黒蝶・蜜乙女
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#181 [向日葵]
無理矢理セツナを外に押し出して素早くだけど静かに窓を閉め、カーテンを閉め、ベッドに潜りこんだ。
10秒後。
コンコン。 カチャ。
祖母「みっちゃん。」
蜜「ん……。あ、おばあちゃん。」
さも寝ていた様に振る舞いながら起きる。
祖母「じゃあ行って来るけど…くれぐれも気を付けてね。」
蜜「ウン。大丈夫。楽しんで来てね!」
おばあちゃんはにっこり笑うと「じゃあね」と言って戸を閉めた。
:07/07/13 17:47 :SO903i :ceGDlScE
#182 [向日葵]
しばらくすると玄関の戸が閉まる音がした。
それに耳をすませながら、ベッドでしばらくじっとしておく。
『セツナ…帰ったかな。』
カーテンをシャッと開けても何時もの街並みが広がっているだけ。
ホッとして窓を開けた。
その瞬間気付いたら天井だった。
そして目の前には
蜜「セ、セツナ!びびびびっくりするじゃないですか!!」
セツナ「お前……よくもこの俺を邪魔扱いしたな……。」
:07/07/13 17:51 :SO903i :ceGDlScE
#183 [向日葵]
蜜「仕方ないでしょ!おばあちゃんが来るって言うのにフワフワ浮いてる貴方がいたら、おばあちゃん今頃病院ですよ!」
セツナ「邪魔扱い+シラを通そうとした罰を与えなければなぁ……?」
ば、罰……っ?!
セツナの目がキラリと光った。
セツナ「老人がいないのは如何程だ。」
老人って……間違ってはいないけど。
蜜「4日くらい、ですけど……。」
:07/07/13 18:09 :SO903i :ceGDlScE
#184 [向日葵]
――――
――――
ちょっとストップしますね
:07/07/13 18:10 :SO903i :ceGDlScE
#185 [向日葵]
セツナ「ならその4日間、俺はここに住む。」
蜜「はいぃぃ?!貴方何を口走ってるんですか!」
セツナ「罰だと言っただろう。」
いや罰は罰でもタチが悪いって。
セツナ「お前に拒否権はない。当然だよな?」
横暴――――!!!!!
Sエロ蝶々――――!!!
なぁんて……口が避けても言えないけどね。
蜜「わっかりました!ご勝手に!とりあえず退いて下さい。」
セツナ「蜜。今何時か知ってるか?」
:07/07/13 19:00 :SO903i :ceGDlScE
#186 [向日葵]
押し倒されたまま部屋の時計を見る。
5時過ぎくらいだ。
蜜「……それが…、何か?」
セツナ「俺達の朝って言うの早くてなぁ。」
ようするに何が言いたいんだろうか……。
セツナは上唇をペロッと一舐めした。
その行動で分かった。
セツナ「朝飯の時間だ。」
近づいてくり顔をガードして私は言った。
蜜「私がいない時みたいに花か蜂蜜を食べてくださいよ!蜂蜜なら家にありますし!!」
:07/07/13 19:06 :SO903i :ceGDlScE
#187 [向日葵]
セツナはガードしてる私の手を掴んでじんわり力を入れていくと私の顔の隣へどかした。
もう抵抗できない。そう悟った。
セツナ「極上の蜜乙女が目の前にいるのにあんなチンケな物食せるか。」
そう言うと唇を押し付ける。これも罰だと私はその時思った。
蜜「……っ。…っ!!」
私はびっくりして身を硬くした。
何かが……口の中で……動いてる……っ!
それは紛れもなく、セツナの舌だ。
:07/07/13 19:13 :SO903i :ceGDlScE
#188 [向日葵]
口内を容赦なく荒らす。
蜜「ぅぅ……っ!ハァ!」
やっと唇を離した。
息苦しくて涙目になる。
蜜「な、……んて…こと……!」
セツナ「朝は血糖値を上げなきゃいけないんだぞ?なら沢山蜜を貰う他ないだろう。」
なんでこの人息上がらないんだ…っ!
ってかディープ初めてだったのに!!
