黒蝶・蜜乙女
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#50 [向日葵]
実感がわかん。

フワフワとセツナは山に入って行く。

蜜「山?」

セツナ「あぁ。俺が一番落ち着く場所。」

器用に木を分けて飛んでいく。
そして着いた。

セツナ「ここだ。」

セツナは太い枝に私を降ろしてくれた。

蜜「お、折れない?」

セツナ「心配なら俺にくっついてるといい。」

⏰:07/07/08 19:49 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#51 [向日葵]
くっつくのはなんだかなぁと思ったんで服の裾を掴んでおく。

セツナ「蜜。見てみろ。」
と言われて目を上げてみると……。

蜜「う…わぁ……。」

半分が山の緑。半分が海の青。空の水色。そして太陽のせいでキラキラ輝いてるのがわかる。

蜜「長い間ここら辺に住んでるけど、こんなの初めてだぁ……。」

セツナ「気に入ったか?」
蜜「うん……。」

⏰:07/07/08 20:01 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#52 [向日葵]
するとセツナは嬉しそうに笑った。

セツナ「それは良かった。」

――トクン

『あ、あれ……?』

なんだこれ。

セツナ「少しでも株上げになったか?」

蜜「株上げって……。」

セツナ「やっぱり好きな奴には好きになって欲しいからな。」

なんかそんなに“好き”を連呼されると反応に困る。

セツナ「まぁ、この美貌の俺を好きにならない訳がないけどね。」

自我自賛ですか……。

⏰:07/07/08 20:27 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#53 [向日葵]
セツナ「でも、それもお前が認めてくれないと只のいらない物だ。」

蜜「私はどーゆー立場でいたらいいんでいいんですか?」

私達は見つめ合う。
一陣の風がふわりと私達を包む。

セツナ「蜜乙女なんて肝心な問題じゃない。蜜にはただ側にいて欲しい。それじゃいけないか?」

黒蝶族で貴族だかなんだか知らないけどそれはとても人間らしい言葉で……。

蜜「ふーん。わかりました。」

⏰:07/07/08 20:45 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#54 [向日葵]
セツナ「ふーん…って、何だ。」

蜜「じゃあそのつもりでいます。」

段々太陽が夕陽に変わってきた。
私達の顔がオレンジに変わる。

セツナ「それは…俺が好きって事か?」

蜜「さぁ……。はっきり分かりませんが、惹かれ始めてるかも、やも、……って感じなので。」

セツナの顔が、スッと引き締まる。
私はただ見つめる。

セツナ「名前を呼んではくれないか。」

⏰:07/07/08 21:46 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#55 [向日葵]
蜜「はい?何故……。」

セツナ「認められたと思いたいからだ。」

まぁ望むならば……。

蜜「セツ……ナ?」

2つの黒い影は徐々に近づく。セツナは何か躊躇うようにも見えた。

そして影が重なる。

キスをされた。

“食事の時間”ではなく、それは“愛のくちづけ”であった……。

私の運命の相手。
黒羽の君。セツナ……。

私に日常を奪った人。
これから愛を教えてくれる人……。

⏰:07/07/08 21:50 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#56 [向日葵]
チャプター2:美貌の歪み



生まれてきて16年間。
私はこのまま特別なことなんてなく平和に過ごしていくものだと思っていた。

セツナが来るまでは……。

「この式に3を代入して……。」

こんにちわ。
私は本山蜜。そこらにいる平凡な女子高生。

なんか先日急激に大人の階段を駆け上った気がします。

⏰:07/07/08 21:55 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#57 [向日葵]
私がまさか恋愛をするとは……。

いや正式にはしていないか。セツナに関してはまだ感情がどの部分にあるか分からない訳だし。

でも……この前の食事じゃないくちづけには全然抵抗をしなかった。

多分あの瞳に誘惑されてしまっていたんだ……って事にしておこう。

チラリと時計を見る。
12時30分。あと10分もすれば“食事の時間”だ…。
それを黙ってされるがままになっている私はやっぱり変態なのだろうか……。

⏰:07/07/08 22:00 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#58 [向日葵]
ならば今日は教室から出ない様にしてみるってどうだろう。

蜜乙女に飢えてカラッカラになったセツナを思い浮かべると笑わずにはいられなかった。

あのプライドが高そうなのが……カラカラって……。
うつむいて口を必死に力いれてニヤけるのを堪える。

「じゃあ早いけど今日はここまでにするか!終わりー。」

え?マジで?

