。

ここでジッとしているのは嫌だ。
私は自分でセツナに会いに行ってやる。

蜜「ここから……出てやる。」

只の蜜乙女じゃないって分からしてやるんだから……。

⏰:07/07/29 00:12 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#607 [向日葵]
チャプター12:方法





私はジッとベッドの上にいた。
気が狂いそうな静けさを抑えてくれてたのは風さん達の存在のおかげだと思う。

たまたま部屋の中にある時計で時間は分かった。

今は午前か午後か分からない。何故なら外が真っ暗だからだ。
でも針は1時を指している。

なんだか全ての現実に疲れた私は眠りそうになったけど、頑張って起きた。

⏰:07/07/29 00:33 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#608 [向日葵]
とりあえず布団を結んで出来るだけ長くする。

『あ、そういえば……。』

ここはどれくらいの高さ?

窓へ寄って格子窓を開ける。そして下を見てみる。

蜜「え?!」

なんと……下が見えない…。モヤがかかってるみたいに陸地が見えない。

蜜「何で…っ。」

ターヤ「人間界じゃないからだよ。」

バッと振り向くと、先生がドアに寄りかかっていた。

⏰:07/07/29 00:52 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#609 [向日葵]
蜜「先生……。」

ターヤ「ターヤでいい。」

先生もといターヤさんは、部屋に一歩入る。

ターヤ「逃げるなんて辞めた方がいいよ。出ても人間には絶対に陸地は見つけられない。」

風さん達は警戒して私の周りに寄り添う。
それをターヤさんは嘲笑う。

ターヤ「まぁ精々頑張ればいいよ。絶対に無理だけど……ね。」

パタン……

まるで私の計画を前から分かっててそれを止めに来たみたいだ。

⏰:07/07/29 00:59 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#610 [向日葵]
――――――――

ちょっとキリます

⏰:07/07/29 01:00 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#611 [☆チーター☆]
あげちゃいましたトフフ
この小説大好きで毎晩見ていますI
頑張って下さい

⏰:07/07/29 01:51 📱:auSA3A 🆔:Tfv6S/LU


#612 [向日葵]
チーターさん

ありがとうございます

――――――――

ターヤ「君はホントに面白いね。じっとしてるお姫様じゃないんだ?」

蜜「私はお姫様じゃないんで……。」

一定の距離を保ったまま私達は話を続ける。

蜜「今回もルキが一枚噛んでるんですか?」

ターヤ「察しがいいね。その通りさ。アイツはセツナの恋情が故に動く人形だ。」

⏰:07/07/29 02:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#613 [向日葵]
私は眉を寄せた。

蜜「……実の妹…ですよね?」

ターヤ「それが何?」

蜜「何故、そんな物言いなんですか?」

ターヤさんは憂鬱そうに笑うと話を続けた。

ターヤ「実の妹だろうがアイツは黒蝶族だろ?兄である俺より恵まれて育った奴に、どうやって親しめと言うんだ?」

――――っ!!

ターヤ「僕達蜘蛛族はとんだ迷惑だ。まぁ黒蝶族に何かしても咎められにくいのは嬉しいがね。それもこれも、自然界のほぼ頂点にいる黒蝶族。アイツらのせいだ。」

⏰:07/07/29 02:29 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#614 [向日葵]
蜜「だからって……セツナを…ましてや私を巻き込むのは可笑しい!!」

ターヤ「直接憎い奴に復讐をかけるより、その関係する物を傷つける方がダメージは大きいものだよ。」

冷笑を浮かべながらターヤさんは続ける。

ターヤ「掟を作ったのは奴らだ。それによって何百年もの間僕達は悪者扱い。意味が分からない。たかが祖先の裏切りで、僕達は関係無い戒めに縛りつけられた。」

ターヤさんの視線が私をしっかりと捕らえる。
私は足に根が生えたみたいにそこから動けずにいた。

⏰:07/07/29 02:34 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#615 [向日葵]
ターヤ「ただ、君を拐ったのはただ単に君を気に入ったからさ。別に他意は無い。セツナの歪んだ顔を見るのは愉快だけどね。」

そこで私はキッと睨んだ。ターヤさんは余裕で受け流す。

ターヤ「部屋の外に食事を置いてるよ。食べておきなよ。」

そしてターヤさんは部屋を出ていった。

『どうして……。』

歪み合うしかしないんだろう……。
誰も、仲を戻すなんて考えなかったのかな……。

⏰:07/07/29 02:40 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#616 [向日葵]
風さん達は指をドアの方に指して食事しろと言ってる。

蜜「ありがとう。でもお腹減ってませんから。」

にこっと笑う事が出来た。ホントに風さん達には助けられる。

セツナ……。なんとか貴方の元に帰るからね。

―――――……

―黒蝶族―

シオイ「セツナ様。お久しぶりです。ルキ様も…。」

セツナ「挨拶はいい。事情は分かっているな。」

シオイは黙ってルキを見る。ルキは気まずそうにうつ向き視線を泳がす。

⏰:07/07/29 02:53 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#617 [向日葵]
シオイ「こちらです。」

向かったのは一軒家が入りそうな広間。
真ん中には長い机が置かれている。

「セツナじゃぁん♪最近とんと見なくなったから家出かと思ったぜ!」

セツナ「オウマ。今は急いでいる。無駄口は後だ。」

オウマと呼ばれるオレンジのツンツンした髪の青年は口を尖らして机に置いてある足を下ろした。

シオイ「長もお見えです。」

机の遥か遠くに髭を蓄えた男性が座っていた。
セツナは羽を出し、直ぐにその人物の近くに来た。

⏰:07/07/29 02:59 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#618 [向日葵]
セツナ「戻りました。父上。」

長「うむご苦労。ルキよ。罰は後で受ける覚悟をなさい。今はせがれの蜜乙女を助けるぞ。」

ルキ「仰せの……ままに……。」

ルキは膝を付いて長に一例する。
長はルキに視線を投じてまたセツナに戻す。

長「如何にあ奴らが力を付けたと言えど、私達を甘く見てもらったら困る。援軍は10人で足りるな?」

セツナはニヤリと口の端を上げる。

セツナ「その半分。5人で上等ですよ。」

⏰:07/07/29 03:04 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#619 [向日葵]
長は一度頷くと上を少し向けて声を上げた。

長「シオイ。ルキ。オウマ。ラフィーユ。」

広間にバラバラにいた4人は一気に長の元へ整列した。

ラフィーユと名乗る女の子はストレートの髪が腰まであり、白に近い青の色をしていた。

長「最近の蜘蛛族はやりたい放題にしすぎた。罰を与えるのに手伝ってくれるな?」

オウマ「もちろんさ長!!ガッツンやってやらぁ!!」

オウマは拳を掲げそこらを飛び回る。

ラフィーユ「オウマ。みっともない。降りろ。」

⏰:07/07/29 03:10 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#620 [向日葵]
冷たい目でオウマを睨み、オウマは縮こまってすぐに戻ってきた。

セツナ「では、行って参ります。」

長「あぁ。助けた暁には蜜乙女を連れて来なさい。」

セツナはクスッと笑うと超スピードで広間を出て行った。

――――――……

カチャ……キィ……

蜜「よし、よし。」

右左を確認し、部屋からソロリと出る。
無駄でも私は抜け出してみせる!
私はやれば出来る子!

⏰:07/07/29 03:14 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#621 [向日葵]
ミュールを履くのも忘れて私は裸足で行動していた。
フカフカ絨毯が足をくすぐる。

『階段…降りて……ドア…。』

こんなお城みたいなとこなんだからさぞかしドアもデカイんだろうなぁ。
そう思いながら周りをキョロキョロする。

蜜「……ここじゃない?」

なんかよくわからないホールみたいなトコをぐるぐる回ってらしきのを探す。

ターヤ「おてんばだね。」

ハッとして後ろを向く。
だけど誰もいない。

……分かった。
ソロソロと視線を上げると……。

⏰:07/07/29 03:20 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#622 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/29 03:20 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#623 [向日葵]
上で何故かターヤさんが浮いている。
理由は1つ。蜘蛛の糸でぶらさがってるんだ。

ターヤ「そんなにセツナに会いたい?」

蜜「…。」

私は無視して違う方を探そうとしていた。
と、ターヤさんが目の前に優雅に降りてきた。

ターヤ「ベタ惚れなんだね。」

蜜「……。そー…です……けど何か?!」

後半はヤケクソ……。
でもホントなんだもの。体全身でセツナを呼んでる。

⏰:07/07/29 13:46 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#624 [向日葵]
ターヤ「どうしてアイツがいいの?」

ズイッと前へ来て私の視界をターヤさんのみにする。

ターヤ「あんな天狗野郎好きになる君がわからないよ。」

私はキッとターヤさんを睨む。

蜜「確かにセツナは俺様です!」

ウンそれは認める。
でも……。

蜜「セツナはちゃんとありがとうが言えて、ごめんなさいが言えて、私を誰よりも大切にしてくれる!むやみに人を傷つけたりしない!!」

⏰:07/07/29 14:28 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#625 [向日葵]
セツナの優しい目が脳裏をよぎる。

蜜「貴方は……人を憎むばかりで、人を尊重しない…。」

ターヤさんは目を細めて顔をひく。

シャルルルル

蜜「え?!な、何?キャァァ!!」

体に蜘蛛の糸がまかれ、一気に地面が離れた。
天井に私は吊されてしまった。

蜜「な、ターヤさん!何をっ!」

ターヤさんも糸を天井に付けて私の近くまで来る。

⏰:07/07/29 14:57 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#626 [向日葵]
ターヤ「嫌いなんだよね。そうやって正論づく奴って。しばらくそうやっててよ。」

そう言ってくるくると回転しながら遥か下の床へ降りて行った。

ターヤ「いい眺め……。」

ターヤさんは何処かへ言ってしまった。

蜜「ほーどーけぇぇぇ!!!!」

体を揺らすもののプラプラ揺れるのみ。

『そうだ!』

蜜「風さん!」

⏰:07/07/29 15:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#627 [向日葵]
風さん達が私の目の前に現れる。

蜜「風でこの糸を千切ってくれ……」

いや……

私は下をチロリと見た。
あの山の秘密基地より遥かに高いこの場所。

千切れて解放されたとしても絶対に

蜜「死ぬ……。」

あぁ――もうっ!!!!

セツナ……っ!!

―――――……

灰色の世界を高速で飛んでいく陰が5つある。

⏰:07/07/29 15:33 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#628 [向日葵]
セツナ「お前らもっとスピード上げろ!!」

オウマ「おうよぉ!!」

ギュイィイン!!

ルキ「……。」

険しい顔をして黙って着いていく横にラフィーユがつく。

ラフィーユ「余計な事、考えるな。」

ルキ「考えてないわよ……っ!」

ラフィーユ「どうだか。お前は浅はかだ。」

ルキは図星を突かれて下唇をギュッと噛んだ。

ラフィーユ「悔やむのならもうこんな事をするでない。」

⏰:07/07/29 15:37 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#629 [向日葵]
ギュイィイ―――……ン……

―――――……

蜜「んのぉぉ……っムギィィ!!」

糸が簡単に切れず、しかもゴムのように伸びることを発見。

どうにかして体を縦に振って糸が伸びる様にするけど凄い力ですぐに戻されてしまう。

蜜「もう!も―も―も―も―!!!」

牛になった訳じゃないけど思わず不安が募ってしまう。

⏰:07/07/29 15:49 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#630 [向日葵]
ムカついて足をジタバタさせた。

どうしてこんな目に合わなきゃいけないのよ!!
それでも私は体を揺する。

蜜「う゛ぅ―――――っ!!ターヤさんのぶわぁぁぁっかぁぁ!!!!」

ターヤ「馬鹿とはなんだい。」

下を見れば蟻の様なターヤさんがいた。
表情が見えないけど声からして無表情で私を見ている気がする。

蜜「降ろして下さい!!なんでこんな事されなきゃなんないんですか!!」

⏰:07/07/29 15:58 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#631 [向日葵]
ターヤ「うるさいなぁ…。少し黙らないか。」

そう言って指をパチンと鳴らした。
何が起こるのかと思えば、急に体がぐらりと傾く。

蜜「ぎ、いやぁぁぁぁっっ!!」

いきなり落下。
ジェットコースターより遥かにスリリングな体験に気を失いかけた時、ターヤさんの腕にキャッチされた。
蜜「うぅ……っ。」

ターヤ「湯殿の時間だよ蜜乙女。」

えっ?!

⏰:07/07/29 16:11 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#632 [向日葵]
蜜「さっき入ったばっかですよ?!」

ターヤ「さっきだって?何を言ってる。もう一日経ったじゃないか。」

一日?!
せいぜい5時間くらいしか経ってないんじゃ……っ!

そんな私に気付いたのか歩きながらターヤさんは説明した。

ターヤ「人間と僕らじゃ時間の流れが違うんだよ。」
入った事がある部屋に入った。

ターヤ「祝言の為に綺麗にしてやってくれ。」

⏰:07/07/29 16:22 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#633 [向日葵]
祝言?!
つまり……結婚式?!

私はターヤさんの手から逃れて部屋を出ようとしたけど無駄に終わった。

ドアに手を付き、後ろから私の行く手を阻む。

ターヤ「じっとしてくれない?それとも……襲われたいの?」

ターヤさんは後ろから私の太ももを撫で上げた。
グリッとターヤさんの方を向いて下から睨む。

蜜「貴方と結婚式なんて挙げる気更々ありません。」
ターヤ「無くても結婚挙げざるを得ないよ。セツナは助けに来れない。」

⏰:07/07/29 20:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#634 [向日葵]
その言葉に涙がうっすら浮かんだ。

蜜「セツナは来るもん!!絶対来るもん!!」

叫んで私はお風呂場へ向かった。

セツナセツナ!

ジャパーン……!

お湯に勢いよく頭まで浸かった。
気泡が口からゴポゴポ出ていく。

『セツナ……。』

――――――……

ザ、ザザザザ、……。

蜘蛛族の城の入口に、セツナらが降り立った。

⏰:07/07/29 20:27 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#635 [向日葵]
シオイ「確かにオーラが大きくなっておりますね。」

ラフィーユ「問題ない。」

オウマ「そーそー!腕が鳴るっつーのぉ!!」

オウマは腕をグルグル回して気合い充分だ。
そんな中、セツナはジッと城を睨む。

セツナ「蜜……!」

今行くから……。

その時だった。

ザザザザザ……

5人の前にあの灰色の外套を被った軍団が現れた。

⏰:07/07/29 20:35 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#636 [向日葵]
「この先は決して通さん。」

セツナは軍団を冷たく睨み、口端を吊り上げる。

セツナ「やってみろよ。」

セツナの指がポキポキ鳴った……。

――――……

鏡を見るとさっきよりも長めの黒いドレスに身を包んでいた。

『普通白だよね。……いや違くて!!』

ワッシャワッシャなってるドレスの裾を持って部屋を出た。

『とりあえず逃げなきゃ!私っ……。』

⏰:07/07/29 20:41 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#637 [向日葵]
部屋を出て出口を探そうとした途端こけた。

蜜「うわぁっ!っあっつ!いった!」

絨毯で手を火傷してしまった。
訳もなく掌にフーフーと息を吹く。

ターヤ「往生際が悪いねホント。」

どうやら足をかけられたらしい。
部屋を出て直ぐの壁にターヤさんは寄りかかっていた。

その姿は黒いタキシードで決めていた。

ターヤ「なかなか綺麗になっているじゃないか。黒はやっぱり引き立つね。」

⏰:07/07/29 20:47 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#638 [向日葵]
私は転んだままターヤさんを睨みつける。

蜜「私と結婚して、貴方はホントにいいんですか……?」

ターヤ「気に入ったって言ったでしょ?」

蜜「それは違うって言った!!」

ガッ!!

蜜「むぅっ!」

顔を片手で掴まれて力を入れられる。

ターヤ「ホント君は嫌だよ。うるさいし無駄に正論ぶるし。」

悔しい。自分が何も出来ないと知らされて。
負けないと引っ込めた涙が再び溢れ出て来る。

それを見て何故かターヤさんが怯んだ。

⏰:07/07/29 20:54 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#639 [向日葵]
蜜「なら結婚式なんてしないで……。私が好きなのは……ただ一人。」

あの優しい笑顔が、ちょっとムカつく俺様節が、愛くるしい寝顔が……全てが私を引き付ける。

蜜「私が結婚したいのはただ一人!


セツナだけなんだからぁぁぁっ!!!!」

バァァァン!!!!

大きな扉が開かれた。
その真ん中に一人、小さな、でも大きな陰が……。

蜜「―――っ!セツ……ナ。」

⏰:07/07/29 20:58 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#640 [向日葵]
その名前を口にした瞬間さらに涙が溢れた。

セツナ「ターヤ。蜜を離せ。」

セツナの射る様な目が、ターヤさんに向けられた。
ターヤさんは私を抱き締める様にセツナに渡さない意思を示す。

ターヤ「僕達は今から祝言なんだ。良かったら招待するけど?」

セツナ「寝言は寝て言え。」

すると急にセツナが消えた。気付くとターヤさんも。
視線をさ迷わせると、全く違う所でセツナがターヤさんを足蹴にしていた。

⏰:07/07/29 21:12 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#641 [向日葵]
ターヤ「ガフガフッ!な、何で……。」

セツナ「何で?お前達より俺様達が勝ってるのは当たり前だろ。」

苦しそうに咳き込むターヤさんを無視してセツナは冷笑しながら見下す。

セツナ「残念だったな。お前の悪い癖だ。驕りを持ちすぎているんだよ。」

そこで外套軍団が集まり、その傍らには見た事無い誰かがいた。

セツナ「これはこれは。蜘蛛族の長殿。」

え?!

長「セツナ様。ターヤにはそれなりの罰を与えます故、勘弁なさってはもらえますぬか。」

⏰:07/07/29 21:18 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#642 [向日葵]
長の目には何も嘘はついていないようだ。

しばらく沈黙が続く。

セツナと長は睨み合い、私は二人を交互に見つめた。

……そしてやがて。

セツナ「良かろう。次は無いと思え。」

そう言って靴を鳴らしながらセツナが私の元へ来て、座ったままの私をお姫様抱っこした。

セツナ「では失礼した。」

大きな扉が閉まっていき、気が付けば灰色の空を飛んでいた。

⏰:07/07/29 21:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#643 [向日葵]
私は飛んでる間ずっとセツナの顔を見ていた。

夢なのかもしれない。
セツナが助けに来てくれた。大好きな大きい手で、今私は抱かれている。

『!』

急に光が私の顔を照らした。さっきまでとはうってかわって雲一つない青空。しかも下は色とりどりの花がぎっしり。

『……。私天国に来ちゃった?』

と頭によぎるほど綺麗だった。

そしてその向こうには……

『えっ。』

⏰:07/07/29 23:53 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#644 [向日葵]
なななんと……
あのターヤさんより遥かにでっかいお城が。

まるでディズ●ーキャッスル。もしくはシンデレラ城……。

その高層ビルより遥かに大きいお城の扉前に来た私は、開いた口が塞がらなかった。

ギ、ギィィィ

重たそうに木製の扉が開く。
中は更に凄かった。

どデカイシャンデリアに自分の姿が映りそうなくらいピカピカの大理石の床。

花々もお城のそこここに綺麗に咲いている。

『あー天国に着いちゃった……。』

⏰:07/07/29 23:58 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#645 [向日葵]
未だに現実だとわからない私の頭。
するとセツナがある女の子に私を渡した。

セツナ「そいつを風呂に入れてやれ。あと、服も焼き払って処分しろ。全部終わったら俺の部屋まで連れて来い。」

え?!またお風呂?!

