黒蝶・蜜乙女
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#91 [向日葵]
蜜「屋上……!」

私は階段を駆け上がる。

どうしてこんなに必死になってるの?
わからない。
ただセツナに……あんな顔、させる気はなかった。

ガチャ!

屋上の戸を開けて屋上へ出てみる。

蜜「セツナー!!」

叫んでも雨音で掻き消されてしまう。
私の体も濡れて体温を取って行く。

蜜「いない……じゃあどこに……。」

⏰:07/07/09 17:53 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#92 [向日葵]
ハッ!

私は階段を特急で降りて行った。

シオイ「どうしたんですか?!」

昇降口にいたシオイさんが私に呼び掛けた。

蜜「他に思い当たるとこが分かったんです!!」

雨足が強くなる空の下を私はバシャバシャ足を鳴らしながら走って行った。

冷たい空気が器官に入って喉がキンキンする。

着いた所、それはあの山。
夜の山は真っ暗で怖い。
熊が出るかもしれない。痴漢だって、死体を埋めに来た殺人犯だっているかもしれない。

でも私の頭の中はセツナで一杯だった。

⏰:07/07/09 18:50 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#93 [向日葵]
ガサガサ木を避けながら突き進んで行く。

前のあの場所はどこら辺にあたるんだろう。

蜜「ハァ……セツナァァァ!!!!ハァハァ……。」

数歩進んではセツナを呼んだ。
でも返事は無い。

ズルッ

蜜「わ!…っ!!―――ったぁ……。」

木の幹で足をぶつけた。
多分明日には青痣がでかでかと出来ているだろう。

蜜「…もー!馬鹿はどっちよ!!」

大嫌いだって言っただけで逃亡だなんて……っ!!

⏰:07/07/09 18:55 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#94 [向日葵]
いいかげんに……

蜜「姿見せなさいよセツナァァァ!!!!」

叫びが山中にこだまする。

蜜「ハァハァ……。セツナ……。」

そしてまた進もうとした。
「なんだよ……。」

頭上から声がした。

私は弾かれる様に上を見上げた。
数m上の枝に、セツナが座っている。

私はホッとした。

⏰:07/07/09 18:58 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#95 [向日葵]
蜜「ハァ…何してるんですか!!…ハァ…シオイさん心配してるんですよ!!」

セツナ「俺が大嫌いで心配してないお前は何してるんだよ。」

私は口を閉じた。
木から落ちてくる滴が視界を防ぐ。

蜜「雨は体によくないんでしょ?!なら、早く帰りましょう!」

セツナ「帰ればいいじゃないか。お前はやっぱり馬鹿だな。」

―――プチン

蜜「馬鹿は貴方ですっ!!」

⏰:07/07/09 19:02 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#96 [向日葵]
私の怒りの声がエコーする。

蜜「どれだけ探したと思ってるんですか!どれだけ心配したと思ってるんですか!」

どれだけ……

蜜「大嫌いと言った事を後悔したと思ってるんですか!!」

そこで初めてセツナがこちらを見た。ような気がした。

蜜「―――っつ!」

いきなりさっきぶつけた足が痛んできて、私はその場にしゃかんで足を押さえた。

⏰:07/07/09 19:06 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#97 [向日葵]
気付けば足に複数切傷がある。きっと木の葉で切ったんだ。

馬鹿らしい。
そこまで探し回ったのに本人に帰る気が無いなら、私は何しに来たんだ。

膝を押さえていると近くに気配を感じた。

視線をずらすと、セツナの足が見えた。

私は何も考えず、セツナに抱きついた。

セツナ「――!」

蜜「帰りましょう…?私は貴方が心配で迎えに来ました。……だから……帰りましょう?」

⏰:07/07/09 19:09 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#98 [ちぃ]
失礼します
>>70-100

⏰:07/07/09 19:18 📱:SH903i 🆔:pX7UHxFg


#99 [向日葵]
ちぃさん

安価ありがとうございます

――――――――

セツナ「……なんで…。お前は俺の心を強い力でねじ曲げれるんだ……っ!」

するとセツナはギュッと力一杯抱き締めてきた。

セツナ「お前が大嫌いと告げてから、もう会わないと思ってたのに……っ。大嫌いならなんで心配なんかするんだ……!頼むから……もう苦しめないでくれ……っ!!」

蜜「セツナ……。」

見えないけど、その美貌は前みたいに歪んでしまっているのだろう。

⏰:07/07/09 19:37 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#100 [向日葵]
蜜「大嫌いなんて……もう言いません。思いません。私は……貴方が好きです。」

セツナの息を飲む音耳元で聞こえた。

セツナ「恐かったんだ…。もし蜜が離れるかと思うと……。恐かったんだ……。」

うん。セツナはそれだけ私を想ってくれてるんですね。

セツナ「蜜……。離れないで…。」

蜜「離れませんよ。…だって。」

私は運命の相手なのでしょう?

