黒蝶・蜜乙女
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#300 [向日葵]
セツナが口を少し開ける。その時微かな吐息が口の中に入ってクラクラする。
『し、……舌…。……舌…。』
私は戸惑いながらなんとかセツナの口内へ入れる。
するとセツナの舌が私を絡めとる。
思わず目を見開いてまたギュッと瞑った。
背中がゾクゾクしてどうにかなりそうだった。頭がおかしくなりそう。
するとセツナが口を離した。
セツナ「まぁ物足りんが今日は合格だな。流石俺の花嫁殿。」
:07/07/16 19:11 :SO903i :9Zw9K4o2
#301 [向日葵]
も、物足りないですって?!
セツナ「次はもっと舌を出してもらわなきゃいけないな。」
蜜「つ、次…で、す…ってぇ……ハァ……。」
今は足に力が入らなくてセツナの腕に支えてもらっている。
漫画でよく目が渦巻きみたいになるのがあるけど、私は正に今その状態。
なんで私がこんな官能的な事をしなきゃいけないんだ。
セツナ「ククク……。少し激しすぎたかな?」
蜜「ハァ…大分……です、よ……。」
:07/07/16 19:20 :SO903i :9Zw9K4o2
#302 [向日葵]
――――
――――
キリますね(´・ω・`)
:07/07/16 19:21 :SO903i :9Zw9K4o2
#303 [向日葵]
こんなつもり私の人生設計図にはなかったハズ……。
厄介事は一切嫌いだったのにむしろ深みにハマっていってる。
セツナ「体調は如何かな?」
蜜「さいてー…。」
低く言うとセツナは笑う。どんだけ余裕なんだくそーっ!!
セツナ「いつもの場所までひとっ飛びしても平気か?」
蜜「いいですけどゆっくり頼みますよ……。」
セツナはクスッと笑うとおでこにキスした。
セツナ「了解賜った。」
:07/07/16 21:04 :SO903i :9Zw9K4o2
#304 [向日葵]
私を抱きかかえたセツナは木のてっぺん近くまで飛んで行った。
いつもみたいに木の枝に降ろしてくれるのかと思いきや、今日は抱いたまま枝に座る。
蜜「…。何故降ろしてくれないんですか?」
セツナ「護衛に決まってるだろ。」
護衛って……。また大袈裟な。とか言ったらまた怒られるんだろうな……。
どこか過保護なんだよねセツナって。
セツナ「アイツらって言うのは……。」
いきなりセツナが話出した。どうやら“アイツら”について聞かせてくれるらしい。
:07/07/16 21:28 :SO903i :9Zw9K4o2
#305 [向日葵]
セツナ「昔俺を殺そうとした奴らなんだ。そいつらは、地位は一番低いくせにずる賢くて、意地汚い。おまけに貪欲。」
セツナは海を見ながら今にも吐きそうなくらい気分悪そうな顔をした。
セツナ「自分達の利益の為ならなんでもするような最低最悪な奴らで、自然界でもほぼ追放の身にある。…………なのに、この辺をのさばっている。だから、緑や風達は脅えている。」
蜜「セツナは怖くないんですか?」
セツナは鼻をフンと鳴らした。
セツナ「黒蝶族がアイツら如きに脅えるか。」
:07/07/16 21:34 :SO903i :9Zw9K4o2
#306 [向日葵]
「でも」とセツナは続ける。
セツナ「お前は別だ。俺はいつだってお前が消えるのが怖い。」
―――ドキッ……
不意打ち……。卑怯だ…。
蜜「よっぽどセツナに酷いことされない限り、私は出来るだけ側にいますよ。」
セツナ「……ずっとではないのか。」
―――ドキッ……
蜜「ず、ずっと……いますよ。」
:07/07/16 21:45 :SO903i :9Zw9K4o2
#307 [向日葵]
セツナは安心した様に笑うと胸元に顔を横にして置いてきて私を抱き締めた。
わかった。
この人が可愛く見える瞬間は、こんな風に甘えてくれる時なんだ。
そしてそれを可愛く見える度、私はセツナにどんどんのめり込んでいって、愛しさが増して、どうしようもなくなってしまうんだ。
:07/07/16 21:52 :SO903i :9Zw9K4o2
#308 [向日葵]
チャプター7:訪問者
蜜「教科書良し。お弁当よし。あとー……戸締まりも良しっとー。」
同棲もどきを初めて3日目。今日は学校の日。
蜜「セツナー。風さん達は来ましたか?」
庭で腕組みしながら天を仰いでいるセツナに呼びかける。
セツナ「ったく何してるんだ。」
イライラしてるセツナの隣まで来て、私も同じ様に天を仰ぐ。
:07/07/16 22:06 :SO903i :9Zw9K4o2
#309 [向日葵]
するとそよ風と共に風さん達が来た。
セツナ「遅いっ!いつまで待たす気だ!!」
風さん達はびくびくして必死にお辞儀する。
蜜「セツナ!怒らないであげて下さいよ!」
私はポケットから袋を一つ開けてしていたリボンをといた。
中には小さめのクッキーをいくつか入れていた。
蜜「風さん達、食べれますか?」
次の瞬間クッキーはなくなってカワイイ笑い声と共に「ありがとう」と聞こえた。
:07/07/16 22:13 :SO903i :9Zw9K4o2
#310 [向日葵]
セツナ「蜜よ。俺にはそれはないのか。」
蜜「貴方食べないじゃないですか。」
セツナ「蜜がくれるならなんでも食べるさ。」
蜜「残りが少しあるからなんなら食べます?」
リビングに帰ると後ろから腕を掴まれてくるりと回って目の前にはセツナがいた。
蜜「ダンスはをするとは言ってないんですけど…。」
顎に手をやって顔をクイッと上げられた。
:07/07/16 22:19 :SO903i :9Zw9K4o2
#311 [向日葵]
セツナ「やはりこちらの方が嬉しいんだが……駄目か?」
蜜「イエスノーで聞かれるならばノーですけど。」
セツナ「そうかそれは残念だ。だが……俺の答えは分かっているな?」
そう言うと顔を傾けて唇を優しく押し付けた。
そして離す。
蜜「……。」
私は目をパチクリさせていた。
珍しい…。今日は軽いや。
その視線に気付いたセツナはニヤリと笑う。
:07/07/16 22:29 :SO903i :9Zw9K4o2
#312 [向日葵]
セツナ「足りなかった?」
蜜「さっさと学校行きましょう。」
セツナから離れてカバンを持ち、玄関へ向かう。
今日もいつもと同じ1日が始まる。
……そう思ってた。
・・・・・・・・・・・・・・
清「あ!蜜!!おっはよー!」
靴箱で清がいた。
蜜「おはよう。」
:07/07/16 22:38 :SO903i :9Zw9K4o2
#313 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/07/16 22:39 :SO903i :9Zw9K4o2
#314 [向日葵]
清「今日の英語のリ……」
清が言葉を失ったのは訳がある。私が目の前から忽然と消えてしまったからだ。
一方その私が何処へ行ったかと言うと、セツナに引きずられていたのだった。
蜜「ちょ、セツナ!いきなりなんですか!!」
セツナ「会いたくないやつがいる。」
……。なんかげんなりしてる。一体何が……?
