黒蝶・蜜乙女
最新 最初 全
#100 [向日葵]
蜜「大嫌いなんて……もう言いません。思いません。私は……貴方が好きです。」
セツナの息を飲む音耳元で聞こえた。
セツナ「恐かったんだ…。もし蜜が離れるかと思うと……。恐かったんだ……。」
うん。セツナはそれだけ私を想ってくれてるんですね。
セツナ「蜜……。離れないで…。」
蜜「離れませんよ。…だって。」
私は運命の相手なのでしょう?
:07/07/09 19:42 :SO903i :F5kPhI5A
#101 [向日葵]
―――――……
蜜「っっくしゅん!!」
その後、ずぶ濡れになった私は派手に風邪をひいた。
セツナ「これだから人間って言うのは体が弱いんだよ。」
蜜「なんで貴方はそんなに平気なんですか……っ。」
只今内緒でセツナが私の部屋にいる。
おばあちゃんとおじいちゃんは仲良く買い物に出かけてしまった。
セツナ「体なんてすぐ乾かせばいいだけだ。じゃなきゃ風呂に入れんだろう。困るのは羽が濡れて飛べなくなる心配だけだ。」
:07/07/09 19:47 :SO903i :F5kPhI5A
#102 [向日葵]
『シ・オ・イさんめ〜……!あんなこと言っておいて結局被害者は私だけ?!』
セツナ「さてと……。と言う訳で。晴れて俺達は夫婦となった訳だ。」
鼻をかむのを辞めて私は「え?!」と叫んだ。
蜜「いつそんな事になったんですか!」
セツナ「俺はお前が好き。お前も俺が好き。ならそうなるだろう。」
それは意味を履き違えているような気がするんだが……。
セツナ「これでお前を独り占めしても怒られないって訳だ。」
:07/07/09 19:54 :SO903i :F5kPhI5A
#103 [向日葵]
蜜「場所を選んでくれるなら我慢してあげますけど。」
セツナ「馬鹿言うな。そんなの俺の勝手だろう。」
イライライライラ……
蜜「貴方と言う人はホンット変わりませんねぇっ!」
セツナ「嫌ならお前が変われ。亭主関白という奴だ。」
イライライライライライライライラ……
蜜「だから貴方って大……っ!」
ベッドに倒れたと思ったら私の口をセツナの口で塞がれた。
:07/07/09 20:11 :SO903i :F5kPhI5A
#104 [向日葵]
セツナ「それは言わないんだろ?」
セツナはニヤッと笑う。
私は熱が更に上がる。
するとおでこにセツナの唇が触れて来た。
セツナ「ホラ。早く休め。側にいてやるから。ってか熱の時は“蜜”の匂いがすごい……。」
蜜「お願いですから寝ている時に変な事しないでくださいね。」
セツナはクスクス笑う。
セツナ「そんなの俺の勝手だ。」
:07/07/09 20:18 :SO903i :F5kPhI5A
#105 [向日葵]
チャプター:3 必要?
2月はまだ寒い。
なので風邪の治りが非常に悪かった。
ピピッ ピピッ
電子音が聞こえた。
私はそれを見る。
蜜「37度……8。」
先日の風邪を長引かせて早2日。
私結構免疫力なかったんだ。
蜜「えくちゅっ!!」
くしゃみが止まない……。
:07/07/09 20:23 :SO903i :F5kPhI5A
#106 [向日葵]
セツナ「今日も来てないと思ったらやっぱり休んでいたか。」
蜜「セツナ!」
窓からセツナ登場。
蜜「靴!セツナ靴!!」
セツナ「いいじゃないか。面倒臭い。」
蜜「部屋が汚れちゃうじゃないですか!!」
渋々セツナは窓のヘリに座って靴を脱いだ。脱いだ靴は窓のすぐ下にある屋根に置いておく。
蜜「ってか授業出なくていいんですか?」
セツナ「そんなこと心配するようなもんじゃない。」
:07/07/09 20:32 :SO903i :F5kPhI5A
#107 [向日葵]
セツナは私が寝ているベッドに腰かける。
セツナ「体調はどうなんだ?」
蜜「ダルイ。」
セツナはククッと笑う。
笑い事じゃない。ダルイはダルイ。
ってかこれは……
蜜「セツナのせいじゃないですか…。」
セツナは更に笑う。
するとどこからともなく金色の玉を出した。
セツナ「梅の花の蜜を固めたものだ。俺達の世界じゃこれが薬なんだ。」
:07/07/09 20:47 :SO903i :F5kPhI5A
#108 [向日葵]
へえー……。
それはまた凄い。
セツナ「口開けろ。」
私は素直に口を開ける。
……が。
パクッ
…………はい?
それはセツナが食べてしまった。
蜜「く、くれるんじゃないんですか?!」
セツナ「ん?欲しい?」
……。
蜜「やっぱいいです。」
:07/07/09 20:50 :SO903i :F5kPhI5A
#109 [向日葵]
予想は当たる。
絶対に口移しする気だ。
変態!この人はSで変態!!
セツナ「遠慮するなよ。」
セツナは片手で私の顔を掴む。
蜜「してませんし!」
そんな言葉を無視してセツナの顔はどんどん近づいてくる。
待って!!ここ数日本気でキスする回数が多い!!控えなきゃ読者の皆さんがワンパターンって飽きちゃうって!!(余計なお世話です。)
:07/07/09 20:54 :SO903i :F5kPhI5A
#110 [向日葵]
セツナの唇が優しく触れる。そしてやがて激しさを増していく。
頭の芯がくらくらする。
無理矢理口を開かれて、甘い固まりが口に落ちる。
セツナ「これで大丈夫だな。」
蜜「ふ、普通に…食べさせてくれたらいいじゃないですか……。」
セツナはおかしそうに笑いながら私の横に一緒になって寝た。
おばあちゃんが私の安静を願って部屋に来ないからいいものの……。
今来てしまったらひっくり返っちゃうかもしれない。
:07/07/09 20:59 :SO903i :F5kPhI5A
#111 [向日葵]
口の中で雨が溶ける度、なんだか体が元気になってきた気がする。
セツナ「なぁ蜜。一つ尋ねていいか?」
蜜「はいどうぞ?」
セツナは天井に向いていた体を私の方へ向けた。
セツナ「最近女達が「甘い物が好きか」と聞かれるんだが……。何故だ。」
私は目をパチクリさせた。
蜜「長い間人間界にいるのにバレンタインデーも知らないんですか?」
そう世はあと3日ほどでバレンタインデーなのだ。
:07/07/09 21:06 :SO903i :F5kPhI5A
#112 [向日葵]
今年も全く関係無い行事かと思ったけど、ここ数週間のせいでそうもいかなくなった。
しかも相手人間じゃないし。
おーなんか最近それに慣れちゃってるよー!
