黒蝶・蜜乙女
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#601 [向日葵]
ギシッ

先生は私にもう被さっていた。

ターヤ「味わう程度なら手を出しても構わないかなぁ……。お楽しみはまだまだあるわけだし。」

そう言って先生は締めてた群青色のネクタイを少し緩めた。

蜜「嫌!!やだっ!!」

必死に逃げようと足をバタつかせると黒いミュールがあちこちに飛んで行った。
先生は片手で私の両手を掴む。

ターヤ「君にくちづけした時は失神しそうになったよ。あまりの強く甘い蜜の味に……。」

⏰:07/07/28 23:49 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#602 [向日葵]
そう言って私の口内を急に荒らしてきた。

私はショックで目を見開く。

顔を背けてキスから逃げた。そして先生から負けない様に強く睨む。

先生は楽しんでいるのかニヤニヤ笑う。

ターヤ「存分に抵抗していいんだよ?その方が燃えるしね?」

そう言って首筋に舌を這わせた。
またあの気持ち悪い感覚が私を襲う。

嫌だ…嫌だ……!!
セツナ!!!!

⏰:07/07/28 23:54 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#603 [向日葵]
すると

ビュオォォォ!!!!

急に強風が吹き荒れた。

突然の事に先生は私から離れた。
何が怒ったか分からない私はとりあえず起き上がる。
すると頭や腕に、そよ風が当たった。

蜜「風……さん達…。」

小さな姿がいくつか私の周りにあった。
怯えていながら私を必死に守ってくれている。

ターヤ「……黒蝶族のちっぽけな下僕が……。うっとおしい!!」

蜜「止めてっ!!」

⏰:07/07/28 23:59 📱:SO903i 🆔:EACVsMYQ


#604 [向日葵]
攻撃を仕掛けようとする先生に、私は風さん達をかばうように両手を広げた。

蜜「私はいいけど……風さん達を傷つけるのはよして下さい……。」

先生はスッと目を細めると、ドアへ向かい、部屋を出ていく。

ターヤ「ここは君の部屋だ。自由に使うといい。」

バタン……。

しばらく私はドアを見つめていた。
けど先生は戻ってこないと判断し、私は力を一気に抜いた。

そんな私を心配して風さん達が寄ってくる。

⏰:07/07/29 00:04 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#605 [向日葵]
蜜「大丈夫ですよー…。ありがとう。助けに来てくれて。」

風さん達は私を気遣い、顔の周りをグルグル回る。
そして私の顔によって小さな手で顔を撫でてくれた。

柔らかい、優しい手……。

ポタタタ…。

ドレスに染みが広がる。
気が抜けて、涙が今になって出てきた。

蜜「やだ……。泣きたくなんか…ないの…っに……!!」

怖い……。怖いよ…。
でもセツナが助けにきて、もしもがある方がもっと怖い。

⏰:07/07/29 00:08 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#606 [向日葵]
涙をグイッと拭う。

そして部屋全体を見回す。とりあえず、窓がある。

ここでジッとしているのは嫌だ。
私は自分でセツナに会いに行ってやる。

蜜「ここから……出てやる。」

只の蜜乙女じゃないって分からしてやるんだから……。

⏰:07/07/29 00:12 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#607 [向日葵]
チャプター12:方法





私はジッとベッドの上にいた。
気が狂いそうな静けさを抑えてくれてたのは風さん達の存在のおかげだと思う。

たまたま部屋の中にある時計で時間は分かった。

今は午前か午後か分からない。何故なら外が真っ暗だからだ。
でも針は1時を指している。

なんだか全ての現実に疲れた私は眠りそうになったけど、頑張って起きた。

⏰:07/07/29 00:33 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#608 [向日葵]
とりあえず布団を結んで出来るだけ長くする。

『あ、そういえば……。』

ここはどれくらいの高さ?

