黒蝶・蜜乙女
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#361 [向日葵]
蜜「じゃあ食堂で割り箸取りにいこっか。」

清「ウン。ありがとう!」

と言う訳でいざ食堂へ。

食堂は別館にあっていささか遠い。

着くと生徒でごった返していた。

清「うっはは〜…。いつもすごいよね。」

蜜「私、邪魔だからあっちにいるよ。」

指差したのは食堂から離れた階段近く。

清「おっけーおっけーぃ!じゃあ出来るだけすぐ行くから。」

⏰:07/07/20 01:33 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#362 [向日葵]
階段は食堂と違って静かだった。
少し生徒の声が聞こえるだけで人通りはなかった。

『…。そういえば……。』
セツナどうしたんだろう…。何か用事でもあったのかな。
ってかセツナは卒業したらどうするんだろ。
何かを偽って黒蝶族の所へ帰るのかもしれない…。

そしたら……私達は、どうなるんだろう……。

「――・・―・・・。」

蜜「?」

階上から話声が聞こえる。一回清の方を見て、まだ来ないのを確認しながら私はそろりと話声のする方へ近付いた。

⏰:07/07/20 01:40 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#363 [向日葵]
その声が確実となった。

ルキ「よくお考えくださいなセツナ。」

ルキだ!!

気づいて身を潜める。そして話相手はセツナと言うこと。手摺越しから姿を確認する。
確かに2人共いる。

セツナ「何を考えろと言うんだ?」

ルキ「わかりません?貴方のあの蜜乙女に対する気持ちは只単の“蜜乙女”としての感情しかありませんのよ。」

――っな!!なんてこと!!

ルキ「所詮人間と比べれば私達は動物本能が働きますもの。大好物を前にして目がクラんでいるだけですわ。」

⏰:07/07/20 01:45 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#364 [向日葵]
そんな事ない!!

セツナはちゃんと私を好きでいてくれてる。“蜜乙女”じゃなくて私“自身”を!!

セツナ「あぁ…。そうだな……。」











――――――え……。

今……なんて……。

セツナ[あぁ……。そうだな……。]

⏰:07/07/20 01:47 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#365 [向日葵]
ズルッ! ビタン!!

あまりの事に滑って手をついてしまった。
分かってる。2人が気付いた事くらい。

ルキ「まぁ!盗み聞きしてたんですの?!なんてはしたない!!」

最後を聞き終えるかいないかで私はその場から逃げた。

ルキ「お話すら最後までキャッ……!!」

セツナはルキを押し退けて蜜を追う。

セツナ「蜜!待てっ!!」


―――――そうだったんだ…。なぁんだ。そっかぁ。

⏰:07/07/20 01:52 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#366 [向日葵]
セツナ「蜜!」

追いついたセツナは私を引き止める。

蜜「……。何か?」

自分でも分かる。酷く冷たく無関心な目でセツナを見てる。

セツナ「さっきのは違う!まだ続きが」

パシッ

私はセツナの手を払い退けた。

あー…。笑える。

蜜「フ…フフフフ。私の“蜜”は最高だって?もう病み付きで私からは離れることすら出来ないって?」

⏰:07/07/20 01:56 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#367 [向日葵]
なんで信じてたんだろ。
好きって言われ慣れてないから有頂天になってたのかな?

そうだよね。この人達の「好き」の前に括弧付けで“蜜”が。が着くんだね。

蜜「そんな感想は一族に帰ってからしなさいよ!!セツナなんか大っ嫌い!!」

封印の言葉を解き放つ。
もう知らない。お別れだ。
私はセツナの顔を見ずにそこから離れる。

・・・・・・・・・・・・

清「蜜!お待たせぇっ!!」
蜜「ううん。大丈夫。早く戻ろう!!」

⏰:07/07/20 02:01 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#368 [向日葵]
平凡が……戻ってきた。

待ち望んだ愛しい日々。
やっぱり私はこうでなきゃ。

だから言ったでしょ?面倒に巻き込まれるのは嫌だって。……だって…

清「――そしたらぁ!その猫が蛇に…っ。……蜜?!」

気付かない内に、いくつもの水雫が私の頬を滑り落ちていた。

……だって、平凡から一旦抜けてしまったら前まで当たり前にあった特別が無くて寂しくなってしまう。

ねぇセツナ…。どうして私は“蜜乙女”として、貴方に出会ってしまったんでしょうね……。

⏰:07/07/20 02:05 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#369 [向日葵]
――――――――

今日はこれで終ります

⏰:07/07/20 02:06 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#370 [向日葵]
チャプター8:誤りと解する