蜜「え…、あの……っ。」

「心配ない。風呂、入るだけ。」

私を軽々と抱き上げている女の子は正にクールビューティ。
綺麗な顔に笑みを浮かべている。

⏰:07/07/30 00:03 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#646 [向日葵]
蜜「あ、あの……。」

ラフィーユ「ラフィーユだ。蜜乙女。」

蜜「ラフィーユ……。ありがとう。」

お礼を言うとラフィーユはニコッと笑った。

ラフィーユ「オウマ。一緒に来い。戸を開けろ。」

オウマ「あぁ〜?なぁんで俺が…。」

ツンツンした頭の男の子は文句を言いながら着いて来てくれた。
そして不思議そうに見る私と目を合わすと無邪気な笑顔を返してくれた。

⏰:07/07/30 00:06 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#647 [凉奈]
この小説大好きですx
セツナかっこいいです~
こっちまで恥ずかしくなります
頑張ってください|

⏰:07/07/30 00:06 📱:W51S 🆔:JEiTTNEo


#648 [向日葵]
涼奈さん

ありがとうございます感想板にも是非来てください

――――――――

オウマ「おっす!俺オウマ!!よろしくな蜜乙女!!」

と言うと私の頭をクシャクシャ撫でてきた。

私は力が抜けて顔がほころぶ。

蜜「ラフィーユ、オウマ、ありがとう…。私は蜜よ。」

二人共ニコリと笑ってくれた。
そしてお風呂場へ到着。

⏰:07/07/30 00:10 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#649 [向日葵]
ラフィーユ「お前は外にいろ。」

オウマ「当たり前だ!セツナに殺されるのはゴメンだぜ!!」

パタン……

まごまごしているとラフィーユがフッと笑った。

ラフィーユ「自由に使え。私は服持ってくる。」

と言って出て行ってしまった。

とりあえず……案内されたからには入らないと……ねぇ?
今日はよく入る……。

お風呂はなんと泡風呂。
プール並の広さの湯船からモコモコ出ている。

⏰:07/07/30 00:14 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#650 [向日葵]
いたれりつくせり……。
いつエンマ様と会うのかしら。……と頭が壊れかけていた。

・・・・・・・・・・・・・

泡風呂を堪能した私はラフィーユに着替えを手伝って貰った。
またもやドレス。……何故この世界ではドレスを着せたがるのか……。

ドレスは真っ白で膝丈。裾にはフリルが付いている。袖は半袖で、肩の辺りが軽くポワンと膨らんでいる。
そして靴は長いリボンが付いている。足に巻き付ける為の物らしい。

頭には、真っ赤なコサージュ。

⏰:07/07/30 00:18 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#651 [向日葵]
蜜「あの……そんなに着飾らなくても……。」

ラフィーユ「セツナの命だ。仕方ない。」

あー……それは仕方ないなぁ。
なんたって俺様節。
あれには勝てっこない。

……ん?

蜜「ラフィーユ。私天国にいるんじゃないの?」

いきなりヘンテコな質問をしたもんだからラフィーユが笑いを堪えて口元を手で隠す。

ラフィーユ「残念……ながら、まだ死んで、は、無いよ。」

⏰:07/07/30 00:25 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#652 [向日葵]
まぁなんと……。
携帯があればこの城内を写メで撮りまくりたいね。

ラフィーユ「出来たぞ。セツナの部屋まで案内する。」

―――ドクン…

急に胸が高鳴り始める。
これが現実だと知った今、セツナにやっと触れられると思うと胸がざわついた。

約一日しか会ってないだけなのに……。

広い階段を一歩ずつ上がりながらなんだか崩れてしまいそうになった。

なんだか前を歩くラフィーユが遠くにいるように感じる。

⏰:07/07/30 00:30 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#653 [向日葵]
そしてラフィーユの足がこれまたデカイ扉の前で止まった。

コンコン

ラフィーユ「セツナ。連れて来た。」

すると部屋の中からセツナの低い声が聞こえてきた。

セツナ「入れろ。」

ラフィーユは大きい扉を安々と片手で開けると私を中へと押し込み、扉を閉めた。

中は下を巻くほど綺麗かつ広い。

蜜「なんじゃこりゃ……。」

思わず呟いてしまった。
いやいやそれよりも……!!

私は頭を振った。

⏰:07/07/30 00:34 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#654 [ラナ]
<<525-<<700

⏰:07/07/30 00:35 📱:P901i 🆔:OZTHkyIA


#655 [ラナ]
失敗
>>525-700

⏰:07/07/30 00:38 📱:P901i 🆔:OZTHkyIA


#656 [向日葵]
窓側の椅子に何故か私に背を向けて座っているセツナ。

光に当たって黒い髪が綺麗に輝いている。
それをぼぅっとして見ていた。

蜜「……セツ……ナ?」

セツナは反応しない。
何でか分からず、私は一歩だけ進む。

『まさか……今度こそ私の浅はかさに怒り狂ってるんじゃあ……。』

そう思うとせっかくの再開が少し憂鬱になってきた。
その時、セツナがため息をついて椅子を立ち、私の方を向いた。

⏰:07/07/30 00:39 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#657 [向日葵]
ラナさん
安価どうもです

――――――――

セツナは苦しそうに椅子の背もたれを握りしめている。

どうしたんだろ……。

するとセツナは意を消した様にあっと言う間に私の前まで来た。

セツナの顔はまだ苦しそう……。

蜜「あの…、服ありがとうございました。とってもピッタシですよ。」

セツナが安心する様に笑顔で喋ってみた。

⏰:07/07/30 00:43 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#658 [向日葵]
グィッ! ギュウゥッ。

セツナが急に強く私を抱き締めた。

蜜「セツナ…っ。苦し……。」

セツナの背中をギブッ!!と叩いてみても力は緩まない。

セツナ「蜜…っ。」

搾り出すような悲痛な声に、私は胸がキュウッとなった。
待ち焦がれたセツナの体温が、今ここにある。

そう思うと急激に視界がボヤけた。

⏰:07/07/30 00:47 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#659 [向日葵]
蜜「セ、ツナァ……っ!」

私の声の変化に驚いてセツナは私の肩を持って引き剥がした。

セツナ「す、すまん。痛かったか?」

私は両手で顔を覆って首を横に振った。

セツナが心配そうに私を見ているのが見なくても分かる。
それが嬉しくて涙でボヤけてるのにセツナの顔を見ようとした。

セツナ「……蜜。泣くな。ゴメン。俺が守るって約束したのに怖い思いさせてしまった……。」

⏰:07/07/30 00:51 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#660 [向日葵]
そんなのどってことない。
だってセツナは助けに来てくれた。
それが何より嬉しくて……。

蜜「セツナ…。会いたかった……。」

名前を口にしたら更に涙が流れていった。

セツナは私の顔を両手で包んで涙を拭う様に瞼に唇を当てる。

あ……セツナの唇だ…。

私もセツナを確かめる様にセツナの顔を手で触れた。
セツナの頬、目、鼻、唇……。全てを指先でなぞった。

⏰:07/07/30 00:55 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#661 [向日葵]
いる…。
セツナが……。

それが嬉しくて、私は笑顔になる。

蜜「セツナだ……。」

一筋涙が流れたら、セツナの顔がちゃんと見れた。

セツナも笑っている。私の大好きなあの優しい目をして。

セツナ「あぁ。ここいる。いつだって絶対…側に……。」

私達は嬉しくて、何故かそれがくすぐったくて、オデコをくっつけて笑い合った。

⏰:07/07/30 00:59 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#662 [向日葵]
セツナが前に言ってた言葉。

[一秒たりともお前と離れるのは嫌だ。]

初めはそんな大袈裟なって思ってた。
離れてみて初めて分かる。セツナの言葉の意味。

私達は笑い合った後、またキツク抱き締め合った。

まるでさっきまで一緒にいれなかった分を取り戻すかの様に……。

私達の絆を確かめる方法……。こんな簡単に出来るんだ……。

⏰:07/07/30 01:05 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#663 [向日葵]
チャプター13:久々の平和





光が顔に当たる。
朝だ……。起きて学校行かなきゃ…。

意識を現実に近付けると枕なのに固く、それでいて温かい物が頭の下にあることに気付く。

『何…?コレ……。』

目をゆっくり開けると

蜜「っ?!」

セツナ「起きたか?」

⏰:07/07/30 01:09 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#664 [向日葵]
目の前には胸元まで開けられた白いシャツと肌。
更に上を少し向くとセツナの顔がドアップ。

蜜「セツナ……。あれ?学校……。」

セツナが眉を寄せる。

セツナ「何を言ってる。お前昨日までのこと覚えとらんのか。」

……昨日…。

――――ハァッ!!

とっさにセツナを見つめて顔に触れる。
セツナはその手を握って優しい微笑みを返してくれた。

⏰:07/07/30 01:12 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#665 [向日葵]
セツナ「大丈夫……。」

そうだ昨日は……。セツナが助けに来てくれて……。

セツナ「寝不足か知らんがよく寝ていたな。もう昼前だ。」

蜜「昼?!あーどうしよ!!学校!いやその前に助けてくれた皆さんにご挨拶っ?!いや違うえっと……!!」

ベッドの上をゴロゴロ転がってるとセツナは大笑いした。

セツナ「流石蜜だ!そーゆー事言うと思ったよ。」

あ、今気付いた。
頭の下の物はセツナの腕だ。

⏰:07/07/30 01:17 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#666 [向日葵]
その腕が私の頭を引き寄せてギュッと優しく抱き締める。

セツナ「そんな事よりまだこのままでいいだろ?」

と言いながら頭に唇を押しつける。

あぁ…。いつもの日常だ……。
ぼんやりと考えながら私はセツナの体温に身を寄せた。

肌が間近くにあるのは心臓に悪いけど……。

セツナの唇がゆっくりと下へ降りてくる。
オデコ、瞼、頬。
……そして…

⏰:07/07/30 01:22 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#667 [向日葵]
唇に来る前に腕枕を外し、フカフカの枕に私の頭を沈めた。

そして軽く覆い被さって、両腕は私の顔の横に置いた。

心臓が苦しいくらいに脈打つ。久しぶりだから?
そういえば昨日はしてない……。

いやおかしいおかしい。
それはただの欲求不満だよ。

と心の中でツッコミをいれながら、セツナに言った。

蜜「ちょーっと心の準備をさせて下さいー?」

⏰:07/07/30 01:26 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#668 [向日葵]
セツナは色気のある顔で微笑むとどうぞと言った。

私は何度か深呼吸をした。

……。準備はまぁ…出来たけど、どうやってセツナに言えばいいかしら……。

オッケィ!!って言うのもおかしいし……。どんだけ元気だよ。

するとセツナが片方の手で優しく頬に触れる。
それだけで甘い雰囲気にスイッチが押された。

セツナ「準備はいいか……?」

蜜「…。」

⏰:07/07/30 01:30 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#669 [向日葵]
セツナは少し顔を近付けてもう一度聞く。

セツナ「いい…?」

出た!魅惑の声。
聞いてるだけで溶けそうだ…。

「いい」と言葉にするのが恥ずかしくて私は小さく頷いた。

セツナの顔が、より一層色気を増す。

セツナ「喋るなよ。」

っとイタズラっぽく言うと静かに唇を重ねてきた。

『頭……ぼーっとする……。』

⏰:07/07/30 01:33 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#670 [向日葵]
私には珍しく、セツナのキスに答えてしまった。

それに気付いたセツナはさっきよりも激しく唇を重ねる。

そして……

蜜「……っ。」

私の口の中にセツナの舌が入ってくる。
容赦なく、だけどどこか優しく私の口内を荒らす。

『息……出来ない……。』

私は苦しくて思わずセツナの襟元をギュッと掴んでしまった。
これが逆効果……。

⏰:07/07/30 01:37 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#671 [向日葵]
セツナの舌がより奥へ入り込む。

蜜「んむ…っ。は、ぁ……。ハァ…。」

ようやく唇が離れた時には体温が二度ほど上がったのか軽く汗ばんだ。

しかしセツナは……。

蜜「ふぇ…っ!」

首筋に唇を押しつける。
そして鎖骨へ……。背中に手を回すとドレスのチャックをゆっくり下ろす。

蜜「セツナセツナセツナセツナ!!!!おかしい!それはおかしいって!!」

セツナ「おかしくはないだろう。お前から誘ったんだ。文句はあるまい。」

⏰:07/07/30 01:43 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#672 [向日葵]
誘っ……?!
もしかして襟元を掴んじゃったから?!

蜜「違う!あれは息が苦しくて……っ!」

セツナ「へーぇ。」

興味なさそうに呟くとチャックは遂に完全に下まで降ろされた。

蜜「ちょ、ちょっとストップセツナぁぁ!!」

オウマ「ウイーッスセツナァァ!そろそろ起きろ…。……あ。」

ストップをかけたと同時にバァンと大きな音を立ててオウマ君が部屋へ登場。

⏰:07/07/30 01:47 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#673 [向日葵]
しかし目の前に広がるはセツナと私の正にそんなシーン。

私の髪の毛とドレスは若干乱れてるわ、セツナは被さってる上に服は胸元まで開いてるわ、私は半泣きだわ……。

オウマ「おーっとぉ……。ゴメン!邪魔した!」

バタン!!

邪魔してくれてありがとうございました……。
おかげでセツナの私に対する欲は抑えられたみたいです……。

セツナはベッドから降りると豪快にシャツを脱ぎ捨てた。

⏰:07/07/30 01:52 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#674 [向日葵]
蜜「どぅわぁぁぁっ!!何しくさってんですかぁ!!」

セツナ「馬鹿。只の着替だ。オウマのせいで気がそれた。」

オウマ様ありがとう(感涙)

よく見ると私達がいたベッドはとてつもなくデカイ……。裕に15〜20人は寝転べそう。
なんか無駄な広さ……。

コンコン

ノックが聞こえて急いで布団を被る。

ラフィーユ「セツナ。起きたか?」

セツナ「オウマの馬鹿のせいで目覚めが悪い。」

⏰:07/07/30 01:57 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#675 [向日葵]
セツナはいつの間にか襟の高い濃い灰色の服を着ていた。

ラフィーユ「すまない。後で注意する。蜜。着替え、手伝う。」

蜜「え、あ、ありがとう…。」

布団を被ったまま、セツナの部屋の隅まで連れていかれる。

今日は何故か人間界でも着れそうな服だった。
白地に青いストライプの入ったシャツに、紺色のカーディガンを羽織る。
前はボタンじゃなく紐で蝶々結びをする。

それに膝より少し長い黒のスカート。

⏰:07/07/30 02:04 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#676 [向日葵]
靴はブーツだ。

何故こんな感じのを昨日着せてくれなかったんだろうと少し疑問がよぎる。

そして何故か髪の毛をくくられた。
顔の横にある部分だけを三つ編みにされた。

しかし……。

人間界では少し早い春の服装に比べてラフィーユはノースリーブのカッターを長くした様な上に黒い半端デニム……。

季節がバラバラですけど……。

ラフィーユ「よしいいぞ。ではまたな。」

と言って長い髪から良い香りを漂わせながらラフィーユは去っていった。

⏰:07/07/30 02:09 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#677 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/30 02:09 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#678 [向日葵]
なお、感想などを頂けるのは大変嬉しいのですが、読みにくいとのお声があったのでお手数ですが感想板までお願いしますm(__)m

⏰:07/07/30 02:10 📱:SO903i 🆔:bYIMQhCc


#679 [にゃ]
>>500-700

⏰:07/07/30 20:43 📱:P904i 🆔:Yw84T./k


#680 [あキ]
あげます

⏰:07/07/30 23:37 📱:SH902i 🆔:AZJQKrXo


#681 [向日葵]
にゃさん
安価ありがとうございました

あキさん
あげありがとうございました

――――――――

私は自分の三つ編みされた髪の毛を持って見つめる。

蜜「私もあんな髪の毛だったらなぁ―……。」

ぽつりと呟くとすぐ側までセツナが来ていた。

セツナ「充分綺麗じゃないか。」

黒髪日本一……いや地球一……いいすぎ?
世界一(下げた)の貴方にはわかりますまい……。

⏰:07/07/31 00:14 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#682 [向日葵]
と言う意味を込めてジトッとセツナを見上げた。

セツナは私の顔を両手で包んだ。

え?!今度は誘ってない自信大有りだよ?!

しかし私の予想は違った。
セツナは指先で私の頬を摘むと伸びる限り横にグニィーッと引っ張った。

蜜「ひばばばば!ふぁんふぇふふぁー!!」

ちなみに「いたたたた!何ですかぁー!!」……っと言ってます。

セツナ「なんか気に入らなかったから。お仕置き。」

それだけ言うとセツナはパッと手を離した。
私のほっぺたは元の形に戻ろうとする。

⏰:07/07/31 00:20 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#683 [向日葵]
私は両手で引っ張られた所を擦る。

蜜「別に捻んなくても…痛いし…絶対赤くなってるし……。」

ブツクサ小声で文句を言うとセツナは私の頭をワシッと掴んで上を向かせた。

蜜「あー痛い。」

半目をして嫌味ったらしくセツナに言ってやった。
セツナはククッと笑う。

セツナ「今の顔、すっごい不細工だぞ…っ。」

んなっ!!
私の顔が怒りで真っ赤になる。

⏰:07/07/31 00:24 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#684 [向日葵]
蜜「ひどい!」

私は扉まで大股で行き、力任せに足を鳴らした。

セツナが絶対来ると思ったのに来ない。
そうやって期待してた自分も腹立つ―――っっ!!!!

心の中で頭をガシガシかきながら扉の取っ手に手をかける。

カチャ



カチャカチャ

??

蜜「ぬ、ぬぅー……っあ!!」

⏰:07/07/31 00:28 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#685 [向日葵]
え?

蜜「開かない…。」

いや違う。開けることが出来ない。
扉がものっそ重い……。

え?だってオウマ君やあのほっそーいラフィーユだって軽々開けて……。

セツナ「お前なんかじゃ開かないぞ。俺達はお前の何百倍も力があるんだからな。」

つまりラフィーユは力持ちさん。
キャア☆素敵!
……って馬鹿!!

セツナ「出て行かないのか?」

振り向かなくてもセツナがニヤニヤしながら私を見ているのは分かる。

⏰:07/07/31 00:33 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#686 [向日葵]
むっきぃぃぃぃ!!!!

蜜「ラフィーユ!!そこにいませんかぁぁ!!!!」

っている訳

カチャ

ラフィーユ「何だ?」

あった。

蜜「良かった!!扉が開かなくて困ってたの。」

ラフィーユはキョトンとして私を見つめた。

セツナ「セツナ、いるじゃないか。」

私は振り向かず嫌味を言ってやった。

蜜「意地悪セツナは頼んでも何もしてくれませんから!」

⏰:07/07/31 00:37 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#687 [向日葵]
と言ってラフィーユが開けてくれたドアの隙間からするりと抜けて私はセツナの部屋を出た。

ラフィーユ「あまりいじめる、良くない。」

セツナはクスッと笑う。

セツナ「最高の愛情表現をしてやってるだけだ。」

セツナも部屋を出た。

・・・・・・・・・・・・・

オウマ「あ!蜜!!」

オウマ君は私を見つけるなりすっ飛んで来た。

オウマ「さっきはお楽しみ中ゴメン!!」

声がデカ――――イ!!!!

蜜「いや、うん。別に気にしてないし……大丈夫!」

⏰:07/07/31 00:42 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#688 [向日葵]
オウマ君はニカァッと笑うと私の手を握った。

オウマ「お詫びに外の花畑案内するぜ!!ひゃっほぉ〜い♪」

楽しそうに駆け出すと、スピードを増し、そして!

オウマ「ほぅら…ぃよ!!」

蜜「ギャァァ!!」

なんと片手だけで空に放り投げられた。

ボスッ

オウマ「おぅさ!!」

⏰:07/07/31 00:45 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#689 [向日葵]
受け止められてお姫様抱っこをされた。

オウマ「イッ…エ―――――イ♪!!!!」

ズガァン!!

オウマ君は蹴ってお城のドアを開けてしまった。
元気と乱暴者ってなんか紙一重の気がする。

下へ近づいていくと正に花畑。
水平線とかじゃなくと花平線……。

オウマ「この蜜吸ってみろ!」

差し出されたのはピンク色の掌くらいの可愛い花。

⏰:07/07/31 00:50 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#690 [向日葵]
蜜「……。どうやって?」

オウマ君は花を裏返す。
するとちゃんと穴が開いていた。

オウマ「そっから!」

口を付けて少し吸ってみた。

……!甘い!!