と思っていると後ろから声が。
「セ―――ツ―――ナァァァァァァ!!」
:07/07/17 16:25 :SO903i :/DfXwmKc
#315 [向日葵]
クリクリした髪の毛が目についた。淡いピンク色でとても良い香り。
セツナ「ルキ!お前何故ここにいる!」
『ルキ?』
その少女は私より少し背が高くて可愛いと綺麗を両方持ってる子だった。
ルキ「研修ですわ♪それならばセツナ様のお近くがいいと思ったんですの!」
ルキがセツナに抱きついた時、はたと私と目が合う。
ルキ「あら?貴方は?」
蜜「へ?あ、あの蜜です。本山蜜。」
:07/07/17 16:31 :SO903i :/DfXwmKc
#316 [向日葵]
ルキは上から下まで私をジロジロと観察する。
ルキ「貴方セツナのなんなんです?」
蜜「え、……。えーっと。」
セツナ「恋人だ。」
セツナがうっとおしそうにルキの腕を自分の首からはずしながら言った。
ルキ「こっ、こんな冴えない人がこい、こここ恋人ですって―――っ?!」
ごもっとも……。
セツナがルキの腕を掴んで睨む。
:07/07/17 16:35 :SO903i :/DfXwmKc
#317 [向日葵]
セツナ「オイ。口を慎め。いつお前に俺を侮辱する権限を与えた。」
蜜「いやあのセツナ。貴方は何も言われてませんよ……?」
セツナが横目で私を見る。
セツナ「俺が言われたも同然だ。」
そしてまたルキに目を移す。
セツナ「次は無いと思え。」
そしてルキの腕を離すと私の肩を抱いて教室まで行った。
:07/07/17 16:39 :SO903i :/DfXwmKc
#318 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・
蜜「セツナ。いくらなんでも女の子に暴力はいけませんよ!」
現在教室前。
教室まで送ってくれたセツナに私は告げた。
セツナ「ハァ…。今日はお前の説教ばかりだな。」
蜜「優しくするのを私だけじゃなく他の人にもして下さいと言ってるんです!」
まぁ優しいかどうかは分からないけど……。なんてったってS……。
セツナ「蜜が言うなら仕方ない。…努力する。」
:07/07/17 16:44 :SO903i :/DfXwmKc
#319 [向日葵]
私は微笑む。
蜜「お願いしますね。ではまたお昼に。」
と言って教室に入ろうとしたら
セツナ「蜜。忘れ物だぞ。」
忘れ物?なんか忘れたっけ。筆箱?教科書?
蜜「何ですか?」
腕を引かれたと同時に、セツナの唇が軽く唇に触れる。
蜜「――――っ!!!!」
セツナ「じゃあな。」
:07/07/17 16:53 :SO903i :/DfXwmKc
#320 [向日葵]
私は暫く口を押さえたままその場に立ち尽くした。
『だから!人間のマナーを学んでてあれだけ言って』
小川「おはよう!」
蜜「うわー!っとおはようございます!!」
いきなり声をかけられて思わず両手を万歳してしまった。
小川「ゴメン!そんなに驚くとは……。」
蜜「いやいや。こちが悪いだけで。」
会話しながら教室に入ると、先に着いていた清が話かけてきた。
:07/07/17 16:58 :SO903i :/DfXwmKc
#321 [向日葵]
清「みーつ!朝からお熱いねー♪いってきますのキ・ス☆」
私は速攻で清の口を塞ぎに行った。
蜜「き〜よ〜…。教室のど真ん中でなぁにを口走ってるかぁ〜…。」
清「そりゃああれだけ素敵な人だったら何されてもいいわよね。」
蜜「黙れぇぇぇぇっ!!!!」
「え?本山さんってやっぱり?!」
「どっちから告ったの?!」
突然クラスの女子からの質問責め。
私は一気に囲まれた。
:07/07/17 17:02 :SO903i :/DfXwmKc
#322 [向日葵]
そんな中、ドア付近に立ち尽くしたままの小川はショックを受けていた。
蜜[微妙。]
確かに本山は前、そう答えた……。なのに…。
――――――……
ズバンッ!!
1時間目の休み時間。大きな音を立てて入ってきたのはセツナだった。
蜜「…セツナ?!どうしたんです?」
セツナ「蜜。帰るぞ。」
蜜「はい?!何言って!」
手を引っ張られてドア付近まで連れて行かれると
:07/07/17 17:16 :SO903i :/DfXwmKc
#323 [向日葵]
ルキ「セッツナ――――!!!!」
前からルキが飛んできてセツナに飛び付く。
セツナは均衡を崩して倒れ、私は反動で飛ばされた。
セツナ「ルキ!いい加減追いかけてくるのを止めないか!!」
セツナが身を起こしながらルキに叱咤する。
蜜「あいっ…たたた……。」
小川「大丈夫?」
ふっ飛ばされた私に、小川君が優しく手を差しのべてくれた。
:07/07/17 17:21 :SO903i :/DfXwmKc
#324 [向日葵]
小川「足すりむいてるけど…平気?」
見ればほんのちょっとだけ傷になっていた。
蜜「大丈夫!ありがとう!」
なんだかのほほんとした空気が流れた。
それが気にいらなかったのか、セツナが後ろから私を抱き締める。
セツナ「俺のに気安く触るな。蜜、帰るぞ。」
蜜「い、嫌ですってば!!私は授業を受けます!」
ルキ「セツナ!私とお話をしましょう♪」
:07/07/17 17:26 :SO903i :/DfXwmKc
#325 [向日葵]
もー!皆ゴチャゴチャ自分の事ばっかりぃ!!