窓へ寄って格子窓を開ける。そして下を見てみる。

蜜「え?!」

なんと……下が見えない…。モヤがかかってるみたいに陸地が見えない。

蜜「何で…っ。」

ターヤ「人間界じゃないからだよ。」

バッと振り向くと、先生がドアに寄りかかっていた。

⏰:07/07/29 00:52 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#609 [向日葵]
蜜「先生……。」

ターヤ「ターヤでいい。」

先生もといターヤさんは、部屋に一歩入る。

ターヤ「逃げるなんて辞めた方がいいよ。出ても人間には絶対に陸地は見つけられない。」

風さん達は警戒して私の周りに寄り添う。
それをターヤさんは嘲笑う。

ターヤ「まぁ精々頑張ればいいよ。絶対に無理だけど……ね。」

パタン……

まるで私の計画を前から分かっててそれを止めに来たみたいだ。

⏰:07/07/29 00:59 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#610 [向日葵]
――――――――

ちょっとキリます

⏰:07/07/29 01:00 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#611 [☆チーター☆]
あげちゃいましたトフフ
この小説大好きで毎晩見ていますI
頑張って下さい

⏰:07/07/29 01:51 📱:auSA3A 🆔:Tfv6S/LU


#612 [向日葵]
チーターさん

ありがとうございます

――――――――

ターヤ「君はホントに面白いね。じっとしてるお姫様じゃないんだ?」

蜜「私はお姫様じゃないんで……。」

一定の距離を保ったまま私達は話を続ける。

蜜「今回もルキが一枚噛んでるんですか?」

ターヤ「察しがいいね。その通りさ。アイツはセツナの恋情が故に動く人形だ。」

⏰:07/07/29 02:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#613 [向日葵]
私は眉を寄せた。

蜜「……実の妹…ですよね?」

ターヤ「それが何?」

蜜「何故、そんな物言いなんですか?」

ターヤさんは憂鬱そうに笑うと話を続けた。

ターヤ「実の妹だろうがアイツは黒蝶族だろ?兄である俺より恵まれて育った奴に、どうやって親しめと言うんだ?」

――――っ!!

ターヤ「僕達蜘蛛族はとんだ迷惑だ。まぁ黒蝶族に何かしても咎められにくいのは嬉しいがね。それもこれも、自然界のほぼ頂点にいる黒蝶族。アイツらのせいだ。」

⏰:07/07/29 02:29 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#614 [向日葵]
蜜「だからって……セツナを…ましてや私を巻き込むのは可笑しい!!」

ターヤ「直接憎い奴に復讐をかけるより、その関係する物を傷つける方がダメージは大きいものだよ。」

冷笑を浮かべながらターヤさんは続ける。

ターヤ「掟を作ったのは奴らだ。それによって何百年もの間僕達は悪者扱い。意味が分からない。たかが祖先の裏切りで、僕達は関係無い戒めに縛りつけられた。」

ターヤさんの視線が私をしっかりと捕らえる。
私は足に根が生えたみたいにそこから動けずにいた。

⏰:07/07/29 02:34 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#615 [向日葵]
ターヤ「ただ、君を拐ったのはただ単に君を気に入ったからさ。別に他意は無い。セツナの歪んだ顔を見るのは愉快だけどね。」

そこで私はキッと睨んだ。ターヤさんは余裕で受け流す。

ターヤ「部屋の外に食事を置いてるよ。食べておきなよ。」

そしてターヤさんは部屋を出ていった。

『どうして……。』

歪み合うしかしないんだろう……。
誰も、仲を戻すなんて考えなかったのかな……。

⏰:07/07/29 02:40 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#616 [向日葵]
風さん達は指をドアの方に指して食事しろと言ってる。

蜜「ありがとう。でもお腹減ってませんから。」

にこっと笑う事が出来た。ホントに風さん達には助けられる。

セツナ……。なんとか貴方の元に帰るからね。

―――――……

―黒蝶族―

シオイ「セツナ様。お久しぶりです。ルキ様も…。」

セツナ「挨拶はいい。事情は分かっているな。」

シオイは黙ってルキを見る。ルキは気まずそうにうつ向き視線を泳がす。

⏰:07/07/29 02:53 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#617 [向日葵]
シオイ「こちらです。」