セツナ「人間界の記念日など興味ない。」
記念日ではないんだけどねぇ……。
蜜「バレンタインデーと言うのは、女の子が好きな人にチョコレートを渡して想いを伝える勇気がいる日なのです。」
セツナ「ほー。物で釣って気持ちを買う日なのか。」
:07/07/09 21:12 :SO903i :F5kPhI5A
#113 [向日葵]
コラー!
そんな事絶対言っちゃ駄目ー!!
セツナ「なら俺達には関係ない事だな。」
蜜「そーでもないですよ。恋人同士でも好きって気持ちを再確認する日ですから。」
セツナ「そんなもの確認してどうする。」
ダメだ。
この人Sで変態だけどロマンがない……。
私はこっそりため息を吐いた。
するとセツナは私に身を寄せてキュッと抱き締めた。
:07/07/09 21:18 :SO903i :F5kPhI5A
#114 [向日葵]
セツナにとってはこれで充分かもしれない。
でも女の子って言うのは、渡すか渡さないかやっぱり迷うものなのだ。
さて……どうしたものか。
――――
――――――
清「そりゃ渡しなさいよ!」
私復活。
昨日の蜜玉が効いたらしい。
蜜「だって相手いらなさそうだから機嫌そこねたらややこしいんだって…。」
:07/07/09 21:23 :SO903i :F5kPhI5A
#115 [向日葵]
――――
――――
今日はここで終ります
:07/07/09 21:27 :SO903i :F5kPhI5A
#116 [向日葵]
清には前の捜索事件を話していない。
風邪はただ単にひいたものだと言っている。
だから前みたいなご機嫌斜めになると頗るよろしくない。
清「贈り物をして機嫌をそこねるなんて。変わった人ねセツナ先輩。」
だって人間じゃないもん。バレンタインデーをことごとく馬鹿にしてたし……。
清「まぁ、あと2日あるんだし。じっくり考えてみたら?」
蜜「そーするよ。」
:07/07/10 09:49 :SO903i :DzF3iqGQ
#117 [向日葵]
こんな事を毎年この時期になると考えなきゃいけないなんて……恋する女の子達は大変だったのね。
小川「本山……。」
蜜「はい?」
小川「ちょっといい?」
手招きされたので私は戸付近まで歩いて行った。
小川「今日また放課後アンケート結果まとめなきゃいけないんだけど平気?」
蜜「大丈夫だよ。」
なんか小川君ぎこちないなぁ……。
…………あぁ。原因は私か…。
:07/07/10 09:55 :SO903i :DzF3iqGQ
#118 [向日葵]
蜜「……色々と気になさるな若者よ。」
そこで小川君はやっと緊張が溶けたのか笑った。
小川「ハハハ!何それ!じゃあよろしくね。」
蜜「はいはい。」
小川君はホントにいい青年だな。仕事熱心だし……。どっかの邪悪な誰かとは大違いだわ。
……その誰かさんを好きになったのは私だけどね…。
しかも人外。
――――――……
セツナ「またアイツと一緒に残るのか。」
:07/07/10 10:00 :SO903i :DzF3iqGQ
#119 [向日葵]
あぁ…。もはやご機嫌斜め。
只今お食事中……の前に事を説明。
蜜「仕方ないでしょう。私も委員会の1人なんですから。」
セツナ「……。お前は気づいてないのか?」
蜜「はい?何をです?」
するとセツナは満足そうに笑って手を伸ばすと私を抱き寄せた。
セツナ「ならいい。」
『珍しい…。“食べる”前に甘えてきた。』
:07/07/10 10:04 :SO903i :DzF3iqGQ
#120 [向日葵]
セツナ「じゃあ沢山“蜜”をくれたら許す!」
結局それですか。
蜜「素朴な質問なんですが、私が現れる前は食事どうしてたんですか?」
近づいてきた顔を一旦止めてから聞いてみた。
セツナ「春夏秋は花の蜜。冬は蜂蜜を食べてた。」
蜜「どこぞのキャラクターですか貴方は。」
黄色い熊を思い浮かべた。セツナはそれを知らないので顔をしかめてから目を真剣にする。
セツナ「もういいか?」
蜜「駄目と言ってもどうせ「俺の勝手」とか言って無理矢理食べるんでしょう?」
:07/07/10 10:09 :SO903i :DzF3iqGQ
#121 [向日葵]
セツナはクスクス笑って顔を近付けてきた。
やっぱりいくら食事とは言え、この瞬間には慣れない。端正な顔が間近にあると思うと胸の高鳴りは抑えられないし、第一どのタイミングで目を瞑ればいいかも分からない。
私はもうすぐ唇が触れるくらいの時に目を瞑る。
その間は逃れられないセツナの瞳をジッと見つめる。
セツナ「何を考えてるんだ?」
甘く低い声が脳に響き渡る。吐息が顔にかかる。
蜜「乙女の事情をあれこれと……。」
:07/07/10 10:14 :SO903i :DzF3iqGQ
#122 [向日葵]
セツナはフッと笑うと顔を少し傾けて唇を押し付けてくる。
その時点で私はくらくらしてしまう。
最近思う。
“愛のくちづけ”を口実に“食事”してたと前は思ってたけど、この頃はそれが逆なのではないかと。
セツナ……それは只の欲求不満だよ!!
そんな事を思いながらなんとなくまだ唇を塞がれたまま目を開けてみた。
蜜「――!ちょっと!!なんで目を開けてるんですか!!」
セツナを引き剥がして顔が赤くなるのを自覚しながら怒る。
:07/07/10 10:20 :SO903i :DzF3iqGQ
#123 [向日葵]
セツナは口許を隠してクククク笑っている。
セツナ「いや、お前のカワイイ姿を見ておこうと思ってな。」
蜜「――っ!!いい加減にして下さい!!もぅ…教室に戻ります!」
立ち上がろうとしたら腕を引かれた。
セツナ「誰が帰っていいと言った?まだ充分な“蜜”はもらってないぞ。」
蜜「私のかっわいー顔が見れたから充分じゃないんですか?!」
皮肉たっぷりに言ってもセツナには聞かない。
するとセツナはゆっくり瞼を閉じた。
:07/07/11 16:49 :SO903i :cziG/xIA
#124 [向日葵]
セツナ「今度は瞑るから。」
……。
え?!つまり私からしろって言うんですか貴方!!