カチャ…… パタン……。

蜜「ただーいまー…。」

1人言。家にはまだおばあちゃん達は帰って来てないみたい。

『目、痛い……。』

清が心配するから涙を拭いても拭いても後から出てきて厄介だった。

フワー……ン

蜜「……。あ、風さん。」

⏰:07/07/20 16:59 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#371 [向日葵]
風さんはニコニコ笑って私の周りをフワフワ飛ぶ。

蜜「風さん…。セツナの元に帰った方がいいですよ。」

風さんは小さな目をクリクリさせて私を見る。

蜜「もう……ここにはこないから……。」

ホントにあの言葉が違うなら、今頃撤回しに来るハズなのに……。それすら来ないなんて……。

私はフローリングに座りこんだ。

日が暮れていく。
あの山で見た夕日は綺麗だったのに…今じゃこんなに寂しいものになってしまった……。

⏰:07/07/20 17:09 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#372 [向日葵]
慣れなきゃ。ううん忘れなきゃ。

私は平凡平和な女子高生。彼氏なんか1度も出来た事は無い。

セツナなんて人だって知らない。一切、知らない……。

ポタタタタ

フローリングに小さな水溜まりが出来る。

蜜「せっかく抑えたのに……。」

涙が収まることなく次々と流れていく。

[馬鹿。]

どこかで忘れたい声が気がした……。

⏰:07/07/20 17:13 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#373 [向日葵]
―――――……

おばあちゃん達は無事に帰って来た。
お土産を一杯買って来てくれてとても嬉しかった。
疲れたのか今日はもう寝ると言って8時に床についてしまった。

私はその後夕飯の片づけとか、お風呂入ったりとか何気なく過ごしていた。

蜜「そろそろ私も寝よう……。」

明日って体育あったよね。用意して…宿題……あ、プリント。

時計を見るといつの間にかあれから2時間半が過ぎていた。

⏰:07/07/20 17:17 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#374 [向日葵]
もう…、明日しよう。
早く起きて、学校へ行こう。今日はくたびれた。

よろよろとベッドに歩いていく。
今日は満天の星が綺麗だ。

電気を消して、ベッドに入り、星を見ながら寝る事にしよう。

蜜「今は…カシオペアが見えるのかなぁ…。あ、カーテン半分だけ閉めておこう。」

その時だった。

ザァッ!

目の前を、黒い大きな影が横切った。

⏰:07/07/20 17:23 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#375 [向日葵]
思わずシャッてカーテンを両方閉めて、背中を向ける。

嫌だ……。
なんで?

ドン…ドンドン……。

セツナ「蜜。そこにいるんだろ。開けろ。」

私は答えなかった。
素早くベッドに行って布団を頭まで被った。

セツナ「オイ蜜!話を聞けよ!」

もういいから。消えて。私の前から姿を消して……。
セツナ「蜜!!」

魅惑の声に怒りが帯びる。でも私は答えない。

⏰:07/07/20 17:26 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#376 [向日葵]
むしろ両耳を塞ぐ。

傷つきたくないの。
もう沢山なの。

私に、構わないで……っ!

ドンッ!!

窓が割れそうなくらいセツナが叩く。

セツナ「そうしているといい。だがな蜜。お前を説得するまで俺は何度でも来てやるからな!」

その言葉を最後にセツナからの呼びかけは終わった。
どうやら帰ったらしい。

知らない。知らない!
来たって無駄だよ!!

……その窓を開ける日は、二度と来ない。

⏰:07/07/20 17:31 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#377 [向日葵]
そうこうしてると、私は眠りに落ちていた。

―――――……

ピピピピ ピピピピ

あ、アラーム…。朝だ……。

……いっけない!!今日早く行くんだった!!

超特急で支度して猛ダッシュで家を出た。

バタン!!

蜜「いってきます!……っ。」

言葉を失った。
いないハズの姿がそこにはあったからだ。

⏰:07/07/20 17:34 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#378 [向日葵]
そこにはセツナが塀にもたれていた。

名前を呼んではいけない。傷が開く…。

私は誰もいない様に振る舞い、セツナを無視した。

セツナ「蜜。」

足が止まりそうになるのを必死で動かしてセツナを更に無視した。

無駄だったけど、私は駆け足で学校まで行くことにした。セツナは空を飛べる。なんなく私に着いてくるだろう。

セツナ「蜜!返事くらいしろ!」

⏰:07/07/20 17:38 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#379 [向日葵]
振り返らなかったけど分かる。セツナは空を飛ばずに私と同じ様に走っている。

セツナ「オイ蜜!」

いくら呼ばれても決して返事をしない。

貴方なんて知らない。
私は平凡な女子高生。

そう言い聞かした。

やっとの事で学校に着く。下駄箱から教室に行こうとするとすぐそこにセツナがいた。

セツナ「いい加減にしないか。」

グッ!

