黒蝶・蜜乙女
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#881 [向日葵]
セツナは満足して私をしったり抱きかかえると、私も眠らせ様とさせてるのか子供をあやす様に背中をポンポンと優しく叩く。

蜜「ちょっと…私は寝ませんよ。」

セツナ「蜜の寝顔見ながら寝たいから寝ろ。命令。」

横暴反た―――い!!!!

でも早く寝ないとこの手からは逃れられそうもない…。私はなんとかして寝ようと試みる。

セツナを見てみると、まだ瞳には憂いが残ってる様に感じられた。

⏰:07/08/11 00:59 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#882 [向日葵]
ソッとセツナの顔に指先を触れる。
でも憂いは更に深まってしまった。

蜜「何か……ありましたか?」

セツナは何も答えない。
ただ私の背中を叩き、私を見つめ、悲しげの瞳で微笑むだけ。

何かを伝えたいの?
でも何を?

蜜「セツナ……?」

名前を囁くと、空間があった体は完全に密着し、セツナの腕の力が強まるだけだった。

セツナは黙って私が寝るのを待っている。
早く寝ろとせかされてる気さえした。

⏰:07/08/11 01:04 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#883 [向日葵]
私は目を閉じ、セツナの体温と息遣いに耳をすませた。

それだけで充分眠気はやって来る。
でも何故か寝たくなんかなかった。

いつも寝る時はセツナの暖かい笑顔を見てから寝るのに、今日はこんな寂しげな顔を見てから寝なくちゃならないなんて。

後から気付いた。





これは警鐘だったんだ……。


私はゆっくりと眠りへと誘われていった……。

⏰:07/08/11 01:07 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#884 [向日葵]
最後にセツナが何か言った。
聞かなきゃならなかったのに、起きてからでいいやって思って私は眠気に身を任せた。





――――
――――――――
……

蜜「ん……んー……。ん?」

あれ?今何時だろう。
携帯携帯……。

……待って。
それどころじゃない。

⏰:07/08/11 01:10 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#885 [向日葵]
蜜「セツナ……?」

隣にいたハズのセツナが




いない。

胸が不規則に動き始める。
落ち着いて。大丈夫。
きっと私が寝てるから気を使って下に行ったんだよ。

でも何故、胸騒ぎが止まらないの?

早歩きで下まで行き、リビングに続くドアを開けた。

―――でも。

⏰:07/08/11 01:13 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#886 [向日葵]
シー……ン。

リビングには暗闇独特の静寂しかなかった。

蜜「セ……セツナ……?」

ギシッ

後ろに誰かいる気配がして、期待を込めて振り向いた。

ラフィーユ「蜜。」

でもそこにいたのはクールな美貌を持った彼女と爽やかなオレンジ色の髪の毛をした青年だった。

蜜「ラフィーユ、オウマ君……。セツナを、知らない…?」

⏰:07/08/11 01:16 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#887 [向日葵]
二人は黙り込む。

それで分かった。

……セツナはいない。

蜜「なん、で……?だって普通に過ごしてたじゃない。……え?……ラ、ラフィーユ……?」

声が震えない様に、そう心がけたら言葉がたどたどしくなった。

半泣き状態でラフィーユに一歩近づく。
クールな彼女の顔に、緊張が走るのが分かった。

蜜「ラフィーユったら!」
半狂乱でラフィーユの腕をガシッと掴むと、オウマ君が停めに入る。

⏰:07/08/11 01:21 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#888 [向日葵]
いつも元気な笑顔の彼の顔は、水面の様に静かだった。

ラフィーユ「蜜。」

何かを決心したかの様にラフィーユは私の名を紡ぐ。そしてか弱そうな手が私の手に置かれた。

ラフィーユ「蜜。落ち着いて聞いて。」

そして悟った。
セツナの瞳の意味。

あれは、さよならを意味してたんだ……。

⏰:07/08/11 01:25 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#889 [向日葵]
チャプター14:別れの説明








リビングに電気をつけて、私はソファーに座った。

ラフィーユは横に。
オウマ君は背もたれをはさんで私の後ろにいる。

ラフィーユ「蜜。」

ラフィーユがもう一度私の名を呼んだ。

ショックで焦点の合わない目が必死にラフィーユを見つめた。

⏰:07/08/11 01:29 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#890 [向日葵]
ラフィーユは一回深呼吸すると話出した。

ラフィーユ「セツナ、いない訳、言う。いなくなったの、蜜、狙われてたから。」

だからって、何故セツナが?
分からない。
ホントに狙われてたからセツナは去ってしまったの?