清「あれー?蜜。珍しいね教室にいるなんて。」

⏰:07/07/08 22:10 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#59 [向日葵]
蜜「ちょっと実験をしてみようかなぁって」

清「実験?」

私は「ウン」と頷いた。
しかしすぐに決着はついてしまった。

セツナ「オイ蜜!」

頬杖ついていた手から私の顔がゴトンと落ちて机に直撃。

教室にズカズカと入ってきた。この見目麗しい人こそがセツナだ。

セツナ「この俺が教室前で待ってたっていうのに授業が終わったのなら何故出て来ない!!」

蜜「あぁいたんですか……。私今からお昼なんでお弁当食べさせてください。」

セツナ「俺も食事時だ。行くぞ。」

⏰:07/07/08 22:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#60 [向日葵]
あーハイハイ……。

清「いつの間にそんな仲に……っ!!」

蜜「強制的にみたいな……。」

セツナ「何を言ってる。コイツは俺のだ。」

「「イヤァァァァァァ!!!!」」

教室から、廊下から女子の皆さんの悲鳴喝采。
スイマセンもうホント……。私が“蜜乙女”のせいですね……。

セツナ「もういいだろ。早くお前を食べたい。」

オーイ!!勘違いされる言い方やめぃっ!!!!

⏰:07/07/08 22:30 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#61 [向日葵]
セツナはそんなのおかまいなく私をズルズル引きずって屋上へ。

・・・・・・・・・・・

蜜「セツナ!あんな言い方したら勘違いするじゃないですか!!」

セツナ「実際問題そうなんだからいいじゃないか。それより早くこっちへ来い。」

蜜「なんか今日ばかりは嫌です。ってか私は私のご飯を食べます。」

すると音もなくセツナは隣に来て、私の視線をお弁当から自分へ向けた。

セツナ「わからないのか?食事なんて二の次だ。俺は“愛のくちづけ”ついでに食事をしたいだけだ。」

⏰:07/07/08 22:36 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#62 [向日葵]
私はため息をついて再びお弁当の蓋を開けて食べようとした。

セツナ「無視するとはいい度胸だな。」

蜜「私だってお腹減ってるんです。」

セツナ「ハァ…。何度言えば分かる。食事は二の次だと言うのに。まだ完全に心は俺のものじゃないのか……。」

だから惹かれ始めてるかもっつっただけで誰も好きなんて言ってないじゃない。
私はご飯を一口パクッと食べた。
それを見て諦めたのかセツナは両手を頭の後ろで組んで転がった。

⏰:07/07/08 22:41 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#63 [みか]
面白いですx

頑張ってください(、∀`)

⏰:07/07/08 22:45 📱:W44T 🆔:tSlp1gVY


#64 [向日葵]
そのお陰で私はのんびりと食事した。
「早くしろ」オーラがひしひしとセツナから伝わってきたがオール無視した。

空を見上げると今日は曇りだった。

蜜「今日は雨が降るかなぁ……。傘持ってないのに。」

セツナ「こーゆー天気が一番嫌いだ。羽が湿ける。」

蜜「あぁ。飛べなくなるんですか。」

セツナ「あぁ。不便だ。非常に。……ところで、食べ終ったか?」

⏰:07/07/08 22:48 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#65 [向日葵]
蜜「そんなすぐに終わる訳ないでしょう。」

セツナは軽く舌打ちした。

『ガラ悪い……。』

セツナは再び目を閉じた。
まつ毛なっがいなぁー……。
ほうれん草をモシャモシャ噛みながらセツナの顔を観察していた。

なんでこんな人の運命の相手が自分だろ。

カポッ

お弁当の蓋を閉めた。

蜜「ごちそうさ…ま――――っ?!?!」

⏰:07/07/08 22:54 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#66 [向日葵]
セツナがいきなり押し倒してきた。