蜜「わー!美味しい!!」

オウマ「だろ?!俺のお気に入りなんだ!!」

オウマ君はずっとニコニコ私に笑いかけてくれるものだから私も思わず顔が綻ぶ。

蜜「お花、勝手に摘んでもいいですか?」

オウマ「あぁ!好きなだけ!」

⏰:07/07/31 00:55 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#691 [向日葵]
そう言うとオウマ君は少し飛んで自分の好きな花を集めだした。

私は花を摘んで冠でも作ろうかな。

それにしても色とりどり……。

しかも全部見た事が無い。もしかしたら黒蝶族の為だけにある花なのかもしれない。

蜜「サクッと〜サクッと〜♪」

冠を作りながら意味の分からない歌を歌う。

私の行動に気付いたオウマ君は興味津々に私の近くで冠作りを見る。

⏰:07/07/31 01:00 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#692 [向日葵]
オウマ「すっげぇ!輪っかになってる!お前マジシャンか?!」

蜜「へ?」

あまりに目を輝かせて子供みたいに見つめてくるもんだから思わず笑ってしまった。

蜜「待ってね…。もうすぐ出来るから。」

オウマ君はウン!!っと元気よく頷いてまた私の手先を真剣に見始める。

―――2分後

蜜「ハイ。出来ましたよー。」

オウマ「すっげ!すっげ!すっげぇ!!」

そんなに凄くはないけど……。
まぁこの人達にとったら食料でしかなかったもんね……。

⏰:07/07/31 01:04 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#693 [向日葵]
蜜「ハイ。どうぞ。」

オウマ「くれるのか?!」

蜜「お花畑のお礼です。」

オウマ「ィエーイ!!皆に見せてこよっ♪!!」

早っ!

オウマ君はびっくりするくらい早くお城に戻って行った。

私はそれを見送ってまた花冠を作り始めた。
大きいのでも作ろうかなぁ〜。

私も少し浮かれていた。

蜜「…っ!イタタ…。」

草で指を軽く切ってしまった。これがまた地味に痛い。

⏰:07/07/31 01:10 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#694 [向日葵]
口に入れて消毒。
鉄の味が広がる。

蜜「おーえー…。」

持っていた花を口に付けて蜜を吸った。

甘い……。とまったりしたところでまた冠作り再開。

しばらくすると後ろから声がした。

セツナ「ほう。器用だな。」

蜜「あ、セツナ。器用ですか?さっきオウマ君も凄く喜んで…。」

―――ハッ!!

いけない。何和んでる私!さっきセツナに「不細工発言」されたじゃない!!

いや、別に可愛いくもないけど。

⏰:07/07/31 01:16 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#695 [向日葵]
私はプイッと冠に目を向けた。
セツナは後ろでクスクス笑っている。

セツナ「何?怒ってるのか?」

ハイ無視!!

もくもくと花を輪っかにしていく。

セツナ「冗談を言っただけだろ?蜜が不細工なんてあり得るか。」

知るか!!
と口の中で悪態づく。
ってかなんでアンタ若干ふんぞり返ってる口調なんだよ!!

しばし無言。
するとカサカサ音を立ててセツナが私の背後に座る。

⏰:07/07/31 01:24 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#696 [向日葵]
セツナは私ね髪を一束持ってツンツン引っ張った。

セツナ「みーいーつ。」

蜜「痛いから辞めてください。」

セツナ「喋れるんなら口をきいたらどうだ。」

黙れぇぇ!!
女の子はちょっとした事でも傷つきやすいガラスハートなんだそぉぉ!!

もうすぎ冠完成。
最後の花を摘もうとした時だった。

キュッ……。

蜜「あ……。」

⏰:07/07/31 01:28 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#697 [向日葵]
セツナが後ろから抱き締めてきた。
私を足で挟む様にして座り、私はすっかりセツナで包まれてしまった。

セツナ「機嫌直してくれないか?」

プーイ。いずれ負けると思うけど一応勝負!

蜜「オウマ君がせっかく連れてきてくれて機嫌直ったのにセツナが来たせいでまた悪くなりました。」

すると顔を掴まれて無理矢理セツナの方を向かされ、出来上がり直前の冠は地面に落ちてしまった。

セツナ「どの口が言ってる?」

⏰:07/07/31 01:32 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#698 [向日葵]
目を見ると怒っているのが分かった。

しまった……勘に触っちゃったかぁ…。やりすぎた。

まぁ、でもほっといてみよう…。
もしかしたら初勝利になるかもよ?!

蜜「元凶はセツナでしょ?なら、誠心誠意を込めて謝ってくれてもいいじゃないですかっ。」

セツナは眉を寄せて私の顔を解放した。

おっ。勝った?勝った?

私はまた冠を取って冠を完成させた。

⏰:07/07/31 01:36 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#699 [向日葵]
蜜「でーきー…たっ?!」

後ろに引力。
もといセツナがまた抱き締める。

そして唇を耳に押し付けた。

セツナ「ゴメン…。許してくれないか……?」

――ドクン……

卑怯だぁ…。その魅惑の低い声に私は弱いのにぃ……。

セツナ「蜜…?」

蜜「や…っ、耳元で喋らないで下さいよ…っ!!」

セツナはそれでも容赦なく囁いてくる。

⏰:07/07/31 01:41 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#700 [向日葵]
セツナ「許してくれるか…?」

ハイー白旗……。
せっかく勝ったと思ったねに…残念だぁぁ……。

蜜「わかりましたって!!許しますから少し離れて下さい!!」

セツナは腕をとっただけで距離は変わらない。

蜜「ハイ!仲直りの印にセツナにも花冠あげます!!」

と言ってセツナの頭に花冠を乗せてあげる。

セツナ「“も”って…。俺の他誰にやったんだ?」

蜜「え?オウマ君。」

⏰:07/07/31 01:48 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#701 [向日葵]
するとセツナはため息を吐いてそっぽを向く。

セツナ「……なんだ。俺は二番手か。」

私は瞬きを2、3回パチパチとした。

セツナ……もしかして……。

蜜「焼きもち焼いてます……?」

さっきからオウマ君の名前を出すと不機嫌になるのって、仲良くしてたから焼きもち焼いてるの?

セツナはそっぽを向いたまま膝に頬杖をついて目を瞑る。

セツナ「当たり前だろっ!」

⏰:07/07/31 01:55 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#702 [向日葵]
ここまではっきり焼きもち宣言した人初めて……。

驚きと同時に胸の奥がキュウッと締まる。
嬉しい……。

私はセツナの腕をぐらぐら揺らす。
怒りをやり過ごそうとしていたセツナはコメカミに青筋を立てた。

セツナ「っんなんだ!」

蜜「まったく。焼きもちを妬かなくてもいいと前に言ったでしょう。」

セツナ「仕方ないだろっ!!お前がそれだけ好きなんだよ!!」

びっくりした。いきなり告白された。

⏰:07/07/31 02:01 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#703 [向日葵]
私はなんだか可笑しくなって静かに笑った。
するとセツナは半目にして私を睨む。

セツナ「…オイ。ここで笑うのはおかしいだろ。」

蜜「フハハッ!だって、嬉しいですもん…。」

セツナの目が私の目を捕らえ、見つめる。
そして三つ編みに手を伸ばす。

セツナ「こうしてるのも可愛らしいな…。」

蜜「不細工じゃなかったんですか?」

セツナ「冗談だと言ったハズだ。」

セツナの目に険が帯びる。

⏰:07/07/31 02:06 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#704 [向日葵]
私はまたクスクス笑った。

セツナは私のオデコの髪をかきあげ唇を押し付けた。

セツナ「もう絶対言わない。可愛いお前にはいらない言葉だな。」

蜜「いやそれはないですけど…。」

セツナは私の顎を持ってクイッと上を向かせる。

セツナ「オウマに沢山触れられていたな。」

蜜「あまりですよ?それも嫌ですか?」

セツナ「馬鹿か。当たり前に決まってるだろ。」

⏰:07/07/31 02:12 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#705 [向日葵]
ダメだ。
今日のセツナはなんだか

蜜「可愛い……。」

と言って私は自ら唇を当ててしまった。
セツナも不意をつかれて少し驚いてたけど、すぐに私を抱き締めて唇を重ね、激しくする。

いつの間にか、舌が絡み合っていた。
自分でも驚くほどキスに集中していたらしい。

それはきっとセツナの可愛らしさを見てしまったからだ。

蜜「ふ……。はぁ…。」

セツナ「蜜も大分上手くなったな…。」

⏰:07/07/31 02:19 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#706 [向日葵]
ニヤリと笑うセツナを横目に、息を整える為セツナね胸に寄りかかる。

そんな私の背中をセツナは子供をあやす様にポンッ、ポンッと叩いてくれる。
それがまた心地いい。

セツナの体温に身を任せているとセツナが聞いてきた。

セツナ「なぁ蜜。俺はいつお前に手を出していいんだ?」

私は思わずチョップしてしまった。

セツナ「な、何をする!!」

蜜「せぇーっかく安心して心地よかったのにぃ!!頭はそればっかですか?!」

⏰:07/07/31 02:26 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#707 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/31 02:27 📱:SO903i 🆔:2vuVxr6U


#708 [ハナ]
ぁげます
頑張って下さい

⏰:07/08/01 22:24 📱:F904i 🆔:rLY7HACI


#709 [向日葵]
ハナさん

ありがとうございます

⏰:07/08/02 00:36 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#710 [向日葵]
セツナ「お前は俺の理性を買い被ってないか?」

蜜「んな事ないですよ。今朝襲ったくせに。」

と言って私はそこら辺の花を一本取って蜜を吸った。

ここの花の蜜はどれもおいしい……なぁー……。

――――――

さて、ここからは俺様、セツナが話を進めていこう。
何故かって?話を続ければ分かるさ。

セツナ「前も言ったハズだ。距離を縮めたいと。なのにお前から誘う割りに待てはかかる邪魔は入る!俺はもう限界が来てるんだ!!」

⏰:07/08/02 00:41 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#711 [向日葵]
蜜は背中を向けたまま俺の話に反応しない。

セツナ「聞いてるのか?蜜。」

すると

蜜「フフ、フフフ……。」

いきなり蜜が不気味に笑いだした。
と思ったら。

蜜「セェーツュナァー♪」

目をトロンとさせて頬を紅潮し、オマケにろれつが回ってない。

セツナ「蜜?!」

蜜は俺に抱きつく。

⏰:07/08/02 00:44 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#712 [向日葵]
蜜「フフセッチュナァ♪」

セツナ「おいお前…、まさか……。」

ちらりと蜜の足元を見ると……やっぱり…。
コイツが今吸った花は酒の花だ。

つまり俺が話を進めなければいけない理由がこれな訳だ。

セツナ「酒……弱すぎだろ……。」

蜜「ん〜?なぁ〜にっ??」
至近距離で小首を傾げて俺を見つめる。
ダメだ……。とりあえず一旦戻ろう。

⏰:07/08/02 00:48 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#713 [向日葵]
蜜を担ぎ、超特急で城へ戻る。
蜜は俺の首に腕を巻き付け、甘える様に頭を擦りつける。

可愛いは可愛いがいささか困ったものだ……。
コイツは酔うと甘え上戸になるらしい。

ギギィィィィ……

セツナ「ラフィーユ。」

ラフィーユはすぐに俺の側へやってきた。

ラフィーユ「何。セツナ。」

俺は蜜をラフィーユに差し出した。

⏰:07/08/02 00:52 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#714 [向日葵]
セツナ「コイツを風呂に入れて酒を抜いてやってくれ。」

蜜「何故酒、飲んでる。」

セツナ「勝手に飲んだんだ。」

ラフィーユは蜜を受け取ろうとした。―――が。

蜜「んーん!!いぃや!!セツナと離れちゃくにやぁいっ!!」

と言って俺にきつく抱きつく。
ラフィーユは眉を寄せて「どうすんだ。」と言った風な目を向けてくる。

俺は困り果てて大きく息を吸い、吐いた。

⏰:07/08/02 00:58 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#715 [向日葵]
セツナ「やっぱり…部屋へ連れていく…。」

ラフィーユは無言で頷くと、静かに何処かへ消えた。
蜜は安心したのかまた俺に甘えてくる。

扉を開け、蜜をベッドに寝かせ、俺はその傍らに座り一息つく。

蜜「んー……。暑い!!」

セツナ「は?」

と後ろを向くと

ポイッ

蜜はブーツを脱ぎ捨てる。
……ちょっと待て…。もしやお前……。

⏰:07/08/02 01:05 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#716 [向日葵]
俺の予想は正しく、蜜は服を脱ごうとしていた。

セツナ「ば……っ馬鹿!脱ぐな!!」

俺は蜜の手を掴んで脱ぐのを辞めさせた。
すると蜜は俺を見てヘニャァと笑う。

蜜「セツナ。しゅき!」

と言って唇を重ねる。

お……前はなぁー……。

無理矢理蜜を離すと蜜は不思議そうに見つめてくる。
蜜「どして?」

どうして、って……。そんな顔でそんな事言われてくちづけされたらいくら何でもなぁ。

⏰:07/08/02 01:12 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#717 [向日葵]
無言で蜜を見ていると、蜜が目に涙を溜め始めた。

蜜「……嫌いに…なっちゃった…?私が……子供だから?」

あー…。もう……違うって。
俺は頭を抱えた。
どうしたらいいか…。

セツナ「そうじゃない。ただ今の状態だったら俺が堪えられないんだ。」

しかし蜜は俺の話なんか聞かず、距離を縮める。

蜜「好き…。セツナ。」

もー……無理。

ボスッ!

⏰:07/08/02 01:19 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#718 [向日葵]
俺は蜜を押し倒して深くくちづけした。

蜜も酒のせいでくちづけに答える。
そして唇を首筋に滑らせ、服のボタンを1個外す。

すると蜜が俺の頭を抱き締めて囁いた。

蜜「大好き……。」

とだけ言って、手がパタリとベッドに落ちる。

セツナ「…ん?蜜……?」
蜜「スー…。スー…。」

セツナ「コイツ…。寝やがった…っ!」

蜜の顔の横に自分の顔を沈めて俺は脱力した。

⏰:07/08/02 01:25 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#719 [向日葵]
蜜「スー…。」

俺は身を起こして蜜の寝顔を見つめる。

まぁ……。実は熟してからって言うからな。
もうしばらく待つさ…。

セツナ「だが酒は絶対飲ません。あと……」

蜜に覆い被さる。

セツナ「おあずけ食らわされた罰だ……。」

と言って首筋に2箇所、鎖骨辺りに1箇所、胸元辺りに2箇所。“証”をつけてやった。

蜜の白い肌に赤い痕がつく。

⏰:07/08/02 01:33 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#720 [向日葵]
セツナ「フッ。ざまぁみろ。」

起きて驚くがいい。
これくらいしたって罰は当たるまい。

気持ちよささうに寝る蜜に布団をかけてやって、額の髪の毛を撫でた。

思わず、笑みが溢れた。
額に唇を押しつける。

そして横に寝転び、俺も目を閉じた……。

⏰:07/08/02 01:38 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#721 [向日葵]
チャプター14:行方






蜜「ぶわぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

と言う訳でお早うございます。そしてこんばんわ。

それは起きてなんとなく見た。時の事でした。

蜜「え!え!!ええっ?!」

体に複数の“証”。
って言うか花畑から何故いきなりベッドの上?!

セツナ「なんだ騒がしい。」

頭が若干濡れてるセツナが扉の向こうから登場した。

⏰:07/08/02 01:49 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#722 [向日葵]
セツナに詰めよって首筋の“証”を見せ付ける。

蜜「な…っ!これ、どっ!!」

セツナ「見ての通りだが?」

首を傾げると、セツナの髪の毛から水滴が垂れる。

蜜「なんで?!どうして!!」

セツナ「気にしなくてもお前が想像している様な事はしてない。」

と言って窓側の椅子に頭を拭きながら座る。
とりあえず胸を撫で降ろす。

⏰:07/08/02 01:58 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#723 [向日葵]
セツナが後ろで笑ってるのが聞こえた。

セツナ「期待通りにすれば良かったか?」

頭にタオルを乗せて、タオルの隙間から私を垣間見る。

蜜「結構です…。――うわっ!」

いつの間にかセツナは背後に立っていて、抱き上げられた。

セツナ「さぁ。寝るぞ。」

蜜「私ついさっき寝てたんですけど。」

セツナ「俺も眠くない。布団の中で語ろうじゃないか。」

⏰:07/08/02 02:05 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#724 [向日葵]
強制的に布団を被せられて、セツナは私に身を寄せて布団の中に潜る。

蜜「頭乾かしてくださいよ。風邪ひきますよ?」

セツナ「そんな柔わじゃない。」

と言って私の頭の下に腕を入れて更に身を寄せて来る。
ドキドキ胸が高鳴って仕方がない。

蜜「私いつ家に帰れるんですか?」

セツナ「どうせ春休みじゃないか。ならいいだろ。」

蜜「やっぱり落ち着きませんもん。あ!ってか私お風呂入ってない!!セツナ離れて!」

⏰:07/08/02 02:26 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#725 [向日葵]
でもセツナは離れてはくれない。
それどころかもう片方の腕できつく抱き締めてくる。

セツナ「そんな事しなくてもお前はいつだって芳しい。」

……。

蜜「なんか微妙。それって貴方の食欲面についてですよね?」

セツナはクスッと笑うと唇をオデコに押し当てる。

あ、かわされた。
分かった分かった。話を変えればいいんでしょ?

蜜「ここの皆さんはいい人ばっかりですね。ラフィーユにオウマ君、シオイさん……。」

そこで口を閉じた。

⏰:07/08/02 02:30 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#726 [向日葵]
セツナ「?…蜜?」

そういえば…ルキはどうしたんだろう。
確か助けてくれた時にはいたと思う。

だけどそれからは全然見ない。
それはおかしい。

蜜「セツナ…。ルキは…?」

セツナの腕がピクリと反応する。
セツナは私の目を捕らえる。

セツナ「罰として……監禁されてる。」

蜜「監禁?!」

セツナ「罰は元々受けなければならなかった。蜘蛛族と手を組み、あんな事をしたのだから。」

⏰:07/08/02 02:36 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#727 [向日葵]
蜜「でも……っ罰は与えにくいって前……。」

セツナの目が、厳しさを増す。

セツナ「それは蜘蛛族の場合だ。ルキは身内。ならば罰は執行される。」

蜜「監禁されたら蜜を吸えなくなるんじゃ……。」

セツナは小さく頷いた。
つまりそれって……餓死させる気……?

蜜「死なせるなんて…っそんなの駄目!お願い!助けてあげて!!」

私はセツナの胸元のシャツをギュッと握って必死に頼んだ。

⏰:07/08/02 02:40 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#728 [向日葵]
セツナ「あんな目にあったのに何を言ってる。」

蜜「でも……っ。」

セツナ「もう嫌なんだ。自分のふがいなさのせいでお前が泣く姿を見るのは……。」

セツナの顔が悲しみで歪む。
セツナは抱き締めていた手を私の顔に触れる。

蜜「セツナ…。」

私はその上から手を乗せた。

蜜「でもね?セツナ…。私だけ生きて、顔見知りの相手が死ぬのなんて嫌だ。」

セツナ「当然の報いだろ。」

⏰:07/08/02 02:45 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#729 [向日葵]
蜜「私ずっと考えてた……。歪みあうんじゃなくて、なんで仲直りをしないのかって。」

セツナは不思議そうに眉を寄せる。
私は続ける。

蜜「ターヤさんとの事だって話合えば済みそうだし、お互い分かり合う努力も必要だと思うんです。どうです?」

セツナ「あのなぁ蜜よ。それが出来てたらしてるさ。」

蜜「と言うことはしてないんでしょ?」

セツナはため息を吐いた。吐息が髪の毛を撫でる。

⏰:07/08/02 02:51 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#730 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/02 02:52 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#731 [向日葵]
セツナ「お前はどこまで平和主義なんだ。」

蜜「……だって。」

私はセツナに背中を向けた。
広いベッドの真ん中。

寄り添って寝なくても広々と使えばいいのに。とか思うけど、背後から感じられる体温の主には敵いっこないわけで……。

私ってこんな甘い雰囲気醸しだすキャラだっけかぁ〜……?

そっぽを向いた私をセツナは後ろから抱き締める。
優しく力強い腕……。

セツナ「じゃあ明日…父上に会ってみるか?」

……え?

⏰:07/08/02 23:31 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#732 [向日葵]
セツナは腕の中で私が固まるのが分かったのか、少し被さって私の顔を覗く。

セツナ「何か支障があるか?」

蜜「や、そーゆーんじゃなうてですね……。」

気分はなんかこー……彼氏の親に結婚のご挨拶ー!……みたいな感じで…。

と考えながら広いベッドの端を目指してゴロゴロ転がっていく。

セツナ「おーい。どこ行く。」

そういえば……そういえばだよ!!
私助けてもらったのにご挨拶しなくて「なんて恩知らず」だなんて思われてたらどーしよー!!