ラフィーユは上手く話せない自分に困って、オウマ君に目を向ける。

オウマ「セツナ、またターヤに狙われてたんだ。それの囮として蜜がここ二日、危ない目に合ってたんだそうだ。」

それを伝えに来たのが、今日、あの時。ルキが言った。

⏰:07/08/11 01:34 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#891 [向日葵]
ルキは弱味を握られて、でも協力したくなくてターヤさんの目を盗んでセツナに伝えに来たらしい。

そして……私が部屋にいる間の会話がこうだった……。

――――………

一通りを話終え、セツナは二人の反応を見る。

オウマは驚き、ラフィーユは怒りを顔に示していた。

オウマ「また痛い目に合わせるか!」

腕を振りながらやる気満々に笑うオウマ。
それにラフィーユの厳しい目がいく。

⏰:07/08/11 01:37 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#892 [向日葵]
セツナ「いや。俺一人で解決する。」

その言葉に二人はセツナを見つめた。

オウマ「おいセツナ。蜜がいるんだろ?なら止めた方が……。」

セツナ「俺がここにいるせいで蜜にも被害が及ぶ……。少々時間は掛るが行くしかないだろう。」

セツナは過去二回のターヤが蜜に仕掛けた事を未だ悔やんでいた。
自分が守れなかったせいで、彼女はどれほど体に、心に……傷を負っただろう……。

ラフィーユ「そんな事する、蜜心配する。」

⏰:07/08/11 01:42 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#893 [向日葵]
セツナ「だから黙って出ていくつもりだ。……しばしの別れってやつだな……。」

でもこれで蜜が傷付かないで済むならそれでいい。
本当ならばもっと早くに決着をつけるべきだったんだ……。

セツナ「だから二人共。蜜の事、頼んだぞ。」


――――……

私は黙ってオウマ君の話を聞いていた。

蜜「そんな、しばらく別れなきゃいけない方法しかなかったの?!」

⏰:07/08/11 01:46 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#894 [向日葵]
オウマ「あちらに行けば完璧に狙われるのはセツナだ。しかもセツナはターヤのトコまで乗り込むらしいから尚更だろ。」

そんな……。

蜜「馬鹿みたい……。」

それで守ったつもり?

何が傷付けたら……よ。
セツナが急にいなくなった方が……よっぽど痛い。

蜜「変なトコ…不器用なんだから……。」


・・・・・・・・・・・・・・

部屋に戻り、空っぽになったベッドを見つめた。

⏰:07/08/11 01:49 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#895 [向日葵]
さっき。
ついさっきここに一緒にいた。
なんであの目に気づいてあげられなかったんだろう。
今更後悔しても仕方なかった。

涙は不思議と出なかった。

しばしのお別れの理由が嫌いになったからじゃなかったからかもしれない。

それでもやりきれないこの気持ちを押しつけるのは、目の前にあるベッドをしたたか殴るしかなかった。

殴る度に埃と一緒にセツナの香りがしたのが、より私を虚しい気分へと落としていくのだった。

⏰:07/08/11 01:54 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#896 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/08/11 01:55 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#897 [向日葵]
―――
―――――……

いつの間にか、眠りに落ちていた。
体がダルイ…。学校、行かなきゃ……。

しまった。
制服のまんま寝ちゃったか。

[アイロンかければいいだろ。]