蜜「もーいいじゃないですか!!」
セツナ「蜜。」
はっきり名前を呼ばれて身震いした。
逃げたくても私の考えていることを分かってるように腕を力強く掴んでいる。
蜜「セツナ…っっ!」
セツナ「早くしないと昼休み終るよ?」
蜜「……っ!!」
:07/07/11 16:58 :SO903i :cziG/xIA
#125 [向日葵]
何回か深呼吸した後に、唇をキュッと結ぶ。
身をゆっくり乗り出してセツナの顔へ近づく。
『どうしてこんな恥ずかしいことこの人はやって退けるんだろう…。』
そして、唇が触れたと思った瞬間直ぐに離れた。
暑い!!顔が暑い!!!!
セツナは目を開けると嬉しそうに目を細めて笑った。
蜜「も、帰って…いいですか?」
セツナ「あぁ。いいぞ。」
――――!!今分かった…。この人、私からキスして欲しかっただけだ!!
:07/07/11 17:04 :SO903i :cziG/xIA
#126 [向日葵]
蜜「セツナのバァァァッカァ!!!!」
走って階段を駆け降りていく。後ろで初めて会った時みたいにセツナが笑ってた気がする。
もぉやだ!!
あんな変態!!
でも知ってる。心の中では徐々にセツナにハマっていってる自分がいる事を。
そんな事を考える自分が更に恥ずかしくなった。
『ひぃぃぃっ!耳が暑いぃっ!!』
教室に着いて机にうつ伏せでいると清が心配してくれたけど、赤い顔をしてる自分を見られたくなくて「大丈夫」とだけ返事をした。
:07/07/11 17:10 :SO903i :cziG/xIA
#127 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・
放課後。
小川君と私は教室にいた。
『セツナ帰ったよね…。前みたいな事してくれなきゃいいけど……。』
ってか2月は普通自由登校なのになんでこの学校はみんないるんだろ……。謎……。
小川「俺達の学校は3月からが自由登校らしいよ。」
蜜「……。もしかして、私口に出してた?」
小川「ウン。しかも俺達の学校だけ。大学合格しても勉強しろみたいなんがあるんだって。流石にテストはないらしいけど。」
何そのとって付けた様なめちゃくちゃな規則……。
:07/07/11 17:17 :SO903i :cziG/xIA
#128 [向日葵]
ってかセツナはもうすぐ卒業じゃない。
大学とか行くのかな…。
蜜「なんか不敏だなうちの学校……。」
小川「まぁその分自由な面多いけどね!」
あーそうだなぁ。
休み時間お菓子とか食べてても怒られないし。
小川「あ。本山。ここ違う。これはこうしなきゃ。」
蜜「あ、ごめん。ありがとう。」
そういえばバレンタインって友チョコが有りだよね。
:07/07/11 17:22 :SO903i :cziG/xIA
#129 [向日葵]
蜜「小川君は甘い物大丈夫ですか?」
小川「ん?大丈夫だけど?」
蜜「なら、バレンタインデーにチョコあげるね!」
ボキッ!!
小川君のシャーペンの芯が勢いよく折れた。
小川君は顔を何故か赤くしている。
小川「な!なんで!!」
蜜「なんで……って……。お友達だから。友チョコってやつですよ!」
小川君は一気に拍子抜けした顔をして「あ、そうだよね。」と顔を更に赤くした。
:07/07/11 17:26 :SO903i :cziG/xIA
#130 [向日葵]
小川「か、勘違い…、した。」
蜜「は、はぁ……。」
そしてそれからはカリカリ真面目にアンケート結果を紙にまとめていった。
蜜「ふぅー!終わったぁ!!」
小川「送るよ。」
私の頭にフッとセツナがよぎる。
『帰ってるとは思うけど……。』
蜜「ううん。いいよ。寄るトコあるし。お疲れ様!バイバイ!」
小川「あ、あぁ。バイバイ……。」
:07/07/11 17:33 :SO903i :cziG/xIA
#131 [向日葵]
夕闇が迫る校内をカツカツ音を立てながら進む。
馬鹿みたい。
セツナに会えるかもって思っただけで気持ちがはやってしまう。
ワクワクしてしまう。
いつも通り、屋上まで足を運ぶ。
戸の前で一旦立ち止まる。
いる訳……ないって……。
それでもいいかと思い、恐る恐る戸の開く。
カチャ キィィィィ
油切れの戸が、音を立てて開く。
:07/07/11 17:41 :SO903i :cziG/xIA
#132 [向日葵]
寒い風が、隙間からサァと流れてくる。
蜜「さ、むー……い。」
そこには、夕暮れで妖しくも綺麗に照らされているセツナがいた。
柵にもたれて寝ている。
寒くないのかな……。
ゆっくりと近づく。
蜜「セツナ。起きて下さい…。」
セツナの体を揺さぶるけどセツナは起きない。
凍死したかしら……。
蜜「セツナ。セツナったら。」
:07/07/11 17:52 :SO903i :cziG/xIA
#133 [向日葵]
――――
――――
一旦キリます
:07/07/11 17:53 :SO903i :cziG/xIA
#134 [向日葵]
なんとなく顔を包みこんでみると
蜜「冷たっ。」
どれくらい此処にいたんだろう。
するとセツナの手が、顔を包んでいる私の手にゆっくり伸びてきた。
セツナ「……ん…。蜜……?」
蜜「蜜じゃありませんよ。こんな寒いところで何してるんですかっ。」
セツナ「お前の手……温かい。」
蜜「当たり前です。こんなトコにいたんですから。」
:07/07/11 18:48 :SO903i :cziG/xIA
#135 [向日葵]
なんだか寝ぼけているみたい……。
目半開きだし…。
蜜「帰りますよ。しゃんとして下さい!」
セツナ「んー……。」
そう言うと私に手を回してきて抱き寄せた。
蜜「ちょ、セツナ!」
セツナ「寒いからちょっと温めさせてくれ…。」
蜜「だから先に帰ったら良かったんですよ…。」
まったく。なんでよりによってこんなトコで寝てられるのか…。
:07/07/11 18:51 :SO903i :cziG/xIA
#136 [向日葵]
セツナは力を少し入れた。
セツナ「お前は俺の気持ちが分からんか。だから馬鹿なんだ。」
プチッ
もうすでに「馬鹿」が口癖になってしまってる。
あんまり嬉しくないな。
蜜「馬鹿だから分かりませんよっ。」
セツナ「お前と少しでも一緒にいたいからに決まってるだろう。」
そこで私は反論出来なくなった。
さらりとそんなクサイことよく言えるよ。
:07/07/11 18:55 :SO903i :cziG/xIA
#137 [向日葵]
蜜「それなら…っもう少しマシなトコにいて下さいよ。」
セツナ「一目散にここに来た癖に。」
耳元でククッとセツナが笑う。それがなんだか心地いい。
あーハイハイ。私が負けで結構です。
……だから
蜜「こんな寒いトコ、早く去りましょう。私も寒くなります!」
セツナ「ならあっためてやるよ。」
蜜「え……?」
セツナは私の耳元に唇を近付けた。
:07/07/11 18:59 :SO903i :cziG/xIA
#138 [向日葵]
セツナ「好きだ。」
吐息と魅惑の声が私の耳を突き抜ける。
一気に体温上昇。熱をぶり返しそう。
セツナは体を離してその効果を見てみる。
見なくても分かるだろうに……。
私の体を支える力が一気に無くなった。
蜜「み、耳…っ、耳元で……囁かないで下さいよっ……!!」
セツナ「クククク…。でも体は温まっただろ?ならいいだろ。」
「それに」とセツナは続けた。
セツナ「お前はからかうと可愛いからな。」
:07/07/11 19:14 :SO903i :cziG/xIA
#139 [向日葵]
―――!!!
