黒蝶・蜜乙女
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#1 [向日葵]
未熟者向日葵です
図太いながら4作目を書かせて頂きます
良ければ見てください
尚、荒らしはお引き取り願います

感想板はこちらになります

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⏰:07/07/08 01:47 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#2 [向日葵]
ひらひらと舞う蝶達の中で、一際目を低くその漆黒の羽。

闇を表すその黒こそが見目麗しく、誰もが敬意をはらいたくなってしまうものなのだ。

そんな蝶達が求めるは、どれよりも美しく咲き誇った花の蜜……。

⏰:07/07/08 01:51 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#3 [向日葵]
――――――――

小さな頃

夏だったと思われる季節に雲の巣にかかった1匹の蝶を見つけた。

お母さんに助けてと言ったが、仕方ないと言ってその場を離れてしまった。

私はどうしても離れることが出来なくて、体を傷付けないよう助けてあげた。

救われた蝶は解放された喜びに羽を大いに羽ばたかせ、青空へと旅立って行った。

その羽の色は、澄み渡る青とは似合わない、夜のような黒だった……。

⏰:07/07/08 01:55 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#4 [向日葵]
―――――――

あれから10年。

「蜜ー。」

私は本山 蜜(もとやま みつ)。高1。
平凡を愛して10数年。

容姿普通。成績普通。やる気それなりのそこら辺にいる女子高生。

蜜「何、清。」

この子は西堂 清(さいとう きよ)。私の友達。

清「先生がプリント提出しれって。」

蜜「あ、そうだった。」

⏰:07/07/08 02:01 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#5 [向日葵]
私は普通の日常を送る。

変化があることは大方避けたい。
面倒事に巻き込まれることはとりあえず御免したい。

それなのに奴は……。

清「ねぇアンタセツナ先輩と中いいよねぇ。」

蜜「馬鹿言わないで!!なんであんな……っ!」


そうセツナ…。奴こそ私から日常を奪い、非日常をプレゼントしてくれた奴だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

事を返せば2週間前。

⏰:07/07/08 02:08 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#6 [向日葵]
蜜「ったく……なんで屋上まで…。」

同じ班の人が掃除中ふざけていたせいで早朝朝掃除。しかも私は一番上である屋上を1人で掃除しなければいけなかった。

蜜「先生も先生だ。罰ならふざけてた人達だけにやらせなさいよ。」

階段を上がりながらブツクサ呟いた。

そして空気抜けの為、入っては行けない屋上の戸を開けた。

―――ここからが悪夢の始まりなのだ。

涼しい風……なぁんて思ってる間はなかった。

⏰:07/07/08 02:12 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#7 [向日葵]
だって目の前には、大きな黒い羽を広げた男の人が……。

それは綺麗な顔をしていて、羽と同じくらい黒い髪は風にふわりとなびいていた。

しかし、目が合った私は脳裏に走る予感に目を向けた。

―関わったら厄介だ―

蜜「しっつれーしましたぁー。」

戸を閉める瞬間。

ガッ!!

蜜「!!」

⏰:07/07/08 02:15 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#8 [向日葵]
「俺のこの姿を見て失礼しましたですまないんだよお嬢さん……。」

その魅惑の声が私の体を絡めとる。

蜜「な、ななななんの事でございましょうか!」

厄介事は嫌だ厄介事は嫌だ厄介事は嫌だ厄介事は嫌だ!!!!

だってあり得ない!!
夢?!そんなファンタジーな事あっていいの?!だって羽だよ羽!!!!

ガチャン!

ついに男の人は戸を完全に開けて此方に来た。
羽はもうない。
よく見ればうちな制服を来ている。

⏰:07/07/08 02:19 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#9 [向日葵]
バタ……ン

戸が音を立てて閉まった。

まるでそれは、私の行く道を阻むかの様に……。






チャプター1:黒羽の君

⏰:07/07/08 02:47 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#10 [向日葵]
整った顔をしているその男の人はにじりにじり私に寄ってきて私を観察するかの様にジロジロ見た。

蜜「あ……んのぉ……。」

「へぇ……。」

男の人は顎に手を当てて面白そうに笑うと私の手を掴んだ。

蜜「な、何何何っ!!」

暴力反対!!私は平和を愛します!!