⏰:07/08/02 23:38 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#733 [ラナ]
>>680-700

⏰:07/08/02 23:40 📱:P901i 🆔:Bbdarc8c


#734 [ラナ]
>>680-750

⏰:07/08/02 23:41 📱:P901i 🆔:Bbdarc8c


#735 [向日葵]
待て!落ち着け私!!
まだセツナと結婚するって決めた訳じゃないっ!!

なら普通に助けてもらったお礼も兼ねて交流を深めようと言う事で……。
題しまして……「セツナのお父さんと仲良くなろうではないか大会―――!!(出場蜜のみ)」

セツナ「オイ。」

少し離れた為遠くなったセツナがイライラしながら私を呼ぶ。
とりあえず膝立ちでセツナの元へ。

蜜「すいません。少し葛藤を繰り広げて…。」

セツナ「あそ。で父上と会う?会わない?」

⏰:07/08/02 23:43 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#736 [向日葵]
ラナさん
安価ありがとうございました

――――――――

蜜「もち!会いますっ。ご挨拶しませんでしたし。」

セツナは微笑んで私を見つめる。
思わずドキッとして、視線をさ迷わせた。

蜜「じゃ…おやすみ…なさい。」

私は自分からセツナにくっつくのがなんだか恥ずかしくて、少し離れた所で寝転んだ。

セツナ「何故遠い。」

蜜「い、いや、その。広いからもったいないなぁーみたいな…。」

⏰:07/08/02 23:47 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#737 [向日葵]
セツナはふぅんと言って天井を向くと静かに目を閉じた。

『あれ?あれれれれ?』

くっついて……来ないの?

しばらくするとセツナは寝息をたて始めた。

なぁんだ……。
私は体をイモムシみたいに動かしてセツナにくっついた。

蜜「……。眠くないって言った癖に…。」

セツナ「あぁ眠くないが?」

蜜「っっ?!」

⏰:07/08/02 23:51 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#738 [向日葵]
セツナは私を腕で拘束する。

蜜「ね、ねね寝たんじゃ……っ!!」

セツナ「ククク…。蜜から来るのを待ってただけさ。俺ばかり行くのは不公平だと思ってなぁ。」

いっっやらしぃ……っ!
頭上からクククと笑い声が聞こえてくる。
それが体内に響いているのか、私の耳に密着して当たっている胸元からも聞こえた。

そして、心臓の音も……。

セツナ「随分大人しくなったな。文句攻めは終りか?」

⏰:07/08/02 23:56 📱:SO903i 🆔:fFIj0jDE


#739 [向日葵]
蜜「シー…。聞いてるんです。」

セツナは腕を緩めて体を少しずらし、私と目線を合わす。

セツナ「何を?」

蜜「セツナの心音…。人って、心音聞くと安らぐって言うじゃないですか?だから……安らいでたんです。」

暗闇の中でも感じるセツナの優しい眼差し……。
セツナは私がこーゆー事を言うといつもそうする。

それがまた好きの要素になる……。

セツナ「……蜜のを聞いてもいいか?」

⏰:07/08/03 00:01 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#740 [向日葵]
蜜「……。貧相な胸に頭乗せてもクッションにはなりませんよ?」

セツナは声を上げて笑う。そして身を少し起こした。

私は聞きやすい様に上を向く。
するとゆっくりセツナが近づいてきた。
心臓が早く動きだす。

そしてセツナの頭が胸元に触れた時、少しピクッと動いてしまった。
セツナは体重をかけない様に気を使って腕を支えにしていた。

セツナ「へー……。」

初めて聞くのか、セツナは面白そうにそう呟いた。

⏰:07/08/03 00:05 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#741 [向日葵]
セツナ「確かに…いいな……。」

セツナは顔を離して私の顔の真上に来る。

蜜「赤ちゃんってお母さんの心音聞くと安心して寝ちゃうらしいですよ。」

セツナ「俺は赤子か。」

フフと笑うと、またセツナの優しい眼差しが向けられる。
頬の体温が上昇して、頭がぼうっとなるのが分かる。

セツナ「じゃあお前は俺の心音を聞きながら寝ろ。」

と言って、唇を軽く重ねてまたギュッと抱き締めてくれた。

⏰:07/08/03 00:10 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#742 [向日葵]
人って不思議。
心地いい体温と聞こえる心音があると何故か安心して瞼が重くなる。

セツナ「蜜…。好きだよ…。」

目を閉じたまま私は嬉しくて微笑む。

蜜「私もですよ…。」

――――――……

オウマ「おはよっす蜜!!」

お風呂に入り、またラフィーユに着替えさせてもらった所に、昨日私があげた花冠を頭につけたオウマ君がいた。

⏰:07/08/03 00:15 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#743 [向日葵]
蜜「おはようです。花冠気に入ってもらえましたか?」

オウマ「もうばっちりよぉ!!また作ってなぁ!」

ラフィーユ「その前に傷つけた扉、修理する。これ仕事。」

ラフィーユは赤い箱を持って来てオウマ君に押しつける。

オウマ「えー。ラフィーも手伝ってよぉ。」

ラフィーユ「甘える、良くない。自分の事、自分でする。」

オウマ君はブーブー言いながら扉の方へとパタパタ飛んで行った。

⏰:07/08/03 00:20 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#744 [向日葵]
蜜「仲がいいのね。」

ラフィーユは私に「何が」と言う眼差しを向ける。

蜜「オウマ君だけ?ラフィーユの事ラフィーって呼ぶの。」

ラフィーユ「あぁ。ユが面倒くさいとか。意味、分からない。」

うん確かに。
でももしかして、オウマ君ってラフィーユの事……?

セツナ「蜜!」

階段の上からセツナが私を呼んだ。

蜜「あ、ハイ!何ですか?」

⏰:07/08/03 00:23 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#745 [向日葵]
セツナ「父上が部屋で待ってるそうだ。行く準備は出来てるか?」


・・・・・・・・・・・・・・・

セツナ「オイ。」

蜜「ハ、ハ、ハイ……。」

セツナのお父さんの部屋の扉前に私とセツナはいた。

セツナ「何故そんな硬い。」

蜜「や、やっぱり、長ですから……っ。失礼の無いようにと思いますと……っ。」

⏰:07/08/03 00:28 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#746 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/03 00:28 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#747 [失礼します]
>>201-400
>>401-600
>>601-800

⏰:07/08/03 15:35 📱:P903iX 🆔:☆☆☆


#748 [向日葵]
>>747さん
安価ありがとうございました

――――――――

セツナは呆れてため息をつくと、ゆっくりとドアを開けた。

セツナ「父上、失礼します。」

私は失礼しますも言わず、その部屋の広さに驚いた。セツナの部屋とは比べものにならないくらいの広さ。
東京ドーム1個分……?

蜜「イッツミラクル……。」

思いきりジャパニーズイングリッシュ。

⏰:07/08/03 23:07 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#749 [向日葵]
長「ああセツナ。……それに、蜜乙女。」

ダンディな感じのおじさん。この人こそが、黒蝶族長……。

蜜「初めまして。蜜…と申します。」

一例深々と礼をする。
するとシャランと音がしたと思うと、王様の様な格好をした長がすぐそこにいた。

私は礼をしたまま続ける。

蜜「先日は助けて頂き、ありがとうございました。なのにご挨拶もお礼もせず、失礼いたしました…。」

⏰:07/08/03 23:15 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#750 [向日葵]
すると、皺がれた低く、それでいて滑らかな笑い声が私の耳に届いた。

長「これは偉く礼儀正しいお嬢さんだねぇ。」

セツナ「真面目すぎるんだ。だから力を抜けと言うんだが。」

長はまた笑う。
そして私の肩に触れて頭を起こさせた。

長「初めまして。私は黒蝶族の長、そしてセツナの父でもあるガラナと申します。」

とても親しみやすく接してくれたので、私の緊張は一気に抜けた。

長「セツナから聞いてるよ。せがれは君を凄く気に入っててね。」

⏰:07/08/03 23:20 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#751 [向日葵]
一旦セツナを見てから長に向き直り、本題に入った。

蜜「初めてなのに、とても失礼だとは思いますが……ルキを解放してあげて下さい!」

長は片方の眉を上げる。
後ろではセツナの呆れたため息が聞こえた。

長「君は…、ひどい事をされたのだろう?だったら何故。」

蜜「私だって正直許せません。あんな、怖い思いをして……許せる訳がないです……。」

傷がもう無い首筋に、私は手を触れた。

蜜「でも……歪み合うばかりはもっと駄目。和解したり、納得する事だって必要だと、思う、んです。」

⏰:07/08/03 23:32 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#752 [向日葵]
最後らへんは言葉に詰まった。
どう説明すればいいのか。

ルキがやったことは許せない事だけれど死に至らす様なそんな極端な行動は辞めて欲しくてー……。――――っ!!

蜜「とにかくなりません!!」

静かに聞いていた長は面白そうな目で私を見ながら微笑んだ。

長「随分ユニークなお嬢さんだなセツナ。」

セツナ「それが蜜の良い所ですよ。」

⏰:07/08/03 23:35 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#753 [向日葵]
長は頷くと、また私に視線を戻した。

長「なら直接話し合ってきなさい。ルキが出たいと言うなら出してあげるといい。」

長は大きく偉大そうな掌で私の頭を撫でた。
まるでお父さんみたい……。
私はその掌に少し懐かしさを感じた。

セツナ「じゃあ蜜、案内する。」

蜜「ハイ。お願いします。」

・・・・・・・・・・・・・

そこはまさしく牢獄。
レンガで出来た塔の螺旋階段を一歩また一歩降りて行く。

塔の中で、私とセツナの足音が響く。

⏰:07/08/03 23:40 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#754 [向日葵]
ロウソクを持っているセツナが振り向いて尋ねる。

セツナ「足元、気をつけろ。少し滑りやすいから。」

そう言って手を差し出す。
……しかしここは…。
なんでもありかいっ!!
なんだこの異世界は。
しかも暗くて…………寒い。

蜜「ルキは……一人で?」

セツナ「あぁ。」

思わず身震いする。
私だったら気が狂いそうだ。

⏰:07/08/03 23:43 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#755 [向日葵]
やっとの事で地下に着く。
数歩歩けば鉄格子が見えた。これもまただだっ広い。

そしてその中に、小さなか細い影が一つ……。

私はセツナに向かい、小声で話す。

蜜「いいですか。何があってもぜっったい口を出してはいけませんからねっ!」

セツナ「事と次第によるがな。」

もう……。
私は影に目をやり、少しずつゆっくりと話かけた。

⏰:07/08/03 23:47 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#756 [向日葵]
蜜「……ル、ルキ……。」

蹲っていた影は、ゆっくりと首をあげた。
その美貌は疲れ果ててるものの綺麗なまま。

ルキ「……。フッ…笑いにきましたの?」

蜜「ううん違う。お礼を言いに来たの。」

ルキは興味無さそうに私を見つめる。
私は視線を合わす為にペタンと地べたに座った。

そして礼をする。

蜜「ありがとう。助けてくれて。」

ルキ「貴方の……為なんかじゃありませんわ……。」

⏰:07/08/03 23:51 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#757 [向日葵]
頭を上げると、ルキは空が見える小さな窓をじっと見つめていた。

私はそんなルキをじっと見つめる。
冷たい風が、窓から入りこんだ……。

長い間、沈黙が続いた。

そしてルキのかすれた声が少し聞こえた。

ルキ「……、して……。」

蜜「え…?」

ルキ「どうして貴方は蜜乙女なの……。どうして、私じゃ……。」

ルキの綺麗な黒い目から、涙が流れ始めた。

⏰:07/08/03 23:54 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#758 [向日葵]
そしてキッとルキが私を睨む。

ルキ「貴方なんかよりずっとずっと私はセツナが大好きで、ずっと大切だった!なのに……たかが蜜乙女ってだけで…、運命だからって……セツナを……。」

“たかが”と言った所でセツナが口を開いたけど、私がじっと見つめてそれを制した。

ルキ「ズルイ…。貴方、ズルイわ……。」

ルキの涙が石畳に染み込んでいく。
それを見つめながら、私は言う。

蜜「確かに、私はズルイ……。」

⏰:07/08/03 23:58 📱:SO903i 🆔:mUXToLUQ


#759 [向日葵]
「けど」と、ルキの目を見つめる。

蜜「好きの気持ちなら、きっと負けない。」

ルキは目を見開いてまた悲しそうに細める。

蜜「ずっと側にいて欲しいし、いていたい。だからね、ルキも自分の力で私からセツナを奪って。」

セツナ「蜜?!」

蜜「私は……。奪われない様に、頑張るから。だからもう、自分を傷つける様な事、しないで……。」

鉄格子の隙間からそっとルキの手に触れ、重ねる。

⏰:07/08/04 00:03 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#760 [向日葵]
ルキはしゃくりを上げながらうつ向き、涙をポタポタ落としながら切々に呟いた。

ルキ「だか、ら…あなた、な、んて……っらい……なのよっ。」

嫌いでもいいから。
だからルキ。

蜜「ここ、寂しいですよね。空が、恋しいですよね。出ましょう……?」

キィ……

鉄格子の扉を開けて、手を差し出す。
ルキはそれを見つめて、また窓に視線をやった。

ルキ「出ない……。」

蜜「…っえ。」

⏰:07/08/04 00:07 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#761 [向日葵]
ルキ「まだ、ここにいる。」

蜜「でも……っ!」

ルキ「いいから。気分が治ったら、出ますわ…。」

それでも、いいよ。
ルキがこれで無事になると確信出来たから。

蜜「待ってますね……。セツナ、行きましょう。」

カツカツカツカツ……

セツナはルキを見つめる。
セツナ「お前がやった事はきっと一生許さん。」

ルキの口がグッと力を入れる。

⏰:07/08/04 00:11 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#762 [向日葵]
セツナは蜜が進んで行った方に顔を戻し、歩きながら呟く。

セツナ「でも蜜が許すなら話は別だ。」

カツカツカツカツ……

ルキはその日、蜜の言葉や自分の事を何度も繰り返し考えていた……。


・・・・・・・・・・・・・・

私は塔を出て、ジッと見つめた。
これで大丈夫。
ルキが死ぬ心配は無くなった。

セツナ「お前はとんだお人好しだな。」

⏰:07/08/04 00:14 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#763 [向日葵]
そんな言葉を投げ掛けるセツナを無視して、花畑を歩き始めた。

何故かって?
恥ずかしいから!!

別に嘘ではないけど

[セツナには側にいて欲しいし、側にいたい……。]

私もあっさりと口に出来る様になっちゃったものだなぁ……。
セツナ効果だこりゃ。

すると襟足を引っ張られ、瞬間的に首が絞まった。

蜜「ぐえっ!何ですか……。」

⏰:07/08/04 00:17 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#764 [向日葵]
セツナ「ん?何故顔が赤い。熱か?」

おでこをコツンと当てて熱計測。

蜜「違いますよ。大丈夫ですから。」

セツナ「なんだ素っ気無い。蜜らしくないじゃないか。」

蜜「私はいつも素っ気無いですよ?」

するとセツナは肩を抱いて私を引き寄せた。

セツナ「そんな事ない。いつも何気ない事で恥ずかしがるのが蜜だ。」

ハハハ。それこそそんな事ねぇーよ……。

⏰:07/08/04 00:23 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#765 [向日葵]
ラフィーユ「セツナ、蜜。」

ラフィーユがフワリと飛んで来てすぐ近くに着地。

蜜「何ラフィーユ。」

ラフィーユ「長が一度蜜、帰せ、言う。これ命令。」

セツナ「は?何だそれ。」

ラフィーユは首を横に振り、自分も訳は知らないと意思表示させる。

ラフィーユ「蜜。私とオウマ、蜜の家行く、駄目か?」

蜜「へ?何で?いや、いいけど。」

⏰:07/08/04 00:27 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#766 [向日葵]
ラフィーユはまた首を振る。

ラフィーユ「これも長の命。私達、ここ以外、行くトコ無い。」

あ、そっかぁ……。なら仕方ないよね。
まぁおばあちゃん達もいない事だし、セツナと二人っきりだとまた心臓もたないし。

蜜「汚くてもいいならどうぞ。」

するとラフィーユは綺麗に笑ってお礼を言った。

ラフィーユ「ありがとう。助かる。」

・・・・・・・・・・・・・・・・

特急で飛行中。
怖くて目が開けられない悲しい事実。

⏰:07/08/04 00:31 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#767 [向日葵]
セツナ「蜜、もう少しだからな。」

風のせいで聞き取るのがやっとだった。
すると

ボフッ!

なんか柔らかい固まりに激突……。
あれ?さっきまでの光が無くなったみたい……。

セツナ「蜜。帰って来たぞ。」

私は恐る恐る片目ずつ開ける。

蜜「あぁ……っ!」

数m下には、馴れ親しんだ家があった。
光が無くなったのは現在こちらが夜だからだ。

そういえばターヤさんが時間の流れ方が違うって言ってたっけ。

⏰:07/08/04 00:35 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#768 [向日葵]
何故か開いてるドアにびっくりしながら、家へ入っていく。
玄関近くにある電気をパチンとつけて、何日ぶりかも分からない家とご対面。

あぁ……ビバ庶民……!
やっぱりこの狭さが一番落ち着く……!

オウマ「うっわー!せまっ!何これあり得ねぇー!!」

……オウマ君。コレが普通です。

ラフィーユ「オウマ、静まれ。うるさい。」

と言われるとオウマ君はすぐに静かになる。

おぉうっ!トップブリーダー……。

⏰:07/08/04 00:43 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#769 [向日葵]
セツナ「はぁ……。」

蜜「?」

どうしたんだろセツナ……。

ラフィーユ「蜜。私とオウマ、どこ、寝る。」

蜜「あぁ。客間使う?それともラフィーユは私と一緒に」

セツナ「客間でいいだろう。客なんだから。」

はぁ……まぁねぇ。
何故そこまでムキに……?

ラフィーユ「分かった。場所は?」

⏰:07/08/04 00:46 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#770 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/04 00:47 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#771 [向日葵]
蜜「真っ直ぐ行ってあの襖の所!」

ラフィーユ「了解。確認、する。」

と言ってオウマ君も一緒に客間拝見に行った。

蜜「さてと、夜って事でお風呂用意してこよう!その後は晩御飯だ。」

はっ!
食材傷んでないかなっ?!
……その時は出前にしよ。私だけだし。
そういえばラフィーユ達は食事どうするんだろ。

カチャ

シャアア――……

⏰:07/08/04 10:33 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#772 [向日葵]
セツナ「オイ。」

蜜「わぁ!セツナ…いたんですか。」

セツナはお風呂場のドアのヘリにもたれていた。
ん?なんかご機嫌ななめだなぁ……。

キュキュキュ

一旦シャワーを止めてセツナに向き直る。

蜜「何かご用で?」

セツナ「なんでアイツらを呼んだ。」

蜜「はい?だって、困ってるし、行く所が無いって……。」

⏰:07/08/04 10:38 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#773 [向日葵]
セツナは何か腹立たし気に息を吐く。

セツナ「それは千歩譲ってやる。」

千歩て貴方…。どんだけ渋々の選択ですか。

セツナ「ラフィーユを何故お前の部屋にやろうとした。」

蜜「へ?女の子同士ですし、なんかこーゆーのって楽しいじゃないですか♪」

ガチャン

ガチャン?
何でドア閉める?

セツナ「もう怒った……。」

⏰:07/08/04 10:44 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#774 [向日葵]
え?え??えぇっ?!
何で?!私何も気に触る事言ってないよね?!