蜜「……。」

とりあえず、お風呂に入ろう。

キュッキュッ……
シャァァァァ……

⏰:07/08/11 23:23 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#898 [向日葵]
カチャ

ラフィーユ「蜜!何してる!」

蜜「へ?」

あ、服着たままだ。
何してんだろう……。
いっか、シワ伸びるかも(笑)

ラフィーユはシャワーを止めて、バスタオルで私の全身を隈無く拭いてくれる。

ラフィーユ「顔色、良くない。今日は学校休め。」

蜜「大丈夫よ。行けるから。」

ラフィーユは私の頭を予め拭くとタオルを乗せて私の顔をジッと見つめる。

⏰:07/08/11 23:28 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#899 [向日葵]
この目知ってる。
怒ってるけど心配してる目。優しい気持ちがこもってる目……。

蜜「ありがとう…。でも本当に大丈夫だから。ラフィーユも学校行こう。」

それでもラフィーユは私の両方の目を交互に見つめる。
どうしても休めと言ってるらしい。
大丈夫。……大丈夫だから。

私はニコッと笑ってみせた。元気だと言う証拠を見せる為に。

蜜「行こう。ラフィーユ。」

⏰:07/08/11 23:37 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#900 [向日葵]
―――
―――――……

怪奇現象騒ぎは勿論無くなって、クラスには平和が訪れていた。

これでやっと高校二年生になった感じだ。

小川「お早う本山!」

蜜「あ…。お早う。」

私は小川君の後ろの席。左はラフィーユ。オウマ君はその後ろ。

蜜「……。」

そして右には……。
いたんだ。昨日まで。

小川「……本山?」

その声に、自分の世界から引き戻された。
まだ頭がぼんやりしてる。

蜜「…何?」

⏰:07/08/11 23:49 📱:SO903i 🆔:RnaAmrBg


#901 [向日葵]
どうして皆そんな心配そうな顔ばっかするの?
あ、そっか。
私が原因か。

しっかりしないと。
永遠の別れなんかじゃない。

蜜「小川君。一時間目、何だっけ?」

小川君の目は、何かを聞きたそうだったけど、すんでの所で止めたみたい。

小川「日本史だよ。」

蜜「そっか。一時間目からはキツイなぁ。」

しっかり……。

だから私はまた会う時までは、その名前は呼ばない。

⏰:07/08/12 00:03 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#902 [向日葵]
空を見上げた。
今日も青空。

あの漆黒の羽の君は
またいつの日にか……。

・・・・・・・・・・・・・・

そして私はいつの間にか3年生になろうとしていた。
意外にも早く過ぎて行った。
ラフィーユ達も約束を守って私の側にずっといてくれて、寂しくはなかった。
時々思い出すあの姿は、少し悲しさを伴う事もあった。


でも胸には“いつか会える”。
それだけを信じて乗り越えて行った。

⏰:07/08/12 00:16 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#903 [向日葵]
『月、綺麗……。』

自分の部屋で、真っ暗のままベッドの上に座って星が一杯の空を見上げる。

そういえば、髪の毛伸びたなぁ。
そろそろ切るべき?
でもラフィーユみたいに長くもしてみたいしなぁ。

コンコン

ラフィーユ「蜜。いいか?」

ノックした相手は今正に憧れていた対象のラフィーユだった。
珍しい。
ラフィーユが私の部屋を訪ねるなんて、これまで2、3回くらいしかなかった。

⏰:07/08/12 00:22 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#904 [向日葵]
蜜「入って。」

ラフィーユは静かに入って来て、ドアに立ったままもたれた。

ラフィーユ「眠れないのか?」

蜜「んー…。ちょっとね。月が綺麗って、思ってただけ。」

ラフィーユはクスッと笑ってベッドまで近づいて、側に座った。

蜜「ラフィーユ…?」

ラフィーユ「泣いても、いい…。」

……え。

ラフィーユも月を見上げる。
月の光に照らされた白い肌がとても綺麗だと思った。

⏰:07/08/12 00:28 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#905 [向日葵]
ラフィーユ「正直、一年前、泣かなかったの、驚いた。」