しかし予想とは違って、男の人は私の手首からまるで私の香りを吸い込む様に息を吸った。

⏰:07/07/08 02:51 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#11 [向日葵]
蜜「え?!何?!え?!」

色々頭がパニックだ。

羽が生えた男の人見つけるわ
なんか知らないけど追い詰められるわ

しばらく息を吸い込んだ男の人は私をまたジッと見つめた。

『まぁなんとも整った顔でありますこと……。』

睫毛は長いし、髪はサラサラだし、鼻筋は通ってるし……。
しかもボタンが開いてるから首筋と鎖骨がチラリ。

はっは〜ん。なるほど。
色気作戦でさっきのこと忘れさせ様って?

⏰:07/07/08 02:56 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#12 [向日葵]
そんなの羽が生えてたなんて言っても誰も信じないし、言わないから私を平凡人生の道へ戻してくださぁぁぁぁい!!!!

しかし願い叶わず、男の人が発したのはまた訳が分からない言葉だった。

「アンタ……“蜜乙女”か……。」

はい?

蜜「確かに私の名は蜜ですけど……。」

「プッ!“蜜乙女”で蜜のは皮肉なもんだなぁっ!!」

なんか笑い出したよオイ。

⏰:07/07/08 03:00 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#13 [向日葵]
蜜「アハハハ。帰ってもいいですか。」

「自己紹介がなくて失礼。俺はセツナだ。」

古めかしいお辞儀をするとまた私に迫ってきた。

蜜「だ、だからなんなんですかぁっ!!」

トン

ついに背後は壁。

綺麗な人に変人多しと言うが……。
この人は変だ!!!!

セツナ「“蜜乙女”。いや蜜。」

蜜「ひゃっ、ひゃい。」

⏰:07/07/08 03:09 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#14 [向日葵]
すると、セツナとか言う人は右手を壁に、左手を私の短い髪に触れ一束持つと、自分の口へと運んだ。

セツナ「よろしく。





花嫁殿。」

・・・・間・・・

蜜「……えーと、頭大丈夫ですか?」

セツナはフッと笑って私の手を取った。

セツナ「どうやら俺の“蜜乙女”は頭が弱いらしいなぁ。」

⏰:07/07/08 03:14 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#15 [向日葵]
アハハハハ。
喧嘩売ってんのかこの野郎☆

それ以前にさっきから“蜜乙女”って言うけどなんなのよ……。

掴まれた手をいきなり引っ張られた。

セツナ「おいで。話してあげるよ。」

蜜「いいです!掃除中です!離してください!」

頼むからそんな意味の分かんないことに巻き込まないでぇぇ!!

セツナ「ハァ…頭が弱い上に強情ときたか。仕方ない。失礼。」

と言ってくれたからやっと解放してくれるんだと思ったら

ガバァ!!

世界がひっくり返った。

⏰:07/07/08 03:18 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#16 [向日葵]
まるで荷物の様に私は担がれていた。

そしてまた戸を開け屋上へと行く。

蜜「ぶわっ!!はな、離して下さい!!」

するとストンと地上へ降ろしてくれた。
とりあえず一息。

スーッ ハーッ

深呼吸して考えることはただ1つ。

逃げるべし。

セツナ「逃げようったってそうはいかないぞ。」

セツナは私の頭に手をかざすと何かを落とす様に指を擦らせた。

⏰:07/07/08 03:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#17 [向日葵]
すると……

ビリビリ

蜜「きっ…!な、……こ……。」

まるで全身に電気が流れているみたい。
痺れて体が動かない。

セツナ「鱗粉(りんぶん)だ。どうも話を聞く態度では無いみたいなんでなぁ……。手荒な真似はしたくなかったが……。さて。話を聞いて頂けるかな?“蜜乙女”よ。」

もうどうでもいい。
明日の朝になったら全て忘れてやる。

今はとりあえずこの痺を解いて欲しい。

⏰:07/07/08 03:27 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#18 [向日葵]
蜜「聞き……す……。」