頼むからもう止めて……。
蜜「体……温まったんですから帰りますよ……っ!」
セツナ「クスクス。ハイハイ。じゃあ、空中散歩は如何かな?花嫁殿。」
蜜「寒いのに余計寒くしてどうするんですかっ。」
セツナの背中辺りが微かに光を放つ。
セツナ「心配ない。また、温めればいいだけの話だ。」
そしてその魔法にまんまとかかるのがこの私。
……なんか不公平な気がする。
:07/07/11 19:29 :SO903i :cziG/xIA
#140 [向日葵]
セツナに抱きかかえられ、私は宙へと舞っていく。
あ。
蜜「セツナ降ろして!靴履き替えてない!!」
セツナ「気にするな。俺が明日向かえに来てやる。」
えー。
すっかり夜になった街並みは、光が点々としていた。
蜜「綺麗……。」
セツナ「嬉しいか。」
蜜「すごく。」
:07/07/11 19:34 :SO903i :cziG/xIA
#141 [向日葵]
セツナ「ならこれは俺からのバレンタインデーだ。」
蜜「はい?!バレンタインデーは普通女の子からであって」
セツナ「男から送っちゃ駄目だなんて決まりはないだろ?」
う……。それを言われると苦しい。
蜜「セツナは……。何かいりますか?」
とりあえず聞いてみる。
……セツナの答えなんか目に見えてたけど。
セツナ「お前がいるならそれでいい。」
:07/07/11 19:38 :SO903i :cziG/xIA
#142 [向日葵]
ホンットこの人は……甘いセリフをここ数日で16年分聞いた気分だ。
蜜「せめて何か送らせてください。私には飛んでこんな景色見せてあげれること出来ないんですから。どうぞなんでも。」
“なんでも”と言ったのを後で後悔してしまった。
セツナはニヤッと笑った。
セツナ「なんでも?」
蜜「はぁ、まぁ、出来る限りで……。」
セツナ「少し時間あるか?」
蜜「ありますけど?」
:07/07/11 19:43 :SO903i :cziG/xIA
#143 [向日葵]
セツナはしっかりと私を抱きかかえて山へ入って行くと、あの教えてくれた場所に来た。
太めの枝に座ると、セツナが抱き上げて私を自分の方に向かせた。
セツナ「なんでも……だな?」
蜜「はぁ。」
セツナ「出来る限り。」
蜜「何ですか。」
まるで嘘偽りがないか確認している様に私が言った言葉を繰り返す。
セツナ「では蜜から……“愛のくちづけ”をしろ。」
:07/07/11 19:48 :SO903i :cziG/xIA
#144 [向日葵]
……。
私、そろそろ耳掃除しなきゃいけないかしら。今なんて?
私から?“愛のくちづけ”?あんな恥ずかしいことをまたしろと……?
蜜「ぅえぇぇぇぇぇっっ?!?!」
叫びがこだまする。
風で木樹が揺らめいた。
蜜「貴方あのこっ恥ずかしい事をもう一度しろとおっしゃいますかぁぁぁぁ!!!!」
セツナ「なんでもと言ったのはお前だろ。」
:07/07/11 20:19 :SO903i :cziG/xIA
#145 [向日葵]
セツナは腕を組んで私を睨む。その目はどこか得意そうだ。
蜜「言った……て……言いましたけど…っ!!!!貴方どんだけキスがお好きなんですかぁぁっ!」
セツナ「馬鹿か。蜜との距離がなくなるから好きなだけだ。」
蜜「だ、ど、う……っ!」
もう言葉が出てこない。
仕方ない。約束は約束。
蜜「じゃあこれだけは守って下さい!目・を・絶・対粒って下さいね!!」
セツナ「それごとき守ってやるさ。ホラ。」
:07/07/11 20:29 :SO903i :cziG/xIA
#146 [向日葵]
そう言ってセツナは目を瞑り私を待った。
その目の前で私はしどろもどろしていた。
どうすればセツナが満足してくれるだろう……。
昼間みたいなのでいいか。
結論付けて私は身を乗り出し、ぎこちなく唇を当てた。
そして離れる。
するとセツナが口を開いた。
セツナ「それで、俺が満足するとでも?」
蜜「努力を認めて下さいよ……。」
セツナ「やり直し。ハイ。」
:07/07/11 20:38 :SO903i :cziG/xIA
#147 [向日葵]
蜜「セーツーナー……。勘弁して下さいよー…。」
するとセツナは目を閉じて口パクで「嫌だ。」と答えた。
セツナ「しなきゃ帰らん。」
それは困る。なんせ地上から何10mのこの位置から降りれる訳がない。
仕方ない。やるしかない。
鼓動がうるさい。
何故か小刻みに震えている手で整ったセツナの顔を包む。
そして唇に触れる。
と、その時。
蜜「!ちょ、セ……ッ!!」
:07/07/11 20:45 :SO903i :cziG/xIA
#148 [向日葵]
セツナの左手が腰に、右手が頭を掴んで、簡単に離れない様にがっちり捕まった。
体が言う事を聞かない。
何も考えられなくなって自分の手がどこにあるのかもわからなくなってきた。
蜜「セツ……ッナ……。」
角度を返る少しの間に名前を呼んでみるも止めようとしないセツナ。
『ちょっと…っっ!!ホント待ってー!!!!』
そう思った瞬間、やっと解放された。
:07/07/11 20:51 :SO903i :cziG/xIA
#149 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
:07/07/11 20:55 :SO903i :cziG/xIA
#150 [まな]
:07/07/11 22:31 :D902iS :qdvZRzOU
#151 [向日葵]
:07/07/11 22:52 :SO903i :cziG/xIA
#152 [向日葵]
蜜「い、息…出来な……っ。」
セツナ「当たり前だろ。そーゆーもんなんだから。」
若干半泣きになってしまう。まだ近くにあるセツナの顔から距離を置こうと思っても腰にある手が離してくれない。
蜜「ちょっとは距離を下さいよー…っ!」
セツナ「お前は少し慣れる必要があるだろ。じゃなきゃいつまで経っても俺は我慢しなきゃならん。」
いや我慢してないじゃん。
:07/07/12 09:55 :SO903i :nxiPv1n6
#153 [向日葵]
仕方ないのでせめてセツナから顔を背ける。
左に視線をやると灯台がチカチカしていた。
蜜「あ!今何時だ!」
制服のポケットから携帯を探す。
しかしセツナがその手を止める。
セツナ「もう帰るとか言わないよな?」
蜜「言いますよ。何言ってんですか。」
セツナ「もう少しいいだろ。」
と言って私を抱き寄せる。
:07/07/12 10:00 :SO903i :nxiPv1n6
#154 [向日葵]
なんなのこの人は……。
自分勝手だと思ったら甘えてきたり、かと思えば襲ってきたり。
私はそんなに順応性ないんだから!!もうちょっと考えてよ!!