いい加減にしてよぉっ!!!!
その時、私とセツナを繋ぐ手がやんわりと離された。
そしてわたしの目の前に小川君が立つ。
小川「嫌がってるじゃないですか。止めてあげてください。」
蜜「小川君……。」
セツナは不機嫌丸出しになって小川君を睨みつける。
セツナ「関係ないだろ。邪魔するな。」
蜜「小川君、私ならいいから……。」
:07/07/17 17:29 :SO903i :/DfXwmKc
#326 [向日葵]
それでも2人は睨み合ったまま。一歩も動こうとはしない。
するとセツナの目が私を捕えた。
セツナ「蜜。俺は帰る。帰ったら覚悟しとけ。」
そう言うとバシン!!と音を立てて出て行ってしまった。
蜜「あ……。」
小川「ゴメン。俺…余計な事……。」
蜜「ううん。そんな事ない!ありがとう。」
小川君は弱々しく微笑むと自分の席へ戻って行った。
:07/07/17 17:33 :SO903i :/DfXwmKc
#327 [向日葵]
その場に立ち尽くしてドアを見つめる。
『まったく…自分勝手なんだから……。』
ルキ「貴方……ホントにセツナ様の恋人ですの?」
蜜「はい……まぁ。」
ルキ「はいまぁですって……?そんなどうでもいいみたいな言い方なさるなんて……。どうかしてるわ!」
ルキが私に詰め寄る。美人の怒った顔は迫力があるから困る。
私はたじたじになった。
ルキ「あの方が恋人ですのよ!それを“はいまぁ”で済ますなんて、好きではないんですよ!!」
:07/07/17 17:38 :SO903i :/DfXwmKc
#328 [向日葵]
ルキは教室を出てどこかへ走って行った。
とんでもない人がやって来たものだ……。
―――――……
お昼は1人だった。だってセツナは帰ってしまったんだもの。
いつも隣にいるハズの影が今日は無くて少し切なかった。
ルキ[好きじゃないんですよ!]
『そんな事ないのになぁ……。』
そうだったらこんなにドキドキもしないし、寂しくご飯を食べてる訳もない。
:07/07/17 17:43 :SO903i :/DfXwmKc
#329 [向日葵]
どうも私はそーゆー感情を表に出すのが苦手だ。
言われ慣れてる訳でもないし、言い慣れてもない。
胸を張って恋人だと言える訳もない。
だって私はルキが言った通り冴えていない。平凡な人生を暮らしていたし、別に容姿のことだって気にはならない。
ここに来て、これだけ気にするとは……。
蜜「可愛かったり…綺麗だったら、胸張って…セツナの恋人って言えるかなぁ……。」
それでもセツナは、こんな私を可愛いと言ってくれた。
誰が何と言おうと、セツナが可愛いと思ってくれるなら……別にいいのかもしれない。
:07/07/17 17:49 :SO903i :/DfXwmKc
#330 [向日葵]
蜜「お弁当…美味しくないよ…。セツナ……。」
まだ冷たい風が私の体を触れて行った。
――――
――――――……。
教室を出るとルキがでんっ!!といた。
蜜「な、なんでございましょうか……。」
ルキ「貴方のお家まで案内してもらおうと思いまして。」
蜜「……は?」
ルキ「貴方に私の気持ちが分かりますの?」
そこからルキは自分の世界へ入って行った。
:07/07/18 00:35 :SO903i :.1ksn8JQ
#331 [向日葵]
セツナをお慕いして幾年……。
あの方の全てを知りつくして来た私こそがセツナにふさわしいと思っていました……。
――――なのに……
ルキ「最近口を開けば「蜜がどうした」「蜜があーした」蜜蜜蜜蜜蜜ばっかり!!!!なんで貴方なんかにぃっ……っていないじゃありませんかぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
私はルキが世界に入り込んでいる時に猛ダッシュでその場を去った。
蜜「ゼー……。ゼー……。ったく、何だっての……。」
:07/07/18 00:42 :SO903i :.1ksn8JQ
#332 [向日葵]
靴箱に手をついて呼吸を整える。
小川「本山?」
蜜「あぁ小川君。」
小川「どうかした?」
蜜「ちょ、…ちょっとね……。あ、あの、今日はホントにありがとう。」
小川君はにっこり笑っていやいやと言った。
小川「なんか本山困ってたみたいだし。」
蜜「小川君…。やっぱり小川君はいい人ね!じゃあまた明日!!」
そして私は急いで帰宅した。
:07/07/18 00:46 :SO903i :.1ksn8JQ
#333 [向日葵]
残された小川は蜜の走っていく姿をジッと見つめていた。
蜜[小川君はいい人ね!!]
満面の笑みで言われた……。その笑顔が、頭から離れない…。
清「恋だねぇ。」
後ろから清が小川に話かけた。
小川「うわっ!な、何!!」
清「ま、若者よ。頑張りなさい。」
小川「お、おう…。」
―――――――……。
カチャカチャ ガチャン
蜜「ただいまー…。」
:07/07/18 00:51 :SO903i :.1ksn8JQ
#334 [向日葵]
セツナの姿がない。
リビングかな……。
リビングに行ってもやっぱりいない。すると少しだけ風を感じた。視線を庭側へ向けると
蜜「あ、風さん。」
1匹だけ風の妖精さんが私の顔近くにいた。
どうやらセツナの場所を教えてくれてるらしい。
手招きされるがままついて行く。
庭を出ると、セツナがいた。家を背もたれにして私が見えない位置で芝生の上に座っていた。
蜜「……た、ただ…いま…。」
:07/07/18 00:57 :SO903i :.1ksn8JQ
#335 [向日葵]
セツナは目だけを動かして私を見ると、また目線を戻した。
あちゃー…。
一緒に帰らなかったのと、小川君が助けに入った事が気にいらないんだ。
バッチリご機嫌ななめ……。
蜜「セツナ。」
セツナは返事をしない。
私は深呼吸した。
蜜「もう…1人で先に帰らないで下さいね……。」
セツナ「何故?」
やっとここで反応した。
心の中でホッとしながら私は続ける。
:07/07/18 01:03 :SO903i :.1ksn8JQ
#336 [向日葵]
蜜「セ…、セツナがいなかったら、お昼寂しいんですから…。」
セツナがこちらを向く。
まだ機嫌は完全には直ってないけど私の言葉に少し直ったらしい。
仕方ない……。極めつけは恥ずかしいけど言うしかない……。
言う前から顔が赤くなるのが分かる。
セツナのセーターをキュッと掴んで私はうつ向いた。
蜜「私がす、すすす好きな、のは……セツ…ナなんですから……。あまり小川君の事で、拗ねないで下さいね……。」
:07/07/18 01:08 :SO903i :.1ksn8JQ
#337 [向日葵]
どわぁぁぁ!!言ってしまったぁぁあ!!