セツナ「ん?何て?」

人差し指で私の顎をクイッと上へ向かす。

蜜「聞き…ま……す。」

セツナ「いい子だね。」

パチンと指を鳴らすと一気に痺が解けて私は床にガクッと崩れた。

蜜「なんて事……っ。」

セツナ「自業自得だろ?」

ムカムカして話を早くする様に促した。
そして話された内容は正に漫画みたいなあり得ない話。

⏰:07/07/08 03:31 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#19 [向日葵]
セツナは黒蝶族と言う貴族の頂点の者。
今は人間世界で研修中。

彼等が求めるは自分に見合った“蜜乙女”を探すこと。

さてここで“蜜乙女”とはなんだけど……言わばさっきセツナが言った通り花嫁と言うことであって……

だからって

蜜「私にどうしろと……。」

セツナ「子孫繁栄に決まってんだろ。」

蜜「は?!それだけ?!」

わたしゃ子造り道具?!ばっかじゃないの?!?!

⏰:07/07/08 03:36 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#20 [向日葵]
蜜「そんな事言われてはいそうですかって言うこと聞くとでもっ」

セツナ「蜜乙女と俺達は必ず惹かれ合う運命にある。俺達も同じさ……。お前のその香りが……。」

と言いながら私の首筋に指先をスッと滑らす。

セツナ「そそられる。」

クスッと妖しげな笑みを浮かべてセツナは言った。

なんだか私は恥ずかしくなって顔を赤くした。

蜜「私は惹かれない!!そんな義務みたいな感情なんて嫌い!!!!」

⏰:07/07/08 03:40 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#21 [向日葵]
セツナ「じゃあ義務的じゃなくしてやるよ。」

蜜「はぁ?!」

腕を引っ張られ、もう1つの手は腰に巻き付け私を引き寄せた。

蜜「な…!―――!!!!」

次の瞬間。私はキスをしていた。

初めてなのにこんな意味分かんない人と……っ!

蜜「嫌っ!!」

ドンッ!!

突き飛ばしたけど、セツナは2歩くらいしか下がらなかった。

そしておかしそうにクククッと笑う。

⏰:07/07/08 03:44 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#22 [向日葵]
セツナ「流石俺の蜜乙女。味は極上だなぁ…。」

下唇をペロッと舐める。

私は更に恥ずかしくなる。

蜜「頭……おかし…っ。絶対貴方なんて忘れてやる!!」

セツナ「好きなだけ忘れる努力をしたらいいさ。でも俺は何度もお前の前に現れる。分かるか?お前の香りが俺を呼んでるんだ。」

あったまに来た。

蜜「大っっっ嫌い!!!!」

バタン!!

背後でセツナは高らかに笑っている。

⏰:07/07/08 03:49 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#23 [向日葵]
帰ってきて……

私の日常……っ帰ってきてぇぇぇぇぇ!!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・

と言うわけで現在に至る。
ってかセツナって18だって!!2個も年上!!どおりで老けてると……

「オイ。」

その声にゆーっくり後ろを振り向く。

あ゛―――やっぱり……。

蜜「セツナさん……。」

セツナ「呼び捨てで構わんと言ってるだろ。」

⏰:07/07/08 03:53 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#24 [向日葵]
セツナは学校でも有名な美男子で、振り返らない人はいない。
そんな人が私と話してて大丈夫だろうか(私が)

蜜「ここに来たってことは……」

あの時間だ……。

セツナ「屋上行くぞ。」

すでに嬉しくもない日課が続いている。
それもまるで変態の様な……。

時間とは……食事タイムだ……。

バタン

屋上の戸が閉まる。

⏰:07/07/08 03:59 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#25 [向日葵]
早く済ませて帰りたいのにセツナは中々事を始めようとはしない。
転がって青空を見上げて日向ぼっこをしている。