……わかりましたよ。私が引けばいいんでしょ?
蜜「もう少し一緒にいたいならば連絡ぐらいさせて下さい。じゃないとおばあちゃんが心配しちゃいますから。」
セツナが素直に離してくれたおかげで私は携帯を取り出しておばあちゃんに連絡することが出来た。
:07/07/12 10:08 :SO903i :nxiPv1n6
#155 [向日葵]
おばあちゃんには委員会の仕事で遅くなると言った。「それなら気を付けてね」とあまり追及されなかったからホッとした。
ピッ
蜜「これでいいですけど?」
セツナ「あぁ。なら、おいで蜜。」
セツナが手をひろげる。
イヤ逆でしょう。貴方がもう少しと言ったから私は連絡したのに“おいで”とな!
蜜「私が希望した訳じゃありませんけど?」
セツナ「おいおい蜜。お前いい加減気付かないか?」
:07/07/12 10:13 :SO903i :nxiPv1n6
#156 [向日葵]
蜜「気づく?」
セツナはニヤリと笑うと私の手を取って手の甲に唇を押し付けた。
セツナ「お前はもう俺を求めてるんだよ。」
カアァァァァァ!
赤くなりすぎて逆に冷や汗をかいてしまう。
蜜「なんっ、な、何を!」
キスされた方の手を引っ張ってセツナの顔がまた近くに来る。
セツナ「なんだ。屋上まで息を切らして来たんだろ?」
:07/07/12 10:16 :SO903i :nxiPv1n6
#157 [向日葵]
……。
!! ま、まさか……。
蜜「タヌキ寝入りしてたんですねっ!!」
セツナが声をあげて笑う。
恥ずかしい!ワクワクしながらセツナを探してた自分を今でも思い出せる。
セツナ「で、違うのか……?」
蜜「―――っ。ち…。違いません……。」
セツナの目が、意地悪な雰囲気から優しい雰囲気に変わる。
いつもこんな目をしてたら私だってもっと素直なのに……。
:07/07/12 10:20 :SO903i :nxiPv1n6
#158 [向日葵]
セツナ「なら…。」
セツナがオデコに唇を触れる。
セツナ「いいだろ?おいで。」
私は少しまだ抵抗したかったけど、その温かさかに冷たくなった体を埋めたくて、セツナの胸に飛び込んだ。
予想よりは冷たかったけど、2人で温め合えばさほど問題なんかなかった。
こうして私の初めてのバレンタインデーは、当日前に終ったのだった。
:07/07/12 10:24 :SO903i :nxiPv1n6
#159 [向日葵]
チャプター3:矢先
蜜「服…。何着て行こう。」
こんばんわ。
私は本山蜜。極々普通の女子高生ですが…私の恋人は、誰にも言えない秘密があります。
ガチャ
セツナ「オイ蜜。まだか。」
蜜「セツナ、シーッ!」
窓から登場したのが言ってた恋人、セツナです。
:07/07/12 10:28 :SO903i :nxiPv1n6
#160 [向日葵]
――――
――――
キリますね
:07/07/12 10:28 :SO903i :nxiPv1n6
#161 [向日葵]
今は夜中の2時。
明日は土曜日。
今から何しに行くって?
実は!今日3時に獅子座流星群が見れちゃうんです!!それを今日のお昼セツナに行ってみたら
セツナ[見に行くか?]
マジッスか!
