黒蝶・蜜乙女
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#211 [向日葵]
顔赤くなるな赤くなるな!!と念じても無駄な抵抗。
一気に赤味が差していく。
綺麗に形どられた唇を私は見つめる。
この唇にいつも……。
カアァァァァ!
私は頭をブンブン振った。振りすぎてくらくらするくらい。
そしてやっぱり目は唇に。
蜜「タヌキ寝入りしてませんよねぇ……?」
セツナ「スー……。スー……。」
:07/07/14 10:44 :SO903i :sQA2iImQ
#212 [向日葵]
寝ていると信じて空いてる手をあげると、指先で唇をスッとなぞる。
―――ドクン…。
セツナ[お前は俺を求めてるんだよ。]
―――ドクン…。
バレンタインデーの時のセツナの言葉が頭をよぎる。
―――ドクン…。
私は引き付けられる様にセツナに近付いた。
一瞬、寝てるセツナを見つめてから自分の唇をそっと付けた。
―――ドクン…。
:07/07/14 10:51 :SO903i :sQA2iImQ
#213 [向日葵]
そして離れる。
セツナは未だ寝息を立てている。
蜜「――――っ!!!」
私――っ。何した今……。
自分から……進んで……。―――そんな!!まさか!!
あれほど変態にはなりたくなかったのに!
腕はまだ掴まれている。
私は自分でも気付かないくらい引き返せないトコまで来てる。
まだお泊まり始めて数時間。その矢先に私はセツナに対しての自分を再確認してしまった。
もう、抑えるなんて事…私には無理なんだ…。
:07/07/14 10:58 :SO903i :sQA2iImQ
#214 [向日葵]
――――
――――
一旦キリまぁす
:07/07/14 10:59 :SO903i :sQA2iImQ
#215 [向日葵]
チャプター3:様子
俺はセツナ。
話してなかったけど黒蝶族の長息子。自然界で結構上の地位にいる存在だ。
そんな俺は蜜と言う運命の相手、“蜜乙女”の恋人である。
今回俺が主人公になった訳はその蜜の様子が昼寝から覚めた時からおかしい。
無意味に顔が赤いし、なんだかギクシャクしている。……まぁ可愛らしくて非常に結構なんだかなんだか気にくわない。
セツナ「おい蜜。」
蜜「は、はい!」
:07/07/14 13:08 :SO903i :sQA2iImQ
#216 [向日葵]
何故ビクッとする……。
セツナ「さっきからなんだその態度は。」
蜜「別に…?何でも……。」
そそくさと台所に行くと冷蔵庫を開け閉めしながら具材を取り出す。
どうやら昼食を作るらしい。
蜜は俺と目が合うとまた顔を赤らめてプイッと顔を背ける。
ほほう?
俺は蜜に近付いた。
その気配を感じとった蜜は固まってそろそろとこちらを向く。
:07/07/14 13:13 :SO903i :sQA2iImQ
#217 [向日葵]
蜜の顎をクイッと上に向かせて俺は蜜を見つめた。
セツナ「お前にそんな態度を取られる意味が分からんのだが?」
蜜は目をあちこちにやって考える。
どうやら焦ってるらしい。
―――――
一方こちら元の主人公蜜。
何故様子がおかしいって?そりゃさっきあんな事して自分の気持ち再確認してなんだか恥ずかしいからに決まってるじゃない!
セツナはそんな事これっぽっちも知らないから段々イライラしてるのが分かる。
:07/07/14 13:18 :SO903i :sQA2iImQ
#218 [向日葵]
蜜「な、なんでもありませんからっ!気にしないで下さい!」
―――――――――
蜜「な、なんでもありませんからっ!気にしないで下さい!」
気にするなだと?