……。……。……?
セツナの反応が無い。
ソローッと顔を上げて見ると、セツナは目線をずらして口元を少し隠し、耳を軽く赤くして照れていた。
わ…わぁ―――っ!!!セツナが照れてる!!
セツナ「まったく…やっぱりお前には敵わん。」
セツナは私と視線を合わせると、まだ紅潮している私の頬に指先を触れた。
セツナ「可愛いのでは、お前の右に出る奴はいないな…。」
:07/07/18 01:14 :SO903i :.1ksn8JQ
#338 [向日葵]
蜜「それは…買い被りすぎですけど……。」
時間が止まった様な気がした。いつもとは、なんだか違う雰囲気。
もっと甘くて、このままでいいやと思う様な……。
セツナの顔がゆっくり近づく。
私もそれに合わせてゆっくり目を閉じていった。
驚くほど優しく唇が触れる。
それが段々と激しさを増していく。
『なんか、変だ……。』
いつもなら息苦しくて恥ずかしくてすぐ離れたくなるのに……。
:07/07/18 01:19 :SO903i :.1ksn8JQ
#339 [向日葵]
セツナの照れた顔を見たせいかな……。
セツナの手が後頭部と背中辺りに来て、私を優しく芝生の上に寝かせた。
一旦顔を離して見つめ合う。
セツナ「蜜……。」
名前を呼びながら、セツナは私の頬を指先でなぞる。そしてまた顔が近付いた。今度は最初から激しくて、セツナの舌が、口内を荒らした。
答えてみるものの、完璧に近いセツナのくちづけは次第に意識を奪ってしまいそうになり、ちゃんとは出来なかった。
:07/07/18 01:24 :SO903i :.1ksn8JQ
#340 [向日葵]
長いキスを、どのくらいしてたんだろう……。
やっと唇が離れた時には全速力で走った後みたいになっていた。
蜜「ハァッ…ハァッ……ハァ…」
セツナ「蜜。大丈夫か?」
セツナが心配そう見つめながら私の顔を包む。
私の好きな…優しい目……。
蜜「だい……じょ、ぶ……ですよ……。」
と言って笑う。
セツナも温かく微笑んで私の瞼にキスした後、起こしてくれた。
:07/07/18 01:31 :SO903i :.1ksn8JQ
#341 [向日葵]
セツナ「困ったもんだ。危うく理性を失うとこだったぞ。」
蜜「それは……困りますね。」
あんなトコで……襲われると流石に……。
いやそんな問題じゃないよ!!
私さっきおかしかったよ確実に!!完全にセツナに身を任してたし!
あのまま流れでそーゆー事になっても抵抗しなかったかもしれない!!
『ひぃぃっ!!恋愛って怖い!!』
セツナ「今日の蜜は一段と可愛かったな。必死にキスについてこようとするトコとか。」
:07/07/18 01:36 :SO903i :.1ksn8JQ
#342 [向日葵]
セツナがニヤリと笑う。
いつものセツナに戻ったらしい。
セツナ「しかも」
顎をクイッとあげられる。
セツナ「あの蜜から“好き”と言う単語が出てくるとは…。」
言うなぁぁぁ!!もう言うなぁぁぁ!!
蜜「じ、じ、事実です…もん。」
セツナ「お前は誘ってるのか?」
私は頭をブンブン振った。
蜜「んな訳ありません!!」
:07/07/18 01:40 :SO903i :.1ksn8JQ
#343 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/07/18 01:40 :SO903i :.1ksn8JQ
#344 [RUI]
:07/07/18 13:58 :SH902iS :MJ9N9lZo
#345 [向日葵]
RUIちゃん
応援&安価ありがとう
――――
――――
セツナはクスクス笑うと立って、手を差しのべる。
セツナ「早く中に入るぞ。風邪をひかれたら困るからな。」
その手をとって、私も立ち上がる。
蜜「そういうば……覚悟って何なんですか?」
セツナは少し考えてからニヤリと笑う。
セツナ「俺を怒らせた罪としてお前の可愛い姿を堪能しようと思ったんだ。」
:07/07/18 19:04 :SO903i :.1ksn8JQ
#346 [向日葵]
「しかし」とセツナは続ける。
セツナ「想像してた姿よりいいのが見れたんでな。満足だ。」
ニカと笑って白い歯を覘かせた。
危ない……。とっておきをしておかなければ今頃私は偉い事になってた……。
蜜「大体私の気持ちを知ってるくせに嫉妬なんかしなくていいじゃないですか。」
セツナ「分かってないな蜜。だからこそだろ。」
私はさっぱり分からなくて首を傾げた。
:07/07/18 19:08 :SO903i :.1ksn8JQ
#347 [向日葵]
セツナ「好きと分かっているからこそ好きでもない奴に守られるのが嫌なんじゃないか。」
小川君の事を言ってるのがひしひしと感じられる。
蜜「なら、もう少し私の意見を尊重して下さいませんか?自分勝手にギャーギャー言われるの嫌いなんです。」
それに……。
蜜「ルキにだって逃げずに堂々としとけばいいじゃないですか。」
大体あの人は何でも分かったみたいにセツナの事をベラベラベラベラ……。
どうせ貴方よりはセツナとの日は浅いですよ!