蜜「い、一体何が駄目だったんですか?!結局はラフィーユ達は客間に行ったじゃ…」

セツナ「それでなくてもアイツらが来たから二人っきりになれないのにお前はその機会すら奪おうとした。」

あ、あぁー……そーゆー…。

蜜「い、いいじゃないですか。同じ部屋で寝るんですから!」

ヒタッ……。

セツナはヒンヤリとしたタイルに手をついて私を囲んだ。

⏰:07/08/04 10:49 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#775 [向日葵]
蜜「謝りますから…、そーゆーのは部屋で……っ。」

セツナ「今ここで改めてもらおう。いい加減俺の気持ちくらい読んだらどうだ。」

読んでるつもりなんだけどなぁー……。
って言うかそこまで怒らなくても。

蜜「そうですね…。以後気をつけますよ。」

セツナ「そぅ。いい子だ。」

と言ってオデコに唇を押し付けた。

いい子とか……。
オデコに唇の感触を感じながら、どう反応すればいいかに迷った。

⏰:07/08/04 10:56 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#776 [向日葵]
セツナは人差し指だけで顎をクイッと上げた。
もうすぐそこにセツナの顔。頭がぼぅ…っとなる。

セツナの唇があと少しで触れる時、

オウマ「なぁなぁ蜜――!!……。」

お互いに間そして間。
オウマ君はどうやら最高に間が悪いらしい……。

蜜「わ、私、二人の布団、用意しなくちゃ……っ!」
セツナの腕をくぐって、客間へ向かう。
その途中、オウマ君の叫び声が聞こえた気がした。

ポスポス

蜜「ラフィーユ。入りますね。」

⏰:07/08/04 11:03 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#777 [向日葵]
ラフィーユ「あぁ。」

スラッ

ラフィーユは畳の上で長い髪を広げて寝転がっていた。

蜜「疲れた?」

ラフィーユ「こんな床、初めて。草の匂い、何故する?」

そっか、畳知らないんだ。余談でセツナも畳を初めて見た時珍しがってた。

外国人の人が日本文化に感動する様に畳をテシテシ叩いていた。

蜜「畳って言うの。い草って植物から作ってるんだよ。」

⏰:07/08/04 11:10 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#778 [向日葵]
ラフィーユは「ふぅん」と言うと畳が気に入ったのか畳に顔をくっつけて匂いをかいでいる。

私はその近くで座って布団を探すのも忘れてまったりしていた。
ラフィーユは何だか落ち着く。

ラフィーユ「聞かないのか?」

蜜「え?」

ラフィーユは穏やかな目で私を見つめてくる。

ラフィーユ「私の喋り方、変。自分で、分かる。それ、聞かないのだな。」

蜜「んー。私は気にならなかったよ。ちゃんと想いは伝わってくるし。」

⏰:07/08/04 11:15 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#779 [向日葵]
するとラフィーユはニコッと笑って呟く。

ラフィーユ「同じ事言う。不思議だ。」

蜜「え?なんて?」

しかし、ラフィーユは寝息を立てて寝てしまった。

蜜「あ!布団!」

そこで本来の目的を思い出し、部屋の押し入れから布団を出し、敷くが、ラフィーユが寝てしまったので一個しか敷けない……。

蜜「あ、と。どうしよう……。」

⏰:07/08/04 11:23 📱:SO903i 🆔:E9w2M8lM


#780 [向日葵]
スラッ

なんかげっそりしているオウマ君登場。

オウマ「あれっ。ラフィー寝ちゃった?」

蜜「ハイ。だから布団引けなくて…ハハ。」

オウマ「しょうがねぇなぁ…。ぃよっ!」

ラフィーユの体を軽々と持ち上げて一個敷いてた布団へ優しく乗せてあげた。
そしてオウマ君は静かに眠るラフィーユの頭を優しく一撫でして微笑んだ。

蜜「オウマ君って…ラフィーユが好き?ラフィーって呼んでるのはそれで?」

⏰:07/08/05 09:33 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#781 [向日葵]
オウマ君はラフィーユから目を離してなんだか嬉しそうに私に笑った。

オウマ「ウン。大好き!ラフィーって誰も呼んでないから特別みたいだろ?」

無邪気な笑顔に私まで笑顔になった。

布団をもう一つ敷いてから私はおやすみなさいと言って客間を後にした。

階段を一歩一歩上りながら少しげんなりしていた。

セツナの事だ。

ラフィーユとオウマ君の事で機嫌が悪かったのに足してお預けをくらったから……。

⏰:07/08/05 09:37 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#782 [向日葵]
『さぞかし部屋で大変に……。』

別に、セツナとそーゆー大人な事するとか言うのは嫌ではないけど、想像がついていかないって言うか……恥ずかしいって言うか……。

気が付いたらもう部屋の前だった。

ゆっくり部屋に入る。

蜜「……。あれ?」

そこにはセツナの姿なんてなかった。

蜜「セツナ……?」

不安になって静かに名前を呼ぶ。

⏰:07/08/05 09:42 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#783 [向日葵]
帰った?
だって今日は帰っちゃ駄目のハズで……。

しゅんとしてベッドに座る。

別に行動範囲制限するつもりはないけど、どこかに行くなら行き先を教えて欲しかった……。

フゥとため息を一回ついてから電気を消そうとした。
ガチャ

蜜「ん?」

セツナ「お。帰って来たか。……。どうした?」

私はぼんやりとセツナを見つめていた。

⏰:07/08/05 09:49 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#784 [向日葵]
蜜「どこ……いたんですか?」

セツナ「庭に出てた。見事な月夜だったんでな。」

蜜「あ、そ、ですか。」

とりあえず電気をパチンと消してぼんやりしたままベッドに行く。
と、ベッド際でセツナが腕を引っ張った。

セツナ「オイ?どうかしたか。」

蜜「いやなにも……。」

なんだかセツナが帰って来るのが、側にいるのが当たり前の気がしてたから……。
いなくなるとこんなに寂しくて不安になるんだなぁと思ったらなんだか呆然としてしまった。

⏰:07/08/05 09:53 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#785 [向日葵]
なんとなく手を伸ばしてセツナの胸元に抱きついた。

セツナは何も言わずに抱き締めてくれて、背中を擦ってくれた。

セツナ「なんだ。甘えてくるなんて珍しいな……。」

意地悪な口調なのに、何故か優しく聞こえる。
ずっとこうしてくっついていたい気がした。

セツナ「蜜。疲れただろ?早く布団に入れ。」

蜜「ハイ……。」

それでも私は離れようとしなかった。
そんな私を見かねてセツナは抱き上げて布団の中に入れる。

⏰:07/08/05 09:57 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#786 [向日葵]
やんわりとセツナから腕が外された。

蜜「……離れたくないです。」

とっさに出た言葉だった。セツナはなんだか驚いていた。

セツナ「離れないよ。」

セツナの唇が、オデコに、頬に、耳元に……押し付けたられる。

暗闇でも分かる。セツナの熱く優しい目が私に向けられてる事が……。

セツナの唇が、優しく私の唇に触れる。
角度を何度も変えて、優しく触れる。

⏰:07/08/05 10:04 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#787 [向日葵]
でもセツナは優しく触れるだけで、それ以上は激しくならなかった。

何で?

セツナが私の唇に止まったのに気付いたのか、一旦離れて私を見つめる。

セツナ「…何?」

蜜「何でそんな優しいんですか?」

セツナは一瞬眉を寄せて考え、言いたい事が分かったのか苦笑いを浮かべた。

セツナ「今激しくしたら、多分止まらないぞ?」

セツナは私を起こすとフワッと抱き寄せた。

⏰:07/08/05 10:21 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#788 [向日葵]
セツナ「別に無理なんてしなくていい。待つてもりだ。ただ……。」

体を離して、私を見つめながら髪をかき上げた。
私は片目を瞑る。

セツナ「なんだかお前が可愛く甘えてくるから我慢出来そうにないんだ……。」
暗闇に柔らかくセツナの声が響く。
この感情……。セツナが愛しくて仕方ない。

一回こんなのあった。
セツナが照れたあの日……。

でもあの日よりはもっと大きい気持ちで――……。

⏰:07/08/05 10:28 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#789 [向日葵]
チャプター15:赤い実







シンとしてる。時計の音が静かになってる。


蜜「我慢しないで下さいと言ったら…セツナは我慢しませんか?」

セツナはフワリと微笑むと、頬に唇を触れる。

セツナ「そんな可愛いらしいことを言われたら、蜜が何を言おうと抑えるのは辛いな。」

鼓動が少しずつ早くなる。

蜜「じゃぁ……我慢しないで下さい…。」

⏰:07/08/05 10:34 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#790 [向日葵]
セツナは不安気に私を見つめてくる。

セツナ「お前いいのか?ホントに。」

私は身を乗り出して触れるだけのくちづけをする。

蜜「ハイ……。」

硬い決意。セツナなら……。ううん。セツナがいい……。

セツナの目が射る様に真剣に変わる。
そしてくちづけをされ、激しさを増していく。

ゆっくり押し倒されて、セツナが上に乗ってくる。

セツナ「後悔しても知らないぞ……。」

⏰:07/08/05 10:39 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#791 [向日葵]
そう言って私の頬を大きな手で包む。
その上から私は手を重ねてその温かさに目を瞑る。

蜜「後悔なんて……しませんよ…。」

セツナはまた優しく唇を重ねてから首筋に唇を這わせる。

ボタンが外されていく。
その時に僅かに体を固まらせてしまった。

それに気付いたセツナが私の頭を撫でながら優しい黒い目で見つめる。

セツナ「大丈夫。ゆっくりやるな……。」

蜜「…ハイ……。」

⏰:07/08/05 10:45 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#792 [向日葵]
セツナはホントに優しく私を扱ってくれた。
服越しじゃない人の体温は思ったより熱くて、でも気持ち良くて……。

何より幸せであることを感じさせてくれた。

蜜「―――っ。」

セツナ「…蜜?しんどい?」

私は首を横に振った。

蜜「嬉しいんです……。」

嬉し涙なんて初めて流した。でも初めて流した嬉し涙がセツナで良かった。

セツナはオデコにキスをして優しく微笑んだ。

⏰:07/08/05 10:50 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#793 [向日葵]
 






―――――
―――――――……

目を、うっすら開けた。
部屋が明るい……。

トクン……トクン……

あ……落ち着く…。
また目を閉じると、こめかみ辺りの髪の毛がかき上げられて、柔らかい物が触れる。

セツナ「目、覚めたか……?」

⏰:07/08/05 10:54 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#794 [向日葵]
私はまた目を少しだけ開けた。

蜜「…セツ、ナ……?」

セツナ「体、大丈夫か?」

体……?

完全に目を開くとセツナの綺麗な鎖骨が目に入った。

蜜「ええっ!」

一気に覚醒。

顔を上げればセツナが見つめていた。

そうだっ――私昨日……っ!

⏰:07/08/05 10:57 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#795 [向日葵]
うつ向いて顔を隠す。
激しく赤面。

蜜「おはよう……ございます…っ。」

セツナ「ククク…。何を照れてる。」

そう言いながらも優しく抱き締めてくれる。
肌がまた密着する。

胸が、キューッと苦しくなった。

セツナ「…昨日の蜜は……今までで一番可愛いかったなぁ……。」

うわ言の様に呟くセツナの言葉に再び赤面する。

蜜「あぁもぅ…。止めて下さい恥ずかしいっ……!」

⏰:07/08/05 11:02 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#796 [向日葵]
セツナはクククと笑ってる。

いつものセツナだ……。
でもなんだか違う……。

セツナ「服を着ろ。またオウマが来たら、お前の裸を見られるのはご免だ。」

あり得る予想に深く納得。

蜜「こっち……見ないで下さいねっ。」

セツナ「ククッ。ハイハイ。」

セツナはかべ側を向く。
私はソローッと布団を出て散らばった服を集める。

未だに自分がそんな事をしたって事実が信じられないけど、少しダルイ下腹部が昨日の事を物語る。

⏰:07/08/05 11:12 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#797 [向日葵]
服を完全に着てから振り向く。
約束通りセツナはちゃんと壁側を向いてた。

蜜「セツナ。着終りましたよ。」

セツナ「あぁ。分かった。」

するとセツナは私を引っ張って軽く唇を触れた。
そして幸せそうに微笑む。

セツナ「好き……蜜。」

また顔が赤くなる。
セツナはそれを見て満足そうに笑った。

蜜「ハイ……。」

⏰:07/08/05 11:18 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#798 [向日葵]
少しの間、温かい雰囲気が漂って、私はハッと意識をはっきりさせた。

蜜「わ、私……っ二人を見て来ます!」

セツナ「分かった。」

部屋を出ていく時にちらりとセツナを見ると、起き上がり完璧な体が見えていた。

パタン……。

ドアにもたれて口元を両手で軽く隠した。

『ヤバイ……ニヤける……。』

二人に感ずかれないといいけど……。

⏰:07/08/05 11:23 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#799 [向日葵]
――――――――

キリます

⏰:07/08/05 11:23 📱:SO903i 🆔:eY1lbW/o


#800 [向日葵]
階段をスキップする様に降りて、客間へ向かう。

ポスポス

蜜「おはようございます。」

スラッ

ラフィーユ「蜜。おはよう。」

蜜「おはよー。」

ラフィーユは既に起きていた。畳がとても気に入ってるらしく、畳の上にいる。

オウマ君は、未だに寝ていた。

蜜「皆って……眠り浅いんじゃないの?」

ラフィーユ「それぞれ。コイツ、特に変。」

⏰:07/08/06 00:41 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#801 [向日葵]
変で済ますんだ……。

蜜「朝ごはんってどうしたらいいですか?一応蜂蜜がありますが……。」

ラフィーユ「私とコイツ、外行く。そこで探す。」

蜜「じゃあ、なかったら蜂蜜食べていいですからね。」

私はそう言って出て行こうとした。

ラフィーユ「蜜。熱、あるか?」



蜜「どして?」

ラフィーユは立ち上がって、顔を近付けると匂いを嗅ぐ様に私の首回りで鼻をスンスン言わせた。

⏰:07/08/06 00:45 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#802 [向日葵]
ラフィーユ「匂い、キツイ。」

……。それってアレと関係あるのかな…。
それとも私の顔が若干赤いから体温上昇しすぎ?

蜜「じ、自分じゃ、わか分からないーなぁ……。窓…っ開けてくる。」

ギクシャクしながら庭へ続く窓を開ける。

……不思議。
なんだか世界が変わった気がする。

また新しく、生まれ変わった様な気がする……。

いつも通りのハズなのに……。

⏰:07/08/06 00:48 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#803 [向日葵]
オウマ「ぅ、ああぁぁ……。蜜、うーっす。」

振り返ると頭をボサボサにしてまだ眠たそうなオウマ君がいた。

蜜「オウマ君。おはよー。よく寝れた?」

オウマ「地べたの布団って結構体痛くなるな!」

ニカッと笑う本人には悪気は無いんだろうが少し殴りたい衝動に刈られた。

ラフィーユ「オウマ。さっさと朝飯、済ます。」

オウマ「そうだな!ちょっくら行ってくるわ!」

ビュンッッビュンッッ!!!!

いってらっしゃいを言う間もなく、高速で窓から二人は飛んで行ってしまった。

⏰:07/08/06 00:55 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#804 [向日葵]
蜜「そんなに…急がなくても……。」

目が点になってやり場のない手をあげたまま空を見上げた。

天気もいいし……洗濯物でもしよっかな。

と振り向いたら、丁度セツナが階段から降りて来た所だった。

―――ドキ……。

セツナ「あれ?二人はどうした?」

蜜「朝ごはんに…行きました。」

セツナ「ほぉー……。」

⏰:07/08/06 00:59 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#805 [向日葵]
私は目を泳がせたままセツナの横を通り過ぎて洗濯機まで行った。

するとセツナも後ろを着いて来て、私の行動をただ見ている。

ゴウンゴウン

じー……

ピッピッ

じー……

蜜「あ、あのぉー!気が散るんですけどっ。」

セツナ「クスクス……。何を緊張してる。」

うっ……。図星…。
だって何か恥ずかしいんだもん……。

⏰:07/08/06 01:03 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#806 [向日葵]
セツナは後ろから私を抱き締めると洗濯機を眺める。

セツナ「普段通りでいいんだよ。何も変わらないんだから。」

蜜「そんな事ない!」

そこで私はセツナを向き直った。

蜜「なんだか……今日はいつもより特別で、いつも見てる空ですら綺麗で……。セツナを見ると、もっとドキドキして……そのっ…。」

とにかく色鮮やかになった。もう一度色を塗り直したみたいで不思議な感覚が続いてる。

⏰:07/08/06 01:10 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#807 [向日葵]
自分で言った事が恥ずかしくてうつ向いた。

セツナがクスッと笑うのが聞こえた。

セツナ「俺も……もっと蜜が好きになったよ。」

セツナが私の手を取って自分の顔に押し当てる。
完璧な顔の肌は、とてもすべすべだった。

セツナ「今すごく、胸が熱い…。」

セツナの優しい目が私を見つめる。
最近この目が多い……。

蜜「セツナも……緊張しました?」

⏰:07/08/06 01:15 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#808 [向日葵]
セツナが少し苦笑する。
でも目はそのまま。

セツナ「当たり前だろ。蜜を壊さない様にするので精一杯だった。手だって……震えてた。」

微かにセツナの顔が赤くなる。緊張していた自分が恥ずかしくなったらしい。

それがまた温かくて微笑む。

蜜「良かった……。」

セツナは私の頭を撫でながら抱きしめる。

セツナ「これで……。」

セツナの声が一変。

⏰:07/08/06 01:20 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#809 [向日葵]
セツナ「免疫がついたからいつでも襲えるなぁ。」

あの意地悪な、それでいて面白がっている声。
S復活。

蜜「もー!!女の子はそんな安売りしませぇん!!」

セツナが声をあげて笑う。

セツナ「まぁ、蜜は大事に扱わないとな。」

蜜「そうですよ。大事に大事にして下さい!」

セツナは私の髪の毛をかき上げて、首筋に唇を触れる。

⏰:07/08/06 01:25 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#810 [向日葵]
セツナ「するよ。当たり前だろ。」

―――ドキ…

目を細めて微笑んで、私はセツナの胸に顔を埋めた。
子供みたいな行動。
でも今はただ抱き締めて欲しくて、セツナがより恋しくて……。

セツナは何も言わず髪の毛を撫でながら私を抱き締める。
それがまた胸を苦しくさせて、どうにかなりそうな感じに襲われる。

愛を感じるってこーゆー事なのかな……?

……いやいや私っ
愛って貴方!

⏰:07/08/06 01:32 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#811 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/06 01:34 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#812 [ミキ]
>>100-200
>>200-300
>>300-400
>>500-600
>>600-700
>>700-800
>>800-900

⏰:07/08/06 15:49 📱:SO903i 🆔:VXXlOVEs


#813 [向日葵]
ミキさん

安価ありがとうございました

⏰:07/08/06 16:40 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#814 [ラナ]
>>780-900

⏰:07/08/06 20:42 📱:P901i 🆔:2/H22MTg


#815 [ラナ]
>>760-900

⏰:07/08/06 20:43 📱:P901i 🆔:2/H22MTg


#816 [ラナ]
>>750-900

⏰:07/08/06 20:44 📱:P901i 🆔:2/H22MTg


#817 [かー子]
ラナさん
それ意味なくなあい?

⏰:07/08/06 22:40 📱:F902iS 🆔:3wGzI3vU


#818 [向日葵]
ラナさん

安価どうもです

――――――――

1、2時間するとラフィーユ達が帰って来た。
もう3月なので花は結構咲いていたらしい。

3月かぁ…。
4月になれば私も高2……。そして来年は高3……。
意外にも季節は早足に進んでいる。
そういえば、セツナはどう言う細工を使って同学年になるんだろう。

あと、ラフィーユ達は、高校には入らないのかなぁ。

⏰:07/08/06 23:55 📱:SO903i 🆔:GuXz1P3U


#819 [我輩は匿名である]
此処おもんない
意味不やし

⏰:07/08/06 23:58 📱:W42SA 🆔:a9zA8cbw


#820 [向日葵]
洗濯物をパンパンと干しながらぼんやり考えた。

干している時に風さん達が来て手伝ってくれた。

そういえば……風さん達には前いっぱい助けて貰ったのにお礼してない。
それにラフィーユ、オウマ君。……ルキも。

まぁ……セツナはこの身を捧げたばかりだから……ね……。

今日は……あちらの世界へ行く事は出来ないのかなぁ。

蜜「ねぇ、ラフィーユ!」
窓にラフィーユが姿を見せる。

ラフィーユ「ん?」

⏰:07/08/07 00:01 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#821 [向日葵]
我輩さん

面白くないのは今日、感想板でも言われましたが楽しみにしている人がいるんで書かせてくださいね。

面白くなる様自分も努力しますんで

⏰:07/08/07 00:03 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#822 [向日葵]
蜜「今日は、あっちの世界へ行っちゃいけないの?」

ラフィーユは眉を寄せて顔をしかめる。

ラフィーユ「わからない。昨日、話、長に聞いた。城、補修するらしい。」

あれだけ大きな城だったらそりゃ時間かかるよね……。
ならしばらくは無理なのかもしれない。

蜜「分かった。ありがとう。」

ラフィーユは一回頷くとまた家の中に姿を消して行った。

なら、お礼はまた今度かな……ー

⏰:07/08/07 00:06 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#823 [向日葵]
籠を持って、洗濯機の横に置く。

風さん達もついてきた。

あ、そうだ。

蜜「風さん達は人間の物食べれるよね?」

確か前にクッキーあげたら食べたし。
問いかけに風さん達は首を傾げてからにこにこ笑った。
肯定と受け取っていいのかな?