向かったのは一軒家が入りそうな広間。
真ん中には長い机が置かれている。

「セツナじゃぁん♪最近とんと見なくなったから家出かと思ったぜ!」

セツナ「オウマ。今は急いでいる。無駄口は後だ。」

オウマと呼ばれるオレンジのツンツンした髪の青年は口を尖らして机に置いてある足を下ろした。

シオイ「長もお見えです。」

机の遥か遠くに髭を蓄えた男性が座っていた。
セツナは羽を出し、直ぐにその人物の近くに来た。

⏰:07/07/29 02:59 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#618 [向日葵]
セツナ「戻りました。父上。」

長「うむご苦労。ルキよ。罰は後で受ける覚悟をなさい。今はせがれの蜜乙女を助けるぞ。」

ルキ「仰せの……ままに……。」

ルキは膝を付いて長に一例する。
長はルキに視線を投じてまたセツナに戻す。

長「如何にあ奴らが力を付けたと言えど、私達を甘く見てもらったら困る。援軍は10人で足りるな?」

セツナはニヤリと口の端を上げる。

セツナ「その半分。5人で上等ですよ。」

⏰:07/07/29 03:04 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#619 [向日葵]
長は一度頷くと上を少し向けて声を上げた。

長「シオイ。ルキ。オウマ。ラフィーユ。」

広間にバラバラにいた4人は一気に長の元へ整列した。

ラフィーユと名乗る女の子はストレートの髪が腰まであり、白に近い青の色をしていた。

長「最近の蜘蛛族はやりたい放題にしすぎた。罰を与えるのに手伝ってくれるな?」

オウマ「もちろんさ長!!ガッツンやってやらぁ!!」

オウマは拳を掲げそこらを飛び回る。

ラフィーユ「オウマ。みっともない。降りろ。」

⏰:07/07/29 03:10 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#620 [向日葵]
冷たい目でオウマを睨み、オウマは縮こまってすぐに戻ってきた。

セツナ「では、行って参ります。」

長「あぁ。助けた暁には蜜乙女を連れて来なさい。」

セツナはクスッと笑うと超スピードで広間を出て行った。

――――――……

カチャ……キィ……

蜜「よし、よし。」

右左を確認し、部屋からソロリと出る。
無駄でも私は抜け出してみせる!
私はやれば出来る子!

⏰:07/07/29 03:14 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#621 [向日葵]
ミュールを履くのも忘れて私は裸足で行動していた。
フカフカ絨毯が足をくすぐる。

『階段…降りて……ドア…。』

こんなお城みたいなとこなんだからさぞかしドアもデカイんだろうなぁ。
そう思いながら周りをキョロキョロする。

蜜「……ここじゃない?」

なんかよくわからないホールみたいなトコをぐるぐる回ってらしきのを探す。

ターヤ「おてんばだね。」

ハッとして後ろを向く。
だけど誰もいない。

……分かった。
ソロソロと視線を上げると……。

⏰:07/07/29 03:20 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#622 [向日葵]
――――――――

今日はここまでにします

⏰:07/07/29 03:20 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#623 [向日葵]
上で何故かターヤさんが浮いている。
理由は1つ。蜘蛛の糸でぶらさがってるんだ。

ターヤ「そんなにセツナに会いたい?」

蜜「…。」

私は無視して違う方を探そうとしていた。
と、ターヤさんが目の前に優雅に降りてきた。

ターヤ「ベタ惚れなんだね。」

蜜「……。そー…です……けど何か?!」

後半はヤケクソ……。
でもホントなんだもの。体全身でセツナを呼んでる。

⏰:07/07/29 13:46 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#624 [向日葵]
ターヤ「どうしてアイツがいいの?」

ズイッと前へ来て私の視界をターヤさんのみにする。

ターヤ「あんな天狗野郎好きになる君がわからないよ。」

私はキッとターヤさんを睨む。

蜜「確かにセツナは俺様です!」

ウンそれは認める。
でも……。

蜜「セツナはちゃんとありがとうが言えて、ごめんなさいが言えて、私を誰よりも大切にしてくれる!むやみに人を傷つけたりしない!!」

⏰:07/07/29 14:28 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#625 [向日葵]
セツナの優しい目が脳裏をよぎる。