⏰:07/07/09 19:42 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#101 [向日葵]
―――――……

蜜「っっくしゅん!!」

その後、ずぶ濡れになった私は派手に風邪をひいた。

セツナ「これだから人間って言うのは体が弱いんだよ。」

蜜「なんで貴方はそんなに平気なんですか……っ。」

只今内緒でセツナが私の部屋にいる。
おばあちゃんとおじいちゃんは仲良く買い物に出かけてしまった。

セツナ「体なんてすぐ乾かせばいいだけだ。じゃなきゃ風呂に入れんだろう。困るのは羽が濡れて飛べなくなる心配だけだ。」

⏰:07/07/09 19:47 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#102 [向日葵]
『シ・オ・イさんめ〜……!あんなこと言っておいて結局被害者は私だけ?!』

セツナ「さてと……。と言う訳で。晴れて俺達は夫婦となった訳だ。」

鼻をかむのを辞めて私は「え?!」と叫んだ。

蜜「いつそんな事になったんですか!」

セツナ「俺はお前が好き。お前も俺が好き。ならそうなるだろう。」

それは意味を履き違えているような気がするんだが……。

セツナ「これでお前を独り占めしても怒られないって訳だ。」

⏰:07/07/09 19:54 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#103 [向日葵]
蜜「場所を選んでくれるなら我慢してあげますけど。」

セツナ「馬鹿言うな。そんなの俺の勝手だろう。」

イライライライラ……

蜜「貴方と言う人はホンット変わりませんねぇっ!」

セツナ「嫌ならお前が変われ。亭主関白という奴だ。」

イライライライライライライライラ……

蜜「だから貴方って大……っ!」

ベッドに倒れたと思ったら私の口をセツナの口で塞がれた。

⏰:07/07/09 20:11 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#104 [向日葵]
セツナ「それは言わないんだろ?」

セツナはニヤッと笑う。
私は熱が更に上がる。

するとおでこにセツナの唇が触れて来た。

セツナ「ホラ。早く休め。側にいてやるから。ってか熱の時は“蜜”の匂いがすごい……。」

蜜「お願いですから寝ている時に変な事しないでくださいね。」

セツナはクスクス笑う。

セツナ「そんなの俺の勝手だ。」

⏰:07/07/09 20:18 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#105 [向日葵]
チャプター:3 必要?




2月はまだ寒い。
なので風邪の治りが非常に悪かった。

ピピッ ピピッ

電子音が聞こえた。
私はそれを見る。

蜜「37度……8。」

先日の風邪を長引かせて早2日。
私結構免疫力なかったんだ。

蜜「えくちゅっ!!」

くしゃみが止まない……。

⏰:07/07/09 20:23 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#106 [向日葵]
セツナ「今日も来てないと思ったらやっぱり休んでいたか。」

蜜「セツナ!」

窓からセツナ登場。

蜜「靴!セツナ靴!!」

セツナ「いいじゃないか。面倒臭い。」

蜜「部屋が汚れちゃうじゃないですか!!」

渋々セツナは窓のヘリに座って靴を脱いだ。脱いだ靴は窓のすぐ下にある屋根に置いておく。

蜜「ってか授業出なくていいんですか?」

セツナ「そんなこと心配するようなもんじゃない。」

⏰:07/07/09 20:32 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#107 [向日葵]
セツナは私が寝ているベッドに腰かける。

セツナ「体調はどうなんだ?」

蜜「ダルイ。」

セツナはククッと笑う。
笑い事じゃない。ダルイはダルイ。
ってかこれは……

蜜「セツナのせいじゃないですか…。」

セツナは更に笑う。
するとどこからともなく金色の玉を出した。

セツナ「梅の花の蜜を固めたものだ。俺達の世界じゃこれが薬なんだ。」

⏰:07/07/09 20:47 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#108 [向日葵]
へえー……。
それはまた凄い。

セツナ「口開けろ。」

私は素直に口を開ける。
……が。

パクッ

…………はい?

それはセツナが食べてしまった。

蜜「く、くれるんじゃないんですか?!」

セツナ「ん?欲しい?」

……。

蜜「やっぱいいです。」

⏰:07/07/09 20:50 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#109 [向日葵]
予想は当たる。

絶対に口移しする気だ。

変態!この人はSで変態!!

セツナ「遠慮するなよ。」

セツナは片手で私の顔を掴む。

蜜「してませんし!」

そんな言葉を無視してセツナの顔はどんどん近づいてくる。

待って!!ここ数日本気でキスする回数が多い!!控えなきゃ読者の皆さんがワンパターンって飽きちゃうって!!(余計なお世話です。)

⏰:07/07/09 20:54 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#110 [向日葵]
セツナの唇が優しく触れる。そしてやがて激しさを増していく。

頭の芯がくらくらする。
無理矢理口を開かれて、甘い固まりが口に落ちる。

セツナ「これで大丈夫だな。」

蜜「ふ、普通に…食べさせてくれたらいいじゃないですか……。」

セツナはおかしそうに笑いながら私の横に一緒になって寝た。

おばあちゃんが私の安静を願って部屋に来ないからいいものの……。
今来てしまったらひっくり返っちゃうかもしれない。

⏰:07/07/09 20:59 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#111 [向日葵]
口の中で雨が溶ける度、なんだか体が元気になってきた気がする。