蜜「ぃよしっ!」

ならばっ風さん達にはいち早くお礼をしましょう!

前にあげたクッキーでいいかな?

⏰:07/08/07 00:11 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#824 [向日葵]
台所にいそいそと行って、クッキーに必要な材料を探し回る。

蜜「小麦粉…バター……。砂糖……。うん。後もそろってるみたい。」

不思議そうに見る風さんに少し離れる様に指示してからクッキー作りを始めた。

ラフィーユ「何するんだ?」

近くまで来て私の手元を見ながらラフィーユが尋ねた。

蜜「クッキーって言うのを作るの。ラフィーユも作ってみる?」

⏰:07/08/07 00:16 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#825 [向日葵]
ラフィーユ「なんだそれ……。魔術……?」

いやいや違う違う。

蜜「食べ物!」

ラフィーユ「作って、みる……。」

この人達にとったら料理なんて初めてなんだろうなぁ……。
花の蜜は調理なんか必要ないしね。

私は小麦粉をふるうのを手伝ってもらった。
身振り手振りで教えるとやっぱり機転がいいのか直ぐに出来た。

すると私達の行動に気付いたセツナとオウマ君がソファーに座りながら私達を見学する。

⏰:07/08/07 00:21 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#826 [向日葵]
オウマ「なんかやってる!俺も混ぜて!!」

目を輝かせながら背もたれに乗り出すオウマ君をラフィーユは冷たい目でギンッ!と睨む。

ラフィーユ「お前が来る、邪魔。大人しくしろ。」

オウマ「ハイ……。」

そこまで冷たくしなくても……。
ラフィーユを見ながら思わず苦笑い。
オウマ君は小さくなってラフィーユに言われた通り大人しく私達を見ている。

生地を作りながら小声でラフィーユに話かける。

⏰:07/08/07 00:27 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#827 [向日葵]
蜜「ねぇラフィーユ。なんでオウマ君にそんな厳しいの?」

ラフィーユは生地を混ぜる手を止めて私を見ると、ため息をついてからオウマ君を一瞬見て、また私に視線を戻した。

そして私と同じ様に小声で喋る。

ラフィーユ「アイツ、それでなくても騒がしい。これぐらいで丁度。だから私厳しい。」

あぁ…。と納得してしまう。ゴメンねオウマ君。
するとラフィーユは口を開いて「けど」と続ける。

ラフィーユ「知ってる。ホントは、いい奴。」

⏰:07/08/07 00:33 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#828 [向日葵]
その時ラフィーユの目が一瞬揺らいだ気がした。

もしかして……ラフィーユも……?

・・・・・・・・・・・・・・

一方変わって男組の会話。

セツナとオウマも蜜達の様に小声で話していた。

セツナ「お前も懲りないな。あれだけラフィーユが冷たくしてるのに。」

オウマはセツナを軽く睨んで口を尖らせる。

オウマ「ラフィーは別に冷たくなんかないよ。」

⏰:07/08/07 00:41 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#829 [向日葵]
オウマの目が穏やかになって、口元には笑みが浮かぶ。

オウマ「ラフィーユが言ってる事は全部正しいよ。それに、冷たくなんかない。表に出ないだけ。」

背もたれに腕を乗せて、その上に顎を乗せてラフィーユを見つめる。

セツナは首だけを動かして楽しそうにラフィーユとクッキーを作る蜜を見つめる。

セツナ「お前の……蜜乙女と出会ったら、どうするんだ?」

オウマは目だけを動かす。

⏰:07/08/07 00:46 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#830 [向日葵]
オウマ「セツナはそーゆー目で蜜の事見てるのか?」

セツナ「そーゆーんじゃない。ただ……蜜乙女と出会ってしまったら、必ず二人は惹かれあってしまう……。俺はただ、ずっと前から好きだった蜜が、蜜乙女だったって言うだけだ。」

オウマはウーンと唸り、首を捻る。

オウマ「なんかさ、俺それ半分迷信みたいに思ってるんだわ!」

明るく言ってのけるオウマに思わずズリッと体を傾けるセツナ。

オウマ「俺だってそうだよ。好きになったのがラフィーユなら、蜜乙女なんか関係ない。見向きもしない。ラフィーユをずっと好き。」

⏰:07/08/07 00:52 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#831 [向日葵]
セツナは静かに目を閉じてため息混じりにフッと笑った。

セツナ「あぁ……。そうだな……。」

オウマ「ところでセツナ。蜜の“蜜”の匂い、今日きつくないか?」

………………。
沈黙が続く。セツナはそっぽを向いて「バレたか」と思っている。

オウマ「え…。セツナマジ……?」

セツナ「……。」

オウマ「つまり昨日?」

セツナは口にチャック状態。何も喋らないつもりらしい。

⏰:07/08/07 00:56 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#832 [向日葵]
オウマの顔が少し赤くなる。自分達が寝ている間に二人にそんな事があったなんて……。

自分は二回二人の邪魔をしているが、その時に起きていなくて良かったと心から思うオウマだった。

オウマ「そ…っ、そっか。でも、そっかぁ……。蜜が…。(大人の)階段昇ったかぁ…。」

セツナ「いいって言ったのも蜜からなんだ。」

ここで口を開くセツナ。
オウマはそれを聞いて更に赤くなる。

オウマ「え?!蜜が?!」

⏰:07/08/07 01:02 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#833 [向日葵]
セツナは静かに頷く。

オウマ「ぜってーお前が口説き落としたんだと思った……。」

セツナ「俺はタラシじゃない。タラシになれるのは蜜だけだ…。」

オウマ「うわノロケ!!」

長の息子ともあろう奴が、完璧にノックアウトされてる事実にオウマは驚いた。
まさかそこまでとは……。

オウマ「青林檎から赤林檎になったか二人共。」

セツナ「意味が分からんぞそれ……。」

⏰:07/08/07 01:06 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#834 [向日葵]
やはり人外と言えど男子。興味がわかない訳がないらしい……。

オウマはセツナに詰め寄り話を更に聞き出す。

オウマ「蜜可愛いかった?」

セツナ「アイツはいつでも可愛い。……だけど昨日は一番だったな…。」

少し赤くなりながらセツナは昨日の蜜を思い出していた……。
そんなセツナを見て、何故かテンションがUPするオウマ。

オウマ「うっわ!いぃなぁラブラブってさぁ!!俺憧れ」

ゴツン!

オウマ「痛っ!……っとラフィー……。」

⏰:07/08/07 01:11 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#835 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・

いきなり大声を出したオウマ君にびっくりした私。
そんなオウマ君にラフィーユはツカツカ寄って行きゲンコツを振り上げる。

ゴツン!

骨と骨がぶつかる音がよく聞こえた。

オウマ「痛っ!……っと、ラフィー……。」

叩かれた場所を撫でながらオウマ君はタジタジと笑う。

ラフィーユ「うるさい。発言、音量、下げろ。」

オウマ「ハイー……。」

⏰:07/08/07 01:16 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#836 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/07 01:16 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#837 [夏野]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:07/08/07 01:19 📱:SH903i 🆔:llQxvNoE


#838 [向日葵]
夏野さん

安価ありがとうございました

⏰:07/08/07 01:31 📱:SO903i 🆔:UxsHsoyQ


#839 [向日葵]
――――――――
書きます

⏰:07/08/08 01:24 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#840 [向日葵]
オーブンで焼くこと20分……。

いい匂いと共にクッキー(直径1センチサイズ)完成!

風さん達は喜んで私の頭の周りをブンブン飛び回る。

蜜「熱いんで気を付けて食べてくださいね。」

そんな言葉を聞いているのかいないのか、風さん達は直ぐにクッキーを食べてしまった。

そして外へと出ていった。
セツナ「それは前に作ってたやつか?」

⏰:07/08/08 01:30 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#841 [向日葵]
いつの間にか私の隣に来たセツナが残ったクッキーを見ながら問う。

蜜「そーです。」

セツナ「ふぅん……。」

おもむろに一つ摘むと口の中に放りこんだ。

蜜「え?!食べても平気ですか……っ?」

セツナ「当たり前だろ。……フーン。口の中がボロボロする。」

だってクッキーだもん。

セツナ「どうして焼こうと思ったんだ?」

私はセツナやラフィーユ、オウマ君を見渡してニコッと笑った。

⏰:07/08/08 01:35 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#842 [向日葵]
蜜「皆にお礼をしたかったんです。今日したかったんです……。ルキも呼んで。でも、」

ラフィーユ「あちらには行けない。」

私が言いたい事を先に言うラフィーユにコクリと頷いた。

蜜「だから今日は言葉だけ。皆、この間は助けてくれてありがとうございました。」

一例をする。
皆は一瞬呆然てしていたが、直ぐに温かく笑ってくれた。

オウマ「良いってことよ!」

⏰:07/08/08 01:41 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#843 [向日葵]
そして皆で笑い合い、台所は温かい空気に包まれた……。

―――
――――……

―黒蝶族―

ルキはあの塔の中にいた。
そして脅えていた。
――――近づいてくる足音に……。

カツン…カツン……。

目をギュッと瞑った瞬間声がこだました。

ターヤ「この前はよくも裏切ってくれたねルキ。」

ルキの呼吸が不自然に上がる。

⏰:07/08/08 01:44 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#844 [向日葵]
ルキ「もう……止めましょう?どうせ負けるん、ですから……。」

ターヤ「なら勝つまでやるまでさ。」

ルキは勇気を振り絞ってターヤを一睨みする。

ルキ「私はもう何もしたくない…っ!何を言われても絶対に……!」

ターヤ「じゃあお前の母さまがどうなってもいいんだな?」

ルキは言葉を失う。
自分達の母親を殺そうって……?
そんな――っ!!

ルキ「やだ……。」

ターヤ「だよな?まぁ俺はあんな奴どうでもいいがな。蜘蛛族として俺を生んでくれたおかげで俺の人生めちゃくちゃだ……。」

⏰:07/08/08 01:52 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#845 [向日葵]
ルキは震える手で腕を掴み、なんとかして自分が持ち堪える様に踏ん張った。

ルキ「や……めて。」

ターヤ「もちろん。お前がいい子に言う事を聞いてくるたらなぁ?」

ルキは豊かな唇を噛み締めて、悔しさから出る鳴咽を噛み砕いた。

ターヤ「セツナを……殺す。が、囮として………………蜜乙女を狙う。」

⏰:07/08/08 01:55 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#846 [向日葵]
チャプター13:怪奇現象









春休みが終わり、いよいよ私も2年生。

セツナ「同じクラスだな。まぁ当然だろ。」

私は隣にいるそれはそれは美しい人をジトッと見る。

蜜「ホントに実行しちゃうんですね……。」

⏰:07/08/08 01:58 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#847 [向日葵]
――――――――

キリます

オーダーをして私しか書けない様にしてるんでご注意を

⏰:07/08/08 01:59 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#848 [向日葵]
いや違うか……。
しちゃったんだ……。

仕掛けをしりたくありません?
お教えしますよ。

いわゆる催眠術みたいなもので、セツナは鱗片を巻き散らして学校中の人を思い込ませたんです。

自分は2年であると。

詳しい仕掛けはよく知らない。私が聞いたのはそこまでだった……。

しかも……。

蜜「ラフィーユとオウマ君まで同じクラス……って……。」

⏰:07/08/08 23:27 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#849 [向日葵]
お城修理中により、ラフィーユ達も転入……。
それもまた催眠術を使って(以下略)

こんなお約束的な事があっていいのだろうか。いやよくない。

セツナ「ごちゃごちゃ言ってないでさっさとクラス行くぞ。」

私はセツナに引っ張られながらクラスへと行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

ガヤガヤ ガヤガヤ……

クラス替えは浮足立つ。
新しい友達が出来るかなとか、クラスは楽しいかなとか。

⏰:07/08/08 23:31 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#850 [向日葵]
私はセツナもラフィーユもオウマ君もいるから浮足立つことはとりあえずなく、ラフィーユ達の姿を探した。

オウマ「あ!蜜!セツナ!こっちこっち!」

一際鮮やかな髪の色をしたオウマ君がラフィーユと一緒にいて私達を呼んだ。

『校則違反……。いや地毛だからクリア?』

ふとそんな事がよぎる。

ラフィーユ「オウマ、静かに。」

びっくりするくらい制服が似合うラフィーユは頬杖を付いて私達が来るのを見ていた。

⏰:07/08/08 23:34 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#851 [向日葵]
クラスの視線は私達に集まる。
特にこの目立つ3人……。
もちろん私にもくる。
「なんでこんな子が混ざってるの?」みたいな女子からのチクチクした視線……。

あーハイハイすいませんねぇ。どうせ地味子ですよ。

「あ、本山?」

振り向くとそこには見慣れた人物が。

蜜「あ、小川君!久しぶりぃ。」

爽やか青年小川君。

⏰:07/08/08 23:40 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#852 [向日葵]
小川君はにこにこ笑いながら私に近づいてきた。

小川「また同じクラスだね。西堂が違うクラスなのは残念だったけど……。」

そうなのだ。清とはクラスは別々になってしまった。その事にさっきまで嘆いて中々クラスへ行こうとしなかったのだ。

蜜「清ならまた友達が出来るよ。それよりまた委員会入る?」

小川「うん。前と一緒。本山は?」

蜜「私もそのつもり。」

二人してにこにこ笑いながら和やかムードを醸し出してると……やって参りました。独占大王。

⏰:07/08/08 23:47 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#853 [向日葵]
頭をガシッと掴まれたと思うとグーッと自分の元に寄せてセツナは小川君を一睨み。

セツナ「人の女に勝手に話かけるな。」

いやアンタそれは無理な話って言うか許そうよそれくらい。

小川君はなんだかムッとした顔をするとセツナに言い返してきた。

小川「いいだろ。誰と話そうが本山の勝手じゃないか。」

二人の間に火花がバチバチー…バチバチー…と交差する。

⏰:07/08/08 23:53 📱:SO903i 🆔:c1dzgYxk


#854 [向日葵]
オウマ「花火?」

蜜「んーちょっと違う…。」

その時だった。

ギュンッ!
バリィィ……ン……
パラパラパラ……

どこからともなく植木鉢が飛んで来て、私の顔の横を勢いよく過ぎて黒板に激突……。

蜜「……はい?」

床に散らばる無惨な姿の植木鉢を振り返り固まる。

セツナ「蜜!平気か?」

クラスがざわつく。

⏰:07/08/09 00:00 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#855 [向日葵]
一つは植木鉢が急に飛んで来たから。

二つ目は…………


植木鉢なんて教室にはなかったから……。


・・・・・・・・・・・・・・・・

蜜「なんか……初日から大変な事になっちゃいましたね。」

帰り道を歩きながらさっきまでの出来事を話す。
3人共飛べるけど、久々に歩いて帰りたいと言ったら応じてくれた。

⏰:07/08/09 00:08 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#856 [向日葵]
ラフィーユ「怪奇……。」

蜜「カイキ…?」

ラフィーユ「怪奇現象。似てる。」

まっさかぁ?!ウチの学校はまだ40周年も経ってない結構新しい学校なのに!

蜜「ないないない!あり得ないよ。」

オウマ「じゃあ呪い?」

笑いながら言うオウマ君にシャレにならんと思った。例えばセツナが好きだった女の子からとか、オウマ君に一目惚れした女の子だとか……。

⏰:07/08/09 00:15 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#857 [向日葵]
わぁい私知らない内にすっごいケンカ売ってんじゃん☆
そりゃ呪われちゃうよ丑三つ時とかに!

セツナ「とにかくだ。明日からまた気を付けなきゃいけないって事だ。」

なんか近頃気を付けなきゃならないことばっかりでいい加減うんざりしてきたなぁ……。

蜜「あ。」

ラフィーユ「なんだ?」

蜜「ううん…。ちょっとね。」

学校始まったって事は……ルキもこっちに来てるかもしれない。

⏰:07/08/09 00:20 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#858 [向日葵]
怪奇現象……ねぇ……。




――――次の日――――

通常で授業が行われる。ちなみに今は3時間目。
昨日の植木鉢騒ぎはとりあえずおさまったみたい。

オウマ君はしょっぱなから机につっ伏して寝てたし、セツナはずっとつまんなそうに窓の外を見つめている。
唯一真面目に受けていたのはラフィーユだった。

特に英語は凄い。
音読を当てられた時のあの滑らかな読み方はクラス中が感嘆の声を上げた。

⏰:07/08/09 00:26 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#859 [向日葵]
当の私は可もなく不可もなく授業を受けた。
ぼんやり聞いてはノートをとりの繰り返し。

ヒュンッ

何かが私の耳元を通り過ぎる。

『虫?』

しばらく耳をすましてみてもそれらしい音は聞こえてこなかった。

『気のせいか。』

そう思うには早かった。
何故ならクラスのあちこちで聞こえてたらしい。

「ねぇ、なんかいない?」

「いるいる。虫かなぁ?」

⏰:07/08/09 00:32 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#860 [向日葵]
正体が見えない物体にクラス中がまたザワザワし始めた。

先生「おーい。静かにー。」

ラフィーユの顔を見ると目だけを動かして物体を探してるらしく色んな方向に視線を向けていた。

オウマ君は体を起こして机を見つめたままラフィーユと同じ様に物体に耳をしまして探してるらしい。

セツナは窓から視線を私に向けて私の安全確認をしていた。

するとまた

ヒュンッ

耳元を通り過ぎた。

⏰:07/08/09 00:36 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#861 [向日葵]
セツナがガタッと席を立った。

先生「おーい。席に着けー。」

先生、貴方には聞こえないかヒュンヒュン飛び回る物の音が……。

先生の言葉を無視したセツナは物体を見つけたのか捕まえ様と狙いを定めている。

セツナ「蜜!」

蜜「へ?」

ブツッ……!

ポタポタポタ……。

私のノートに赤い滴が垂れた。

⏰:07/08/09 00:42 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#862 [向日葵]
私は目の前で物体を掴んだセツナの手を見つめた。
次々と流れていくセツナの鮮血。

セツナは物体から手を離した。

――カランカラン

床に落ちたそれは……鋭い小型ナイフだった。

蜜「セツナ……っ!」

オウマ「大丈夫かよ……。」

周りは騒然としていた。
何故ナイフが?

そして何故、標的が私?