なんだか知らないけど涙がボロボロ出てきた。
セツナ「み、蜜っ?!」
セツナは私の泣き顔に虚を突かれた。
:07/07/13 19:24 :SO903i :ceGDlScE
#189 [向日葵]
ショックだったのかもしれない。
初めてのキスもディープも、全て食事の為に済まされたから。
蜜「こーゆーのは嫌いなんだって言ったじゃないですかっ……。」
荒く声を出すものの、しゃがれた声になってしまう。
セツナ「す……すまん。」
ゴシゴシ涙を拭いて勢いよく立つ。
蜜「着替えます。部屋から退場して下さい!」
この時ばかりはセツナは戸を開けて出て行った。
:07/07/13 19:30 :SO903i :ceGDlScE
#190 [向日葵]
パタンと戸を閉めてから私はクローゼットをあさった。
ダメだ。
セツナが来てからというもの、セツナに翻弄されっぱなしだ!
こんなの私じゃない!!
こんなラブラブ甘々ムードおかしい!!
もっとしゃんとしなきゃ!
そう思いながら外に着た服よりもっとラフな格好になった。
バタン!
ドアを開けるとすぐそこにセツナがいた。
セツナ「蜜。」
苦渋に満ちた端正な顔と魅惑の声に、さっきの決意がグラッて揺れる。
:07/07/13 20:01 :SO903i :ceGDlScE
#191 [向日葵]
私は背筋を伸ばしてセツナを見る。
蜜「今からわ・た・しの朝食を作るので、退いてください。」
セツナは道を開けると階段を降りる私の後を付いてくる。
嫌味も込めてホットケーキを焼いてやる事にした。
蜂蜜をこれでもかってくらい大きな音を立てて置く。
セツナ「蜜。悪かったって。」
私の機嫌が直らなくて少々困っているらしい。
でも困ればいい。私はいつもセツナに困らされてばっかりなのだから。
:07/07/13 20:14 :SO903i :ceGDlScE
#192 [向日葵]
蜜「調理中です。話かけないで下さい。」
そう言うとセツナは逆ギレかの様に眉をぎゅっと寄せて椅子に足を組んで座り、勝手にテレビをつけた。
今の時間はあまりいい番組はやってないって。
そう思いながらジューと焼けていくホットケーキを待つ。
……。
さて完成。
蜂蜜を取ってホットケーキにまんべんなくかける。
そして食べる。そんな姿をセツナはテーブル越しに頬杖を付いて見つめる。
:07/07/13 20:21 :SO903i :ceGDlScE
#193 [向日葵]
私はため息をつくとセツナを見た。
まだ何か気に入らない様な顔つきだ。
イラッ
怒りたいのはこっちだってば!
蜜「何なんです?」
セツナ「お前が何も分かってないからイライラしてるんだ。」
蜜「じゃあどーぞお帰りくださいよ。大体、何も分かってないのはどっちですか。」
セツナ「蜜。」
あの魅惑の声が真剣味を帯びる。
:07/07/13 20:42 :SO903i :ceGDlScE
#194 [向日葵]
口に運ぶ為にフォークに突き刺したホットケーキがポトッとお皿に落ちる。
蜜「ハァ……。なんですか?」
ナイフとフォークを置いてセツナを見つめる。
セツナ「突然あんなことをしたのは謝る。……だがな。お前は勘違いしている。」
私は顔をしかめた。
勘違い?