私はうんざりする。
こんな事なんで……。

と、急に腕を引っ張られて私も転ぶハメになる。

あぁ食べる気になったんだ。

それでもこんな事慣れない。無意味に心臓が跳ねる。

こんな事=キスして私から蜜を吸いとること。

セツナの頭が私の上に被さる。

⏰:07/07/08 04:04 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#26 [向日葵]
セツナ「クスクス。いつも不機嫌そうだな。」

蜜「誰もこんなの喜び…んむっ……。」

急に食べられた。

私は只の餌。
なのに……頭がくらくらする。

唇を離されて私は目を開けた。
まだ近くにセツナが綺麗な顔でそこにいる。

セツナ「今日も美味いな。」

蜜「あー…それはどうも……。」

するとまたセツナが近づいてきて私を挟むようにして包んだ。

⏰:07/07/08 04:08 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#27 [向日葵]
蜜「な、どいて下さいよ!」

セツナ「なぁ蜜よ。本気でお前は自分が食事と子孫繁栄の為だけだと思っているのか?」

はぁ?当たり前じゃない。
こんな毎日毎日望んでもないのにキスされて、恋人だと思ってるって言う方が頭どうかしてるよ!

……ちょっと待て私。
私……恋人だと思って欲しいの?

…………んなわけないないないない!!!!

セツナ「オイ。」

蜜「ぅあいっ!!もちろんっ!!」

⏰:07/07/08 04:13 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#28 [向日葵]
するとセツナは私の瞼に唇を触れた。

蜜「っ!」

セツナ「つくづくお前は馬鹿だ。そんな訳ないだろう。」

そして今度は抱き締められた。

蜜「ありますよ!実際貴方は私が蜜乙女だからこんな事してるだけであって私はどうでもいいんじゃないですか!!」

セツナは何も言わず力をギュッっいれる。
魅惑的な匂いが私の鼻を通る。

平凡を拐って今度は私の思考まで拐ってしまう気?

⏰:07/07/08 04:18 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#29 [向日葵]
私はそこまで馬鹿じゃないんだから!

蜜「いい加減退いて下さい。帰りますから。」

セツナ「好きだ。」

私は固まってしまった。

好き?冗談じゃない。

どうせ私をいい気分にさせて蜜を根こそぎ取りたいだけでしょ?

さぞかし蜂蜜が沢山になるんでしょうね。

蜜「退いて。」

セツナ「好きだ。」

蜜「離して……。」

セツナ「好きなんだ。」

⏰:07/07/08 04:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#30 [向日葵]


今日はここまでにします

⏰:07/07/08 04:23 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#31 [向日葵]
意味が分からない
意味が分からない

蜜「なんのつもりですか?愛の告白?それとも“蜜乙女”の“蜜”への感想?」

セツナ「お前は……覚えていないのか?」

蜜「はい?」

セツナ「幼い頃、蝶を助けはしなかったか。」

♪蝶々〜蝶々〜
って歌ってる場合じゃなかった。

ってかこんな格好でここまで冷静な自分がある意味凄い。
普通なら「きゃっ☆」みたいな反応しなきゃいけないんだろうな。

⏰:07/07/08 10:17 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#32 [向日葵]
それは私がこの人が自分を“蜜乙女”としか見てないからだと思う。

おっとっと。昔に記憶をたぐらせなきゃ。

蜜「えー…、あー…。……あぁ。そーいえば。確か。」

セツナ「何故助けた?」

何故。……何故って。
知らないけどなんか

蜜「ほっとけなくて。」

するとセツナは美しい顔を歪ませて笑った。
あー眩しい眩しい。

セツナ「あれは俺だ。」

⏰:07/07/08 10:22 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#33 [向日葵]
おーっとお約束的意外な展かーい☆