:07/07/18 19:12 :SO903i :.1ksn8JQ
#348 [向日葵]
それでもちゃんと確かめ合う物はあるし……。
予想外に顔が拗ねるみたいに口を尖らせて眉を寄せてしまう。
そんな私にセツナが不思議そうな顔をした。
セツナ「なぜ表情を曇らせるんだ?」
蜜「えぇっ?」
思わずイラつく気持ちが出てしまって荒々しく言葉が出る。
蜜「いえ…。ちょっと……。」
:07/07/18 19:23 :SO903i :.1ksn8JQ
#349 [み]
あげッ肉フ
:07/07/18 23:07 :W44T :HoT.uiRY
#350 [ス梢ス]
ぁげッッ~
:07/07/19 15:45 :W51SH :fWlszHkU
#351 [向日葵]
みさん
梢さん
あげありがとうございます
――――
――――
まぁ何はともあれ……ルキには気をつけよう。
――――――……
次の日
小川「本山。」
蜜「小川君。」
小川君は私の傍まで来ると困った様に頭をカリカリかいた。
小川「前のアンケート結果の報告書、いくつか間違いがあったから書き直しだって。」
:07/07/19 17:27 :SO903i :Pq5ip2MU
#352 [向日葵]
蜜「え――っ?!マジですか…。」
小川「あ、でも本山は先に帰りなよ…?」
私は首を傾げた。
蜜「なんで?」
小川君はまた頭をカリカリかいた。
小川「彼氏…セツナ先輩…だっけ?また怒っちゃうでしょ。」
あぁ……。
でも昨日で大分機嫌は良くなったし、ちょっとやそっとではナナメになることは無いだろう。
蜜「そんなの気にしないで。あの人――……ちょっと我儘だし。」
:07/07/19 17:30 :SO903i :Pq5ip2MU
#353 [向日葵]
「ちょっとは我慢を覚えさせないと」と付け足すと、小川君はホッとした様に笑った。
小川「良かった…いや、あの良くない……いや、あの何でも。」
蜜「はい?」
小川「と、とにかく!また放課後頑張ろうね。」
蜜「そうだね。頑張ろう!」
小川「じゃあ。」
ニコニコ笑いながら小川君はどこかへ行ってしまった。
あの爽やかさをセツナに半分分けて欲しいね!
……まぁ、昨日は珍しいもの見れたし…、いいや。
:07/07/19 17:35 :SO903i :Pq5ip2MU
#354 [向日葵]
清「蜜!ダーリンよ!」
思わずずっこけそうになった。
ダーリンだぁ?!
私にそんな名称が似合うとでも?!
ドアの方を見るとセツナが立っていた。
急いでセツナの元まで行く。
蜜「どうしました?」
セツナ「すまんが今日は昼休み一緒にいれないんだ。だから1人で食べてくれ。」
蜜「あ、はい。わかりました。」
:07/07/19 17:46 :SO903i :Pq5ip2MU
#355 [向日葵]
セツナ「だから……。」
ブワッ!!
蜜「ひぃやぁ!!!!」
世界が逆転する。
セツナの肩に私は担がれてしまった。
周りの視線が痛いほど刺さる。
蜜「ちょ、セ、セ、セツナ!何するんですか!!」
セツナ「用があるから人間マナーに乗っ取って場所を変えようと思ってなぁ。」
そ、それってつまり……“愛のくちづけ”の時間…?!
:07/07/20 01:04 :SO903i :grPh0Y26
#356 [向日葵]
ガラガラ
どうやらここは空き教室。
セツナは私を机の上に乗せてその両端に手を付く。
セツナ「その顔は…分かってるみたいだな。」
ニヤッと笑いながら上目使いで聞いてくる。
蜜「そろそろパターンが読めてきたんです。ってか…、忘れてましたけどセツナがウチにいるのは昨日で最後でしたね……。」
セツナ「寂しい?」
優しい目つきで聞いてくる。
:07/07/20 01:09 :SO903i :grPh0Y26
#357 [向日葵]
う……それは無しだ…。
言葉が勝手に出てきてしまう。
蜜「……はい…。」
セツナは目を細めて穏やかに笑うと、私の髪を優しくかき上げ撫でる。
セツナ「学年が違うのが惜しいな。俺もお前と離れるのは1秒たりとも後免だ。」
蜜「我慢と忍耐はたまには大切ですけどね。」
セツナはクスクス笑う。
セツナ「だから充電するんだ。」
:07/07/20 01:13 :SO903i :grPh0Y26
#358 [向日葵]
そう言うと、私の唇にそっと触れた。
目を閉じて、考えるのは胸に広がる温かな気持ちのこと。
これがもしかしたら“恋”で“幸せ”なのかな。
でも同時に不安な気持ちが混ざる。
セツナはホントに自分を“蜜乙女”としてじゃなく好きなんだろうか……。
そんな不安を飛ばす様にセツナの唇が強く押し付けられていく。
セツナ「余計なこと考えてただろ。口がおろそかになってたぞ。」
:07/07/20 01:18 :SO903i :grPh0Y26
#359 [向日葵]
蜜「……。すいません……。」
セツナ「俺といる時は俺の事だけ考えろ。」
蜜「……。」
強い目…。射ぬかれそう。でもその奥には穏やかで、優しい部分が見え隠れしている。
蜜「……はい…。」
セツナの目が閉じたと思うと、また唇が触れる。
分かってる。ううん違う。無理なんだ。
こうしてるのに、セツナ以外を考えれるハズ……ないんだ……。
:07/07/20 01:23 :SO903i :grPh0Y26
#360 [向日葵]
―――――――……
キーンコーンカーンコーン……
蜜「清。お弁当一緒してもいい?」
清「あら珍しい。でもいいよ♪久々だね!」
机を引っ付けて向かい合わせで座る。
カバンからお弁当を取って机に置いた。
清「…あっれー?っかしーなぁ……。」
蜜「?どうしたの?」
清「お箸、忘れちゃったみたいなのぉー…。」
:07/07/20 01:28 :SO903i :grPh0Y26
#361 [向日葵]
蜜「じゃあ食堂で割り箸取りにいこっか。」
清「ウン。ありがとう!」
と言う訳でいざ食堂へ。
食堂は別館にあっていささか遠い。
着くと生徒でごった返していた。
清「うっはは〜…。いつもすごいよね。」
蜜「私、邪魔だからあっちにいるよ。」
指差したのは食堂から離れた階段近く。
清「おっけーおっけーぃ!じゃあ出来るだけすぐ行くから。」
:07/07/20 01:33 :SO903i :grPh0Y26
#362 [向日葵]
階段は食堂と違って静かだった。
少し生徒の声が聞こえるだけで人通りはなかった。
『…。そういえば……。』
セツナどうしたんだろう…。何か用事でもあったのかな。
ってかセツナは卒業したらどうするんだろ。
何かを偽って黒蝶族の所へ帰るのかもしれない…。
そしたら……私達は、どうなるんだろう……。
「――・・―・・・。」
蜜「?」
階上から話声が聞こえる。一回清の方を見て、まだ来ないのを確認しながら私はそろりと話声のする方へ近付いた。
:07/07/20 01:40 :SO903i :grPh0Y26
#363 [向日葵]
その声が確実となった。
ルキ「よくお考えくださいなセツナ。」
ルキだ!!