一年前……。
その姿は、完璧の様で朧気だ。

ラフィーユ「私の、喋り方おかしい訳、話すな。」

それはラフィーユがまだ5つの時の話。

ラフィーユは親に捨てられたショックで言葉を無くしてしまった。

そんな時、いつも側にいてくれたのがオウマ君だった。

喋れなくてもまるで会話してる様に毎日を楽しく過ごした。

⏰:07/08/12 00:33 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#906 [向日葵]
ラフィーユ「そんなある日、私、声出た。……でも。」

喋り方を忘れてしまった。

ぎこちない単語の繋ぎ合わせは、笑われる対象にもなった。

ラフィーユはまた口を閉ざしてしまった。

ラフィーユ[皆笑う。なら声なんていらなかった。これじゃ……]

オウマにも笑われてる。

そこへ、オウマ君がやって来た。

オウマ[よ!ラフィーユ!]

⏰:07/08/12 00:36 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#907 [向日葵]
逃げたかった。
笑われる。

オウマのさげずむ笑い顔なんて見たくなかった。

持たれて座ってた壁から立ち上がって、ラフィーユはその場を逃げようとした。

オウマ[ラフィー待って!]

ラフィーユはピタッと止まる。
ラフィー……?

オウマ[何で、今日、喋らないの?]

おずおずとオウマの方へ振り向く。

⏰:07/08/12 00:47 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#908 [向日葵]
ラフィーユ[私、喋り方、変だろ……?]

怖くて目を瞑った。
オウマもきっと笑う。
せっかくずっと側にいてくれたのに。

これじゃ、喋れない方がマシだった……。

オウマ[変って……何で?ちゃんと気持ちは伝わってくるよ?]

私は目を開く。

オウマ[だから、もっと一杯喋ってよ!ラフィー!!]

私はラフィーユの話を黙って聞いてた。
ラフィーユは月を見つめたままだ。

⏰:07/08/12 01:02 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#909 [向日葵]
ラフィーユ「私にとって、オウマ大切。蜜もそうだろ?」

ダメ、その名は言わないで。次に会うまでは言わないって決めてたの……っ。

ラフィーユ「蜜にとって、セツナ大切。大切な人いない。それは一番辛い事。だから我慢する、よくない……。」

溢れ出した。
名前を形にした瞬間、全ての決心が粉々に砕け去って行った。

頬に熱く、そして冷たい滴が流れて行く。

蜜「ひ……っどいなぁ……ラフィーユ…。言っちゃうんだもん名前……。」

⏰:07/08/12 01:10 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#910 [向日葵]
喉の奥で息が絡まる。

呼吸が上手く出来なくなる。

蜜「寂し…。で、も…永遠の…別れじゃないからって……私の為だからって思って……ひ、ひ……っしで押し殺して……。」

何度も悲しみに体が押し潰されそうになって、それでも踏ん張って……。

蜜「早く……会いたい……。声……聞き、た……。」

ボロボロ哀れに落ちる涙を、ラフィーユは綺麗な長い指で拭ってくれる。
そして細い腕で私を優しく包んでくれた。

⏰:07/08/12 01:18 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#911 [向日葵]
ラフィーユ「大丈夫。きっと会える。だから今日だけ、沢山泣け。」

蜜「……っう、ぇ……。」

明日も元気に笑えるように、今日は沢山泣こう。
そして明日からまたセツナに会えるまで涙は決して流さない。

蜜「会いたい……セツナァ……。会いたいよぉ…っ!」

ラフィーユ「会える。また会える。」

早く、早く会いに来て。セツナ……。

⏰:07/08/12 01:28 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#912 [向日葵]
小川「おはよう!」

次の日。
小川君はいつもの様にニコッと笑って私に挨拶してくれた。

蜜「おはよっ。」

いつも通り席に着いて、教科書を出す。
すると小川君は私の顔をジッと見つめる。

蜜「?何?」

小川「なんか本山元気そう。何かあった?」

⏰:07/08/12 01:50 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#913 [向日葵]
蜜「……。いつもと一緒だよ。」