……っと言う訳です。
今日は丘の方に行くとか言ってる。
しかし……何を着て行こう。とりあえずあったかい格好をして行こう。
ジーパンに長袖Tシャツを着てその上に上着を羽尾ってマフラーを巻き、毛糸の帽子を被った。
:07/07/12 17:13 :SO903i :nxiPv1n6
#162 [向日葵]
セツナ「ホラ、掴まれ。」
私はセツナに抱きついた。外はキンとした寒さだ。
ハァと息を吐けば白くなる。ってか……。
蜜「セツナ。それだけで寒くないんですか?」
セツナはジーパンに黒いタートルネック……のみ。
セツナ「あんまり。」
さすが人外。
綺麗な人はびっくりするぐらい黒が似合うから困る。
制服じゃないその姿はカッコ良さが増す。
:07/07/12 17:19 :SO903i :nxiPv1n6
#163 [向日葵]
セツナ「蜜?」
何も話さない私に異変を感じたのかセツナが私の名前を呼んできた。
蜜「なんです…?」
セツナ「珍しく大人しいな。」
蜜「失礼ですね。私は何時だって大人しいですよ。」
セツナは「それはすまなかった。」と言いながら笑う。
格好がどうであれ口の悪さは変わらないらしい。
・・・・・・・・・・・・・・・
夜明け前の街はシンとしている。灯りは街灯のみ。
それもなんだかいい感じだ。
:07/07/12 17:24 :SO903i :nxiPv1n6
#164 [向日葵]
蜜「こんな時間に起きて眠くならないんですかセツナ。」
セツナ「俺達の睡眠は短時間でいいんだよ。人間みたいにグースカ寝てられるか。」
ヒラヒラするセツナの漆黒の羽から風が来て思わず震えた。
セツナ「寒いのか?」
蜜「大丈夫ですよ。」
セツナは腰に回していた片方の手を肩に回して抱きしめる様にしてくれた。
『あったかい…。』
それだけでまだ起ききってない脳には充分で、私は睡魔に襲われた。
:07/07/12 17:34 :SO903i :nxiPv1n6
#165 [向日葵]
目をトロンとさせたのを発見したセツナはニヤッと笑った。
セツナ「寝たら襲うぞ。」
その瞬間目をパチッと開かせた。
セツナ「いいんだぞ?寝てても。」
蜜「いえバッチシ覚めましたんで。」
セツナ「ククッ。それは残念だ。」
まったく……。
セツナ「嘘だ。襲わないから寝てていいぞ。」
と言って頭を撫でてくれた。
:07/07/12 17:44 :SO903i :nxiPv1n6
#166 [向日葵]
――――
――――
更新は明日の夕方します
:07/07/12 22:40 :SO903i :nxiPv1n6
#167 [ちあき]
あげ
:07/07/13 08:18 :P902iS :6jxmiI6k
#168 [向日葵]
ちあきさん
あげありがとうございます
――――
――――
蜜「ホントに…何もしませんか?」
セツナ「期待してるんだったら期待に沿うけど?」
私は首をブンブン振る。
朝から心臓に悪い事は出来るならば止めて欲しい。
「じゃあ」とセツナがオデコにに頬をくっける。
セツナ「寝ていいから。」
今日は私が朝早くだから弱っているせいか、いつになく優しい。
その優しさが嬉しくて、微笑みながら私は目を閉じた。
:07/07/13 16:47 :SO903i :ceGDlScE
#169 [向日葵]
空を飛んでるって言うのにあり得ない安心感が私を包んで私は眠りに落ちた。
――――――……
セツナ「……つ。蜜。」
蜜「ん……。んー…セツナ……?」
セツナ「着いたぞ。起きろ。」
顔にかかった髪を優しく払いながらセツナが微笑む。眠たい目を擦りながら回りを見渡すと、山中にぽっかり穴が空いた様な草原にいた。
数千個の星が、まだ明けきらない空に瞬いている。
:07/07/13 16:53 :SO903i :ceGDlScE
#170 [向日葵]
携帯のサブディスプレイを光らせて時計を見ると、2時45分。
あれから結構飛んでいたんだ。
蜜「セツナ。疲れていませんか?」
セツナ「平気だ。その気になれば特急で日本一周は夢じゃない。」
そりゃまぁ凄いことで。
草原に腰を降ろして夜空を見上げていると、隣に座ったセツナが聞いてきた。
セツナ「そーいえば…。お前なんで敬語なんだ?」
別に深く考えた事はなかった。私は目をパチクリさせた。
:07/07/13 16:58 :SO903i :ceGDlScE
#171 [向日葵]
蜜「それはぁー…。多分セツナが年上だから癖づいちゃったんだと思います。」
セツナ「ふーん。そんなのいらないのに。今から普通に話せよ。」
蜜「そんな急に出来ませんよ。“親しき仲にも礼儀有り”ですよ。」
「ほぉん」と言ってセツナは夜空を見上げる。
私もそれに習う。
セツナ「これ見終った後にこのまま出かけないか?」
蜜「あー…。せっかくですけど駄目なんです。おばあちゃん達がくじ引きで旅行券が当たって今日からいな……。」
:07/07/13 17:03 :SO903i :ceGDlScE
#172 [向日葵]
ハッ!!!!
しまった……。
コレを言ってはいけなかった!
だってこんなことを言ったらセツナは……。
チラリとセツナを見ると暗がりでも分かるセツナの意地悪そうなあなニヤッとした顔が見えた。
セツナ「へぇー…。じゃあお前今日からしばらく家1人なんだ?」
蜜「いや、でも、親戚が心配して来、た、り……。」
:07/07/13 17:07 :SO903i :ceGDlScE
#173 [向日葵]
セツナ「決めた。これが済んだらお前ん家に行く。」
ホラ―――――!!!!
やっぱりこうなった!
だから困るんだよ!!
しばらくの間セツナと2人っきりで過ごすなんて自殺行為なんだよ!(心臓動きすぎで)
蜜「私1人なんて慣れてますからいいです!お気になさらず!」
セツナ「なら2人になれてもらおう。」
セツナの顔が20センチくらい先に近づいてきた。
近付かないで…っ!意識が遠のいくから!!