蜜「その節はどうも。」

いやそりゃ逆か。

セツナ「初めてお前にあった時から俺は知っていたんだ。『こいつは俺の蜜乙女だ』って。」

なんかその単語聞き飽きた。

セツナ「それと同時に胸に衝撃が走った。」

セツナは真剣な顔をした。
あ、どうしよう。声が出ない。体が動かない。
まるでその目のせいで金縛りにあってるみたい。

⏰:07/07/08 10:26 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#34 [向日葵]
セツナ「それから俺はお前を探して探して探しまくった。蜜乙女だからじゃない。“お前”だからだ。」

うわ……これはもしかして……。

セツナ「ここで会った時驚いた。幼かったお前がすぐそこにいた。姿を見られたことなんて対した問題じゃなかった。ただ……お前を捕まえておきたかった。」

もしかしてもしかしてしまう……?

セツナ「蜜乙女なんて、どうだっていい。それよりもただ“お前”が好きなんだ。」

愛の告白だ。

⏰:07/07/08 10:33 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#35 [向日葵]
蜜「……。」

私はただ唖然としていた。

そんな熱烈な告白受けた事もなければした事もない。てっきり乙女の妄想上のものだと思っていたし……。

でも顔が熱を帯びる事に自覚はあった。

セツナ「お前何か示せよ。」

蜜「いや、だって、そんな事言われたの初めてだし…。」

するとセツナは不思議そうに眉を寄せた。

セツナ「初めて?そんな訳ないだろう。こんなに可愛いのに。」

蜜「はぁっ?!視力大丈夫ですか?!」

⏰:07/07/08 10:53 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#36 [向日葵]
そんな事言われたのも初めてだ。
おかしい。ダメだ。確実にワンダーランドに片足浸からせてる。

セツナ「ところで……お前返事は?」

蜜「はい。」

セツナ「いやその返事じゃなくて。」

私の返事?
んーと

蜜「普通。」

セツナ「は?」

蜜「嫌いではないけど好きでもありません。第一好きな人すら出来た事ありませんからそれがどんな感情か知ったことすらあるません。」

⏰:07/07/08 10:57 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#37 [向日葵]
セツナは「フーン」と呟いてそこでやっと起き上がった。

そして手を差し出すと私を起こしてくれた。
その時初めて知った。
セツナのあまりの手のなむらかさに。

『この人一体どこまで綺麗なつもり?』

考え事しているセツナを上から下までジロジロ観察した。

すると不意にセツナがこちらを見たもんだからドキッとしてしまった。

セツナ「なら確かめてみるか。」

蜜「は?」

⏰:07/07/08 11:02 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#38 [向日葵]
無造作にセツナは立ち上がると急に背中の辺りがパアァァァと輝きだした。

蜜「え!え!」

そしてやがて現れたのは、セツナをすっぽり隠してしまいそうな漆黒の羽。
それはよく見ると蝶の羽だ。

それを見た瞬間、現実から目を背けたくなった。

つい2週間前までは普通の生活を送っていたのに今目の前にある光景はなんだ……。

遠い目をしてるとセツナの両手が私の脇をはさんで無理矢理立たせた。

⏰:07/07/08 11:07 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#39 [向日葵]
そして筋肉がある腕を私の腰に巻き付けると衝撃発言。

セツナ「これから空中散歩といかないか。花嫁殿。」

蜜「もしかしなくても空飛びますよね。」

大分こっちの世界に免疫がついてきたみたいだ……。

蜜「お断りします。学校だってあるし。」

セツナ「そんなの対した問題じゃないさ。」

すると足から床がなくなった。
「あれ?」と思いバタつかせてみるがやっぱりない。

⏰:07/07/08 11:10 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#40 [向日葵]
蜜「ちょ、お断りするって言ったじゃないですかぁ!!」

セツナ「まぁそんな堅いこと言わず。」

すると学校が10mほど下になった。

蜜「いやぁぁぁぁぁ!!!!」

私はセツナにひしっと抱きついた。

セツナ「そうそう。しっかり捕まっててくれよ蜜。」

あ、名前久々に呼ばれた。

そしてフワフワ私は学校を離れていく。
信じられない。ホントに飛んでる……。

⏰:07/07/08 11:14 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#41 [向日葵]
セツナ「気分はどう?」