そのせいでお弁当箱がコロコロと転がっていってしまった。

蜜「セツナ何するんですかぁっ!頭打ったぁー…いたたたた……。」

セツナ「焦らすお前が悪い。」

蜜「焦らしてなんか…っむぅっ!」

セツナが私の口を塞ぐ。
まるで蜜を吸う蝶のように……。

やがて離れた。

セツナ「やはりお前は極上だな。」

蜜「次こんな事したら貴方を完璧に嫌いますからね!」

⏰:07/07/08 23:00 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#67 [向日葵]
スイマセンみかさん
応援レスに気付きませんでした
ありがとうございます

――――――――

セツナ「それは困るな。せっかく好きになりかけてもらってるのに。」

蜜「じゃあもっと慎んでくださいね。」

セツナ「仰せのままに。花嫁殿。」

そういうとセツナは私の手の甲にキスした。

ハァ……私は一体どうしたら……。

⏰:07/07/08 23:06 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#68 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・

清「それって……ノロケ?」

蜜「違う。」

とりあえず(セツナの本性以外は)清に話しておくことにした。

清「って言うかね、惹かれ始めちゃったら一気に転がって好きになっちゃうんだよ?蜜はそれもう好きの域だよ。」

そんなもんかねぇ……。

「本山。」

声をかけられたので私は振り向いた。

⏰:07/07/08 23:14 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#69 [向日葵]
蜜「あぁ。小川君。」

小川君は同じ委員会でとても優しい良い青年だ。

小川「3年生にアンケート取りに行かなきゃいけないの今日に決まったらしいんだけど、放課後大丈夫?」

放課後…。まぁアンケート取るってわかるならセツナも教室前には待っていないだろう。

蜜「オッケーっす!頑張りましょう!」

小川「良かった。じゃあまた後で。……なぁ1ついい?」

蜜「?うん。」

⏰:07/07/08 23:21 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#70 [向日葵]
小川君の顔が若干赤くなる。

小川「昼間の…人は、彼氏?」

昼間……。セツナの事?

果たして彼氏であるねか無いのかびっみょうじゃあのぅ…。

と言うわけで

蜜「分かんないっす。」

小川君はプハッと笑った。

小川「アハハ。自分の事なのに分かんないんだ!!」

蜜「ウン。」

⏰:07/07/08 23:25 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#71 [向日葵]
小川「分かった。ありがとう!」

おー爽やか爽やか。

清「ほーぅ。」

なんか清がにんまり笑う。

蜜「何。気持ち悪い。」

清「まぁその内分かるって♪」

すると5時間目を告げるチャイムが鳴り響いた。

――――――――

あっと言う間に放課後。
あー3年って事はセツナいるんだよねー。
なんか嫌だなぁ……。

⏰:07/07/08 23:33 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#72 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/08 23:34 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#73 [向日葵]
明日の夕方に更新しますね

⏰:07/07/09 00:44 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#74 [向日葵]
小川「どうしたの?仏頂面して。」

蜜「ちょっと会いたくない人が…。まぁあんまり突っ込まないで。」

小川「ハハハ!わかったよ。」

3-1。
くそぅ。クラス聞いておけば良かった……。
そしたら小川君には悪いけど逃げれたのに。

ガラガラガラ

蜜・小川「失礼します。」

その後、2、3、4、5と行ったけど、セツナはクラスにいなかった。
ウチの学校は全部で8クラス。

⏰:07/07/09 16:30 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#75 [向日葵]
『あと3クラスの内のどこかに……。』

そして6組のドアを開ける。

蜜・小川「失礼します。」

出来るだけバレないように目をキョロキョロさせる。……うん。いないみた…。

射る様な視線。
しまった……。いた。
ここはさっさと済まして帰ろう。

蜜「小川君。どこからだっけ……。」

小川「え?ここからでしょ?」

蜜「だってこれって却下になったから読まなくていいって…。」

⏰:07/07/09 16:34 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#76 [向日葵]
小川「うわ!マジ?!俺全部読んじゃったかも!」