:07/07/13 17:11 :SO903i :ceGDlScE
#174 [向日葵]
蜜「そ、ん、……な……。」
言葉を発している内にもセツナはどんどん近づいてくる。
静かな山の中で鼓動が響いてしまいそうだ。
蜜「セツナは帰って大丈夫ですから!」
セツナ「もう黙れ。」
そう言って更に言おうとした私の口を塞ぐ。
冷えてるのかセツナの唇が冷たい。
セツナの唇の温度を感じてる自分が恥ずかしくなった。
優しいキスが終ると、視界の隅に何かが走った。
:07/07/13 17:15 :SO903i :ceGDlScE
#175 [向日葵]
蜜「……?何…っあぁ!!」
上を見上げると星がいくつも空を流れていた。
流星群だ。
蜜「うわぁー!!きっれー!!」
セツナ「ほー。中々だな。」
蜜「中々なんてものじゃありませんよ!」
複数の流星は後から後から止むことなく流れていく。
私はそれを見つめ続けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
やがて流星群は去ってしまい、空も少し明るくなっていた。
蜜「あー。終わっちゃいましたねー。セツナ。帰りましょう?……。セツナ?」
:07/07/13 17:21 :SO903i :ceGDlScE
#176 [向日葵]
セツナは私をジッと観察していた。
蜜「セツナ。流星群見てました?」
セツナ「いいや。あまり。」
蜜「ど、どうしてですか?!次いつ見れるか分からないんですよ!」
セツナ「いつ見れるか分からない物を必死に見てる可愛らしいお前もいつ見れるか分からんだろう。」
しれっと言ってのけるセツナに私は顔がぽかんとなってしまった。
信じられない…。あんな綺麗な物より私の顔を見る方が楽しいと貴方は言うか……。
:07/07/13 17:25 :SO903i :ceGDlScE
#177 [向日葵]
蜜「やっぱり貴方は変わってますね…。」
セツナ「お褒め頂き光栄です花嫁殿。」
いや褒めてないし。
蜜「とりあえず帰りましょう。セツナお願いします。」
セツナ「了解。」
セツナはまた私が寒くない様に抱き締めてふわっと浮いた。
浮かんでからここ一体がほとんど山であることがわかった。
ってかここどこ……。
:07/07/13 17:29 :SO903i :ceGDlScE
#178 [向日葵]
セツナ「蜜。少し飛ばしてもいいか?住んでる街より少し離れてるんでな。」
あぁ、そうでしょうともそうでしょうとも。
だっと知らないもんこんな場所。
だけど私はシオイさんに運ばれた時の事を思い出して「う゛っ」と唸った。
セツナ「どうした?」
蜜「ほんの少しにして下さいね。私は貴方と違ってかよわーい人間なんですから。」
セツナは声をあげて笑うと安心させる様に背中をポンポンと叩いた。
大丈夫と言ってるらしい。
:07/07/13 17:33 :SO903i :ceGDlScE
#179 [向日葵]
セツナにしっかりしがみつく。それを認めたセツナはフワッと更に浮くと空を駆けていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
蜜「あ、家。」
家に着く頃には空が赤くなり始めていた。
窓を開けるとセツナは部屋に私を降ろしてくれた。
蜜「じゃあ、今日はありがとう…っんぶ!」
セツナがいきなり鼻を摘んだ。
蜜「らんらんえふはぁー!(何なんですかぁー!)」
セツナ「お前忘れた訳じゃないよな?」
ぎくっ
:07/07/13 17:38 :SO903i :ceGDlScE
#180 [向日葵]
ちっ…。忘れたと思ったのに……。
鼻を摘んでいるセツナの手を外して私はシラを切った。
蜜「何がです?早く帰らないと新聞配達の方に見つかりますよ?」
セツナ「ほーぉ。俺に嘘をつくとは…。いい度胸だな?蜜…。」
あ、ヤバイ……。これはヤバイ。なんかされる。
しかし助かった。
自分の部屋に近づく足音を私は聞いたからだ。
蜜「だ、誰か来ましたから、とりあえず部屋を出て、くださいっ!」
:07/07/13 17:43 :SO903i :ceGDlScE
#181 [向日葵]
無理矢理セツナを外に押し出して素早くだけど静かに窓を閉め、カーテンを閉め、ベッドに潜りこんだ。
10秒後。
コンコン。 カチャ。
祖母「みっちゃん。」
蜜「ん……。あ、おばあちゃん。」
さも寝ていた様に振る舞いながら起きる。
祖母「じゃあ行って来るけど…くれぐれも気を付けてね。」
蜜「ウン。大丈夫。楽しんで来てね!」
おばあちゃんはにっこり笑うと「じゃあね」と言って戸を閉めた。
:07/07/13 17:47 :SO903i :ceGDlScE
#182 [向日葵]
しばらくすると玄関の戸が閉まる音がした。
それに耳をすませながら、ベッドでしばらくじっとしておく。
『セツナ…帰ったかな。』
カーテンをシャッと開けても何時もの街並みが広がっているだけ。
ホッとして窓を開けた。
その瞬間気付いたら天井だった。
そして目の前には
蜜「セ、セツナ!びびびびっくりするじゃないですか!!」
セツナ「お前……よくもこの俺を邪魔扱いしたな……。」
:07/07/13 17:51 :SO903i :ceGDlScE
#183 [向日葵]
蜜「仕方ないでしょ!おばあちゃんが来るって言うのにフワフワ浮いてる貴方がいたら、おばあちゃん今頃病院ですよ!」
セツナ「邪魔扱い+シラを通そうとした罰を与えなければなぁ……?」
ば、罰……っ?!
セツナの目がキラリと光った。
セツナ「老人がいないのは如何程だ。」
老人って……間違ってはいないけど。
蜜「4日くらい、ですけど……。」
:07/07/13 18:09 :SO903i :ceGDlScE
#184 [向日葵]
――――
――――
ちょっとストップしますね
:07/07/13 18:10 :SO903i :ceGDlScE
#185 [向日葵]
セツナ「ならその4日間、俺はここに住む。」
蜜「はいぃぃ?!貴方何を口走ってるんですか!」
セツナ「罰だと言っただろう。」
いや罰は罰でもタチが悪いって。
セツナ「お前に拒否権はない。当然だよな?」
横暴――――!!!!!
Sエロ蝶々――――!!!
なぁんて……口が避けても言えないけどね。
蜜「わっかりました!ご勝手に!とりあえず退いて下さい。」
セツナ「蜜。今何時か知ってるか?」
:07/07/13 19:00 :SO903i :ceGDlScE
#186 [向日葵]
押し倒されたまま部屋の時計を見る。
5時過ぎくらいだ。
蜜「……それが…、何か?」
セツナ「俺達の朝って言うの早くてなぁ。」
ようするに何が言いたいんだろうか……。
セツナは上唇をペロッと一舐めした。
その行動で分かった。
セツナ「朝飯の時間だ。」
近づいてくり顔をガードして私は言った。
蜜「私がいない時みたいに花か蜂蜜を食べてくださいよ!蜂蜜なら家にありますし!!」
:07/07/13 19:06 :SO903i :ceGDlScE
#187 [向日葵]
セツナはガードしてる私の手を掴んでじんわり力を入れていくと私の顔の隣へどかした。
もう抵抗できない。そう悟った。
セツナ「極上の蜜乙女が目の前にいるのにあんなチンケな物食せるか。」
そう言うと唇を押し付ける。これも罰だと私はその時思った。
蜜「……っ。…っ!!」
私はびっくりして身を硬くした。
何かが……口の中で……動いてる……っ!
それは紛れもなく、セツナの舌だ。
:07/07/13 19:13 :SO903i :ceGDlScE
#188 [向日葵]
口内を容赦なく荒らす。
蜜「ぅぅ……っ!ハァ!」
やっと唇を離した。
息苦しくて涙目になる。
蜜「な、……んて…こと……!」
セツナ「朝は血糖値を上げなきゃいけないんだぞ?なら沢山蜜を貰う他ないだろう。」
なんでこの人息上がらないんだ…っ!
ってかディープ初めてだったのに!!