蜜「驚き。」

セツナ「もっとスピード出せるんだぜ!」

蜜「今のままで結構です!!」

でもすごい……人が、車があんなに小さい。
飛行機とかに乗って見るビジョンとはまた違う。

蜜「すごいなぁ……。」

感動して顔をほころばせると、セツナの私を掴んでない方の手が私の顔に触れて上を向かせた。

セツナ「やっと笑ったな。」

その顔に深くにもドキッとしてしまった。
そんな温かな目見せた事ないんだもん。

⏰:07/07/08 11:20 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#42 [向日葵]
蜜「に、人間ですもの。そりゃ笑いますよ。」

セツナ「俺といる時は不機嫌な顔しかしてないから。」

蜜「それは貴方の食事のせいです!!初めてだったのに……。」

セツナが微かに震えてる。それを上目使いでキッと睨む。

蜜「笑い事じゃないんですけど……。」

するとセツナは頭をくしゃくしゃと撫でてきた。
まだ笑っている。

セツナ「クク…いや、非常に可愛らしいと思ってな……ククク…。」

⏰:07/07/08 11:25 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#43 [向日葵]
「なら」とセツナは続けて私の顎をクイッとさせた。

セツナ「愛のくちづけなら満足して頂けたか?」

蜜「顔面パンチいってもいいですか?」

セツナ「してみればいい。そんなのはよける。」

セツナは私に顔を近付ける。「愛のくちづけ」を実践するつもりだ。

蜜「そんなのいーですから空中散歩しますよ!!」

私はセツナの顔をぐいーっと引き離した。
セツナはまだ笑っている。

⏰:07/07/08 11:28 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#44 [向日葵]
*************

ちょっと休憩させてください(◎・ω・◎)

⏰:07/07/08 11:29 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#45 [ちあき]
あげ(^ω^)

⏰:07/07/08 17:35 📱:P902iS 🆔:arn3olvg


#46 [向日葵]
ちあきさん
ありがとうございます

⏰:07/07/08 18:52 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#47 [向日葵]
少しですが更新しますね(◎・ω・◎)

――――――

セツナは徐々に地上に降りて行った。

蜜「どうしたんですか?」

トスッ

そこは公園。
昼間なので人はいない。

蜜「ここ……。」

セツナ「思い出した?」

ここは、小さい頃来た。
そして、セツナを助けたところ……。

⏰:07/07/08 19:03 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#48 [向日葵]
セツナ「あの時、お前が助けてくれなければ……。」

セツナは自分が捕まっていた木の枝の一角を見つめた。

セツナ「俺はここにいなかったし。蜜にも会えなかった。」

そして私に向き直り、深く礼をした。

セツナ「ありがとう。」

私は目を見張った。
この人は、ちゃんと「ありがとう」が言える人なんだ。ただの俺様じゃない……。

蜜「いいえ。どういたしまして……。」

⏰:07/07/08 19:12 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#49 [向日葵]
なんだかこの人が段々分かってきた気が……するようなしないような……。

まぁ、いっか。

するとセツナがまた私の腰に手を回してきた。

セツナ「お前に教えたい場所がある。」

蜜「教えたい…場所?」

セツナ「とても綺麗なんだ。」

また足元がフワッと浮く。
さっきよりも高く上昇した。でま不思議と不安はもうなかった。

私はジッと私を運んでくれる。
この人が……私の運命の相手……。

⏰:07/07/08 19:37 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


#50 [向日葵]
実感がわかん。

フワフワとセツナは山に入って行く。

蜜「山?」

セツナ「あぁ。俺が一番落ち着く場所。」

器用に木を分けて飛んでいく。
そして着いた。

セツナ「ここだ。」

セツナは太い枝に私を降ろしてくれた。

蜜「お、折れない?」

セツナ「心配なら俺にくっついてるといい。」

⏰:07/07/08 19:49 📱:SO903i 🆔:yldj4ZAU


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