3年生の人がそこで一斉に笑った。

「男の子かわいー!」

「2人付き合ってるんじゃないのー?!」

小川「ち、違います!!えっと……アンケートを取りたいんですけど!」

結局小川君が全て事を進めていった。
私はその間にもセツナの射る様な眼光を受けていた。
しかも何か怒ってる……。

『何で?!私何かしたっ?!』

⏰:07/07/09 16:44 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#77 [向日葵]
そそくさと6組を去って、後のクラスを回り、私達は帰ることにした。

小川「俺、先生に渡してくるから本山先に帰ってていいよ。」

蜜「わかった。ありがとう。」

ガラガラガラ

『カバン…カバンっと……。』

ガラガラガラ

蜜「?小川君早かったね。」

セツナ「誰が“小川君”だ。」

びっくりしてバッと振り向くとそこにいたのはセツナだった。

⏰:07/07/09 16:49 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#78 [向日葵]
蜜「セツナ!驚かせないでください!」

セツナは後ろ手に戸を閉めると早歩きで私に近づき、2mくらい先で止まった。

蜜「な、何なんですか……。」

セツナ「アイツ何だよ。」

蜜「アイツ?」

セツナ「教室に一緒に来た奴だよ。」

蜜「は?小川君?何って、クラスメートですよ。」

セツナは腹立たし気にため息をついた。

⏰:07/07/09 16:53 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#79 [向日葵]
セツナ「気にくわん。」

蜜「え?小川君いい人ですよ?」

セツナ「お前は相変わらずの馬鹿だな。」

ムカ。
人の事馬鹿馬鹿言って…。

蜜「そりゃ貴方よりは頭悪いかもしれませんが意味もなく馬鹿馬鹿言わないで下さい。」

セツナ「馬鹿だから馬鹿って言って何が悪い。」

セツナは謝る気をこれっぽっちも見せないで、むしろふんぞり反っている。

⏰:07/07/09 16:57 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#80 [向日葵]
もー頭にきた。

蜜「何で怒ってるか知りませんが、何も用が無いなら私は帰らせて頂きます!」

セツナの隣を通り過ぎようとした。その時だった。

ガンッ!!!

目の前でセツナの手が壁に手を付いて私を通せんぼした。
いや手を付いたんじゃない。これは(平手で)殴ったと言ってもいいかもしれない。

壁紙がポロポロと崩れて床に落ちる。
流石にこれにはビビった。

⏰:07/07/09 17:05 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#81 [向日葵]
セツナを見上げたら見たことのない冷たい目で私を見下ろしていた。

蜜「一体…何なんですか……っ!」

セツナ「もうアイツには近付くな。」

蜜「何言ってんですか?!第一どうして貴方にそこまで……。」

セツナ「お前は俺のだろ。当たり前じゃないのか?」

ホントこの人何言ってんだ……?

その時、セツナだけが背後に気配を感じたらしい。

戸が開くと同時に

グイッ!

⏰:07/07/09 17:09 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#82 [向日葵]
小川「本山?まだいる……。!!」

小川君が驚くのも無理は無い。
何故なら小川君が見た光景は私とセツナのキスシーンだったのだから。

セツナを離そうと胸を押してみるけどビクともしない。セツナは私の後頭部に手を回して離れないようにする。

するとセツナは小川君をチラッと見て私から口を離すと怪しげに笑んだ。

セツナ「ジロジロ見てるなよ。」

小川「―――っ!!」

⏰:07/07/09 17:14 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#83 [向日葵]
小川君は顔を赤くして教室を出て行った。

それをセツナが見ている内に私は右手を振り上げた。

パシッ!

蜜「なんで……こんな……。」

セツナ「アイツに見せ付ける為に決まって」

蜜「大嫌いです!!」

怒りで息が上がる。
叩いた右手を握り締めながら私は続けた。

蜜「自分の感情ばっかり押し付けて、他の人の気持ちなんか分からない貴方なんて大っ嫌い!!!!」

⏰:07/07/09 17:18 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#84 [向日葵]
そこでセツナの顔を見た。

私は胸がズキンと痛んだ。

セツナがすごく悲しい顔をして私を見つめていたからだ。

セツナ「……すまない。」

蜜「あ、謝ったって……許しませんから!!」

私はセツナの横を通り過ぎて走って家に帰って行った。
部屋に入って枕を抱き締めて、必死にあの顔を掻き消そうとした。

ギュッと目を瞑っていると、いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。

⏰:07/07/09 17:22 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#85 [向日葵]
――――――
―――――――――

…………

「…様。……つ様。」

誰?