気づいて身を潜める。そして話相手はセツナと言うこと。手摺越しから姿を確認する。
確かに2人共いる。
セツナ「何を考えろと言うんだ?」
ルキ「わかりません?貴方のあの蜜乙女に対する気持ちは只単の“蜜乙女”としての感情しかありませんのよ。」
――っな!!なんてこと!!
ルキ「所詮人間と比べれば私達は動物本能が働きますもの。大好物を前にして目がクラんでいるだけですわ。」
:07/07/20 01:45 :SO903i :grPh0Y26
#364 [向日葵]
そんな事ない!!
セツナはちゃんと私を好きでいてくれてる。“蜜乙女”じゃなくて私“自身”を!!
セツナ「あぁ…。そうだな……。」
――――――え……。
今……なんて……。
セツナ[あぁ……。そうだな……。]
:07/07/20 01:47 :SO903i :grPh0Y26
#365 [向日葵]
ズルッ! ビタン!!
あまりの事に滑って手をついてしまった。
分かってる。2人が気付いた事くらい。
ルキ「まぁ!盗み聞きしてたんですの?!なんてはしたない!!」
最後を聞き終えるかいないかで私はその場から逃げた。
ルキ「お話すら最後までキャッ……!!」
セツナはルキを押し退けて蜜を追う。
セツナ「蜜!待てっ!!」
―――――そうだったんだ…。なぁんだ。そっかぁ。
:07/07/20 01:52 :SO903i :grPh0Y26
#366 [向日葵]
セツナ「蜜!」
追いついたセツナは私を引き止める。
蜜「……。何か?」
自分でも分かる。酷く冷たく無関心な目でセツナを見てる。
セツナ「さっきのは違う!まだ続きが」
パシッ
私はセツナの手を払い退けた。
あー…。笑える。
蜜「フ…フフフフ。私の“蜜”は最高だって?もう病み付きで私からは離れることすら出来ないって?」
:07/07/20 01:56 :SO903i :grPh0Y26
#367 [向日葵]
なんで信じてたんだろ。
好きって言われ慣れてないから有頂天になってたのかな?
そうだよね。この人達の「好き」の前に括弧付けで“蜜”が。が着くんだね。
蜜「そんな感想は一族に帰ってからしなさいよ!!セツナなんか大っ嫌い!!」
封印の言葉を解き放つ。
もう知らない。お別れだ。
私はセツナの顔を見ずにそこから離れる。
・・・・・・・・・・・・
清「蜜!お待たせぇっ!!」
蜜「ううん。大丈夫。早く戻ろう!!」
:07/07/20 02:01 :SO903i :grPh0Y26
#368 [向日葵]
平凡が……戻ってきた。
待ち望んだ愛しい日々。
やっぱり私はこうでなきゃ。
だから言ったでしょ?面倒に巻き込まれるのは嫌だって。……だって…
清「――そしたらぁ!その猫が蛇に…っ。……蜜?!」
気付かない内に、いくつもの水雫が私の頬を滑り落ちていた。
……だって、平凡から一旦抜けてしまったら前まで当たり前にあった特別が無くて寂しくなってしまう。
ねぇセツナ…。どうして私は“蜜乙女”として、貴方に出会ってしまったんでしょうね……。
:07/07/20 02:05 :SO903i :grPh0Y26
#369 [向日葵]
――――
――――
今日はこれで終ります
:07/07/20 02:06 :SO903i :grPh0Y26
#370 [向日葵]
チャプター8:誤りと解する
カチャ…… パタン……。
蜜「ただーいまー…。」
1人言。家にはまだおばあちゃん達は帰って来てないみたい。
『目、痛い……。』
清が心配するから涙を拭いても拭いても後から出てきて厄介だった。
フワー……ン
蜜「……。あ、風さん。」
:07/07/20 16:59 :SO903i :grPh0Y26
#371 [向日葵]
風さんはニコニコ笑って私の周りをフワフワ飛ぶ。
蜜「風さん…。セツナの元に帰った方がいいですよ。」
風さんは小さな目をクリクリさせて私を見る。
蜜「もう……ここにはこないから……。」
ホントにあの言葉が違うなら、今頃撤回しに来るハズなのに……。それすら来ないなんて……。
私はフローリングに座りこんだ。
日が暮れていく。
あの山で見た夕日は綺麗だったのに…今じゃこんなに寂しいものになってしまった……。
:07/07/20 17:09 :SO903i :grPh0Y26
#372 [向日葵]
慣れなきゃ。ううん忘れなきゃ。
私は平凡平和な女子高生。彼氏なんか1度も出来た事は無い。
セツナなんて人だって知らない。一切、知らない……。
ポタタタタ
フローリングに小さな水溜まりが出来る。
蜜「せっかく抑えたのに……。」
涙が収まることなく次々と流れていく。
[馬鹿。]
どこかで忘れたい声が気がした……。
:07/07/20 17:13 :SO903i :grPh0Y26
#373 [向日葵]
―――――……
おばあちゃん達は無事に帰って来た。
お土産を一杯買って来てくれてとても嬉しかった。
疲れたのか今日はもう寝ると言って8時に床についてしまった。
私はその後夕飯の片づけとか、お風呂入ったりとか何気なく過ごしていた。
蜜「そろそろ私も寝よう……。」
明日って体育あったよね。用意して…宿題……あ、プリント。
時計を見るといつの間にかあれから2時間半が過ぎていた。
:07/07/20 17:17 :SO903i :grPh0Y26
#374 [向日葵]
もう…、明日しよう。
早く起きて、学校へ行こう。今日はくたびれた。
よろよろとベッドに歩いていく。
今日は満天の星が綺麗だ。
電気を消して、ベッドに入り、星を見ながら寝る事にしよう。
蜜「今は…カシオペアが見えるのかなぁ…。あ、カーテン半分だけ閉めておこう。」
その時だった。
ザァッ!