セツナ「なぁ蜜。一つ尋ねていいか?」

蜜「はいどうぞ?」

セツナは天井に向いていた体を私の方へ向けた。

セツナ「最近女達が「甘い物が好きか」と聞かれるんだが……。何故だ。」

私は目をパチクリさせた。

蜜「長い間人間界にいるのにバレンタインデーも知らないんですか?」

そう世はあと3日ほどでバレンタインデーなのだ。

⏰:07/07/09 21:06 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#112 [向日葵]
今年も全く関係無い行事かと思ったけど、ここ数週間のせいでそうもいかなくなった。

しかも相手人間じゃないし。
おーなんか最近それに慣れちゃってるよー!

セツナ「人間界の記念日など興味ない。」

記念日ではないんだけどねぇ……。

蜜「バレンタインデーと言うのは、女の子が好きな人にチョコレートを渡して想いを伝える勇気がいる日なのです。」

セツナ「ほー。物で釣って気持ちを買う日なのか。」

⏰:07/07/09 21:12 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#113 [向日葵]
コラー!
そんな事絶対言っちゃ駄目ー!!

セツナ「なら俺達には関係ない事だな。」

蜜「そーでもないですよ。恋人同士でも好きって気持ちを再確認する日ですから。」

セツナ「そんなもの確認してどうする。」

ダメだ。
この人Sで変態だけどロマンがない……。

私はこっそりため息を吐いた。
するとセツナは私に身を寄せてキュッと抱き締めた。

⏰:07/07/09 21:18 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#114 [向日葵]
セツナにとってはこれで充分かもしれない。

でも女の子って言うのは、渡すか渡さないかやっぱり迷うものなのだ。

さて……どうしたものか。

――――
――――――

清「そりゃ渡しなさいよ!」

私復活。
昨日の蜜玉が効いたらしい。

蜜「だって相手いらなさそうだから機嫌そこねたらややこしいんだって…。」

⏰:07/07/09 21:23 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#115 [向日葵]
――――――――

今日はここで終ります

⏰:07/07/09 21:27 📱:SO903i 🆔:F5kPhI5A


#116 [向日葵]
清には前の捜索事件を話していない。
風邪はただ単にひいたものだと言っている。

だから前みたいなご機嫌斜めになると頗るよろしくない。

清「贈り物をして機嫌をそこねるなんて。変わった人ねセツナ先輩。」

だって人間じゃないもん。バレンタインデーをことごとく馬鹿にしてたし……。

清「まぁ、あと2日あるんだし。じっくり考えてみたら?」

蜜「そーするよ。」

⏰:07/07/10 09:49 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#117 [向日葵]
こんな事を毎年この時期になると考えなきゃいけないなんて……恋する女の子達は大変だったのね。

小川「本山……。」

蜜「はい?」

小川「ちょっといい?」

手招きされたので私は戸付近まで歩いて行った。

小川「今日また放課後アンケート結果まとめなきゃいけないんだけど平気?」

蜜「大丈夫だよ。」

なんか小川君ぎこちないなぁ……。
…………あぁ。原因は私か…。

⏰:07/07/10 09:55 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#118 [向日葵]
蜜「……色々と気になさるな若者よ。」

そこで小川君はやっと緊張が溶けたのか笑った。

小川「ハハハ!何それ!じゃあよろしくね。」

蜜「はいはい。」

小川君はホントにいい青年だな。仕事熱心だし……。どっかの邪悪な誰かとは大違いだわ。

……その誰かさんを好きになったのは私だけどね…。
しかも人外。

――――――……

セツナ「またアイツと一緒に残るのか。」

⏰:07/07/10 10:00 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#119 [向日葵]
あぁ…。もはやご機嫌斜め。

只今お食事中……の前に事を説明。

蜜「仕方ないでしょう。私も委員会の1人なんですから。」

セツナ「……。お前は気づいてないのか?」

蜜「はい?何をです?」

するとセツナは満足そうに笑って手を伸ばすと私を抱き寄せた。

セツナ「ならいい。」

『珍しい…。“食べる”前に甘えてきた。』

⏰:07/07/10 10:04 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


#120 [向日葵]
セツナ「じゃあ沢山“蜜”をくれたら許す!」

結局それですか。

蜜「素朴な質問なんですが、私が現れる前は食事どうしてたんですか?」

近づいてきた顔を一旦止めてから聞いてみた。

セツナ「春夏秋は花の蜜。冬は蜂蜜を食べてた。」

蜜「どこぞのキャラクターですか貴方は。」

黄色い熊を思い浮かべた。セツナはそれを知らないので顔をしかめてから目を真剣にする。

セツナ「もういいか?」

蜜「駄目と言ってもどうせ「俺の勝手」とか言って無理矢理食べるんでしょう?」

⏰:07/07/10 10:09 📱:SO903i 🆔:DzF3iqGQ


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