先生「き、君。とりあえず、保健室に行きなさい……。」

⏰:07/08/09 00:48 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#863 [向日葵]
先生もこれには流石に驚きを隠せないでいた。
当然だけど…。

持っていたタオルでセツナの手を止血してから腕を引っ張り、ドアへと促した。

蜜「セツナ。行きましょう。」


・・・・・・・・・・・・・・

大量出血のセツナを見てさっちゃんは目を見開いた。

さっちゃん「やっだコレどうしたの?!」

蜜「ちょっと…ね。それより早く手当てしてあげて!」

⏰:07/08/09 00:53 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#864 [向日葵]
さっちゃんはもうほぼ血色になってしまった私のタオルを取る。

真っ赤にしたセツナの掌が現れる。

私は目を見開いて青ざめた。
酷い…。大丈夫なのかな……。


さっちゃん「ちょっと血、拭くからね。」

ガーゼをピンセットで持って傷口周辺を拭く。
そして消毒液を含んだコットンを傷口に当てた。

セツナ「……っつ。」

少しだけセツナの痛そうな声が聞こえた。

⏰:07/08/09 00:58 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#865 [向日葵]
さっちゃん「あー。これなら平気。出血の割りに傷は浅いから。包帯巻いておくね。」

“浅い”と聞いたので、すこしホッと出来た。

さっちゃんは私の方を見るとニカッと笑った。

さっちゃん「だぁーいじょうぶよっ!大したことないから。」

さっちゃんに弱々しい微笑みを返してからセツナを見る。
セツナも励ます様に優しく笑っていた。

大丈夫なんだ…。良かった……。

⏰:07/08/09 01:02 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#866 [向日葵]
蜜「さっちゃんありがとう!」

さっちゃん「なぁに!こんくらいの事ぉ!またいつでも来な!」

さっちゃんは女の人の割りに大きい手で私の頭をわしゃわしゃ撫で回した。

そして私達は保健室を出た。

静かな廊下を歩きながらぼそぼそ喋る。

蜜「大丈夫…ですか?」

セツナ「あぁ。熱い感じはするがな。」

熱い?!それって大丈夫じゃないんじゃ……。

⏰:07/08/09 01:06 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#867 [向日葵]
しゅんと落ち込む私を見てセツナは傷ついてない左手で私の頭を撫でる。

セツナ「気にするな。何よりお前が無事で良かったぞ。」

頭に手を乗せられたまま顔を上げると、セツナはまた優しく微笑んでいた。

蜜「……ありがとうございます…。」

ガラガラガラ

職員室辺りで扉が開く音が聞こえたので、私達はさっと歩き始めた。

蜜「…ん?ルキ?」

紛れもないあの薄いピンクがかった髪の毛は……。

⏰:07/08/09 01:09 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#868 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/09 01:10 📱:SO903i 🆔:Cy.Wcito


#869 [向日葵]
蜜「ルキ!」

しなやかで小柄な姿が一瞬ピクッと震える。
何かを恐れる様な、だけど睫毛が長く大きな瞳は、私をしっかりと捕えた。

私は駆けよって行くと、予想外にルキはどこへも行かなかった。

蜜「職員室で何か用事?」

ルキ「何でも……ありませんわ。」

失礼しますと言って姿を消そうとするルキを私は止めた。

蜜「待ってルキ!」

⏰:07/08/10 19:54 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#870 [向日葵]
ルキは数歩進んで前を向いたまま立ち止まる。
どうやら話を聞いてくれるらしい。

蜜「この間のお礼がしたいの……。今日、うちにこれる?」

ルキ「……ごめんなさい。」

それだけ言うと、ルキは去って行ってしまった。

この時、ルキの“ごめんなさい”を、“うちにこれなくてごめんなさい”と解釈した私は、後に、その単語が他の意味を含む事を知る……。

――――――……

学校が終わり、家へと帰った私達。

⏰:07/08/10 19:58 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#871 [向日葵]
蜜「今日は絶対安静ですからね!」

ソファーに座り、くつろぐセツナの前に立ち、私は告げた。
その横でオウマ君は物珍しそうにセツナの包帯を見つめる。

オウマ「傷知らずのセツナが怪我するとはなぁ。」

セツナ「ほっとけ。」

とりあえず体は元気なのでホッとした。
夕飯の準備に取り掛かろうとした私は、ラフィーユに目が行った。

そのクールな美貌は何かを警戒する様な目つきをしていた。

⏰:07/08/10 20:03 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#872 [向日葵]
そして呟く。

ラフィーユ「おかしい。」



私の問いかける様な目に気が付いてラフィーユは説明する。

ラフィーユの呟きがセツナ達二人の耳にも入ったのか、肩越しに私とラフィーユを見る。

ラフィーユ「昨日今日とあった怪奇現象。両方、蜜狙い。なら何故、今はない。」

…………っ。
そういえばそれはおかしいかもしれない。

⏰:07/08/10 20:07 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#873 [向日葵]
オウマ「そりゃ学校だけについてるもんだからじゃねぇ?」

ラフィーユ「被害、全て蜜にある。なら家で起こる、おかしくない。」

三人の表情が厳しくなった。

それに学校で狙われたとしても襲ってくるものが変だ。

教室には無いハズの植木鉢。
――何故飛ンデ来タ?

一人でに動くナイフ。
――ドウシテ飛ンデル?

四人は口を閉ざした。

⏰:07/08/10 20:12 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#874 [向日葵]
その時だった。

コンコン

蜜「ぎゃぁぁぁぁ!」

突然庭へ続く窓が鳴ったものだから勢いよくラフィーユに抱きついてしまった。
なんていいタイミング……。

しかし外にいる人物で恐怖は消えた。

蜜「ルキ……?」

ルキは悲しい様な険しい様な顔をして外で待っていた。
私は中へ入れてあげようと窓を開ける。

⏰:07/08/10 20:16 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#875 [向日葵]
蜜「ルキ、来てくれたの?!」

ルキの表情は一層こわばり、その視線は一旦セツナを捕えてから私に戻される。

ルキ「セツナに…用がありますの。いいですか?」

セツナ「俺には無い。さっさと帰れ。」

ルキ「お願いです。今しか……もう無いんです。」

只ならぬ雰囲気を読み取ったのか、セツナは立ち上がると私の隣まで来た。


ルキ「こちらへ……来てください。心配しなくても何もしませんから……。」

⏰:07/08/10 20:19 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#876 [向日葵]
信じたセツナはルキと共に離れた場所に行く。
話声は聞こえるけど、内容までは聞きとれなかった。

その中でセツナが驚いていたり、怒っていたりと言うのがよく分かった。

近くにラフィーユ達に分かる?と言う風に目を向けても、分からないらしく首を横に振るだけだった。

二人が話をしている姿をしばらく見ていると、ルキが背中に光を放ち、羽を出現させたかと思うと飛んでいってしまった。

蜜「あ……。」

呼び止める間なく、ルキはあっという間に姿を消してしまった。

⏰:07/08/10 20:25 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#877 [向日葵]
セツナは少し落ち込んだ様にゆっくり帰ってきた。

蜜「ルキ……どうしたんですか?」

セツナ「……いや。オウマ、ラフィーユ。少しいいか。」

二人の顔がスッと引き締まる。
もしかしたら聞かれたくない話なのかもしれない。

蜜「私、部屋に行ってますね。」

そして私は部屋を後にした。階段を上りながら、あちらの世界で良からぬ事が起こってると認識した。

『あっちもあっちで大変なんだなぁ。』

⏰:07/08/10 20:29 📱:SO903i 🆔:3R7o9JYw


#878 [向日葵]
なんてったってセツナは長の息子。
それそれなりの責任とか、重圧とかあるんだろうな……。

なのに私に構いっ放しで大丈夫なんだろうか。

部屋についてベッドに勢いよく横になる。
ベッドのスプリングで少し体が浮いた。

明日もこんな調子だったらどうすればいいんだろ。
セツナがまた私のせいで怪我するのは嫌だなぁ……。

もんもんと嫌な事を思い出していると、階下からオウマ君の声がした。

と同時にセツナがドアを開けた。

⏰:07/08/11 00:46 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#879 [向日葵]
ガチャ

オウマ「待てよセツナ!まだ話終わって」

バタン

蜜「い、いいんです……か?」

セツナに聞いてみると、セツナの顔色がなんだか優れかった。
笑ってるけど目がどこか悲しそうで……。

セツナ「いいんだ。それより、俺は今から寝る。」

蜜「今からですか?」

セツナはボスッとベッドに横になる。
私はそれを見てならば部屋を出ようと思った。……が。

⏰:07/08/11 00:50 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#880 [向日葵]
クンッと服を引っ張られて部屋から出ていくのを許されるなかった。

セツナ「蜜。添い寝しろ。」

添い寝?
いつも勝手になったら寝てる癖に。

私がえー……って感じで見ていると、強制でベッドへ引きずりこまれた。

蜜「ちょ、制服シワになる!」

セツナ「気にするな。後でアイロンかければいいだろ。」

人事だと思ってこの人は…ったく…。
アイロンは面倒くさくて嫌いなんだよぅ!

⏰:07/08/11 00:55 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#881 [向日葵]
セツナは満足して私をしったり抱きかかえると、私も眠らせ様とさせてるのか子供をあやす様に背中をポンポンと優しく叩く。

蜜「ちょっと…私は寝ませんよ。」

セツナ「蜜の寝顔見ながら寝たいから寝ろ。命令。」

横暴反た―――い!!!!

でも早く寝ないとこの手からは逃れられそうもない…。私はなんとかして寝ようと試みる。

セツナを見てみると、まだ瞳には憂いが残ってる様に感じられた。

⏰:07/08/11 00:59 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#882 [向日葵]
ソッとセツナの顔に指先を触れる。
でも憂いは更に深まってしまった。

蜜「何か……ありましたか?」

セツナは何も答えない。
ただ私の背中を叩き、私を見つめ、悲しげの瞳で微笑むだけ。

何かを伝えたいの?
でも何を?

蜜「セツナ……?」

名前を囁くと、空間があった体は完全に密着し、セツナの腕の力が強まるだけだった。

セツナは黙って私が寝るのを待っている。
早く寝ろとせかされてる気さえした。

⏰:07/08/11 01:04 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#883 [向日葵]
私は目を閉じ、セツナの体温と息遣いに耳をすませた。

それだけで充分眠気はやって来る。
でも何故か寝たくなんかなかった。

いつも寝る時はセツナの暖かい笑顔を見てから寝るのに、今日はこんな寂しげな顔を見てから寝なくちゃならないなんて。

後から気付いた。





これは警鐘だったんだ……。


私はゆっくりと眠りへと誘われていった……。

⏰:07/08/11 01:07 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#884 [向日葵]
最後にセツナが何か言った。
聞かなきゃならなかったのに、起きてからでいいやって思って私は眠気に身を任せた。





――――
――――――――
……

蜜「ん……んー……。ん?」

あれ?今何時だろう。
携帯携帯……。

……待って。
それどころじゃない。

⏰:07/08/11 01:10 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#885 [向日葵]
蜜「セツナ……?」

隣にいたハズのセツナが




いない。

胸が不規則に動き始める。
落ち着いて。大丈夫。
きっと私が寝てるから気を使って下に行ったんだよ。

でも何故、胸騒ぎが止まらないの?

早歩きで下まで行き、リビングに続くドアを開けた。

―――でも。

⏰:07/08/11 01:13 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#886 [向日葵]
シー……ン。

リビングには暗闇独特の静寂しかなかった。

蜜「セ……セツナ……?」

ギシッ

後ろに誰かいる気配がして、期待を込めて振り向いた。

ラフィーユ「蜜。」

でもそこにいたのはクールな美貌を持った彼女と爽やかなオレンジ色の髪の毛をした青年だった。

蜜「ラフィーユ、オウマ君……。セツナを、知らない…?」

⏰:07/08/11 01:16 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#887 [向日葵]
二人は黙り込む。

それで分かった。

……セツナはいない。

蜜「なん、で……?だって普通に過ごしてたじゃない。……え?……ラ、ラフィーユ……?」

声が震えない様に、そう心がけたら言葉がたどたどしくなった。

半泣き状態でラフィーユに一歩近づく。
クールな彼女の顔に、緊張が走るのが分かった。

蜜「ラフィーユったら!」
半狂乱でラフィーユの腕をガシッと掴むと、オウマ君が停めに入る。

⏰:07/08/11 01:21 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#888 [向日葵]
いつも元気な笑顔の彼の顔は、水面の様に静かだった。

ラフィーユ「蜜。」

何かを決心したかの様にラフィーユは私の名を紡ぐ。そしてか弱そうな手が私の手に置かれた。

ラフィーユ「蜜。落ち着いて聞いて。」

そして悟った。
セツナの瞳の意味。

あれは、さよならを意味してたんだ……。

⏰:07/08/11 01:25 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#889 [向日葵]
チャプター14:別れの説明








リビングに電気をつけて、私はソファーに座った。

ラフィーユは横に。
オウマ君は背もたれをはさんで私の後ろにいる。

ラフィーユ「蜜。」

ラフィーユがもう一度私の名を呼んだ。

ショックで焦点の合わない目が必死にラフィーユを見つめた。

⏰:07/08/11 01:29 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#890 [向日葵]
ラフィーユは一回深呼吸すると話出した。

ラフィーユ「セツナ、いない訳、言う。いなくなったの、蜜、狙われてたから。」

だからって、何故セツナが?
分からない。
ホントに狙われてたからセツナは去ってしまったの?

ラフィーユは上手く話せない自分に困って、オウマ君に目を向ける。

オウマ「セツナ、またターヤに狙われてたんだ。それの囮として蜜がここ二日、危ない目に合ってたんだそうだ。」

それを伝えに来たのが、今日、あの時。ルキが言った。

⏰:07/08/11 01:34 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#891 [向日葵]
ルキは弱味を握られて、でも協力したくなくてターヤさんの目を盗んでセツナに伝えに来たらしい。

そして……私が部屋にいる間の会話がこうだった……。

――――………

一通りを話終え、セツナは二人の反応を見る。

オウマは驚き、ラフィーユは怒りを顔に示していた。

オウマ「また痛い目に合わせるか!」

腕を振りながらやる気満々に笑うオウマ。
それにラフィーユの厳しい目がいく。

⏰:07/08/11 01:37 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#892 [向日葵]
セツナ「いや。俺一人で解決する。」

その言葉に二人はセツナを見つめた。

オウマ「おいセツナ。蜜がいるんだろ?なら止めた方が……。」

セツナ「俺がここにいるせいで蜜にも被害が及ぶ……。少々時間は掛るが行くしかないだろう。」

セツナは過去二回のターヤが蜜に仕掛けた事を未だ悔やんでいた。
自分が守れなかったせいで、彼女はどれほど体に、心に……傷を負っただろう……。

ラフィーユ「そんな事する、蜜心配する。」

⏰:07/08/11 01:42 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#893 [向日葵]
セツナ「だから黙って出ていくつもりだ。……しばしの別れってやつだな……。」

でもこれで蜜が傷付かないで済むならそれでいい。
本当ならばもっと早くに決着をつけるべきだったんだ……。

セツナ「だから二人共。蜜の事、頼んだぞ。」


――――……

私は黙ってオウマ君の話を聞いていた。

蜜「そんな、しばらく別れなきゃいけない方法しかなかったの?!」

⏰:07/08/11 01:46 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#894 [向日葵]
オウマ「あちらに行けば完璧に狙われるのはセツナだ。しかもセツナはターヤのトコまで乗り込むらしいから尚更だろ。」

そんな……。

蜜「馬鹿みたい……。」

それで守ったつもり?

何が傷付けたら……よ。
セツナが急にいなくなった方が……よっぽど痛い。

蜜「変なトコ…不器用なんだから……。」


・・・・・・・・・・・・・・

部屋に戻り、空っぽになったベッドを見つめた。

⏰:07/08/11 01:49 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#895 [向日葵]
さっき。
ついさっきここに一緒にいた。
なんであの目に気づいてあげられなかったんだろう。
今更後悔しても仕方なかった。

涙は不思議と出なかった。

しばしのお別れの理由が嫌いになったからじゃなかったからかもしれない。

それでもやりきれないこの気持ちを押しつけるのは、目の前にあるベッドをしたたか殴るしかなかった。

殴る度に埃と一緒にセツナの香りがしたのが、より私を虚しい気分へと落としていくのだった。

⏰:07/08/11 01:54 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#896 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/11 01:55 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#897 [向日葵]
―――
―――――……

いつの間にか、眠りに落ちていた。
体がダルイ…。学校、行かなきゃ……。

しまった。
制服のまんま寝ちゃったか。

[アイロンかければいいだろ。]

蜜「……。」

とりあえず、お風呂に入ろう。

キュッキュッ……
シャァァァァ……

⏰:07/08/11 23:23 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#898 [向日葵]
カチャ

ラフィーユ「蜜!何してる!」

蜜「へ?」

あ、服着たままだ。
何してんだろう……。
いっか、シワ伸びるかも(笑)

ラフィーユはシャワーを止めて、バスタオルで私の全身を隈無く拭いてくれる。

ラフィーユ「顔色、良くない。今日は学校休め。」

蜜「大丈夫よ。行けるから。」

ラフィーユは私の頭を予め拭くとタオルを乗せて私の顔をジッと見つめる。

⏰:07/08/11 23:28 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#899 [向日葵]
この目知ってる。
怒ってるけど心配してる目。優しい気持ちがこもってる目……。

蜜「ありがとう…。でも本当に大丈夫だから。ラフィーユも学校行こう。」

それでもラフィーユは私の両方の目を交互に見つめる。
どうしても休めと言ってるらしい。
大丈夫。……大丈夫だから。

私はニコッと笑ってみせた。元気だと言う証拠を見せる為に。

蜜「行こう。ラフィーユ。」

⏰:07/08/11 23:37 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#900 [向日葵]
―――
―――――……

怪奇現象騒ぎは勿論無くなって、クラスには平和が訪れていた。

これでやっと高校二年生になった感じだ。

小川「お早う本山!」

蜜「あ…。お早う。」

私は小川君の後ろの席。左はラフィーユ。オウマ君はその後ろ。

蜜「……。」

そして右には……。
いたんだ。昨日まで。

小川「……本山?」

その声に、自分の世界から引き戻された。
まだ頭がぼんやりしてる。

蜜「…何?」

⏰:07/08/11 23:49 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#901 [向日葵]
どうして皆そんな心配そうな顔ばっかするの?
あ、そっか。
私が原因か。

しっかりしないと。
永遠の別れなんかじゃない。

蜜「小川君。一時間目、何だっけ?」

小川君の目は、何かを聞きたそうだったけど、すんでの所で止めたみたい。

小川「日本史だよ。」

蜜「そっか。一時間目からはキツイなぁ。」

しっかり……。

だから私はまた会う時までは、その名前は呼ばない。

⏰:07/08/12 00:03 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#902 [向日葵]
空を見上げた。
今日も青空。

あの漆黒の羽の君は
またいつの日にか……。

・・・・・・・・・・・・・・

そして私はいつの間にか3年生になろうとしていた。
意外にも早く過ぎて行った。
ラフィーユ達も約束を守って私の側にずっといてくれて、寂しくはなかった。
時々思い出すあの姿は、少し悲しさを伴う事もあった。


でも胸には“いつか会える”。
それだけを信じて乗り越えて行った。

⏰:07/08/12 00:16 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#903 [向日葵]
『月、綺麗……。』

自分の部屋で、真っ暗のままベッドの上に座って星が一杯の空を見上げる。

そういえば、髪の毛伸びたなぁ。
そろそろ切るべき?
でもラフィーユみたいに長くもしてみたいしなぁ。

コンコン

ラフィーユ「蜜。いいか?」

ノックした相手は今正に憧れていた対象のラフィーユだった。
珍しい。
ラフィーユが私の部屋を訪ねるなんて、これまで2、3回くらいしかなかった。

⏰:07/08/12 00:22 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#904 [向日葵]
蜜「入って。」

ラフィーユは静かに入って来て、ドアに立ったままもたれた。

ラフィーユ「眠れないのか?」

蜜「んー…。ちょっとね。月が綺麗って、思ってただけ。」

ラフィーユはクスッと笑ってベッドまで近づいて、側に座った。

蜜「ラフィーユ…?」

ラフィーユ「泣いても、いい…。」

……え。

ラフィーユも月を見上げる。
月の光に照らされた白い肌がとても綺麗だと思った。

⏰:07/08/12 00:28 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#905 [向日葵]
ラフィーユ「正直、一年前、泣かなかったの、驚いた。」

一年前……。
その姿は、完璧の様で朧気だ。

ラフィーユ「私の、喋り方おかしい訳、話すな。」

それはラフィーユがまだ5つの時の話。

ラフィーユは親に捨てられたショックで言葉を無くしてしまった。

そんな時、いつも側にいてくれたのがオウマ君だった。

喋れなくてもまるで会話してる様に毎日を楽しく過ごした。

⏰:07/08/12 00:33 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#906 [向日葵]
ラフィーユ「そんなある日、私、声出た。……でも。」

喋り方を忘れてしまった。

ぎこちない単語の繋ぎ合わせは、笑われる対象にもなった。

ラフィーユはまた口を閉ざしてしまった。

ラフィーユ[皆笑う。なら声なんていらなかった。これじゃ……]

オウマにも笑われてる。

そこへ、オウマ君がやって来た。

オウマ[よ!ラフィーユ!]

⏰:07/08/12 00:36 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#907 [向日葵]
逃げたかった。
笑われる。

オウマのさげずむ笑い顔なんて見たくなかった。

持たれて座ってた壁から立ち上がって、ラフィーユはその場を逃げようとした。

オウマ[ラフィー待って!]

ラフィーユはピタッと止まる。
ラフィー……?

オウマ[何で、今日、喋らないの?]

おずおずとオウマの方へ振り向く。

⏰:07/08/12 00:47 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#908 [向日葵]
ラフィーユ[私、喋り方、変だろ……?]