蜜「貴方は……人を憎むばかりで、人を尊重しない…。」

ターヤさんは目を細めて顔をひく。

シャルルルル

蜜「え?!な、何?キャァァ!!」

体に蜘蛛の糸がまかれ、一気に地面が離れた。
天井に私は吊されてしまった。

蜜「な、ターヤさん!何をっ!」

ターヤさんも糸を天井に付けて私の近くまで来る。

⏰:07/07/29 14:57 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#626 [向日葵]
ターヤ「嫌いなんだよね。そうやって正論づく奴って。しばらくそうやっててよ。」

そう言ってくるくると回転しながら遥か下の床へ降りて行った。

ターヤ「いい眺め……。」

ターヤさんは何処かへ言ってしまった。

蜜「ほーどーけぇぇぇ!!!!」

体を揺らすもののプラプラ揺れるのみ。

『そうだ!』

蜜「風さん!」

⏰:07/07/29 15:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#627 [向日葵]
風さん達が私の目の前に現れる。

蜜「風でこの糸を千切ってくれ……」

いや……

私は下をチロリと見た。
あの山の秘密基地より遥かに高いこの場所。

千切れて解放されたとしても絶対に

蜜「死ぬ……。」

あぁ――もうっ!!!!

セツナ……っ!!

―――――……

灰色の世界を高速で飛んでいく陰が5つある。

⏰:07/07/29 15:33 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#628 [向日葵]
セツナ「お前らもっとスピード上げろ!!」

オウマ「おうよぉ!!」

ギュイィイン!!

ルキ「……。」

険しい顔をして黙って着いていく横にラフィーユがつく。

ラフィーユ「余計な事、考えるな。」

ルキ「考えてないわよ……っ!」

ラフィーユ「どうだか。お前は浅はかだ。」

ルキは図星を突かれて下唇をギュッと噛んだ。

ラフィーユ「悔やむのならもうこんな事をするでない。」

⏰:07/07/29 15:37 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#629 [向日葵]
ギュイィイ―――……ン……

―――――……

蜜「んのぉぉ……っムギィィ!!」

糸が簡単に切れず、しかもゴムのように伸びることを発見。

どうにかして体を縦に振って糸が伸びる様にするけど凄い力ですぐに戻されてしまう。

蜜「もう!も―も―も―も―!!!」

牛になった訳じゃないけど思わず不安が募ってしまう。

⏰:07/07/29 15:49 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#630 [向日葵]
ムカついて足をジタバタさせた。

どうしてこんな目に合わなきゃいけないのよ!!
それでも私は体を揺する。

蜜「う゛ぅ―――――っ!!ターヤさんのぶわぁぁぁっかぁぁ!!!!」

ターヤ「馬鹿とはなんだい。」

下を見れば蟻の様なターヤさんがいた。
表情が見えないけど声からして無表情で私を見ている気がする。

蜜「降ろして下さい!!なんでこんな事されなきゃなんないんですか!!」

⏰:07/07/29 15:58 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#631 [向日葵]
ターヤ「うるさいなぁ…。少し黙らないか。」

そう言って指をパチンと鳴らした。
何が起こるのかと思えば、急に体がぐらりと傾く。

蜜「ぎ、いやぁぁぁぁっっ!!」

いきなり落下。
ジェットコースターより遥かにスリリングな体験に気を失いかけた時、ターヤさんの腕にキャッチされた。
蜜「うぅ……っ。」

ターヤ「湯殿の時間だよ蜜乙女。」

えっ?!

⏰:07/07/29 16:11 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#632 [向日葵]
蜜「さっき入ったばっかですよ?!」

ターヤ「さっきだって?何を言ってる。もう一日経ったじゃないか。」

一日?!
せいぜい5時間くらいしか経ってないんじゃ……っ!

そんな私に気付いたのか歩きながらターヤさんは説明した。

ターヤ「人間と僕らじゃ時間の流れが違うんだよ。」
入った事がある部屋に入った。

ターヤ「祝言の為に綺麗にしてやってくれ。」

⏰:07/07/29 16:22 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#633 [向日葵]
祝言?!
つまり……結婚式?!