蜜「何をです?」
セツナはテーブルの向こうから手を伸ばし、私の顔に触れる。
セツナ「お前は、さっきのキスがホントに食事の為のものと思ってるのか?」
:07/07/13 20:49 :SO903i :ceGDlScE
#195 [向日葵]
貴方がそう言ったんでしょうよ。
蜜「そうですけど?」
セツナ「それが勘違いなんだ。俺は……お前をもっと側に寄せたいんだ。なのに……お前は俺とのキスを極端に嫌がってる。」
いや喜んでやってたら私まで変態になっちゃうじゃないですか。
内心突っ込みを入れながらセツナの話を黙って聞く。
セツナ「だから知らしてやりたかったんだ。俺がどれだけお前を……求めているか。」
:07/07/13 20:55 :SO903i :ceGDlScE
#196 [向日葵]
セツナの熱い視線が私を突き刺す。
蜜「私は……っ。こんな自分が嫌なんです。……セツナのキス一つで馬鹿みたいに悩む自分が……。」
まるで私じゃないみたいで。
セツナが私の隣へやって来て立ったまま私の頭を抱き締めた。
セツナ「それが普通だと思う。俺だって蜜が現れるまで他人を求めることなんてなかった。」
セツナの方が人間の心理を分かっている様で何か悔しかった。
:07/07/13 21:00 :SO903i :ceGDlScE
#197 [向日葵]
セツナはしゃがんで私を見つめる。
私の好きな、あの優しい目。
セツナ「蜜。お前は俺が好きか?」
改めて聞かれると恥ずかしいし言いづらい……。
私は小さく頷いた。
するとセツナは満面の笑みを浮かべる。
セツナ「だからもう少し俺に近づいてはくれないだろうか。」
私は一瞬どうしたらいいか迷って、おずおずと手を伸ばしてセツナの首に巻き付けた。
:07/07/13 21:10 :SO903i :ceGDlScE
#198 [向日葵]
まるで迷子の子供みたいにぎこちなく、それでもギュッと力強く。
セツナもゆっくりと背中に手を伸ばしてきて抱き締める。
決心するのを誤ったかもしれない。
全く意味が無くなった。
恋人同士になったからにはこーゆー雰囲気がつきものなのかも。
ってか朝っぱらから私達は何をしてんだ何を!!
普通こーゆーのが高ぶるのは夜であって!
嫌夜も困るけど!!
とか思いながらも心地よいセツナの腕からは逃れられないのだった。
:07/07/13 21:27 :SO903i :ceGDlScE
#199 [向日葵]
――――
――――
今日はここまでにします
次は明日の朝にします
:07/07/13 21:28 :SO903i :ceGDlScE
#200 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・
ブイーン
時間も経ち、完璧な朝になったトコで私は家事を始める。
普段おばあちゃんが掃除してくれてる分、必死になるほど掃除機をあちらこちらにかける必要はなかった。
セツナ「みーつー。そんな事してないで出かけないかー?」
蜜「あのねぇ…。おばあちゃんがいない間は私が家を守らなきゃいけないんですよ?おばあちゃんが帰ってきてゴミだらけ埃だらけだったらいけないでしょう……。」
:07/07/14 09:34 :SO903i :sQA2iImQ
#201 [向日葵]
セツナ「俺は暇を持て余してるんだけどなぁ…?」
ハァ…。
カチ。 シュゥゥゥン。
掃除機のスイッチを切った。
ソファにダラァッと座ってるセツナの前に立って私はあることを言った。
蜜「ならば…。セツナも家事を手伝ってくれたらどうです?」
セツナ「は?」
蜜「2人でやれば2倍速で終りますから。」
なんてね。
王様暮らしをしているセツナに人間界の大変さを知らせてあげようではないか!!
:07/07/14 09:42 :SO903i :sQA2iImQ
#202 [向日葵]
セツナ「まぁいいだろう。」
ハハハ!(罠に)かかったぁ!!
蜜「では、私は洗濯機回してきますから、庭の手入れをしていただけますか?」
セツナ「あぁ。いいとも。」
ウキウキウォッチングの時間はまだですよー。
洗濯機に服を掘り込んで洗剤を入れる。
スイッチオン♪
ゴゥン ゴゥン
セツナ[俺はお前を求めている。]
セツナの言葉を急に思い出してヘナへナとその場に崩れ落ちた。
:07/07/14 09:48 :SO903i :sQA2iImQ
#203 [向日葵]
4日間と正直に言うべきではなかった。
朝から晩まで寝ても覚めても甘い言葉と愛のくちづこ(+食事)が続くと思うと体がもたない。
また早朝みたいなキスをされたら?