朝起きたらとてもすっきりしていた。
いつも隣にいた姿とは違う、ラフィーユがずっと私を包んで一緒にいてくれた。

泣いた分だけ、気持ちが晴れ晴れてした。

ずっと、泣いても何も変わらない事実を知ってたから泣くのを堪えていた。

でも、大丈夫。
おかげで元気でいるコツを思い出したから。

⏰:07/08/12 01:55 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#914 [向日葵]
オウマ「蜜!客。」

呼ばれた方を見れば、それはまた久しぶりで懐かしい姿が。

蜜「ルキ……。」

ピンクの髪の毛をした美女がドアの所にいた。

私はルキの所まで行ってルキに笑いかける。

蜜「久しぶり…っ!元気だった?」

ルキもぎこちなくだけど笑い返してくれた。

⏰:07/08/12 01:59 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#915 [向日葵]
ルキ「貴方も、元気そうで。少し……変わりましたわね……。」

外見的にも私は少し変わった。肩につくかつかないかまでの髪の毛は背中の真ん中辺りまで来ていたし、身長も少しだけ伸びていた。

蜜「どうかー…した?」

ルキの顔から微笑みが消え、少し憂いを含んだ厳しい顔になる。

ルキ「ずっと、謝りたかったんです。貴方に……。」
謝る。そんなの、もういいよルキ。
自分をそんなに責めないでいい。

⏰:07/08/12 02:07 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#916 [向日葵]
蜜「ルキ。いいの。私は……大丈夫。」

大丈夫。

この言葉を、ここ最近何度口にしただろう。
でも、これしか言えないの。

ルキ「だって私……っ貴方とセ」

そこで私は片手でその先を止めた。
ルキは少し驚いて口を閉ざす。

蜜「いいんです。会えるなら……いつまでも待てますから。」

例えそれが何十年先でも、また昨日みたいに泣いてしまうかもしれない。

⏰:07/08/12 02:12 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#917 [向日葵]
それでもいいの。

ルキ「私、来週の卒業式で、あちらに帰るんです。」

蜜「…えっ?!」

そんな……っ。

私の表情を読み取ったルキは、初めて私に温かい微笑みを向けてくれた。

ルキ「また、会いに来ますわ…。だから貴方も元気で……。」

するとルキは優しく私を抱き締めた。

ルキ「沢山ごめんなさい。そして……ありがとう。」

⏰:07/08/12 02:17 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#918 [向日葵]
ありがとう……。

ルキ、そんな言葉……勿体無いよ…。


――――
―――――……

私はあの山にいた。
秘密基地。

オウマ君が連れて来てくれた。
ラフィーユも一緒だけど、そこら辺を見てくると飛んで行ってしまった。

オウマ君はまだ隣にいる。

もう秘密基地じゃなくなっちゃったね……。

⏰:07/08/12 02:23 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#919 [向日葵]
蜜「ねぇオウマ君。」

私は隣の彼に話かける。

オウマ「ん?何?」

明るい声に、何だかホッとしてしまった。

蜜「私と同じ立場にラフィーユがたたされたら、オウマ君はどうする?」

ザアァァァ……

寒風が私達を包む。
ここから見える景色に木の葉が流れていくのが分かる。

オウマ「きっと同じ様にしていたよ。だってラフィーが大切だもん!」

⏰:07/08/12 02:26 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


#920 [向日葵]
彼はニカッと笑う。
まるで私を元気づける様に。
その心使いがとても嬉しい。心配してもらえる自分が、少しだけ、誇らしい……。

蜜「ラフィーユには、好きって言わないの?」

そこでオウマ君は困った顔をして唸り始めた。

何か難しい質問でもしちゃったかな?

オウマ「やっぱり言わなきゃいけないのかなぁ。」

⏰:07/08/12 02:30 📱:SO903i 🆔:ApATvOLs


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