目をうっすら開けると、そこに金髪の綺麗な男性がいた。

蜜「えっ?!」

「シーッ。怪しい者ではありません。」

いや充分怪しいって。

蜜「誰……ですか?」

「これに見覚えはありませんか?」

と言って見せてくれたのが漆黒の羽。

⏰:07/07/09 17:26 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#86 [向日葵]
蜜「黒蝶族の……方。」

「ご名答でございます。私はセツナ様にお仕えしている“シオイ”です。初めまして。セツナ様の蜜乙女、蜜様。」

蜜「は、はぁ……。」

どうでもいいけどこれから先、黒蝶族の人達に会う度にその苺の名称みたいな肩書きが一々着いてくるのかなぁ……。

蜜「ところで、何故私の家に……。」

シオイ「場所はセツナ様からお聞きしていました。」

あの野郎……。いつの間に。

⏰:07/07/09 17:33 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#87 [向日葵]
シオイ「お伺いしたのは他でもありません。主のセツナ様をご存知ありませんか?」

蜜「い、いえ。……。あの、実は帰り際ケンカを少々……。」

するとシオイさんはクスクス笑った。
そしてまた表情を引き締める。

シオイ「今、雨が降っているんです。私達にとって雨は天敵。何かあったのではと思いまして……。」

蜜「……っ!」

そういうば……

セツナ[羽が湿けるんだ。]

⏰:07/07/09 17:38 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#88 [向日葵]
蜜「もしかしたらまだ学校かもしれません!」

時計を見ると夜の12時。こんな時間に家を出たらおばあちゃんが驚いてしまう。

こんな時にどうでもいいけど私の両親は海外赴任で、今は祖父母と一緒に住んでいるのだ。

蜜「シオイさんはどうやってここに来たんですか?」

シオイ「出来るだけ木陰を通って超スピードで来ました。」

蜜「私を学校まで運んで頂けますか!」

⏰:07/07/09 17:42 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#89 [向日葵]
シオイさんはにっこり笑って私を抱き上げた。
そして窓から飛び立って行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・

昇降口の屋根で降ろされた私は足がフラフラしていた。

初めてセツナに空中散歩を誘われた時スピードを出してもらわなくて良かった……。
何あの速さ……。

とにかく。

蜜「シオイさんはここにいて下さいね!もしかしたらココに来るかもしれませんから!!」

⏰:07/07/09 17:45 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#90 [向日葵]
そう言って私は学校の闇へと消えていった。

もしも屋上なんかにいたら……。
全く!!どーしてこう世話が焼けるのよあの人はぁ!!

蜜[大っ嫌い!!]

唐突に私の言葉が頭に響く。

言い過ぎた……かな。

ガラガラガラ

蜜「ハァ……ハァ……。」

最後に別れた私の教室に来てみたけどここにはいない。

⏰:07/07/09 17:50 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#91 [向日葵]
蜜「屋上……!」

私は階段を駆け上がる。

どうしてこんなに必死になってるの?
わからない。
ただセツナに……あんな顔、させる気はなかった。

ガチャ!

屋上の戸を開けて屋上へ出てみる。

蜜「セツナー!!」

叫んでも雨音で掻き消されてしまう。
私の体も濡れて体温を取って行く。

蜜「いない……じゃあどこに……。」

⏰:07/07/09 17:53 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#92 [向日葵]
ハッ!