なんだか知らないけど涙がボロボロ出てきた。
セツナ「み、蜜っ?!」
セツナは私の泣き顔に虚を突かれた。
:07/07/13 19:24 :SO903i :ceGDlScE
#189 [向日葵]
ショックだったのかもしれない。
初めてのキスもディープも、全て食事の為に済まされたから。
蜜「こーゆーのは嫌いなんだって言ったじゃないですかっ……。」
荒く声を出すものの、しゃがれた声になってしまう。
セツナ「す……すまん。」
ゴシゴシ涙を拭いて勢いよく立つ。
蜜「着替えます。部屋から退場して下さい!」
この時ばかりはセツナは戸を開けて出て行った。
:07/07/13 19:30 :SO903i :ceGDlScE
#190 [向日葵]
パタンと戸を閉めてから私はクローゼットをあさった。
ダメだ。
セツナが来てからというもの、セツナに翻弄されっぱなしだ!
こんなの私じゃない!!
こんなラブラブ甘々ムードおかしい!!
もっとしゃんとしなきゃ!
そう思いながら外に着た服よりもっとラフな格好になった。
バタン!
ドアを開けるとすぐそこにセツナがいた。
セツナ「蜜。」
苦渋に満ちた端正な顔と魅惑の声に、さっきの決意がグラッて揺れる。
:07/07/13 20:01 :SO903i :ceGDlScE
#191 [向日葵]
私は背筋を伸ばしてセツナを見る。
蜜「今からわ・た・しの朝食を作るので、退いてください。」
セツナは道を開けると階段を降りる私の後を付いてくる。
嫌味も込めてホットケーキを焼いてやる事にした。
蜂蜜をこれでもかってくらい大きな音を立てて置く。
セツナ「蜜。悪かったって。」
私の機嫌が直らなくて少々困っているらしい。
でも困ればいい。私はいつもセツナに困らされてばっかりなのだから。
:07/07/13 20:14 :SO903i :ceGDlScE
#192 [向日葵]
蜜「調理中です。話かけないで下さい。」
そう言うとセツナは逆ギレかの様に眉をぎゅっと寄せて椅子に足を組んで座り、勝手にテレビをつけた。
今の時間はあまりいい番組はやってないって。
そう思いながらジューと焼けていくホットケーキを待つ。
……。
さて完成。
蜂蜜を取ってホットケーキにまんべんなくかける。
そして食べる。そんな姿をセツナはテーブル越しに頬杖を付いて見つめる。
:07/07/13 20:21 :SO903i :ceGDlScE
#193 [向日葵]
私はため息をつくとセツナを見た。
まだ何か気に入らない様な顔つきだ。
イラッ
怒りたいのはこっちだってば!
蜜「何なんです?」
セツナ「お前が何も分かってないからイライラしてるんだ。」
蜜「じゃあどーぞお帰りくださいよ。大体、何も分かってないのはどっちですか。」
セツナ「蜜。」
あの魅惑の声が真剣味を帯びる。
:07/07/13 20:42 :SO903i :ceGDlScE
#194 [向日葵]
口に運ぶ為にフォークに突き刺したホットケーキがポトッとお皿に落ちる。
蜜「ハァ……。なんですか?」
ナイフとフォークを置いてセツナを見つめる。
セツナ「突然あんなことをしたのは謝る。……だがな。お前は勘違いしている。」
私は顔をしかめた。
勘違い?
蜜「何をです?」
セツナはテーブルの向こうから手を伸ばし、私の顔に触れる。
セツナ「お前は、さっきのキスがホントに食事の為のものと思ってるのか?」
:07/07/13 20:49 :SO903i :ceGDlScE
#195 [向日葵]
貴方がそう言ったんでしょうよ。
蜜「そうですけど?」
セツナ「それが勘違いなんだ。俺は……お前をもっと側に寄せたいんだ。なのに……お前は俺とのキスを極端に嫌がってる。」
いや喜んでやってたら私まで変態になっちゃうじゃないですか。
内心突っ込みを入れながらセツナの話を黙って聞く。
セツナ「だから知らしてやりたかったんだ。俺がどれだけお前を……求めているか。」
:07/07/13 20:55 :SO903i :ceGDlScE
#196 [向日葵]
セツナの熱い視線が私を突き刺す。
蜜「私は……っ。こんな自分が嫌なんです。……セツナのキス一つで馬鹿みたいに悩む自分が……。」
まるで私じゃないみたいで。
セツナが私の隣へやって来て立ったまま私の頭を抱き締めた。
セツナ「それが普通だと思う。俺だって蜜が現れるまで他人を求めることなんてなかった。」
セツナの方が人間の心理を分かっている様で何か悔しかった。
:07/07/13 21:00 :SO903i :ceGDlScE
#197 [向日葵]
セツナはしゃがんで私を見つめる。
私の好きな、あの優しい目。
セツナ「蜜。お前は俺が好きか?」
改めて聞かれると恥ずかしいし言いづらい……。
私は小さく頷いた。
するとセツナは満面の笑みを浮かべる。
セツナ「だからもう少し俺に近づいてはくれないだろうか。」
私は一瞬どうしたらいいか迷って、おずおずと手を伸ばしてセツナの首に巻き付けた。
:07/07/13 21:10 :SO903i :ceGDlScE
#198 [向日葵]
まるで迷子の子供みたいにぎこちなく、それでもギュッと力強く。
セツナもゆっくりと背中に手を伸ばしてきて抱き締める。
決心するのを誤ったかもしれない。
全く意味が無くなった。
恋人同士になったからにはこーゆー雰囲気がつきものなのかも。
ってか朝っぱらから私達は何をしてんだ何を!!
普通こーゆーのが高ぶるのは夜であって!
嫌夜も困るけど!!
とか思いながらも心地よいセツナの腕からは逃れられないのだった。
:07/07/13 21:27 :SO903i :ceGDlScE
#199 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
次は明日の朝にします
:07/07/13 21:28 :SO903i :ceGDlScE
#200 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・
ブイーン
時間も経ち、完璧な朝になったトコで私は家事を始める。
普段おばあちゃんが掃除してくれてる分、必死になるほど掃除機をあちらこちらにかける必要はなかった。
セツナ「みーつー。そんな事してないで出かけないかー?」
蜜「あのねぇ…。おばあちゃんがいない間は私が家を守らなきゃいけないんですよ?おばあちゃんが帰ってきてゴミだらけ埃だらけだったらいけないでしょう……。」
:07/07/14 09:34 :SO903i :sQA2iImQ
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194