⏰:07/07/20 17:41 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#380 [向日葵]
蜜「いたっ……!」

セツナの指が、私の手首に食い込む。
本気で怒ったらしい。

セツナ「話を最後まで聞かないか!1人で勝手に完結しやがって!!」

私は何も言わずに必死にセツナの手から逃れようとした。
しかしそれどころか指には更なる力が加えられていく。

セツナ「話を聞くまでは絶対に離さないぞ。」

それでも私は振りほどこうとした。

セツナ「どうやら聞く気は無いらしいな。」

⏰:07/07/20 17:46 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#381 [向日葵]
ガンッ!

蜜「痛いっ……。」

勢いよく下駄箱に私を押さえ付ける。

セツナ「いいな。手加減なんてしない。話を聞かないお前が悪いんだからな。」

そう言うとセツナは唇を強く押し付けてきた。

いきなりだったので息の準備が出来ていなかった。
苦しい……っ。

蜜「ぃや……っ!――ん…っ!!」

セツナの舌が私の舌を絡めとる。

⏰:07/07/20 17:50 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#382 [向日葵]
胸元をぐっと押しても、セツナはそれどころか下駄箱を利用して奥へと侵入してくる。

『頭が……くらくらして……。』

足がカクンとなっても腰に腕を回してキスを止めようとはしない。

セツナ「―――っ!」

セツナは私から離れた。
それは私が唇を噛んだからだ。

蜜「ハッ……やめ…てくだ……さ……ハッ…。」

カバンを抱き締めながら息を整える努力をする。

⏰:07/07/20 17:58 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#383 [向日葵]
蜜「今の……っ私は、こーゆー行動が…っ何より嫌ですっ!!」

足に意識させながらセツナの横を走りさる。

どうせっ朝ごはんなんでしょう?!
極上だもんね?!

ううん違う!!あれは知らない人!つまりこれはセクハラ!!
許せない……っ!!

そんな事を思いながら、心臓のドクドク言う音を聞いていた……。

違う!これは息があがってたから……っ!

違う!違う!何もかも違う!!

⏰:07/07/20 18:03 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#384 [向日葵]
――――――――

一旦キリます

⏰:07/07/20 18:03 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#385 [向日葵]
教室について自分の席についてから顔を伏せた。

平凡平凡平凡平凡!!!!

必死に呪文の様に唱える。
これ以上、私の気持ちを掻き乱すのはやめてよっ!!

―――――……

先生「本山ー。珍しいなぁ。お前が宿題忘れだなんて。もうすぐ学期末なんだから気引き締めていけよ。」

蜜「はぁい……すいません。」

職員室を出て、トボトボ廊下を歩く。

⏰:07/07/20 19:03 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#386 [向日葵]
なんてこと……宿題を忘れるなんて。
せっかく走ったのに…。

清「あ、いたいた!蜜ー!」

蜜「清。」

清「セツナ先輩が蜜を呼んでくれってさっきから教室にいるの。」

―――ドクン…。

蜜「嫌だ…。私、っ保健室行ってくる!」

清「ちょ、蜜ーっ!」

ガラガラ

保健医「おー。本山じゃないかぁ。どした?」

⏰:07/07/20 19:07 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#387 [向日葵]
この人は保健医のさっちゃん。

メガネ美人で栗色の長い髪の毛を1つに結んでる。
私はさっちゃんと仲良しなのだ。

蜜「さっちゃぁ〜ん…。ちょっとベッド貸してー…。」

さっちゃん「おーそうしな。どうやら気分が悪いらしいね。顔色悪いよ〜ん?」

私は保健室利用カードに記入してベッドへ向かった。
ボフッ!

さっちゃん「朝ごはん食ったのー?」

⏰:07/07/20 19:11 📱:SO903i 🆔:grPh0Y26


#388 [み]
あげますx+゜
頑張ってください
x∀')゙+.

⏰:07/07/21 18:40 📱:W44T 🆔:dyQW96gw


#389 [瑞希]
失礼します

>>230-300
>>301-350
>>351-400

⏰:07/07/22 00:38 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#390 [向日葵]
みさん
ありがとうございます
――――――――

蜜「それどころじゃなかった……。」

さっちゃん「だぁめよ〜?女の子なんだからぁ。体調管理はしっかりしないとー。」

「じゃね。」と言った後、さっちゃんは仕切りのカーテンを閉めてくれた。

私は靴を脱いでからベッドに潜りこんだ。
学校のベッドはシーツがパリッとしていて好きだけど落ち着かない。

『逃げても…無駄なんだろうけど……。』

⏰:07/07/22 01:22 📱:SO903i 🆔:YGtAsc/E


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