私はターヤさんの手から逃れて部屋を出ようとしたけど無駄に終わった。

ドアに手を付き、後ろから私の行く手を阻む。

ターヤ「じっとしてくれない?それとも……襲われたいの?」

ターヤさんは後ろから私の太ももを撫で上げた。
グリッとターヤさんの方を向いて下から睨む。

蜜「貴方と結婚式なんて挙げる気更々ありません。」
ターヤ「無くても結婚挙げざるを得ないよ。セツナは助けに来れない。」

⏰:07/07/29 20:21 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#634 [向日葵]
その言葉に涙がうっすら浮かんだ。

蜜「セツナは来るもん!!絶対来るもん!!」

叫んで私はお風呂場へ向かった。

セツナセツナ!

ジャパーン……!

お湯に勢いよく頭まで浸かった。
気泡が口からゴポゴポ出ていく。

『セツナ……。』

――――――……

ザ、ザザザザ、……。

蜘蛛族の城の入口に、セツナらが降り立った。

⏰:07/07/29 20:27 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#635 [向日葵]
シオイ「確かにオーラが大きくなっておりますね。」

ラフィーユ「問題ない。」

オウマ「そーそー!腕が鳴るっつーのぉ!!」

オウマは腕をグルグル回して気合い充分だ。
そんな中、セツナはジッと城を睨む。

セツナ「蜜……!」

今行くから……。

その時だった。

ザザザザザ……

5人の前にあの灰色の外套を被った軍団が現れた。

⏰:07/07/29 20:35 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#636 [向日葵]
「この先は決して通さん。」

セツナは軍団を冷たく睨み、口端を吊り上げる。

セツナ「やってみろよ。」

セツナの指がポキポキ鳴った……。

――――……

鏡を見るとさっきよりも長めの黒いドレスに身を包んでいた。

『普通白だよね。……いや違くて!!』

ワッシャワッシャなってるドレスの裾を持って部屋を出た。

『とりあえず逃げなきゃ!私っ……。』

⏰:07/07/29 20:41 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#637 [向日葵]
部屋を出て出口を探そうとした途端こけた。

蜜「うわぁっ!っあっつ!いった!」

絨毯で手を火傷してしまった。
訳もなく掌にフーフーと息を吹く。

ターヤ「往生際が悪いねホント。」

どうやら足をかけられたらしい。
部屋を出て直ぐの壁にターヤさんは寄りかかっていた。

その姿は黒いタキシードで決めていた。

ターヤ「なかなか綺麗になっているじゃないか。黒はやっぱり引き立つね。」

⏰:07/07/29 20:47 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#638 [向日葵]
私は転んだままターヤさんを睨みつける。

蜜「私と結婚して、貴方はホントにいいんですか……?」

ターヤ「気に入ったって言ったでしょ?」

蜜「それは違うって言った!!」

ガッ!!

蜜「むぅっ!」

顔を片手で掴まれて力を入れられる。

ターヤ「ホント君は嫌だよ。うるさいし無駄に正論ぶるし。」

悔しい。自分が何も出来ないと知らされて。
負けないと引っ込めた涙が再び溢れ出て来る。

それを見て何故かターヤさんが怯んだ。

⏰:07/07/29 20:54 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#639 [向日葵]
蜜「なら結婚式なんてしないで……。私が好きなのは……ただ一人。」

あの優しい笑顔が、ちょっとムカつく俺様節が、愛くるしい寝顔が……全てが私を引き付ける。

蜜「私が結婚したいのはただ一人!


セツナだけなんだからぁぁぁっ!!!!」

バァァァン!!!!

大きな扉が開かれた。
その真ん中に一人、小さな、でも大きな陰が……。

蜜「―――っ!セツ……ナ。」

⏰:07/07/29 20:58 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


#640 [向日葵]
その名前を口にした瞬間さらに涙が溢れた。

セツナ「ターヤ。蜜を離せ。」

セツナの射る様な目が、ターヤさんに向けられた。
ターヤさんは私を抱き締める様にセツナに渡さない意思を示す。

ターヤ「僕達は今から祝言なんだ。良かったら招待するけど?」

セツナ「寝言は寝て言え。」

すると急にセツナが消えた。気付くとターヤさんも。
視線をさ迷わせると、全く違う所でセツナがターヤさんを足蹴にしていた。

⏰:07/07/29 21:12 📱:SO903i 🆔:trtYM1s2


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