元に戻り俺。
ほっとけと言うのかお前は。
セツナ「何なんだ。俺を焦らして楽しいのか?」
蜜「違いますっ。自分で解決したいだけであって…。時間が……欲しいのです。」
:07/07/14 13:23 :SO903i :sQA2iImQ
#219 [向日葵]
ほー。これまた可愛い顔をしてくれる。
セツナ「フッ。仕方ない。じゃあ時間をやろう。」
すると蜜はホッとしたのか微かに微笑む。
その顔にまた俺はそそられる。
セツナ「蜜。」
名を呼ぶと蜜は目をこちらに向ける。
俺は蜜に唇を重ねた。
少し蜜が震える。
キスをすると俺の口内は蜜の“蜜”が甘く広がる。
いや、“食事”の事なんてどうでもいい。
:07/07/14 13:47 :SO903i :sQA2iImQ
#220 [向日葵]
すいません
訂正です
>>215の
黒蝶族の長息子になってますが
長の息子です
――――
――――
蜜との距離を縮める為に俺は蜜に唇を重ねる。
俺が蜜をどれだけ想ってるか知らせながら……。
唇を離すときっと蜜はいつもみたいに怒った様な恥ずかしがった表情をするだろう。
それがまたいい。
しかし今回は違った。
目を見開いて赤い顔が更に赤くなっていく。
:07/07/14 14:50 :SO903i :sQA2iImQ
#221 [向日葵]
セツナ「蜜……?」
すると蜜はハッとして顎にある俺の手をやんわりと外した。
蜜「火…使ってるんで、あっちで大人しくしててください…。」
蜜は背中を向けるが、耳まで真っ赤になっている。
ますます虐めたくなるが、蜜の不興を買うのはご免だから俺は素直にソファに座った。
・・・・・・・・・・・・・・・
コトッ
テーブルに出来た料理を置く音がした。
:07/07/14 14:58 :SO903i :sQA2iImQ
#222 [向日葵]
セツナ「出来たのか。」
蜜「え?あ、ハイ。」
蜜はせわしなく米を口に運ぶ。
心ここにあらずなのかポロポロ溢す。
セツナ「蜜。ちゃんと食べろ。」
蜜「え?ぅおう!!」
落ちた米粒を拾うもまた異世界に飛び立つ蜜を俺はただ観察していた。
カシャン
蜜「ごちそー様…でした。」
蜜はこちらをチラリと見る。
:07/07/14 16:16 :SO903i :sQA2iImQ
#223 [向日葵]
セツナ「何だ?」
蜜「いえ……。別に。」
俺は立って蜜に近づく。
蜜はあたふたと逃げ場所を探すがその前に俺が追いついた。
セツナ「お前が時間をくれと言うから俺は待っているのにそう熱い視線を送られると聞かれたくなくても聞くぞ。」
蜜「熱い視線なんて送ってないです!」
セツナ「じゃあ何なんだ?」
蜜は「うっ」と唸った。
蜜「いつも…昼食が終ると“食事”の時間だから、また襲ってくるのかなぁー…って……。」
:07/07/14 16:25 :SO903i :sQA2iImQ
#224 [向日葵]
上目使いで赤い顔をして聞いてくるから、俺はやっぱり虐めたくなった。
セツナ「フーン…。蜜、そんなに早朝の“愛のくちづけ”が良かったのか?」
蜜は一歩下がって首を振る。
蜜「ち、違っ!違う!!」
ハァ…。そんな顔をするなよなぁ…。止めて欲しいならそんなに俺の心をくすぐらないでくれ。
セツナ「心配頂きありがとう蜜乙女。なら……。」
俺は蜜の腰に手を回して蜜を捕まえる。
セツナ「遠慮なく。」
:07/07/14 16:35 :SO903i :sQA2iImQ
#225 [向日葵]
唇を奪うと蜜は大人しくなる。怖がる様にセーターの胸元を掴む。
そんな蜜がまた愛しくて、つい加減が出来なくなる。
だからまたやってしまった。舌を徐々に蜜へ入れていくと蜜の体がビクッとした。
蜜「ハァッ……。」
蜜が苦しそうにしている。
いや、むしろもっと苦しくなれ。
唇の激しさを増すと、蜜が急にカクンと体を沈めた。
:07/07/14 16:43 :SO903i :sQA2iImQ
#226 [向日葵]
セツナ「蜜。大丈夫か?」
蜜「―――っ!」
蜜は顔全体を真っ赤にさせて俺を見つめる。
そして顔をうつ向いた。
ヤバイ…。その顔はヤバイ……。
すると蜜が胸に頭をもたげてきた。
セツナ「蜜?」
蜜「もうやめて……。」
……。
俺もここまでか。
蜜はあまり気持ちを言葉にしない。
だから実のトコ俺は気が気でなかった。
:07/07/14 16:49 :SO903i :sQA2iImQ
#227 [向日葵]
俺達は……実は運命じゃなかったのか?
でも俺は、お前以外考えられない。
蜜が息を深く吸って吐く。
いよいよ出ていけと言われるのか?
蜜「これ以上、心臓を壊さないで……。」
……え?
セツナ「蜜?」
顔を上げた蜜はまだほんのり顔が赤かった。
蜜「それでなくてもセツナがこの家に4日間いると思ったらドキドキするのに……。」
:07/07/14 16:53 :SO903i :sQA2iImQ
#228 [向日葵]
え?
別れの言葉じゃないのか?