怖くて目を瞑った。
オウマもきっと笑う。
せっかくずっと側にいてくれたのに。

これじゃ、喋れない方がマシだった……。

オウマ[変って……何で?ちゃんと気持ちは伝わってくるよ?]

私は目を開く。

オウマ[だから、もっと一杯喋ってよ!ラフィー!!]

私はラフィーユの話を黙って聞いてた。
ラフィーユは月を見つめたままだ。

⏰:07/08/12 01:02 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#909 [向日葵]
ラフィーユ「私にとって、オウマ大切。蜜もそうだろ?」

ダメ、その名は言わないで。次に会うまでは言わないって決めてたの……っ。

ラフィーユ「蜜にとって、セツナ大切。大切な人いない。それは一番辛い事。だから我慢する、よくない……。」

溢れ出した。
名前を形にした瞬間、全ての決心が粉々に砕け去って行った。

頬に熱く、そして冷たい滴が流れて行く。

蜜「ひ……っどいなぁ……ラフィーユ…。言っちゃうんだもん名前……。」

⏰:07/08/12 01:10 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#910 [向日葵]
喉の奥で息が絡まる。

呼吸が上手く出来なくなる。

蜜「寂し…。で、も…永遠の…別れじゃないからって……私の為だからって思って……ひ、ひ……っしで押し殺して……。」

何度も悲しみに体が押し潰されそうになって、それでも踏ん張って……。

蜜「早く……会いたい……。声……聞き、た……。」

ボロボロ哀れに落ちる涙を、ラフィーユは綺麗な長い指で拭ってくれる。
そして細い腕で私を優しく包んでくれた。

⏰:07/08/12 01:18 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#911 [向日葵]
ラフィーユ「大丈夫。きっと会える。だから今日だけ、沢山泣け。」

蜜「……っう、ぇ……。」

明日も元気に笑えるように、今日は沢山泣こう。
そして明日からまたセツナに会えるまで涙は決して流さない。

蜜「会いたい……セツナァ……。会いたいよぉ…っ!」

ラフィーユ「会える。また会える。」

早く、早く会いに来て。セツナ……。

⏰:07/08/12 01:28 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#912 [向日葵]
小川「おはよう!」

次の日。
小川君はいつもの様にニコッと笑って私に挨拶してくれた。

蜜「おはよっ。」

いつも通り席に着いて、教科書を出す。
すると小川君は私の顔をジッと見つめる。

蜜「?何?」

小川「なんか本山元気そう。何かあった?」

⏰:07/08/12 01:50 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#913 [向日葵]
蜜「……。いつもと一緒だよ。」

朝起きたらとてもすっきりしていた。
いつも隣にいた姿とは違う、ラフィーユがずっと私を包んで一緒にいてくれた。

泣いた分だけ、気持ちが晴れ晴れてした。

ずっと、泣いても何も変わらない事実を知ってたから泣くのを堪えていた。

でも、大丈夫。
おかげで元気でいるコツを思い出したから。

⏰:07/08/12 01:55 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#914 [向日葵]
オウマ「蜜!客。」

呼ばれた方を見れば、それはまた久しぶりで懐かしい姿が。

蜜「ルキ……。」

ピンクの髪の毛をした美女がドアの所にいた。

私はルキの所まで行ってルキに笑いかける。

蜜「久しぶり…っ!元気だった?」

ルキもぎこちなくだけど笑い返してくれた。

⏰:07/08/12 01:59 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#915 [向日葵]
ルキ「貴方も、元気そうで。少し……変わりましたわね……。」

外見的にも私は少し変わった。肩につくかつかないかまでの髪の毛は背中の真ん中辺りまで来ていたし、身長も少しだけ伸びていた。

蜜「どうかー…した?」

ルキの顔から微笑みが消え、少し憂いを含んだ厳しい顔になる。

ルキ「ずっと、謝りたかったんです。貴方に……。」
謝る。そんなの、もういいよルキ。
自分をそんなに責めないでいい。

⏰:07/08/12 02:07 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#916 [向日葵]
蜜「ルキ。いいの。私は……大丈夫。」

大丈夫。

この言葉を、ここ最近何度口にしただろう。
でも、これしか言えないの。

ルキ「だって私……っ貴方とセ」

そこで私は片手でその先を止めた。
ルキは少し驚いて口を閉ざす。

蜜「いいんです。会えるなら……いつまでも待てますから。」

例えそれが何十年先でも、また昨日みたいに泣いてしまうかもしれない。

⏰:07/08/12 02:12 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#917 [向日葵]
それでもいいの。

ルキ「私、来週の卒業式で、あちらに帰るんです。」

蜜「…えっ?!」

そんな……っ。

私の表情を読み取ったルキは、初めて私に温かい微笑みを向けてくれた。

ルキ「また、会いに来ますわ…。だから貴方も元気で……。」

するとルキは優しく私を抱き締めた。

ルキ「沢山ごめんなさい。そして……ありがとう。」

⏰:07/08/12 02:17 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#918 [向日葵]
ありがとう……。

ルキ、そんな言葉……勿体無いよ…。


――――
―――――……

私はあの山にいた。
秘密基地。

オウマ君が連れて来てくれた。
ラフィーユも一緒だけど、そこら辺を見てくると飛んで行ってしまった。

オウマ君はまだ隣にいる。

もう秘密基地じゃなくなっちゃったね……。

⏰:07/08/12 02:23 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#919 [向日葵]
蜜「ねぇオウマ君。」

私は隣の彼に話かける。

オウマ「ん?何?」

明るい声に、何だかホッとしてしまった。

蜜「私と同じ立場にラフィーユがたたされたら、オウマ君はどうする?」

ザアァァァ……

寒風が私達を包む。
ここから見える景色に木の葉が流れていくのが分かる。

オウマ「きっと同じ様にしていたよ。だってラフィーが大切だもん!」

⏰:07/08/12 02:26 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#920 [向日葵]
彼はニカッと笑う。
まるで私を元気づける様に。
その心使いがとても嬉しい。心配してもらえる自分が、少しだけ、誇らしい……。

蜜「ラフィーユには、好きって言わないの?」

そこでオウマ君は困った顔をして唸り始めた。

何か難しい質問でもしちゃったかな?

オウマ「やっぱり言わなきゃいけないのかなぁ。」

⏰:07/08/12 02:30 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#921 [向日葵]
思わず目が点になってしまった。

蜜「つ、伝えないつもり……だったの?」

オウマ君は頭をバリバリかきながら「んー…。」とまた唸りだす。

オウマ「だって伝わってると思ってるから別に今更、みたいな……。」

今更って……。
ホントに気楽に考えてるんだなぁ…。

なんだかおかしくて、プッと吹き出してしまったら、オウマ君が少しだけ怒った。

オウマ「な、なんだよー!」

⏰:07/08/12 02:35 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#922 [向日葵]
蜜「口にしなくちゃわからないことだってあるんだよ?なのに良いの?言わないままで。」

オウマ君は「うっ」と唸るとフゥっと溜め息を吐いた。
しばしの沈黙が流れる。
そしてまた、会話が始まる。

オウマ「恐いんだよね。関係が崩れるの。」

それはとても人間らしい答えだった。
何故か問う前に、オウマ君が口を開く。

オウマ「ラフィーの喋り方について、話聞いた?」

私は二回相槌を打つ。
それを見てからオウマ君は続けた。

⏰:07/08/12 02:43 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#923 [向日葵]
オウマ「やっと喋った!って思ったらさ、逃げようとするんだもん。それはね……びっくりしたし辛くなって思わず呼び止めたよ。」

あぁあの時かぁと私は思い出していた。
ラフィーユが喋り方に抵抗して、その場を去ろうとしていた時だ。

オウマ「気持ちを伝える事で、そんな感じに避けられたら……やっぱり、悲しい……。ラフィーユの場合は、やっぱり小さい頃から知ってるし、大事だから、その分余計……な。」

語った事が少し恥ずかしかったのか、顔を少し赤くしてまたニカッと笑った。

⏰:07/08/12 02:50 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#924 [向日葵]
男の子って、意外にも女の子よりもロマンチックで、自分達が考えてるよりも自分を大切にしてくれる。

…貴方もそうだった。

意地悪も愛情の裏返し。
分かってた。
だから優しく温かく笑ってくれた時にはすごく嬉しくて、好きがもっと好きになった。

私はぼんやりと海を見つめた。
もう灯台が点き始めていて、海を照らす。

そんな私をオウマ君はワシャワシャと撫でてくれる。ちょっと乱暴かも……。

オウマ「お前は、しっかり伝えたか?」

⏰:07/08/12 03:01 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#925 [向日葵]
蜜「…ん〜。つもりだけど、伝わってるといいなぁ。」

オウマ「ならお前も俺と同じようなものじゃねーか!」

蜜「違いますよ!私はちゃんと口にしてました!」

睨み合いをしていたら、オウマ君の口の端がヘニョッと曲がる。
そしてまた笑顔になった。

オウマ「やっぱり蜜はこうでないとな!」

蜜「え?」

オウマ「近頃今みたいに怒鳴ってなかったから。」

⏰:07/08/12 03:05 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#926 [向日葵]
私はプッと笑ってしまう。

蜜「そこまでしょっちゅう怒鳴ってませんけどね。」

オウマ「どーだか!」

蜜「とりあえず!口にはするべきですよ。伝えるのも真剣にね!」

オウマ君はハイハイと適当に返事をした。

ホントに分かってるのかな……。

長くなった髪の毛が、風になびいて顔に巻き付いてくる。

蜜「あー邪魔だなぁ。もう切っちゃおっかな。」

⏰:07/08/12 03:10 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#927 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/12 03:10 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#928 [向日葵]
オウマ「いいじゃん。そのままで。帰ってきたら驚くぞ!」

オウマ君もラフィーユも、名前を呼ばない私に気づいていて、名前は隠してくれる様になった。

その気遣いが、また嬉しい。

蜜「そうだといいけど。」

そこへラフィーユが帰ってきたらしく、黒い夜闇のような羽が現れた。

ラフィーユ「もう風冷たい。そろそろ帰る。」

⏰:07/08/12 12:26 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#929 [向日葵]
蜜「うん。そうする。」

ラフィーユは私を軽々と抱き上げると、山を一気に抜けて上空に出る。

オウマ君は少し離れて後ろを飛んでいる。

ラフィーユの横顔を見ながらさっきのオウマ君の話を思い返していた。

そしてラフィーユに聞いてみる。

蜜「ねぇラフィーユ。」

ラフィーユ「ん?」

蜜「オウマ君にラフィーユが好きって告白されたらどうする?」

⏰:07/08/12 12:30 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#930 [向日葵]
ラフィーユはまるで告白と言う単語を初めて聞いた様な不審な目で私を見てくる。

ラフィーユ「オウマが私を?それ、一番ない。」

え?!
ない?!

蜜「だって、大切って……!」

ラフィーユ「友として、だ。それに、オウマが私、好きな訳、ない。」

……今日オウマ君に釘刺して良かった。
じゃなきゃ一生気持ち伝わらない事になってたかも。

私はその話を終える為に「そっか」と言って締めくくった。

⏰:07/08/12 12:36 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#931 [向日葵]
まだ少し夕焼けが空に残ってる。

また明日が来る。

待っててもそれは長い長い道で、少し疲れる気もする。

そんな時は、決まって会えた時の自分を想像する。

そうすれば、待つ事なんて、どうってことないよ。

ね……セツナ……。

⏰:07/08/12 12:40 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#932 [向日葵]
――お知らせ――

黒蝶・蜜乙女はスレッド数が足りないので、に移らせてもらいます

は完結に近づくので、お話的には少ないですがご了承くださいm(__)m

⏰:07/08/12 12:43 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#933 [向日葵]
お話別ではありませんが安価です。
よければご利用下さい


>2>-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-940

⏰:07/08/12 12:52 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#934 [向日葵]
ひとつやり直し

>>2-100

⏰:07/08/12 12:52 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#935 [向日葵]
>>1-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600
>>601-651
>>700-750
>>751-800
>>801-850
>>851-900
>>901-940

⏰:07/09/06 21:43 📱:SO903i 🆔:jlgEr3Lg


#936 [小説案内人]
あげときます

⏰:07/10/29 22:35 📱:N703iD 🆔:tCqBh5LQ


#937 [我輩は匿名である]
>>450-500

⏰:07/10/31 14:09 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#938 [我輩は匿名である]
>>300

⏰:08/08/06 23:24 📱:W51P 🆔:4W654ZfA


#939 [我輩は匿名である]
>>350

⏰:08/08/06 23:25 📱:W51P 🆔:4W654ZfA


#940 [我輩は匿名である]
>>380

⏰:08/08/06 23:26 📱:W51P 🆔:4W654ZfA


#941 [我輩は匿名である]
>>400

⏰:08/08/06 23:27 📱:W51P 🆔:4W654ZfA


#942 [我輩は匿名である]
>>450

⏰:08/08/06 23:28 📱:W51P 🆔:4W654ZfA


#943 [我輩は匿名である]
>>500

⏰:08/08/06 23:29 📱:W51P 🆔:4W654ZfA


#944 [我輩は匿名である]
>>600

⏰:08/08/06 23:33 📱:W51P 🆔:4W654ZfA


#945 [sage]
>>652-699

⏰:08/09/06 21:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#946 [なな]
>>1-50
>>50-100
>>100-150
>>150-200
>>200-250
>>250-300
>>300-350
>>350-400
>>400-450
>>450-500

⏰:08/11/09 16:32 📱:W62SH 🆔:CaaoJMuE


#947 [我輩は匿名である]
>>1-40
>>41-80
>>81-120
>>121-160
>>161-200
>>201-240
>>241-280
>>281-320
>>321-360
>>361-400

⏰:08/11/09 21:46 📱:W51SH 🆔:☆☆☆


#948 [我輩は匿名である]
>>401-440
>>441-480
>>481-520
>>521-560
>>561-600
>>601-640
>>641-680
>>681-720
>>720-760
>>761-800
>>801-840
>>841-880
>>881-920
>>921-960

⏰:08/11/09 21:49 📱:W51SH 🆔:☆☆☆


#949 [まりか]
失礼しますっ

>>501ー600
>>601ー700
>>701ー800
>>801ー900
>>901ー1000

⏰:08/11/09 22:32 📱:F905i 🆔:BkMvE5XE


#950 [まりか]
↑失敗
今度はちゃんと
できますように

>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/11/09 22:37 📱:F905i 🆔:BkMvE5XE


#951 [ひな]
あげます(^^)

⏰:09/05/16 11:49 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#952 [あき]
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000
あげ(´`)

⏰:09/07/25 09:38 📱:N02A 🆔:NPimNL/k


#953 [あき]
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000
第二幕
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/5476/

⏰:09/07/25 09:41 📱:N02A 🆔:NPimNL/k


#954 [偽 ア リ ス 。]
あげ(´`)

⏰:09/07/31 15:47 📱:N02A 🆔:9eV765GE


#955 [我輩は匿名である]
>>651-700
>>701-750
>>751-800
>>801-850
>>851-900
>>901-950

⏰:09/08/07 12:03 📱:N703iD 🆔:☆☆☆


#956 [*]
∩^ω^∩∩^ω^∩

⏰:09/10/11 00:57 📱:N02A 🆔:4Km8bYrc


#957 [ひな]
あげ(*´`*)

⏰:09/12/07 01:40 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#958 [ひな]
あげ(*^□^*)

⏰:10/01/10 11:51 📱:N905i 🆔:☆☆☆


#959 [我輩は匿名である]
あげあげあげ
これおもろいwww

⏰:10/01/13 00:25 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#960 [我輩は匿名である]
失礼します!

>>1-100

⏰:10/01/13 12:13 📱:F03B 🆔:HCvuuO5c


#961 [*]
あげます(*´・ω・`)
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-1000

⏰:10/01/24 01:20 📱:N02A 🆔:Q9Ft8Mzk


#962 [(=゜ω゜)ノ]
あげ☆

⏰:11/02/14 00:26 📱:F02B 🆔:☆☆☆


#963 [我輩は匿名である]
あげるー

⏰:14/10/17 23:04 📱:BlackBerry 🆔:lxgzq.TM


#964 [&◆JJNmA2e1As]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/01 18:29 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#965 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑

⏰:22/10/01 21:52 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#966 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/01 22:14 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#967 [○○&◆.x/9qDRof2]
∩゜∀゜∩age

⏰:22/10/01 22:14 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#968 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age↑(´∀`∩)↑age↑\\\\٩(๑`^´๑)۶////

⏰:22/10/01 22:14 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#969 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(。•ᴗ•ฅ)↑age↑

⏰:22/10/01 22:14 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#970 [○○&◆.x/9qDRof2]
(☝ ^ิω^ิ )☝

⏰:22/10/01 22:15 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#971 [○○&◆.x/9qDRof2]
[完]⏮️○○Q ʕ•̫͡•ʔ♪。.:*・゜

>>200-300
>>300-400
>>400-600
>>600-800

⏰:22/10/01 22:15 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#972 [○○&◆.x/9qDRof2]
💟😘(っ'-')╮=͟͟͞͞♡💕好き♡😳💕💟

⏰:22/10/01 22:15 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#973 [○○&◆.x/9qDRof2]
      ∩_∩
いいね✨ (๑ŐωŐ๑) ✨いいね
💖+。⌒Y⌒∪⌒∪⌒Y⌒。+💖

⏰:22/10/01 22:15 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#974 [○○&◆.x/9qDRof2]
|∧▸◂∧""
| *¯ ³¯)ちゅ✨
|⊂ノ

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#975 [○○&◆.x/9qDRof2]
🎃*🎶.。.♡:*・🦇:*・゚🎃*🎶.。.♡
🎃*🎶.。.♡:*・🦇:*・゚🎃*🎶.。.♡

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#976 [○○&◆.x/9qDRof2]
○Oo★⌒☆oO◯★⌒☆○Oo
○Oo★⌒☆oO◯★⌒☆○Oo

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#977 [○○&◆.x/9qDRof2]
🌹 ゚🥀 ゜゚ 🌹£+:。.。:+£🌹 ゚🥀 ゜゚ £+:。.。
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#978 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#979 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#980 [○○&◆.x/9qDRof2]
[完]⏮️○○Q ʕ•̫͡•ʔ♪。.:*・゜

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#981 [○○&◆.x/9qDRof2]
[完]⏮️○○

>>200-300
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#982 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#983 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#984 [○○&◆.x/9qDRof2]
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     °*.* 💖
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#985 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#986 [○○&◆.x/9qDRof2]
 __________
 | ( ^o^)ノ  おやすみー
 |\⌒⌒⌒ \
  \|⌒⌒⌒⌒|

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#987 [○○&◆.x/9qDRof2]
もう寝るお
バタンキュー

〃∩ ∧_∧ 
⊂⌒つ〃-ω-)つ

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#988 [○○&◆.x/9qDRof2]
   ∧∧ おやすみ・・・
  (*・ω・)
  _| ⊃/(___
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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#989 [○○&◆.x/9qDRof2]
ネヨウ
   ∧_∧___
  /(*゜−゜) /\
/| ̄〇〇 ̄|\/
 |____|/

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#990 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#991 [○○&◆.x/9qDRof2]
[完]⏮️○○Q ʕ•̫͡•ʔ♪。.:*・゜

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>>300-400
>>400-600
>>600-800

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#992 [○○&◆.x/9qDRof2]
[完]⏮️○○Q ʕ•̫͡•

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>>300-400
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>>600-800

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#993 [○○&◆.x/9qDRof2]
[完]⏮️

>>200-300
>>300-400
>>400-600
>>600-800

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#994 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#995 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#996 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#997 [○○&◆.x/9qDRof2]
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#998 [○○&◆.x/9qDRof2]
┻┳| 閉めますよ |┳┻
┳┻|_∧     ∧_|┻┳
┻┳|・ω・)   (•ω•|┳┻
┳┻|⊂ノ     \つ|┻┳
┻┳|∪      し|┳┻

⏰:22/10/01 22:19 📱:Android 🆔:rYsbLV12


#999 [○○&◆.x/9qDRof2]
[完]⏮️○○Q ʕ•̫͡•ʔ♪。.:*・゜

>>200-300
>>300-400
>>400-600
>>600-800

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#1000 [○○&◆.x/9qDRof2]
[完]⏮️○○Q ʕ•̫͡•ʔ♪。.:*・゜

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#1001 [我輩は匿名である]
このスレッドは 1000 を超えました。
もう書けないので新しいスレッドを建ててください。

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