目の前を、黒い大きな影が横切った。
:07/07/20 17:23 :SO903i :grPh0Y26
#375 [向日葵]
思わずシャッてカーテンを両方閉めて、背中を向ける。
嫌だ……。
なんで?
ドン…ドンドン……。
セツナ「蜜。そこにいるんだろ。開けろ。」
私は答えなかった。
素早くベッドに行って布団を頭まで被った。
セツナ「オイ蜜!話を聞けよ!」
もういいから。消えて。私の前から姿を消して……。
セツナ「蜜!!」
魅惑の声に怒りが帯びる。でも私は答えない。
:07/07/20 17:26 :SO903i :grPh0Y26
#376 [向日葵]
むしろ両耳を塞ぐ。
傷つきたくないの。
もう沢山なの。
私に、構わないで……っ!
ドンッ!!
窓が割れそうなくらいセツナが叩く。
セツナ「そうしているといい。だがな蜜。お前を説得するまで俺は何度でも来てやるからな!」
その言葉を最後にセツナからの呼びかけは終わった。
どうやら帰ったらしい。
知らない。知らない!
来たって無駄だよ!!
……その窓を開ける日は、二度と来ない。
:07/07/20 17:31 :SO903i :grPh0Y26
#377 [向日葵]
そうこうしてると、私は眠りに落ちていた。
―――――……
ピピピピ ピピピピ
あ、アラーム…。朝だ……。
……いっけない!!今日早く行くんだった!!
超特急で支度して猛ダッシュで家を出た。
バタン!!
蜜「いってきます!……っ。」
言葉を失った。
いないハズの姿がそこにはあったからだ。
:07/07/20 17:34 :SO903i :grPh0Y26
#378 [向日葵]
そこにはセツナが塀にもたれていた。
名前を呼んではいけない。傷が開く…。
私は誰もいない様に振る舞い、セツナを無視した。
セツナ「蜜。」
足が止まりそうになるのを必死で動かしてセツナを更に無視した。
無駄だったけど、私は駆け足で学校まで行くことにした。セツナは空を飛べる。なんなく私に着いてくるだろう。
セツナ「蜜!返事くらいしろ!」
:07/07/20 17:38 :SO903i :grPh0Y26
#379 [向日葵]
振り返らなかったけど分かる。セツナは空を飛ばずに私と同じ様に走っている。
セツナ「オイ蜜!」
いくら呼ばれても決して返事をしない。
貴方なんて知らない。
私は平凡な女子高生。
そう言い聞かした。
やっとの事で学校に着く。下駄箱から教室に行こうとするとすぐそこにセツナがいた。
セツナ「いい加減にしないか。」
グッ!
:07/07/20 17:41 :SO903i :grPh0Y26
#380 [向日葵]
蜜「いたっ……!」
セツナの指が、私の手首に食い込む。
本気で怒ったらしい。
セツナ「話を最後まで聞かないか!1人で勝手に完結しやがって!!」
私は何も言わずに必死にセツナの手から逃れようとした。
しかしそれどころか指には更なる力が加えられていく。
セツナ「話を聞くまでは絶対に離さないぞ。」
それでも私は振りほどこうとした。
セツナ「どうやら聞く気は無いらしいな。」
:07/07/20 17:46 :SO903i :grPh0Y26
#381 [向日葵]
ガンッ!
蜜「痛いっ……。」
勢いよく下駄箱に私を押さえ付ける。
セツナ「いいな。手加減なんてしない。話を聞かないお前が悪いんだからな。」
そう言うとセツナは唇を強く押し付けてきた。
いきなりだったので息の準備が出来ていなかった。
苦しい……っ。
蜜「ぃや……っ!――ん…っ!!」
セツナの舌が私の舌を絡めとる。
:07/07/20 17:50 :SO903i :grPh0Y26
#382 [向日葵]
胸元をぐっと押しても、セツナはそれどころか下駄箱を利用して奥へと侵入してくる。
『頭が……くらくらして……。』
足がカクンとなっても腰に腕を回してキスを止めようとはしない。
セツナ「―――っ!」
セツナは私から離れた。
それは私が唇を噛んだからだ。
蜜「ハッ……やめ…てくだ……さ……ハッ…。」
カバンを抱き締めながら息を整える努力をする。
:07/07/20 17:58 :SO903i :grPh0Y26
#383 [向日葵]
蜜「今の……っ私は、こーゆー行動が…っ何より嫌ですっ!!」
足に意識させながらセツナの横を走りさる。
どうせっ朝ごはんなんでしょう?!
極上だもんね?!
ううん違う!!あれは知らない人!つまりこれはセクハラ!!
許せない……っ!!
そんな事を思いながら、心臓のドクドク言う音を聞いていた……。
違う!これは息があがってたから……っ!
違う!違う!何もかも違う!!
:07/07/20 18:03 :SO903i :grPh0Y26
#384 [向日葵]
――――
――――
一旦キリます
:07/07/20 18:03 :SO903i :grPh0Y26
#385 [向日葵]
教室について自分の席についてから顔を伏せた。
平凡平凡平凡平凡!!!!
必死に呪文の様に唱える。
これ以上、私の気持ちを掻き乱すのはやめてよっ!!
―――――……
先生「本山ー。珍しいなぁ。お前が宿題忘れだなんて。もうすぐ学期末なんだから気引き締めていけよ。」
蜜「はぁい……すいません。」
職員室を出て、トボトボ廊下を歩く。
:07/07/20 19:03 :SO903i :grPh0Y26
#386 [向日葵]
なんてこと……宿題を忘れるなんて。
せっかく走ったのに…。
清「あ、いたいた!蜜ー!」
蜜「清。」
清「セツナ先輩が蜜を呼んでくれってさっきから教室にいるの。」
―――ドクン…。
蜜「嫌だ…。私、っ保健室行ってくる!」
清「ちょ、蜜ーっ!」
ガラガラ
保健医「おー。本山じゃないかぁ。どした?」
:07/07/20 19:07 :SO903i :grPh0Y26
#387 [向日葵]
この人は保健医のさっちゃん。
メガネ美人で栗色の長い髪の毛を1つに結んでる。
私はさっちゃんと仲良しなのだ。
蜜「さっちゃぁ〜ん…。ちょっとベッド貸してー…。」
さっちゃん「おーそうしな。どうやら気分が悪いらしいね。顔色悪いよ〜ん?」
私は保健室利用カードに記入してベッドへ向かった。
ボフッ!