頭の理性が一気に飛ぶくらいセツナに夢中になりそうで怖くなる。
ピー
いつの間にか洗濯が全て終わってしまったらしい。
籠に入れて庭へ行こうとリビングを通る……と。
セツナがさっきと変わらずソファに座っていた。
:07/07/14 10:00 :SO903i :sQA2iImQ
#204 [向日葵]
蜜「セツナ?庭掃除は?」
セツナはソファの背もたれに首をもたげて逆さに私を見る。
セツナ「終ったが?」
嘘だ……。
ウチの庭って結構広くて、終るには2時間はいる。
籠を床に置いて庭への窓をガラガラと開ける。
蜜「えぇー?!」
芝生は一寸の狂いもなくピシッと揃ってるわ植木は綺麗に切り揃えてるわ……。
蜜「なんで……。」
庭を見つめたままアホッぽい声で私は呟いた。
:07/07/14 10:07 :SO903i :sQA2iImQ
#205 [向日葵]
セツナ「風に頼んだんだ。アイツらは従順な俺達の僕だからな。」
しまったぁ…。この人には魔法みたいなそんな力があることを忘れていた。
蜜「今度から庭掃除する時はセツナがいりますね…。」
セツナ「俺は芝刈り機扱いか。」
リビングに戻って籠を持ち、庭へ出る。
セツナ「干すのを手伝ってやろうか?」
今度は何をするんだろ……。好奇心を掻き立てられた。
:07/07/14 10:14 :SO903i :sQA2iImQ
#206 [向日葵]
蜜「お願い出来ますか?」
頼むとセツナはニヤッと笑って指をパチンと鳴らした。
フワァー……
柔らかい風邪が吹いてきて籠の中の洗濯物を宙に舞わせると、ハンガーに通したり洗濯バサミに挟んだりした。
蜜「あ!」
よく見ると小さな妖精みたいなのが何人(匹?)かいた。
全てが干し終えた。
蜜「あ…あの、ありがとう!」
:07/07/14 10:18 :SO903i :sQA2iImQ
#207 [向日葵]
すると妖精達が私の方を向いてニコッと笑うと風が頬を撫でた。
妖精達が私の頬にキスして帰っていったらしい。
蜜「……ミ、ミラクルファンタジー…。」
まさか妖精を見れるとは…私まだネバーランドに行けるのかもしれない。
セツナ「よし。これで出かける事が出来るな!」
蜜「えー…。また着替えるのー…。」
面倒くさい…。
大体セツナの隣に立つにはそれ相応な格好をしなきゃいけない……気がする。
:07/07/14 10:23 :SO903i :sQA2iImQ
#208 [向日葵]
蜜「もー今日は家にいましょうよ…。明日ありますし。」
あ、自分で明日とか言っちゃった。
セツナはそれに気づいてニコォッと笑った。
セツナ「それもそうだな。今日は家にいる。」
と言うとソファに寝そべって目を閉じた。
蜜「?眠たいんですか?」
セツナ「蜜の家の音を聞きたいだけだ。」
なんじゃそりゃ。
:07/07/14 10:29 :SO903i :sQA2iImQ
#209 [向日葵]
黄昏たいのかな。
蜜「じゃあ私は洗い物してきます…ねぇっ?!」
腕を引っ張られた。
危うくソファ前のテーブルに頭を打つトコだった。
蜜「あ、あぶ!あぶっ!セツナ!危ない」
セツナ「スー…。スー…。」
ね、寝てる…。
瞬間的に……。さっき寝ないって言ったくせに!!
寝ても尚、掴んだ手は離れない。
『側に……いて欲しいのかな……。』
:07/07/14 10:33 :SO903i :sQA2iImQ
#210 [向日葵]
もうっ!調子狂うなぁ!!
でも胸がキュウッと痛い……。
大きな手……。骨張ってる。
綺麗な黒髪……。やっぱり誰かに手入れされてるのかな。
隈無く私は寝てるセツナを観察した。
確かにこれだけ全て完璧なら人外なのも納得出来る。
そして私はある一点に目が行った。
見るんじゃなかった……。
それはセツナの唇。
:07/07/14 10:39 :SO903i :sQA2iImQ
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