私は階段を特急で降りて行った。

シオイ「どうしたんですか?!」

昇降口にいたシオイさんが私に呼び掛けた。

蜜「他に思い当たるとこが分かったんです!!」

雨足が強くなる空の下を私はバシャバシャ足を鳴らしながら走って行った。

冷たい空気が器官に入って喉がキンキンする。

着いた所、それはあの山。
夜の山は真っ暗で怖い。
熊が出るかもしれない。痴漢だって、死体を埋めに来た殺人犯だっているかもしれない。

でも私の頭の中はセツナで一杯だった。

⏰:07/07/09 18:50 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#93 [向日葵]
ガサガサ木を避けながら突き進んで行く。

前のあの場所はどこら辺にあたるんだろう。

蜜「ハァ……セツナァァァ!!!!ハァハァ……。」

数歩進んではセツナを呼んだ。
でも返事は無い。

ズルッ

蜜「わ!…っ!!―――ったぁ……。」

木の幹で足をぶつけた。
多分明日には青痣がでかでかと出来ているだろう。

蜜「…もー!馬鹿はどっちよ!!」

大嫌いだって言っただけで逃亡だなんて……っ!!

⏰:07/07/09 18:55 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#94 [向日葵]
いいかげんに……

蜜「姿見せなさいよセツナァァァ!!!!」

叫びが山中にこだまする。

蜜「ハァハァ……。セツナ……。」

そしてまた進もうとした。
「なんだよ……。」

頭上から声がした。

私は弾かれる様に上を見上げた。
数m上の枝に、セツナが座っている。

私はホッとした。

⏰:07/07/09 18:58 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#95 [向日葵]
蜜「ハァ…何してるんですか!!…ハァ…シオイさん心配してるんですよ!!」

セツナ「俺が大嫌いで心配してないお前は何してるんだよ。」

私は口を閉じた。
木から落ちてくる滴が視界を防ぐ。

蜜「雨は体によくないんでしょ?!なら、早く帰りましょう!」

セツナ「帰ればいいじゃないか。お前はやっぱり馬鹿だな。」

―――プチン

蜜「馬鹿は貴方ですっ!!」

⏰:07/07/09 19:02 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#96 [向日葵]
私の怒りの声がエコーする。

蜜「どれだけ探したと思ってるんですか!どれだけ心配したと思ってるんですか!」

どれだけ……

蜜「大嫌いと言った事を後悔したと思ってるんですか!!」

そこで初めてセツナがこちらを見た。ような気がした。

蜜「―――っつ!」

いきなりさっきぶつけた足が痛んできて、私はその場にしゃかんで足を押さえた。

⏰:07/07/09 19:06 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#97 [向日葵]
気付けば足に複数切傷がある。きっと木の葉で切ったんだ。

馬鹿らしい。
そこまで探し回ったのに本人に帰る気が無いなら、私は何しに来たんだ。

膝を押さえていると近くに気配を感じた。

視線をずらすと、セツナの足が見えた。

私は何も考えず、セツナに抱きついた。

セツナ「――!」

蜜「帰りましょう…?私は貴方が心配で迎えに来ました。……だから……帰りましょう?」

⏰:07/07/09 19:09 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#98 [ちぃ]
失礼します
>>70-100

⏰:07/07/09 19:18 📱:SH903i 🆔:pX7UHxFg


#99 [向日葵]
ちぃさん

安価ありがとうございます

――――――――

セツナ「……なんで…。お前は俺の心を強い力でねじ曲げれるんだ……っ!」

するとセツナはギュッと力一杯抱き締めてきた。

セツナ「お前が大嫌いと告げてから、もう会わないと思ってたのに……っ。大嫌いならなんで心配なんかするんだ……!頼むから……もう苦しめないでくれ……っ!!」

蜜「セツナ……。」

見えないけど、その美貌は前みたいに歪んでしまっているのだろう。

⏰:07/07/09 19:37 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#100 [向日葵]
蜜「大嫌いなんて……もう言いません。思いません。私は……貴方が好きです。」

セツナの息を飲む音耳元で聞こえた。

セツナ「恐かったんだ…。もし蜜が離れるかと思うと……。恐かったんだ……。」

うん。セツナはそれだけ私を想ってくれてるんですね。

セツナ「蜜……。離れないで…。」

蜜「離れませんよ。…だって。」

私は運命の相手なのでしょう?

⏰:07/07/09 19:42 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


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