さっちゃん「朝ごはん食ったのー?」
:07/07/20 19:11 :SO903i :grPh0Y26
#388 [み]
あげますx+゜
頑張ってください
x∀')゙+.
:07/07/21 18:40 :W44T :dyQW96gw
#389 [瑞希]
:07/07/22 00:38 :D904i :☆☆☆
#390 [向日葵]
みさん
ありがとうございます
――――
――――
蜜「それどころじゃなかった……。」
さっちゃん「だぁめよ〜?女の子なんだからぁ。体調管理はしっかりしないとー。」
「じゃね。」と言った後、さっちゃんは仕切りのカーテンを閉めてくれた。
私は靴を脱いでからベッドに潜りこんだ。
学校のベッドはシーツがパリッとしていて好きだけど落ち着かない。
『逃げても…無駄なんだろうけど……。』
:07/07/22 01:22 :SO903i :YGtAsc/E
#391 [向日葵]
でも今はとにかく放っておいてほしい。
私は、セツナにとってどんな存在か今麻痺をしていてわからなくなってしまった……。
ルキ[動物本能。]
ルキが言った通り、セツナはそれ目的で私に近付いたのかもしれない。
実際よくキスはしてきたし。
自分の生い立ちの事とかだって私を信じこませる為の嘘偽りかもしれない。
あの優しい目だって……
魅惑の言葉だって……
微笑みだって……。
:07/07/22 01:26 :SO903i :YGtAsc/E
#392 [向日葵]
瑞希さん
ありがとうございます
――――
――――
それが全部騙す為だったなら、セツナがいつも口にしていた通り、私は馬鹿だ。
枕シーツに顔を埋める。
どうしようもなくて叫びたい気分。
胸のもやもやが外れない。足が、手が、イライラして気持ち悪い。
ジタバタしたくなる。
『いい!今日は後の授業全部休んでやる!』
シャッ!
さっちゃん「なぁんだい?寝るんじゃないのか?」
:07/07/22 01:31 :SO903i :YGtAsc/E
#393 [向日葵]
蜜「今日は早退します!!」
さっちゃん「ったく。サボりか?」
蜜「そんな感じです。」
さっちゃん「後で後悔しても知らんぞ〜。ま、好きにしな。」
私は一礼をしてから保健室を出た。
それからさっちゃんの言葉を反芻(はんすう)していた。
さっちゃん[後悔しても…。]
『後悔なんかしない。』
:07/07/22 01:36 :SO903i :YGtAsc/E
#394 [向日葵]
これでいい……。
――――――
カチャン
家に着いた私は部屋へ直行した。
服を着替えてベッドに座ってからぼーっとする。
毎朝……ここにいたのになぁ……。
いつの間に手放せないくらい好きになっちゃったんだろう。
ジッと軽く開いた力ない掌を見つめる。
あの触れたくて触れた朝の日。やっと自覚出来たのに……。
:07/07/22 12:57 :SO903i :YGtAsc/E
#395 [向日葵]
セツナ[そうだな……。]
あんな事……言われちゃったら、私の気持ちどうなるのよ。
フワー……
そよ風がするんで顔をあげると、あの風さんがそこにはいた。
私の指を掴むと何処かへ連れて行こうとする。
蜜「ん?なぁに?」
階段を降りて連れていかれたのは庭だった。
風さんが指差した方には
蜜「あ……。」
セツナと同じ様な漆黒の羽をした蝶が、芝生の上に横たわっていた。
:07/07/22 13:05 :SO903i :YGtAsc/E
#396 [向日葵]
風さんはどうにかしてと泣きそうな顔で訴えかけてくる。
蜜「どうにか…って……。」
生きてるのそれ以前に。
両手で包む様に掬うと微かにプルッと震えた。
蜜「生きてますよ。寒いから弱ってるのかもですね。」
風さんに話かけると風さんは満足した様に飛び回る。
蝶々を温めるようにスカートの上に乗せて上から掌を被せる。
蜜「助けても…出会わなければ良かったかなぁ……。」
:07/07/22 13:19 :SO903i :YGtAsc/E
#397 [向日葵]
ホントはあの言葉を、真実を聞きたい。
自分が誤解してるのかもって……。信じたい。
でも続きが肯定であれば?
蜜「私は……セツナの中の私は存在意義が蜜乙女でしかないのかな……。」
するとフワッと蝶が宙に舞った。元気になったらしい。
少しそれを見てからまた視線を落とした。
蜜「そんなの……運命じゃないよね……?」
一陣の風が吹き抜ける。
:07/07/22 13:30 :SO903i :YGtAsc/E
#398 [向日葵]
「そんな訳ないだろ。」
後ろから声がした。驚いて後ろを向くとそこにいたのは、家の壁に寄りかかったセツナがいた。
蜜「いつ、の間に……。」
セツナ「お前の掌にいたけど?」
蜜「え?!」
さっきのあれがこれ?!
セツナ「風達に無理矢理に連れて来たんだ。ったく…こっちはやることあるって言うのに……。」
私はどうしようかと思った。今セツナと話したら…また泣いてしまいそう……。
:07/07/22 13:37 :SO903i :YGtAsc/E
#399 [向日葵]
1歩1歩、セツナから離れていく。
それに気付いたセツナはツカツカ距離を縮めた。
セツナ「頼むから、俺の話を聞いてくれないか。」
蜜「やだ…。」
セツナ「お前が思ってる様な内容じゃないと思うが?」
違う?……それは本当?
……でも聞かなければ、セツナはいつまでも私を追いかけてくる。
蜜「分かり……ました。聞きます……。」
セツナは私の手を優しく握った。
セツナ「おいで…。」
:07/07/22 13:43 :SO903i :YGtAsc/E
#400 [向日葵]
久しぶりの優しい甘い声。
いや、昨日ぶりだけど、長い事聞いてなかった気がする。
分かってる。私はもうセツナ依存症になってる。
あらがう事なんて一切出来ない。
黙ってセツナについて行き、庭へ出る窓のへりに座る。
セツナ「何が知りたい?」
蜜「とりあえず…私はやっぱり蜜乙女でしかないんですか?」
そこでセツナはフーッと息を吐いた。
:07/07/22 13:46 :SO903i :YGtAsc/E
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