蜜は口をもごもごと動かしながら聞けるか聞けないかくらいの音量で喋る。
蜜「私が…悩んでいたのは……。」
それからなんとも言えない蜜の話を聞いて、とりあえじ俺はホッとした。
セツナ「そんなものは自然だと言っただろう。」
蜜「だ、から。私は慣れないんですってば!それに…あんなこと…。」
セツナ「あんなこと?」
蜜は今度は顔が青くなった。両手で口を塞ぐ。
:07/07/14 16:59 :SO903i :sQA2iImQ
#229 [向日葵]
蜜「なんでも!なんでもありません!!」
セツナ「なら暴いてやろうか?」
とくちづけする気もないのに顔を近付ける。
蜜は観念したらしく俺の体を引き離した。
蜜「キ、キス……しました……。」
俺はキョトンとしてしまった。
セツナ「いつ?」
蜜「セツナが……寝てる……間。」
耐えきれなくなったのか蜜は顔を両手で隠した。
手の隙間からなんとか声を出す。
:07/07/14 17:05 :SO903i :sQA2iImQ
#230 [向日葵]
蜜「無性にセツナを恋しく思ったら体が勝手に動いたんです!ごめんなさい!!」
さらに俺は呆気にとられた。そして胸の内側から温かい何かが広がっていくのを感じた。
すると笑いが込み上げてきて手で口許を隠しながら声が出来るだけ漏れないように爆笑した。
ダメだ。俺は蜜を手放すなんて絶対出来ない。
こんな可愛いらしい生物が人間界にいるなんて!
セツナ「クク……クッ…、クククク……。」
蜜「ちょっとセツナ!なんで笑ってるんですか!!人が真剣に謝ってるのに!!」
:07/07/14 17:14 :SO903i :sQA2iImQ
#231 [向日葵]
――――
――――
休憩します(´・ω・`)
:07/07/14 17:16 :SO903i :sQA2iImQ
#232 [みか]
頑張ってください!
セツナが
とても可愛いですイぷ
:07/07/14 17:34 :W44T :9N3VqplQ
#233 [ゆき]
:07/07/14 18:31 :N902i :☆☆☆
#234 [向日葵]
みかさん
ありがとうございます
ゆきさん
安価ありがとうございました
:07/07/14 20:58 :SO903i :sQA2iImQ
#235 [向日葵]
セツナ「いや?別に。だから言っただろ?お前は俺を求めていると。」
蜜「あーそーですね…。」
俺はまだ笑いが収まらない。まったく俺をどこまで夢中にしたら気が済むんだコイツは。
あまりに俺が笑うものだから蜜が俺の脇腹を軽く叩いてきた。
蜜は「もう!」と唸る。
深呼吸してなんとか笑いを抑える。
セツナ「そんなに恋しいなら好きなだけ触ればいいじゃないか。」
:07/07/14 21:15 :SO903i :sQA2iImQ
#236 [向日葵]
蜜「結構です!ってか、お風呂場を掃除してきます!」
俺は片手をヒラヒラとして蜜を見送った。
そしてソファに深く座りながら昔に思いをはせた。
――――――――
丁度10歳を迎えた頃、蝶々の姿をした俺は人間界をフラフラと飛び、遊びまわっていた。
『人間界とはなんてつまらん。大体、父上が言ってた蜜乙女なんて出会えるハズがない。』
:07/07/14 21:23 :SO903i :sQA2iImQ
#237 [向日葵]
当の父上は蜜乙女には出会えなかったものの、近い存在な母上に出会い結婚した。
母上も元は人間で、今は立派な黒蝶族だ。
黒蝶族になる為の方法はまた今度お話しよう。
とりあえず、幼少の俺は暇を持て余していた。
……と。
ビィィィィン!
羽が何かに引っかかった。
「おやおや。黒蝶族の息子さんじゃないかい。」
セツナ「お前は…蜘蛛族のターヤ!」
:07/07/14 21:28 :SO903i :sQA2iImQ
#238 [向日葵]
蜘蛛族は自然界では裏切りの存在。
貪欲で意地汚い。
コイツは俺より2、3個上で人間界に根を張っている。
ターヤ「バカだなセツナ。まんまと俺の餌食になるとは。」
セツナ「俺を食したらどうなるか分かってるんだろうな!」
ターヤは何も気にせず網上をじわじわ歩いてくる。
『くそっ……!』
「お母さん。蝶々さんが蜘蛛に食べられちゃうよ?」
下から声がする。
視線を下に向けると、麦藁帽子を被った小娘が見上げていた。
:07/07/14 21:33 :SO903i :sQA2iImQ
#239 [向日葵]
「ほっときなさい。行くわよ。」
だから人間界は嫌いだ。
自然の法則とか無駄な定義を立てて俺達みたいな極々小さい生き物なんか助けようともしない。
俺もここまでか……。
っと思った瞬間、俺の体を何かがすっぽりと包んだ。
「怖かったよね。次は気を付けなきゃいけないよ。」
小娘が俺を助けてくれた。俺は空高く飛び上がる。
「蜜!行くよ!」
蜜「はぁーい!」
:07/07/14 21:37 :SO903i :sQA2iImQ
#240 [向日葵]
そう。
それが蜜だった。
『蜜……。』
名前だけ覚えて、俺はそれから8年間なんなく過ごしてきた。
―――そしてあの日だ。
屋上でひとっ飛びを終え、羽をしまう瞬間。俺は蜜に出会った。
最初はわからなかった。顔はおぼろ気にしか覚えていなかったし、何より1番最初は“蜜乙女”の匂いが強かった。
名前を聞いてから、蜜があの小娘だと何故か確信した。
:07/07/14 21:43 :SO903i :sQA2iImQ
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